特許第6336483号(P6336483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336483アニオン交換ブロックコポリマー、これらの製造およびこれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336483
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】アニオン交換ブロックコポリマー、これらの製造およびこれらの使用
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/46 20060101AFI20180528BHJP
   C08F 8/32 20060101ALI20180528BHJP
   C08F 8/20 20060101ALI20180528BHJP
   C08F 8/40 20060101ALI20180528BHJP
   C08F 297/02 20060101ALI20180528BHJP
   C02F 1/469 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 41/05 20170101ALI20180528BHJP
   B01J 41/14 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 47/12 20170101ALI20180528BHJP
   B01J 39/18 20170101ALI20180528BHJP
   B01J 39/04 20170101ALI20180528BHJP
【FI】
   B01D61/46 500
   C08F8/32
   C08F8/20
   C08F8/40
   C08F297/02
   C02F1/46 103
   B01J41/04 110
   B01J41/14
   B01J47/12
   B01J39/18
   B01J39/04
【請求項の数】1
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2015-552866(P2015-552866)
(86)(22)【出願日】2014年1月13日
(65)【公表番号】特表2016-509098(P2016-509098A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】US2014011351
(87)【国際公開番号】WO2014110534
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/752,256
(32)【優先日】2013年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510145211
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ユー・エス・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,カール・レズリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒダヤット,アーウィン
(72)【発明者】
【氏名】ヘニフ,マイク
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−148727(JP,A)
【文献】 特開昭59−203641(JP,A)
【文献】 特表2002−534543(JP,A)
【文献】 米国特許第06015862(US,A)
【文献】 特開2008−226614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00 − 71/82
C08F 8/00 − 8/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアノード、少なくとも1つのカソードおよび1つ以上の膜を備える電気脱イオン化アセンブリであって、少なくとも1つの膜は、
アミノまたはホスフィノ官能化ブロックコポリマーであって、
(a)少なくとも2つの末端ブロックAであって、各末端ブロックAが、アミノまたはホスフィノ官能基を実質的に含まず、1,000から60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有する末端ブロックA、ここで、末端ブロックAは、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上のアルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックDであって、1,000から100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(I)
【化1】

(式中、
Zは、窒素またはリンであり;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素でありまたは第三級アルキルであり;
Rは、それぞれ独立して、水素でありもしくは部分−(A−NRにより場合によって置換されたアルキルであり;または
2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、場合によって置換された環を形成し;
xは、1、2または3であり;
は、1つ以上のメチルおよび/またはエチル基により場合によって置換された直鎖アルキレンであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキルである)
のアミノもしくはホスフィノ官能化ポリマー単位または対応するオニウム塩を含む内部ブロックD
を含む、官能化ブロックコポリマーを含む膜である、電気脱イオン化アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アミノもしくはホスフィノ基または対応するオニウム塩基により、少なくとも1つの内部ブロックにおいて選択的に官能化され、アニオン交換特性を示すブロックコポリマーに関する。より具体的には、選択的官能化ブロックコポリマーは、アミノまたはホスフィノ官能基を実質的に含まない少なくとも2つの末端ブロックA、および少なくとも1つのアミノもしくはホスフィノ官能化ポリマー単位または対応するオニウム塩を含む少なくとも1つの内部ブロックDを含む。
【0002】
本開示はまた、官能化ブロックコポリマーを作製するための方法、およびそれらを含む製品を提供する。官能化ブロックコポリマーは、寸法安定性、水の輸送および選択的イオン輸送に関して卓越した特性を示す。したがって、官能化ブロックコポリマーを含む膜等の製品は、電気駆動水分離プロセス等の用途におけるアニオン交換膜(AEM)として特に好適である。
【背景技術】
【0003】
AEM用材料として好適なものを含むアニオン交換樹脂(ビーズ形態)は、当該技術分野において公知である。一般に、そのような樹脂は架橋しており、ベース樹脂に共有結合した塩基特性を有する官能基、例えばアミノ基を含む。典型的には、アニオン交換樹脂(ビーズ形態)およびAEMは、ジビニルベンゼンまたはエチレングリコールジメタクリレート等のジビニルモノマーを、すでにイオン交換基を含有しているモノマー、例えば2−スルホエチルメタクリレートと、または重合後にイオン交換基を含有するように変換され得るモノマー、例えばスチレンおよびメチルスチレン(アミノメチル置換スチレンに変換され得る)もしくはジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMA)(塩化メチルによる処理後に第四級アンモニウムハライドに変換され得る)と共重合させることにより調製されている。
【0004】
また、スチレンブロックコポリマー(SBC)は、これらの特性をさらに改変するために、官能化され得ることが知られている。この例は、ポリマー骨格へのスルホン酸またはスルホン酸エステル官能基の付加である(US3,577,357、US5,468,574、US7,737,224)。さらに、Willisらの同時係属中の出願第13/181,306号(2011年7月12日出願)は、スルホン酸またはスルホン酸エステル官能基がスルホンアミド官能基に変換された、AEM用材料として好適な修飾スルホン化SBCを記載している。Willisらのスルホンアミド官能化SBCは、例えばWillisらのUS7,737,224に開示されるように、カチオン交換膜と対になった電気駆動水分離プロセス用の膜材料として提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,577,357号明細書
【特許文献2】米国特許第5,468,574号明細書
【特許文献3】米国特許第7,737,224号明細書
【特許文献4】米国特許出願第13/181,306号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、イオンを選択的に輸送し、同時に機械的完全性および寸法安定性を示すAEMが、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
ここで、驚くべきことに、本明細書において開示されたアミノまたはホスフィノ官能化ブロックコポリマーが、イオンを選択的に輸送し、同時に機械的完全性および寸法安定性を示すAEM用材料として比類なく適していることが見出された。
【0008】
ここで、驚くべきことに、本明細書において開示されたアミノまたはホスフィノ官能化ブロックコポリマーが、イオンを選択的に輸送し、同時に機械的完全性および寸法安定性を示すAEM用材料として比類なく適していることが見出された。
【0009】
第1の態様において、本開示は、
(a)少なくとも2つの末端ブロックA、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックD
を含み、
各末端ブロックAが、アミノまたはホスフィノ官能基を実質的に含まず、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有し、
内部ブロックDが、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(I)のアミノもしくはホスフィノ官能化ポリマー単位
【0010】
【化1】
(式中、
Zは、窒素またはリンであり;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素でありまたは第三級アルキルであり;
Rは、それぞれ独立して、水素であるもしくは部分−(A−NRにより場合によって置換されたアルキルであり;または
2つのR基は、それらが結合しているZと一緒になって、場合によって置換された環を形成し;
xは、1、2または3であり;
は、1つ以上のメチルおよび/またはエチル基により場合によって置換された直鎖アルキレンであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキルである)
または対応するオニウム塩を含む、アミノまたはホスフィノ官能化ブロックコポリマーに関する。
【0011】
第2の態様において、本開示は、ブロックDの官能基の約10%から100%が、オニウム塩の形態である、第1の態様による官能化ブロックコポリマーに関する。
【0012】
第3の態様において、本開示は、各ブロックAが、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上のアルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される、上記態様のいずれか1つによる官能化ブロックコポリマーに関する。
【0013】
第4の態様において、本開示は、各ブロックDが、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(iii)アルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、ならびに(iv)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するアルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメントからなる群から独立して選択される、上記態様のいずれか1つによる官能化ブロックコポリマーに関する。
【0014】
第5の態様において、本開示は、各ブロックDのスチレンまたはアルファ−アルキルスチレンから得られるポリマー単位の平均して少なくとも約5%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である、第4の態様による官能化ブロックコポリマーに関する。
【0015】
第6の態様において、本開示は、各ブロックDのスチレンまたはアルファ−アルキルスチレンから得られるポリマー単位の平均して25%から100%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である、第4の態様による官能化ブロックコポリマーに関する。
【0016】
第7の態様において、本開示は、各ブロックDが、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩、ならびに場合によって、それぞれの場合において第一級アルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンからなる群から選択される1つ以上のモノマーから得られるポリマー単位からなる、上記態様4から6のいずれか1つによる官能化ブロックコポリマーに関する。
【0017】
第8の態様において、本開示は、少なくとも1つの内部ブロックBをさらに含み、各ブロックBは、本質的に官能化されておらず、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、最高で約20℃のガラス転移温度を有する、上記態様のいずれか1つによる官能化ブロックコポリマーに関する。
【0018】
第9の態様において、本開示は、各ブロックBが、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C−Cアルファ−オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、および(vii)(i)から(v)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントは、場合によって水素化されている、第8の態様による官能化ブロックコポリマーに関する。
【0019】
第10の態様において、本開示は、一般構成A−D−A、A−D−A−D−A、(A−D−A)X、(A−D)X、A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−B−D)X、(A−D−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはDブロックは、同じであるまたは異なっている、上記態様8および9のいずれか1つによる官能化ブロックコポリマーに関する。
【0020】
第11の態様において、本開示は、上記態様1から10のいずれか1つによる官能化ブロックコポリマーを含む膜またはフィルムに関する。
【0021】
