特許第6336321号(P6336321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336321
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20180528BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F24F1/00 391C
   F25B39/00 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-87370(P2014-87370)
(22)【出願日】2014年4月21日
(65)【公開番号】特開2015-206538(P2015-206538A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】東浦 国広
(72)【発明者】
【氏名】岡村 和美
(72)【発明者】
【氏名】森 裕典
(72)【発明者】
【氏名】布目 好教
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5174530(JP,B2)
【文献】 特開平05−231789(JP,A)
【文献】 特開平11−023183(JP,A)
【文献】 特開2004−003833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F25B 39/00
F28F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体内に樹脂製ブラケットが設置され、その樹脂製ブラケットを介してフィンチューブ型熱交換器の少なくとも一側部が固定支持されている空気調和機において、
前記樹脂製ブラケットは、前記熱交換器の側面から突出されている伝熱管のヘアピン部を挿入支持する多数の長穴を備え、
前記長穴の中の選択された特定の長穴には、その両長辺部に沿って前記熱交換器の前記ヘアピン部を挿入時に弾性変形して受け入れ、該ヘアピン部を両側から係合支持する一対の係合爪が設けられ
前記熱交換器と前記樹脂製ブラケットの組み付け時には、前記係合爪の外側面が、前記ヘアピン部の内周側を面で係合支持することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記特定の長穴は、周囲に沿って立ち上げ壁が設けられ、
前記一対の係合爪は、前記立ち上げ壁の一部を利用しその両側にスリット状の切り込みを設けることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記一対の係合爪は、前記ヘアピン部を係合支持する外側面が前記ヘアピン部の内周側の曲率に沿った曲面形状とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記一対の係合爪は、前記ヘアピン部を挿入するときに接触する内側面が前記ヘアピン部の外周側の曲率に沿った曲面形状とされていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の空気調和機。
【請求項5】
前記樹脂製ブラケットには、前記熱交換器を挿入する面と反対側の面に、該樹脂製ブラケットを水平状態に置くための少なくとも1以上の突部が一体成形されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット本体内に樹脂製ブラケットを設け、その樹脂製ブラケットを介して熱交換器の少なくとも一側部を固定支持している空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁掛け形の空気調和機等において、ユニット本体を構成するベースに対し、フィンチューブ型熱交換器の側面形状に対応した形状の樹脂材製一体成形ブラケット(以下、樹脂製ブラケットという。)を固定設置し、その樹脂製ブラケットを介してフィンチューブ型熱交換器の一側部を固定支持している空気調和機が従来から知られている。
【0003】
