(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の白色反射フィルムは、反射フィルムの表面に塗布層を有するものである。そして、かかる塗布層の表面には突起を有し、これにより導光板とのギャップ確保ができる。
以下、本発明を構成する各構成成分について詳細に説明する。
【0011】
[反射フィルム]
本発明における反射フィルムは、熱可塑性樹脂からなり、白色の着色剤またはボイド形成剤をフィルム中に含有させることによって白色を呈するようにしたフィルムである。着色剤またはボイド形成剤としては、例えば、無機粒子、有機粒子、上記フィルムを構成する熱可塑性樹脂とは非相溶の樹脂(以下、非相溶樹脂と呼称する場合がある。)を用いることができる。
【0012】
反射フィルムの波長550nmにおける反射率は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。反射フィルムは単層フィルムであっても、積層フィルムであってもよい。高い反射率と機械的強度を得る観点から、比較的多くのボイドを含有する層(反射層)と比較的少ないボイドを含有するかボイドを含有しない層(支持層)とから構成される積層フィルムが好ましい。また、フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン、アクリルを挙げることができ、機械的特性および熱安定性に優れる白色フィルムを得る観点からポリエステルが好ましい。
【0013】
(ポリエステル)
反射フィルムの熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、ポリエステルとしては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルを用いることが好ましい。このジカルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸成分、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、4,4’−ジフェニルジカルボン酸成分、アジピン酸成分、セバシン酸成分を挙げることができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール成分、1,4−ブタンジオール成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール成分、1,6−ヘキサンジオール成分を挙げることができる。
【0014】
これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、共重合ポリマーが好ましい。特に、反射フィルムとして、比較的多くのボイドを含有する層と比較的少ないボイドを含有するかボイドを含有しない層とから構成される積層反射フィルムを用いる場合、比較的多くのボイドを含有する層(反射層)に用いるポリエステルは共重合ポリマーであることが好ましい。この場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば3〜20モル%、好ましくは4〜15モル%、さらに好ましくは5〜13モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、ボイドを比較的多く含有する層についても優れた製膜性を得ることができる。また、熱寸法安定性に優れた反射フィルムを得ることできる。
【0015】
(着色剤、ボイド形成剤)
着色剤またはボイド形成剤として無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。無機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜3.0μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さら好ましくは0.4〜2.0μmである。またその含有量は、反射フィルムの質量を基準として25〜55質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。このような無機粒子を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。また、フィルム中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が粗くなりすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。なお、無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。無機粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
【0016】
また、着色剤またはボイド形成剤として有機粒子を用いる場合、有機粒子としては、ポリエステルに非相溶な樹脂の粒子を用いる。この有機粒子としては、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子が好ましい。有機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜10μm、好ましくは0.3〜8.0μm、さらに好ましくは0.4〜6.0μmである。またその含有量は、反射フィルムの質量を基準として25〜55質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。このような有機粒子を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。また、フィルム中で適度に分散させることができ、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、同時に、フィルムの表面が粗くなりすぎず、適切な範囲に光沢度をコントロールすることができる。なお、有機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。