第12の態様において、本開示は、燃料電池、濾過デバイス、湿度を制御するためのデバイス、正電気透析用デバイス、逆電気透析用デバイス、浸透圧発電用デバイス、正浸透用デバイス、逆浸透用デバイス、水を選択的に添加するためのデバイス、水を選択的に除去するためのデバイス、電気吸着脱イオン用デバイス、分子濾過用デバイス、水から塩を除去するためのデバイス、水圧破砕用途からの生成水を処理するためのデバイス、イオン輸送用途のためのデバイス、水の軟化のためのデバイス、およびバッテリーからなる群から選択され、第11の態様による膜またはフィルムを備える装置に関する。
【0022】
第13の態様において、本開示は、少なくとも1つのアノード、少なくとも1つのカソードおよび1つ以上の膜を備え、少なくとも1つの膜は、第11の態様による膜である、電気脱イオン化アセンブリに関する。
【0023】
第14の態様において、本開示は、少なくとも2つの膜を備え、少なくとも1つの膜は、カチオン交換膜である、第13の態様による電気脱イオン化アセンブリに関する。
【0024】
第15の態様において、本開示は、カチオン交換膜が、少なくとも2つのポリマー末端ブロックEおよび少なくとも1つのポリマー内部ブロックFを含むスルホン化ブロックコポリマーを含み、各Eブロックは、スルホン酸またはスルホン化エステル官能基を本質的に含有せず、各Fブロックは、スルホン化され易いポリマー単位を含み、スルホン化され易いポリマー単位の数を基準として、約10mol%から約100mol%のスルホン酸またはスルホン酸エステル官能基を含む、上記態様13および14のいずれか1つによる電気脱イオン化アセンブリに関する。
【0025】
第16の態様において、本開示は、
(a)少なくとも2つの末端ブロックA、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックD
を含み、
各末端ブロックAが、本質的にハロゲン化されておらず、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有し、
内部ブロックDが、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(II)のポリマー単位
【0026】
【化2】
(式中、
Yは、ハロゲンであり;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素であるまたは第三級アルキルである)
を含む、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0027】
第17の態様において、本開示は、各ブロックAが、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上のアルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される、第16の態様による選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0028】
第18の態様において、本開示は、各ブロックDが、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(iii)アルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、ならびに(iv)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するアルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメントからなる群から独立して選択される、上記態様16および17のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0029】
第19の態様において、本開示は、各ブロックDが、式(II)のポリマー単位、ならびに場合によって、それぞれの場合において第一級アルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンからなる群から選択される1つ以上のモノマーから得られるポリマー単位からなる、上記態様16から18のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0030】
第20の態様において、本開示は、各ブロックDのスチレンまたはアルファ−アルキルスチレンから得られるポリマー単位の平均して少なくとも約5%が、式(II)のポリマー単位である、上記態様16から19のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0031】
第21の態様において、本開示は、各ブロックDのスチレンまたはアルファ−アルキルスチレンから得られるポリマー単位の平均して約25%から100%が、式(II)のポリマー単位である、上記態様16から20のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0032】
第22の態様において、本開示は、少なくとも1つの内部ブロックBをさらに含み、各ブロックBは、本質的にハロゲン化されておらず、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、最高で約20℃のガラス転移温度を有する、上記態様16から21のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0033】
第23の態様において、本開示は、各ブロックBが、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C−Cアルファ−オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、および(vii)(i)から(v)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントは、水素化されている、上記態様16から22のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0034】
第24の態様において、本開示は、一般構成A−D−A、A−D−A−D−A、(A−D−A)X、(A−DX、A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−B−DX、(A−D−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはDブロックは、同じであるまたは異なっている、上記態様16から23のいずれか1つによる選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに関する。
【0035】
第25の態様において、本開示は、
(a)少なくとも2つの末端ブロックA、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックD°
を含み、
各末端ブロックAが、ハロゲン化に対して実質的に抵抗性であり、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有し、
内部ブロックD°が、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(III)のポリマー単位
【0036】
【化3】
(式中、
は、水素またはアルキルであり;
は、水素であるまたは第三級アルキルである)
を含む、前駆体ブロックコポリマーに関する。
【0037】
第26の態様において、本開示は、各ブロックAが、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上の第三級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される、第25の態様による前駆体ブロックコポリマーに関する。
【0038】
第27の態様において、本開示は、各ブロックD°が、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、(iii)アルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに(iv)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するアルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーからなる群から独立して選択される、上記態様25および26のいずれか1つによる前駆体ブロックコポリマーに関する。
【0039】
第28の態様において、本開示は、各ブロックD°が、式(III)のポリマー単位、ならびに場合によって、スチレンおよびアルファ−アルキルスチレンからなる群から選択される1つ以上のモノマーから得られるポリマー単位からなる、上記態様25から27のいずれか1つによる前駆体ブロックコポリマーに関する。
【0040】
第29の態様において、本開示は、少なくとも1つの内部ブロックBをさらに含み、各ブロックBは、本質的に官能化されておらず、ハロゲン化に対して実質的に抵抗性であり、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、最高で約20℃のガラス転移温度を有する、上記態様25から28のいずれか1つによる前駆体ブロックコポリマーに関する。
【0041】
第30の態様において、本開示は、各ブロックBが、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C−Cアルファ−オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、および(vii)(i)から(v)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントは、水素化されている、上記態様25から29のいずれか1つによる前駆体ブロックコポリマーに関する。
【0042】
第31の態様において、本開示は、一般構成A−D°−A、A−D°−A−D°−A、(A−D°−A)X、(A−D°)X、A−B−D°−B−A、A−D°−B−D°−A、(A−B−D°)X、(A−D°−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはD°ブロックは、同じであるまたは異なっている、上記態様25から30のいずれか1つによる前駆体ブロックコポリマーに関する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】膜抵抗を測定するための構成の概略図である。
図2図1による構成において測定された測定値から膜抵抗を決定する方法を示す図である。
図3】選択透過性を測定するための実験構成を示す概略図である。
図4】透過性を測定するための実験構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施形態の詳細な説明が本明細書において開示されるが、開示された実施形態は単に本発明の例示であること、および本発明は開示された実施形態の様々な代替の形態で具現化され得ることを理解されたい。したがって、本明細書において開示された実施形態において考慮される特定の構造および機能的詳細は、限定としてではなく、単に特許請求の範囲の基礎として、および本発明を様々に使用するために当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。
【0045】
本開示は、アミノもしくはホスフィノ基または対応するオニウム塩基により、少なくとも1つの内部ブロックにおいて選択的に官能化され、アニオン交換特性を示すブロックコポリマーに関する。より具体的には、選択的官能化ブロックコポリマーは、
(a)少なくとも2つの末端ブロックA、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックD
を含み、
各末端ブロックAが、アミノまたはホスフィノ官能基を実質的に含まず、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有し、
内部ブロックDが、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(I)のアミノもしくはホスフィノ官能化ポリマー単位
【0046】
【化4】
(式中、
Zは、窒素またはリンであり;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素でありまたは第三級アルキルであり;
Rは、それぞれ独立して、水素でありもしくは部分−(A−NRにより場合によって置換されたアルキルであり;または
2つのR基は、それらが結合している窒素と一緒になって、場合によって置換された環を形成し;
xは、1、2または3であり;
は、1つ以上のメチルおよび/またはエチル基により場合によって置換された直鎖アルキレンであり;
およびRは、それぞれ独立して、水素またはアルキルである)
または対応するオニウム塩を含む。
【0047】
特に別段の記載がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語は、当業者により一般的に理解されるような意味を有する。
【0048】
元素周期表の族の指定は、本明細書において、現在のIUPACの慣例に従い使用されている。
【0049】
本明細書においてブロックコポリマーまたはこのポリマーに言及する場合、存在するポリマー単位の分子量または特定の量等の特性が、絶対値ではなく、むしろ、ある特定の制限内において、ポリマーストランド毎に、または1つのポリマーブロックAから対応するポリマーブロックAまで変動し得ることが、当業者により理解される。したがって、ブロックコポリマーもしくはこの特定のブロックにおける特定のポリマー単位の量等の特性は、本明細書において「平均量」と呼ばれ、またはブロックコポリマーもしくはブロックの分子量に関しては、別段の指定がない限り「数平均」が使用される。さらに、本明細書における議論の単純化のために、ブロックコポリマー自体は本明細書において単数形として言及され得るが、「平均」に言及する場合、現実世界の条件において、ブロックコポリマーは、複数のストランドで存在してポリマー組成物を形成することが、当業者により理解される。
【0050】
特に別段の指定がない限り、「アミノまたはホスフィノ官能基を実質的に含まない」という表現は、本明細書においてポリマーブロックAに関して使用される場合、各ポリマーブロックが、部分−ZRを含む置換基または対応するオニウム塩を有する、平均して1未満のポリマー単位を含むことを示す。特に、各ポリマーブロックは、平均して、部分−ZRを含む置換基を有する測定可能な量のポリマー単位または対応するオニウム塩を含まない。
【0051】
特に別段の指定がない限り、「官能化」という表現は、本明細書において使用される場合、平均して少なくとも1つの式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩を含む、ブロックコポリマーおよびこのセグメントまたはブロックを指す。
【0052】
特に別段の指定がない限り、「本質的に官能化されていない」という表現は、本明細書においてポリマーブロックBに関して使用される場合、各ポリマーブロックが、部分−ZRを含む置換基を有する、平均して1未満のポリマー単位または対応するオニウム塩を含むことを示す。特に、各ポリマーブロックは、平均して、部分−ZRを含む置換基を有する測定可能な量のポリマー単位または対応するオニウム塩を含まない。
【0053】
特に別段の指定がない限り、「オニウム塩」という表現は、本明細書において、官能化ブロックコポリマー、このセグメントもしくはブロック、またはこのポリマー単位のアンモニウムおよび/またはホスホニウム塩を集合的に指すものとして使用される。
