(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336364
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20180528BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-187025(P2014-187025)
(22)【出願日】2014年9月12日
(65)【公開番号】特開2016-62919(P2016-62919A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】山崎 丈嗣
【審査官】
木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−533868(JP,A)
【文献】
米国特許第06668915(US,B1)
【文献】
特開2002−046482(JP,A)
【文献】
特開2007−335588(JP,A)
【文献】
特開昭63−138799(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0041562(US,A1)
【文献】
特開2003−046279(JP,A)
【文献】
特開2010−177484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(1)の外周に側壁部(2)が形成された平面方形の皿状体(3)と、その皿状体(3)の開口を閉塞する蓋体(4)と、により内部に偏平な流路が形成された本体(5)を構成し、その本体(5)の内部にインナーフィンが介装され、本体(5)の一端と他端とに冷媒の出入口(7)が形成され、前記底部(1)および/または蓋体(4)に被冷却体(6)が取付られるヒートシンクにおいて、
冷媒の一方の出入口(7)側に一対の第1インナーフィン(8)が第1バイパス路(10)を介して幅方向に並列され、
前記一対の第1インナーフィン(8)の端部から空間(11)を空けて、他方の出入口(7)側に、第2インナーフィン(9)が配置され、その第2インナーフィン(9)の幅方向の両側と側壁部(2)との間には一対の第2バイパス路(13)が形成され、
前記空間(11)に平面漏斗状の仕切(12)が配置され、その漏斗状の拡開側が第2インナーフィン(9)の両側に位置し、漏斗状の絞り側が前記第1バイパス路(10)に連通し、
一対の第1インナーフィン(8)の位置と第2インナーフィン(9)の位置とに、被冷却体(6)が配置されるヒートシンク。
【請求項2】
底部(1)の外周に側壁部(2)が形成された平面方形の皿状体(3)と、その皿状体(3)の開口を閉塞する蓋体(4)と、により内部に偏平な流路が形成された本体(5)を構成し、その本体(5)の内部にインナーフィンが介装され、本体(5)の一端と他端とに冷媒の第1及び第2の出入口(7)が形成され、前記底部(1)および/または蓋体(4)に被冷却体(6)が取付られるヒートシンクにおいて、
冷媒の第1の出入口(7)側に第1インナーフィン(8)が、本体(5)の幅方向の一方側に寄せて配置され、その他方側と側壁部(2)との間に第1バイパス路(10)が形成され、
前記第1インナーフィン(8)の端部から空間(11)を空けて、第2の出入口(7)側に、第2インナーフィン(9)が本体(5)の幅方向の他方側の側壁部(2)に寄せて配置され、その第2インナーフィン(9)の幅方向の一方側と側壁部(2)との間に第2バイパス路(13)が形成され、
前記空間(11)を介して、冷媒(15)の下流側に位置するインナーフィンの他方側部分に比較的低温の冷媒が流通し、一方側部分に比較的高温の冷媒が流通するように構成し、
第1インナーフィン(8)の位置と第2インナーフィン(9)の位置とに、被冷却体(6)が配置されるヒートシンク。
【請求項3】
底部(1)の外周に側壁部(2)が形成された平面方形の皿状体(3)と、その皿状体(3)の開口を閉塞する蓋体(4)と、により内部に偏平な流路が形成された本体(5)を構成し、その本体(5)の内部にインナーフィンが介装され、本体(5)の一端と他端とに冷媒の出入口(7)が形成され、前記底部(1)および/または蓋体(4)に被冷却体(6)が取付られるヒートシンクにおいて、
冷媒の一方の出入口(7)側に一対の第1インナーフィン(8)が第1バイパス路(10)を介して幅方向に並列され、
