特許第6336345号(P6336345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336345ダイヤフラム弁、流体制御装置、半導体製造装置および半導体製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336345
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ダイヤフラム弁、流体制御装置、半導体製造装置および半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 7/12 20060101AFI20180528BHJP
   F16K 7/16 20060101ALI20180528BHJP
   F16K 7/17 20060101ALI20180528BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20180528BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F16K7/12 B
   F16K7/16 C
   F16K7/17 B
   H01L21/205
   H01L21/302 101G
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-134979(P2014-134979)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-11744(P2016-11744A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年3月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一誠
(72)【発明者】
【氏名】四方 出
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−105554(JP,A)
【文献】 特開2012−026577(JP,A)
【文献】 特開2006−083959(JP,A)
【文献】 特開2002−147623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/12; 7/16; 7/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流入通路、流体流出通路および上向きに開口した凹所が設けられたボディと、ボディに形成された流体流入通路の周縁に配置された環状のシートと、シートに押圧・離間されることで流体流入通路の開閉を行う弾性変形可能な自然状態で球殻状ダイヤフラムと、ダイヤフラムの外周縁部をボディの凹所底面との間で保持する押さえアダプタと、ダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押さえと、ダイヤフラム押さえを上下移動させる上下移動手段とを備えているダイヤフラム弁において、
ボディ凹所底面の平坦部に、流体流出通路の凹所の底面に開口している部分を含むように、ざぐり部が設けられていることを特徴とするダイヤフラム弁。
【請求項2】
ざぐり部の底面は、シートの外周面からダイヤフラムの外周縁部を支持する部位の内縁まで平坦であり、シートは内側からのかしめのみでボディに固定されることを特徴とする請求項1に記載のダイヤフラム弁。
【請求項3】
弁開時、前記ダイヤフラムの直径に対する、前記ダイヤフラムと圧接密着している前記凹所のダイヤフラム支持部から前記ダイヤフラムの頂点までの垂直距離との比が18:1〜30:1であり、前記頂点が接液側最下層の上面の頂点である請求項1または2に記載のダイヤフラム弁。
【請求項4】
ボディ凹所底面の平坦部の高さよりもシートの上端面の高さの方が高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダイヤフラム弁。
【請求項5】
流体流出通路の断面形状が、長孔とされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダイヤフラム弁。
【請求項6】
流体制御機器として、開閉弁を備えている流体制御装置であって、該開閉弁が請求項1〜5のいずれか1項に記載のダイヤフラム弁とされていることを特徴とする流体制御装置。
【請求項7】
半導体製造装置で使用されることを特徴とする請求項6に記載の流体制御装置。
【請求項8】
ガス供給部として請求項6に記載の流体制御装置を備えたことを特徴とする半導体製造装置。
【請求項9】
