(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336267
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】電子部品組込み基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20180528BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
H05K3/46 B
H01G1/035 D
【請求項の数】26
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-252900(P2013-252900)
(22)【出願日】2013年12月6日
(65)【公開番号】特開2014-120771(P2014-120771A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0146426
(32)【優先日】2012年12月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】キム・ボン・ソ
【審査官】
石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−216740(JP,A)
【文献】
特開2002−100870(JP,A)
【文献】
特開2009−004459(JP,A)
【文献】
特開2007−258542(JP,A)
【文献】
特開2013−051336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12−23/15
H05K 3/46
H01G 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが設けられた絶縁層と、
前記キャビティに挿入され、外部電極を含む電子部品と、
前記絶縁層の表面上に設けられる導体パターンと、
前記絶縁層上に設けられ、前記導体パターン及び前記電子部品をカバーするビルドアップ絶縁層と、
前記ビルドアップ絶縁層を貫いて前記外部電極と接触する第1の接触部を有する第1のビアと、
前記ビルドアップ絶縁層を貫いて前記導体パターンと接触し、前記第1の接触部より断面積が小さい第2の接触部を有する第2のビアと、を含み、
前記導体パターンの表面は、前記外部電極の表面よりさらに大きい粗さを有する電子部品組込み基板。
【請求項2】
前記電子部品は、MLCCである請求項1に記載の電子部品組込み基板。
【請求項3】
前記導体パターンには、複数のビアが接触され、
前記第2のビアは、前記導体パターンに設けられたビアの中、前記第1のビアに一番近い位置に設けられたビアであることを特徴とする請求項1に記載の電子部品組込み基板。
【請求項4】
前記電子部品と前記第1のビアとが接触される面と、前記導体パターンと前記第2のビアとが接触される面は、同じ水平面上に位することを特徴とする請求項1に記載の電子部品組込み基板。
【請求項5】
前記第1のビア及び前記第2のビアは、同じ高さを有することを特徴とする請求項4に記載の電子部品組込み基板。
【請求項6】
前記第1の接触部の断面積は、前記第2の接触部の断面積の1.37倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品組込み基板。
【請求項7】
前記第1の接触部の直径は、35μm以上であることを特徴とする請求項6に記載の電子部品組込み基板。
【請求項8】
前記第1の接触部の直径は、前記第2の接触部の直径の1.17倍以上であることを特徴とする請求項6に記載の電子部品組込み基板。
【請求項9】
前記第1のビアの最大直径は、前記第2のビアの最大直径より大きいことを特徴とする請求項6に記載の電子部品組込み基板。
【請求項10】
前記ビルドアップ絶縁層は、前記キャビティ及び前記電子部品間の空間を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子部品組込み基板。
【請求項11】
前記ビルドアップ絶縁層は、前記絶縁層の上部及び下部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子部品組込み基板。
【請求項12】
前記導体パターンは、前記絶縁層の上面及び下面に設けられ、
前記第2のビアは、前記絶縁層の上部及び下部で前記導体パターンと接触することを特徴とする請求項11に記載の電子部品組込み基板。
【請求項13】
前記第1のビアは、前記絶縁層の上部及び下部で前記外部電極と接触することを特徴とする請求項12に記載の電子部品組込み基板。
【請求項14】
絶縁層にキャビティを形成するステップと、
前記キャビティの内部に外部電極を含む電子部品を挿入し、前記絶縁層の表面上に導体パターンを形成するステップと、
