(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336369
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】カバーガラスの貼合装置
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20180528BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20180528BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
C03C27/12 H
G09F9/00 338
G09F9/00 302
G02F1/1333 500
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-203641(P2014-203641)
(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公開番号】特開2016-69264(P2016-69264A)
(43)【公開日】2016年5月9日
【審査請求日】2017年5月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】596149604
【氏名又は名称】クライムプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】薦田 大介
【審査官】
増山 淳子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−139796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00 − 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板(A)を吸着保持する可動テーブル(3)と、カバーガラス(B)を支持する調整テーブル(2)と、カバーガラス(B)をガラス基板(A)に押付け操作する貼合ローラー(4)とを備えており、
可動テーブル(3)が貼合位置へ移動操作された状態において、可動テーブル(3)に吸着保持したガラス基板(A)と、調整テーブル(2)のバックアップ体(5)で支持したカバーガラス(B)とは、上下隙間(E)を介して上下に対向しており、
カバーガラス(B)の貼合終端には、液晶基板(A)から外側方へはみ出すはみ出し部(71)が形成されており、
カバーガラス(B)のはみ出し部(71)を受止める接触規制構造が、可動テーブル(3)に設けられており、
接触規制構造は、可動テーブル(3)で上下スライド可能に支持されて、前記はみ出し部(71)の上面に接当する規制具(22)と、可動テーブル(3)に固定されて、規制具(22)を昇降操作するガス圧シリンダー(20)とを含み、
貼合時には、カバーガラス(B)の重量をバックアップ体(5)で支持し、前記はみ出し部(71)を規制具(22)で受止めた状態で、カバーガラス(B)の貼合始端を貼合ローラー(4)でガラス基板(A)に押付けて、貼合ローラー(4)とカバーガラス(B)を相対移動させることによりカバーガラス(B)をガラス基板(A)に貼合しており、
貼合終端において、前記はみ出し部(71)と規制具(22)を、貼合ローラー(4)でガス圧シリンダー(20)の押圧力に抗して上方移動させて、はみ出し部(71)を規制具(22)と貼合ローラー(4)とで挟持しながら、カバーガラス(B)の貼合終端をガラス基板(A)に密着貼合することを特徴とするカバーガラスの貼合装置。
【請求項2】
規制具(22)が、ガイドブッシュ(21)で上下スライド自在に支持されるピン(37)と、ピン(37)の下端に固定されてはみ出し部(71)の上面に接当する弾性体(38)を備えており、
弾性体(38)の上下厚みがガラス基板(A)の上下厚みと同じかこれより小さく設定してある請求項1に記載のカバーガラスの貼合装置。
【請求項3】
固定台(1)の内部に、貼合ローラー(4)を貼合始端位置から貼合終端位置へ向かって移動操作する、ローラー駆動構造が設けられており、
貼合ローラー(4)は、ローラー本体(43)と、同本体(43)を支持するローラー台(44)を備えており、
ローラー駆動構造は、ローラー台(44)を昇降自在に支持する往復台(50)と、往復台(50)を貼合始端位置と貼合終端位置との間で駆動操作する駆動機構を備えており、
ローラー台(44)と往復台(50)との間に、貼合ローラー(4)を下方の待機位置と、上方の貼合位置とに変位操作する昇降機構が設けてある請求項1、または2に記載のカバーガラスの貼合装置。
【請求項4】
複数のガス圧シリンダー(20)がテーブル本体(7)に固定したブラケット(19)に締結されており、
ガス圧シリンダー(20)は、締結軸部(26)を一体に備えたシリンダー本体(27)と、シリンダー本体(27)に対して昇降移動するピストンロッド(28)を含み、
締結軸部(26)にねじ込んだ一対のロックナット(33)でブラケット(19)の締結枠(23)を上下に挟持して、ガス圧シリンダー(20)がブラケット(19)に締結固定されており、
一対のロックナット(33)の締付位置を調整して、ガス圧シリンダー(20)の固定高さを変更調整できる請求項1から3のいずれかひとつに記載のカバーガラスの貼合装置。
【請求項5】
