特許第6336326号(P6336326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 現代自動車株式会社の特許一覧

特許6336326車両チューブラーバックビーム及びその製造方法
<>
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000002
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000003
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000004
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000005
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000006
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000007
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000008
  • 特許6336326-車両チューブラーバックビーム及びその製造方法 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336326
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】車両チューブラーバックビーム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/04 20060101AFI20180528BHJP
   B60R 19/24 20060101ALI20180528BHJP
   B21D 53/88 20060101ALI20180528BHJP
   B23K 9/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B60R19/04 M
   B60R19/24 N
   B21D53/88 Z
   B23K9/00 501C
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-94787(P2014-94787)
(22)【出願日】2014年5月1日
(65)【公開番号】特開2015-85927(P2015-85927A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2017年1月4日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0129621
(32)【優先日】2013年10月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョン、ギョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ソク、ジェ
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−221920(JP,A)
【文献】 特開2012−153254(JP,A)
【文献】 特開2003−252134(JP,A)
【文献】 特開2005−305539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/04
B21D 53/88
B23K 9/00
B60R 19/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状に形成され、少なくとも一つ以上の平面を備え、平面どうし面着して上下積層構造に結合された複数のメインバックビームと、
前記メインバックビームの両端後面に前方側端部が結合され、後方側端部は車体側メンバーに結合されて設置され、前記前方側端部において縦方向面が上下積層構造に結合された複数のメインバックビームに全体的に連結されるように結合された一対のクラッシュボックスと、を含むことを特徴とする、車両用チューブラーバックビーム。
【請求項2】
前記メインバックビームにおいて前記クラッシュボックスが結合された部位に一端が分離可能に結合された牽引フックをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の車両用チューブラーバックビーム。
【請求項3】
前記複数のメインバックビームは、剛性確保のために、それぞれ断面四角形に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用チューブラーバックビーム。
【請求項4】
前記複数のメインバックビームは、平面どうし面着した部位が互いに熔接で結合されたことを特徴とする、請求項1に記載の車両用チューブラーバックビーム。
【請求項5】
長手方向に沿って一側が開口した断面“コ”字形に形成されたサポートバックビーム
断面四角形の管状に形成され、前記サポートバックビームの開口部を密閉するように一面が前記サポートバックビームの開口部内に挿入されて前記サポートバックビームと上下積層構造を成すように結合されたメインバックビーム;及び
前記メインバックビーム及び前記サポートバックビームの両端後面に前方側端部が結合され、後方側端部は車体側メンバーに結合されて設置され、前記前方側端部において縦方向面が上下積層構造に結合された複数のメインバックビーム及びサポートバックビームに全体的に連結されるように結合された一対のクラッシュボックスを含むことを特徴とする、車両用チューブラーバックビーム。
【請求項6】
前記メインバックビームの上面と下面のいずれか一面だけが前記サポートバックビームの開口部内に挿入されるように結合されたことを特徴とする、請求項に記載の車両用チューブラーバックビーム。
【請求項7】
前記サポートバックビームは前記メインバックビームの上下部にそれぞれ配置される一対からなり、
