特許第6336320号(P6336320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336320
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】採光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 11/00 20060101AFI20180528BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20180528BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20180528BHJP
   F21V 7/22 20180101ALI20180528BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20180528BHJP
   F21V 13/04 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F21S11/00 300
   F21S11/00 110
   F21V5/00 320
   F21V5/02 100
   F21V5/02 350
   F21V7/00 320
   F21V7/22 100
   F21V8/00 340
   F21V13/04 300
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-84883(P2014-84883)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-204277(P2015-204277A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】591181562
【氏名又は名称】株式会社共和
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100078916
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 由充
(74)【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
(72)【発明者】
【氏名】中川 実
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/093796(WO,A1)
【文献】 特開2010−186695(JP,A)
【文献】 特開平10−012019(JP,A)
【文献】 特開2000−028956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 11/00
F21V 5/00
F21V 7/00
F21V 8/00
E06B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部より建物内に太陽光を導入するための採光装置であって、前記建物の窓部位置に窓部の幅方向に沿って位置決め固定される反射板と、前記反射板の上面の反射面上に配置され上面が平坦面、下面が入射する太陽光を窓部に向かう方向へ拡散させる凹凸面に形成されている導光板とから成り、
前記導光板は、互いに平行であり長さ方向に沿う曲面部分を有する複数の突条により前記凹凸面が構成され、前記曲面部分は、突条の長さ方向に対して直交する方向の断面形状が三角形状であって頂部を円弧状となすことにより形成されるか、突条の長さ方向に対して直交する方向の断面形状を半円状となすことにより形成されており、前記反射板の上面に当接した状態で、前記突条の長さ方向が窓部の開口面と平行となる向きに、前記導光板が配置されてなる採光装置。
【請求項2】
前記反射板は、アルミニウムの板材により形成されている請求項1に記載された採光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光を建物内へ導入するのに用いられる採光装置に関し、この発明は特に、太陽光を窓部より室内の天井に導くための採光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室内の採光を確保するために、図14に示すように、建物1の外側に「ライトシェルフ」と呼ばれる採光用の反射板9を設けることが提案されている。反射板9は建物1の窓11の上部位置に建物1の外壁面10より張り出すようにして取り付けられる。この反射板9は、上面の反射面で太陽光L1を窓11に向けて反射させ、その反射光を窓11の上部より室内の天井15へ導く。室内に導入された光は天井15の面で拡散反射され、その拡散光によって室内が明るく照らされる。
【0003】