前記絶縁層上で前記導体パターン及び前記電子部品をカバーするビルドアップ絶縁層を形成するステップと、
前記ビルドアップ絶縁層を貫いて前記外部電極を露出させる第1のビアホール及び前記導体パターンを露出させる第2のビアホールを形成するステップと、
前記第1のビアホール及び前記第2のビアホールに導電性材料を設けて、第1のビア及び第2のビアを形成するステップとを含み、
前記第1のビアが前記外部電極と接触する第1の接触部の断面積が、前記第2のビアが前記導体パターンと接触する第2の接触部の断面積より大きく設けられ、
前記導体パターンの表面は、前記外部電極の表面よりさらに大きい粗さを有することを特徴とする電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項15】
前記電子部品は、MLCCであることを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項16】
前記導体パターンには複数のビアが接触され、
前記第2のビアは、前記導体パターンに設けられたビアの中、前記第1のビアに一番近い位置に設けられたビアであることを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項17】
前記電子部品と前記第1のビアとが接触される面と、前記導体パターンと前記第2のビアとが接触される面とが、同じ水平面上に位置することを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項18】
前記第1のビア及び前記第2のビアは、同じ高さを有するように設けられることを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項19】
前記第1の接触部の断面積は、前記第2の接触部の断面積の1.37倍以上になることを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項20】
前記第1の接触部の直径は、35μm以上であることを特徴とする請求項19に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項21】
前記第1の接触部の直径は、前記第2の接触部の直径の1.17倍以上であることを特徴とする請求項19に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項22】
前記第1のビアの最大直径は、前記第2のビアの最大直径より大きく設けられることを特徴とする請求項19に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項23】
前記ビルドアップ絶縁層を形成するステップにおいて、前記キャビティ及び前記電子部品間の空間にも絶縁材料を満たすことを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項24】
前記ビルドアップ絶縁層は、前記絶縁層の上部及び下部に設けられることを特徴とする請求項14に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項25】
前記導体パターンは、前記絶縁層の上面及び下面に設けられ、
前記第2のビアは、前記絶縁層の上部及び下部で前記導体パターンと接触するように設けられることを特徴とする請求項24に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【請求項26】
前記第1のビアは、前記絶縁層の上部及び下部で前記外部電極と接触するように設けられることを特徴とする請求項25に記載の電子部品組込み基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品組込み基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子機器の小型化及びスリム化に伴って、基板を複層化し、該基板の内部に各種電子部品を組み込む技術が提案されている。
【0003】
特許文献1における
図2等には、能動素子、受動素子などの電子部品が組み込まれた印刷回路基板の断面構造が示されているが、このような電子部品を印刷回路基板の外面の回路パターンと接続させるためのビアが設けられる。
【0004】
また、多層印刷回路基板の場合、その内部に電子部品が組み込まれるだけでなく、別途の内部回路パターンも設けられる。これらの内部回路パターンはビアによって上層または下層と電気的に接続されている。
【0005】
このような電子部品埋め込み型多層回路基板は、多様な材料から成る構成要素が内部に配置され、各々の構成要素を具現する材料は異なる特性を表すことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特開第2011−0006525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