特許文献1には、樹脂製ブラケットに対して、周囲に立ち上げ壁を有する平行四辺形の挿入穴が多数設けられ、その挿入穴内に平行に配設されている2組のヘアピン部を平行な2辺に沿って挿入し、各辺に設けられている係合爪を対応するヘアピン部に一側から係合させて熱交換器の一側部を固定支持するようにしたものが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、樹脂製ブラケットの片面側に、平行に2列に配列されているヘアピン部が挿入可能な溝が設けられ、その溝内に平行に2列に配列されているヘアピン部を外壁および内壁に沿って挿入し、外壁側に沿って設けられている複数の係合爪を対応するヘアピン部に一側から係合させて熱交換器の一側部を固定支持するとともに、ヘアピン部の内周側と係合する係合爪の先端部形状を、ヘアピン部の内周側の径と略等しい径の円弧形状としたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4042799号公報
【特許文献2】特許第5174530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2に示されるものでは、熱交換器のヘアピン部を樹脂製ブラケットの挿入穴や溝に挿入し、そのヘアピン部に対して、挿入穴や溝に沿って設けられている弾性変形可能な係合爪を一側から係合させて固定支持しているため、通常の運転時や使用時あるいは輸送時においては、特段問題はないが、輸送中において梱包された状態の空気調和機を落としてしまうことが往々にしてあり、この場合、その衝撃によって熱交換器が樹脂製ブラケットから外れる虞があった。
【0007】
かかる輸送中における落下時の衝撃による熱交換器の外れ防止対策として、従来、熱交換器と樹脂製ブラケットとを複数箇所でタイラップバンド等により結束する方策が採られているが、余計な工数がかかってしまう等の課題があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、熱交換器の一側を樹脂製ブラケットにより固定支持しているものにおいて、熱交換器と樹脂製ブラケットとの固定力を十分確保することにより、輸送中の落下時の衝撃等による熱交換器の外れを防止できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる空気調和機は、ユニット本体内に樹脂製ブラケットが設置され、その樹脂製ブラケットを介してフィンチューブ型熱交換器の少なくとも一側部が固定支持されている空気調和機において、前記樹脂製ブラケットは、前記熱交換器の側面から突出されている伝熱管のヘアピン部を挿入支持する多数の長穴を備え、前記長穴の中の選択された特定の長穴には、その両長辺部に沿って前記熱交換器の前記ヘアピン部を挿入時に弾性変形して受け入れ、該ヘアピン部を両側から係合支持する一対の係合爪が設けられ、前記熱交換器と前記樹脂製ブラケットの組み付け時には、前記係合爪の外側面が、前記ヘアピン部の内周側を面で係合支持することを特徴とする。
【0010】
熱交換器のヘアピン部を樹脂製ブラケットの多数の長穴に挿入して熱交換器をユニット本体内に固定支持している空気調和機にあっては、輸送中における落下時の衝撃等により熱交換器が樹脂製ブラケットから外れる虞があり、数箇所をタイラップバンドで結束しているが、本発明によれば、フィンチューブ型熱交換器の少なくとも一側部を固定支持している樹脂製ブラケットに、熱交換器の側面から突出されている伝熱管のヘアピン部を挿入支持する多数の長穴が設けられ、その長穴の中の選択された特定の長穴に、その両長辺部に沿って熱交換器のヘアピン部を挿入時に弾性変形して受け入れ、該ヘアピン部を両側から係合支持する一対の係合爪が設けられているため、多数の長穴の中の選択された特定の長穴の両長辺部に沿って設けられている一対の係合爪でヘアピン部を両側から係合支持することによって、熱交換器が横方向に動いた場合でも、ヘアピン部が長穴からの抜けを防止し、熱交換器を樹脂製ブラケットに対してしっかりと固定力を確保して支持することができる。従って、空気調和機の輸送中における落下時の衝撃による熱交換器の外れを確実に防止することができるとともに、タイラップバンドによる結束箇所を減らして組み立て工数を低減することができる。また、ヘアピン部を両側から係合支持する一対の係合爪の設置を選択した特定の長穴のみに限ることで、一対の係合爪を弾性変形させて熱交換器を組み付ける際の組み付け力が過大とならないようにし、組み立ての容易性を確保することができる。
【0011】
