特許第6336347号(P6336347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336347
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   A63F7/02 353
   A63F7/02 334
   A63F7/02 350Z
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-147774(P2014-147774)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-22130(P2016-22130A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神門 徹也
【審査官】 河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−066131(JP,A)
【文献】 特開2005−270219(JP,A)
【文献】 特開2012−055555(JP,A)
【文献】 特開2004−073443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得価値を受け入れて計数する計数処理を行う計数手段と、
所定の発行操作部を操作する発行操作に応じて、遊技者により所持可能な記録媒体によって前記計数処理により計数された獲得価値を特定可能とする発行処理を行う発行手段と、
遊技場従業員を認証する認証処理を行うことを条件として前記計数処理を許容する一方、前記発行処理が行われてから予め設定される許容終了条件が成立することなく新たな獲得価値が前記計数手段にて受け入れられる連続計数が行われた場合に、新たな前記認証処理を条件とせずに計数処理を許容する許容手段と、
前記発行操作を有効化するために必要な発行操作部の操作期間を変更可能な設定手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記発行処理が行われた場合、及び前記連続計数が行われた場合の少なくとも一方の場合に警告音を報知する報知処理を行う報知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記報知手段は、前記発行処理の対象となる獲得価値と、当該獲得価値に対して予め設定される基準値である基準獲得価値とを比較した結果に応じて、当該発行処理の対象となる獲得価値が少ない旨を特定できることを条件として前記報知処理を行うことを特徴とする請求項2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記連続計数が行われる場合に、当該連続計数における先の発行処理が行われてから新たな獲得価値が受け入れられるまでの期間と、当該期間に対して予め設定される基準期間とを比較した結果に応じて、異常である旨を特定する異常特定手段である期間異常特定手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記連続計数が行われる場合に、当該連続計数における後の発行処理の対象となる獲得価値と、当該獲得価値に対して予め設定される第1基準値との比較結果により当該後の発行処理の対象となる獲得価値が多い旨を特定できる場合に、その連続計数における先の発行処理が行われてから新たな獲得価値が受け入れられるまでの期間と当該期間に対して予め設定される基準期間との比較結果、及び当該連続計数における先の発行処理の対象となる獲得価値と当該獲得価値に対して予め設定される第2基準値との比較結果の内、少なくとも一方により異常である旨を特定する異常特定手段である計数値異常特定手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【請求項6】
前記認証処理、前記認証処理に応じた計数処理、或いは前記認証処理に応じた発行処理の回数である計数機会数と、前記異常特定手段により異常である旨が特定された回数である異常回数とを前記遊技場従業員単位で管理し、当該異常回数、及び当該異常回数が前記計数機会数に占める割合の少なくとも一方である異常計数情報と当該異常計数情報に対して予め設定される異常基準値との比較結果を報知する異常報知手段を備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の遊技場用システム。
【請求項7】
前記発行手段により発行された記録媒体を受け付ける受付手段と、
前記受付手段に対応して設けられ、当該受付手段により受け付けられた記録媒体が、前記異常である旨が特定された前記連続計数における先の発行処理により発行された記録媒体である場合に、その旨を報知する受付報知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場従業員を認証する認証処理を行うことを条件として遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得価値を受け入れて計数する計数処理を行う計数手段を備えた遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では、遊技者が獲得した遊技価値を計数して記録媒体を発行し、その記録媒体に基づき景品交換を行っているが、その計数を遊技者のみで行わせると不正な電波を発射する等の不正な計数が行われる虞があるので、例えば特許文献1のように従業員による認証を条件に計数させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−157771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものによれば、例え従業員が不正な方法により計数を行ったとしても、その従業員が怪しまれるため、不正自体がなくなると思われるが、このような場合であっても以下の様な従業員による不正が行われる場合がある。