材料によって異なる特性には、熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion:TE)が挙げられる。そのため、製造工程時や使用時に電子機器が受ける熱的衝撃などによって捻り変形(warpage)が発生するようになる。
【0008】
一方、電子機器の小型化及びスリム化に伴って、基板に組み込まれる電子部品の大きさも徐々に小型化され、基板自体の厚さも薄くなっている状況で、基板の捻り変形は電子部品や回路パターンとビアとの連結部に割れ(Crack)を引き起こし、電子機器の信頼性が低下するという不都合がある。
【0009】
そのため、MLCCなどの電子部品の外部電極とビアとの接触領域でクラックが発生し、製造過程での不良率が高くなり、製品寿命が短縮されるという不都合がある。
【0010】
また、このような問題は、基板内部に組み込まれる電子部品の小型化、基板のスリム化及びビアの小型化がさらに進行されるほどより一層深刻な問題になる。
【0011】
本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであって、信頼性が向上した電子部品組込み基板を提供することに、その目的がある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、信頼性が向上した電子部品組込み基板を製造する電子部品組込み基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を解決するために、本発明の一形態による電子部品組込み基板は、キャビティが設けられた絶縁層と、前記キャビティに挿入されて外部電極を含む電子部品と、前記絶縁層の表面上に設けられる導体パターンと、前記絶縁層上に設けられ、前記導体パターン及び前記電子部品をカバーするビルドアップ絶縁層と、前記ビルドアップ絶縁層を貫いて前記外部電極と接触する第1の接触部を有する第1のビアと、前記ビルドアップ絶縁層を貫いて前記導体パターンと接触し、前記第1の接触部より断面積(面積)が小さい第2の接触部を有する第2のビアとを含む。
【0014】
一実施形態によれば、前記電子部品は、MLCCである。
【0015】
また、一実施形態によれば、前記導体パターンには複数のビアが接触され、前記第2のビアは前記導体パターンに設けられたビアの中、前記第1のビアに一番近い位置に設けられたビアである。
【0016】
また、一実施形態によれば、前記電子部品と前記第1のビアとが接触される面と、前記導体パターンと前記第2のビアとが接触される面は、同じ水平面上に位置する。
【0017】
一実施形態によれば、前記第1のビア及び前記第2のビアは同じ高さを有する。
【0018】
また、一実施形態によれば、前記第1の接触部の断面積は、前記第2の接触部の断面積の1.37倍以上になるようにすることが望ましい。
【0019】
また、一実施形態によれば、前記第1の接触部の直径は35μm以上になることが望ましい。
【0020】
また、一実施形態によれば、前記第1の接触部の直径は、前記第2の接触部の直径の1.17倍以上になることが望ましい。
【0021】
また、一実施形態によれば、前記第1のビアの最大直径は、前記第2のビアの最大直径より大きいことが望ましい。
【0022】
また、一実施形態によれば、前記導体パターンの表面は前記外部電極の表面よりさらに大きい粗さを有する。
【0023】
また、一実施形態によれば、前記ビルドアップ絶縁層は前記キャビティ及び前記電子部品間の空間を満たすもので、前記絶縁層の上部及び下部に設けられる。
【0024】
また、一実施形態によれば、前記導体パターンは前記絶縁層の上面及び下面に設けられ、前記第2のビアは前記絶縁層の上部及び下部で前記導体パターンと接触される。
【0025】
また、一実施形態によれば、前記第1のビアは前記絶縁層の上部及び下部で前記外部電極と接触される。
【0026】
また、上記の目的を解決するために、本発明の他の形態による電子部品組込み基板の製造方法は、絶縁層にキャビティを形成するステップと、前記キャビティの内部で外部電極を含む電子部品を挿入し、前記絶縁層の表面上に導体パターンを形成するステップと、前記絶縁層上で前記導体パターン及び前記電子部品をカバーするビルドアップ絶縁層を形成するステップと、前記ビルドアップ絶縁層を貫いて前記外部電極を露出させる第1のビアホール及び前記導体パターンを露出させる第2のビアホールを形成するステップと、前記第1のビアホール及び前記第2のビアホールに導電性材料を備えて第1のビア及び第2のビアを形成するステップとを含み、前記第1のビアが前記外部電極と接触する第1の接触部の断面積(面積)が、前記第2のビアが前記導体パターンと接触する第2の接触部の断面