【0054】
特に別段の指定がない限り、「本質的にハロゲン化されていない」という表現は、本明細書において使用される場合、各ポリマーブロックが、ハロアルキル基を有する平均して1未満のポリマー単位を含むことを示す。特に、各ポリマーブロックは、平均して、ハロアルキル基を有する測定可能な量のポリマー単位を含まない。
【0055】
「ポリマー単位」という表現は、本明細書において使用される場合、1種のモノマーにより形成される、およびそれに対応するポリマー鎖の単位を指す。
【0056】
特に別段の指定がない限り、「ハロゲン」という表現は、本明細書において使用される場合、フッ素とは異なるハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素、より具体的には塩素または臭素を指す。
【0057】
特に別段の指定がない限り、「ハロゲン化に対して実質的に抵抗性である」という表現は、本明細書において前駆体ブロックコポリマーのポリマーブロックAに関して使用される場合、内部ブロックD°の式(III)のポリマー単位がハロゲン化されて内部ブロックDの式(II)のポリマー単位を形成する場合に使用される条件下において、ブロックのハロゲン化が、あるとしてもほとんど生じないことを意味する。
【0058】
特に別段の指定がない限り、「使用温度」という表現は、本明細書において使用される場合、材料が有用な機械的特性を有する温度の範囲を指す。使用温度範囲の上限は、それを超えると材料の機械的性能が特定用途の最小限の性能属性に適合するのに不十分である温度を指す。例えば、使用温度範囲の上限を超える温度において、材料は、性能に有害となり得る印加応力下での変形を受ける可能性がある。ポリマーの性質に依存して、使用温度範囲の上限は、ガラス転移温度T(ガラス質ポリマーブロック)または融点T(結晶性もしくは半結晶性ポリマーブロック)に対応し得る。
【0059】
「高い使用温度」という表現は、本明細書において使用される場合、少なくとも約20℃の使用温度範囲の上限を指す。
【0060】
特に別段の指定がない限り、「重量%」という表現は、本明細書において使用される場合、乾燥重量基準のポリマー100重量部当たりのモノマーの重量部の数、または指定された組成物100重量部当たりの成分の重量部の数を指す。
【0061】
特に別段の指定がない限り、「分子量」という表現は、本明細書において使用される場合、およびポリマーまたはこのブロックに関連して、数平均分子量を指す。
【0062】
「スチレン当量分子量」という表現は、本明細書において使用される場合、およびブロックコポリマーのブロックに関連して、1組のポリスチレン標準を用いて較正されたゲル透過クロマトグラフィーにより測定されるような各ブロックの分子量を指す。
【0063】
「平衡」という表現は、本明細書において吸水に関連して使用される場合、官能化ブロックコポリマーによる吸水の速度が、官能化ブロックコポリマーによる水損失の速度と均衡している状態を指す。平衡の状態は、一般に、官能化ブロックコポリマーを水中に24時間の期間(1日)浸すことにより達成され得る。平衡状態はまた、他の湿潤環境においても達成され得るが、平衡に達するまでの期間は異なり得る。
【0064】
「水和」ブロックコポリマーという表現は、本明細書において使用される場合、大量の水を吸収した官能化ブロックコポリマーを指す。
【0065】
「湿潤状態」という表現は、本明細書において使用される場合、官能化ブロックコポリマーが平衡に達した、または24時間の期間水中に浸された状態を指す。
【0066】
「乾燥状態」という表現は、本明細書において使用される場合、本質的に水を吸収していない、またはごく僅かな量の水を吸収した官能化ブロックコポリマーの状態を指す。例えば、大気と接触しているだけの官能化ブロックコポリマーは、一般に乾燥状態のままである。
【0067】
特に別段の指定がない限り、「溶液」という表現は、本明細書において使用される場合、1種以上の液体物質(溶媒)中の1種以上の物質(溶質)の分子またはイオンレベルでの均一に分散した液体混合物を指す。
【0068】
特に別段の指定がない限り、「分散」という表現は、本明細書において使用される場合、連続的な液相および少なくとも1つの不連続相を有する系を指す。不連続相は、コロイド状粒子およびミセルを含む、固体微細化粒子により、および/または液滴により構成され得る。「分散」という表現は、本明細書において使用される場合、特に、少なくとも1つの不連続相がミセルの形態である系を含む。また、不連続相が液滴によってのみ構成される場合、「分散」という表現は、特に「エマルション」を包含する。分子レベルの分散液、コロイドまたはミセル溶液、および溶液の間に明確な差異がないことが、当業者に容易に理解される。したがって、ミセルの分散液はまた、本明細書において、ミセルの溶液と呼ぶことができる。
【0069】
「膜」という表現は、本明細書において使用される場合、材料の連続的な柔軟シートまたは層を指す。便宜上、別段の指定がない限り、「膜」という表現はまた、本明細書において、膜および膜状被覆、すなわちフィルムおよびコーティングの総称として使用され得る。
【0070】
「フィルム」という表現は、本明細書において使用される場合、基板の膜状被覆を指し、膜は、基板に可逆的に取り付けられ、すなわち、膜と基板との間の結合は、膜の完全性に大きな害をもたらすことなく、基板から膜を分離することを可能にする。
【0071】
「コーティング」という表現は、本明細書において使用される場合、基板の膜状被覆を指し、膜は、基板に不可逆的に取り付けられ、すなわち、通常の条件下において、膜と基板との間の結合は、基板からの膜の分離を可能としない、または分離は膜の完全性に大きな害をもたらす。
【0072】
膜の完全性への害は、膜が所望の機能を発揮するのを妨げない限り、わずかであるとみなされる。「フィルム」および「コーティング」という表現の間に明確な境界はないこと、および任意のそのような境界は、膜状被覆の使用または使用目的および所望の機能に依存し得ることが、当業者に容易に理解される。
【0073】
「対応するスルホン化ブロックコポリマー」への言及は、本明細書において使用される場合、官能化ブロックコポリマーと同じ構成の同様のブロックA、および存在する場合にはBを有する、選択的スルホン化ブロックコポリマーへの言及が意図され、スルホン化ブロックコポリマーは、官能化ブロックコポリマーと比較して、官能化ブロックコポリマーの内部ブロックDが、ブロックDと同様の分子量およびイオン交換能(IEC)を有するスルホン化スチレンブロックにより置き換えられるという点で異なる。
【0074】
「エンジニアリング熱可塑性樹脂」という表現は、本明細書において使用される場合、例えば熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アリールエーテル)およびポリ(アリールスルホン)、ポリカーボネート、アセタール樹脂、ポリアミド、ハロゲン化熱可塑性樹脂、ニトリルバリア樹脂、ポリ(メチルメタクリレート)および環状オレフィンコポリマー等の様々なポリマーを包含し、またUS4,107,131においてさらに定義されている。
【0075】
本明細書において言及されるすべての出版物、特許出願および特許は、参照によりその全体が組み込まれる。不一致が生じる場合は、定義を含めて本明細書が優先することが意図される。
【0076】
本明細書において開示される全ての範囲に関して、そのような範囲は、特定の組合せが具体的に列挙されていない場合であっても、言及された上限および下限の任意の組合せを含むことが意図される。
【0077】
1.官能化ブロックコポリマーの構造
本開示の官能化ブロックコポリマーは、一般に、必須構成要素として、少なくとも2つの末端ブロックAおよび少なくとも1つの内部ブロックDを含む。特定の実施形態において、官能化ブロックコポリマーは、1つ以上の内部ブロックAおよび/または1つ以上の内部ブロックBをさらに含んでもよい。
【0078】
官能化ブロックコポリマーの末端ブロックA、および任意の内部ブロックAは、官能基を実質的に含まない。さらに、個々のブロックAのそれぞれは、約1,000から60,000の数平均分子量を有し、また高い使用温度を有する。
【0079】
官能化ブロックコポリマーの個々のAブロックは、同一であってもよいまたは異なっていてもよい。官能化ブロックコポリマーのAブロックが異なる場合、そのような差異は、個々のブロックの数平均分子量にあってもよい。追加的に、または代替として、そのような差異は、個々のAブロックを構成するモノマーの性質または組成にあってもよい。好ましくは、個々のAブロックは、個々のAブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同様であるが、必ずしも同一とは限らない。
【0080】
重合したモノマーが、使用温度要件を満たす、したがって「ガラス質」、「硬質」、「結晶性」または少なくとも「半結晶性」として説明され得るポリマー相を提供する限り、個々のブロックAを構成するモノマーの性質および組成は特に重要ではない。
【0081】
ガラス質ポリマーの場合、使用温度範囲の上限は、典型的には、ポリマーがガラス状挙動から液状挙動に転移する温度により制限される。この温度は、しばしばガラス転移温度Tと呼ばれる。ガラス状末端ブロックAのTは、示差走査熱量測定(DSC)または動的機械分析(DMA)を使用して決定され得る。結晶性および半結晶性ブロックAの場合、使用温度範囲の上限は、通常、ブロックの結晶性ポーションの融点Tにより制限される。結晶性または半結晶性ブロックAの融点は、DSCを使用して決定され得る。
【0082】
一般に、末端ブロックAの高い使用温度は、少なくとも約20℃である。いくつかの実施形態において、末端ブロックAの高い使用温度は、少なくとも約50℃である。さらなる実施形態において、末端ブロックAの高い使用温度は、少なくとも約90℃である。
【0083】
特定の実施形態において、ブロックAのそれぞれは、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上のアルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される。
【0084】
Aブロックがエチレンのポリマーブロックである場合、G.W. Coatesら、Angew. Chem.、Int. Ed.、41、2236−2257(2002)によるレビュー記事における参考文献において教示されるように、チーグラー−ナッタプロセスを介してエチレンを重合させることが有用となり得る。US3,450,795において教示されているようなアニオン重合技術を使用して、そのようなエチレンブロックを製造することが好ましい。そのようなエチレンブロックのブロック分子量は、典型的には、約1,000から約60,000の間である。
【0085】
Aブロックがプロピレンのポリマーブロックである場合、そのようなポリマーブロックは、上で引用されたG.W. Coatesらによるレビュー記事における参考文献において教示されるように、チーグラー−ナッタプロセスにより調製され得る。そのようなポリプロピレンブロックのブロック分子量は、典型的には、約1,000から約60,000の間である。
【0086】
Aブロックが水素化ポリブタジエンまたは水素化ポリイソプレン等の水素化ポリジエンのポリマーブロックである場合、そのようなポリマーブロックは、当該技術において公知の方法、ならびに例えばUS3,670,054およびUS4,107,236に記載の方法により調製され得る。そのような水素化ポリジエンブロックのブロック分子量は、典型的には、約1,000から約60,000の間である。水素化の前のそのようなAブロックのビニル含量は、一般に最高で20%、より好ましくは最高で15%、特に最高で10%である。
【0087】
Aブロックはまた、以下で集合的に(メチル)スチレンと呼ばれる、場合によってアルキル置換されたスチレンおよびアルファ−メチルスチレン等の、1つ以上のアルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンまたはアルファ−アルキルスチレンモノマーのポリマーブロックであってもよい。そのような(メチル)スチレンモノマーの場合によるアルキル置換基は、一般に、1個から10個の炭素原子を有してもよく、また直鎖または分岐状であってもよい。そのような場合によってアルキル置換された(メチル)スチレンモノマーの実例は、特に、非置換(メチル)スチレンモノマー、オルト−アルキル置換(メチル)スチレンモノマー、パラ−アルキル置換(メチル)スチレンモノマー、およびオルト,パラ−ジアルキル置換(メチル)スチレンモノマーを含む。好ましい場合によってアルキル置換された(メチル)スチレンモノマーは、非置換(メチル)スチレン、オルト−メチル(メチル)スチレン、オルト−エチル(メチル)スチレン、オルト−n−プロピル(メチル)スチレン、オルト−イソ−プロピル(メチル)スチレン、オルト−n−ブチル(メチル)スチレン、オルト−イソ−ブチル(メチル)スチレン、オルト−sec−ブチル(メチル)スチレン、オルト−tert−ブチル(メチル)スチレン、オルト−デシル(メチル)スチレン、オルト−ドデシル(メチル)スチレンの異性体、パラ−メチル(メチル)スチレン、パラ−エチル(メチル)スチレン、パラ−n−プロピル(メチル)スチレン、パラ−イソ−プロピル(メチル)スチレン、パラ−n−ブチル(メチル)スチレン、パラ−イソ−ブチル(メチル)スチレン、パラ−sec−ブチル(メチル)スチレン、パラ−tert−ブチル(メチル)スチレン、パラ−デシル(メチル)スチレン、パラ−ドデシル(メチル)スチレンの異性体、オルト,パラ−ジメチル(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジエチル(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(n−プロピル)(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(イソ−プロピル)(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(n−ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(イソ−ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(sec−ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(tert−ブチル)(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジデシル(メチル)スチレン、オルト,パラ−ジドデシル(メチル)スチレンの異性体、および上記モノマーの混合物を含む。好ましい(メチル)スチレンモノマーは、非置換および上述のモノC−C−アルキル置換(メチル)スチレンモノマーである。
【0088】