【0017】
また、着色剤またはボイド形成剤として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、シクロオレフィン、ポリスチレンが好ましい。またその含有量は、反射フィルムの質量を基準として25〜55質量%が好ましく、30〜50質量%が更に好ましい。このような非相溶樹脂を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。
【0018】
[塗布層]
本発明における塗布層は、固形分がバインダー樹脂と粒子とを主たる構成成分として含有する水系の塗液から形成されてなるものである。ここで「主たる構成成分」とは、塗液の固形分の質量を基準として70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。また、上記固形分において、粒子の含有量は、後述する突起個数の態様を満足すれば特に限定されないが、固形分の質量を基準として好ましくは5〜55質量%であり、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは20〜40質量%、特に好ましくは25〜35質量%である。これにより、さらに後述する好ましい塗布層の態様とし易くなる。なお、バインダー樹脂の含有量については、塗液の固形分において、上記粒子と後述する任意成分とを含み、その余がバインダー樹脂となるようにすればよい。
本発明においては、反射フィルムの表面に塗布層を有するが、少なくとも導光板側となる一方の面に有していればよく、反射フィルムの両面に有していてもよい。
【0019】
(粒子)
塗布層における粒子としては、有機粒子であっても良いし、無機粒子であっても良いし、有機無機複合粒子であっても良い。
有機粒子としては、例えばポリエステル樹脂粒子、アクリル変性ポリエステル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ジビニルベンゼン−アクリル樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等の高分子樹脂粒子が挙げられる。中でも、ギャップ確保のために特に適度な硬さを有する突起を形成しやすいという観点から、ポリエステル樹脂粒子、アクリル変性ポリエステル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子が特に好ましい。中でもポリエステル樹脂粒子(特にポリエチレンテレフタレート粒子)は、回収製膜性をより高くすることができるという観点からも、本発明において特に好ましい粒子である。
【0020】
また、無機粒子としては、(1)二酸化ケイ素(水和物、ケイ砂、石英等を含む);(2)各種結晶形態のアルミナ;(3)SiO
2成分を30質量%以上含有するケイ酸塩(例えば非晶質もしくは結晶質の粘土鉱物、アルミノシリケート(焼成物や水和物を含む)、温石綿、ジルコン、フライアッシュ等);(4)Mg、Zn、ZrおよびTiの酸化物;(5)CaおよびBaの硫酸塩;(6)Li、BaおよびCaのリン酸塩(1水素塩や2水素塩を含む);(7)Li、NaおよびKの安息香酸塩;(8)Ca、Ba、ZnおよびMnのテレフタル酸塩;(9)Mg、Ca、Ba、Zn、Cd、Pb、Sr、Mn、Fe、CoおよびNiのチタン酸塩;(10)BaおよびPbのクロム酸塩;(11)炭素(例えばカーボンブラック、グラファイト等);(12)ガラス(例えばガラス粉、ガラス粒子等);(13)CaおよびMgの炭酸塩;(14)ホタル石;(15)スピネル型酸化物等が挙げられる。このうち、ギャップ確保のために特に適度な硬さを有する突起を形成しやすいという観点から、シリカ粒子が好ましく、特に凝集シリカ粒子が好ましい。
【0021】
また、本発明における粒子として、有機物で被覆された無機粒子や無機物で被覆された有機粒子のような有機無機複合粒子を用いることもできる。具体的には、有機無機複合粒子としては、例えばシリルアルキル基のような有機金属化合物基を側鎖または末端に持つ高分子とシリカのような無機化合物成分が共有結合で複合化した有機無機ハイブリッド材料からなる粒子や、無機粒子の表面に架橋ポリスチレンのような有機高分子微粒子を融着被覆させた粒子や、または有機高分子粒子の表面にアルミナのような無機微粒子を固着被覆させた粒子などが挙げられる。
【0022】
塗布層における粒子の平均粒径は、後述する突起個数の態様を満足すれば特に限定されない。特に導光板とフィルムとの間隔を一定に保ち、これらが貼り付くことを抑制しやすくなるという観点から、2μm以上、100μm以下であることが好ましい。平均粒径が小さすぎると、白色反射フィルムが導光板に部分的に密着してしまう可能性が高くなる傾向にある。このような観点から、平均粒径は、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上、最も好ましくは20μm以上である。他方、大きすぎる場合は、粒子が脱落し易くなる傾向にあり、脱落が生じるとバックライトユニットにおいては白点欠点となる。このような観点から、平均粒子径は、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは80μm以下、特に好ましくは70μm以下、最も好ましくは60μm以下である。