即ち、遊技者が多量の遊技価値を獲得し、その遊技価値を従業員により計数させる場合に、その遊技価値を収納する箱に収納された遊技価値を計数装置に投入して遊技価値を計数している間に、その箱にて計数装置の発行操作部を隠した上で、遊技者に対して遊技後のサービスとしておしぼりを手渡し、そのおしぼりに注意を引かせている間に、隠していた発行操作部を操作して発行処理を行い、発行された記録媒体を隠蔽する。その後、直ちに残りの遊技価値を計数することで、発行処理が行われたことを遊技者に気付かせずに、計数した残りの遊技価値について通常と同様の発行処理等を行い、その残り分の記録媒体を遊技者へと手渡して、その場を終え、その後、その従業員の知人に発行処理した記録媒体を手渡して景品交換させるという不正、即ち、遊技者が1箱分程度の遊技価値が減っても紛れる程度の多量の遊技価値の一部を従業員が窃盗するという窃盗計数が行われる場合がある。
このような窃盗計数は、計数した遊技価値は正規の遊技により獲得されているため、とても発見し難く、このような従業員の窃盗計数により遊技場が受ける損失(遊技者からの信用の失墜等)を軽減するための遊技場用システムが切望されている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技価値を計数する際に従業員認証を行っても発覚し難い従業員による不正が行われる場合でも、その不正を考慮して適切に対応できる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技場用システムは、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得価値を受け入れて計数する計数処理を行う計数手段と、所定の発行操作部を操作する発行操作に応じて、遊技者により所持可能な記録媒体によって前記計数処理により計数された獲得価値を特定可能とする発行処理を行う発行手段と、遊技場従業員を認証する認証処理を行うことを条件として前記計数処理を許容する一方、前記発行処理が行われてから予め設定される許容終了条件が成立することなく新たな獲得価値が前記計数手段にて受け入れられる連続計数が行われた場合に、新たな前記認証処理を条件とせずに計数処理を許容する許容手段と、前記発行操作を有効化するために必要な発行操作部の操作期間を変更可能な設定手段と、を備えたものである(請求項1)。
【0007】
請求項1に記載の遊技場用システムにおいて、
前記発行処理が行われた場合、及び前記連続計数が行われた場合の少なくとも一方の場合に警告音を報知する報知処理を行う報知手段を備えるようにしても良い(請求項2)。
【0008】
請求項2に記載の遊技場用システムにおいて、
前記報知手段は、前記発行処理の対象となる獲得価値と、当該獲得価値に対して予め設定される基準値である基準獲得価値とを比較した結果に応じて、当該発行処理の対象となる獲得価値が少ない旨を特定できることを条件として前記報知処理を行うようにしても良い(請求項3)。
【0009】
請求項1から3のいずれか一項に記載の遊技場用システムにおいて、
前記連続計数が行われる場合に、当該連続計数における先の発行処理が行われてから新たな獲得価値が受け入れられるまでの期間と、当該期間に対して予め設定される基準期間とを比較した結果に応じて、異常である旨を特定する異常特定手段である期間異常特定手段を備えるようにしても良い(請求項4)。
【0010】
請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技場用システムにおいて、
前記連続計数が行われる場合に、当該連続計数における後の発行処理の対象となる獲得価値と、当該獲得価値に対して予め設定される第1基準値との比較結果により当該後の発行処理の対象となる獲得価値が多い旨を特定できる場合に、その連続計数における先の発行処理が行われてから新たな獲得価値が受け入れられるまでの期間と当該期間に対して予め設定される基準期間との比較結果、及び当該連続計数における先の発行処理の対象となる獲得価値と当該獲得価値に対して予め設定される第2基準値との比較結果の内、少なくとも一方により異常である旨を特定する異常特定手段である計数値異常特定手段を備えるようにしても良い(請求項5)。
【0011】
請求項4または5に記載の遊技場用システムにおいて、
前記認証処理、前記認証処理に応じた計数処理、或いは前記認証処理に応じた発行処理の回数である計数機会数と、前記異常特定手段により異常である旨が特定された回数である異常回数とを前記遊技場従業員単位で管理し、当該異常回数、及び当該異常回数が前記計数機会数に占める割合の少なくとも一方である異常計数情報と当該異常計数情報に対して予め設定される異常基準値との比較結果を報知する異常報知手段を備えるようにしても良い(請求項6)。
【0012】
請求項4から6のいずれか一項に記載の遊技場用システムにおいて、
前記発行手段により発行された記録媒体を受け付ける受付手段と、前記受付手段に対応して設けられ、当該受付手段により受け付けられた記録媒体が、前記異常である旨が特定された前記連続計数における先の発行処理により発行された記録媒体である場合に、その旨を報知する受付報知手段と、を備えるようにしても良い(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、遊技場従業員による窃盗計数が行われる場合は、連続計数における先の計数にて少量の獲得価値を対象として発行処理を行い、その発行処理が行われたことを遊技者に気付かせないように次の計数処理を行うことが想定されるが、発行操作部の操作期間を変更可能であることにより、上記窃盗計数が行われることを危惧している遊技場は長めの操作期間を設定することにより窃盗計数を行い難くすることが可能となる一方、窃盗計数をそれほど危惧しないが利便性を求める遊技場は短めの操作期間を設定するというように遊技場のニーズに応じた柔軟な対応が可能な汎用性の高い遊技場用システムを提供可能となる。
【0014】