また、本発明の空気調和機は、上記の空気調和機において、前記特定の長穴は、周囲に沿って立ち上げ壁が設けられ、前記一対の係合爪は、前記立ち上げ壁の一部を利用しその両側にスリット状の切り込みを設けることにより形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、特定の長穴の周囲に沿って立ち上げ壁が設けられ、一対の係合爪が立ち上げ壁の一部を利用しその両側にスリット状の切り込みを設けることにより形成されているため、各長穴の両長辺部に沿って設けられる一対の係合爪を、その周囲に設けられているヘアピン部の支持面となる立ち上げ壁と一体的に、各々スリット状の切り込みを設けることによって弾性変形可能に形成することができる。従って、各長穴に弾性変形してヘアピン部を受け入れ可能な一対の係合爪を簡易に形成することができる。
【0013】
また、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記一対の係合爪は、前記ヘアピン部を係合支持する外側面が前記ヘアピン部の内周側の曲率に沿った曲面形状とされていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、一対の係合爪のヘアピン部を係合支持する外側面がヘアピン部の内周側の曲率に沿った曲面形状とされているため、ヘアピン部の内周側を一対の係合爪の外側面によって面で支持することができる。従って、ヘアピン部に荷重が負荷された際の応力集中をなくし、ヘアピン部の変形や損傷を防止することができる。
【0015】
また、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記一対の係合爪は、前記ヘアピン部を挿入するときに接触する内側面が前記ヘアピン部の外周側の曲率に沿った曲面形状とされていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、一対の係合爪のヘアピン部を挿入するときに接触する内側面がヘアピン部の外周側の曲率に沿った曲面形状とされているため、樹脂製ブラケットに対する熱交換器の組み付け時、ヘアピン部を長穴内に挿入し、その外周側を一対の係合爪の内側面に接触させ、一対の係合爪を押し開くように弾性変形させて押し込むようにしているが、その際に、ヘアピン部の外周側を一対の係合爪の内側面に面で接触させることができる。従って、ヘアピン部に押し込み力が負荷された際の応力集中をなくし、ヘアピン部の変形や損傷を防止することができる。
【0017】
さらに、本発明の空気調和機は、上述のいずれかの空気調和機において、前記樹脂製ブラケットには、前記熱交換器を挿入する面と反対側の面に、該樹脂製ブラケットを水平状態に置くための少なくとも1以上の突部が一体成形されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、樹脂製ブラケットの熱交換器を挿入する面と反対側の面に、樹脂製ブラケットを水平状態に置くための少なくとも1以上の突部が一体成形されているため、樹脂製ブラケットに熱交換器を組み付ける際、樹脂製ブラケットを水平状態に置きその長穴内に熱交換器のヘアピン部を挿入して押し込み、係合爪に対してヘアピン部を係合支持させることができる。従って、樹脂製ブラケットと熱交換器との組み立ての容易化、安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、多数の長穴の中の選択された特定の長穴の両長辺部に沿って設けられている一対の係合爪でヘアピン部を両側から係合支持することにより、熱交換器が横方向に動いた場合でも、ヘアピン部が長穴からの抜けを防止し、熱交換器を樹脂製ブラケットに対してしっかりと固定力を確保して支持することができるため、空気調和機の輸送中の落下時の衝撃等による熱交換器の外れを確実に防止することができるとともに、タイラップバンドによる結束箇所を減らして組み立て工数を低減することができる。また、ヘアピン部を両側から係合支持する一対の係合爪の設置を選択した特定の長穴のみに限ることにより、一対の係合爪を弾性変形させて熱交換器を組み付ける際の組み付け力が過大とならないようにし、組み立ての容易性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の熱交換器取り付け状態を示す斜視図である。