【0023】
また、本発明においては、上記粒子の10%圧縮強度が0.1〜15MPaであることが好ましい。これにより導光板への傷付きを抑制する効果をより向上することができる。圧縮強度が低すぎると、応力に対して粒子が変形しすぎてしまうため、導光板とのギャップ確保の向上効果が低くなる傾向にある。他方、圧縮強度が高すぎると、導光板の傷付き抑制の向上効果が低くなる傾向にある。かかる観点から、10%圧縮強度は、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは3MPa以上、特に好ましくは8MPa以上であり、また、好ましくは14MPa以下、より好ましくは13MPa以下、さらに好ましくは12MPa以下である。
【0024】
粒子の10%圧縮強度は、粒子の凝集の態様や、また有機粒子においては重合度、架橋度や結晶化度を調整することにより達成することができる。例えば同じ種類の粒子では、重合度、架橋度や結晶化度を高くにすると、10%圧縮強度は高くなる傾向にある。上記のような観点からは、本発明における粒子としては有機粒子が好ましい。中でもポリエステル樹脂粒子、ポリウレタン粒子、ポリオレフィン粒子が、上記10%圧縮強度を達成し易く好ましい。
【0025】
(非球状粒子)
塗布層における粒子は、非球状粒子であることが好ましい。ここで非球状粒子とは、アスペクト比(長径/短径)で好ましくは1.2以上、より好ましくは1.3以上、さらに好ましくは1.5以上となる態様のものをいう。アスペクト比の上限は特に限定されないが、好ましくは10.0以下である。
塗布層表面において突起を形成する粒子が非球状粒子であることによって、導光板とのギャップ確保の向上効果をさらに高め、また、導光板の傷付き抑制効果をさらに高めることができる。
【0026】
このような非球状粒子によって上記のような効果が得られるのは、次のメカニズムによるものと考えられる。すなわち、粒子の形状を非球状とすることで、導光板との接触面積が広くなり、圧力分散がおこることで傷が入りにくくなるためと考えられる。粒子の形状が非球状であると、粒子はある一方向に最大径を有することになるが、塗布層中に含有される場合、確率的にかかる最大径方向は塗布層の面方向と略平行な方向となりやすい。そのため、突起の高さ方向は粒子の短径が相当することとなり、導光板との接触面積が広くなるということである。
【0027】
上述の非球状粒子の形状を達成する方法としては特に限定されるものではないが、特に好ましい形状を有する粒子が得易い観点、および、製造コストや生産性の観点から、固体のポリマーを粉砕して粒子を得る方法が好ましい。かかる工程によって得られた粒子を粉砕ポリマー粒子ということとする。かかる工程は、より具体的には、重合後、例えばペレット化されたポリマー片を、好ましくは熱処理によって結晶化させ、常温ないし低温にて粉砕する方法が好ましい。これによってより好ましい粒子の形状にできる。より粉砕し易い観点からは、常温よりも低温で粉砕することが好ましく、かかる低温を得る方法として液体窒素により冷却する方法を好ましく挙げることができる。このような方法を採用することによって、有機粒子であり(すなわち上記10%圧縮強度が達成し易く)、上述した比較的大きな粒径を有し、かつ、非球状である粒子を得易くなる。
【0028】
(バインダー樹脂)
塗布層の形成に用いられるバインダー樹脂は、後述する架橋基含有アクリル変性ポリエステル樹脂を、バインダー樹脂の質量を基準として0.1質量%以上、30.0質量%未満含有する。このような態様とすることで、湿熱環境下においても導光板との貼り付きを抑制することができるとともに、回収製膜性に優れる。含有量が少なすぎるとかかる湿熱環境下における貼り付きの抑制ができない。かかる観点からは、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、さらに好ましくは5.0質量%以上、特に好ましくは10.0質量%以上である。一方で、含有量が多すぎると回収製膜性が低下してしまう。かかる観点からは、好ましくは29.0質量%以下、より好ましくは27.0質量%以下、さらに好ましくは25.0質量%以下、特に好ましくは20.0質量%以下である。
【0029】
(架橋基含有アクリル変性ポリエステル樹脂)
本発明における架橋基含有アクリル変性ポリエステル樹脂とは、主鎖をポリエステル系(共)重合体とし、それをアクリル系(共)重合体で変性したものであり、例えば枝成分がアクリル系(共)重合体であり幹成分がポリエステル系(共)重合体であるグラフト共重合体である。なおここで、「(共)重合体」とは、単独重合体または共重合体のことを表わす。また、アクリル変性ポリエステル樹脂としては、例えば特開昭63−37937、特開平11−198327等に記載されているアクリル変性ポリエステル樹脂を使用することができる。
【0030】
架橋基としては、アクリル変性ポリエステルが架橋構造を形成可能なものであれば特に限定されないが、例えばイソシアネート基、グリシジル基、オキサゾリン基を好ましく挙げることができる。これら架橋基は、湿熱環境下における貼り付き抑制の観点から好ましい。アクリル変性ポリエステルが架橋基を有する態様は特に限定されないが、好ましくは、枝成分を構成するアクリル系(共)重合体が架橋基を有している態様が好ましい。かかる態様とすることによって、幹成分に架橋基を有するよりも、より効率的に架橋構造を形成することが可能となる。
【0031】