前記一対の第1インナーフィン(8)の端部から空間(11)を空けて、他方の出入口(7)側に、第2インナーフィン(9)が配置され、その第2インナーフィン(9)の幅方向の両側は前記側壁部(2)に接して配置され、
冷媒が上流側に位置する一対の第1インナーフィン(8)と第1バイパス路(10)とに供給され、下流側に位置する第2インナーフィン(9)の幅方向中央部分に比較的温度の低い冷媒が流通し、幅方向の両側部に比較的温度の高い冷媒に流通するように構成し、
一対の第1インナーフィン(8)の位置と第2インナーフィン(9)の位置とに、被冷却体(6)が配置されるヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平流路内にインナーフィンを有し、その外面側に半導体等の被冷却体を取付けて、それを冷却するヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1にヒートシンクが提案されている。これは、方形の枠体内にインナーフィンを配置し、それらの上下両端にプレートを設けて、全体を一体的にろう付け固定したものである。そして冷媒をその一端側から他端側に流通させ、プレートの表面に半導体集積回路等を取付け、それを冷媒によって冷却するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−60145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、このようなヒートシンクの外面に取付ける半導体等の集積回路は、冷媒の流れに沿って多数並列される。ところが、冷媒が上流側から下流側に流通するに従って、その温度が次第に高くなり、より下流に位置する半導体の冷却能力が低下する欠点がある。
そこで、本発明は冷媒の上流側と下流側との何れでも、冷却能力を比較的高く維持できるヒートシンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、底部(1)の外周に側壁部(2)が形成された平面方形の皿状体(3)と、その皿状体(3)の開口を閉塞する蓋体(4)と、により内部に偏平な流路が形成された本体(5)を構成し、その本体(5)の内部にインナーフィンが介装され、本体(5)の一端と他端とに冷媒の出入口(7)が形成され、前記底部(1)および/または蓋体(4)に被冷却体(6)が取付られるヒートシンクにおいて、
冷媒の一方の出入口(7)側に一対の第1インナーフィン(8)が第1バイパス路(10)を介して幅方向に並列され、
前記一対の第1インナーフィン(8)の端部から空間(11)を空けて、他方の出入口(7)側に、第2インナーフィン(9)が配置され、その第2インナーフィン(9)の幅方向の両側と側壁部(2)との間には一対の第2バイパス路(13)が形成され
前記空間(11)に平面漏斗状の仕切(12)が配置され、その漏斗状の拡開側が第2インナーフィン(9)の両側に位置し、漏斗状の絞り側が前記第1バイパス路(10)に連通し、
一対の第1インナーフィン(8)の位置と第2インナーフィン(9)の位置とに、被冷却体(6)が配置されるヒートシンクである。
【0007】
請求項2に記載の本発明は、底部1の外周に側壁部2が形成された平面方形の皿状体3と、その皿状体3の開口を閉塞する蓋体4と、により内部に偏平な流路が形成された本体5を構成し、その本体5の内部にインナーフィンが介装され、本体5の一端と他端とに冷媒の第1及び第2の出入口7が形成され、前記底部1および/または蓋体4に被冷却体6が取付られるヒートシンクにおいて、
冷媒の第1の出入口7側に第1インナーフィン8が、本体5の幅方向の一方側に寄せて配置され、その他方側と側壁部2との間に第1バイパス路10が形成され、
前記第1インナーフィン8の端部から空間11を空けて、第2の出入口7側に、第2インナーフィン9が本体5の幅方向の他方側の側壁部2に寄せて配置され、その第2インナーフィン9の幅方向の一方側と側壁部2との間に第2バイパス路13が形成され、
前記空間11を介して、冷媒15の下流側に位置するインナーフィンの他方側部分に比較的低温の冷媒が流通し、一方側部分に比較的高温の冷媒が流通するように構成し、
第1インナーフィン8の位置と第2インナーフィン9の位置とに、被冷却体6が配置されるヒートシンクである。
