【実施例】
【0012】
実施例に係る商品陳列什器につき、
図1から
図7を参照して説明する。以下、
図1及び
図2の画面左下側を商品陳列什器の正面側(前方側)とし、
図4ないし
図6の画面左側を商品陳列什器の正面側(前方側)として説明する。また、特に説明ない限り、陳列棚が設けられた使用状態での商品陳列什器を前提に説明する。尚、以下の説明において陳列棚が設けられた状態の商品陳列什器を「陳列棚タイプ」といい、
図6に示すように陳列棚を設けない状態の商品陳列什器を「平板タイプ」という。
【0013】
図1ないし
図3の符号1は、本発明の適用された商品陳列什器である。この商品陳列什器1は、商品等を載置する2枚の天板3,3を備える陳列台2と、天板3,3の離間部である孔部13を上下に貫通し陳列台2から立設する支柱7,7と、支柱7,7に取り付けられて商品等を載置する陳列棚5を有している。
【0014】
陳列台2は、天板3,3と、天板3,3全体を側面から囲む略矩形の側板14A,14B,14C,14Dからなる枠板14と、枠板14における対向する側板14A,14Cを連結する側板連結材15,15と、支柱7,7を支持する支持材16,16と、側板連結材15と側板14Dを連結する補強材17a,17aと、側板連結材15と側板14Bを連結する補強材17b,17bと、枠板14内側の四隅に固定される脚材18,18,18,18と、これら脚材18,18,18,18同士を連結する連結材4,4,4,4とを有している。
【0015】
天板3,3は、枠板14内の略中央に平面視略矩形の孔部13が形成されるように離間して設けられており、この孔部13前後方向の幅は、後述する上部横架部材11前後方向の厚みよりわずかに大きい長さとなっており、孔部13の左右方向の幅は、支柱7,7及び上部横架部材11のそれぞれの左右方向の長さを合わせた長さよりもわずかに大きい長さとなっている。この孔部13によって、支柱7,7の上端部7g,7gと上部横架部材11を収納できるようになっている。また、側板連結材15,15と、支持材16,16と、補強材17a,17aと、補強材17b,17bと、脚材18,18,18,18との各上面が天板3,3を支持する天板支持部となっている。
【0016】
枠板14は、略矩形の板状部材からなる側板14A,14B,14C,14Dで構成されており、隣接する側板14A,14B,14C,14D同士が直角に連結されている。また、側板14A及び側板14Cの前後方向の略中央には、後述する支柱7,7を固定するための貫通孔14a,14aが、厚み方向を貫通するように上下2ヶ所に設けられている。
【0017】
側板連結材15,15は、略矩形の板状部材であって、枠板14内に側板14B及び側板14Dに平行に、枠板14内を約3等分する位置に配置されている。
【0018】
支持材16,16は、側板14Aまたは側板14Cと所定の間隔を有するように側板14A及び側板14Cと平行となるよう側板連結材15,15との間に架設されている。この所定の間隔とは、支柱7の左右方向の厚みよりわずかに大きい幅である。また、該支持材16と、側板連結材15,15と、枠板14の4側面で囲まれた空間の側板連結材15、15側に、略矩形状のフェルトや樹脂からなる低摩擦性の間接材19,19(
図2のドット部分)が設けられている。また、該間接材19,19と、支持材16と、枠板14との4側面で囲まれた空間は、左右方向の幅が支柱7の左右方向の厚みよりわずかに大きく、また前後方向の幅が支柱7の前後方向の厚みよりわずかに大きくなるように形成されており、この空間が、天板3,3間を貫通する支柱7,7の移動を上下方向のみに制限するよう案内する案内部6となっている。
【0019】
また、