アクリル変性ポリエステル樹脂における架橋基の量は、アクリル変性ポリエステル樹脂中ポリエステル成分を100モル%として、60モル%以上、200モル%以下である。これにより塗布層の耐湿熱性を高めることができ、湿熱環境下における導光板との貼り付きを抑制することができる。架橋基が少なすぎると、白色反射フィルムの耐湿熱ブロッキング性が不良となり、他方架橋基が多すぎると、塗布層中にアクリル系成分が多過ぎるため、回収性が悪くなる傾向にあり、また、塗布層が固くなりすぎる傾向にあり、塗布層自体の強度が低下する傾向にある。かかる観点から、架橋基の量は、より好ましくは66モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上である。また、より好ましくは165モル%以下、さらに好ましくは150モル%以下、特に好ましくは135モル%以下、最も好ましくは120モル%以下である。
【0032】
(熱可塑性樹脂)
塗布層のバインダー樹脂には、上記架橋基含有アクリル変性ポリエステル樹脂のほかに、バインダー樹脂の質量を基準として70.0〜99.9質量%の熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。より好ましくは71質量%以上、さらに好ましくは73質量%以上、さらに好ましくは75質量%以上、特に好ましくは80.0質量%以上である。また、より好ましくは99.0質量%以下、さらに好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下、特に好ましくは90質量%以下である。熱可塑性樹脂をかかる含有量範囲で含有することで、湿熱環境下における貼り付き抑制をしながら、塗布層の反射フィルムに対する密着性に優れる。また、塗布層を有するフィルムの回収製膜性の向上効果を高くすることができる。熱可塑性樹脂の含有量が少ないと、塗布層の反射フィルムに対する密着性が悪くなる傾向となり、また、塗布層を有するフィルムを回収して回収原料として用いた際に、得られるフィルムが黄変する傾向となる。また、回収製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。一方、熱可塑性樹脂の含有量が多いと、湿熱環境下における貼り付き抑制の効果が小さくなる傾向にある。
バインダー樹脂に添加することのできる熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタンを挙げることができる。中でも塗布層と反射フィルムの密着性が良いという観点から、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0033】
(その他の成分)
塗布層は、上記構成成分以外の成分を、本発明の目的を阻害しない範囲において含有していてもよい。かかる成分としては、例えば界面活性剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックス、上記粒子とは異なる粒子等を挙げることができる。
【0034】
[塗布層の態様]
本発明においては、上述したような塗布層を反射フィルムの少なくとも一方の表面に有する。そして、かかる塗布層の表面には、上記粒子により形成された突起を有する。そしてかかる突起は、導光板とフィルムとのギャップ確保の観点から、適度な高さの突起を適度な頻度で有することが必要である。
そこで本発明においては、塗布層の表面において、高さ5μm以上の突起個数が10
4〜10
10個/m
2であることが通常必要である。これにより導光板とフィルムとのギャップを十分に確保することができ、常態での貼り付き抑制効果を確保できる。突起頻度が少なすぎると貼り付き抑制効果に劣る。他方、突起頻度が多すぎると、粒子脱落の確率が向上したり、また反射率が低下したりする傾向にある。突起個数は、より好ましくは10
6個/m
2以上である。
【0035】
(塗布層の厚み)
塗布層の厚みは、用いる粒子の量および粒径を勘案して、本発明が規定する突起個数の態様となるように調整すればよい。例えば、塗布層が厚すぎると粒子が埋もれやすくなる傾向にあり、突起個数は少なくなる傾向にある。
このような観点から、塗布層の厚み(t)は、上記粒子の平均粒径(d)との関係が、下記式(1)を満たすことが好ましい。
1≦d(μm)/t(μm)≦100 ・・・(1)
このような態様とすることで、本発明が規定する突起個数を満足し易くなる。かかる観点から、上記式においては、左辺は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上である。また、右辺は、好ましくは80以下であり、より好ましくは70以下、特に好ましくは30以下である。
塗布層の厚みの具体的範囲としては、好ましくは0.3〜30μm、より好ましくは0.5〜25μm、さらに好ましくは1〜10μm、特に好ましくは2〜6μmである。
【0036】
[白色反射フィルムの製造方法]
以下、本発明の白色反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。この例では反射フィルムとして、反射層と支持層とを有する積層反射フィルムの態様を採用する。
まず、反射層を形成するためのポリエステル組成物と、支持層を形成するためのポリエステル組成物とを準備し、十分に乾燥した後、それぞれ別々の押出機に投入し、溶融押出する。ポリエステル組成物は、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μm、好ましくは平均目開き20〜50μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ない積層フィルムを得ることができる。
【0037】
濾過したポリエステル組成物は、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから多層の状態で押出し、積層未延伸シートを製造する。