窓11の上方位置に、採光や換気のための高窓が設けられる場合があるが、高窓が存在するだけでは十分な採光は期待し難い。窓と高窓との境界位置に上記の反射板9を設置すれば、太陽光L1は反射板9の上面の反射面で高窓に向けて反射し、その反射光が高窓より室内の天井15に導かれる。これによって、高窓からの採光量が増し、室内の照明が太陽光によって補われる。
【0004】
上記の反射板9として、例えば、表面を粗面加工したアルミニウム系板材が用いられている。太陽光L1は反射板9の表面で拡散反射し、窓11に向かう反射光が室内に取り込まれて天井15に導かれる(例えば特許文献1参照)。
【0005】
例えば、校舎のような建物では、図15に示すように、教室17は広くて奥行きがあり、しかも、教室17の奥に通路幅の大きな廊下18が存在する。このため、教室17内は薄暗くなり、高窓12に上記した採光装置を設置することの意義はきわめて大きい。しかし、特許文献1に記載の採光装置では、反射板9で拡散反射した光の一部が、しかも、室内の窓11の近傍に取り込まれるのみで、室内の奥深くまで達する光は殆どないため、室内全体を明るく照明することができない。
【0006】
太陽光を室内の奥深くまで取り込むために、図16に示すように、反射板として透明樹脂板より成る導光板90を用いることが提案された(例えば、特許文献2参照)。この導光板90は、上面が平坦面、下面が凹凸面になっている。導光板90の内部に進入した太陽光L1は、その一部が導光板90の内部の凹凸面で反射し拡散して上面より出射する。この出射された拡散光は室内の奥深くまで進入して天井15の面を広く照らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4448562号公報
【特許文献2】特許第5266082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に記載の採光装置では、導光板90の内部に進入する太陽光L1は、かなりの量が導光板90を透過して導光板90の下面より出射されるので、室内の天井15に導かれる光の量は少なく、室内全体を明るく照明するには限界がある。
【0009】
この発明は、上記の問題に着目してなされたもので、太陽光の十分な量を室内の天井に導くことができ、そのうえ、光を室内の奥深くまで導くことのできる採光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明による採光装置は、窓部より建物内に太陽光を導入するためのものであって、前記建物の窓部位置に窓部の幅方向に沿って位置決め固定される反射板と、前記反射板の上面の反射面上に配置され上面が平坦面、下面が入射する太陽光を窓部に向かう方向へ拡散させる凹凸面に形成されている導光板とから成る。
前記導光板は、互いに平行であり長さ方向に沿う曲面部分を有する複数の突条により前記凹凸面が構成されている。前記曲面部分は、突条の長さ方向に対して直交する方向の断面形状が三角形状であって頂部を円弧状となすことにより形成されるか、突条の長さ方向に対して直交する方向の断面形状を半円状となすことにより形成される。前記反射板の上面に当接した状態で、前記突条の長さ方向が窓部の開口面と平行となる向きに、前記導光板が配置されてなる。
【0011】
ここで、「導光板」とは、透明の合成樹脂板やガラス板であって、いずれかの面より光を内部に導入し、いずれかの面より拡散された光を出射するものをいう。
【0012】
上記した採光装置によれば、導光板の上面に入射する太陽光は、その一部が導光板内で反射して、突条の長さ方向と直交する方向、すなわち、窓部に向かう方向へ拡散し、その拡散光が導光板の上面より出射する。この光は窓部より室内に取り込まれ、室内の天井に向けて進む。また、入射した太陽光のかなりの量が導光板を透過して下面より出射されるもので、その出射光は窓部に向かう方向へ拡散されている。この拡散光は反射板の反射面で反射され、その反射光は導光板を前記と逆方向に透過し、導光板の上面より拡散されて出射される。この拡散光は窓部に向かう方向へ拡散されているので、室内の奥深くまで進入して天井面を広く照らす。なお、採光装置は通常、窓部の上部位置に設置されるので、太陽光は反射板によって窓部の下部位置への進行が妨げられ、採光装置は日除けとしても機能する。
【0013】
前記導光板は、上面が平坦面、下面が凹凸面に形成されているので、大気中や雨水に含まれる塵芥などが導光板の上面に付着しても、導光板の上面は平坦面であるので、付着物や汚れは容易に洗い流すことができる。なお、凹凸面は、導光板の上面の側に形成しても、或いは上下両面に形成しても、上記した光の拡散作用を得ることができる。
【0016】