半導体製造装置は、CVD装置、スパッタリング装置またはエッチング装置であることを特徴とする請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体製造装置を使用して半導体を製造することを特徴とする半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダイヤフラム弁、流体制御装置、半導体製造装置および半導体製造方法に関し、特に、半導体製造装置のガス供給部での使用に適し、必要流量を維持しながら装置全体の小型化に寄与するため小型化されたダイヤフラム弁、このようなダイヤフラム弁を備えた流体制御装置、この流体制御装置を備えた半導体製造装置およびこの半導体製造装置を使用した半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置(CVD、エッチング装置など)におけるガス供給部(流体制御装置)として、従来、例えば図7に示したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
図7において、流体制御装置の1つのライン(C)は、複数の上段部材および複数の下段部材からなり、上段部材として、逆止弁(21)、プレッシャレギュレータ(22)、圧力センサ(23)、逆V字状通路ブロック(24)、遮断開放器(25)、マスフローコントローラ(26)、開閉弁(27)、逆V字状通路ブロック(28)およびフィルタ(29)が配置されるとともに、下段部材として、左から順に、逆止弁(21)に接続されかつ入口継手(31)が取り付けられたL字状通路ブロック継手(32)と、逆止弁(21)とプレッシャレギュレータ(22)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、プレッシャレギュレータ(22)と圧力センサ(23)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、圧力センサ(23)と逆V字状通路ブロック(24)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、逆V字状通路ブロック(24)と遮断開放器(25)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、遮断開放器(25)とマスフローコントローラ(26)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、マスフローコントローラ(26)と開閉弁(27)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、開閉弁(27)と逆V字状通路ブロック(28)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、逆V字状通路ブロック(28)とフィルタ(29)とを連通するV字状通路ブロック継手(33)と、フィルタ(29)に接続されかつ出口継手(34)が取り付けられたL字状通路第ブロック継手(32)とが配置されている。
【0004】
そして、下段部材としての各種継手部材(31)(32)(33)(34)が1つの細長い副基板(40)上に載せられるとともに、これらの下段部材(31)(32)(33)(34)にまたがって上段部材としての各種流体制御機器(21)(22)(23)(24)(25)(26)(27)(28)(29)が取り付けられることで1つのライン(C)が形成され、このライン(C)と類似の構成とされた複数のラインが主基板(20)上に並列に配置されるとともに、各ライン(C)の遮断開放器(25)同士が、3つのI字状通路ブロック継手(51)およびI字状通路ブロック継手(51)同士を接続するチューブ(52)からなる通路接続手段(50)により接続されることにより、流体制御装置が形成される。
【0005】
半導体製造プロセスは、パーティクル介在によるパターン欠陥を防ぐため、クリーンルーム内で行われる。クリーンルームの容積増加に比例して、建設時のイニシャル費、及びランニングコストが増加する。ランニングコスト等の増加は製造コストの増加につながる。従って、クリーンルーム内で常設使用される半導体製造装置では、装置全体の小型化が課題となっており、そのため、半導体製造装置で使用される流体制御装置においても、小型化が大きな課題となっている。
【0006】
小型化されたダイヤフラム弁として、特許文献2には、流体流入通路、流体流出通路および上向きに開口した凹所が設けられたボディと、ボディに形成された流体流入通路の周縁に配置されたシートと、シートに押圧・離間されることで流体流入通路の開閉を行う弾性変形可能な球殻状ダイヤフラムと、ダイヤフラムの外周縁部をボディの凹所底面との間で保持する押さえアダプタと、ダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押さえと、ダイヤフラム押さえを上下移動させる上下移動手段とを備えているものが開示されている。
【0007】
ダイヤフラム弁では、ダイヤフラムは、開閉操作が行われるごとに、大きく変形することから、その耐久性を向上することが重要なものとなっている。
【0008】
ダイヤフラム弁を小型化する際には、ダイヤフラムも小型化され、これに伴い、シートとダイヤフラムとの間の空間幅が狭まることで、流量が低下する。当該流量低下を防ぐため、シートとダイヤフラムとの間の空間幅を拡大すると、ダイヤフラムのストロークが大きくなり、結果として、ダイヤフラムの耐久性が低下するという問題がある。