前記メインバックビームの上面と下面が一対の前記サポートバックビームの開口部内にそれぞれ挿入されるように結合されたことを特徴とする、請求項に記載の車両用チューブラーバックビーム。
【請求項8】
炭素を含有する管状素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング(hot stamping)工法で加工して、少なくとも一つ以上の平面が長手方向に沿って備えられたメインバックビームを製作するメインバックビームの製作段階
前記メインバックビームを平面どうし面着するように上下積層構造に結合させて完製品のチューブラーバックビームを製作するチューブラーバックビームの製作段階;及び
前記メインバックビームの両端後面に前方側端部が結合され、後方側端部は車体側メンバーに結合されて設置され、前記前方側端部において縦方向面が上下積層構造に結合された複数のメインバックビームに全体的に連結されるように結合された一対のクラッシュボックスの製作段階を含むことを特徴とする、車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【請求項9】
前記メインバックビームは、剛性確保のために、断面四角形に製作されたことを特徴とする、請求項に記載の車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【請求項10】
前記チューブラーバックビームは、前記メインバックビームの平面どうし面着した部位をアーク熔接で結合して製作されたことを特徴とする、請求項に記載の車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【請求項11】
炭素を含有する素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング工法で加工して、長手方向に沿って一側が開口した断面“コ”字形のサポートバックビームを製作するサポートバックビームの製作段階;
炭素を含有する管状素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング工法で加工して、断面四角形を有するメインバックビームを製作するメインバックビームの製作段階;及び
前記サポートバックビームと前記メインバックビームを上下積層構造に結合させて完製品のチューブラーバックビームを製作するチューブラーバックビームの製作段階;及び
前記メインバックビーム及び前記サポートバックビームの両端後面に前方側端部が結合され、後方側端部は車体側メンバーに結合されて設置され、前記前方側端部において縦方向面が上下積層構造に結合された複数のメインバックビーム及びサポートバックビームに全体的に連結されるように結合された一対のクラッシュボックスの製作段階を含むことを特徴とする、車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【請求項12】
前記チューブラーバックビームは、前記メインバックビームの一面を前記サポートバックビームの開口部内に挿入した後、前記サポートバックビームの両端と前記メインバックビームの重畳部位をアーク熔接で結合して製作することを特徴とする、請求項11に記載の車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【請求項13】
前記チューブラーバックビームは、一つの前記サポートバックビームと一つの前記メインバックビームが積層式で結合されて製作されたことを特徴とする、請求項12に記載の車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【請求項14】
前記チューブラーバックビームは、前記メインバックビームの上下側に前記サポートバックビームがそれぞれ積層式で結合されて製作されたことを特徴とする、請求項12に記載の車両用チューブラーバックビームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用チューブラーバックビーム及びその製造方法に係り、より詳しくは複数のチューブラー(Tubular)バックビームを上下積層構造に面着して結合させた車両用チューブラーバックビーム及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の衝突事故に対して車体を保護し、ひいては乗客を保護するための方案として車両の前後方にバックビームを装着している。
【0003】
図1にはチューブラーバックビームの一例が示されている。従来のチューブラーバックビーム1は、断面円形の上部ビーム1aと下部ビーム1bが上下側に隔たって設置され、連結ブラケット1cで前記上部ビーム1aと下部ビーム1bの中間部位が連結され、前記上部ビーム1aと下部ビーム1bの両端には、サイドメンバー2との結合のために、ステイ3またはクラッシュボックス(crash box)が結合された構造である。
【0004】
前記のように構成されたチューブラーバックビーム1は、一般的な一体型バックビームより重量及び原価の低減効果があり、特に上部ビーム1aと下部ビーム1bがそれぞれ衝突エネルギーを分散して吸収することにより、効果的に衝突に対する保護性能を満足することができる利点がある。
【0005】
ところが、前記のような従来のチューブラーバックビーム1は、上部ビーム1aと下部ビーム1bが互いに分離されて構成され、互いに分離された上部ビーム1aと下部ビーム1bが連結ブラケット1cで連結された構造であるため、従来のチューブラーバックビーム1は上部ビーム1aと下部ビーム1bの連結剛性が足りなく、衝突事故の際に衝突エネルギーによって上部ビーム1aと下部ビーム1bが上下に広がることになる確率が高く、この場合、衝突に効果的に対応することができなくなるので、車体の破損が増加して乗客の負傷が増大する欠点が発生するようになる。
【0006】
また、従来のチューブラーバックビーム1は、一般的なスチールパイプ素材をプレス成形するかあるいは押出し成形によって上部ビーム1aと下部ビーム1bを製作する方法によって製作され、前記のように製作された上部ビーム1aと下部ビーム1bは厚さが厚くて重量が重く、特に強度が低いため十分な衝突性能を満足させにくい欠点もある。