図3は、商品陳列什器1の全体を右下前方から見た斜視図(蓋部材22は省略)であるが、拡大図に示すように、支持材16の前後方向の中央上部が切り欠き形状となっており、前後に対向する一対の壁部16b,16bと、壁部16b,16bを連結する底部16cとが設けられている。また、壁部16b,16b間の距離、即ち底部16cの前後方向長さは、支柱7の前後方向の厚みよりわずかに大きい長さとなっており、支持材上面16aと底部16cとの距離、即ち壁部16b,16bの上下方向の長さは、後述する上部横架部材11上下方向の厚みよりわずかに大きい長さとなっている。この壁部16b,16bと底部16cにより形成された空間が上部横架部材11の両端部11b,11bの支持材凹部16fとして構成される。また、支持材16,16の前後方向略中央の支持材凹部16f下部には、後述する支柱7,7を固定するための貫通孔16d,16dが、上下に2ヶ所に厚み方向を貫通するように設けられている。
【0020】
補強材17a,17a及び17b,17bは、略矩形の板状部材であって、天板3,3を支持するとともに、側板連結材15,15の前後方向へのずれ及び、脚材18のずれを防止するように固定されている。
【0021】
支柱7,7は、前面7a及び後面7bに開口する係止孔7e,7e,…が支柱7,7の上下方向に間隔を有して複数設けられており、この係止孔7e,7e,…には、後述するブラケット8,8,…が所望の位置に係合して取り付けられる。また、側面7c及び内面7dを貫通する貫通孔7f,7f,…が支柱7,7の上下方向に間隔を有して複数設けられており、この貫通孔7f,7f,…から選択された2ヶ所の貫通孔7f,7fと、前述した側板14Aまたは側板14Cの貫通孔14a,14aと、支持材16,16の貫通孔16d,16dをそれぞれ上下2ヶ所に貫通するボルト(固定手段)9,9にてこれらが固定される。尚、支柱7,7の上端部7g,7gには、これらを横架する上部横架部材11が固定され、支柱7,7の下端部7h,7hには、これらを横架する下部横架部材12が固定されており、支柱7,7と上部横架部材11と下部横架部材12とで正面視略矩形の枠を成している。また、上部横架部材11の上面11aは、天板3,3の上面3a,3aと同素材で形成され、
図6に示すような平板タイプの商品陳列什器1として使用する際に天板3,3間に配置されて略面一の天板面を形成しこの上に商品が陳列される。
【0022】
陳列棚5は、ブラケット8,8,…及び補助棚21,21,…により構成されている。陳列棚5の上段について説明すると、4本のブラケット8,8,8,8のそれぞれに設けられた各係止片8a,8a,8a,8aが、支柱7,7の前面7aまたは後面7bに上下に複数設けられた係止孔7e,7e,…に任意の位置でそれぞれ着脱可能に係止される。また、ブラケット8,8,8,8と、補助棚21,21が図示しないボルト等によって固定され、ブラケット8,8,8,8によって補助棚21,21が支持される。尚、陳列棚5の下段は、前述の陳列棚5の上段の構成と同一であるため説明は省略する。また尚、平板タイプの商品陳列什器1として使用する場合は、
図6に示すように陳列台2下部の支柱7,7に陳列棚5が設けられ収納される。
【0023】
図1に示すように、陳列棚タイプの商品陳列什器1として使用する場合は、蓋部材22が天板3,3間の孔部13を塞いで略面一の天板面を形成しこの上に商品が陳列される。蓋部材22は、平面視、上部横架部材11と略同形状を成し、左右方向の中央には開口部22a(
図2参照)が設けられている。また、平板タイプの商品陳列什器1として使用する場合は、陳列台2下部に収納された陳列棚5は、布23等(
図1参照)で覆われ外観上見えないようになっている。
【0024】
次に、商品陳列什器1の使用方法について
図4ないし
図6を用いて説明する。先ず、
図4に示すように、陳列棚5が上下2段設けられた陳列棚タイプの商品陳列什器1の場合には、支柱7が上方に配置されている。尚、
図4は最上方まで移動させた状態の支柱7を表しており、支持材16,16によって、下部横架部材12が枠板14より上方へ移動することを規制している。この状態を維持するためにボルト9,9が、外側から順に、枠板14,支柱7,支持材16に設けられたそれぞれの貫通孔14a,14a,7f,7f,16d,16dに挿通され、これらが固定されている。
【0025】