可動テーブル(3)の吸着板(9)で吸着したガラス基板(A)と、調整テーブル(2)のシルクスクリーン(5)で保持したカバーガラス(B)の位置合わせを行うための位置調整構造を備えており、
位置調整構造は、固定台(1)と調整テーブル(2)との間に設けた位置調整装置(63)と、可動テーブル(3)の上方に配置した基準側カメラ(64)と、調整テーブル(2)の上方に配置した調整側カメラ(65)と、アライメントコントローラーを備えており、
位置合わせ時に、基準側カメラ(64)と調整側カメラ(65)の映像をアライメントコントローラーで照合し、同コントローラーからの出力信号に基づき、位置調整装置(63)を作動させて、カバーガラス(B)のガラス基板(A)に対する位置ずれを調整操作する請求項1から4のいずれかひとつに記載のカバーガラスの貼合装置。
【請求項6】
ガラス基板(A)を吸着保持する可動テーブル(3)と、カバーガラス(B)を支持する調整テーブル(2)と、カバーガラス(B)をガラス基板(A)に押付け操作する貼合ローラー(4)とを備えており、
可動テーブル(3)が貼合位置へ移動操作された状態において、可動テーブル(3)に吸着保持したガラス基板(A)と、調整テーブル(2)のバックアップ体(5)で支持したカバーガラス(B)とは、上下隙間(E)を介して上下に対向しており、
カバーガラス(B)の貼合終端には、液晶基板(A)から外側方へはみ出すはみ出し部(71)が形成されており、
貼合位置において、カバーガラス(B)のはみ出し部(71)を受止める接触規制構造が、可動テーブル(3)に設けられており
接触規制構造は、可動テーブル(3)で上下スライド可能に支持されて、前記はみ出し部(71)の上面に接当する規制具(22)と、可動テーブル(3)に固定されて、規制具(22)を昇降操作する数値制御が可能なモーターを含み、
貼合時には、カバーガラス(B)の重量をバックアップ体(5)で支持し、前記はみ出し部(71)を規制具(22)で受止めた状態で、カバーガラス(B)の貼合始端を貼合ローラー(4)でガラス基板(A)に押付けて、貼合ローラー(4)とカバーガラス(B)を相対移動させることによりカバーガラス(B)をガラス基板(A)に貼合しており、
貼合終端において、前記はみ出し部(71)と規制具(22)を、数値制御が可能なモーターで貼合ローラー(4)の押圧力に同調して上方移動させて、はみ出し部(71)を規制具(22)と貼合ローラー(4)とで挟持しながら、カバーガラス(B)の貼合終端をガラス基板(A)に密着貼合することを特徴とするカバーガラスの貼合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶基板、太陽電池基板、タッチパネル基板などのガラス基板に対して、カバーガラスを貼合するための貼合装置に関する。本発明に係るカバーガラスの貼合装置は、とくに大サイズで大面積のガラス基板とカバーガラスを貼合対象とする。
【背景技術】
【0002】
この種の貼合装置は、本出願人の提案に係る特許文献1に見ることができる。そこでは、可動テーブルに吸着固定したガラス基板と、複数組の吸着体で吸着固定したベースガラスとを所定の上下隙間を間にして正対させ、ベースガラスを接着ローラーで貼合始端から貼合終端へ向かって押付けることによりガラス基板に貼合する。貼合過程では、接着ローラーの接着移動に先行して、吸着体を吸着位置から退避位置へ退避させながら、ベースガラスをガラス基板に貼合する。特許文献1の貼合装置は、貼合途中のベースガラスを、接着ローラーで押圧された位置と、接着ローラーに最も近い位置の吸着体で吸着された位置との間で緩やかに弾性変形させ、貼合面に挟み込まれようとする空気を接着ローラーで強制的に逃がしながら貼合する点に特長がある。
【0003】
本発明においては、カバーガラスを貼合する過程において、カバーガラスの貼合終端をガラス基板から離れた状態に保持し続けるが、このような貼合形態は、特許文献2の貼り合せ装置に開示されている。そこでは、第1板状部材(ガラス基板)を貼り合わせステージ上に載置して吸着固定し、第2板状部材(カバーガラス)の両端を昇降操作可能なピローおよびヘッドで支持して、第1板状部材と第2板状部材を6mmの対向隙間を介して正対させる。この状態で、第2板状部材の上面をローラーで第1板状部材に押付け、貼り合わせステージをローラーに対して移動させることにより、両板状部材を貼合する。貼合が開始されてから貼合が終了する直前まで、第2板状部材の貼合終端はピローで支持されて、第1板状部材の接着層より上方に位置保持されており、これにより、貼合途中の第2板状部材の貼り合せ角度(反り角度)が5度未満になるのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4870046号公報(段落番号0031〜0032、
図1)
【特許文献2】特許第4712886号公報(段落番号0031〜0037、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の貼合装置によれば、気泡の発生を伴うことなくベースガラスをガラス基板に貼合して、ガラス積層品の生産性を向上し、その生産コストを削減できる。しかし、ベースガラスの貼合終端側を支持する吸着体が退避姿勢に切換るのと同時に、それまで弾性変形していたベースガラスが、自己の弾性力で跳ね上がってガラス基板に密着するため、稀にではあっても、気泡のかみ込みや接着終端の位置ずれなどの貼合不良を生じるおそれがあった。とくに、近年の液晶基板の対角寸法は大形化する傾向があるが、ガラス基板が大形化するほど弾性変形時の変形応力が大きくなって貼合不良を生じやすく、貼合不良をなくすための対策が強く望まれている。また、貼合不良を生じたガラス積層品は、ベースガラスをガラス基板から剥離して再貼合する必要があるが、再貼合作業に多くの手間と時間がかかり、さらに、剥離時の破損などでベースガラスを再利用できなかった場合のコストが余分に必要となる点に問題があった。