【0007】
前記の背景技術として説明した事項は本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、この技術分野で通常の知識を持った者に既に知られた従来技術に属するものであることを認めることに理解してはいけない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−396437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は前述したような欠点を解消するためになされたもので、複数のチューブラーバックビームを上下積層構造に面着結合させた車両用チューブラーバックビームを提供することにより、上下面着結合構造によって連結剛性及び曲げ剛性を大きく増大させることができ、これにより十分な衝突剛性を確保して車体及び乗客に対する保護性能をより一層向上させるようにすることにその目的がある。
【0010】
また、本発明は、軽量化及び強度増大をはかるために、スチールパイプの厚さを冷間圧延で減らした後、ホットスタンピング加工して製作された素材をチューブラーバックビームとして使うようにすることに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述したような目的を達成するための本発明一実施例による車両用チューブラーバックビームは、管状に形成され、少なくとも一つ以上の平面を備え、平面どうし面着して上下積層構造に結合された複数のメインバックビームを含むことを特徴とする。
【0012】
前記メインバックビームの両端後面に前方側端部が結合され、後方側端部は車体側メンバーに結合されて設置され、前記前方側端部において縦方向面が上下積層構造に結合された複数のメインバックビームに全体的に連結されるように結合された一対のクラッシュボックスをさらに含むことができる。
【0013】
前記メインバックビームにおいて前記クラッシュボックスが結合された部位に一端が分離可能に結合された牽引フックをさらに含むことができる。
【0014】
前記複数のメインバックビームは、剛性確保のために、それぞれ断面四角形に形成されることができる。
【0015】
前記複数のメインバックビームは、平面どうし面着した部位が互いに熔接で結合されることができる。
【0016】
また、本発明の他の実施例による車両用チューブラーバックビームは、長手方向に沿って一側が開口した断面“コ”字形に形成されたサポートバックビーム;及び断面四角形の管状に形成され、前記サポートバックビームの開口部を密閉するように一面が前記サポートバックビームの開口部内に挿入されて前記サポートバックビームと上下積層構造を成すように結合されたメインバックビーム;を含むことを特徴とする。
【0017】
前記メインバックビームの上面と下面のいずれか一面だけが前記サポートバックビームの開口部内に挿入されるように結合されることができる。
【0018】
前記サポートバックビームは前記メインバックビームの上下部にそれぞれ配置される一対からなり、前記メインバックビームの上面と下面が一対の前記サポートバックビームの開口部内にそれぞれ挿入されるように結合されることができる。
【0019】
また、本発明の一実施例による車両用チューブラーバックビームの製造方法、炭素を含有する管状素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング(hot stamping)工法で加工して、少なくとも一つ以上の平面が長手方向に沿って備えられたメインバックビームを製作するメインバックビームの製作段階;及び前記メインバックビームを平面どうし面着するように上下積層構造に結合させて完製品のチューブラーバックビームを製作するチューブラーバックビームの製作段階;を含むことを特徴とする。
【0020】
前記メインバックビームは、剛性確保のために、断面四角形に製作されることができる。
【0021】
前記チューブラーバックビームは、前記メインバックビームの平面どうし面着した部位をアーク熔接で結合して製作されることができる。
【0022】
また、本発明の他の実施例による車両用チューブラーバックビームの製造方法は、炭素を含有する素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング工法で加工して、長手方向に沿って一側が開口した断面“コ”字形のサポートバックビームを製作するサポートバックビームの製作段階;炭素を含有する管状素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング工法で加工して、断面四角形を有するメインバックビームを製作するメインバックビームの製作段階;及び前記サポートバックビームと前記メインバックビームを上下積層構造に結合させて完製品のチューブラーバックビームを製作するチューブラーバックビームの製作段階;を含むことを特徴とする。
【0023】
前記チューブラーバックビームは、前記メインバックビームの一面を前記サポートバックビームの開口部内に挿入した後、前記サポートバックビームの両端と前記メインバックビームの重畳部位をアーク熔接で結合して製作することができる。
【0024】
前記チューブラーバックビームは、一つの前記サポートバックビームと一つの前記メインバックビームが積層式で結合されて製作されることができる。
【0025】
前記チューブラーバックビームは、前記メインバックビームの上下側に前記サポートバックビームがそれぞれ積層式で結合されて製作されることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、冷間圧延加工後、ホットスタンピング工法で加工された複数のメインメンバーまたはメインバックビームとサポートメンバーが上下積層式で直接連結されるかあるいは上下積層式で面着結合された構造によって、製作完成されたチューブラーバックビームの剛性を大幅増大させることができ、これにより十分な衝突剛性を確保することによって車体及び乗客に対する保護性能をより一層向上させることができ、ひいては軽量化をはかることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来の車両用チューブラーバックビームを説明するための図である。
