(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336384
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】液晶モジュール及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
G02F1/1333
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-257539(P2014-257539)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-118622(P2016-118622A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴之
【審査官】
横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−200790(JP,A)
【文献】
特開2012−079228(JP,A)
【文献】
特開2012−103687(JP,A)
【文献】
特開2014−129469(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0118299(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/018698(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339−1/1341,1/1347
G09F 9/00
G06F 3/033−3/039
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インセル型のタッチセンサーが形成される液晶モジュールであって、
前記液晶モジュールは、透明なカバー基板と、当該カバー基板の下側に積層された複数の液晶モジュール構成層を備え、
前記複数の液晶モジュール構成層の各々の側面が、前記カバー基板の側面よりも内方に配置されて段部が形成され、
前記段部に充填材が配されて、前記液晶モジュール構成層の各々の側面は前記充填材により外周が拡大された側面とされ、
前記カバー基板と、前記複数の液晶モジュール構成層の各々の前記外周が拡大された側面が揃えられ、一つの平面を構成している、液晶モジュール。
【請求項2】
前記充填材は、UV硬化樹脂または熱硬化樹脂である、請求項1に記載の液晶モジュール。
【請求項3】
筐体と、請求項1または2に記載の液晶モジュールを備え、前記筐体内に前記液晶モジュールが格納され、前記液晶モジュールの側面及び/又は下面が、前記筐体に接着されている、液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶モジュールは、前記液晶モジュールの反対側を向く2つの側面において、前記筐体と接着されている、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶モジュールは、前記液晶モジュールの3つの側面において、前記筐体と接着されている、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶モジュールは、前記液晶モジュールの背面において、前記筐体と接着されている、請求項3から5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶モジュール及び液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平板形状のディスプレイ装置としては、量産性、駆動手段の容易性、高画質の具現というメリットにおいて、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)が特に使用されている。なかでも、タッチパネルが液晶表示装置に取り付けられた、タッチパネル付液晶表示装置が、スマートフォンやタブレット端末などを中心に使用されている。
【0003】
液晶表示装置へのタッチパネルの取付構造の一つとして、アドオン構造が挙げられる。
図6(a)に、従来のアドオン構造の液晶表示装置601の断面図を示す。液晶表示装置601は、液晶モジュール602と筐体606を備える。液晶モジュール602は更に、カバーガラス603、TFT基板604、及びバックライトユニット605を備える。アドオン構造の液晶表示装置601においては、図示しないタッチパネルはカバーガラス603に取り付けられる。つまり、タッチパネルと、液晶モジュール602の構成要素とが、別々に生産された後、タッチパネルがカバーガラスに貼りあわせられることによって、製造される。
【0004】
図6(b)は、アドオン構造の液晶表示装置601の配線構造の一部を、正面から見た図である。複数の縦長、あるいは横長のセンサ回路607が複数配置されている。配線608は、センサ回路607の制御や電源供給、センサ回路607からのタッチの検知に関連する信号の受信などに使用される。液晶表示装置601がアドオン構造である、すなわち、タッチパネルが液晶モジュール602に、個々の製造後に貼りあわせられるため、配線608は、画像表示の妨げとならないよう、液晶モジュール602のアクティブエリア(画像の描画に使用する領域)を横切らないように、センサ回路607の端部から引き出され、配線されるのが通常である。
【0005】
図6(c)に、液晶表示装置601の断面図の端部を拡大したものを示す。液晶表示装置601のカバーガラス603は、液晶モジュール602のアクティブエリア609、アクティブエリア609の外側の配線608に使用される配線領域610、及び、その更に外側のマージン領域611を含む面積を有する。つまり、カバーガラス603はTFT基板604、バックライトユニット605に対し、少なくとも、マージン領域611分だけ外側に突出した状態で、液晶モジュール602は構成される。