ダイより押出された積層未延伸シートは、キャスティングドラムで冷却固化され、積層未延伸フィルムとなる。この積層未延伸フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、縦方向に延伸して積層縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。延伸は、ポリエステル(好ましくは反射層のポリエステル)のガラス転移点(Tg)以上の温度で行うことが好ましい。縦方向(機械軸方向)の延伸倍率は、好ましくは2.2〜4.0倍、さらに好ましくは2.3〜3.9倍である。2.2倍未満とするとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.0倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなり好ましくない。
【0038】
縦延伸後の積層フィルムは、続いて、横延伸、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して積層二軸配向フィルムとするが、これら処理はフィルムを走行させながら行う。横延伸の処理はTgより高い温度から始める。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。横方向(縦方向と直交する方向)の延伸倍率は、この用途の要求特性にもよるが、好ましくは2.5〜4.5倍、さらに好ましくは2.8〜3.9倍である。2.5倍未満であるとフィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られず、4.5倍を超えると製膜中に破断が発生し易くなる。以下、ポリエステルの融点をTmと略す。
【0039】
横延伸後のフィルムは、両端を把持したまま(Tm−100℃)〜(Tm−20℃)の温度(Tmはポリエステル(好ましくは反射層のポリエステル)の融点)で定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させるのがよい。熱処理温度が(Tm−20℃)より高いとフィルムの平面性が悪くなり、厚み斑が大きくなり好ましくない。(Tm−100)℃より低いと熱収縮率が大きくなることがあり好ましくない。また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
【0040】
このようにして作成された反射フィルムの表面に、塗布層を形成するための塗液として、バインダー樹脂、粒子、任意成分として後述する界面活性剤およびその他の成分を、水に分散または溶解させた塗液を、コーティング装置を用いて所定量塗工し、温度70〜120℃、好ましくは段階的に昇温設定したオーブンにより乾燥させて塗布層を形成することによって、本発明の白色反射フィルムを得ることができる。
【0041】
塗布層は、塗布層を形成するための塗液を、製造されたフィルムに塗布することにより形成してもよいし(いわゆるオフラインコーティング)、製造中のフィルムに塗布することにより形成してもよい(いわゆるインラインコーティング)。製造中のフィルムに塗布する場合は、好ましくは一方向に延伸した1軸配向フィルムに塗液を塗布し、そのままもう一方向に延伸し熱固定する。塗工方法としてはロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレー法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組み合わせて用いることができる。ここで、コーターから粒子を均等にフィルムに転写するために、グラビアコート法が好ましい。また、溶媒としては、水系の塗液となればよく、水のみからなることが好ましいが、水に可溶な少量の有機溶剤を本発明の目的を阻害しない範囲において水と混合したものも用いることができる。塗液の固形分濃度としては、10〜50質量%が好ましい。塗液濃度が50%を超えると、塗液中に粒子の凝集を抑制しにくい傾向となり、他方、塗液濃度10質量%が未満であると、塗布層が薄くなる傾向であり、粒子脱落を抑制しにくい傾向となる。
【0042】
塗布層を形成するための塗液に、反射フィルムに対する濡れ性を向上させることを目的で、少量の界面活性剤を添加することができる。好ましい界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、フルオロアルキルカルボン酸塩、パークルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルキル4級アンモニウム塩、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤として、塗液の固形分中に1質量%〜20質量%が好ましい。1質量%以下となると、フィルムに対する濡れ性が悪く傾向となる。20質量%以上となると、その他の塗液性能を達成しにくい傾向となる。
【0043】
[白色反射フィルムの特性]
(反射率)
本発明の白色反射フィルムの、塗布層側から測定した反射率は、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上である。反射率が95%以上であることによって、液晶表示装置や照明等に用いた場合には、高い輝度を得ることができる。かかる反射率は、反射フィルムのボイド含有量を多くすると高くなる傾向にあり、ボイド形成剤の含有量を多くしたり、反射フィルムの中の反射層の厚みを厚くしたり等各層の態様を好ましい態様としたりすることにより達成できる。
【0044】
(揮発有機溶剤量)