図2】本発明による車両用チューブラーバックビームの斜視図である。
図3】本発明の一実施例によるチューブラーバックビームの図2のI−I線について断面図である。
図4図3とは異なる実施例の断面図である。
図5】本発明の他の実施例によるチューブラーバックビームの断面図である。
図6】本発明の他の実施例によるチューブラーバックビームの断面図である。
図7】本発明によるチューブラーバックビームの製造方法を説明するための図である。
図8】本発明によるチューブラーバックビームの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例による車両用チューブラーバックビーム及びその製造方法について詳細に説明する。
【0029】
本発明の一実施例による車両用チューブラーバックビーム10は、図2図4に示すように、管状(bubular)に形成され、少なくとも一つ以上の平面11aを備え、平面11aどうし面着して上下積層構造に結合された複数のメインバックビーム11を含む構成である。
【0030】
すなわち、本発明によるチューブラーバックビーム10は、断面四角形に形成された複数のメインバックビーム11が平面11aどうし面着するように上下に積層した状態で、平面どうし面着した部位が互いにアーク熔接で一体に結合された構造である。
【0031】
ここで、メインバックビーム11が断面四角形に形成された理由は、それぞれのメインバックビーム11が十分な剛性を確保することができるようにするためであり、これにより車体及び乗客の保護性能をより一層向上させることができる利点がある。
【0032】
一例として、メインバックビーム11が真円の断面構造のチューブラービームで形成されることもできるが、前記真円の断面構造は断面四角形の構造に比べて剛性に劣る欠点があるが、本発明はメインバックビーム11が高剛性を確保するために、真円の断面構造を避けた断面四角形の構造に形成することを要旨とする。
【0033】
そして、断面四角形に形成されたメインバックビーム11の平面11aどうし面着して互いに結合されれば、中間の前後方向への断面厚さT1は増大し、これによりチューブラーバックビーム10の曲げ剛性を大幅増大させることによって衝突性能をより一層向上させることができるようになる。
【0034】
そして、本発明のように、複数のメインバックビーム11が上下積層式で互いに面着して結合されれば、衝突事故の際、メインバックビーム11どうし上下に広がる従来の欠点を無くすことができるようになる。これにより車体及び乗客に対する保護性能をより一層向上させることができるようになる。
【0035】
本発明の一実施例による車両用チューブラーバックビーム10は、図3のように、二つのメインバックビーム11が上下に積層するように面着して結合された構造となることができ、必要によっては図4のように三つのメインバックビーム11が上下に積層するように面着して結合された構造となることもできる。
【0036】
図4の構造は図3の構造に比べて重量が増加する欠点があるが、相対的に向上した強度によって車体及び乗客に対する保護性能がより一層向上した利点があり、主に安全に重点を置いた車両に好適な構造になる。
【0037】
一方、本発明による車両用チューブラーバックビーム10は、前記メインバックビーム11の両端後面に前方側端部が結合され、後方側端部は車体側メンバー(車体のいずれかの部材)に結合されて設置され、前記前方側端部の中で縦方向面(縦方向に延びる面)が上下積層構造に結合された複数のメインバックビーム11に全体的に(例えば当該縦方向面の全面で)連結されるように結合された一対のクラッシュボックス12をさらに含む。
【0038】
前記のように、上下積層構造に結合されたすべてのメインバックビーム11にクラッシュボックス12が連結されれば、クラッシュボックス12の結合剛性を大幅向上させることができ、これにより衝撃吸収性能をより一層向上させることができる利点がある。
【0039】
また、本発明による車両用チューブラーバックビーム10は、前記メインバックビーム11において前記クラッシュボックス12が結合された部位に一端が分離可能に結合された牽引フック13をさらに含む構成である。前記のように結合された牽引フック13はより安定した結合力を保有することができるようになる。
【0040】
そして、本発明の他の実施例による車両用チューブラーバックビーム10は、図5及び図6に示すように、長手方向に沿って一側が開口した断面“コ”字形に形成されたサポートバックビーム14及び、断面四角形の管状に形成され、前記サポートバックビーム14の開口部を覆う又は密閉するように一面が前記サポートバックビーム14の開口部内に挿入されて前記サポートバックビーム14と上下積層構造を成すように結合されたメインバックビーム11を含む構成である。
【0041】
すなわち、本発明のチューブラーバックビーム10は、断面四角形に形成されたメインバックビーム11と断面“コ”字形に一側が開口するように形成されたサポートバックビーム14が上下に積層した状態で互いにアーク熔接によって一体に結合された構造である。
【0042】
図5の構造は、図3の構造に比べて、かつ図6の構造は図4の構造に比べて、それぞれ強度が低い欠点はあるが、相対的に重量を減少させることができる利点があるので、主に補給型車両または軽自動車に好適な構造となる。
【0043】
一方、本発明車両用チューブラーバックビーム10は、図5のように、一つのメインバックビーム11と一つのサポートバックビーム14とからなり、前記メインバックビーム11の上面と下面のいずれか一面だけが前記サポートバックビーム14の開口部内に挿入するように結合された構造となることができ、あるいは図6のように一つのメインバックビーム11と二つのサポートバックビーム14とからなり、メインバックビーム11の上下部にサポートバックビーム14がそれぞれ配置されるように結合された構造となることもできる。