好ましい実施態様の前記反射板は、アルミニウムの板材により形成されているが、アルミニウム以外の金属材料で形成したものであってもよく、また、合成樹脂板の表面に反射シートを貼付したようなものであってもよい。なお、反射板の上面の反射面は、典型的には光を拡散させて反射する粗面であるが、光を正反射させる鏡面であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によると、導光板内で反射して出射した拡散光も、導光板を透過して出射した拡散光も、ともに窓部より室内の天井に向けて取り込まれるので、太陽光の十分な量が天井面に照射される。その上、入射される太陽光は導光板の凹凸面によって窓部に向かう方向へ拡散されるので、光を室内の奥深くまで導くことができる。これによって、室内の天井が広く照らされ、天井面での拡散光によって室内の照明が補われる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の採光装置の概略構成を示す断面図である。
図2】この発明の採光装置の原理を示す説明図である。
図3】導光板内で反射する光の経路を示す説明図である。
図4】この発明の一実施例である採光装置が設置された状態を示す正面図である。
図5図4の採光装置の平面図である。
図6図4の採光装置の側面図である。
図7図5のA−A線に沿う断面図である。
図8】導光板の断面図である。
図9図5のB−B線に沿う中間を省略した断面図である。
図10】導光板の他の実施例の断面図である。
図11】導光板のさらに他の実施例の断面図である。
図12】導光板の他の配置例を示す断面図である。
図13】採光装置の他の設置方法を示す斜視図である。
図14】従来の採光装置を示す説明図である。
図15】校舎の内部構造を示す説明図である。
図16】従来の他の採光装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、この発明の採光装置2の概略構成を示している。この採光装置2は、窓11の上部より建物1内に太陽光L1を導入し、室内の天井15に向けて導くもので、建物1の窓11の上部位置に窓11の幅方向に沿って水平に位置決め固定される反射板3と、反射板3の上面の反射面上に配置される導光板4とで構成されている。反射板3は窓11の幅とほぼ一致する長さを有し、建物1の外壁面10より張り出すように支持されている。この実施例では、反射板3の反射面は窓11の側にわずかに傾いているが、必ずしも傾いている必要はなく、水平であってもよい。導光板4は反射板3の上面に所定の向きに配置されている。
【0020】
図2は、この発明の採光装置2の原理を示している。同図中、3は反射板、4は導光板であり、説明の都合上、反射板3と導光板4との間に隙間を介在させている。後述する実施例では、導光板4は反射板3の上面に当接した状態で配置されているが、図示のように、反射板3の上面に隙間をあけた状態で配置することもできる。導光板4の上面は平坦面40であり、下面は入射した光を窓11に向かう方向へ拡散させる凹凸面41に形成されている。図示例の凹凸面41は、互いに平行な複数の突条42により構成されており、各突条42は長さ方向に沿う曲面部分(詳細は後述)を有するものである。
反射板3の上面は反射面30であり、反射面30は粗面になっているが、鏡面であってもよい。入射する光は反射面30で拡散されて反射する。なお、反射面30が鏡面であれば、入射する光は正反射する。
【0021】
図2において、太陽光L1は導光板4の上面に対して、突条42の長さ方向と直交する方向であって導光板4の上面と90度より小さな角度をなす方向から照射されている。導光板4の上面の平坦面40より内部に入射した太陽光L1は、かなりの量が上面から下面の凹凸面41に導かれて導光板4を透過する。導光板4の下面より出射する光L2は、窓11に向かう方向へ拡散されている。この拡散光L2は反射板3の上面の反射面30で反射し、その反射光L3は導光板4を上記と逆方向へ透過する。導光板4の上面より出射された光L4は、窓11に向かう方向へさらに拡散されている。上記の光の拡散現象は、凹凸面41を構成する曲面部分によって光の進行方向が傾けられることに起因して発生するものと考えられ、太陽光L1が突条42の長さ方向と直交する方向から入射する場合のみならず、斜め方向から入射する場合にも同様の拡散現象が生ずる。
【0022】
導光板4の上面の平坦面40より内部に入射した太陽光L1の一部は、図3に示すように、導光板4内において凹凸面41で反射し、導光板4の上面より出射される。この導光板4の上面より出射された光L5は、窓11に向かう方向へ拡散されている。この導光板4の内部での光の拡散現象も、凹凸面41を構成する曲面部分によって光の進行方向が傾けられることに起因して発生するものと考えられる。
上記したいずれの拡散光L4,L5も、窓11の上部より建物内に取り込まれ、室内の奥深くまで天井15に導かれる。これによって、室内の天井15が広く照らされ、天井15の面で拡散した光によって室内の照明が補われる。
【0023】