積(面積)より大きく設けられる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、基板に組み込まれる電子部品と電気的に接続されるビアのクラック発生率を減少することができ、製造工程の歩留まり及び信頼性を向上することができるという効果が奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態による電子部品組込み基板を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明の他の実施形態による電子部品組込み基板を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による電子部品組込み基板の製造方法を概略的に示す順序図である。
【
図4a】本発明の一実施形態による電子部品組込み基板の製造方法を概略的に示す工程図であって、絶縁層が提供された状態を概略的に示す断面図である。
【
図4b】同じく、絶縁層にキャビティが設けられた状態を概略的に示す断面図である。
【
図4c】同じく、キャビティに電子部品が挿入され、導電パターンが設けられた状態を概略的に示す断面図である。
【
図4d】同じく、ビルドアップ絶縁層が設けられた状態を概略的に示す断面図である。
【
図4e】同じく、第1のビアホール及び第2のビアホールが設けられた状態を概略的に示す断面図である。
【
図4f】同じく、第1のビア及び第2のビアが設けられた状態を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施の形態は図面を参考にして詳細に説明する。次に示される各実施の形態は当業者にとって本発明の思想が十分に伝達達されることができるようにするために例として挙げられるものである。従って、本発明は以下示している各実施の形態に限定されることなく他の形態で具体化されることができる。そして、図面において、装置の大きさ及び厚さなどは便宜上誇張して表現されることができる。明細書全体に渡って同一の参照符号は同一の構成要素を示している。
【0030】
本明細書で使われた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は文句で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使われる「含む」とは、言及された構成要素、ステップ、動作及び/又は素子は、一つ以上の他の構成要素、ステップ、動作及び/又は素子の存在または追加を排除しないことに理解されたい。
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明すれば、次のとおりである。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100を概略的に示す断面図である。
【0033】
図1に示すように、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100は複数の層から成り、導体パターン110が内部に設けられ、電子部品120が組み込まれている。
【0034】
特に、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100は、絶縁層150、電子部品120、導体パターン110、ビルドアップ絶縁層250、第1のビア130及び第2のビア140を含む。
【0035】
絶縁層150は、電子部品120を組み込むためのキャビティ151を備える。
【0036】
導体パターン110は絶縁層150の表面に設けられ、絶縁層150の一面または両面、すなわち上面及び下面に設けられる。
【0037】
電子部品120は、外部電極121を備え、MLCCなどの受動素子である。
【0038】
このような電子部品120の外部電極121に接触されるビアを第1のビア130、第1のビア130で電子部品120の外部電極121に接する部分を第1の接触部131と定義する。ここで、第1の接触部131は、第1のビア130中、直径が一番小さい部分である。
【0039】
また、導体パターン110に接触されるビアを第2のビア140、第2のビア140で導体パターン110に接する部分を第2の接触部141と定義する。ここで、第2の接触部141は、第2のビア140中、直径が一番小さい部分である。
【0040】
第2のビア140は、第1のビア130が設けられる絶縁層と同じ絶縁層に設けられ、第1のビア130と第2のビア140とはその高さが等しい。
【0041】
一方、
図1に示すように、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100は、第1の層L1、第2の層L2及び第3の層L3を含む。
【0042】
第1の層L1、第2の層L2及び第3の層L3は、絶縁材から成ってもよい。