特定の実施形態において、そのようなAブロックは、フェニル環が場合によってアルキル置換されたスチレンモノマーのポリマーブロックである。そのような場合によってアルキル置換されたスチレンモノマーの実例は、特に、非置換スチレンモノマー、オルト−アルキル置換スチレンモノマー、パラ−アルキル置換スチレンモノマー、およびオルト,パラ−ジアルキル置換スチレンモノマーを含む。好ましい場合によってアルキル置換されたスチレンモノマーは、非置換スチレン、オルト−メチルスチレン、オルト−エチルスチレン、オルト−n−プロピルスチレン、オルト−イソ−プロピルスチレン、オルト−n−ブチルスチレン、オルト−イソ−ブチルスチレン、オルト−sec−ブチルスチレン、オルト−tert−ブチルスチレン、オルト−デシルスチレン、オルト−ドデシルスチレンの異性体、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、パラ−n−プロピルスチレン、パラ−イソ−プロピルスチレン、パラ−n−ブチルスチレン、パラ−イソ−ブチルスチレン、パラ−sec−ブチルスチレン、パラ−tert−ブチルスチレン、パラ−デシルスチレン、パラ−ドデシルスチレンの異性体、オルト,パラ−ジメチルスチレン、オルト,パラ−ジエチルスチレン、オルト,パラ−ジ(n−プロピル)スチレン、オルト,パラ−ジ(イソ−プロピル)スチレン、オルト,パラ−ジ(n−ブチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(イソ−ブチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(sec−ブチル)スチレン、オルト,パラ−ジ(tert−ブチル)スチレン、オルト,パラ−ジデシルスチレン、オルト,パラ−ジドデシルスチレンの異性体、および上記モノマーの混合物を含む。好ましいスチレンモノマーは、非置換および上述のモノC−C−アルキル置換スチレンモノマーである。
【0089】
Aブロックが場合によって置換された(アルキル)スチレンのポリマーブロックである場合、そのようなポリマーブロックもまた、上で引用されたG.W. Coatesらによるレビュー記事における参考文献において教示されるように、チーグラー−ナッタプロセスにより調製され得る。そのような(アルキル)スチレンブロックのブロック分子量は、典型的には、約1,000から約60,000の間である。そのような(アルキル)スチレンブロックを作製するために使用される重合プロセスにおいて、モノマーの1種のみ、例えばスチレンが使用されてもよく、またはモノマーの2種以上が組み合わされて使用されてもよい。(アルキル)スチレンモノマーの2種以上が組み合わされて使用される場合、それらは、任意の共重合形態で、例えばランダムに、ブロックおよびテーパー型ブロックの形態等で共重合されていてもよい。共重合形態は、モノマーの組合せおよび重合系にモノマーを添加するタイミング(例えば、2種以上のモノマーの同時添加、または所与の時間の間隔を置いた別個の添加)等の条件の選択により影響され得る。
【0090】
Aブロックはまた、以下で集合的に(メタ)アクリル酸エステルと呼ばれる、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルのポリマーブロックであってもよい。そのようなポリマーブロックは、US6,767,976において開示されている方法に従って作製され得る。好適な(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、第一級アルコールおよび(メタ)アクリル酸のエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート;第二級アルコールおよび(メタ)アクリル酸のエステル、例えばイソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート;ならびに第三級アルコールおよび(メタ)アクリル酸のエステル、例えばtert−ブチル(メタ)アクリレートを含む。必要な場合は、本発明において、原材料(複数種を含む)として、他のアニオン重合性モノマーの1種以上が(メタ)アクリル酸エステルと一緒に使用されてもよい。さらに、その分子内に2つ以上のメタクリルまたはアクリル構造、例えば(メタ)アクリル酸エステル構造、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを有する、多官能性アニオン重合性モノマーが使用されてもよい。
【0091】
(メタ)アクリル酸エステルポリマーブロックを作製するために使用される重合プロセスにおいて、モノマーの1種のみ、例えば(メタ)アクリル酸エステルが使用されてもよく、またはモノマーの2種以上が組み合わされて使用されてもよい。モノマーの2種以上が組み合わされて使用される場合、ランダム、ブロック、テーパー型ブロック等から選択される任意の共重合形態が好適である。共重合形態は、モノマーの組合せおよび重合系にモノマーを添加するタイミング(例えば、2種以上のモノマーの同時添加、または所与の時間の間隔を置いた別個の添加)等の条件の選択により影響され得る。
【0092】
特定の実施形態のいくつかにおいて、ブロックAのそれぞれは、(メチル)スチレンおよび/または場合によってC−C−アルキル置換された(メチル)スチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。さらなる特定の実施形態において、ブロックAのそれぞれは、スチレンおよび/または場合によってC−C−アルキル置換されたスチレンのホモポリマーまたはコポリマーである。
【0093】
官能化ブロックコポリマーの場合による内部ブロックBもまた、官能基を実質的に含まない。さらに、そのようなブロックBのそれぞれは、約1,000から100,000の数平均分子量を有してもよく、また最高で20℃のガラス転移温度Tを有してもよい。いくつかの実施形態において、官能化ブロックコポリマーの場合による内部ブロックBは、最高で10℃のガラス転移温度Tを有する。さらなる実施形態において、官能化ブロックコポリマーの場合による内部ブロックBは、最高で0℃のガラス転移温度Tを有する。
【0094】
官能化ブロックコポリマー中に複数のブロックBが存在する場合、そのようなブロックは、同一であってもよいまたは異なっていてもよい。個々のブロックBの間の差異は、数平均分子量、または個々のブロックBを構成するモノマーの性質もしくは組成にあってもよい。複数のブロックBが存在する場合、個々のBブロックは、好ましくは、個々のBブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同様であるが、必ずしも同一とは限らない。
【0095】
重合したモノマーが、ガラス温度要件を満たす、したがって「非晶質」、「軟質」または「ゴム状」として説明され得る相を提供する限り、個々のブロックBを構成するモノマーの性質および組成は特に重要ではない。
【0096】
特定の実施形態において、各ブロックBは、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C−Cアルファ−オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、および(vii)(i)から(v)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントは、場合によって水素化されている。
【0097】
Bブロックがエチレンのポリマーブロックである場合、上で引用されたG.W. Coatesらによるレビュー記事における参考文献において教示されるように、チーグラー−ナッタプロセスによりエチレンを重合することが有用となり得る。US3,450,795において教示されているようなアニオン重合技術を使用してエチレンブロックを作製することが好ましい。そのようなエチレンブロックのブロック分子量は、典型的には、約1,000から約100,000の間である。
【0098】
BブロックがC−Cアルファ−オレフィンまたはイソブチレンのポリマーである場合、そのようなポリマーブロックもまた、上で引用されたG.W. Coatesらによるレビュー記事における参考文献において教示されるように、チーグラー−ナッタプロセスにより調製され得る。好ましくは、アルファ−オレフィンは、プロピレン、ブチレン、ヘキセンまたはオクテンであり、プロピレンが最も好ましい。そのようなアルファ−オレフィンブロックのブロック分子量は、典型的には、約1,000から約100,000の間である。
【0099】
Bブロックはまた、場合によって水素化された共役ジエンのポリマーブロックであってもよい。好適な共役ジエンは、例えば、ブタジエン、イソプレン等、ならびに1,3−シクロジエンモノマー、例えば1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエンおよび1,3−シクロオクタジエン、好ましくは1,3−シクロヘキサジエンを含む。本明細書の以下においてより具体的に考察されるように、様々なブロックの共重合後にアミノまたはホスフィノ官能基が導入される場合、水素化されていない重合共役ジエンブロックはハロゲン化され易いため、共役ジエンモノマーを使用する際にBブロックを水素化することが必要となる。したがって、共役ジエンモノマーを使用して作製された1つ以上のBブロックを含むハロゲン化されていない前駆体ブロックコポリマーは、官能化の前に水素化される。Bブロックが、ブタジエン、イソプレンまたはこれらの混合物等の共役非環式ジエンの場合によって水素化されたポリマーブロックである場合、そのようなブロックは、水素化の前に、20モルから80モルパーセントのビニル含量を有するべきである。
【0100】
Bブロックはまた、(メタ)アクリル酸エステルのポリマーブロックであってもよい。そのようなポリマーブロックは、US6,767,976において開示されている方法に従って作製され得る。好適な(メタ)アクリル酸エステルの具体例は、第一級アルコールおよび(メタ)アクリル酸のエステル、例えばプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート;第二級アルコールおよび(メタ)アクリル酸のエステル、例えばイソプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレート;ならびに第三級アルコールおよび(メタ)アクリル酸のエステル、例えばtert−ブチル(メタ)アクリレートを含む。必要な場合は、本発明において、原材料(複数種を含む)として、他のアニオン重合性モノマーの1種以上が(メタ)アクリル酸エステルと一緒に使用されてもよい。さらに、その分子内に2つ以上のメタクリルまたはアクリル構造、例えば(メタ)アクリル酸エステル構造、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを有する、多官能性アニオン重合性モノマーが使用されてもよい。
【0101】
さらに、Bブロックは、シリコンゴムセグメントのポリマーブロック、すなわち、−[Si(R’)−O]−(式中、R’は、有機基、例えばアルキル、シクロアルキルまたはアリールを指す)の繰り返し単位を有するオルガノポリシロキサンのブロックであってもよい。
【0102】
Bブロックはまた、Aブロックに関して上述された、15モルパーセントまでのスチレンモノマーを含有してもよい。いくつかの実施形態において、Bブロックは、Aブロックにおいて上述された、10モルパーセントまでのスチレンモノマーを含有してもよく、好ましくは、Bブロックは、わずか5モルパーセントまでの、特に好ましくはわずか2モルパーセントまでのスチレンモノマーを含有する。しかしながら、最も好ましい実施形態において、Bブロックは、スチレンモノマーを含有しない。
【0103】
特定の実施形態のいくつかにおいて、ブロックBのそれぞれは、ブタジエンまたはイソプレンの場合によって水素化されたホモポリマーである。
【0104】
本開示の官能化ブロックコポリマーは、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(I)のアミノもしくはホスフィノ官能化ポリマー単位
【0105】
【化5】
または対応するオニウム塩を含む、少なくとも1つの内部ブロックDの存在により区別される。
【0106】
部分−CHR−ZRまたは対応するオニウム塩部分が式(I)中のフェニル環に結合している位置は、一般に重要ではない。したがって、部分は、2−位(オルト)、3−位(メタ)または4−位(パラ)に連結していてもよい。前駆体ブロックコポリマーまたはモノマーの利用およびそれらの合成の容易性のために、部分は、好ましくは2−または4−位に、より好ましくは4−位に連結していてもよい。
【0107】
上記式(I)中、Zは、窒素またはリンを表すが、窒素が好ましい。
【0108】
式(I)中のRは、水素またはアルキル基を表す。Rの位置におけるアルキル基は、1個から6個の炭素原子を有してもよく、直鎖または分岐状であってもよい。Rに対する例示的アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を含む。特定の実施形態において、Rは、水素またはメチルを表す。
【0109】
式(I)中のRは、水素または第三級アルキル基を表す。Rの位置における第三級アルキル基は、4個から10個の炭素原子を有してもよく、1−位における分岐を除いて、直鎖または分岐状であってもよい。Rに対する例示的な第三級アルキル基は、tert−ブチル、1,1−ジメチル−プロピル、1,1−ジメチル−ブチル、1,1,2−トリメチル−プロピル、1−エチル,1−メチル−プロピル等を含む。特定の実施形態において、Rは、水素またはtert−ブチルを表す。
【0110】
実施形態のいくつかにおいて、式(I)中の部分−ZRにおけるRで表される基は、同一であってもよくまたは異なっていてもよく、各Rは、独立して、水素またはアルキル基を表し、一方でアルキル基は、部分−(A−NRにより場合によって置換されている。したがって、一方または両方のRが水素であってもよく、または、一方のRが水素であってもよく、他方のRは場合によって置換されたアルキル基である。代替として、一方または両方のR基が、同一であるもしくは異なる非置換アルキル基であってもよく、または、一方のRが非置換アルキル基であり、他方のRが置換アルキル基である。代替の実施形態において、両方のRが、同一であるまたは異なる置換アルキル基を表す。特定の実施形態のいくつかにおいて、R基の少なくとも一方が水素と異なる。さらなる特定の実施形態において、基Rの両方が水素と異なる。
【0111】
Rの位置における非置換アルキル基は、1個から10個の炭素原子を有してもよく、直鎖または分岐状であってもよい。Rに対する例示的非置換アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ならびにペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルの異性体を含む。特定の実施形態のいくつかにおいて、式(I)中の部分−ZRの少なくとも1つのRは、非置換C−C−アルキル基である。さらなる特定の実施形態において、式(I)中の部分−ZRの各Rは、独立して、非置換C−C−アルキル基である。
【0112】
式(I)中の部分−ZRにおけるRが、部分−(A−NRにより置換されたアルキル基を表す場合、そのようなRは、一般に直鎖であり、2個から4個の炭素原子を有し、1つ以上の追加のメチルおよび/またはエチル基を場合によって有する。したがって、例示的な置換アルキル基は、置換1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、2,3−ブチレン、1,4−ブチレン、2,3−ペンチレン、2,4−ペンチレン、2,4−ペンチレン、3−メチル−2,4−ペンチレン等の部分を含む。特定の実施形態のいくつかにおいて、Rで表されるそのような場合によって置換されたアルキル基は、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、または1,4−ブチレンである。
【0113】
置換基−(A−NRの変数xは、整数1、2または3、好ましくは1または2を表す。
【0114】