【0006】
その点、特許文献2の貼り合せ装置は、貼合が開始されてから貼合が終了する直前まで、第2板状部材の貼合終端をピローで支持しているので、第2板状部材が跳ね上がることは殆んどない。しかし、特許文献2の貼り合せ装置は、対角寸法が5in(127mm)以下の第1板状部材を貼合対象としており、さらに、第2板状部材の両側端の下面のみをヘッドとピローで支持するので、大サイズのカバーガラスを貼合するのには適さない。
【0007】
例えば、対角寸法が1778mm(70in)のハイビジョンテレビ用の液晶基板に対して、特許文献2の貼り合せ装置でカバーガラスを貼合する場合を考えてみる。ハイビジョン画面の縦横比は16対9であるので、液晶基板の左右長さは1550mmとなる。このような長寸のカバーガラスの両側端の下面をヘッドとピローで支持すると、カバーガラスの板面の中途部が自重で下突状に大きく湾曲する。そのため、カバーガラスを液晶基板に対して正確に位置決めすることが極めて困難となる。また、特許文献2の貼り合せ装置においては、カバーガラスの貼り合せ角度を5度以上に保持して貼合を行っているが、大サイズのカバーガラスを貼合始端において5度まで傾斜させるには、貼合前の液晶基板とカバーガラスの対向隙間を135mmにした状態で、カバーガラスの貼合始端をローラーで液晶基板に押付ける必要がある。実際には、先のようにガラス板面の中途部が自重で下突状に大きく湾曲するため、先の対向隙間をさらに大きくする必要があり、カバーガラスを液晶基板に対して正確に貼合することは極めて困難となる。
【0008】
カバーガラスの厚みを増すと、板面の中途部におけるたわみ変形量をある程度は減らすことができるが、その場合には、カバーガラスの重量とコストが増加するのを避けられない。また、現状におけるカバーガラスの厚みは0.5〜0.7mmであるが、カバーガラスの厚みが0.7mmを越えると、ベースガラスの変形応力が急激に増加するため、先のように、貼合前の液晶基板とカバーガラスの対向隙間を135mmにした状態で貼合を適正に行うことは、実用上極めて困難となる。
【0009】
本発明の目的は、貼合終端におけるカバーガラスの跳ね上がりを解消して、カバーガラスとガラス基板の貼合を、空気のかみ込みを伴うことなく適正に行って生産性を向上でき、とくに大サイズのガラス積層品に好適なカバーガラスの貼合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る貼合装置は、ガラス基板Aを吸着保持する可動テーブル3と、カバーガラスBを支持する調整テーブル2と、カバーガラスBをガラス基板Aに押付け操作する貼合ローラー4とを備えている。可動テーブル3が貼合位置へ移動操作された状態において、可動テーブル3に吸着保持したガラス基板Aと、調整テーブル2のバックアップ体5で支持したカバーガラスBとは、上下隙間Eを介して上下に対向している。
カバーガラスBの貼合終端には、液晶基板Aから外側方へはみ出すはみ出し部71を形成し、カバーガラスBのはみ出し部71を受止める接触規制構造を、可動テーブル3に設ける。接触規制構造は、可動テーブル3で上下スライド可能に支持されて、前記はみ出し部71の上面に接当する規制具22と、可動テーブル3に固定されて、規制具22を昇降操作するガス圧シリンダー20とを含む。貼合時には、カバーガラスBの重量をバックアップ体5で支持し、はみ出し部71を規制具22で受止めた状態で、カバーガラスBの貼合始端を貼合ローラー4でガラス基板Aに押付けて、貼合ローラー4とカバーガラスBを相対移動させることによりカバーガラスBをガラス基板Aに貼合する。貼合終端において、はみ出し部71と規制具22を、貼合ローラー4でガス圧シリンダー20の押圧力に抗して上方移動させて、
はみ出し部71を規制具22と貼合ローラー4とで挟持しながらカバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに密着貼合することを特徴とする。
【0011】
規制具22は、ガイドブッシュ21で上下スライド自在に支持されるピン37と、ピン37の下端に固定されてはみ出し部71の上面に接当する弾性体38を備えている。弾性体38の上下厚みはガラス基板Aの上下厚みと同じかこれより小さく設定する。
【0012】
固定台1の内部に、貼合ローラー4を貼合始端位置から貼合終端位置へ向かって移動操作する、ローラー駆動構造を設ける。貼合ローラー4は、ローラー本体43と、同本体43を支持するローラー台44を備えている。ローラー駆動構造は、ローラー台44を昇降自在に支持する往復台50と、往復台50を貼合始端位置と貼合終端位置との間で駆動操作する駆動機構を備えている。ローラー台44と往復台50との間に、貼合ローラー4を下方の待機位置と、上方の貼合位置とに変位操作する昇降機構を設ける。
【0013】
複数のガス圧シリンダー20をテーブル本体7に固定したブラケット19に締結する。ガス圧シリンダー20は、締結軸部26を一体に備えたシリンダー本体27と、シリンダー本体27に対して昇降移動するピストンロッド28を含む。締結軸部26にねじ込んだ一対のロックナット33でブラケット19の締結枠23を上下に挟持して、ガス圧シリンダー20をブラケット19に締結固定する。一対のロックナット33の締付位置を調整して、ガス圧シリンダー20の固定高さを変更調整できる。