【0009】
そこで、特許文献2のものでは、押さえアダプタは、その下面全体が所定の傾斜角度とされたテーパ状とされており、ボディの凹所底面は、円形の平坦部と、平坦部の外周に連なり平坦部に対して凹まされている凹部とを有しており、ダイヤフラムは、流体通路が開となっている状態において、外周縁部の上面が押さえアダプタのテーパ状下面と面接触し、外周縁部の下面がボディの凹所底面の平坦部の外周と線接触するようになされているとともに、押さえアダプタの下面のテーパ角度をボディの凹所底面の平坦部に対して15.5〜16.5°とし、ダイヤフラム押さえのダイヤフラムに当接している面の曲率半径を10.5〜12.5mmとすることで耐久性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−83959号公報
【特許文献2】特開2014−9765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のように、各種半導体製造装置においては、小型化が課題となっており、そのため、そのガス供給部で使用されるダイヤフラム弁についても、小型化が求められている。
【0012】
ダイヤフラム弁の小型化に際しては、耐久性向上が課題になり、耐久性を向上させようとすると、流量向上の課題が発生する。特許文献2の小型ダイヤフラム弁によると、耐久性の向上が図られているものの、流量の低下が大きく、流量を多くするという課題がある。
【0013】
この発明の目的は、小型化されたダイヤフラム弁の耐久性の低下を招かずに流量を多くすることができるダイヤフラム弁を提供することにある。
【0014】
また、この発明の目的は、このようなダイヤフラム弁を備えた流体制御装置、この流体制御装置を備えた半導体製造装置およびこの半導体製造装置を使用した半導体製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明によるダイヤフラム弁は、流体流入通路、流体流出通路および上向きに開口した凹所が設けられたボディと、ボディに形成された流体流入通路の周縁に配置されたシートと、シートに押圧・離間されることで流体流入通路の開閉を行う弾性変形可能な球殻状ダイヤフラムと、ダイヤフラムの外周縁部をボディの凹所底面との間で保持する押さえアダプタと、ダイヤフラムの中央部を押圧するダイヤフラム押さえと、ダイヤフラム押さえを上下移動させる上下移動手段とを備えているダイヤフラム弁において、ボディ凹所底面の平坦部に、流体流出通路の凹所の底面に開口している部分を含むように、溝が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
流体流入通路から流入した流体は、ボディの凹所の底面とダイヤフラムとによって囲まれた空間内に流入し、流体流出通路を経て外部へと流出する。
【0017】
押さえアダプタは、その下面全体が所定の傾斜角度とされたテーパ状とされており、ボディの凹所底面は、円形の平坦部と、平坦部の外周に連なり平坦部に対して凹まされている凹部とを有しており、ダイヤフラムは、流体通路が開となっている状態において、外周縁部の上面が押さえアダプタのテーパ状下面と面接触し、外周縁部の下面がボディの凹所底面の平坦部の外周と線接触するようになされていることが好ましい。
【0018】
このようにすると、ダイヤフラムは、流体通路が開となっている状態(通常、上に凸の球殻状の状態)において、ダイヤフラムの外周縁部の上面が押さえアダプタの下面と面接触していることで、自然状態である球殻状からの変形が小さく抑えられる。そして、ダイヤフラムの外周縁部の下面がボディの凹所底面の平坦部の外周と線接触するようになされていることで、ダイヤフラムは、押さえアダプタとボディとによって保持された状態においても、自然状態である球殻状からの変形が小さく抑えられた状態が維持される。すなわち、弾性変形する球殻状のダイヤフラムの外周縁部に変形不可能でかつ球殻状部分に対して屈曲する平坦状部分が存在しないことから、部分的に応力が集中することが回避されて、ダイヤフラムの変形が最適化され、ダイヤフラムの耐久性が向上する。
【0019】
ここで、ダイヤフラムの耐久性を向上させるには、ダイヤフラムの高さ(ストローク)を抑えることが好ましいが、ストロークを減少させると、流量が減少することから、ダイヤフラムの形状を変更することなく、流量を増加させることが望まれている。
【0020】
そこで、この発明のダイヤフラム弁では、ボディ凹所底面の平坦部に、流体流出通路の凹所の底面に開口している部分を含むように、溝が設けられているものとされている。これにより、流体流出通路の入口面積を大きくすることができ、ダイヤフラムの形状を変更することなく、流量の増加が図られている。
【0021】
溝は、ダイヤフラムの外周縁部を支持するための平坦部外周を残すように設けられる。溝の内周は、シートにかからないようにしてもよく(溝は環状溝となる)、シートを保持している部分を含むようにしてもよい(溝はいわゆる「ざぐり」となる)。環状溝の場合、シートを保持している部分の高さは、ダイヤフラムの外周縁部を支持するための平坦部外周の高さと同じとされ、ざぐりの場合には、シートを保持している部分の高さは、ざぐりの分だけ低くなる。
