(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336283
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ペントレイ
(51)【国際特許分類】
B43K 23/00 20060101AFI20180528BHJP
B43L 1/04 20060101ALI20180528BHJP
G01C 9/24 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
B43K23/00 100K
B43L1/04 C
G01C9/24
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-12892(P2014-12892)
(22)【出願日】2014年1月28日
(65)【公開番号】特開2015-139909(P2015-139909A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】591257823
【氏名又は名称】株式会社馬印
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰稔
【審査官】
金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−180592(JP,U)
【文献】
特開2014−080003(JP,A)
【文献】
実開昭58−155292(JP,U)
【文献】
特開2005−138436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 1/00 − 12/02
B43L 15/00 − 27/04
B43K 23/00
B43K 23/02
G01C 9/00 − 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立板部と該起立板部の下端から前方に延出する筆記具受け部とによって略断面L字状に形成され、該起立板部の背面に磁石を装着したペントレイであって、
前記起立板部と前記筆記具受け部が互いに接する隅角部近傍の背面側に凹窪状の嵌合部を形成すると共に、該嵌合部に気泡が容器内に残るように液体を封入した水準器を嵌合し、
前記隅角部近傍であり、前記嵌合部と相対する位置に前記水準器の気泡が前方から目視可能なのぞき窓孔を形成したことを特徴とするペントレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背面に取り付けたマグネットによって、ホワイトボード等に吸着し得るペントレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から学校の教室や会社のオフィスなどにおいて、ホワイトボードが使用されているが、最近では、教室やオフィスのスペースを有効に利用するため、脚のない壁掛け式のホワイトボードを使用したり、あるいは、頭に浮かんだアイデアをすぐにホワイトボードに書き込めるように、教室やオフィスの壁面全体をホワイトボードにしてしまうといったことが行われるようになってきている。
【0003】
ここで、ホワイトボードを使用するにあたっては、ホワイトボードの近傍に筆記具を載置するペントレイが備わっていることが望ましいことから、ペントレイの背面にマグネットを取着し、該マグネットの磁気力によってペントレイをホワイトボードに吸着させることができるようにしたものが製品化されている(例えば、特許文献1の段落[0017][
図4][
図5])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−136436号公報
【特許文献2】特開2006−231732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、壁面全体がホワイトボードになっている場合に、ペントレイを吸着させると、そもそも壁面には何も位置決めし得る目印がないことから、常にペントレイの筆記具受け部を水平に保つように吸着させられるとは限らない。すなわち、壁面に対してペントレイが斜めに傾いた状態で吸着されてしまうといったことも多々起こり得る。そして、ペントレイが斜めに傾いた状態で壁面にペントレイが吸着されていると、必然的に該ペントレイに載せた筆記具が下方に落下してしまうおそれがあるし、また、ペントレイが斜めに傾いた状態で吸着されていると、見栄えが悪く、オフィスの美観を損ねてしまうといった問題も生じていた。
【0006】