請求項2の発明によれば、連続計数により窃盗計数を行う遊技場従業員は先の発行処理や連続計数が行われたことを遊技者に気付かせずに連続計数を行おうとするが、この場合には警告音が報知されることで、遊技者が先の発行処理や連続計数が行われたことに気付く確率が高まり、窃盗計数を行い難くすることが可能となる。
【0015】
請求項3の発明によれば、窃盗計数の対象となる獲得価値は多量の獲得価値を得た遊技者の獲得価値の内、一部を窃盗対象として窃盗されたか否かを把握し難くするように少ない獲得価値とすることが想定されるが、その旨を特定できることを条件として報知処理を行うことで、無闇に報知処理を行うことを防止可能となる。
【0016】
請求項4の発明によれば、窃盗計数を行う場合、連続計数間の期間は必要以上に短くなることが想定されるが、その期間が短い場合に異常である旨を判定できるようになるので、連続計数により窃盗計数が行われた旨を好適に特定可能となる。
【0017】
請求項5の発明によれば、窃盗計数を行う場合、第1の条件として遊技者が多量の遊技価値を獲得することが条件となるが、その条件が成立した場合に、更に第2の条件となる連続計数間の期間が短いこと、或いは先の発行処理の対象が少量の獲得価値であることを条件として異常を特定するので、連続計数により窃盗計数が行われた旨を好適に特定可能となる。
【0018】
請求項6の発明によれば、窃盗計数が行われた旨を好適に報知可能となる。
請求項7の発明によれば、窃盗計数の対象となる記録媒体の獲得価値は連続計数における先の発行処理により発行された記録媒体となるが、この記録媒体を受け付けた場合に報知を行うことにより、窃盗計数により発行された記録媒体を所持する所持者を他の遊技者と区別可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
図2】スライドカバーの閉鎖状態で示す島端計数装置の斜視図
図3】スライドカバーの開放状態で示す島端計数装置の斜視図
図4】計数分散設定の一例を示す図
図5】計数履歴の一例を示す図
図6】計数履歴を従業員IDに対応して集計した集計結果を示す図
図7】島端計数装置が実行する処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には、多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に1対1で対応する周辺機器として、遊技装置2及び情報表示装置3が設置されている。遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は中継装置4に接続されており、2台の遊技機1、2台の遊技装置2及び2台の情報表示装置3が1台の中継装置4で中継されている。中継装置4は、LAN5を介して管理装置6(設定手段、異常報知手段に相当)と接続されている。
【0021】
遊技場には島端計数装置7(計数手段、発行手段、許容手段、設定手段、報知手段、期間異常特定手段、計数値異常特定手段に相当)及び景品交換装置(以下、POS)8(受付手段、受付報知手段に相当)並びに図示しない残高精算機も設置されており、LAN5を介して管理装置6と接続されている。POS8は付属する図示しないスキャナ等のリーダにより読み取ることで遊技者により所持可能であって当該遊技者が獲得した遊技価値である獲得価値を特定可能な紙状の計数レシート(記録媒体に相当)等の記録媒体を受け付け、その受け付けた記録媒体により特定される遊技価値に基づいて景品交換処理を実行する。残高精算機は、ICカード9が挿入された場合は、当該ICカード9に記録された入金残高を読取って残金を返却してICカード9を回収する。
【0022】
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード10、モニタ11、図示しないプリンタ等が接続されている。管理装置6は、コンピュータがプログラムにしたがって作動することで、遊技機1の稼動状況を示す遊技データ(アウト、セーフ、遊技機1で発生した大当りの回数を示す大当り回数、スタート回数、遊技機1が稼動している時間を示す稼動時間等)を管理する。尚、遊技場内には、所謂パチスロ機も含めて例えば数百台の遊技機1が設置されており、それぞれ管理装置6の管理対象となっている。
【0023】
遊技機1はCR(カードリーダ)パチンコ機で、盤面12に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル13、上部受皿14、下部受皿15を有すると共に、盤面12に、液晶表示部16、普図入賞口17、第1始動口18、第2始動口19、大入賞口20を有する。
【0024】
第1始動口18は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)で、第2始動口19は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口18,19への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部16において行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0025】
大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/360で、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当りが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口20を開放する。尚、1Rの上限入賞数は10個、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数または上限開放時間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0026】
確変中は大当り確率が1/31に向上すると共に、第2始動口19への入賞率が高くなる時短状態(時短、甘中)になる。尚、確変は次回大当りまで継続するため、大当り後に大当りでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となり、その後に通常状態となる。