【0006】
液晶モジュール602を格納する筐体606は、液晶モジュール602を受け入れるように中央に凹部を有する。当該凹部の側壁には段部612が形成され、段部612の上面とカバーガラス603のマージン領域611の下面とが、接着剤613等により接着、結合される。
【0007】
カバーガラス603の上部には、配線領域610とマージン領域611を隠蔽するブラックプリント614が設置される。このブラックプリント614はカバーガラス603のベゼルに相当するが、アドオン構造の液晶表示装置601においては、配線領域610とマージン領域611が存在するため、ベゼルがどうしても大きくなる。
【0008】
液晶表示装置へのタッチパネルの他の取付構造として、インセル構造が挙げられる。
図7(a)は、インセル構造の液晶表示装置の配線構造の一部を、正面から見た図である。インセル構造の液晶表示装置においては、TFT基板上にタッチ走査、検知に関連する回路や配線701を直接設ける、すなわち液晶モジュールの中にセンサ回路を組み込むことで、タッチパネルが実現される。つまり、インセル構造においては、カバーガラスに配線領域が不要となるため、アドオン構造の液晶表示装置601に比べると、カバーガラスのベゼルを小さくすることが可能である。
【0009】
例えば関連技術として、特許文献1(特開2012−59265)に示される、インセル構造の液晶表示装置がある。
図7(b)は、特許文献1に記載の液晶表示装置である。本図においては、従来のアドオン構造の液晶表示装置601と同様に、強化ガラス基板54は他の構成要素よりも側面が横に突出している。
【発明の概要】
【0010】
このような、特許文献1に示される液晶表示装置における、突出した部分はアクティブエリアではなくマージン領域に相当するものであり、カバーガラスのベゼルは依然として大きい。
【0011】
本発明は、インセル型のタッチセンサーが形成される液晶モジュールであって、前記液晶モジュールは、透明なカバー基板と、当該カバー基板の下側に積層された複数の液晶モジュール構成層を備え、前記カバー基板と、前記複数の液晶モジュール構成層の中の少なくとも1つの液晶モジュール構成層の側面が揃えられ、一つの平面を構成している、液晶モジュールを提供する。
【0012】
前記複数の液晶モジュール構成層の中の1つの液晶モジュール構成層の側面が、前記カバー基板の側面よりも内方に配置されて
段部が形成され、前記
段部に充填材が配されて、前記平面と同一面とされていてもよい。
【0013】
液晶表示装置は、筐体と、上記のような液晶モジュールを備え、前記筐体内に前記液晶モジュールが格納され、前記液晶モジュールの側面及び/又は下面が、前記筐体に接着されてもよい。
【0014】
前記液晶モジュールは、前記液晶モジュールの反対側を向く2つの側面において、前記筐体と接着されてもよい。
【0015】
前記液晶モジュールは、前記液晶モジュールの3つの側面において、前記筐体と接着されてもよい。
【0016】
前記液晶モジュールは、前記液晶モジュールの背面において、前記筐体と接着されてもよい。
【0017】
本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、カバー基板のベゼルを小さくすることが可能となり、装置の小型化を実現することができる。
【0019】
好ましい様態では、液晶モジュールと筐体との高い接着強度を有することが可能となる。
【0020】
好ましい様態では、筐体は段部を含まずに済み、製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態として示した液晶モジュールの断面図を示す。
【
図2】前記実施形態として示した液晶モジュールを使用した液晶表示装置の実施形態を示す。
【
図3】前記実施形態として示した液晶表示装置の変形例を示す。
【
図4】前記実施形態として示した液晶表示装置の変形例を示す。
【
図5】前記実施形態として示した液晶表示装置の断面図を示す。
【
図7】従来のインセル構造の液晶表示装置の構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態として示した液晶モジュールの断面図を示す。
図1の液晶モジュール1は、透明なカバー基板2と、カバー基板の下側に積層された複数の液晶モジュール構成層を備える。複数の液晶モジュール構成層は、インセル構造のTFT基板3、バックライトユニット4を含む。
【0024】
TFT基板3には、TFTや電極などが形成される。本実施形態はインセル構造を有するため、TFT基板3には、タッチ走査、検知に関連する回路や配線も併せて設けられる。
【0025】
カバー基板2は透明なガラス、プラスチックなどでできており、TFT基板3等の内部構造を保護する。
【0026】
バックライトユニット4は光を照射するものである。バックライトユニット4から照射された光はTFT基板3、カバー基板2を順に通過して、液晶モジュール1を視聴する人間の眼に届く。
【0027】
カバー基板2、TFT基板3、バックライトユニット4は互いに積層され、接着剤などにより結合されて、液晶モジュール1を構成する。カバー基板2、TFT基板3、バックライトユニット4の間に液晶モジュール1の他の構成要素が挟まれていてもよい。
【0028】
液晶モジュール1の側面、例えば
図1においては紙面方向左右に位置する両側面において、カバー基板2とTFT基板3、バックライトユニット4のそれぞれの側面はそろえられ、一つの平面を構成している。