【0014】
可動テーブル3の吸着板9で吸着したガラス基板Aと、調整テーブル2のシルクスクリーン5で保持したカバーガラスBの位置合わせを行うための位置調整構造を備えている。位置調整構造は、固定台1と調整テーブル2との間に設けた位置調整装置63と、可動テーブル3の上方に配置した基準側カメラ64と、調整テーブル2の上方に配置した調整側カメラ65と、アライメントコントローラーを備えている。位置合わせ時には、基準側カメラ64と調整側カメラ65の映像をアライメントコントローラーで照合し、同コントローラーからの出力信号に基づき、位置調整装置63を作動させて、カバーガラスBのガラス基板Aに対する位置ずれを調整操作する。
【0015】
本発明に係る別の貼合装置は、ガラス基板Aを吸着保持する可動テーブル3と、カバーガラスBを支持する調整テーブル2と、カバーガラスBをガラス基板Aに押付け操作する貼合ローラー4とを備えている。可動テーブル3が貼合位置へ移動操作された状態において、可動テーブル3に吸着保持したガラス基板Aと、調整テーブル2のバックアップ体5で支持したカバーガラスBとは、上下隙間Eを介して上下に対向している。
カバーガラスBの貼合終端には、液晶基板Aから外側方へはみ出すはみ出し部71を形成し、貼合位置において、
カバーガラスBのはみ出し部71を受止める接触規制構造を、可動テーブル3に設ける。接触規制構造は、可動テーブル3で上下スライド可能に支持されて、前記はみ出し部71の上面に接当する規制具22と、可動テーブル3に固定されて、規制具22を昇降操作する数値制御が可能なモーターを含む。
貼合時には、カバーガラスBの重量をバックアップ体5で支持し、はみ出し部71を規制具22で受止めた状態で、カバーガラスBの貼合始端を貼合ローラー4でガラス基板Aに押付けて、貼合ローラー4とカバーガラスBを相対移動させることによりカバーガラスBをガラス基板Aに貼合する。貼合終端において、はみ出し部71と規制具22を、数値制御が可能なモーターで貼合ローラー4の押圧力に同調して上方移動させて、
はみ出し部71を規制具22と貼合ローラー4とで挟持しながらカバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに密着貼合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る貼合装置では、ガラス基板Aを吸着保持する可動テーブル3と、カバーガラスBを支持する調整テーブル2を、上下隙間Eを介して上下に対向させるようにした。また、貼合時には、カバーガラスBの重量をバックアップ体5で支持し、そのはみ出し部71を規制具22で受止めた状態で、カバーガラスBの貼合始端を貼合ローラー4でガラス基板Aに押付けて、貼合ローラー4とカバーガラスBを相対移動させることにより、カバーガラスBをガラス基板Aに密着貼合した。
【0017】
上記のように、カバーガラスBの重量をバックアップ体5で支持した状態で貼合を行うと、従来の貼合装置とは異なり、貼合途中のカバーガラスBが自重で下突湾曲状に変形するのを防止しながら貼合を行える。とくに、大サイズのカバーガラスBであっても、その全面をバックアップ体5で適正に支持した状態で貼合できる。また、貼合時には、カバーガラスBのはみ出し部71の上面を規制具22で受止めて、カバーガラスBが貼合ローラー4の押圧部分から規制具22へ向かって下り傾斜する状態で貼合するので、貼合面に挟み込まれようとする空気を、貼合ローラー4の進行方向へ向かって強制的に逃がしながら貼合できる。従って、貼合面に気泡が封じ込まれるのを確実に防止しながら、カバーガラスBをガラス基板Aに貼合できる。さらに、貼合終端においては、はみ出し部71と規制具22を、貼合ローラー4でガス圧シリンダー20の押圧力に抗して上方移動させて、カバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに密着貼合する。このように、はみ出し部71を規制具22と貼合ローラー4で挟持した状態のままで上方移動させると、カバーガラスBの貼合終端が液晶基板A側へ跳ね上がるのを確実に防止できる。従って、カバーガラスBの跳ね上がりに伴う、気泡のかみ込みや接着終端の位置ずれなどの貼合不良を一掃して生産性を向上でき、とくに大サイズのガラス積層品に好適なカバーガラスの貼合装置を提供できる。
【0018】
ピン37の下端に弾性体38を固定した規制具22によれば、カバーガラスBのはみ出し部71を弾性体38で受止めた状態において、弾性体38が弾性変形することで、はみ出し部71に作用する受止め反力を分散させることができる。また、規制具22と貼合ローラー4の近接距離が変化するのに伴って、はみ出し部71の変形姿勢が連続して変化するが、こうした姿勢の変化に追随して弾性体38が弾性変形するので、はみ出し部71に作用する受止め反力を分散させることができる。従って、受止め反力がはみ出し部71の1個所に集中するのを解消して、貼合時のはみ出し部71の破損や傷つきを良く防止できる。弾性体38の上下厚みを、ガラス基板Aの上下厚みと同じかこれより小さく設定するのは、カバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに押付けた状態において、カバーガラスBをガラス基板Aに確実に密着させて、適正に貼合を行うためである。因みに、弾性体38の上下厚みがガラス基板Aの上下厚みより大きいと、吸着面9aに接当した弾性体38ではみ出し部71が押返されて、カバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに確実に貼合できなくなるうえ、はみ出し部71に過剰な力が加わって破損するおそれがある。