図2】上記熱交換器と樹脂製ブラケットとを組み付けた状態の斜視図である。
図3】上記樹脂製ブラケット単体の斜視図である。
図4】上記熱交換器と樹脂製ブラケットとを組み付けた状態での図3中のA−A断面相当図である。
図5】上記熱交換器と樹脂製ブラケットとを組み付けた状態での図3中のB−B断面相当図である。
図6】上記樹脂製ブラケットに対する熱交換器の組み付け状態を説明する図4に対応する断面相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図6を参照して説明する。
図1には、本実施形態に係る空気調和機の熱交換器取り付け状態の斜視図が示され、図2には、その熱交換器と樹脂製ブラケットとを組み付けた状態の斜視図、図3には、樹脂製ブラケット単体の斜視図が示されている。
空気調和機1は、ユニット本体2を構成するベース3を備えている。ベース3には、熱交換器4、吹出し口アセンブリ7、図示省略の送風ファンおよびコントロールボックス等が組み込まれるとともに、それらの上面、左右側面および前面を覆うようにユニット本体2を構成する前面カバーおよび前面パネルが組み付けられるようになっている。
【0022】
熱交換器4は、所定ピッチで多数配列される伝熱管5に対して板状フィン6が所定間隔で多数枚配設されて構成されたフィンチューブ型の熱交換器とされている。この熱交換器4は、前面側熱交換器4Aと背面側熱交換器4BとがΛ形状に配置されて一体化されたものであり、ベース3の左右両側に固定設置されているブラケット8,9を介してユニット本体2内に組み込まれるようになっている。図示省略の送風ファンは、熱交換器4の内部空間に配設され、一端側がベース3の軸受部10に軸受を介して回転自在に支持されるとともに、他端側がブラケット9に組み付けられているモータ11の出力軸に連結されて設けられるものであり、本実施形態では、クロスフローファンが用いられている。
【0023】
吹出し口アセンブリ7は、スタビライザを含む吹出し風路形成部材、その吹出し風路形成部材に一体成形された前面側熱交換器4A用のドレンパン、吹出し風路形成部材に組み込まれる風向調整用のフラップおよびルーバ、そのフラップおよびルーバを回動するモータ等から構成されるものである。また、コントロールボックスは、ベース3の右側端部に組み込まれるものであり、リモコンからの操作信号等を受信して空気調和機の運転制御を行うものである。
【0024】
熱交換器4の一側部を固定支持するブラケット8は、ABS樹脂、PP樹脂等の樹脂材により一体成形されたブラケット(以下、樹脂製ブラケットという。)であり、熱交換器4の側面形状に相似する所定板厚の固定基板12を備えている。この固定基板12は、熱交換器4の一側と対向する側の面が平面とされており、その平面に熱交換器4の側面から側方に突出されている伝熱管5の多数のヘアピン部5Aの配列に対応するように、各ヘアピン部5Aを挿入可能な多数の長穴13が設けられた構成とされている。
【0025】
固定基板12の外側面(反熱交換器組み付け側の側面)には、熱交換器4のヘアピン部5Aを挿入する多数の長穴13の周囲に沿って、あるいは固定基板12自体の周辺部等に沿って、ヘアピン部5Aの支持面用あるいは固定基板12自体の剛性・強度確保用の所定高さを有する多数の立ち上げ壁(リブ壁)14が一体に成形されている。
【0026】
この立ち上げ壁14は、多数の長穴13の中の選択された特定の長穴13、すなわち前面側熱交換器4Aにおける前後方向3列のヘアピン部5Aの中の中央列のヘアピン部5Aの上下方向に沿う3箇所のヘアピン部5Aに対応する3箇所の長穴13A,13B,13Cと、背面側熱交換器4Bにおける前後方向3列のヘアピン部5Aの中の後方2列のヘアピン部5Aの最下方の2箇所のヘアピン部5Aに対応する2箇所の長穴13D,13Eに対しては、その全周に沿って設けられ、その他の長穴13に対しては、長辺部の一辺側のみに沿って設けられている。
【0027】
特定の長穴13Aないし13Eの全周に沿って設けられている立ち上げ壁14の両長辺部に沿う立ち上げ壁14には、それぞれ所定の間隔で2条のスリット状の切り込み15が設けられ、その2条のスリット状切り込み15の間に、弾性変形可能な対向する一対の係合爪16が、各長穴13Aないし13E毎に設けられている。この長穴13Aないし13Eの両側に設けられる一対の係合爪16は、各長穴13Aないし13Eに挿入された熱交換器4のヘアピン部5Aを両側から係合支持するものである。