【0027】
第2始動口19は普図入賞口17への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。また、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口19の入賞率が高くなる。
【0028】
遊技機側からは遊技に伴って次のような信号が出力される。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号(稼動信号)。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としても良い。
【0029】
始動信号=遊技機1から出力される始動入賞により変動(作動)する液晶表示部16(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)を特定可能な信号。図柄変動確定時に出力され、その信号入力に応じて図柄変動を特定するので、「始動信号数×1」をスタート回数として特定する。尚、各始動口18,19に入賞したことを示す信号としても良い。
【0030】
大当り信号=遊技機1から出力される大当り期間を特定可能な信号。大当り中にレベル出力される状態信号なので、大当り信号入力中を大当り中(特別状態)として特定する。
特別状態信号=遊技機1から出力される特別遊技状態(甘中)を特定可能な信号。第2始動口19の入賞率が向上する特別遊技状態中(時短中)にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別遊技状態中(甘モード)として特定する。勿論、確変中に出力される信号としても良い。また、大当り信号と特別状態信号のいずれも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0031】
遊技装置2は、現在の運用状態(正常状態、エラー状態など)を示す状態表示部21、紙幣や硬貨等の貨幣が投入される貨幣投入口22、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部23、1単位分(例えば500円相当)の玉(遊技価値)を払出すための払出釦24、払出された玉が通過する払出ノズル25、ICカード9が挿入されるカード挿入口26等を備えている。
【0032】
遊技装置2は、CPU、ROM、RAM、HDDを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部を備え、貨幣を受け付ける(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技装置2との双方に入金額が残高に加算して表示され、残高が有る状態で遊技機1の貸出釦を押下(貸出操作、付与操作)すると貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(遊技価値)が遊技機1から払出され(付与処理)、その対価分が残高から引落とされる。尚、貨幣は複数回分の付与処理の対応分(例えば1万円まで)を受け付け可能である。また、遊技機からの払出を行う場合、遊技装置2から遊技機1へと払出対象となる玉数を特定可能な払出要求信号が出力され、その払出要求信号の入力に応じて遊技機1からの払出が行われる。
残高が残存する状態で遊技機1の返却釦を押下(発行操作を受け付け)すると残高(残貨幣価値)を特定可能なICカード9が発行され、その発行情報は管理装置6で管理される。尚、ICカード9を受け付けた場合は、その残高を取込んで引継ぐ。
【0033】
遊技装置2は中継装置4とのシリアル通信により貨幣受付処理や付与処理、残高、貸出玉数、払戻玉数、入金額、貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及びICカード9の受け付けや発行処理等の各種情報を特定可能であるが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定する等、どのような遊技信号を採用して特定しても良い。尚、このような貸出処理上の通信については中継装置4を介さず、遊技機1と遊技装置2とで直接通信を行っても良い。
【0034】
情報表示装置3は、データ表示部27及び複数の操作スイッチ部28等を備える。データ表示部27には、遊技機1から入力される信号に基づき集計した遊技情報等、各種の情報が表示される。複数の操作スイッチ部28は、データ表示部27の表示内容を切替えたり、遊技者が遊技場の従業員を呼出したりするため等に操作される。
島端計数装置7は遊技者が遊技機1で獲得した玉を計数するための機器であり、遊技機島の島端に設置される。つまり、遊技者が獲得した玉を計数するには、玉を玉箱に収納し、島端計数装置7まで運んで計数する必要がある。
【0035】
図2及び図3は、島端計数装置7の外観斜視図を示している。島端計数装置7は、遊技者が遊技により獲得した玉(獲得媒体)を受入れる玉投入口29、この玉投入口29を開放・閉鎖するスライドカバー30(図2はスライドカバー30が玉投入口29を閉鎖する閉鎖位置にスライド移動されている状態、図3はスライドカバー30が玉投入口29を開放する開放位置にスライド移動されている状態を示し、を示す)、計数情報等の各種情報を表示する表示機能及び従業員や遊技者からの操作入力を受け付ける入力受付機能を有するタッチパネル式の液晶表示部31、島端計数装置7の状態を示すためのLED表示部32、計数値及び当該計数値を記録した2次元コードやバーコード等が印字された計数レシートを発行するレシート発行口33、会員カードを受け付ける会員カード受付口34、従業員が所持する図示しない従業員ICカードが翳されている状態で当該従業員ICカードに記録されている従業員情報を読取る従業員ICカードリーダ35、島端計数装置7の前面に設けられたタバコ計数用玉投入口36、余り玉を返却する玉返却口37、緊急時にスライドカバー30を開閉するためのスライドカバー開閉キー38(図2及び図3はカバーで閉鎖されている状態を示している)等を備えて構成されている。