【0008】
請求項3に記載の本発明は、底部1の外周に側壁部2が形成された平面方形の皿状体3と、その皿状体3の開口を閉塞する蓋体4と、により内部に偏平な流路が形成された本体5を構成し、その本体5の内部にインナーフィンが介装され、本体5の一端と他端とに冷媒の出入口7が形成され、前記底部1および/または蓋体4に被冷却体6が取付られるヒートシンクにおいて、
冷媒の一方の出入口7側に一対の第1インナーフィン8が第1バイパス路10を介して幅方向に並列され、
前記一対の第1インナーフィン8の端部から空間11を空けて、他方の出入口7側に、第2インナーフィン9が配置され、その第2インナーフィン9の幅方向の両側は前記側壁部2に接して配置され、
冷媒が上流側に位置する一対の第1インナーフィン8と第1バイパス路10とに供給され、下流側に位置する第2インナーフィン9の幅方向中央部分に比較的温度の低い冷媒が流通し、幅方向の両側部に比較的温度の高い冷媒に流通するように構成し、
一対の第1インナーフィン8の位置と第2インナーフィン9の位置とに、被冷却体6が配置されるヒートシンクである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明は、一対の第1インナーフィン8と第2インナーフィン9との空間11に平面漏斗状の仕切12が形成されているため、上流側のインナーフィンを通過して比較的高温となった冷媒を下流側で第2バイパス路13でバイパスし、比較的低温の冷媒のみを第1バイパス路10から第2インナーフィン9に供給するものである。そのため、各部の冷媒能力を高め、夫々のインナーフィンの位置に配置される被冷却体6を効果的に冷却できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、第1インナーフィン8の他側と第2インナーフィン9の一側とに、第1バイパス路10、第2バイパス路13が形成され、両フィン間に空間11が配置されて、空間11を介して、冷媒15の下流側に位置する第2インナーフィン9の他方側部分に比較的低温の冷媒が流通し、一方側部分に比較的高温の冷媒が流通するように構成したものである。そのため、冷媒の下流側に位置するインナーフィンの低温冷媒の流通部分の位置には、容量の大きな被冷却体6を配置し、インナーフィンの高温冷媒の流通部分の位置には容量の小さな被冷却体6aを配置して、各部を有効に利用できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、冷媒の一方の出入口7側に一対の第1インナーフィン8が第1バイパス路10を介して幅方向に並列され、
その一対の第1インナーフィン8の端部から空間11を空けて、他方の出入口7側に、第2インナーフィン9が配置され、その第2インナーフィン9の幅方向の両側は側壁部2に接して配置され、
冷媒が上流側に位置する一対の第1インナーフィン8と第1バイパス路10とに供給され、下流側に位置する第2インナーフィン9の幅方向中央部分に比較的温度の低い冷媒が流通し、幅方向の両側部に比較的温度の高い冷媒が流通するように構成したものである。
そのため、冷媒の下流側に位置するインナーフィンの中央部分の低温冷媒の流通部分の位置には、容量の大きな被冷却体6を配置し、インナーフィンの両側部の高温冷媒の流通部分の位置には容量の小さな被冷却体6aを配置して、各部を有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施例のヒートシンクの内部構造を示す平面図。
【
図2】同第2実施例のヒートシンクの内部構造を示す平面図。
【
図4】本発明の第3実施例のヒートシンクの内部構造を示す平面図。
【
図5】本発明の第4実施例のヒートシンクの内部構造を示す平面図。
【
図6】同実施例の蓋体4の表面上の被冷却体6,6aの取付け状態を示す説明図。
【
図7】本発明の第5実施例のヒートシンクの内部構造を示す平面図。
【
図8】同実施例の蓋体4の表面上の被冷却体6,6aの取付け状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
【実施例1】
【0015】
図1及び
図3は本発明の第1実施例の内部構造及び分解斜視図である。
このヒートシンクは、