【0019】
固定台1の内部に、貼合ローラー4を往復操作するローラー駆動構造を設けると、可動テーブル3をテーブル駆動構造で往復操作する場合に比べて、可動テーブル3に比べて小形の貼合ローラー4を往復駆動すればよいので、ローラー駆動構造の構造を簡素化し、低コスト化できる。また、ローラー台44と往復台50との間に設けた昇降機構で貼合ローラー4を移動操作して、貼合ローラー4を往復台50とともに往復移動させるので、カバーガラスBとガラス基板Aを常に一定の速度で、しかも安定した状態で的確に貼合できる。
【0020】
締結軸部26を備えたシリンダー本体27とピストンロッド28を備えたガス圧シリンダー20を、締結軸部26にねじ込んだ一対のロックナット33でブラケット19の締結枠23に挟持固定すると、締結構造を利用してガス圧シリンダー20の固定高さを変更調整することができる。例えば、ガス圧シリンダー20をテーブル本体7に近付けた状態でブラケット19に固定したい場合には、上側のロックナット33を緩め、下側のロックナット33を締込んだのち、上下のロックナット33を同時に締めこむことにより、ガス圧シリンダー20の固定高さを低くすることができる。従って、別途高さ調整構造を設ける場合に比べて、接触規制構造の構造を簡素化してコストを削減できる。
【0021】
位置調整装置63と、基準側カメラ64および調整側カメラ65と、アライメントコントローラーを備えた位置調整構造が設けてあると、各カメラ64・65の映像をアライメントコントローラーで照合し、同コントローラーからの出力信号に基づき、位置調整装置63を作動させて、カバーガラスBのガラス基板Aに対する位置合わせを精密に、しかも自動的に行うことができる。従って、カバーガラスBとガラス基板Aの貼合を、位置ずれのない状態で常に適正に行うことができ、得られたガラス積層品の位置ずれに基づく不良率を大幅に低下して生産性を向上できる。
【0022】
本発明に係る別の貼合装置では、接触規制構造のガス圧シリンダー20に換えて、数値制御が可能なモーターを駆動源にした。また、貼合終端において、はみ出し部71と規制具22を、数値制御が可能なモーターで貼合ローラー4の押圧力に同調して上方移動させて、カバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに密着貼合できるようにした。こうした貼合装置によれば、先に説明した貼合装置と同様に、大きなサイズのカバーガラスBを貼合する場合であっても、貼合終端におけるカバーガラスBの跳ね上がりを解消して、気泡のかみ込みや接着終端の位置ずれなどの貼合不良を一掃して生産性を向上できる。さらに、貼合終端においてはみ出し部71と規制具22を、数値制御が可能なモーターで貼合ローラー4の押圧力に同調して上方移動させるので、はみ出し部71に無理な力が作用するのを解消して、大きなサイズのカバーガラスBをガラス基板Aに対して常に確実に貼合できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る貼合装置の接触規制構造を示す断面図である。
【
図2】可動テーブルを待機姿勢にした状態の貼合装置の縦断正面図である。
【
図3】調整テーブルおよびローラー駆動構造の平面図である。
【
図4】可動テーブルを貼合姿勢にした状態の貼合装置の縦断正面図である。
【
図7】貼合終端における貼合状況を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例1)
図1ないし
図7は、本発明に係るカバーガラスの貼合装置の実施例を示す。貼合装置は、例えば液晶基板(ガラス基板)Aと、その表示面側を覆うカバーガラスBを貼合して一体化するために設けられており、とくに対角寸法が40in以上で、80inを越える大サイズの液晶基板Aに適合した貼合装置となっている。カバーガラスBは液晶基板Aよりさらにひとまわり大きく形成してあり、その厚みは0.5mmである。
【0025】
図2および
図3において貼合装置は、固定台1と、固定台1で位置調整可能に支持される調整テーブル2と、固定台1に対して揺動開閉可能に連結される可動テーブル3と、貼合ローラー4などで構成する。固定台1は、左右に長い四角枠状に形成されており、その内部に先の貼合ローラー4と、貼合ローラー4を往復駆動するローラー駆動構造と、貼合ローラー4を昇降操作する昇降機構などが設けてある。調整テーブル2は、固定台1より一回り小さな左右に長い四角枠状に形成されており、その上開口にカバーガラスBを支持するシルクスクリーン(バックアップ体)5が張設してある。カバーガラスBは、シルクスクリーン5の内部に作用させた真空圧で吸着保持されており、シルクスクリーン5でカバーガラスBの全体を支持することにより、カバーガラスBの左右中途部が自重で下突状に湾曲するのを確実に防止できる。調整テーブル2と固定台1との間には、カバーガラスBの液晶基板Aに対する位置ずれを調整操作する位置調整構造が設けてある。
【0026】
可動テーブル3は、調整テーブル2よりひとまわり小さな横長四角形状に形成されるテーブル本体7を有し、その内部に真空チャンバー8が凹み形成され、