置換基−(A−NRのAは、1つ以上のメチルおよび/またはエチル基により場合によって置換された直鎖アルキレン基を表す。Aで表される直鎖アルキレン基は、一般に、2個から4個の炭素原子を有する。したがって、Aで表される場合によってメチルおよび/またはエチル置換された例示的なアルキレン基は、置換1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,2−ブチレン、1,3−ブチレン、2,3−ブチレン、1,4−ブチレン、2,3−ペンチレン、2,4−ペンチレン、2,4−ペンチレン、3−メチル−2,4−ペンチレン等の部分を含む。具体的な実施形態のいくつかにおいて、Aで表される場合によってメチルおよび/またはエチル置換されたアルキレン基は、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンまたは1,4−ブチレンである。
【0115】
置換基−(A−NRのRおよびRで表される基は、同一であってもよくまたは異なっていてもよく、RおよびRのそれぞれは、独立して、水素またはアルキル基を表す。すなわち、xが2または3の値を有する場合、Rで表される基は、同一であってもよくまたは異なっていてもよく、各Rは、独立して、水素またはアルキル基を表す。RおよびRの位置におけるアルキル基は、1個から6個の炭素原子を有してもよく、直鎖または分岐状であってもよい。RおよびRに対する例示的アルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を含む。特定の実施形態のいくつかにおいて、RおよびRは、水素またはC−Cアルキルを表す。さらなる特定の実施形態において、RおよびRのそれぞれは、独立して、C−Cアルキルを表す。
【0116】
さらなる実施形態において、式(I)中の部分−ZRの2つのRは、それらが結合しているZと一緒になって、Z、炭素環員、ならびに場合によって、窒素および酸素の群から選択される1つ以上の追加のヘテロ原子環員で構成される、場合によって置換された環を形成する。Zおよび2つのRにより形成される環は、3個から14個の環員を有してもよく、単環式または多環式であってもよく、飽和、部分飽和または芳香族であってもよい。場合によって、そのような環は、一般的に、およびRに対して具体的に上述されたような1つ以上のアルキル基により置換されている。Zおよび2つのRにより形成された環の具体例は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、1−アザビシクロ[2,2,2]ノナン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、モルホリン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、カルバゾール、フェノキサジン、アゼピン、対応するリン含有環等の部分を含む。上記で言及されたような、例えばDABCO等の系における窒素は、3つの置換基を有することが当業者に理解される。より具体的には、−ZRがDABCOを表す場合、式(I)中のフェニル環は、基
【0117】
【化6】
(式中、
【0118】
【化7】
は、フェニル環への連結を表し、Y’は、アニオン当量を表す)を有する。この種類の各ポリマー単位は、上述の対応するオニウム塩の領域内に含まれる。
【0119】
したがって、実施形態のいくつかにおいて、官能化ポリマー単位の対応するオニウム塩は、より一般的には、式(I
【0120】
【化8】
(式中、R、R、RおよびY’は、上述の意味を有する)で表され得る。別の実施形態において、基Rが部分−(A−NRにより置換されたアルキルを表す場合、−(A−NR置換基の窒素の1つ以上は、四級化されて、官能化ポリマー単位の対応するオニウム塩を形成してもよい。同様に、基Rが、それらが結合しているZ原子と一緒になって、Zに加えて窒素環員を含有するヘテロ環式環系を形成する場合、そのような追加の窒素環員は、四級化されていてもよい。例えば、−ZRが、場合によって置換されたピペラジン環を表す場合、対応するオニウム塩は、式(Iii)から(Iiv
【0121】
【化9】
(式中、Y’は、上述の意味を有し、各Rは、独立して、一般的に、およびRに対して具体的に言及されたような水素またはアルキルである)のいずれか1つにより表されるような構造を有し得る。同様に、基Rが、それらが結合しているZと一緒になって、DABCO環系を形成する場合、対応するオニウム塩の式(I)中のフェニル環の置換基はまた、以下の構造の1つを有し得る:
【0122】
【化10】
したがって、官能化ポリマー単位の対応するオニウム塩は、一般に、式(I.1)
【0123】
【化11】
(式中、添え字zは、2または3であり、nは、−ZRまたは−ZR部分構造中に存在する四級化窒素およびリン原子の総数であり、Y’は、上述の意味を有する)で表され得る。
【0124】
上記から、ブロックD内に存在する官能基の数は、−ZRまたは−ZR部分構造内に存在する窒素およびリン原子の総数を乗じた、式(I)に対応する官能化ポリマー単位の平均量により決定されることが明らかである。官能化ブロックコポリマーがオニウム塩の形態である場合、一般に、官能基の少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも15%、および100%までがオニウム塩の形態であることが好ましい。
【0125】
オニウム塩のアニオン当量Y’を提供するアニオンは、特に限定されない。一般に、アニオンは、無機酸または有機酸の任意の一塩基性または多塩基性アニオンであってもよい。アニオンの実例は、例えば、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオン、ヒドロキシルイオン(OH)、硫酸イオン(SO2−)、硫酸水素イオン(H)、硝酸イオン(NO)、リン酸イオン(PO3−)、リン酸水素イオン(HPO2−)、リン酸二水素イオン(HPO)、炭酸イオン(CO2−)、重炭酸イオン(HCO)、ホウ酸イオン(HBO)等;有機スルホン酸イオン、例えばメシル酸イオン(CH−SO)、トリフレートイオン(CF−SO)、トシル酸イオン(4−CH−C−SO)、ベシル酸イオン(C−SO)等;有機カルボン酸イオン、例えば酢酸イオン(CH−CO)、クロロ酢酸イオン(CHCl−CO)、ジクロロ酢酸イオン(CHCl−CO)、トリフルオロ酢酸イオン(CF−CO)、シュウ酸イオン((CO2−)、プロピオン酸イオン(C−CO)、マロン酸イオン((CHCO2−)、酪酸イオン(C−CO)、コハク酸イオン([CH(CHCO2−)、安息香酸イオン(C−CO)、フタル酸イオン(C(CO2−)、ビス(トリメチルシリル)イミドイオン([(CHSi])、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドイオン([CFSO)等を含む。
【0126】
Dブロックを区別する式(I)の官能化ブロックコポリマー単位および対応するオニウム塩は、(アルキル)スチレンから、またはフェニル環が第一級アルキル基、すなわち−CH−Rにより置換された(アルキル)スチレンから得られる。したがって、各Dブロックは、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(iii)アルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、ならびに(iv)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するアルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメントからなる群から独立して選択される。
【0127】
特定の実施形態において、Dブロックは、スチレンから、またはフェニル環が第一級アルキル基−CH−Rにより置換されたスチレンから得られる。そのような実施形態において、各Dブロックは、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、ならびに(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメントの群から独立して選択される。
【0128】
一般に、官能化内部ブロックDは、平均して少なくとも1つの式(I)の官能化ポリマー単位または対応するオニウム塩を含む。しかしながら、官能化ブロックコポリマー中に存在する官能基の量は、材料のアニオン交換能に対し直接的影響を有するため、しばしば、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の少なくとも5%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩であることが好ましい。これらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。
【0129】
いくつかの実施形態において、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の100%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。他の実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の98%まで、または95%まで、または90%まで、または85%までが、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。
【0130】
したがって、実施形態のいくつかにおいて、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から100%、または15%から100%、または20%から100%、または25%から100%、または30%から100%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。さらなる実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から98%、または15%から98%、または20%から98%、または25%から98%、または30%から98%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。実施形態のいくつかにおいて、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から95%、または15%から95%、または20%から95%、または25%から95%、または30%から95%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。他の実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から90%、または15%から90%、または20%から90%、または25%から90%、または30%から90%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。さらなる実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から85%、または15%から85%、または20%から85%、または25%から85%、または30%から85%が、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩である。
【0131】
官能化ブロックコポリマー中に複数のブロックDが存在する場合、個々のブロックDは、同一であってもよくまたは異なっていてもよい。複数のブロックDの間の差異は、(i)数平均分子量、(ii)式(I)の官能化ブロックコポリマー単位および対応するオニウム塩の数、(iii)共重合モノマーの存在または非存在、ならびに(iv)存在する場合には、そのような共重合モノマーの量および性質の1つ以上にあってもよい。
【0132】
ブロックDの上述の(アルキル)スチレン単位と共重合していてもよいコモノマーは、特に制限されない。ブロックAおよびBに関連して言及されたモノマーの本質的に全てが好適である。モノマーの2種以上が組み合わされて使用される場合、ランダム、ブロック、テーパー型ブロック、制御分布ブロック等の共重合形態から選択される任意の共重合形態が使用され得る。例えば、Dブロックは、US7,169,848において開示されているように、コモノマーの制御分布を有する(アルキル)スチレン−co−[共役ジエン]ブロック、およびこの部分的、選択的または完全水素化相当物から得られてもよい。
【0133】
Dブロックが、上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる場合、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の少なくとも約10%を構成すべきである。より好ましくは、そのような共重合ブロックDの(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%を構成する。さらに、そのような共重合ブロックDの上述の(アルキル)スチレンは、平均して、共重合ポリマーブロック単位の最高で約80%、または最高で約75%、または最高で約70%を構成する。
【0134】
したがって、ブロックDが上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる実施形態のいくつかにおいて、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約80%、または約15%から約80%、または約20%から約80%、または約25%から約80%、または約30%から約80%を構成すべきである。ブロックDが上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られるさらなる実施形態において、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約75%、または約15%から約75%、または約20%から約75%、または約25%から約75%、または約30%から約75%を構成すべきである。ブロックDが上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる他の実施形態において、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約70%、または約15%から約70%、または約20%から約70%、または約25%から約70%、または約30%から約70%を構成すべきである。
【0135】
特定の実施形態において、各ブロックDは、式(I)のポリマー単位または対応するオニウム塩、ならびに場合によって、それぞれの場合において第一級アルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンからなる群から選択される1つ以上のモノマーから得られるポリマー単位からなる。
【0136】
官能化ブロックコポリマーのA、Dおよび場合によるBブロックは、そのような構成の末端ブロックがAブロックである、すなわちDブロックおよび場合によるBブロックが内部ブロックである限り、様々な構成で配置され得る。いくつかの実施形態において、官能化ブロックコポリマーは、必須のAおよびDブロックに加えて、少なくとも1つのさらなるブロックBを含む。特定の実施形態において、官能化ブロックコポリマーは、一般構成A−D−A、A−D−A−D−A、(A−D−A)X、(A−D)X、A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−B−D)X、(A−D−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはDブロックは、同じであるまたは異なっている。さらなる特定の実施形態において、官能化ブロックコポリマーは、一般構成A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−B−D)X、(A−D−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはDブロックは、同じであるまたは異なっている。