【0022】
流体流出通路の断面形状は、通常、円形孔とされ、流体流入通路の径、シートとダイヤフラムとの間の空間幅などに応じて、その径が設定される。
【0023】
流体流出通路の断面形状は、円形ではなく、長孔とされているようにしてもよい。例えば、断面積を大きくする場合に、長孔とすることで、円形のものでは得られない断面積を得ることができる。
【0024】
ダイヤフラム弁は、上下移動手段が開閉ハンドルなどの手動弁であってもよく、上下移動手段が適宜なアクチュエータとされた自動弁であってもよく、自動弁の場合のアクチュエータは、流体(空気)圧によるものでもよく、電磁力によるものでもよい。
【0025】
なお、この明細書において、ダイヤフラム弁のステムの移動方向を上下方向というものとするが、この方向は、便宜的なものであり、実際の取付けでは、上下方向が鉛直方向とされるだけでなく、水平方向とされることもある。
【0026】
この発明による流体制御装置は、流体制御機器として、開閉弁を備えている流体制御装置であって、該開閉弁が上記のダイヤフラム弁とされていることを特徴とするものである。
【0027】
上記のダイヤフラム弁は、必要流量を維持しながら小型化が可能であり、これを流体制御装置の開閉弁として使用することで、小型化された流体制御装置を得ることができる。
【0028】
このような流体制御装置は、半導体製造装置で使用されることで、半導体製造装置の小型化に寄与できる。
【0029】
また、この発明による半導体製造装置は、ガス供給部として上記の流体制御装置を備えたことを特徴とするものである。
【0030】
上記の流体制御装置は、上記のダイヤフラム弁を使用していることで、小型化されており、このような流体制御装置をガス供給部として備えた半導体製造装置は、小型化されたものとなる。
【0031】
半導体製造装置は、CVD装置、スパッタリング装置またはエッチング装置のいずれであってもよい。
【0032】
また、この発明による半導体製造方法は、上記の半導体製造装置を使用して半導体を製造することを特徴とするものである。
【0033】
小型化された半導体製造装置を使用することにより、クリーンルーム内の設置面積が小さくなり、クリーンルームのランニングコスト(製造コスト)を低減させ、より安価な製造方法で得られた半導体を得ることができる。
【発明の効果】
【0034】
この発明のダイヤフラム弁によると、ボディ凹所底面の平坦部に、流体流出通路の凹所の底面に開口している部分を含むように、溝が設けられていることで、小型化されたダイヤフラム弁の耐久性の低下を招かずに流量を多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、この発明によるダイヤフラム弁の第1実施形態を示す図で、(a)は、要部の縦断面図、(b)は、ダイヤフラムを取り除いた(a)の平面図を示している。
図2図2は、第1実施形態のダイヤフラム弁の各部の寸法を示す図で、図6に対応している。
図3図3は、この発明によるダイヤフラム弁の第2実施形態を示す図で、(a)は、要部の縦断面図、(b)は、ダイヤフラムを取り除いた(a)の平面図を示している。
図4図4は、この発明によるダイヤフラム弁の第3実施形態を示す図で、(a)は、要部の縦断面図、(b)は、ダイヤフラムを取り除いた(a)の平面図を示している。
図5図5は、この発明によるダイヤフラム弁の各実施形態の全体構成を示す縦断面図である。
図6図6は、従来のダイヤフラム弁の各部の寸法を示す図である。
図7図7は、この発明のダイヤフラム弁が使用される半導体製造装置用流体制御装置の1例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。以下の説明において、上下および左右は、図5の上下および左右をいうものとする。
【0037】
図5は、この発明によるダイヤフラム弁(1)の基本形状を示しており、ダイヤフラム弁(1)は、流体流入通路(2a)、流体流出通路(2b)および上方に向かって開口した凹所(2c)を有しているブロック状ボディ(2)と、ボディ(2)の凹所(2c)上部に下端部がねじ合わされて上方にのびる円筒状ボンネット(3)と、流体流入通路(2a)の周縁に設けられた環状のシート(4)と、シート(4)に押圧または離間されて流体流入通路(2a)を開閉するダイヤフラム(5)と、ダイヤフラム(5)の中央部を押さえるダイヤフラム押さえ(6)と、ボンネット(3)内に上下移動自在に挿入されてダイヤフラム押さえ(6)を介してダイヤフラム(5)をシート(4)に押圧・離間させるステム(7)と、ボンネット(3)下端面とボディ(2)の凹所(2c)底面との間に配置されてダイヤフラム(5)の外周縁部をボディ(2)の凹所(2c)底面との間で保持する押さえアダプタ(8)と、頂壁(9a)を有しボンネット(3)にねじ合わされたケーシング(9)と、ステム(7)に一体化されたピストン(10)と、ピストン(10)を下方に付勢する圧縮コイルばね(付勢部材)(11)と、ピストン(10)下面に設けられた操作エア導入室(12)と、操作エア導入室(12)内に操作エアを導入する操作エア導入通路(13)とを備えている。