【0028】
各長穴13Aないし13Eに設けられる一対の係合爪16は、図4ないし図6に示されるように、ヘアピン部5Aを係合支持する外側面16Aが、ヘアピン部5Aの内周側5Bの曲率に沿った曲面形状とされている。また、ヘアピン部5Aを長穴13Aないし13Eに挿入して押し込み、一対の係合爪16に係合支持させる際、ヘアピン部5Aの外周側5Cが当接される一対の係合爪16の内側面16Bは、ヘアピン部5Aの外周側5Cの曲率に沿った曲面形状とされている。
【0029】
これによって、熱交換器4のヘアピン部5Aは、一対の係合爪16の外側面16Aのヘアピン部5Aの内周側5Bの曲率に沿った曲面により面で係合支持されるとともに、ヘアピン部5Aを長穴13Aないし13Eに挿入して押し込み、一対の係合爪16を弾性変形させて係合支持する際に、ヘアピン部5Aの外側面16Aを、その曲率に沿った曲面とされている一対の係合爪16の内側面16Bに面で接触させて押し込めるようにすることができる。
【0030】
また、上記長穴13Aないし13E以外の長穴13に対しては、その長辺の一側に沿って設けられている立ち上げ壁14に、それぞれヘアピン部5Aを片側からのみ係合支持する係合爪17が設けられた構成とされている。なお、この係合爪17の外側面および内側面を、係合爪16の外側面16Aおよび内側面16Bと同様の構成としてもよいことはもちろんである。また、樹脂製ブラケット8には、その固定基板12の後方端側の上下2箇所に、ユニット本体2を構成するベース3に対して樹脂製ブラケット8をビス等により締め付け固定するための固定ボス部18が一体に成形されている。
【0031】
更に、固定基板12の前方端側の上下方向中間位置には、樹脂製ブラケット8を水平状態に置くための少なくとも1以上の突部19が一体に成形されており、この突部19等を用いて樹脂製ブラケット8を、立ち上げ壁14、係合爪16,17、固定ボス部18および突部19が設けられている面を下にして水平状態に置き、その長穴13,13Aないし13Eに熱交換器4のヘアピン部5Aを挿入し、そのヘアピン部5Aを係合爪16,17により係合支持される位置まで弾性変形させて押し込むことによって、図2に示されるように、熱交換器4と樹脂製ブラケット8とが一体的に組み付け可能とされている。
【0032】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
熱交換器4は、その左右両端部に組み付けられている樹脂製ブラケット8およびブラケット9を、ユニット本体2を構成するベース3に対して固定ボス部18等を複数箇所で締め付け固定することによって組み込まれる。また、樹脂製ブラケット8の熱交換器4に対する組み付けは、固定基板12の立ち上げ壁14、係合爪16,17、固定ボス部18および突部19が設けられている面側に下にして樹脂製ブラケット8を水平に置き、その長穴13,13Aないし13Eに熱交換器4のヘアピン部5Aを挿入して押し込み、係合爪16,17によりヘアピン部5Aを係合支持することによって一体に組み付けられる。
【0033】
この熱交換器4と樹脂製ブラケット8との組み付け時、図6に示されるように、長穴13Aないし13Eに挿入されるヘアピン部5Aの外周側5Cは、まず破線で示されるように一対の係合爪16の内側面16Bに面で接触し、一対の係合爪16を押し開くように弾性変形させて各長穴13Aないし13Eに押し込まれる。そして、ヘアピン部5Aが一対の係合爪16を通過し、係合爪16が元の位置に弾性復帰されることにより、実線で示されるように、その外側面16Aでヘアピン部5Aの内周側5Bが面で係合支持されることになる。
【0034】
このように、熱交換器4のヘアピン部5Aを、選択された特定の5箇所の長穴13Aないし13E位置において、その両長辺部に設けられている一対の係合爪16により、両側から係合支持し、他の長穴13位置では、一側の長辺に設けられている係合爪17によって片側から係合支持することによって、樹脂製ブラケット8に対してしっかりと固定力を確保して係合支持することができる。
【0035】
そして、必要に応じて、樹脂製ブラケット8をベース3に固定する固定ボス部18に近い1箇所で、ヘアピン部5Aと樹脂製ブラケット8とをタイラップバンドにより結束することによって、輸送中の落下時の衝撃等による熱交換器4の外れを十分に防止できるように熱交換器4をベース3に対して組み付けることができる。