【0137】
2.官能化ブロックコポリマーの製造
官能化ブロックコポリマーは、以下のスキームにおいて概略的に例示されるような様々な手法で調製され得る:
【0138】
【化12】
上記式(II.a)、(III.a)、(IV.a)、(I.a)、および(I.b)中のR、R、Z、R、Y’、z、およびnは、一般的に、および上記において具体的に考察された意味を有する。式(II.a)中のYは、ハロゲン、特に塩素または臭素を表す。式(II.a)、(III.a)、(IV.a)、および(I.a)中の部分構造
【0139】
【化13】
は、出発材料および各変換の生成物が、モノマーであってもよく、または、それぞれ前駆体ブロックコポリマー(式(III.a)および(IV.a))、ハロゲン化ブロックコポリマー(式(II.a))もしくは官能化ブロックコポリマー(式(I.a))のポリマー単位であってもよいことを示すことを意図する。好都合には、ブロック共重合は、変換(A)、(B)、または(E)のいずれか1つの前に行われる。経路(C)に沿った式(II.a)から式(I.b)への直接的変換には、式(II.a)がハロゲン化ブロックコポリマーの単位を表すことが必要であることが、当業者に理解される。対照的に、経路(D)および(E)に沿った式(II.a)から式(I.b)への式(I.a)を介した間接的変換は、式(II.a)で表される出発材料および式(I.a)で表される生成物がモノマーであり、その後モノマー(I.a)がブロック共重合して、同じく式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーを生じ、その後式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーが四級化されて、式(I.b)で表される官能化ブロックコポリマーを生じるように行われてもよい。それぞれのアプローチは、以下のスキームにおいて概略的に示される。
【0140】
【化14】
【0141】
式(II.a)で表される出発材料および式(I.a)で表される生成物がモノマーであり、その後モノマー(I.a)がブロック共重合して、同じく式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーを生成する、経路(D)および(E)に沿った式(II.a)から式(I.b)への式(I.a)を介した間接的変換は、重合共役ジエンの非水素化セグメントまたはポリマー単位を有する1つ以上のブロックBまたはDを含む官能化ブロックコポリマーを生成するための、特に好ましい経路である。
【0142】
一方で、重合共役ジエンの水素化セグメントまたはポリマー単位を有する1つ以上のブロックBまたはDを含む官能化ブロックコポリマーを生成する場合、経路(A)または(B)に沿った変換の前に重合共役ジエンの非水素化セグメントまたはポリマー単位のブロック共重合および水素化を行うことが、一般に好ましい。
【0143】
また、式(I.b)で表されるオニウム塩官能化ブロックコポリマーを含む膜を調製する場合、経路(C)および(E)に沿った変換を達成する前に、式(II.a)で表されるハロゲン化ブロックコポリマー、または式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーを膜にキャストすることが好都合となり得る。代替の実施形態において、式(I.b)で表されるオニウム塩官能化ブロックコポリマーの溶液または分散液がキャストされて、必要な膜が得られてもよい。
【0144】
各モノマーのブロック共重合、重合共役ジエンを含むセグメントの水素化、および経路(A)から(E)に沿った変換は、当業者に一般に公知の様式で、または以下で説明されるような公知の方法に相当する様式で行われてもよい。便宜上、上記スキームにおいて式(II.a)、(III.a)、(IV.a)、および(I.a)で表されるモノマー、ならびに上記スキームにおいて式(II.a)、(III.a)、(IV.a)、(I.a)、および(I.b)で表されるポリマー単位は、以下において、集合的にそれぞれの式の単位と呼ぶことができる。
【0145】
(A)ハロアルキル化
式(II.a)の単位を得るための式(IV.a)の単位の変換は、当該技術分野において、ハロアルキル化として公知であり、既知の手順に相当する条件下で行うことができる。ハロアルキル化のための条件の例示的な説明は、US5,814,627、Blancら、Bull. Soc. Chim. France 33、313以下参照(1923)、およびVinodhら、J. Biosci. Tech. 1(1)、45−51(2009)に見出される。
【0146】
【化15】
【0147】
ハロアルキル化は、一般に、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で式(IV.a)の単位をハロアルキル化剤と反応させることにより行われる。反応は、不活性非プロトン性溶媒中で行われてもよく、またはハロアルキル化剤が溶媒として使用されてもよい。好適なハロアルキル化剤は、クロロメチルメチルエーテル、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)エーテルを含む。好適なフリーデル−クラフツ触媒は、例えば塩化亜鉛、塩化鉄(III)、塩化スズ(IV)、塩化アルミニウム等のルイス酸触媒を含む。
【0148】
代替として、反応は、HCl、HBrまたはHI等のハロゲン化水素酸およびアルデヒドR−CHOの組合せをハロアルキル化剤として使用して行われてもよい。
【0149】
反応は、通常、式(IV.a)の単位の溶液または分散液中で生じる。しかしながら、式(IV.a)の単位が前駆体ブロックコポリマーのポリマー単位である場合、前駆体ブロックコポリマーを膨潤状態で反応させることも可能である。それらの状況下において、前駆体ポリマーはハロアルキル化剤中で膨潤されることが好ましい。
【0150】
反応温度は、触媒およびハロアルキル化剤の種類に依存して変動し得るが、高温では副反応として架橋が生じ得るため、通常、室温(約25℃)および約100℃の範囲内で制御される。クロロメチルメチルエーテル、塩酸および塩化亜鉛の組合せが使用される場合、反応温度は、通常、約35℃から約70℃の範囲内で制御される。
【0151】
特定の実施形態において、ハロアルキル化は、−CHR−Yが4−クロロメチル基である式(II.a)のポリマー単位を含む少なくとも1つの内部ブロックDを有する、ハロゲン化ブロックコポリマー中間体を調製するために好都合に使用される。このアプローチにおいて、ハロアルキル化剤は、好ましくは、クロロメチルメチルエーテルおよび塩酸の組合せであり、ルイス酸触媒は、塩化亜鉛である。
【0152】
式(IV.a)に対応するモノマーのビニル基は、望ましくない副反応および副生成物またはハロアルキル化を生じさせ得ることが、当業者に理解される。したがって、一般に、この反応を使用して、好適な前駆体ブロックポリマー(IV.a)を対応する選択的ハロゲン化ブロックコポリマーに変換することが好ましい。
【0153】
(B)ハロゲン化
経路(A)に沿った式(IV.a)の単位のハロアルキル化に代わるものとして、式(II.a)のハロゲン化単位もまた、アリルメチレン基のハロゲン化に従来使用されている条件下で経路(B)に沿って式(III.a)の単位をハロゲン化することにより生成され得る。そのようなハロゲン化反応の例示的な説明は、例えば、US2006/0217569、およびDaubenら、J. Am. Chem. Soc. 81(18)、4863−4873(1959)に見出される。
【0154】
【化16】
【0155】
このアプローチにおいて、式(II.a)の単位は、開始剤の存在下で不活性溶媒または希釈剤中で式(III.a)の単位をハロゲン化剤と反応させることにより調製される。最も一般的に使用されるハロゲン化剤は、N−ブロモ−スクシンイミド(NBS)であるが、N−クロロ−スクシンイミド、N−ブロモ−tert−ブチルアミン、N−ブロモ−ヒダントイン、例えばN,N−ジブロモヒダントイン、ジブロモジメチルヒダントイン(DBDMH)等の他のハロゲン化剤もまた使用され得る。反応にはフリーラジカルが関与し、反応は、その目的で一般的に使用されるUV光および/またはフリーラジカル開始剤、例えば次亜塩素酸tert−ブチル、過酸化ベンゾイル等の過酸化物またはアゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ化合物等を使用して開始され得る。好都合には、Yが臭素を示す式(II.a)の単位を調製するために、NBSおよびAIBNの組合せが使用され得る。過酸化物を形成する可能性があり、ひいては有害な条件を生じさせる可能性があるエーテルを除き、任意の非プロトン性溶媒または希釈剤が使用され得る。したがって、非プロトン性溶媒は、非ハロゲン化炭化水素溶媒であり、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等を含み得る。しかしながら、他の例において、使用される溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンおよび/またはテトラクロロメタンを含むハロゲン化炭化水素溶媒を含み得る。いくつかの例において、溶媒は、非プロトン性炭化水素溶媒のみ、または代替としてハロゲン化溶媒のみ、または代替としてハロゲン化溶媒および非ハロゲン化溶媒両方の混合物であってもよい。したがって、最も一般的には、溶媒または希釈剤は、場合によってハロゲン化された炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンおよび/もしくはテトラクロロメタン、またはこれらの混合物である、またはこれらを含む。いくつかの例において、非プロトン性溶媒のみが使用され、スルホン化反応において使用された同じ溶媒であってもよい。これは、さらなる溶媒処理ステップなしに官能化反応がスルホン化後に好都合に行われることを可能にするため、プロセスのコストを低減し、時間を短縮する。
【0156】
反応温度は、開始剤およびハロゲン化剤の種類に依存して変動し得、通常、室温(約25℃)および約100℃の範囲内に制御される。NBSおよびAIBNの組合せが使用される場合、反応温度は、通常、約50℃から約80℃の範囲内で制御される。
【0157】
式(III.a)がモノマーを表す場合、Rの位置におけるアルキル基は、アリルメチレン基を有し得ることが、当業者に理解される。したがって、モノマーのアリルハロゲン化を介したアプローチが、好ましくは、Rが水素であるまたは第三級アルキル基である、より好ましくは水素または第三級アルキル基である式(III.a)で表されるようなモノマーに使用される。
【0158】
(C)直接的四級化
上述のように、直接的四級化は、式(II)で表されるような1つ以上のポリマー単位を有する少なくとも1つの内部ブロックDを含む、式(II.a)で表されるようなハロゲン化ブロックコポリマーを含む膜を使用して行われてもよく、または、式(II.a)で表されるようなハロゲン化ブロックコポリマーの溶液または分散液を出発材料として使用して達成されてもよい。四級化は、当該技術分野において一般的に使用されるものと同様の条件を使用して行われ得る。好適な条件の例示的な説明は、例えば、US5,814,672、US7,081,484、US8,148,030、US2010/0137460、およびUS2011/0207028、ならびにVinodhら、J. Biosci. Tech. 1(1)、45−51(2009)に見出される。
【0159】
【化17】
【0160】
一般に、事前に形成された膜の四級化は、式(II.a)で表されるハロゲン化ブロックコポリマーを含む事前に形成された膜を、式(V.a)の適切なアミンもしくはホスフィン、またはこれらの溶液中に浸漬することにより達成され、
【0161】
【化18】
式中、ZおよびRは、上述の意味を有し、Rは、一般的に、およびRに対して具体的に指定されたように水素またはアルキルであり、Rは、−ZRと一緒になって、本明細書において上で指定されたようにヘテロ環式基を形成する。式(V.a)のRは、式(I.b)中に描かれたz基Rの1つに対応する。
【0162】
式(V)の化合物を溶解するために、および事前に形成された膜を浸漬するために使用された媒体は、通常、プロトン性または非プロトン性極性溶媒または溶媒の混合物である。好適な溶媒および溶媒混合物は、例えば、水、脂肪族アルコール、ケトン、エステル、エーテル、およびこれらの非水性または水性混合物を含む。
【0163】
代替として、式(II.a)で表されるハロゲン化ブロックコポリマーの溶液または分散液は、膜のキャスティングの前に、式(V.a)のアミンもしくはホスフィン、またはこれらの溶液と合わせられてもよい。
【0164】
直接的四級化アプローチは、本明細書において開示された官能化ブロックコポリマーの対応するオニウム塩を生成するのに一般に有用であるが、Rが水素と異なっている式(V.a)のアミンまたはホスフィンに基づく官能基を導入するのに特に適している。また、直接的四級化は、本開示による官能化ブロックコポリマーを含む膜が官能化ブロックコポリマーから直接キャストすることができない場合、または好適な膜への官能化ブロックコポリマーのキャストが問題をもたらす場合、そのような膜を調製するための便利なアプローチとなり得る。
【0165】
(D)官能化
経路(D)による官能化は、Rが水素を示す式(V.a)、すなわち式(V.b)のアミンまたはホスフィンが使用される直接的四級化と本質的に同様である。
【0166】
【化19】
【0167】
したがって、官能化は、上記で説明されたように、式(II.a)で表されるハロゲン化ブロックコポリマーを含む事前に形成された膜を、式(V.b)のアミンもしくはホスフィンを含む溶液中に浸漬することにより達成されてもよく、または、式(II.a)で表されるハロゲン化ブロックコポリマーの溶液または分散液を使用して、膜のキャスト前に達成されてもよい。所望により、ハロゲン化水素酸との式(I.b)の官能化ブロックコポリマーのオニウム塩は、従来の様式で、例えばアルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物等の無機塩基での処理により、非塩形態に変換され得る。
【0168】
代替として、式(II.a)で表されるようなハロゲン化モノマーは、出発材料として使用されてもよい。それらの状況において、モノマーは、式(V.b)のアミンまたはホスフィンによる処理のための溶媒または溶媒混合物中に溶解または分散される。好適な溶媒は、上述のプロトン性または非プロトン性極性溶媒、および場合によってハロゲン化された炭化水素等の非極性溶媒を含む。
【0169】
式(I.a)に対応するモノマーは、慣習的な様式でブロック共重合され得る。したがって、式(I.a)のモノマーは、ブロック共重合の後にハロゲン化が行われる場合に合成上の課題をもたらす官能化ブロックコポリマーの様々な実施形態の便利な利用を可能にするという点で、特に有用である。特に、式(I.a)のモノマーは、ハロゲン化またはハロアルキル化され易い少なくとも1つのブロックAおよび/またはブロックB、すなわち、式(III.a)または(IV.a)の単位を含むブロックおよび非水素化重合共役ジエンを含むブロックを有する官能化ブロックコポリマーを形成するために使用され得る。