【0038】
図1に示す通路開の状態においては、流体流入通路(2a)から流入した流体は、ボディ(2)の凹所(2c)の底面とダイヤフラム(5)とによって囲まれた空間内に流入し、流体流出通路(2b)を経て外部へと流出する。
【0039】
ダイヤフラム(5)は、球殻状とされており、上に凸の円弧状が自然状態となっている。ダイヤフラム(5)は、例えば、ニッケル合金薄板からなるものとされ、円形に切り抜き、中央部を上方へ膨出させた球殻状に形成される。ダイヤフラム(5)は、ステンレス鋼薄板からなるものや、ステンレス鋼薄板とニッケル・コバルト合金薄板との積層体よりなるものとされることがある。
【0040】
図6は、この発明によるダイヤフラム弁が従来技術としている小型ダイヤフラム弁の主要部を示している。図6において、押さえアダプタ(8)は、その下面(8a)全体が所定の傾斜角度とされたテーパ状とされている。また、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)は、円形の平坦部(14a)と、平坦部(14a)の外周に連なり平坦部(14a)に対して凹まされている環状の凹部(14b)とを有している。
【0041】
押さえアダプタ(8)は、ボンネット(3)がボディ(2)にねじ合わされることで、ダイヤフラム(5)の外周縁部に上面から当接した状態で固定される。この際、押さえアダプタ(8)の下面(8a)全体がテーパ状とされていることにより、ダイヤフラム(5)は、球殻状(上に凸の円弧状)からほとんど変形することなく、その外周縁部の上面が押さえアダプタ(8)のテーパ状下面(8a)と面接触(広い範囲で接触)した状態で、押さえアダプタ(8)とボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)との間に保持される。また、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)の外周縁部に凹部(14b)が設けられていることにより、ダイヤフラム(5)の外周縁部は、凹部(14b)内に収容される。したがって、ダイヤフラム(5)の外周縁部は、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)に沿うような変形を受けることはなく、その下面が凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)の外周(ダイヤフラム支持部)(14c)と線接触する。
【0042】
各部材の具体的な数値として、図6(a)に示すように、ダイヤフラム(5)の径(L)は、φ8で、ダイヤフラム(5)の高さ(H)は、0.65mmで、その曲率半径(SR1)はSR13.5とされている。そして、図6(b)に示すように、押さえアダプタ(8)の下面(8a)のテーパ角度(θ)は、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)に対して16°とされている。また、ダイヤフラム押さえ(6)のダイヤフラム(5)に当接している面(6a)の曲率半径(SR2)は、SR12とされている。また、凹所(2c)の底面(14)の平坦部(基準面)(14a)からのシート(4)の高さ(D)は、D=0.2mmとされている。
【0043】
図1および図2は、この発明によるダイヤフラム弁(1)の第1実施形態の主要部を示している。
【0044】
この実施形態のものでは、従来のものと相違している構成として、図1に示すように、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)の平坦部(基準面)(14a)に、流体流出通路(2b)の凹所(2c)の底面(14)に開口している部分を含むようにざぐり(15)が設けられている。
【0045】
ざぐり(15)は、ダイヤフラム(5)の外周縁部を支持するための平坦部(14a)の外周(14c)を残すように設けられている。ざぐり(15)が設けられていることにより、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)に形成された流体流出通路(2b)の入口面積が大きくなっている。また、流体流出通路(2b)の凹所(2c)の底面(14)におけるシート(4)を保持している部分の高さがざぐり(15)の分だけ低くなっている。
【0046】
この実施形態のものでは、従来のものと相違している構成として、図2(a)に示すように、さらに、ダイヤフラム(5)の高さ(H)は、0.4mmとされ、その曲率半径(SR1)は、SR23とされている。ダイヤフラム(5)の径(L)は、φ8で、従来と同じとされている。そして、図2(b)に示すように、ダイヤフラム押さえ(6)のダイヤフラム(5)に当接している面(6a)の曲率半径(SR2)は、SR42とされ、また、押さえアダプタ(8)の下面(8a)のテーパ角度(θ)は、9°とされている。また、弁開時における凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)の外周(ダイヤフラム(5)の外周縁部と圧接密着しているダイヤフラム支持部)(14c)からダイヤフラム(5)の頂点までの距離Cは、0.35mmとされている。