【0036】
スライドカバー30は玉投入口29の前方側に配置される図示しない施錠部により施錠されており、従業員が従業員ICカードを従業員ICカードリーダ35に翳すことで従業員認証が行われ、従業員認証により解錠されると、スライドカバー30を図3に示す開放位置に移動して玉投入口29に玉を投入可能な状態となる。玉投入口29の底部に設けられた取込口39はソレノイド等により開閉可能なシャッタ40により閉鎖されており、従業員認証によりシャッタ40が開放して計数可能な状態となる。玉投入口29に玉が投入されると、玉投入口29で受け止められた玉は取込口39から落下して当該取込口39の奥方に設けられている図示しない計数センサにより計数される。このように玉の計数中は計数値が逐一更新される。
【0037】
計数値が記録された記録媒体を発行する発行処理後は、スライドカバー30が閉鎖したことを図示しないカバーセンサが検知すると(「許容終了条件が成立」に相当)、施錠部が施錠されると共に取込口39のシャッタ40も閉鎖されるが、スライドカバー30の開放状態で計数玉を再度受け付ければ、再度計数処理してから発行処理を行う連続計数も可能である。即ち、スライドカバー30の開放状態では、連続計数を行う場合に認証する手間を省くため、一旦従業員認証を行えば、スライドカバー30を閉鎖するまで認証状態が継続し、連続計数が可能な構成となっている。
【0038】
ところで、このような島端計数装置7の連続計数機能を利用して遊技者が獲得した多量の玉の一部を従業員が窃盗する窃盗計数が行われている。
このような事情から、従業員による窃盗計数を検出可能とするために、管理装置6には従業員による窃盗計数を検出するための設定である計数分散設定が設定可能となっている。設定された設定値は島端計数装置7へ送信されることにより当該島端計数装置7に自動的に設定される。設定値の送信は全ての島端計数装置7に対して一斉に送信することも可能であるが、選択した島端計数装置7のみに送信することも可能である。
【0039】
図4は計数分散設定を示しており、以下の各項目が設定されている。
発行操作時間=島端計数装置7の液晶表示部31に表示される発行釦(発行操作部に相当)を操作(押下)する時間の基準値で、この設定値分の操作時間以上、発行釦を操作すると発行操作を有効化して発行処理が行われる。任意の時間を基準値として採用可能である。尚、発行釦としては液晶表示部31に表示されるものだけでなく、物理的なスイッチ等でも良い。
【0040】
計数下限値(第2基準値に相当)=従業員が窃盗計数を行う場合の対象となる計数値の基準値。玉等の遊技価値を収納する所謂玉箱1箱分の容量(例えば1800玉よりも少ない値)を基準値として設定し、その基準値未満または以下の計数値は少計数(少量の計数)として特定する。
【0041】
計数間タイマ=発行処理に応じて作動するタイマの作動時間。通常の計数では連続計数する場合でも、発行された記録媒体を従業員が遊技者へと手渡する際に軽く挨拶等を行ってから次の遊技者の計数を行うため、その場合に異常と判定しないよう、その挨拶等の期間(例えば5秒よりも短い期間)を基準値として、その基準値未満または以下の場合に計数間隔が少ない旨、即ち異常である旨を特定する。
【0042】
計数上限値(第1基準値に相当)=窃盗計数を行なったとしても遊技者を誤魔化せられる程度の計数値の基準値。従業員が窃盗計数を行う場合に、窃盗計数分が紛れる(遊技者が気付かない)と思うことができる程度の計数値を目安とし、この設定値以上または超過する計数値は多計数(多量の計数)として特定する。
【0043】
図4に示す例では、発行操作時間は2秒に設定され、計数下限値は2000玉に設定され、計数間タイマは3秒に設定され、計数上限値は10000玉に設定されている。
遊技者は、遊技機1で獲得した玉を計数する場合は、玉を玉箱に収納して島端計数装置7に運び従業員を呼び出す。呼び出された従業員は、携帯している従業員ICカードを島端計数装置7の従業員ICカードリーダ35に翳す。
【0044】
図7は、島端計数装置7が実行する処理を示すフローチャートである。島端計数装置7は、従業員ICカードから読取った従業員情報により従業員認証を行う待機フローを実行しており(S1:NO)、認証できれば(S1:YES)、スライドカバー30を施錠している施錠部を解錠すると共に取込口39を閉鎖しているシャッタ40を開放してから(S2)、計数玉を受け付けたか(S3:NO)、発行操作を受け付けたか(S5:NO)の計数中待機フローを実行するようになる。
【0045】
従業員は、スライドカバー30を開放し、玉箱に収納されている玉を島端計数装置7の玉投入口29に投入する。すると、投入された玉が玉投入口29で受けられて取込口39を通って奥方の計数センサにて検知されるので、計数玉受け付けとなり(S3:YES)、計数処理を実行する(S4)。計数処理では、計数センサにより玉を検知すると計数タイマ(例えば2秒)を作動し、計数が終了して計数タイマがタイムアップすると、液晶表示部31に操作表示として表示される発行釦が有効化されて操作可能となる。また、計数センサの検知数は計数値として特定して液晶表示部31に随時更新表示される。そして、従業員が発行釦をタッチ操作すると、その操作を受け付け(S5:YES)、発行処理を実行する(S6)。この発行処理では、計数値を特定可能な記録媒体である計数レシートを発行するので、従業員は発行された記録媒体を遊技者に手渡す。この場合、発行釦に対する操作が有効となるのは、図4の発行操作時間(図4の例では2秒)以上操作された場合であり、発行操作時間未満の操作時間では操作は受け付けられず発行処理は行われない。また、当然ではあるが計数値が0である等、操作時間以外の周知の発行条件が成立しない場合も発行操作は受け付けられない。
【0046】