【0170】
(E)間接的四級化
式(I.a)に対応するブロックコポリマーは、その目的の技術分野において原則的に公知の手順のいずれかを使用して、その対応するオニウム塩を得るために四級化され得る。
【0171】
【化20】
【0172】
上記式(VI)中のRおよびYは、一般的に、および具体的には、上述の意味を有する。上記反応スキームにおいて、式(VI)のRは、式(I.b)中に描かれたz基Rの1つに対応し、および/または、例えば例示的な式(Iii)から(Iiv)中のRに対応する基Rの1つの一部を形成する窒素に結合している。
【0173】
間接的四級化は、式(I.a)で表されるような官能化ブロックコポリマーを含む事前に形成された膜を出発材料として使用して達成されてもよく、または、式(I.a)で表されるような官能化ブロックコポリマーの溶液もしくは分散液を使用して、膜のキャスト前に達成されてもよい。したがって、式(I.a)で表される官能化ブロックコポリマーの四級化は、事前に形成された膜を、式(VI)の適切な化合物またはこの溶液中に浸漬することにより達成されてもよい。代替として、式(I.a)で表されるような官能化ポリマーの溶液または分散液は、出発材料として使用されてもよい。それらの状況において、官能化ポリマーは、溶媒または溶媒混合物中に溶解または分散される。好適な溶媒は、上述のプロトン性または非プロトン性極性溶媒、および場合によってハロゲン化された炭化水素等の非極性溶媒を含む。
【0174】
式(VI)の化合物を溶解するために、および事前に形成された膜を浸漬するために使用され得る媒体は、通常、極性または非極性溶媒または溶媒の混合物である。好適な溶媒および溶媒混合物は、例えば、脂肪族アルコール、ケトン、エステル、エーテル、場合によってハロゲン化された炭化水素、およびこれらの非水性または水性混合物を含む。
【0175】
式(I.b)で表されるような官能化ブロックコポリマーのオニウム塩は、アニオン交換特性を有する。したがって、合成の様式によってオニウム塩中に存在するアニオンは、上述されたような他のアニオンにより従来の様式で容易に置き換えられ得る。
【0176】
(F)ブロック共重合
例えば式(I.a)で表されるような官能化ブロックコポリマー、例えば式(II.a)で表されるような対応する選択的ハロゲン化ブロックコポリマー、ならびに式(III.a)および(IV.a)で表されるような前駆体ブロックコポリマーは、スチレンブロックコポリマーのブロック共重合に対して従来使用されているブロック共重合方法により調製され得る。好都合には、各ブロックコポリマーは、好適なモノマーがリチウム開始剤の存在下で溶液中で重合されるアニオン重合プロセスを介してブロック共重合される。重合ビヒクルとして使用される溶媒は、形成ポリマーのリビングアニオン鎖末端と反応せず、市販の重合単位中で容易に取り扱われ、生成物ポリマーに適切な溶解度特性を提供する、任意の炭化水素であってもよい。例えば、一般にイオン化水素原子を有さない非極性脂肪族炭化水素が、特に好適な溶媒となる。しばしば使用されるのは、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンおよびシクロオクタン等の環式アルカンであり、これらの全ては比較的非極性である。他の好適な溶媒は、当業者に認識され、所与のセットのプロセス条件において効果的に機能するように選択され得るが、考慮される主要な因子の1つは重合温度である。
【0177】
各ブロックコポリマーを調製するための出発材料は、上述の初期モノマーを含む。アニオン共重合のための他の重要な出発材料は、1種以上の重合開始剤を含む。好適な開始剤は、例えば、s−ブチルリチウム、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、アミルリチウム等のアルキルリチウム化合物、およびm−ジイソプロペニルベンゼンのジ−sec−ブチルリチウム付加物等の二官能性開始剤を含む他の有機リチウム化合物を含む。さらなる好適な二官能性開始剤は、US6,492,469において開示されている。様々な重合開始剤のうち、s−ブチルリチウムが好ましい。開始剤は、重合混合物(モノマーおよび溶媒を含む)中で、所望のポリマー鎖当たり1つの開始剤分子に基づいて計算される量で使用され得る。リチウム開始剤プロセスは周知であり、例えば、米国特許第4,039,593号および米国再発行特許第27,145号に記載されている。
【0178】
各ブロックコポリマーを調製するための重合条件は、典型的には、一般にアニオン重合に使用される条件と同様である。本発明において、重合は、好ましくは約−30℃から約150℃、より好ましくは約10℃から約100℃、最も好ましくは、産業上の限界を考慮して、約30℃から約90℃の温度で行われる。重合は、不活性雰囲気中、好ましくは窒素中で行われ、また約0.5バールから約10バールの範囲内の圧力下で達成され得る。この共重合は、一般に、約12時間未満を必要とし、温度、モノマー構成成分の濃度、およびポリマーまたはポリマーブロックの所望の分子量に依存して、約5分から約5時間で達成され得る。モノマーの2種以上が組み合わされて使用される場合、ランダム、ブロック、テーパー型ブロック、制御分布ブロック等の共重合形態から選択される任意の共重合形態が使用され得る。
【0179】
アニオン重合プロセスは、アルミニウムアルキル、マグネシウムアルキル、亜鉛アルキルまたはこれらの組合せ等のルイス酸の添加により加減され得ることが認識されている。重合プロセスに対する添加されたルイス酸の効果は、1)より高いポリマー濃度で作用する、ひいてはより少ない溶媒を使用するプロセスを可能にする、リビングポリマー溶液の粘度の低下、2)より高い温度での重合を可能にし、同じくポリマー溶液の粘度を低下させて、より少ない溶媒の使用を可能にする、リビングポリマー鎖末端の熱安定性の向上、および3)標準的なアニオン重合プロセスにおいて使用されてきたような反応の熱を除去するための同じ技術を使用ながら、より高い温度での重合を可能にする、反応速度の低速化である。アニオン重合技術を加減するためのルイス酸の使用の処理上の利点は、US6,391,981、US6,455,651、およびUS6,492,469において開示されている。関連する情報は、US6,444,767およびUS6,686,423において開示されている。そのような加減されたアニオン重合プロセスにより作製されたポリマーは、従来のアニオン重合プロセスを使用して調製されたものと同じ構造を有し得、したがって、このプロセスは、各ブロックコポリマーを作製する上で有用となり得る。ルイス酸で加減されたアニオン重合プロセスのためには、100℃から150℃の間の反応温度が好ましいが、これは、これらの温度において、非常に高いポリマー濃度で反応を行うことを利用することが可能であるためである。化学量論的に過剰なルイス酸が使用されてもよいが、ほとんどの場合において、過剰のルイス酸の追加的コストを正当化するのに十分な改善されたプロセスにおける利点はない。加減されたアニオン重合技術によるプロセス性能における改善を達成するために、リビングアニオン鎖末端1モル当たり約0.1モルから約1モルのルイス酸を使用することが好ましい。
【0180】
放射状(分岐状)ポリマーの調製は、「カップリング」と呼ばれる重合後ステップを必要とする。上記の放射状の式において、nは、2から約30、好ましくは約2から約15、より好ましくは2から6の整数であり、Xは、カップリング剤の残部または残基である。様々なカップリング剤が当該技術分野において公知であり、カップリングされた本発明のブロックコポリマーの調製において使用され得る。これらのカップリング剤は、例えば、ジハロアルカン、ハロゲン化ケイ素、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、一価アルコールのカルボン酸とのエステル(例えば安息香酸メチルおよびアジピン酸ジメチル)ならびにエポキシ化油を含む。星型ポリマーは、例えば、US3,985,830、US4,391,949、US4,444,953、およびCA716,645において開示されているように、ポリアルケニルカップリング剤を用いて調製される。好適なポリアルケニルカップリング剤は、ジビニルベンゼン、好ましくはm−ジビニルベンゼンを含む。好ましいのは、テトラ−メトキシシラン(TMOS)およびテトラ−エトキシシラン(TEOS)等のテトラ−アルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)等のトリ−アルコキシシラン、アジピン酸ジメチルおよびアジピン酸ジエチル等の脂肪族ジエステル、ならびにビス−フェノールAおよびエピクロルヒドリンの反応から得られるジグリシジルエーテル等のジグリシジル芳香族エポキシ化合物である。
【0181】
特定の実施形態において、驚くべきことに、官能化モノマーが同様または相当する条件下においてブロック共重合され得ることが見出された。これらの実施形態のいくつかにおいて、官能化モノマーは、部分−ZRがピペリジルまたはジメチルアミノ基等を示す式(I.a)で表されるようなスチレンモノマーである。各モノマーは、上述のように調製され得る。好都合には、市販のp−クロロメチルスチレンは、官能化モノマーを作製するための出発材料として使用され得る。
【0182】
(H)共役ジエンを含むセグメントの場合による水素化
上述のように、いくつかの場合において、ブロックコポリマーを選択的に水素化して、ブロックAおよび/またはBをハロゲン化またはハロアルキル化され易くし得る任意のエチレン性不飽和を除去することが必要である。また、水素化は、一般に、最終ポリマーの熱安定性、紫外線安定性、酸化安定性、ひいては耐候性を改善する。
【0183】
水素化は、当該技術分野において一般に公知であるいくつかの水素化または選択的水素化プロセスのいずれかを介して行われ得る。例えば、そのような水素化は、例えばUS3,595,942、US3,634,549、US3,670,054、US3,700,633、およびUS Re.27,145において教示されるもの等の方法を使用して達成されている。したがって、エチレン性不飽和を含有するポリマーは、好適な触媒を使用して水素化される。そのような触媒、または触媒前駆体は、好ましくは、アルミニウムアルキル等の好適な還元剤と組み合わされたニッケルもしくはコバルト等の第9族もしくは第10族金属、または元素周期表の第1族、第2族および第13族から選択される金属、特にリチウム、マグネシウムもしくはアルミニウムの水素化物を含む。水素化は、約20℃から約120℃の温度で、好適な溶媒または希釈剤中で達成され得る。有用な他の触媒は、チタンベース触媒系を含む。
【0184】
水素化は、共役ジエン二重結合の少なくとも約90パーセントが還元され、またアレーン二重結合のゼロパーセントから10パーセントが還元されているような条件下で行われ得る。好ましい範囲は、共役ジエン二重結合の少なくとも約95パーセントが還元される、より好ましくは共役ジエン二重結合の約98パーセントが還元される範囲である。
【0185】
水素化が完了したら、ポリマー溶液と共に、比較的多量の酸水溶液(好ましくは1重量パーセントから30重量パーセントの酸)を、約0.5部の酸水溶液対1部のポリマー溶液の体積比で撹拌することにより、触媒を酸化および抽出することが好ましい。酸の性質は重要ではない。好適な酸は、リン酸、硫酸および有機酸を含む。この撹拌は、窒素中の酸素の混合物でスパージしながら、約30分から約60分の間、約50℃で継続される。このステップにおいて、酸素および炭化水素の爆発性混合物の形成を回避するように注意しなければならない。
【0186】
3.具体的な前駆体および中間体ブロックコポリマー
式(II.a)で表されるような選択的ハロゲン化ブロックコポリマー、および式(III.a)で表されるような前駆体ブロックコポリマーは、本明細書において開示された官能化ブロックコポリマーの製造のための前駆体および/または中間体材料として役立つように特に適合される。
【0187】
(A)選択的ハロゲン化ブロックコポリマー
概して、本開示の選択的ハロゲン化ブロックコポリマーは、官能化ブロックコポリマーに対応するが、官能化ブロックコポリマーの少なくとも1つの内部ブロックDの代わりに少なくとも1つの選択的ハロゲン化内部ブロックDが存在するという点が異なる。より具体的には、本開示の選択的ハロゲン化ブロックコポリマーは、
(a)少なくとも2つの末端ブロックA、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックD
を含み、
各末端ブロックAが、本質的にハロゲン化されておらず、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有し、
内部ブロックDが、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(II)のポリマー単位
【0188】
【化21】
(式中、
Yは、ハロゲンであり;
は、水素またはアルキルであり;
は、水素であるまたは第三級アルキルである)
を含む。
【0189】
選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの末端ブロックA、および任意の内部ブロックAは、本質的にハロゲン化されておらず、したがって、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの官能化が、Aブロックがアミノまたはホスフィノ官能基を実質的に含まない官能化ブロックコポリマーをもたらすことが可能となる。
【0190】
官能化ブロックコポリマーのブロックAに対応して、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの個々のAブロックは、個々のAブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同一であってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは同様であるが必ずしも同一とは限らない。一般的に、および具体的に官能化ブロックコポリマーに関して提供されたAブロックの説明は、ハロゲン化ブロックコポリマーのAブロックに等しく適用される。
【0191】
したがって、特定の実施形態において、ブロックAのそれぞれは、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上のアルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される。
【0192】
本開示の官能化ブロックコポリマーの場合と同様に、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーは、場合によって少なくとも1つの内部ブロックBを含み、各ブロックBは、本質的にハロゲン化されておらず、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、最高で約20℃のガラス転移温度を有する。
【0193】
ハロゲン化ブロックコポリマーのブロックBは、官能化ブロックコポリマーのブロックBに対応するため、一般的に、および具体的に官能化ブロックコポリマーに関連して提供されたBブロックの説明は、ハロゲン化ブロックコポリマーのBブロックに等しく適用される。すなわち、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの個々のBブロックは、個々のBブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同一であってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは同様であるが必ずしも同一とは限らない。