そこで本発明は、背面にマグネットを取着したペントレイをホワイトボード等に吸着させる場合に、該ペントレイの筆記具受け部がホワイトボード等に対し、常に水平に保たれるようにすることができるペントレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本発明は、起立板部と該起立板部の下端から前方に延出する筆記具受け部とによって略断面L字状に形成され、該起立板部の背面に磁石を装着したペントレイであって、前記起立板部と前記筆記具受け部が互いに接する隅角部近傍の外側位置に凹窪状の嵌合部を形成すると共に、該嵌合部に気泡が容器内に残るように液体を封入した水準器を嵌合し、前記隅角部近傍の内側位置に前記水準器の気泡が前方から目視可能なのぞき窓孔を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るペントレイは、ホワイトボード等に吸着させるにあたり、筆記具受け部がホワイトボード等に対して水平に保たれているか否かを前方から視認することができ、ペントレイが傾いている場合は、その傾きをすぐに修正することができる。その結果、ペントレイの筆記具受け部から筆記具が落下することを確実に防止することができる。また、壁面全体にホワイトボードが配設されているような場合には、ペントレイを壁面に対し、常に真っ直ぐに吸着させることで、オフィスの美観を保つことができる。
【0009】
また、本発明によれば、前記効果を達成するにあたり、水準器を起立板部と筆記具受け部が互いに接する隅角部近傍の外側位置に設けられた嵌合部に嵌め込むのみで足りるので、前記効果をきわめて簡単に達成することができる。
【0010】
さらに、本発明に係るペントレイは、水準器を装着する嵌合部が起立板部と筆記具受け部が互いに接する隅角部近傍の外側位置に設けられていることから、装着された水準器の不必要な箇所を露出させることがなく、ペントレイそのもののデザイン上の美観を損ねることもない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】(a)ペントレイの正面図。(b)ペントレイの背面図。
【
図3】(a)ペントレイの平面図。(b)ペントレイの底面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るペントレイの実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1はペントレイの斜視図、
図2(a)はペントレイの正面図、
図2(b)はペントレイの背面図、
図3(a)はペントレイの平面図、
図3(b)はペントレイの底面図、
図4は
図2(a)のA−A線断面図である。
【0013】
この実施の形態におけるペントレイは、アルミを断面略L字状に押し出し成型し所定の長さをもって切断されたトレイ本体1と、トレイ本体1の両側に装着される合成樹脂製の側壁部材2,2と、ペントレイをホワイトボードに吸着させるための磁石3と、ペントレイの傾きを確認するための水準器4とによって概略構成されている。
【0014】
前記トレイ本体1は、ペントレイをホワイトボードに取着した際に、ホワイトボードの表面に沿う部位となる縦板状の起立板部5と、該起立板部5の下端から前方に延出する筆記具受け部6とを備えている。なお、起立板部5には、その上端部が後方(背面側)へ略垂直に折り曲げられて若干延出させた突出片部5aが形成されている。
【0015】
前記筆記具受け部6は、その内側(上面)前後方向中央部に筆記具を載置するために円弧状に窪ませた凹部6aが形成されており、該凹部6aの前後方向中央に仕切壁6bが形成されている。また、筆記具受け部6の前端部は、断面コ字型に折り曲げられた前壁部6cが形成されており、この前壁部6cの内部は中空になっている。さらに、筆記具受け部6の後端側、具体的には、筆記具受け部6の背面側であって起立板部5の下端部と接する位置に水準器4を装着するための嵌合部6dが形成されている。この嵌合部6dは、後方が開口し、内面が円弧面となった凹窪状に形成されていて、ペントレイの長手方向全体に亘っている。また、嵌合部6dの上側は、後方(背面側)へ若干延出する突出片部6eが形成されている。そして、この嵌合部6dの突出片部6eと前述の起立板部5の突出片部5aとによって形成される横長矩形状の凹溝7に磁石3が貼着されている。なお、磁石3は、突出片部5a及び6dの突出長さと略同じ寸法の厚みを有する横長板状になっていて、その長手方向の寸法は、トレイ本体1の長手方向の寸法よりも若干短く設定されている。従って、磁石3を凹溝7に貼着すると、磁石3が凹溝7内にすっぽりと収まることになる。さらに、筆記具受け部6の凹部6aの後ろ側の傾斜面の中央位置に横長楕円形状ののぞき窓孔8が穿設されている。こののぞき窓孔8は、嵌合部6dと相対するようになっており、嵌合部6dに装着された水準器4の一部を前方から視認するために設けられている。
【0016】