【0043】
特に、第2の層L2はコア基板の役目を果たし、示されていないが、複数の層から成る積層構造を有する。また、第2の層L2は金属を含むメタルコアであってもよい。
【0044】
また、第2の層L2がメタルコアの場合、該メタルコアと電子部品120との間の領域に第2の絶縁部160が設けられる。
【0045】
また、絶縁層150の上部及び下部のうちの少なくとも一つには、回路形成のためのビルドアップ(build−up)絶縁層250が設けられる。説明の便宜上、絶縁層150の上部に設けられたものを第1のビルドアップ絶縁層250−1、絶縁層150の下部に設けられたものを第2のビルドアップ絶縁層250−1と表現したが、これに限定するものではない。ここで、第1のビルドアップ絶縁層250−1は第3の層L3を成し、第2のビルドアップ絶縁層250−2は第1の層L1を成す。
【0046】
絶縁層150に導体パターン110が設けられた状態で、キャビティ151の内部に電子部品120が挿入される場合、電子部品120を仮に固定するための脱離自在なフィルム(Detach Film)(図示せず)が絶縁層150の一面に付着され、その他面に第1のビルドアップ絶縁層250−1を形成して電子部品120を固定する。
【0047】
第1のビルドアップ絶縁層250−1を成す材料が電子部品120とキャビティ151との間の空間が充填されることによって、電子部品120が固定される。
図1では、こうして充填される領域を絶縁部160として表示した。
【0048】
続いて、脱離自在なフィルムを除去し、第2のビルドアップ絶縁層250−2を形成し、電子部品120が組み込まれる。
【0049】
また、この場合、金属材料のコア表面に絶縁材料(図示せず)が設けられた状態で、導体パターン110を設けることが望ましい。
【0050】
従来には、多層基板においてビアと回路パターンとの間の割れ問題を改善するため、回路パターンの表面に粗さを形成して接触表面積を増加させることによって、結着力を向上させるる方法が適用されていた。
【0051】
基板にビアを形成する過程は、一律的な工程によって行われることが一般的なので、従来には、基板内部の回路パターンと接触するビアや基板内部の電子部品に接触するビアを区分することなく、工程の偏差範囲内で類似する大きさに設けられていた。
【0052】
しかし、極小型で具現されたMLCCなどの外部電極に表面粗さを具現する場合、一般的な内部回路パターンの表面に設けられる粗さ水準で具現しにくいという限界があった。
【0053】
すなわち、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100において、導体パターン110の表面は外部電極121の表面より粗さが大きく設けられる。
【0054】
このように、導体パターン110と外部電極121との表面粗さが異なる場合、導体パターン110に接触される第2のビア140に比べて、外部電極121に接触される第1のビア130においてクラックが発生する危険性が高くなるようになる。
【0055】
このような問題を解決するために、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100は、第1接触部131の断面積(面積)が第2の接触部141の断面積(面積)より大きく設けられる。
【0056】
より詳しくは、第1の接触部131の断面積が第2の接触部141の断面積の1.37倍以上になるようにすることが望ましい。
【0057】
また、第1の接触部131の直径は、35μm以上であることが望ましい。
【0058】
また、第1の接触部131の直径は、第2の接触部141の直径の1.17倍以上になるようにすることが望ましい。
【0059】
また、第1のビア130直径の最大値は、第2のビア140の直径の最大値以上になる。
【0060】
一般に、CO2レーザなどを用いてビアホールを加工するか、フォトレジスト工法でビアホールを加工する過程では、基板の外側から内部に向けてレーザや光を調査する。
【0061】
これによって、第1のビア130が電子部品120に接触される第1の接触部131に比べて、第1のビア130の最大直径部132がさらに広く設けられる傾向にある。
【0062】
同様に、第2のビア140が導体パターン110に接触される第2の接触部141に比べて、第2のビア140の最大直径部142がさらに広く設けられる傾向にある。
【0063】
すなわち、第1のビア130及び第2のビア140は、上部から下部に行くほど直径が小くなる形状を有する。
【0064】
したがって、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100では、第1の接触部131の断面積が第2の接触部141の断面積より大きく設けられるので、第1のビア130の最大直径部132の直径は、第2のビア140の最大直径部142の直径と同じであるか大きくなる。