発行処理後は、計数値が計数下限値未満かを判定する(S7)。計数値が計数下限値以上の場合は(S7:NO)、通常の計数として計数値が計数上限値を上回っているかを判定する(S15)。計数値が計数上限値以下の場合(S15:NO)、或いは計数値が計数上限値を上回っている場合であっても(S15:YES)、後述する計数少フラグと間隔異常フラグとが0の場合は(S16:YES)、通常の計数として通常計数情報を管理装置6へ送信してから(S17)、計数間タイマを作動させ(S11)、カバーセンサ検知か(S12:NO)、計数玉受け付けか(S19:NO)を判定する計数後待機フローを実行する。
【0047】
発行処理後、従業員が計数を終了するためにスライドカバー30を閉鎖すると、そのことをカバーセンサが検知するので(S12:YES)、計数少フラグと間隔異常フラグとを0に戻してから(S13)、スライドカバー30の施錠部を施錠すると共に取込口39のシャッタ40も閉鎖する(S14)。
以上のようにして一の遊技者に対する正常な計数処理を終了することができる。
【0048】
一方、従業員が島端計数装置7に並んでいる次の遊技者の玉箱に収納されている玉を計数する場合は、スライドカバー30を開放したまま玉箱に収納されている玉を島端計数装置7に投入する。
このように異なる遊技者が獲得した玉を連続計数する場合は、計数間隔が長くなることから、島端計数装置7は、スライドカバー30の開放状態で計数玉を再度受け付けた場合に(S19:YES)、計数間タイマは作動中でないと判定し(S20:NO)、再度計数処理を実行してから(S23)、発行操作に応じて(S5:YES)、発行処理を行う(S6)。このように異なる遊技者が獲得した玉を連続計数する場合は、連続計数における先の計数(先の発行)も後の計数(後の発行)も、そのほとんどは少計数でないと共に計数間隔も長く、計数少フラグと間隔異常フラグとが0となるので(S16:YES)、通常計数として通常計数情報が管理装置6へ送信される(S17)。
【0049】
そして、異なる遊技者による連続計数が終了し、スライドカバー30が閉鎖されたところで(S12:YES)、計数処理の終了となる。
さて、従業員による窃盗計数が行われる場合、具体的には、遊技者に対して遊技後のサービスとしておしぼりを手渡し、玉箱で発行釦を隠した上で、そのおしぼりに注意を引かせている間に、遊技者が獲得した多量の玉に紛れるように玉箱1杯程度の少量の玉を遊技者に気付かれないように計数して記録媒体を発行し、その記録媒体を隠蔽してから、直ちに遊技者の残りの多量の玉を計数し、発行された記録媒体を遊技者に手渡すということが行われる。この場合、上述したように島端計数装置7の液晶表示部31に表示される発行釦に対する操作が有効となる発行操作時間が規定されており、発行操作時間を長く設定する程、発行操作を遊技者から隠れて行うことが困難となることから、発行操作期間を長く設定することにより従業員による窃盗計数を行い難くすることが可能となる。
【0050】
しかしながら、そのような発行操作時間の規定による窃盗計数に対する抑止力にも関わらず遊技者が獲得した多量の玉の一部を計数した場合、計数値が計数下限値よりも少ないので(S7:YES)、警告音を報知すると共に(S8)、第1異常計数情報を管理装置6へ送信した後(S9)、計数少フラグを1とし(S10)、計数間タイマを作動させてから(S11)、計数後待機フローを実行する(S12:NO、S19:NO)。このように島端計数装置7から警告音が報知されることで、従業員による窃盗計数の抑止力を一層高めることができる。
【0051】
このような報知による抑止力に関わらず従業員が発行操作を行うと、小量の計数玉を特定可能な記録媒体が発行されるので、窃盗計数する従業員は、発行された記録媒体を遊技者に気付かれないように隠蔽してから、直ちに遊技者の残りの多量の玉を計数する。このような場合、スライドカバー30の開放状態で次の計数が行われ(S19:YES)、その際の計数間タイマが作動中であるので(S20:YES)、間隔異常フラグを1とすると共に(S21)、警告音を再度報知してから(S22)、計数処理を行い(S23)、計数中待機フローに戻る(S3:NO、S5:NO)。
【0052】
計数中待機フローにて、発行操作に応じて発行処理を行った場合に(S5、S6)、計数値が計数上限値を上回っており(S15:YES)、更に計数少フラグと間隔異常フラグとの少なくとも一方が1となるので(S16:NO)、そのことを示す第2異常計数情報を管理装置6へ送信してから(S18)、計数後待機フローを実行する(S12:NO、S19:NO)。ここで、窃盗計数する従業員は、連続計数の先の計数により島端計数装置7から発行された記録媒体を遊技者に手渡すことで計数を終了するが、このような場合、連続して窃盗計数が行われる確率が低いことや、記録媒体を遊技者に手渡していること等の理由からステップS11にて計数間タイマを作動させることなく計数後待機フローを実行するようになっている。
尚、連続計数の先の計数値が計数下限値未満であっても通常の計数である可能性はあるが、窃盗計数と同様の計数値となることや、従業員が計数間タイマのタイムアップを待って窃盗計数を行うことも考慮し、確認のため異常として特定している。
【0053】
ここで、管理装置6は、島端計数装置7から受信した計数情報(通常計数情報、第1異常計数情報、第2異常計数情報)により特定される計数履歴を作成している。
図5は管理装置6が作成した計数履歴の一例を示している。計数履歴には、NO.に対応するレコードとして、発行処理(計数開始等でも良い)を行った時刻、発行処理の対象となった記録媒体を特定可能な発行ID、計数装置ID、計数値、異常情報、認証処理を行った従業員IDを特定可能な項目が設定されている。また、新たな従業員認証処理を行ったか否かも特定可能で、新たな認証処理を行った場合にはレコード間を2重線により区分することで連続計数をグループ化している。即ち、連続計数を行った場合は2重線により区切られず、カバーセンサの検知後に新たな従業員認証が行われた場合には2重線により区分することで、1度の認証処理にて連続計数した計数処理をグループ化している。
【0054】