【0047】
すなわち、ダイヤフラム押さえ(6)のダイヤフラム(5)に当接している面(6a)の曲率半径(SR2)が大きくなされることで、ダイヤフラム押さえ(6)とダイヤフラム(5)との接触面積の増加が図られ、これにより、ダイヤフラム(5)中心における負荷が低減されている。また、押さえアダプタ(8)の下面(8a)のテーパ角度(θ)がダイヤフラム(5)に沿う角度に設定され、さらに、ダイヤフラム押さえ(6)との干渉を防止するために、押さえアダプタ(8)の内径が大きくなされている。
【0048】
シート(4)の高さは、従来がD=0.2mmに対して、第1実施形態では、このDが0.05mm(図面上では0)とされている。これは、ダイヤフラム(5)の形状に合わせて調整されたもので、これに伴って、ダイヤフラム(5)のリフト量は、0.27mmとなり、従来の0.37mmから0.1mm小さくなっている。
【0049】
なお、ダイヤフラム(5)は、厚さが0.05mmのダイヤフラムを2枚積層したものとされている。これは、従来と実施形態とで同じとなっている。
【0050】
ダイヤフラム(5)の頂点は、最下層(接液側)のダイヤフラムの上面の頂点と定義する。上記定義は、耐久性を考える上で、ダイヤフラム1層にスポットを当てて、そのダイヤフラムの固定部(支点=ボディ(2)のダイヤフラム支持部(14c))と押部(力点=ダイヤフラム押さえ(6)との接触部=ダイヤフラム(5)球蓋の頂点)の距離が耐久性を決める大きな要因になるという評価結果に基づいている。
【0051】
なお、ダイヤフラムが1枚の場合は、ダイヤフラム(5)の頂点は、そのダイヤフラム(5)の上面の頂点となり、ダイヤフラムが複数の場合の頂点も、定義の通り、最下層(接液側)のダイヤフラムの上面の頂点となる。
【0052】
図1および図2に示す第1実施形態のもの(小型ダイヤフラム弁)と図6に示す従来の小型ダイヤフラム弁とについての比較結果を表1および表2に示す。
【0053】
表1には、第1実施形態のものと図6に示す従来の小型ダイヤフラム弁との相違点を示し、表2には、既存の一般的な大きさのダイヤフラム弁(標準品)と比較して、その仕様および性能を示している。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表2から、実施形態のものは、小型でありながら、標準的な大きさのものと同等という、極めて優れた耐久性を有しており、また、同じ小型の従来品に比べると、耐久性だけでなく、Cv値についても、増加していることが分かる。Cv値は、バルブの容量係数であり、流体がある前後差圧においてバルブを流れるときの流量を表す値である。
【0057】
小型品同士の耐久性に関し、実施形態のものの耐久性が大幅に向上したことについては、実施形態のものでは、ダイヤフラム押さえ(6)の形状(SR)がSR42とされるとともに、押さえアダプタ(8)のテーパ角度(θ)が9°とされていることによるものである。耐久回数の指標を従来品と同等である「400万回」と設定した場合、耐久回数が400万回以上ということで、耐久性に余裕があることを考慮すると、ダイヤフラム押さえ(6)のダイヤフラム(5)に当接している面の曲率半径(SR)は、30mm以上とされ、押さえアダプタ(8)の下面のテーパ角度(θ)は、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)に対して10°以下とされていることが耐久回数約400万回確保のための条件と設定することが妥当である。
【0058】
また、弁開時における凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)の外周(ダイヤフラム(5)の外周縁部と圧接密着しているダイヤフラム支持部)(14c)からダイヤフラム(5)の頂点までの距離Cが0.35mmであることから、次のことが言える。 弁開時、ダイヤフラム(5)の直径Lと、ダイヤフラム(5)と圧接密着しているボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)のダイヤフラム支持部(14c)からダイヤフラム(5)の頂点までの距離Cの比が18:1〜30:1であることが好ましい。
【0059】
上記において、Lは、φ8であるので、Lがφ8である場合のCの好ましい範囲は、0.27mm〜0.44mm(約0.25mm〜0.45mm)となる。
【0060】
ダイヤフラム(5)の直径とダイヤフラム(5)と圧接密着しているボディ(2)の凹所(2c)底面(14)からダイヤフラム頂点までの距離(ダイヤフラム(5)の頂点高さ)の比が18:1未満の(Cが0.45mmを超えた)場合、耐久性が著しく低下し、30:1を超えた(Cが0.25mm未満の)場合、流量が著しく不足する。上記比を18:1〜30:1とすることで、耐久性に優れた小型ダイヤフラム弁であって、しかも、流量確保の点でも優れたダイヤフラム弁を得ることができる。