【0065】
導体パターン110と外部電極121との上面は実質的に同じ平面上に位置する。一実施形態において、導体パターン110及び第2の層L2の厚さの和は外部電極121を含む電子部品120の厚さと実質的に等しくなる。これによって、金属及び絶縁材料の配置を最大限対称的に構成することによって、基板の捻りを最小化することができる。
【0066】
一方、第1のビア130が電子部品120(の外部電極121)と接触される面と第2のビア140が導体パターン110と接触される面とは、実質的に同じ水平面上に位置する。
【0067】
一実施形態において、第1のビア130及び第2のビア140は実質的に同じ高さを有する。よって、第2のビア140の加工時、最大直径部をさらに大きくすることによって、第1の接触部131の断面積が第2の接触部141の断面積より大きく設けられるように容易に調節することができる。
【0068】
電子部品組込み基板100には複数のビアが設けられてもよい。これらのビアの中、電子部品120、すなわちMLCCなどの受動素子に接続されるビアを第1のビア130といい、該第1のビア130を除いた残りのビアを第2のビア140という。
【0069】
また、第1のビア130を除いた残りビアの中、第1のビア130に一番近い位置に設けられたビアを第2のビア140という。
【0070】
図2は、本発明の他の実施形態による電子部品組込み基板200を概略的に示す断面図である。
【0071】
図2に示すように、絶縁層150の下面にも導体パターンが設けられ、この導体パターンにも第2のビア140'が接触されている。
【0072】
また、絶縁層150の下部、特に電子部品120の下部にも第1のビア130'が接触される。
【0073】
前述のことと重複する説明は省略することにする。
【0074】
図3は、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100の製造方法を概略的に示す順序図で、
図4a〜
図4fは各々本発明の一実施形態による電子部品組込み基板の製造方法を概略的に示す工程断面図であって、
図4aは絶縁層が提供された状態、
図4bは絶縁層にキャビティが設けられた状態、
図4cはキャビティに電子部品が挿入され、導電パターンが設けられた状態、
図4dはビルドアップ絶縁層が設けられた状態、
図4eは、第1のビアホール及び第2のビアホールが設けられた状態、
図4fは、第1のビア及び第2のビアが設けられた状態を概略的に示す図面である。
【0075】
図4a〜
図4f及び
図3に示すように、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板の製造方法は、次のような過程によって行われる。
【0076】
まず、
図4a及び
図4bに示すように、絶縁層150にキャビティ151を形成する(S110)。
【0077】
続いて、
図4cに示すように、キャビティ151に電子部品120を挿入し、絶縁層150の表面に導体パターン110を形成する(S120)。
【0078】
導体パターン110を形成する過程及び電子部品120が挿入される過程の先後間係は、必要によって適切に選択されてもよい。
【0079】
また、絶縁層150の上面及び下面に導体パターン110が設けられた場合、絶縁層150を貫くスルービアを用いて、上面及び下面に設けられた導体パターン110間が電気的に接続されるようにしてもよい。
【0080】
続いて、絶縁層150の上部に第1のビルドアップ絶縁層250−1が、絶縁層150の下部に第2のビルドアップ絶縁層250−2が設けられる(S130)。
【0081】
勿論、第1のビルドアップ絶縁層250−1及び第2のビルドアップ絶縁層250−2のうちのいずれか一つのみが設けられてもよい。
【0082】
続いて、第1のビアホール133及び第2のビアホール143が設けられる(S140)。
【0083】
第1のビアホール133は、電子部品120の外部電極121を露出させ、第2のビアホール143は導体パターン110を露出させる。
【0084】
続いて、第1のビアホール133及び第2のビアホール143に導電性材料を設けて、第1のビア130及び第2のビア140を形成する(S150)。
【0085】
導電性材料は、めっき方式などを用いて設けられる。
【0086】
ここでは、
図1及び
図2を参照して前述のことと重複する説明は省略することにする。
【0087】
従来の電子部品組込み基板にビアを形成する過程は、そのビアがMLCCなどの受動素子である電子部品に接触されるビアであるか否かによって、ビアの大きさを調節することなく一律的な過程の繰返しによってビアを形成する方式で行われた。
【0088】
したがって、従来方式によれば、MLCCなどの受動素子である電子部品に設けられるビアや他の残りビアは全て、工程が行われる時発生する偏差範囲内で偏差を有するようになった。