図3に示す如く、外周が同一形状の底部1と枠形の側壁部2と蓋体4とを有する。そして底部1上に側壁部2が載置され、その側壁部2内に一対の第1インナーフィン8及び第2インナーフィン9並びに仕切12が配置され、それらの上面に蓋体4が取付けられる。
底部1の他端には出入口7が穿設され、蓋体4の一端にも出入口7が穿設されている。そしてそれらは一体的にろう付け固定される。
【0016】
その内部構造は
図1に示す如く、上流側の出入口7側に第1バイパス路10を介して一対の第1インナーフィン8が配置され、それらの下流側に空間11を介して第2インナーフィン9が配置され、その空間11に仕切12が介装される。
この仕切12は平面漏斗状に形成され、その仕切12の拡開側が第2インナーフィン9の上流端縁を抱持し、その絞り側が第1バイパス路10の下流端に接続される。
【0017】
〔実施例1の作用〕
図1において、左端に開口した出入口7から冷媒15が流入し、それが一対の第1インナーフィン8を流通すると共に、その一部は第1バイパス路10に導かれる。第1インナーフィン8に供給された低温冷媒15aは、第1インナーフィン8内を流通するに従い、次第に高温となり、高温冷媒15bとなって仕切12の外周に導かれて第2バイパス路13を通過し、右端の出入口7から流出する。
一方、出入口7から第1バイパス路10に供給された低温冷媒15aは、そのまま仕切12の内部に導かれ第2インナーフィン9に供給され、次第に高温となって右端の出入口7から外部に流出する。
【0018】
蓋体4の上面およびまたは底部1の下面には、複数の被冷却体6が配置され、内部に冷媒15が流通することによってそれらを冷却する。この例では、一対の第1インナーフィン8の位置に一対の被冷却体6が並列され、第2インナーフィン9の位置に一つの被冷却体6が配置され、夫々比較的低温の冷媒によってそれらが冷却される。なお、一対の第1インナーフィン8内の冷媒の流通抵抗は、第1バイパス路10の流通抵抗と略同じとする。そのため、第1バイパス路10を流通する冷媒の流量と、一対の第1インナーフィン8を流通する冷媒の流量が略同じになる。
【実施例2】
【0019】
次に、
図2は本発明の第2実施例であり、この例が
図1のそれと異なる点は、冷媒15の流通方向が
図1のそれと逆である点のみである。
そして、
図2において、右側の出入口7から流入した低温冷媒15aは、その一部が第2インナーフィン9内を流通し、それ以外の低温冷媒15aは一対の第2バイパス路13を流通する。そして第2インナーフィン9内に導かれた低温冷媒15aは、被冷却体6を冷却して高温冷媒15bとなり、仕切12を介して第1バイパス路10から直接左側の出入口7に導かれる。また、一対の第2バイパス路13に導かれた低温冷媒15aは、仕切12の斜面に案内されて一対の第1インナーフィン8に供給され、第1インナーフィン8に配置された夫々の被冷却体6を冷却し高温冷媒15bとなって左側の出入口7から外部に流出する。この例では、第2インナーフィン9内の冷媒の流通抵抗は、一対の第2バイパス路13の流通抵抗と略同じに調整されている。そして、一対の第2バイパス路13を流通する冷媒の流量と、第2インナーフィン9を流通する冷媒の流量は略同じである。
【実施例3】
【0020】
次に、
図4は本発明の第3実施例であり、この例は第1インナーフィン8と第2インナーフィン9とが空間11を介して冷媒の流通方向に離間して配置され、第1インナーフィン8は本体5の幅方向の一方寄りに配置され、第2インナーフィン9はそれが他方寄りに配置されている。そして、夫々のインナーフィン8,9と枠体からなる側壁部2との間に、第1バイパス路10及び第2バイパス路13を形成している。さらに、空間11には斜めの仕切12が配置され、その一端が第1インナーフィン8の端縁の下流端に接触し、他端が第2インナーフィン9の端縁の上流端に接触する。この例では、第1バイパス路10の冷媒の流通抵抗と、第1インナーフィン8の冷媒の流通抵抗とが略等しく調整されている。
【0021】
〔実施例3の作用〕
図4において、左側の出入口7から流入した冷媒15は、第1インナーフィン8の内部と第1バイパス路10とに分流する。第1インナーフィン8内に流入した低温冷媒15aは、第1インナーフィン8の位置に配置された図示しない被冷却体を冷却し、高温冷媒15bとなって空間11に導かれ、そこに配置された仕切12によって第2バイパス路13に導かれる。