【0061】
また、小型品同士の比較で、実施形態のもののCv値が従来のものに比べて、2倍になっている点については、ボディ(2)の凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)に、流体流出通路(2b)の凹所(2c)の底面(14)に開口している部分を含むようにざぐり(15)が設けられている点が寄与している。すなわち、ざぐり(15)を設けて、流体流出通路(2b)の入口面積を大きくしたことで、結果として、Cv値が従来比で2倍になっている。
【0062】
通常、ダイヤフラム(5)の曲率半径を大きくして、SR13.5からSR23にした場合、Cv値は、小さくなる。すなわち、この実施形態によると、ダイヤフラム(5)の形状変化に伴う流量の減少を補うだけでなく、流量を大幅に増加させることができている。
【0063】
こうして、この実施形態のものでは、相反する性能であるCv値とダイヤフラムの耐久性とが高いレベルで両立させられている。
【0064】
Cv値を増加させるには、ざぐり(15)(凹所(2c)の底面(14)の平坦部(14a)のほぼ全面を削る)に代えて、図3に示すように、流体流出通路(2b)の凹所(2c)の底面(14)に開口している部分を含む環状溝(16)を設けるようにしてもよい。
【0065】
環状溝(16)の深さは、ざぐり(15)の深さに比べて、大きいものとされる。環状溝(16)の場合、シート(4)を保持している部分は、従来と同じ形状となる。
【0066】
環状溝(16)とした場合、シート(4)のかしめが、シート(4)の外径側および内径側の両方から行うことができ、シート(4)の固定が強いものとなる。
【0067】
ざぐり(15)とした場合、シート(4)のかしめは、シート(4)の内径側のみから行われる。ざぐり(15)とすることで、環状溝(16)に比べて流体流出通路(2b)の入口面積を大きくとることができ、Cv値が大きくなる。
【0068】
Cv値をさらに増加するために、図4に示すように、ざぐり(15)が設けられているとともに、流体流出通路(2b)の断面形状が長孔(17)とされているようにしてもよい。
【0069】
長孔(17)の断面形状は、図に示すように、方形部分の両端部に半円形部分を付加したものでもよく、楕円形でもよく、また、ざぐり(15)に沿うような三日月状でもよい。
【0070】
長孔(17)は、図3に示した環状溝(16)と組み合わせることもできる。すなわち、図3において、円形とされている流体流出通路(2b)の断面形状を図4に示す長孔(17)としてもよい。
【0071】
なお、上記のダイヤフラム弁において、ステム(7)、ピストン(10)、圧縮コイルばね(付勢部材)(11)、操作エア導入室(12)、操作エア導入通路(13)などは、ダイヤフラム押さえ(6)を上下移動させる上下移動手段を構成しているが、上下移動手段の構成は、図1に示したものに限定されるものではない。
【0072】
上記ダイヤフラム弁は、例えば図7に示した流体制御装置で開閉弁として使用することができる。そして、上記ダイヤフラム弁が小型化されて、しかも、耐久性にも優れているので、これを使用した流体制御装置は、小型化が課題となっている半導体製造装置におけるガス供給部として使用するのに適している。
【0073】
半導体製造装置としては、CVD装置、スパッタリング装置、エッチング装置などがある。
【0074】
CVD装置は、エネルギー供給手段、真空チャンバー、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、ウェハ上に不動態膜(酸化膜)を形成する装置である。
【0075】
エッチング装置(ドライエッチング装置)は、エネルギー供給手段、処理室、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、反応性の気体による腐食作用によって、材料表面等を加工する装置である。
【0076】
スパッタリング装置は、ターゲット、エネルギー供給手段、真空チャンバー、ガス供給手段(流体制御装置)、排気手段から構成され、材料表面を成膜する装置である。
【0077】
CVD装置、スパッタリング装置およびエッチング装置のいずれの半導体製造装置においても、ガス供給手段(流体制御装置)は、必須の構成であり、これを小型化することで、半導体製造装置を小型化することができる。
【0078】
なお、流体制御装置は、図7に示したものに限定されるものではなく、また、半導体製造装置についても、全く限定されない。
【符号の説明】
【0079】
(1):ダイヤフラム弁、(2):ボディ、(2a):流体流入通路、(2b):流体流出通路、(2c):凹所、(4):シート、(5):ダイヤフラム、(6):ダイヤフラム押さえ、(7):ステム、(8):押さえアダプタ、(14):底面、(14a):平坦部、(14b):凹部、(14c):外周、(15):ざぐり(溝)、(16):環状溝、(17):長孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7