【0089】
しかし、極小型で具現されたMLCCなどの受動素子である電子部品120の外部電極121に表面粗さを具現するのに限界があり、電子部品120の外部電極121と導体パターン110との表面粗さには大きい相違がある。
【0090】
これによって、MLCCなどの受動素子である電子部品120の外部電極121及び第1のビア130が接触する領域では、他の導体パターン110及び第2のビア140が接触する領域に比べて、クラックが頻繁に発生している。
【0091】
また、このような問題は、基板内部に組み込まれる電子部品120が小型化されるほど、基板がより薄くなるほど、ビアがより小型化されるほど、より深刻な問題になる。
【0092】
表1は、本発明の一実施形態による電子部品組込み基板100において、第1の接触部131及び第2の接触部141の直径を異にすると共に、苛酷条件を与えてクラックの発生可否をテストした結果を示す。
【0093】
表1において、MSL1は内部温度が85℃で、湿度が85%のチャンバ内部にサンプルを168時間を捨ておいた苛酷条件で、MSL2は内部温度が85℃で、湿度が60%のチャンバ内部にサンプルを168時間を捨ておいた苛酷条件であり、MSL3は内部温度が60℃で、湿度が60%のチャンバ内部にサンプルを4時間を捨ておいた苛酷条件である。
【0094】
また、「×」表示は、第1のビア130にクラックが発生した場合を示し、「○」表示は、第1のビア130にクラックが発生しない場合を示す。
【0096】
表1に示すように、非常に酷な条件では、第1の接触部131の直径が30μm以下の場合、第2の接触部141の直径と関係なく、第1のビア130にクラックが発生されることが認められる。
【0097】
したがって、第1の接触部131の直径は、30μmより大きく決まるのが望ましい。
【0098】
一方、一般的な使用環境よりやや酷な条件にあたるMSL3では、第1の接触部131の直径が30μmで、第2の接触部141の直径が20μmの場合、すなわちサンプル#1をMSL3条件でテストした場合のみ、第1のビア130にクラックが発生されなかった。
【0099】
これによって、第1の接触部131の直径が30μmの場合でも、第1の接触部131の直径が第2の接触部141の直径より大きくなると、ひいては第1の接触部131の直径が第2の接触部141の直径の1.5倍以上になると、第1のビア130にクラックが発生する危険が減少されることが分かる。
【0100】
また、MSL3よりもっと酷な条件であるMSL2では、第1の接触部131の直径が35μmの場合に、第2の接触部141の直径が各々20μm及び30μmのサンプル#4及びサンプル#5で、第1のビア130にクラックが発生されなく、第2の接触部141の直径が40μmのサンプル#6では、クラックが発生した。
【0101】
すなわち、第1の接触部131の直径が第2の接触部141の直径より大きくなると、第1のビア130のクラック発生の危険性が減少されることが分かる。
【0102】
また、一番苛酷な条件であるMSL1では、第1の接触部131の直径が35μmの場合に、第2の接触部141の直径が20μmのサンプル#4のみで、第1のビア130にクラックが発生されなく、第2の接触部141の直径が30μmのサンプル#5ではクラックが発生した。
【0103】
すなわち、第1の接触部131の直径が第2の接触部141の直径の35/30倍より大きい場合、第1のビア130のクラック発生の危険性がさらに減少されることがわかる。
【0104】
以上のような表1の実験結果から、第1の接触部131の直径は35μm以上になることが望ましい。
【0105】
また、第1の接触部131の直径が第2の接触部141の直径より大きい場合、第1のビア130でクラックが発生される危険が減少されることがわかる。
【0106】
また、第1の接触部131の直径が第2の接触部141の直径の1.17倍以上の場合、第1のビア130でクラックが発生される危険が減少されることが分かる。
【0107】
従って、組み込む電子部品120と電気的に接続される第1のビア130のクラック発生率が減少されるため、製造工程の歩留まり及び使用過程での信頼性が向上することができる。
【0108】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
100 電子部品組込み基板
110 導体パターン
120 電子部品
121 外部電極
130、130' 第1のビア
131 第1の接触部
132 第1のビアの最大直径部
133 第1のビアホール
140、140' 第2のビア
141 第2の接触部
142 第2のビアの最大直径部
143 第2のビアホール
150 絶縁層
250 ビルドアップ絶縁層
250−1 第1のビルドアップ絶縁層
250−2 第2のビルドアップ絶縁層
151 キャビティ
160 絶縁部
L1 第1の層
L2 第2の層
L3 第3の層