図1に示すように、真空チャンバー8の開口面の側には、液晶基板Aを吸着固定する吸着板9が固定してある。真空チャンバー8は、図示していない真空源と制御バルブ群を介して接続されており、必要に応じて真空圧を真空チャンバー8に作用させて液晶基板Aを吸着でき、あるいは真空チャンバー8に対する真空圧の作用を停止して液晶基板Aを開放できる。吸着板9は、貼合ローラー4の押圧力を受けても弾性変形しない金属板材からなり、その板面には吸着穴10の一群が、一定間隔おきに、しかも一定のパターンで形成してある。
【0027】
先に説明したように、可動テーブル3は固定台1で揺動開閉可能に支持される。そのために、固定台1の左側端に前後一対のブラケット13を固定し、可動テーブル3の側にL字状の前後一対の揺動アーム14を固定し、これら両者13・14を揺動軸15で連結している。揺動軸15は、それぞれ前後の揺動アーム14に固定してあり、揺動軸15をブラケット13に固定したギヤードモーター16で回転操作することにより、可動テーブル3を待機位置と貼合位置に自動的に開閉できる。待機位置における可動テーブル3は、吸着板9が水平姿勢になって、その吸着面9aが上向きになっている。また、可動テーブル3を貼合姿勢にした状態では、先の吸着面9aが調整テーブル2と平行に正対して、固定台1に設けた位置決めピン17で受止められている。
【0028】
図4に示すように、可動テーブル3の揺動先端側の上面には、貼合時にカバーガラスBの貼合終端が跳ね動くのを規制する接触規制構造が設けてある。
図1に示すように、接触規制構造は、テーブル本体7の外面に設けたブラケット19で支持される1個以上のエアーシリンダー(ガス圧シリンダー)20と、テーブル本体7に固定したガイドブッシュ21で上下スライド自在に支持される規制具22を備えている。この実施例では、ブラケット19に5個のエアーシリンダー20が配置してある場合を示している。ブラケット19は、前後に長い樋体状の締結枠23と、締結枠23の左右側面を支持する複数組のL字状の支持脚24とからなり、締結枠23の底壁に先のエアーシリンダー20が、一定間隔おきに締結固定してある。
【0029】
図1において、エアーシリンダー20は、締結軸部26を一体に備えたシリンダー本体27と、シリンダー本体27に対して出退操作されるピストンロッド28を備えたダブルアクション型のシリンダーからなり、ピストン29で区分される作動室のそれぞれが、切換弁30を介してポンプ31に接続してある。シリンダー本体27と切換弁30を接続する通路には、それぞれ圧力調整弁32が設けてある。締結軸部26の周面には雄ねじが形成してあり、この軸部26を締結枠23の底壁に設けた締結穴に挿通し、締結軸部26にねじ込まれた2個のロックナット33で、先の底壁を挟持することにより、エアーシリンダー20をブラケット19に固定できる。締結軸部26と、同軸部26にねじ込んだロックナット33は高さ調整構造を兼ねており、両ロックナット33の締結軸部26に対する固定位置を変更することにより、エアーシリンダー20の可動テーブル3に対する固定高さを調整することができる。切換弁30は電磁操作弁からなり、
図1に示す切換え状態ではピストンロッド28が進出移動し、逆の切換え状態ではピストンロッド28が退入移動する。ピストンロッド28の突端には、規制具22のピン37を連結するためのねじ軸34が形成してある。
【0030】
規制具22は、ガイドブッシュ21で上下スライド自在に支持される複数のピン37と、ピン37の下端に固定される弾性体38とで構成してある。
図1においてガイドブッシュ21は、テーブル本体7の上壁に固定されて、真空チャンバー8を上下に貫いており、その下端は吸着板9を受止めている。ピン37の上部にはねじ穴39が形成してあり、このねじ穴39にピストンロッド28のねじ軸34をねじ込んで、ロックナット40で固定することにより、ピン37がピストンロッド28と同行移動可能に連結してある。この連結状態のピン37は、ガイドブッシュ21を上下に貫通して、弾性体38が吸着板9の吸着面9aより下方に突出している。弾性体38は、硬質ゴムあるいは硬質のエラストマーを素材とする、カバーガラスBの前後幅と同じか、これより僅かに長いフラットバーからなり、図示していないビスでピン37の下面に固定してあり、所定の外力が作用して始めて弾性変形する。弾性体38の上下厚みは、液晶基板Aの上下厚みと同じかこれより小さく設定するが、その理由は後述する。
【0031】
図4において貼合ローラー4は、ローラー本体43と、ローラー本体43を支持するローラー台44とを備えている。
図1に示すように、ローラー本体43は、金属製のローラー軸45と、ローラー軸45の外面を覆う硬質ゴム製のローラー筒46とで構成してあり、ローラー軸45の前後端が、ローラー台44に設けた前後一対のローラーブラケット47で回転自在に支持してある。貼合ローラー4を
図4に示す貼合始端と、
図4に向かって右端の貼合終端との間で往復駆動するためにローラー駆動構造を設けている。
【0032】
ローラー駆動構造は、ローラー台44をスライド軸49を介して昇降自在に支持する往復台50と、往復台50を往復駆動操作する駆動機構とからなる。駆動機構は、固定台1の前後に配置される送りねじ軸51と、往復台50の下面に固定されて送りねじ軸51と噛合う雌ねじ体52と、固定台1に固定したギヤードモーター53の回転動力を前後の送りねじ軸51に伝導するタイミングベルト機構54などで構成してある。ローラー台44と往復台50との間に、貼合ローラー4を昇降操作する昇降機構が設けてあり、昇降機構は前後一対のエアーシリンダー56で構成されている。