本発明の白色反射フィルムは、塗布層が水系であり、後述の方法にて測定した揮発有機溶剤量が、好ましくは10ppm以下である。これにより、例えばエッジライト液晶ディスプレイにおいては反射フィルムと直接接触する導光板の耐久性が向上するなどのメリットを例示できる。かかる観点から、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下であり、理想的には0ppmである。本発明においては、揮発有機溶剤量を少なくするために、塗布層の形成において、有機溶剤を多量に用いた溶液コーティング法を採用せずに、上述した方法を採用することが好ましい。揮発有機溶剤量が多いと、回収製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。
【実施例】
【0045】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO
4白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。なお、測定は、導光板側となる表面において実施すればよい。本発明においては塗布層を有する側の表面において行った。
【0046】
(2)ボイド形成剤(無機粒子)の平均粒子径
粒度分布計(堀場製作所製LA−950)にて、粒子の粒度分布を求め、d50での粒子径(体積分布基準で小さい側から50%の分布となる粒子径)を平均粒子径とした。
【0047】
(3)塗布層における粒子の平均粒径(d)、アスペクト比
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、粒子を100個任意に測定し、平均粒径を求めた。なお、球状以外の場合は(長径+短径)/2にて求めた。ここで短径は、長径と直交する最大径とした。また、長径/短径からアスペクト比を求めた。
【0048】
(4)10%圧縮強度
エリオニクス社製微小硬度計ENT−1100aを用いて、加重3gfでの各粒子の圧縮強度を測定し、10%変形時の圧縮強度(MPa)を採用した。5回の測定の平均値を用いた。
【0049】
(5)フィルム表面の突起頻度(突起個数)
フィルム表面の突起プロファイルを、三次元粗さ測定装置SE−3CKT(株式会社小坂研究所製)にて、カットオフ0.25mm、測定長1mm、走査ピッチ2μm、走査本数100本で測定し、高さ倍率1000倍、走査方向倍率200倍にて突起プロファイルを記録した。得られた突起プロファイル(横軸:突起高さ、縦軸:突起個数の突起プロファイル)から、高さ5μm以上の突起個数(個/m
2)を求め、突起頻度とした。尚、解析には三次元粗さ解析装置SPA−11(株式会社小坂研究所製)を用いた。
【0050】
(6)塗膜厚み
フィルムサンプルの厚み方向の断面を日立走査電子顕微鏡ショットキーエミッション形電子ビームシステムS−4300SE/Nを用い、倍率3000倍にて観察撮影し、写真から粒子による突起を有しない箇所において塗膜の厚みを計測し、任意に10点測定してそれらの平均値を求めた。
【0051】
(7)密着斑評価(貼り付き評価)
LGのLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)からシャーシを取り出し、テレビ内部側が上向きとなるように水平な机上に置き、その上に、シャーシとほぼ同じ大きさの白色反射フィルムを、塗布層が上向きとなるように置き、さらにその上に、元々テレビに備えられていた導光板および光学シート3枚(拡散フィルム2枚、プリズム1枚)を置いた。次いで、その面内で、シャーシの凹凸の最も激しい部分を含む領域に、
図1に示すごとく直径5mmの円柱状足を三本備える正三角形型の台(
図1の符号601)を置き、その上に更に20kgの重り(
図1の符号602)を乗せて、かかる三本の足に囲まれた領域を目視で観測し、異常に明るい部分がなければ「密着斑がなし」(密着斑評価○)とした。また、異常に明るい部分があった場合は、光学シート3枚の上にさらに、元々テレビに備わっていたDBEFシートを置き、同様に目視で観測し、異常に明るい部分が直らなければ、「密着斑があり」(評価×)とし、異常に明るい部分がなくなれば、「密着斑が殆どなし」(評価△)とした。なお、三つ足に囲まれた領域は、各辺の長さが10cmの略正三角形とした。
【0052】
(8)導光板の傷つき評価(削れ性評価)、および粒子の脱落評価
図2のように、取っ手部分(
図2の符号7)の端に長さ200mm×幅200mm×厚み3mmの鉄板(
図2の符号8、重さ約200g)を固く貼り付け、その上に、評価面を上にした幅250mm×長さ200mmの白色反射フィルム(
図2の符号9)を幅方向の両端からそれぞれ25mmの部分が鉄板からはみ出すようにして、(中央の200mm×200mmの部分が鉄板と重なるようにして)貼り付けた。この際、白色反射フィルムの評価面(塗布層面)が外側になるようにした。また、白色反射フィルムの幅方向の両端で余った25mmの部分は、鉄板の裏側に折り返して、フィルムの端部(サンプリング時にナイフ等により刃を入れた部分)が導光板を削ってしまう影響を極力低減した。
次に、ドット面を上にした導光板(少なくとも400mm×200mmのサイズのもの)を水平な机上に固定し、上記で作成した鉄板に固定した白色反射フィルムを、評価面と導光板とが接触するように、白色反射フィルム側の面を下向きにして導光板の上に置き、さらにその上に1kgの重り(
図2の符号10)を載せて、距離200mmで(400mm×200mmの領域で鉄板に固定した反射フィルムを動かすことになる)1往復約5〜10秒の速度で15往復動かした。
その後、導光板表面において、その削れ具合と、フィルムから脱落した粒子の有無について、20倍のルーペを用いて観察し、以下の基準で評価した。