【0036】
斯くして、本実施形態によると、空気調和機1の輸送中における落下時の衝撃による熱交換器4の外れを確実に防止することができるとともに、タイラップバンドによる結束箇所を減らして組み立て工数を低減することができる。また、熱交換器4のヘアピン部5Aを両側から係合支持する係合爪16の設置を選択した特定の長穴13Aないし13Eのみに限ることで、係合爪16を弾性変形させて熱交換器4を組み付ける際の組み付け力が過大とならないようにし、組み立ての容易性を確保することができる。
【0037】
また、本実施形態では、長穴13,13Aないし13Eの周囲に沿って立ち上げ壁14が設けられ、一対の係合爪16が立ち上げ壁14の一部を利用しその両側にスリット状の切り込み15を設けることにより形成されている。このため、各長穴13Aないし13Eの両長辺部に沿って設けられる一対の係合爪16を、その周囲に設けられているヘアピン部5Aの支持面となる立ち上げ壁14と一体的に、各々スリット状の切り込み15を設けることによって弾性変形可能に形成することができる。従って、各長穴13Aないし13Eに弾性変形してヘアピン部5Aを受け入れ可能な一対の係合爪16を簡易に形成することができる。
【0038】
また、上記一対の係合爪16のヘアピン部5Aを係合支持する外側面16Aが、ヘアピン部5Aの内周側5Bの曲率に沿った曲面形状とされているため、ヘアピン部5Aの内周側5Bを一対の係合爪16の外側面16Aによって面で支持することができる。これによって、ヘアピン部5Aに荷重が負荷された際の応力集中をなくし、ヘアピン部5Aの変形や損傷を防止することができる。
【0039】
さらに、上記一対の係合爪16のヘアピン部5Aを挿入するときに接触する内側面16Bがヘアピン部5Aの外周側5Cの曲率に沿った曲面形状とされている。このため、樹脂製ブラケット8に対する熱交換器4の組み付け時、ヘアピン部5Aを長穴13Aないし13E内に挿入し、その外周側5Cを一対の係合爪16の内側面16Bに接触させ、一対の係合爪16を押し開くように弾性変形させて押し込むようにしているが、その際に、ヘアピン部5Aの外周側5Cを一対の係合爪16の内側面16Bに面で接触させることができる。従って、ヘアピン部5Aに押し込み力が負荷された際の応力集中をなくし、ヘアピン部5Aの変形や損傷を防止することができる。
【0040】
また、本実施形態においては、樹脂製ブラケット8の熱交換器4を挿入する面と反対側の面に、樹脂製ブラケット8を水平状態に置くための少なくとも1以上の突部19が一体成形されているため、樹脂製ブラケット8に熱交換器4を組み付ける際、樹脂製ブラケット8を水平状態に置きその長穴13,13Aないし13E内に熱交換器4のヘアピン部5Aを挿入して押し込み、係合爪16,17に対してヘアピン部5Aを係合支持させることができる。従って、樹脂製ブラケット8と熱交換器4との組み立ての容易化、安定化を図ることができる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、一対の係合爪16を設ける特定の長穴13Aないし13Eを5箇所に限っているが、これは限定されるものでないことは云うまでなく、熱交換器4の大きさやヘアピン部5Aの数、樹脂製ブラケット8を組み付ける際の押し込み力、樹脂製ブラケット8による熱交換器4の固定保持力等に応じて、適宜設定すればよい。
【0042】
また、熱交換器4の形状も上記実施形態の如く、前面側熱交換器4Aと背面側熱交換器4BとがΛ形状に配置されたものに限定されるものではなく、様々な形状を採用できることはもちろんであり、従って、樹脂製ブラケット8の形状も、それに合わせて様々な形状に変更されるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 空気調和機
2 ユニット本体
3 ベース
4 熱交換器
5 伝熱管
5A ヘアピン部
5B 内周側
5C 外周側
8 樹脂製ブラケット
13 長穴
13A,13B,13C,13D,13E 特定の長穴
14 立ち上げ壁
15 スリット状の切り込み
16 一対の係合爪
16A 外側面
16B 内側面
19 突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6