図4に示すように、エアーシリンダー56のシリンダー本体57は、往復台50側のシリンダーブラケット58に固定してあり、ピストンロッド59はローラー台44側のロッドブラケット60に固定してある。従って、シリンダー本体57に加圧空気を送給すると、ローラー台44および貼合ローラー4を上昇移動させて貼合姿勢に切換えることができる。
【0033】
吸着板9で吸着された液晶基板Aと、調整テーブル2のシルクスクリーン5で保持されたカバーガラスBとは、おおまかに位置決めされているものの、両者の位置精度は十分ではない。液晶基板AとカバーガラスBには、予め位置決め用のマークが表示してあり、これらのマークを位置基準にして、位置調整構造で位置合わせを行うことにより、貼合時の液晶基板AとカバーガラスBの基準位置に対する位置ずれ量が、±5μmの範囲内に収まるように高精度化している。位置調整構造は、固定台1と調整テーブル2との間に設けた前後一対の位置調整装置63と、待機位置における可動テーブル3の上方の左右2個所に配置した基準側カメラ64と、調整テーブル2の上方の左右2個所に配置した調整側カメラ65と、アライメントコントローラーなどで構成してある。調整時には、基準側カメラ64と調整側カメラ65で取込んだ位置決めマークの映像をアライメントコントローラーで照合し、同コントローラーからの出力信号に基づき位置調整装置63を作動させて、カバーガラスBの液晶基板Aに対する位置ずれを調整する。
【0034】
液晶基板AとカバーガラスBは以下の手順で貼合する。まず、
図2に示すように可動テーブル3を待機位置へ開放揺動して吸着板9の上面に液晶基板Aを載置し、真空チャンバー8に真空圧を作用させて液晶基板Aを吸着固定する。この状態で剥離紙を除去して、液晶基板Aに設けた透明な接着材層70を露出させる。硬化収縮に伴う表示むらを防ぐために、接着材層70の厚みは0.5mmとした。同様に、シルクスクリーン5の上面にカバーガラスBを載置して位置決めする。この状態で、基準側カメラ64と調整側カメラ65によって液晶基板AおよびカバーガラスBに設けた位置決めマークの映像を取込み、両マークの位置ずれ状況をアライメントコントローラーで照合し位置調整装置63を作動させて、位置合わせ結果が適正であるか否かを、位置決めマークの位置合わせ状況から判定する。アライメントコントローラーによる照合と位置調整装置63による位置調整を複数回行うことにより、カバーガラスBと液晶基板Aの位置決めを精密に行うことができる。
【0035】
位置決めが終了したのち、可動テーブル3を貼合位置まで回動操作して、液晶基板AをカバーガラスBに対して、上下隙間Eを介して上下に対向させる。上下隙間Eの値は、液晶基板Aの対角寸法によって0.2〜0.5mmの範囲で選定することができ、この実施例では0.3mmとした。先に説明したように、カバーガラスBは液晶基板Aよりひとまわり大きく形成してあるため、貼合位置におけるカバーガラスBの4辺縁は液晶基板Aの周縁からはみ出している。このはみ出し部分のうち、液晶基板Aの貼合終端の外側方へはみ出しているはみ出し部71を、
図6(a)に示すように、接触規制構造の規制具22で受止める。詳しくは、可動テーブル3が貼合位置まで回動操作されたのち、エアーシリンダー20を作動させて、ピストンロッド28および規制具22を下降操作して、弾性体38をはみ出し部71に接当させる。
【0036】
上記の状態で、貼合ローラー4およびローラー台44を、エアーシリンダー56で下方の待機姿勢から上方の貼合姿勢に切換えて、
図6(b)に示すようにカバーガラスBの貼合始端を液晶基板Aに押付ける。同時に、ローラー駆動構造の送りねじ軸51を回転駆動して、
図6(c)に示すように往復台50、ローラー台44、および貼合ローラー4を貼合終端へ向かって送り操作する。このとき、カバーガラスBのはみ出し部71は、依然として規制具22で受止められているので、カバーガラスBは、貼合ローラー4で押圧されている部分から弾性体38へ向かって下り傾斜した弾性変形状態で貼合される。そのため、貼合面に挟み込まれようとする空気を、貼合ローラー4の進行方向へ向かって強制的に逃がすことができ、従って、貼合面に気泡が封じ込まれるのを確実に防止しながら、カバーガラスBを液晶基板Aに貼合できる。
【0037】
貼合ローラー4が貼合終端の近傍にまで達した状態においても、
図7(a)に示すように、カバーガラスBのはみ出し部71は規制具22で受止められている。しかし、貼合ローラー4が液晶基板Aの貼合終端に達したのちは、
図7(b)に示すように、はみ出し部71と規制具22が、貼合ローラー4でエアーシリンダー20の押圧力に抗して上方移動されて、カバーガラスBの貼合終端が液晶基板Aに貼合される。また、貼合ローラー4が
図7(b)に示す位置まで移動したことを図示していないセンサーで検知して、切換弁30を中立位置へ戻すことにより、エアーシリンダー20の作動を停止させて、規制具22に作用する押圧力を開放する。こののちに、昇降機構のエアーシリンダー56を下降操作することにより、カバーガラスBの貼合処理を終了する。このように、貼合処理が終了する直前の、接触規制構造のエアーシリンダー20の作動停止タイミングを、昇降機構のエアーシリンダー56の下降動作タイミングより僅かに先行させることにより、カバーガラスBの貼合終端を液晶基板Aに貼合したのちに、はみ出し部71が規制具22で押し戻されるのを確実に防止できる。上記のように、はみ出し部71と規制具22をエアーシリンダー20の押圧力に抗して上方移動操作するために、貼合ローラー4を昇降操作するエアーシリンダー56の操作力は、規制具22を操作するエアーシリンダー20の操作力より大きく設定してある。