【0029】
図1において、TFT基板3とバックライトユニット4の側面は、カバー基板2の側面よりも内方に配置されて、液晶モジュール1の側面に段部が形成されている。この段部に充填材5が配され、これにより、カバー基板2、及び充填材5により外周が拡大されたTFT基板3とバックライトユニット4の側面は揃えられ、一つの平面を構成する。
【0030】
充填材5としては、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂を用いてもよいが、他の物質でもよい。
【0031】
図1は、液晶モジュール1の、紙面方向左右に位置する、反対側を向く2つの側面において、カバー基板2、及び充填材5により外周が拡大されたTFT基板3とバックライトユニット4の各側面が揃えられている例である。この実施形態に代えて、紙面法線方向に位置する他の2つの側面においても、これらの側面が揃えられるようにしてもよい。また、紙面法線方向に位置する他の1側面を加えた3つの側面において、側面が揃えられてもよい。
【0032】
本実施形態においては、TFT基板3とバックライトユニット4は、カバー基板2よりも水平方向に小さく製造されており、TFT基板3とバックライトユニット4の側面に充填材5を接着することで、各部品の大きさを揃えている。この実施形態に代えて、TFT基板3やバックライトユニット4をカバー基板2と同じ大きさに製造し、充填材5を使用しなくてもよい。
【0033】
充填材5は、TFT基板3又はバックライトユニット4の一側面、2つあるいは3つの側面、または全側面に接着されてもよい。
【0034】
次に、
図2を用いて、上記の液晶モジュール1を使用した液晶表示装置の一実施形態を説明する。本実施形態においては、液晶表示装置20は液晶モジュール1と筐体27を備えている。
【0035】
本実施形態及び後述の変形例においては、液晶モジュール1の、全ての、すなわち4つの側面において、カバー基板2、及び充填材5により外周が拡大されたTFT基板3とバックライトユニット4の各側面が揃えられているものとするが、これは説明を簡単にするためのものであり、本形態に代えて、揃えられる側面の数はより少なくしてもよい。
【0036】
筐体27の中央部は凹部をなしており、当該凹部は4つの壁面28と1つの底面29により構成される。筐体27の4つの壁面28と液晶モジュール1の4つの側面22はそれぞれ対向し、また、筐体27の底面29は液晶モジュール1の下面23と対向するように、液晶モジュール1は筐体27の凹部内に格納される。
【0037】
本実施形態においては、
図2(b)の平面図に示されるように、液晶モジュール1の反対側を向く2つの側面が、筐体27の凹部のそれぞれ対向する壁面と、接着剤24によって接着される。
【0038】
接着剤24としては、OCA(Optical Clear Adhesive)、OCR(Optical Clear Resin)を用いてもよいが、他の物質でもよい。
【0039】
本実施形態の第1の変形例を、
図2(c)に示す。第1の変形例においては、液晶モジュール1の反対側を向く2つの側面と、
図2(c)において上部に位置する他の側面の、計3つの側面が、筐体27の対向する壁面と、接着剤24によって接着される。
【0040】
本実施形態の第2の変形例である液晶表示装置30を、
図3に示す。第2の変形例においては、液晶モジュール1の側面22に代えて、液晶モジュール1の下面23が、筐体27の凹部の対向する底面29と、接着剤34によって接着される。
【0041】
本実施形態の第3の変形例である液晶表示装置40を、
図4に示す。第3の変形例においては、液晶モジュール1の反対側を向く2つの側面22が、筐体27の凹部のそれぞれ対向する壁面28と、接着剤44によって接着され、液晶モジュール1の下面23が、筐体27の凹部の対向する底面29と、接着剤44によって接着される。
【0042】
第3の変形例において、第1の変形例と同様に、計3つの側面22が、筐体27の対向する壁面28と、接着剤44によって接着されるようにしてもよい。
【0043】
上記の実施形態及び変形例における液晶表示装置は、液晶モジュール1の揃えられた側面においては、
図5に示すような断面構造を示している。すなわち、本構造においては、筐体27との接続のためのマージン領域を設置しないため、カバー基板2上のブラックプリント51を小さくすることが可能となる。結果として、カバー基板2のベゼルを小さくすることができる。これにより、装置の小型化を実現することが可能となる。
【0044】
マージン領域が不要となるため筐体27の段部も同様に不要となり、筐体の製造コストを低くすることが可能となる。
【0045】
また、マージン領域のみで筐体と接着していた従来の方式と比べ、液晶モジュールの平面となるように揃えられた側面、及び/または液晶モジュールの底面で、液晶モジュールと筐体を接着するため、接着面積が大きく、したがって高い接着強度を有することが可能となる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であればこれから様々な変形及び均等な実施の形態が可能であることが理解できるであろう。
【0047】
よって、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義される本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形や改良形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 液晶モジュール
2 カバー基板
3 TFT基板
4 バックライトユニット
5 充填材
20、30、40 液晶表示装置
24、34、44 接着剤
27 筐体