図4図6は、この発明の一実施例である採光装置2を建物1に設置した例を示している。図中、11は窓、12は窓11の上方に設けられた高窓であり、窓11および高窓12により窓部が構成されている。図示例の建物1は、窓部の周囲が両側の柱部13,13と上下の梁部14,14とで囲まれた外壁構造のものである。窓部は建物1の外壁面より後退した位置にある。窓11と高窓12との境界位置には、採光装置2を構成する反射板3と導光板4とが重ねられた状態で設置されている。窓部を挟んで左右に対向する壁面、すなわち、柱部13の壁面13aの同じ高さ位置に支持具5,5が対向して取り付けられている。両支持具5により反射板3の端部の全幅が支持されるもので、これにより窓11と高窓12との境界位置に反射板3が位置決め固定される。
【0024】
この実施例の反射板3は、図7に示すように、アルミニウムの押出加工により形成された3個の帯板材3A,3B,3Cの側縁を順次連結して構成されたものである。隣り合う帯板材3A,3Bおよび3B,3Cが突き合わされる側縁部分には、互いに係脱することが可能な連結部31,32が形成されている。この実施例の反射板3は、わずかに後下がりの傾斜状態、すなわち、前端に対して後端が低くなるような傾斜状態で設置されている。窓に近い側の帯板材3Aの内側縁には雨水が溜まる上面開口の樋溝部33が形成されている。なお、反射板3は、傾斜させずに設置してもよく、この場合は外側位置の帯板材3Cの外側縁にも樋状部を形成するのが望ましい。
【0025】
反射板3の上面、すなわち、各帯板材3A,3B,3Cの上面は、光を反射させる反射面30を構成している。この反射面30は光を拡散させて反射する粗面になっているが、光を正反射させる鏡面であってもよい。
なお、反射板3は単一の板材により構成してもよく、2個の帯板材、さらには4個以上の帯板材を連結して構成してもよい。また、反射板3は、上面が光を反射する面になっていれば、アルミニウム以外の金属材を用いて形成してもよい。
【0026】
反射板3の反射面30上には導光板4が当接した状態で重ねられている。導光板4は、透光性を有する透明の合成樹脂板により形成されている。導光板4の上面は、図8に示すように平坦面40であり、一方、下面は光を拡散させる凹凸面41に形成されている。図示例の凹凸面41は、互いに平行な複数の突条42により構成されている。突条42の長さ方向が高窓12の開口面と平行となるように、すなわち、入射する太陽光L1が高窓12に向かう方向へ拡散するように、導光板4が反射板3上に固定されている。この実施例における各突条42は、突条42の長さ方向に対して直交する方向の断面形状が三角形状であって、頂部および裾部が円弧状の形成されて前記の曲面部分を構成している。
【0027】
なお、凹凸面41を構成する突条42は、上記した断面形状のものに限らず、例えば、図10に示すような、断面形状が半円状のものであってもよく、この場合は、突条42の外周面の全体が前記の曲面部分を構成している。また、この実施例の導光板4は、上面が平坦面40、下面が凹凸面41に形成されているが、図11に示すように、上下両面を複数の突条42をもって凹凸面41に形成したものを用いることもできる。
また、この実施例では、導光板4は反射板3の上面に当接した状態で配置されているが、図12に示すように、反射板3と導光板4との間にスペーサ110を介在させることにより反射板3の上面に隙間をあけた状態で導光板4を配置してもよい。
【0028】
図8および図10の実施態様の導光板4によると、導光板4の上面の平坦面40に入射した太陽光L1は、その一部が導光板4内で反射して窓部に向かう方向へ拡散し、導光板4の上面より拡散光L5が出射する。入射した太陽光L1のかなりの量は導光板4を透過し、その下面の凹凸面41で前後方向へ拡散されて下面より出射される。その拡散光は反射板3の反射面30で反射し、その反射光は導光板4を前記と逆方向へ透過し、導光板4の上面の平坦面40より拡散光L4が出射される。
【0029】
導光板4の両方の端部は、図9に示すように、反射板3の上面に対して止水材43を介在させた状態で金属製の押え板44および止め金具45により全長にわたってビス48により固定されている。また、導光板4の外側縁部は、図7に示すように、反射板3の上面に対して止水材46を介在させた状態で金属製の押え板47により全長にわたってビス49a,49bにより固定されている。なお、導光板4の反射板3の上面への固定には接着剤を用いることもできる。
【0030】
前記の各支持具5は、反射板3の幅とほぼ一致する長さを有するもので、アルミニウムの押出加工により形成されている。図9に例示する各支持具5は、前記柱部13の壁面13aに背面を当接させて複数のボルト83により固定される背板部50を有している。この背板部50の前面の下端部には上下に対向する支持板部61,51が突出している。上下の支持板部61,51間は支持溝53を構成しており、この支持溝53に反射板3の端部が入り込んで上下の支持板部61,51により挟持されている。前記背板部50にはボルト83,84を通す複数のボルト挿通孔57,58が形成されている。
【0031】