図5に示す例では、NO.25,27,47レコードは通常計数情報を受信したことに応じて作成され、NO.26,28,36,45レコードは第1異常計数情報を受信したことに応じて作成され、NO.37,46レコードは第2異常計数情報を受信したことに応じて作成されている。また、NO.27とNO.28のレコードはグループ化され、NO.36とNO.37のレコードはグループ化され、NO.45とNO.46のレコードはグループ化されている。
【0055】
異常情報は、NO.25,27,47レコードのように通常計数情報を受信した正常の計数処理の場合は「正常」と記憶される。第1異常計数情報を受信した場合であっても、NO.26,28レコードのように次の計数処理に際して新たな認証を行えば「正常」となるが、NO.36レコードのように新たな認証を行わずに次の計数処理にて第2異常計数情報を受信すれば当該第2異常計数情報が示す異常内容に応じた異常となる。具体的には、計数少フラグと間隔異常フラグとが1を示す第2異常計数情報を受信すれば「少多短計数」となる。つまり、第1異常計数情報を受信したことによりNO.36レコードは少計数(先の計数)であることを特定し、次の計数で第2異常計数情報を受信したことによりNO.37レコードは多計数(後の計数)を特定でき、しかも計数間隔が短い連続計数であることを特定できることから、それらの情報に基づいてNO.36レコードは「少多短計数」として特定しているのである。この場合、「少」は連続計数の先の計数が少計数であることを示し、「多」は連続計数の後の計数が多計数であることを示し、「短」が連続計数の間隔が短いことを示しており、窃盗計数の可能性が極めて高いことを特定できる。NO.45レコードは少計数であるものの、NO.46レコードでは間隔異常フラグが0である第2異常計数情報を受信しているので、「少多計数」となる。つまり、連続計数の先の計数が少計数、連続計数の後の計数が多計数であるものの、連続計数の間隔が長いことを示しており、窃盗計数の虞があるため確認が必要であることを把握できる。
【0056】
一方、第2異常計数情報を受信した場合は連続計数の後の計数であることを特定できるので、NO.37レコードのように計数少フラグと間隔異常フラグとが1である第2異常計数情報を受信すれば「多短計数」となり、その計数情報がNO.36レコードに反映されて「小多短計数」となる。NO.46レコードのように計数少フラグは1であるものの間隔異常フラグが0である第2異常計数情報を受信すれば「多計数」となり、その計数情報がNO.45レコードに反映されて「小多計数」となる。
【0057】
尚、図5では例示していないが、通常計数後の計数間タイマの作動中に計数玉を受け付けた場合の計数値が計数上限値を上回る場合も第2異常計数情報が送信されるが、その場合はそのNO.のレコードとその直前のレコードの異常情報が「短計数」となり、窃盗計数の虞があるため確認が必要であることを把握できる。この場合、直前の計数を「短前計数」、第2異常計数情報が送信された計数を「短後計数」等と区分しても良い。
また、連続計数において2人目以降の遊技者が獲得した多量の玉を従業員が窃盗計数するような場合は、第1異常計数情報を受信した場合が連続計数の先の計数となり、次の計数に際して第2異常計数信号を受信した場合が連続計数の後の計数となる。
【0058】
一方、POS8は、島端計数装置7にて発行された記録媒体を受け付けた場合に景品交換を許容するための処理である交換処理を行う記録媒体の受け付けに応じて管理装置6へ問い合わせを行う。管理装置6は、POS8からの問い合わせに応じて、図5に示すレコードの内、受け付けられた記録媒体を特定可能な発行IDに対応する情報を特定可能な応答情報をPOS8へと送信する。POS8ではその応答情報により受信した計数値等に基づいて従来と同様の認証を行うと共に、応答情報が示す異常情報が「正常」でない場合には、その旨を示す確認表示を行う。この場合、「多短計数」や「多計数」は窃盗計数した不正者が従業員である可能性はあるものの、従業員と仲間ではない可能性が高い遊技者自身に問い合わせるとトラブルとなる虞もあるため、対応する従業員IDの従業員に事情を問い合わせる。これに対して、「少多短計数」や「少多計数」は、記録媒体を持つ遊技者が従業員の仲間の不正者である可能性が高いため、遊技者自身に問い合わせるようにしても良い。尚、「少多短計数」や「少多計数」のいずれであるのかは計数値により特定可能であるので、異常情報が「正常」でない旨を特定可能となる情報を報知するのみとしても良く、この場合、従業員IDを別途管理者へ問合せれば良い。ここで、窃盗計数を行う従業員は自身が景品交換を行うと窃盗計数が発覚する虞が高まるため、代わりに仲間の不正者により景品交換させるケースが多いことを付言しておく。
【0059】
図6は所定の集計期間(例えば1日)を対象として図5の計数履歴を従業員ID単位で集計した集計結果で、以下の各項目が設定されている。
認証回数=計数の際に従業員認証を行った回数(図5における2重線で区切られたグループ数)
計数回数(計数機会数に相当)=計数処理、即ち発行処理を行った回数
少多計数(回数)=異常情報における「少多計数」の回数
少多計数(確率)=計数回数(認証回数でも良い)に対する「少多計数」の回数が占める割合
少多短計数(回数)=異常情報における「少多短計数」の回数
少多短計数(確率)=計数回数(認証回数でも良い)に対する「少多短計数」の回数が占める割合
尚、図3では「短計数」や「多計数」等の集計を例示していないが、勿論、集計対象としても良い。
【0060】
ここで、従業員ID0004レコードは他レコードと区別可能に識別出力(図6では斜線で示す)されているが、これは「少多計数」(或いは「少多短計数」や「短計数」等)の回数、或いは確率を予め設定される基準値(例えば回数であれば3回、確率であれば5%)と比較した結果、異常と判定されたため(基準値以上または超過)である。この異常と判定された結果を例えば営業日報等の他の帳票に対して出力しても良い。同様に図5において少多短計数等の異常計数を示すレコードを異常情報による文言による識別表示だけでなく、他の周知の方法にて正常計数を示すレコードと区別可能なように識別出力しても良い。