導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、15往復動かした後にルーペで観察できるキズがない場合は「削れない」(削れ評価○)とし、10往復動かした後は観察できるキズがなかったが、15往復動かした後に観察できるキズがある場合は「削れにくい」(削れ評価△)とし、10往復した後に観察できるキズがある場合は「削れる」(削れ評価×)とした。
また、15往復動かした後において、導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、ルーペで観察できる白色異物がなければ、「粒子が脱落しない」(脱落評価○)とした。また、観察できる白色異物があった際は、かかる白色異物を顕微鏡により観測し、塗布層に含有する粒子であることを確認して、脱落した白色異物が5つ以下であれば、「粒子がほとんど脱落しない」(脱落評価△)とし、6つ以上であれば、「粒子が脱落する」(脱落評価×)とした。
なお、上記評価にあたっては、ドットサイズの影響を極力抑えるべく、導光板において、極力ドットサイズの大きな領域を選択し、各評価サンプルで揃えて行った。
また、上記評価にあたっては、白色反射フィルムを少なくとも、温度23℃、相対湿度55RH%の環境で3日間置いて、塗布層を十分に安定させてから評価を実施した。
【0053】
(9)揮発有機溶剤量
室温(23℃)において、1gのフィルムサンプルを10Lのフッ素樹脂製バッグに入れ、その中を純窒素でパージして密封した。次いで、直ちにかかるバッグの中の窒素から、0.2L/分の流量で、2本の分析用TENAX−TA捕集管にそれぞれ0.2L、1.0Lの窒素を採取し、これらを用いて、HPLCおよびGCMSにより、採取した窒素中に含まれる有機溶剤成分の質量を定量した。得られた値を窒素10L中の量に換算して、1gのフィルムサンプルから10Lの窒素中に揮発した有機溶剤の質量を求め、揮発有機溶剤量(単位:ppm、フィルムサンプルの質量基準)とした。なお、アルデヒド類は、アセトニトリルでアルデヒド誘導体化物を捕集管から溶出し、HPLCにより定量した。また、HPLCとGCMSとで値が異なる場合は、多く検出した方の値を採用した。
揮発有機溶剤量が10ppm以下の場合を評価○、10ppmを超える場合を評価×とした。
【0054】
(10)耐湿熱ブロッキング性評価(湿熱環境下における導光板との貼り付き評価)
条件1:サンプルフィルムの表と裏を重ね0.6kg/cm
2に加圧し、60℃、90%RHに設定した周知の高温高湿槽中に12時間放置する。取り出したフィルムが貼り付いていないか軽微にしか貼り付きがなく容易に剥離でき、且つ、塗布層が溶融せずに残存していれば、○評価とした。フィルムが貼り付き、剥離の際にデラミが発生したり、もしくは、塗布層が溶融していれば、×評価とした。
条件2:32インチソニーブラビアLEDエッジタイプテレビKDL−32EX700のバックライトから導光板を取り出して、5cm×10cmに切り、導光板のパターニング面とサンプルフィルムの塗布面とを接するように重ね合わせ、0.08kg/cm
2に加圧し、60℃、90%RHに設定した高温高湿槽中に12時間放置する。取り出したフィルムと導光板とが貼り付いていないか軽微にしか貼り付きがなく、容易に剥離でき、且つ、塗布層が溶融せずに残存していれば、○評価とした。他方、フィルムと導光板とが貼り付き、剥離の際にデラミが発生したり、もしくは、塗布層が溶融していれば、×評価とした。
上記の条件1と条件2両方が○であれば、耐湿熱ブロッキング性が実用性能を満足し、条件1と条件2いずれが×であれば、耐湿熱ブロッキング性が実用性能を満足しないと評価できる。
【0055】
(11)ラブオフ評価
塗布層表面を指で擦り、擦った後の塗布層の状態を目視で観測して上記の基準で評価した。
○:塗布層表面に変化が見られない。
△:塗布層が僅かに剥がれた。
×:塗布層が剥がれた。
【0056】
(12)回収性1
サンプルフィルム20gを計量し、小さく切ってからフラスコに入れて、真空状態にて300℃にて15分間攪拌溶融し、その後、窒素をフラスコに充填し、窒素雰囲気で更に300℃にて15分間攪拌溶融する。溶融したポリマーを取り出し、金属板にて挟み加圧しプレートを作成する。得られたプレートの色を目視で観察し、黄色味が少なくリサイクル可能なレベルであれば、○評価とし、黄色くリサイクルしにくいレベルであれば、△評価とし、明らかに黄色味が多くリサイクル不可能なレベルであれば、×評価とした。
【0057】
(13)回収性2(回収製膜性)
実施例に記載の回収フィルムを、テンターを用いた連続製膜法にて製膜したときの製膜安定性を観察し、下記基準で評価した。
◎:8時間以上安定に製膜できる。
○:3時間以上8時間未満安定に製膜できる。
△:3時間未満で1度切断が生じた。
×:3時間未満で複数回切断が発生し、安定な製膜ができない。
【0058】
[実施例1〜10、比較例3〜5]
(製造例1:共重合ポリエステルの製造)
テレフタル酸ジメチル132質量部、イソフタル酸ジメチル18質量部(ポリエステルの酸成分に対して12モル%となる。)、エチレングリコール96質量部、ジエチレングリコール3.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜235℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.5mmHgまで減圧するとともに290℃まで昇温し重縮合反応を行った。得られた共重合ポリエステルの酸成分に対するジエチレングリコール成分量は2.5質量%、ゲルマニウム元素量は50ppm、リチウム元素量は5ppmであった。なお、ストランド状に押し出して断裁し、ペレットとして得た。