次に、
図4に示す陳列棚5が上下2段設けられた陳列棚タイプから、
図5に示す陳列棚5が1段設けられた陳列棚タイプに変更する場合の商品陳列什器1の動作について説明する。先ず、陳列棚5の下段補助棚21,21下部と下段ブラケット8,8,8,8上部の嵌合を脱離し、下段補助棚21,21を取り外す。次に下段ブラケット8,8,8,8の各係止片8a,8a,8a,8aを、支柱7,7の係止孔7e,7e,7e,7eから脱離し下段ブラケット8,8,8,8を取り外す。取り外された下段補助棚21,21と下段ブラケット8,8,8,8を天板3上に仮置きする。
【0026】
次に、天板3,3の間に載置されている蓋部材22の開口部22a(
図2参照)を利用して、蓋部材22を取り外す。次に、商品陳列什器1の左右両側で下部横架部材12が支持された状態でボルト9,9を取り外し、案内部6に配置されている支柱7を下方へ移動させる。次に、支柱7を
図5に示す所望の位置に支持しながら、枠板14,支柱7に設けられたそれぞれの貫通孔14a,14a,7f,7fが同一高さとなる位置において枠板14,支柱7,支持材16に設けられたそれぞれの貫通孔14a,14a,7f,7f,16d,16dにボルト9,9を挿通しこれらを固定する。次に、天板3上に仮置きされている下段ブラケット8,8,8,8の各係止片8a,8a,8a,8aを、陳列棚5下部の支柱7の係止孔7e,7e,7e,7eに係止させて下段ブラケット8,8,8,8を取り付け、次いでブラケット8,8,8,8上部と天板3上に仮置きされている下段補助棚21,21下部を嵌合させる。最後に蓋部材22を天板3,3間の孔部13に載置し、
図5に示す陳列棚5が1段設けられた陳列棚タイプの状態となる。尚、蓋部材22は、左右両端部が支持材凹部16fに載置され、蓋部材22の上面は天板3,3と同一の高さとなって略面一の天板面を構成する。
【0027】
次に、
図5に示す陳列棚5が1段設けられた陳列棚タイプから、
図6に示す平板タイプに変更する場合の商品陳列什器1の動作について説明する。尚、上段補助棚21,21と上段ブラケット8,8,8,8の陳列棚5上部の支柱7,7からの取り外し及び陳列台2下部の支柱7,7への取り付けについては、前述の下段補助棚21,21と下段ブラケット8,8,8,8の取り外し方法及び取り付け方法と同様であるため説明は省略する。また、蓋部材22の取り外しや案内部6に配置されている支柱7の移動及び固定についても同様であるため説明は省略する。
図6は、平板タイプとして使用される商品陳列什器1の場合において、支柱7が最下方に移動された状態を表しており、支持材16に設けられた支持材凹部16fによって、上部横架部材11が下方へ移動することを規制している。また、上部横架部材11が孔部13に配置されて上部横架部材上面11aと天板上面3aが同一の高さとなって略面一の天板面を構成する。
【0028】
このように、本実施例の商品陳列什器1は、複数の係止孔7e,7e,…を有する支柱7,7が天板3を上下に貫通するようにして上下に移動可能、かつ案内部6に設けられたボルト9により陳列台2に対し固定可能であるため、天板3上に支柱7,7を引き上げた状態で係止孔7e,7e,…に対しブラケット8,8,…を固定し、ブラケット8,8,…に補助棚21を支持させることで、平板タイプの商品陳列什器1から上下方向に陳列棚5を有する什器に変化させることができる。
【0029】
また、2本の支柱7,7が上部横架部材11により連結されているため、支柱7,7の強度を高めることができ、陳列棚5を左右で安定して支持することができる。
【0030】
また、孔部13に上部横架部材11及び支柱7の上端部7g,7gを陳列台2側に収納することができ、平板タイプの商品陳列什器1の利用時に上部横架部材11及び支柱7,7が邪魔になることがない。
【0031】
また、支柱7,7の高さを調整できるため、補助棚21を設ける段数や、補助棚21の高さを適宜変更できることになる。
【0032】
次に、平板タイプとして使用時の上部横架部材11の取り付け位置の変形例につき、