上下の支持板部61,51のうち、下側の支持板部51は背板部50と一体に形成されている。この支持板部51の先端縁は上方へ向き、反射板3の下面を支える第1の支持部52を構成している。支持板部51の幅中央部には内部が中空の第2の支持部54が全長にわたって一体形成されている。この第2の支持部54は支持板部51の上面より第1の支持部52と同じ高さだけ突出し、その上壁部は反射板3の下面を支えるための平坦な支持面となっている。
【0032】
第2の支持部54の中空内部はボルト8の頭部80を支持板部51の長さ方向へ摺動自由に支持するガイド溝55になっている。第2の支持部54の上壁部にはボルト8の軸部81を長さ方向へ摺動自由とするガイド孔56が形成されている。このガイド孔56はガイド溝55と連通しており、ボルト8を反射板3の端部に形成された貫通孔34,35の位置に合わせて移動させて位置決めすることが可能である。
【0033】
上側の支持板部61は、アングル材より成るL形の押え金具6によって構成されている。この支持板部61には前記ボルト8の軸部81を通すボルト挿通孔63が複数個形成されている。押え金具6は、支持板部61の後端部に背板部50の前面に当接させて固定される取付板部62を一体に備えたものである。この押え金具6の取付板部62には背板部50のボルト挿通孔58に連通させるボルト挿通孔64が形成されている。位置合わせされたボルト挿通孔58,64にボルト84を一連に通して壁面13aにねじ込むことにより押え金具6が固定されるとともに、押え金具6の支持板部61と下側の支持板部51の第1、第2の各支持部52,54との間で反射板3の端部が挟持される。前記ボルト8の軸部81を反射板3の端部の貫通孔34,35とボルト挿通孔63とに通してナット82で締め付けることにより反射板3の端部が上下の支持板部61,51間で挟持された状態で固定される。
【0034】
前記支持具5の上面は支持具5と同じ長さを有するカバー体7により覆われている。また、支持具5の両側端面は端板59により塞がれている(図4および図5参照)。カバー体7は前端縁および後端縁にそれぞれ係合部71,72が屈曲形成されている。後端縁の係合部72は背板部50の上端に形成された係合突部50aに係合させる。前端縁の係合部71は前記導光板4の端部を固定する止め金具45に一体形成された係合部45aに係合させる。
【0035】
この実施例では、反射板3の耐荷重性をさらに高めるために、図6に示すように、反射板3の長さ中央部がアーム100によって支持されている。アーム100は、長さ調節が可能な金属製パイプより成るアーム本体101の両端にネジ軸102,103を介して取付金具104,105がそれぞれ取り付けられたものである。各ネジ軸102,103は一端部に取付金具104,105が取り付けられ、他端部はアーム本体101の両端に装着されたナット部材(図示せず)にねじ込まれている。下端部側の取付金具104は反射板3の上面にネジ止めされ、上端部側の取付金具105は建物の外壁面にアンカーボルトにより固定されている。
【0036】
アーム100の各ネジ軸102,103はネジの方向が逆方向になっている。アーム本体101を一方向へ回転させると、各ネジ軸102,103がアーム本体101の両端より突き出てアーム100の長さが長くなる。一方、アーム本体101を反対方向へ回転させると、ネジ軸102,103がアーム本体101の内部へ入り込んでアーム100の長さが短くなる。
【0037】
なお、上記の採光装置2は、窓11の両側の壁面が柱部13によって前方へ突き出るような外壁構造の建物1に設置される構成のものであるが、窓11の両側の外壁面10が窓11の開口面とほほ一致するような外壁構造の建物1であれば、図13に示すように、窓11を挟む両側の外壁面10に左右一対の支持具91,91を取り付け、この支持具91,91により反射板3を片持ち状態で支持させることができる。
【0038】
上記した採光装置2において、導光板4の上面に入射する太陽光L1は、その一部が導光板4内で反射して窓部に向かう方向へ拡散し、その拡散光L5が導光板4の上面より出射する。この拡散光L5は高窓12より室内に取り込まれ、室内の天井に向けて進む。
また、入射した太陽光L1のかなりの量が導光板4を透過して下面より出射されるもので、その出射光は窓部に向かう方向へ拡散されている。この拡散光は反射板3の反射面30で反射され、その反射光は導光板4を前記と逆方向に透過し、導光板4の上面より拡散されて出射される。この拡散光L4は窓部に向かう方向へ拡散されているので、室内の奥深くまで進入して天井面を広く照らす。
このように、反射板3および導光板4の存在によって高窓12からの採光量は増すが、窓11への進行は遮られるので、この採光装置2はライトシェルフとして機能する一方で、日除けとしても機能する。
【符号の説明】
【0039】
2 採光装置
3 反射板
4 導光板
30 反射面
40 平坦面
41 凹凸面
42 突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16