【0044】
図6の構造は図5の構造に比べて重量の増加する欠点があるが、相対的に車体及び乗客に対する保護性能をより一層向上させる利点がある。
【0045】
以下、本発明によるチューブラーバックビームの製造方法について説明する。
【0046】
本発明の一実施例による製造方法は、図3図4及び図7のように、複数のメインバックビーム11を互いに積層式で結合して製作する方法であり、炭素を含有する管状素材21を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング(hot stamping)工法で加工して、少なくとも一つ以上の平面11aを長手方向に沿って備えたメインバックビーム11を製作するメインバックビームの製作段階;及び前記メインバックビーム11を平面11aどうし面着するように上下積層構造に結合させて完製品のチューブラーバックビーム10を製作するチューブラーバックビームの製作段階;を含む。
【0047】
ここで、炭素を含有する管状素材21を冷間圧延で加工すれば、素材21の厚さがおよそ50%に減り、これにより軽量化をはかることができるようになる。
【0048】
また、冷間圧延によって厚さが減った素材を続いてホットスタンピング(hot stamping)工法で加工すれば、製作完成されたメインバックビーム11の引張強度はおよそ30%増大するようになる。
【0049】
すなわち、素材を冷間圧延した後にホットスタンピング工法で加工することで製作された本発明によるメインバックビーム11は、一般的な押出し加工またはロールフォーミング加工で製作されたバックビームより厚さが薄くて向上した強度を有することができる利点があり、これにより一層向上した車体及び乗客に対する保護性能を持つことができるようになる。
【0050】
ここで、前記メインバックビーム11は、剛性確保のために、断面四角形に製作されることが好ましく、また前記メインバックビーム11の平面11a同士は面着した部位がアーク熔接で結合されることが好ましい。
【0051】
前記アーク熔接(arc welding)はバックビーム製作時に通常使用するスポット熔接に比べて熔接時間を縮めることができるので、生産性の向上をはかることができる利点がある。
【0052】
本発明の他の実施例による製造方法は、図5図6及び図8のように、メインバックビーム11とサポートバックビーム14を互いに積層式で結合して製作する方法であり、炭素を含有する素材31を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング(hot stamping)工法で加工して長手方向に沿って一側が開口した断面“コ”字形のサポートバックビーム14を製作するサポートバックビームの製作段階;炭素を含有する管状素材21を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング(hot stamping)工法で加工して断面四角形を有するメインバックビーム11を製作するメインバックビームの製作段階;及び前記サポートバックビーム14と前記メインバックビーム11を上下積層構造に結合して完製品のチューブラーバックビーム10を製作するチューブラーバックビームの製作段階;を含む。
【0053】
ここで、サポートバックビーム14を製作するのに使われる炭素を含有する素材31は管状ではない平板状の素材が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0054】
そして、前記チューブラーバックビーム10を製作するときには、前記メインバックビーム11の一面を前記サポートバックビーム14の開口部内に挿入した後、前記サポートバックビーム14の両端と前記メインバックビーム11の重畳部位(重なった部位)をアーク熔接で結合して製作するようになる。
【0055】
また、前記チューブラーバックビーム10は、図5のように、一つの前記サポートバックビーム14と一つの前記メインバックビーム11が積層式で結合されて製作されるか、あるいは図6のように前記メインバックビーム11の上下側に前記サポートバックビーム14がそれぞれ積層式で結合されて製作されることができる。
【0056】
以上説明したように、本発明の実施例によるチューブラーバックビーム10は、複数のメインバックビーム11どうし上下積層式で面着構造に結合されるか、あるいはメインバックビーム11とサポートバックビーム14が上下積層式で直接連結されて結合される構造である。これにより、チューブラーバックビーム10の剛性(連結部品の面着構造による連結剛性及び曲げ剛性)を大幅増大させることができるので、十分な衝突剛性を確保することができ、この結果、車体及び乗客に対する保護性能をより一層向上させる利点がある。
【0057】
また、本発明によるチューブラーバックビーム10は、バックビームの素材を冷間圧延で加工した後、ホットスタンピング加工して製作することにより、チューブラーバックビーム10の軽量化及び強度向上を図ることができる利点もある。
【0058】
以上、本発明を特定の実施例に基づいて図示して説明したが、以下の特許請求範囲によって決められる本発明の技術的思想を逸脱しない範疇内で、本発明を多様に改良及び変形させることができるというのは当該分野で通常の知識を持った者に明らかであろう。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、複数のチューブラーバックビームを上下積層構造に面着結合させた車両用チューブラーバックビームに適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 チューブラーバックビーム
11 メインバックビーム
12 クラッシュボックス
13 牽引フック
14 サポートバックビーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8