図7を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する構成の説明を省略する。尚、陳列棚5の図示も省略する。
【0033】
本変形例の商品陳列什器100は、平面視略矩形の1枚の天板30を有し、天板30には、前後方向の略中央の左右両端部に切欠30a,30aが設けられている。また、案内部6を上下に移動する支柱70,70の各上端部70d,70dの前面70a及び後面70bには、突部70e,70eが形成されている。この突部70e,70eと支柱上端部70dにより構成される筐体は、切欠30aと略同形状であり、平板タイプの商品陳列什器100として使用する場合は、該筐体が切欠30a内に収納されるとともに、
図7の拡大図に示すように、間接材190,190によって突部70e,70e、即ち支柱70,70が下方へ落下しないようになっている。
【0034】
このように、本変形例は、上部横架部材11を有していないため、前記実施例で設けた支持材凹部16fや蓋部材22が不要となり、簡易な設計とすることができる。尚、陳列棚タイプの商品陳列什器100として使用時には、上部横架部材11を支柱70,70の上方に取り付け可能となるよう上部横架部材11と支柱70,70を着脱可能な態様としてもよく、その場合は、陳列棚タイプの商品陳列什器100として使用する際に、上部横架部材11を支柱70,70の下方に取り付けて収納しても良い。
【0035】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0036】
例えば、前記実施例では、2本の横架部材11,12によって連結される2本の支柱7,7を上下に移動して陳列棚タイプの商品陳列什器1から平板タイプの商品陳列什器1に変形させる例を示したが、これに限らず、横架部材11,12と両端部が連結された複数の支柱を設けても良く、あるいは支柱7,7の間に、正面視略矩形の上下に移動する板状の支柱材を設ける態様の商品陳列什器としても良い。
【0037】
また例えば、前記実施例では、2本の横架部材11,12によって連結される2本の支柱7,7を上下に移動して陳列棚タイプの商品陳列什器1から平板タイプの商品陳列什器1に変形させる例を示したが、これに限らず、上部横架部材11と下部横架部材12のいずれかのみを支柱7,7に連結させた態様としても良く、また、複数の横架部材を設けるようにしても良い。また、上部横架部材11と下部横架部材12のいずれも連結しない、即ち支柱7,7をそれぞれ単独で上下に移動可能とする態様の商品陳列什器としても良い。
【0038】
また例えば、前記実施例では、離間して設けられた天板3,3との間に孔部13が設けられる例について説明したが、これに限らず、上部横架部材11を収納可能な凹部を設けても良い。
【0039】
また例えば、前記実施例では、離間して設けられた2枚の天板3,3との間に孔部13が設けられる例について説明したが、孔部13や凹部を設けず、1枚の天板上に上部横架部材11が配置されるような態様の商品陳列什器としても良い。また例えば、1枚の天板に開口した孔部を設け、該孔部に支柱を貫通するような態様の商品陳列什器としても良い。
【0040】
また例えば、前記実施例では、支柱7,7にブラケット8,8,…を固定するフック様の係止孔7e,7e,7e,…を設けることについて説明したが、支柱7,7とブラケット8,8,…を固定するものであればこれに限定されない。
【0041】
また例えば、前記実施例では、陳列台2に対し支柱7,7を固定可能とするボルト9,9について説明したが、陳列台2と支柱7,7を固定するものであればこれに限定されない。
【0042】
また例えば、前記実施例では、ボルト9,9を枠板14外側から内側に向けて挿通する例を示したが、これに限らず、蓋部材22を取り外した状態で枠板14内側の支持材16から挿通するようにしても良く、また、枠板14外側と支持材16内側の両側からそれぞれボルト9,9を挿通して支柱7,7を固定するようにしても良い。