前記側壁部材2,2は、トレイ本体1の両側に装着される合成樹脂製の部材で、トレイ本体1の筆記具受け部6に載置された筆記具が側方から落下することを防止すると共に、ペントレイのデザイン上の美観を保つために設けられる。すなわち、側壁部材2,2は、トレイ本体1の起立板部5の側端部に対応する部位と、筆記具受け部6の側端部に対応する部位とを有する側面視略L字型に形成されていて、トレイ本体1の側方の化粧板としての役割も果たしている。また、
図1に示すように、これらの側壁部材2,2の内側面には、側壁部材2をトレイ本体1に装着するための突出部がそれぞれ3つずつ設けられている。具体的には、側壁部材2のうち、トレイ本体1の起立板部5に対応する部位の内側面には、トレイ本体1の凹溝7にちょうど嵌まり込む直方体形状の突出部2aが設けられている。また、側壁部材2のうち、トレイ本体1の筆記具受け部6に対応する部位の内側面には、その後側にトレイ本体1の嵌合部6dにちょうど嵌まり込む筒型形状の突出部2bが、その前側にトレイ本体1の前壁部6cの中空部にちょうど嵌まり込む直方体形状の突出部2cが設けられている。
【0017】
前記水準器4は、透明な円筒状の容器内に気泡が残るように液体を封入したもので、この容器が横向きの状態で水平に保たれていると、容器の中央に気泡が位置することになる。すなわち、容器の中央に気泡が位置していることをトレイ本体1ののぞき窓8から視覚的に認識することで、利用者は、トレイ本体1の筆記具受け部6が水平を保っているか否かを知得することができる。
【0018】
次に、上記のように構成されたペントレイの組立方法について説明する。まず、断面略L字状に押し出し成型され、且つ所定の長さをもって切断されたトレイ本体1の背面に接着剤等を介して磁石3を貼着する。具体的には、トレイ本体1の背面の凹溝7に磁石3を貼着するが、この時、凹溝7の長手方向中央部と磁石3の長手方向中央部とができる限り一致するように磁石3を貼り付ける。これにより、凹溝7の両端部には、磁石3が重なっていない部分ができる。そして、トレイ本体1の両側部に側壁部材2,2を装着する。具体的には、側壁部材2の突出部2aをトレイ本体1の凹溝7に、側壁部材2の突出部2bをトレイ本体1の嵌合部6dに、側壁部材2の突出部2cをトレイ本体1の前壁部6cの中空部に嵌め込む。次いで、トレイ本体1の背面側から水準器4をその両端が横を向くようにした状態で嵌合部6dに嵌め込むが、この時、横向きにした水準器4の中央部がトレイ本体1ののぞき窓孔8に臨むように装着する。なお、水準器4の円弧面と嵌合部6dの内面の円弧面は、互いに一致するようになっているため、一旦装着すると水準器4は嵌合部6dに強固に固着されることになる。
【0019】
上記手順で組み立てられたペントレイは、使用するホワイトボード等の任意の位置に磁石3を介して吸着させる。そして、ペントレイののぞき窓孔8から水準器4の気泡が中央に位置しているかを確認し、気泡が中央に位置していない場合には、ペントレイの傾き具体を見ながら、気泡が中央に位置するまでその傾きを調整する。これにより、ペントレイの筆記具受け部6は、常に水平に保たれることになり、ペントレイから筆記具等が落下するという不都合を完全に解消することができる。また、ペントレイ自体もホワイトボードに対して、常に傾くことなく吸着されることになるので、例えば、オフィスの壁面全体をホワイトボードにしたような場合、ペントレイがオフィスの美観を損ねてしまうという不都合も解消することができる。
【0020】
なお、前記実施の形態では、トレイ本体1に水準器4を1つ装着し、これに対応するトレイ本体1ののぞき窓8も1つである例を示したが、これに限定されるわけではなく、例えば、
図5に示すように水準器、及びのぞき窓孔を複数設けても良い。また、前記実施の形態においては、磁石3は、横長板状の例を示したが、これに限定されるわけではなく、その形状は任意の形状を選択可能であり、また、使用する磁石の個数も任意に選択可能である。さらに、前記実施の形態においては、円筒形状の容器からなる水準器を例に示したが、水準器の形状も任意の形状を選択可能である。同様に、水準器を嵌め込む嵌合部も水準器の形状に合わせて任意の形状を選択することができる。また、前記実施の形態においては、嵌合部がペントレイの長手方向全体に亘っている例を示したが、これに限られず、水準器が嵌まるようになっていればその幅等は任意に選択可能である。さらに、嵌合部がペントレイの背面側に設けられている例を示したが、必ず背面側に設けなければならないわけではない。すなわち、起立板部と筆記具受け部が互いに接する隅角部近傍に設けられていればよく、例えば、筆記具受け部の下面側に設けてもよい。
【符号の説明】
【0021】
3 磁石
4 水準器
5 起立板部
6 筆記具受け部
6d 嵌合部
8 のぞき窓孔