【0059】
(製造例2:マスターバッチの製造)
上記製造例1で得られた共重合ポリエステルに無機粒子として平均粒子径1.0μmの硫酸バリウムを48質量%含有するマスターバッチを用意した。
【0060】
(製造例3:粒子1の製造)
上記製造例1で得られた共重合ポリエステルのペレットをオーブン内で170℃で3時間加熱することによって乾燥結晶化させた後に、株式会社マツボー製のアトマイザーミル TAP−1を用いて液体窒素で冷却しながら粉砕を行うことで平均粒子径60μmのポリエステル粒子を得た。さらにこのポリエステル粒子を風力分級することによって平均粒子径50μmの粒子1を得た。この粒子の10%圧縮強度は12MPaであった。また、この粒子のアスペクト比は2.0であった。
【0061】
(白色反射フィルムの製造)
上述の48質量%の硫酸バリウムを含有するマスターバッチをそのまま用いて反射層(層A)を形成するための層Aポリマーとして用いた。
また、上述の48質量%の硫酸バリウムを含有するマスターバッチと、硫酸バリウムを添加する前の共重合ポリエステルとを用い、硫酸バリウムが5質量%となるように希釈して支持層(層B)を形成するための層Bポリマーとして用いた。
それぞれ275℃に加熱された2台の押出機に供給し、層Aポリマー(硫酸バリウム濃度48質量%)、層Bポリマー(硫酸バリウム濃度5質量%)を、層Aと層Bとが層B/層A/層Bの積層構成となるように、また、厚み比率が層B/層A/層B=10/80/10となるように3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを83℃にて加熱し製膜機械軸方向(以下、長手方向または縦方向またはMDと呼称する場合がある。)に2.8倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。
続いて、ダイレクトグラビアコーターにより、表1に示す塗液(固形分濃度30質量%の水系塗液)を、乾燥後の塗布層厚みが表2に示す厚みとなるように、フィルムの片面に塗布した。
続いて、フィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、115℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(以下、幅方向または横方向またはTDと呼称する場合がある。)に3.7倍延伸した。その後テンター内で195℃にて熱固定を行い、室温まで冷やして厚み270μmの二軸延伸フィルムを得た。この二軸延伸フィルムは、微細なボイドを含有する。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
さらにこれら実施例および比較例のフィルムを回収して、粉砕し、溶融押出してチップ化して自己回収原料を作成し、かかる自己回収原料を、反射層Aに、反射層Aの質量を基準として35質量%添加し、上記と同様にして厚み270μmの二軸延伸フィルムを製造し、回収性2の評価を行った。
【0062】
[比較例1]
塗布層を塗設しない以外は実施例1と同様に実施した。評価結果を表2に示す。
【0063】
[比較例2]
一軸延伸後、二軸延伸前の塗布層を塗設しない以外に実施例1と同様に実施して得られた二軸延伸フィルムの上に、ダイレクトグラビアコーティング装置にて、下記の調液レシピに示す組成からなる塗液を、wet厚み15g/m
2の塗布量で塗布した後、オーブン内にて80℃で乾燥してフィルムを得た。また、実施例1と同様にして回収性2の評価を行った。
(調液レシピ、固形分濃度30質量%)
・粒子:積水化成品工業社製BM30X−55(高架橋アクリル粒子、無孔質の球状粒子(アスペクト比1.0)、10%圧縮強度17MPa、粉体、表中BM30X−55と記載する)・・・4.5質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):DIC社製アクリディックA−817BA(固形分濃度50質量%、表中A−817BAと記載する)・・・33質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社製コロネートHL(イソシアネート系架橋剤、固形分濃度75質量%、表中コロネートと記載する)・・・12質量%
・希釈溶媒:酢酸ブチル・・・50.5質量%
得られたフィルムの評価結果は表2の通りであった。なお、上記レシピから得られる塗布層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・粒子:15質量%
・アクリル樹脂(熱可塑性樹脂):55質量%
・架橋剤:30質量%
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
[塗布層の成分]
SK−RP−25CL:セイシン企業(粉砕ポリエチレンテレフタレートポリマー粒子、平均粒径25μm、無孔質粒子の非球状粒子(アスペクト比1.7、粉体)
GX−811:互応化学(水溶性ポリエステル、Tg64℃、固形分濃度30質量%)
A−215GE:高松油脂(グリシジル基含有アクリル変性ポリエステル樹脂、Tg40℃、固形分濃度30質量%)
A−645GH:高松油脂(グリシジル基含有アクリル変性ポリエステル樹脂、Tg55℃、固形分濃度30質量%)
A−647GEX:高松油脂(グリシジル基含有アクリル変性ポリエステル樹脂、Tg60℃、固形分濃度20質量%)
A−645GE:高松油脂(グリシジル基含有アクリル変性ポリエステル樹脂、Tg55℃、固形分濃度30質量%)
界面活性剤:花王株式会社製、エマルゲン420(エーテル系非イオン性界面活性剤)