一方、第1バイパス路10内を流通する低温冷媒15aは、仕切12の下流側に導かれ第2インナーフィン9内を流通し、第2インナーフィン9の位置に配置された図示しない被冷却体を冷却して、高温冷媒15bとなって右側の出入口7に導かれる。
なお、この例では冷媒15が左側の出入口7から右側の出入口7に導かれたが、それとは逆に右側の出入口7から左側の出入口7に導いてもよい。その場合、各冷媒の矢印方向が逆になる。
【実施例4】
【0022】
次に、
図5は本発明の第4実施例であり、この例が
図4のそれと異なる点は、空間11内に仕切12が存在しない点である。
【0023】
〔実施例4の作用〕
左側の出入口7から流入した冷媒15は、第1インナーフィン8内と第1バイパス路10とに流通する。第1バイパス路10は、流通抵抗が小であるため流路断面当たりの流量が大となり、第1インナーフィン8内では流量が小となる。第1バイパス路10内を流通した低温冷媒15aは、他方側に寄せられた第2インナーフィン9の第1バイパス路10に近い側により多く流通し、第1インナーフィン8を通過して比較的高温となった高温冷媒15bは、第2インナーフィン9内を第2バイパス路13側に近い位置を流通し、低温冷媒15aと混合してその中間温度の冷媒15が第2バイパス路13側をより多く流通する。
【0024】
そのため第2インナーフィン9においては、第2バイパス路13側に近い第2インナーフィン9内を比較的温度の高い混合冷媒が流通し、比較的温度の低い冷媒が第2バイパス路13と逆側を流通する。
そこでこの例では、第2インナーフィン9の第2バイパス路13側には、
図6に示す如く、比較的容量の小さな被冷却体6aを配置し、それと逆側には比較的容量の大きな被冷却体6を配置する。そして、それらが夫々各温度の冷媒により冷却される。
なお、
図5の例においては、左側の出入口7から右側の出入口7に冷媒を流通させたが、それを逆にすることもできる。その場合、下流側の第1インナーフィン8に被冷却体6と6aが配置されることになる。
【実施例5】
【0025】
次に、
図7は本発明の第5実施例であり、この例は冷媒の上流側に一対の第1インナーフィン8が第1バイパス路10を介して配置され、それらの下流側に空間11を介して第2インナーフィン9が配置される。
この第2インナーフィン9は、その幅方向両端が枠体からなる側壁部2に接する。
【0026】
〔実施例5の作用〕
左側の出入口7から導かれた冷媒15は、一対の第1インナーフィン8に供給されると共に、第1バイパス路10に供給される。そして、比較的流通抵抗の低い第1バイパス路10を流通した低温冷媒15aは、第2インナーフィン9の幅方向中心部に導かれる。
また、第1インナーフィン8を流通した冷媒は、それらの位置に配置された被冷却体6を冷却して高温冷媒15bとなり、それが第2インナーフィン9の両側部近傍を流通し、第1バイパス路10を通った冷媒と混合して、それらの中間の温度となって右側の出入口7に導かれる。
【0027】
従って、第2インナーフィン9の幅方向中間部には低温冷媒15aが流通し易く、幅方向両端部には低温冷媒15aと高温冷媒15bとの混合体が流通する。そこで、
図8に示す如く、第2インナーフィン9の中間部の位置には容量の比較的大きな被冷却体6を配置し、その両側には容量の比較的小さな被冷却体6aを配置して、それらを各温度の冷媒により冷却することができる。
【0028】
〔変形例〕
これらの実施例では、
図3に示す如く、底部1と側壁部2とが別体で形成され、それがろう付けにより一体的に固定されたものであるが、それに変えて底部1と側壁部2とを一体にして皿状に形成し、その開口端に蓋体4を止着してもよい。
また、これらの例では第1インナーフィン8が波形に曲折され、その稜線方向が冷媒の流通方向に配置されたが、それに変えてオフセット型のインナーフィンを配置することもできる。
また、この例では偏平な流路を一段にしたが、それを複数段積層することもできる。
また、
図3において、底部1の下面側に被冷却体6を配置することもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 底部
2 側壁部
3 皿状体
4 蓋体
5 本体
6 被冷却体
6a 被冷却体
7 出入口
8 第1インナーフィン
9 第2インナーフィン
【0030】
10 第1バイパス路
11 空間
12 仕切
13 第2バイパス路
14 ヒートシンク
15 冷媒
15a 低温冷媒
15b 高温冷媒