【0061】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
島端計数装置7は、従業員認証を行った上で計数処理を行う場合に発行操作が有効となる発行釦の発行操作時間を調整可能であるので、従業員による窃盗計数が行われることを危惧している遊技場は長めの発行操作時間を設定することにより窃盗計数を行い難くすることが可能となる一方、窃盗計数をそれほど危惧しないが利便性を求める遊技場は短めの発行操作時間を設定するというように遊技場のニーズに応じた柔軟な対応が可能な汎用性の高い遊技場用システムを提供可能となる。
【0062】
従業員による窃盗計数の疑いがある場合は発行処理に応じて警告音を報知するようにしたので、遊技者が先の発行処理や連続計数が行われたことに気付く確率が高まり、窃盗計数を行い難くすることが可能となる。
計数値が計数下限値未満となることを条件として警告音を報知するようにしたので、無暗に報知することを防止可能となる。
計数間タイマの作動中に次の計数が行われた場合に異常判定するようにしたので、連続計数により窃盗計数が行われた旨を好適に特定可能となる。
【0063】
連続計数が行われた場合に、先の計数に続く後の計数の計数値が計数上限値を上回っており、更に先の計数の計数値が計数下限値未満となる場合、及び計数間タイマの作動中に連続計数を行った場合に異常判定するので、連続計数により窃盗計数が行われた旨を好適に特定可能となる。
管理装置6にて従業員単位で認証回数、計数回数に対する「少多計数」の割合、計数回数に対する「少多短計数」の割合を管理し、その割合が高い場合に報知するようにしたので、窃盗計数が行われた旨を好適に報知可能となる。
POS8にて「少多計数」或いは「少多短計数」の記録媒体を受け付けた場合にPOS8にて異常報知するようにしたので、窃盗計数により発行された記録媒体を所持する所持者を他の遊技者と区別可能となる。
【0064】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
警告音を報知する条件として計数値が計数下限値未満であることを例示したが、計数値に関わらず警告音を報知しても良い。同様に計数間タイマ作動中であることを条件として計数玉の受け付けに応じて警告音を報知したが、必ずしも報知する必要はない。
計数間タイマを第2異常計数情報を送信するような多計数の場合には作動させなかったが、この場合に作動させても良いし、通常計数情報を送信するような計数処理の場合は作動させないようにしても良い。
【0065】
発行処理時に警告音を報知するようにしたが、連続計数として新たな遊技価値を受入れた場合に警告音を報知するようにしても良い。
発行処理終了後の所定期間内に計数処理が開始した場合に異常と判定することを例示したが、連続計数であるか否かを異常と判定するための条件としても良い。
【0066】
許容終了条件として、カバーセンサの検知が行われることを例示したが、例えば別途設定される発行処理後に作動する計数認証タイマ(例えば1分間)の作動中はシャッタ等を閉鎖せず、再度計数した場合には連続計数を認めること(即ち計数認証タイマのタイムアップ)や、終了釦を押下するまで連続計数を認めること(即ち、終了釦の押下)等、他の周知の許容終了条件を採用しても良い。
【0067】
計数処理の抑制として計数処理を禁止することを例示したが、例えば従業員の認証を伴わない操作に応じてシャッタ40を開放するがスライドカバー30は施錠したままとしてタバコ計数用玉投入口36から玉を受入れて計数したり、計数値の上限(例えば1000玉)を定めてそこまでは計数を許容する等、禁止以外の抑制を採用しても勿論良い。
従業員認証として従業員ICカードを翳すことを例示したが、他に従業員ICカードを挿入することや、指紋認証、或いは暗証番号入力等、周知の認証処理を採用しても良い。
以上か超過の判定や、以下か未満かの判定は各所にて例示したが、例示していない箇所も含めていずれを採用しても良い。
【0068】
例示した設定値は予め設定されれば、遊技場管理者が任意に設定しても、管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。
遊技価値を特定可能な記録媒体であれば記録媒体のみで遊技価値を特定可能な構成だけでなく、管理装置6にて記録媒体のIDに対応付けて遊技価値を対応付けておき、IDが記録された記録媒体を受け付けた場合に管理装置6に問い合わせることで特定しても良い。
【0069】
記録媒体としてICカードや計数レシートを例示したが、有価価値を特定可能な情報を記録可能であれば例えばコイン等の他の記録媒体であっても良く、勿論、ICカードにより遊技価値を特定可能な構成としても良い。また、発行処理として記録媒体を排出する処理を例示したが、例えば遊技者が所持する携帯電話等の記録媒体により獲得価値を特定可能な状態とする処理を発行処理としてもよく、この場合、発行操作として携帯電話を発行操作部に翳す操作を発行操作としても良い。
【0070】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用する等して間接的に特定しても良い。また、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。
対象となる遊技機は例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用できる。
例示した処理は島端計数装置7だけでなく、中継装置4や管理装置6等、どのような機器により行っても良い。また、変形例を含む例示した構成をどのように組合わせても良いし、適宜採用しなくとも良い。
【符号の説明】
【0071】
図面中、1は遊技機、6は管理装置(設定手段、異常報知手段)、7は島端計数装置(計数手段、発行手段、許容手段、設定手段、報知手段、期間異常特定手段、計数値異常特定手段)、8は景品交換装置(受付手段、受付報知手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7