【0038】
図7(b)に示すように、カバーガラスBの貼合終端がガラス基板Aに押付けられた状態では、はみ出し部71が弾性体38で受け止められている。この状態において、カバーガラスBをガラス基板Aに確実に密着させて、適正に貼合を行うために、弾性体38の上下厚みをガラス基板Aの上下厚みと同じかこれより小さく設定している。なお、弾性体38の上下厚みが液晶基板Aの上下厚みより大きいと、はみ出し部71が吸着面9aに接当した弾性体38で押返されて、カバーガラスBの貼合終端をガラス基板Aに確実に貼合できなくなる。また、はみ出し部71に過剰な力が加わって破損するおそれがある。
【0039】
カバーガラスBの貼合が終了したら、貼合ローラー4を下方の待機姿勢へ下降させ、ローラー駆動構造の送りねじ軸51を逆向きに回転駆動して、貼合ローラー4を貼合始端位置へ戻す。その間に、可動テーブル3を待機位置へ回動操作し、真空チャンバー8に対する真空圧の供給を停止した状態で、カバーガラスBが貼合された液晶基板Aを取り出す。以後、上記の手順を繰り返し行うことにより、カバーガラスBの液晶基板Aに対する貼合を連続して行える。
【0040】
以上のように構成した貼合装置によれば、はみ出し部71を規制具22で受止めて、カバーガラスBが貼合ローラー4の押圧部から弾性体38へ向かって下り傾斜した状態で貼合を行うので、気泡が貼合面に封じ込まれるのを確実に防止しながら貼合することができる。また、貼合ローラー4が液晶基板Aの貼合終端に達した状態においても、はみ出し部71を規制具22で受止めて、カバーガラスBが液晶基板A側へ跳ね上がるのを防止するので、カバーガラスBの跳ね上がりに伴う、気泡のかみ込みや接着終端の位置ずれなどの貼合不良を一掃できる。さらに、貼合終端においては、はみ出し部71と規制具22を貼合ローラー4で強制的に液晶基板Aへ向かって押上げ操作しながら、カバーガラスBを貼合するので、変形応力が大きな大サイズのカバーガラスBであっても、確実に貼合を行ってはみ出し部71の跳ね上がりに伴う貼合不良を解消できる。
【0041】
上記の実施例では、バックアップ体5としてシルクスクリーンを適用したがその必要はなく、貼合ローラー4の進行方向に複数組の真空吸着体を配置して、カバーガラスBを吸着固定することができる。この場合の真空吸着体は、貼合ローラー4の進行に先行して、同ローラー4の移動軌跡の外へ退避移動する。ガス圧シリンダー20としては、エアーシリンダーが好適であるが、圧縮可能なガスを作動ガスとするシリンダーであってもよい。ガス圧シリンダー20の設置個数が少ない場合の弾性体38はフラットバーで構成し、必要に応じてバックアップ枠で補強しておくことが好ましいが、ガス圧シリンダー20の設置個数が多い場合の弾性体38は、個々のピン37の下端に、図示していないビスで個別に固定してあってもよい。あるいは、2個の隣接するピン37ごとにビスで弾性体38が固定してあってもよい。
【0042】
上記の実施例では、エアーシリンダー20を駆動源にして接触規制構造を構成したが、数値制御が可能なモーターを駆動源にして、規制具22を昇降操作することができる。その場合には、ブラケット19に数値制御が可能なモーターと、モーターの回転動力を昇降動作に変換する動力変換機構を配置しておき、動力変換機構の出力端に規制具22を連結しておくとよい。この場合には、貼合終端におけるはみ出し部71と規制具22を、数値制御が可能なモーターで貼合ローラー4の押圧力に同調して上方移動させることにより、貼合終了時にはみ出し部71が規制具22で押し戻されるのを確実に防止できる。さらに、貼合処理が終了する直前の規制具22の作動停止タイミングを、上記の実施例と同様に、エアーシリンダー56の下降動作タイミングより僅かに先行させておいて、はみ出し部71が規制具22で押し戻されるのを防止してもよい。
【0043】
上記のように、数値制御が可能なモーターを駆動源にして、規制具22を昇降操作する接触規制構造によれば、先に説明した貼合装置と同様に、大きなサイズのカバーガラスBを貼合する場合であっても、貼合終端におけるカバーガラスBの跳ね上がりを解消して、気泡のかみ込みや接着終端の位置ずれなどの貼合不良を一掃して生産性を向上できる。さらに、貼合終端においてはみ出し部71と規制具22を、数値制御が可能なモーターで貼合ローラー4の押圧力に同調して上方移動させるので、はみ出し部71に無理な力が作用するのを解消して、大きなサイズのカバーガラスBをガラス基板Aに対して常に確実に貼合できる。
【0044】
上記の実施例ではガラス基板Aが液晶基板である場合について説明したが、ガラス基板Aはプラズマディスプレイ基板、太陽電池基板、タッチパネル基板などであってもよい。可動テーブル3は揺動軸15の周りに回動して待機姿勢と貼合姿勢に切換える構造である必要はなく、ガラス基板Aを吸着固定し位置合わせを行った後、調整テーブル2と正対できる構造であればよい。例えば、可動テーブル3を水平に移動させて、調整テーブル2と正対できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 固定台
2 調整テーブル
3 可動テーブル
4 貼合ローラー
5 シルクスクリーン(バックアップ体)
8 真空チャンバー
19 ブラケット
20 エアーシリンダー(ガス圧シリンダー)
22 規制具
33 ロックナット
37 ピン
38 弾性体
A 液晶基板(ガラス基板)
B カバーガラス
E 上下隙間