【0194】
特定の実施形態において、各ブロックBは、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C−Cアルファ−オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、および(vii)(i)から(v)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントは、水素化されている。
【0195】
前述のように、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーを特徴付ける内部ブロックDは、官能化ブロックコポリマーの官能化ブロックDの前駆体である。したがって、各ブロックDは、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(II)のハロゲン化ポリマー単位
【0196】
【化22】
(式中、
Yは、ハロゲン、好ましくは塩素または臭素であり;
は、一般的および具体的に上述されたように、水素またはアルキルであり;
は、一般的および具体的に上述されたように、水素であるまたは第三級アルキルである)
を含む。
【0197】
特に、部分−CHR−Yが式(II)中のフェニル環に結合している位置は、一般に重要ではなく、部分は、2−位(オルト)、3−位(メタ)、または4−位(パラ)に連結していてもよい。実施形態のいくつかにおいて、部分は、好ましくはフェニル環の2−または4−位に、より好ましくは4−位に連結している。
【0198】
ブロックを区別する式(II)の選択的ハロゲン化ブロックコポリマー単位は、(アルキル)スチレンから、またはフェニル環が第一級アルキル基、すなわち−CH−Rにより置換された(アルキル)スチレンから得られる。したがって、各Dブロックは、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、(iii)アルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメント、ならびに(iv)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するアルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーから得られるセグメントからなる群から独立して選択される。
【0199】
一般に、選択的ハロゲン化内部ブロックDは、平均して少なくとも1つの式(II)のハロゲン化ポリマー単位を含む。しかしながら、ハロゲン化ポリマー単位の量は、導入されて官能化ブロックコポリマーを生成し得る官能基の量に対応するため、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の少なくとも5%が、式(II)のポリマー単位であることが一般に好ましい。これらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%が、式(II)のポリマー単位である。
【0200】
いくつかの実施形態において、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の100%が、式(II)のポリマー単位である。他の実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の98%まで、または95%まで、または90%まで、または85%までが、式(II)のポリマー単位である。
【0201】
したがって、実施形態のいくつかにおいて、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から100%、または15%から100%、または20%から100%、または25%から100%、または30%から100%が、式(II)のポリマー単位である。さらなる実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から98%、または15%から98%、または20%から98%、または25%から98%、または30%から98%が、式(II)のポリマー単位である。実施形態のいくつかにおいて、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から95%、または15%から95%、または20%から95%、または25%から95%、または30%から95%が、式(II)のポリマー単位である。他の実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から90%、または15%から90%、または20%から90%、または25%から90%、または30%から90%が、式(II)のポリマー単位である。さらなる実施形態において、平均して、Dブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の10%から85%、または15%から85%、または20%から85%、または25%から85%、または30%から85%が、式(II)のポリマー単位である。
【0202】
選択的ハロゲン化ブロックコポリマー中に複数のブロックDが存在する場合、個々のブロックDは、同一であってもよくまたは異なっていてもよい。複数のブロックDの間の差異は、(i)数平均分子量、(ii)式(II)のハロゲン化ブロックコポリマー単位の数、(iii)共重合モノマーの存在または非存在、ならびに(iv)存在する場合には、そのような共重合モノマーの量および性質の1つ以上にあってもよい。複数のブロックDが存在する場合、個々のDブロックは、好ましくは、個々のDブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同様であるが、必ずしも同一とは限らない。
【0203】
ブロックDの上述の(アルキル)スチレン単位と共重合していてもよいコモノマーは、特に制限されない。ブロックAおよびBに関連して言及されたモノマーの本質的に全てが好適である。モノマーの2種以上が組み合わされて使用される場合、ランダム、ブロック、テーパー型ブロック、制御分布ブロック等の共重合形態から選択される任意の共重合形態が使用され得る。例えば、Dブロックは、例えばUS7,169,848において開示されるように、共重合共役ジエンポリマー単位が選択的に水素化されているコモノマーの制御分布を有する(アルキル)スチレン−co−[共役ジエン]ブロックから得られてもよい。
【0204】
ブロックが、上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる場合、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の少なくとも約10%を構成すべきである。いくつかの実施形態において、そのような共重合ブロックDの(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%を構成する。他の実施形態において、そのような共重合ブロックDの上述の(アルキル)スチレンは、平均して、共重合ポリマーブロック単位の最高で約80%、または最高で約75%、または最高で約70%を構成する。
【0205】
したがって、ブロックDが上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる実施形態のいくつかにおいて、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約80%、または約15%から約80%、または約20%から約80%、または約25%から約80%、または約30%から約80%を構成すべきである。ブロックDが上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られるさらなる実施形態において、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約75%、または約15%から約75%、または約20%から約75%、または約25%から約75%、または約30%から約75%を構成すべきである。ブロックDが上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる他の実施形態において、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約70%、または約15%から約70%、または約20%から約70%、または約25%から約70%、または約30%から約70%を構成すべきである。
【0206】
特定の実施形態において、各ブロックDは、式(II)のポリマー単位、ならびに場合によって、それぞれの場合において第一級アルキル基により場合によって置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンからなる群から選択される1つ以上のモノマーから得られるポリマー単位からなる。
【0207】
選択的ハロゲン化ブロックコポリマーのA、Dおよび場合によるBブロックは、そのような構成の末端ブロックがAブロックである、すなわちDブロックおよび場合によるBブロックが内部ブロックである限り、様々な構成で配置され得る。いくつかの実施形態において、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーは、必須のAおよびDブロックに加えて、少なくとも1つのさらなるブロックBを含む。特定の実施形態において、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーは、一般構成A−D−A、A−D−A−D−A、(A−D−A)X、(A−DX、A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−B−DX、(A−D−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、Bブロック、またはDブロックは、同じであるまたは異なっている。さらなる特定の実施形態において、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーは、一般構成A−B−D−B−A、A−D−B−D−A、(A−B−DX、(A−D−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、Bブロック、またはDブロックは、同じであるまたは異なっている。
【0208】
(B)前駆体ブロックコポリマー
概して、本開示の前駆体ブロックコポリマーは、官能化ブロックコポリマーの実施形態のいくつかに対応するが、選択的にハロゲン化および官能化され得る、ひいては官能化ブロックコポリマーの少なくとも1つの内部ブロックDに選択的に変換され得る少なくとも1つのd内部ブロックD°が存在するという点が異なる。より具体的には、本開示の前駆体ブロックコポリマーは、
(a)少なくとも2つの末端ブロックA、および
(b)少なくとも1つの内部ブロックD°
を含み、
各末端ブロックAが、ハロゲン化に対して実質的に抵抗性であり、約1,000から約60,000の数平均分子量を有し、高い使用温度を有し、
内部ブロックD°が、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(III)のポリマー単位
【0209】
【化23】
(式中、
は、水素またはアルキルであり;
は、水素であるまたは第三級アルキルである)
を含む。
【0210】
前駆体ブロックコポリマーの末端ブロックAおよび任意の内部ブロックAは、ハロゲン化に対して実質的に抵抗性であり、したがって、前駆体ブロックコポリマーが内部ブロックD°において選択的にハロゲン化されて、本明細書において上で考察された選択的ハロゲン化ブロックコポリマーを生じることが可能となる。
【0211】
官能化ブロックコポリマーのブロックAに対応して、前駆体ブロックコポリマーの個々のAブロックは、個々のAブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同一であってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは同様であるが必ずしも同一とは限らない。官能化ブロックコポリマーに関して提供されたAブロックの説明は、本質的に前駆体ブロックコポリマーのAブロックにも適用されるが、前駆体ブロックコポリマーの個々のAブロックの調製において使用されるスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマーは、フェニル環において、それらをハロアルキル化およびハロゲン化に対して実質的に抵抗性とするように置換されるという点が異なる。
【0212】
したがって、特定の実施形態において、ブロックAのそれぞれは、重合した(i)エチレンモノマー;(ii)プロピレンモノマー、(iii)1つ以上の第三級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンおよびアルファ−アルキルスチレンモノマー、(iv)(メタ)アクリレートエステルモノマー、ならびに(v)(i)から(iv)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択される。
【0213】
本開示の官能化ブロックコポリマーの場合と同様に、前駆体ブロックコポリマーは、場合によって少なくとも1つの内部ブロックBを含み、各ブロックBは、本質的に官能化されておらず、ハロゲン化に対して実質的に抵抗性であり、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、最高で約20℃のガラス転移温度を有する。
【0214】
前駆体ブロックコポリマーのブロックBは、官能化ブロックコポリマーのある特定の実施形態のブロックBに対応するため、一般的に、および具体的に官能化ブロックコポリマーに関連して提供されたBブロックの説明は、本質的に前駆体ブロックコポリマーのBブロックにも適用される。すなわち、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの個々のBブロックは、個々のBブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同一であってもよくまたは異なっていてもよく、好ましくは同様であるが必ずしも同一とは限らない。
【0215】
特定の実施形態において、各ブロックBは、重合した(i)エチレンモノマー、(ii)C−Cアルファ−オレフィンモノマー、(iii)イソブチレンモノマー、(iv)共役ジエンモノマー、(v)(メタ)アクリレートエステルモノマー、(vi)ケイ素ポリマー、および(vii)(i)から(v)より選択されるモノマーの混合物からなる群から独立して選択され、重合した共役ジエンモノマーを含有するセグメントは、水素化されている。
【0216】
前述のように、前駆体ブロックコポリマーを特徴付ける内部ブロックD°は、選択的ハロゲン化ブロックDの前駆体であり、一方でこのブロックDは官能化ブロックコポリマーの官能化ブロックDの前駆体である。したがって、各ブロックD°は、約1,000から約100,000の数平均分子量を有し、平均して少なくとも1つの式(III)のポリマー単位
【0217】
【化24】
を含み、このポリマー単位はハロゲン化され易く、式中、
は、一般的および具体的に上述されたように、水素またはアルキルであり;
は、一般的および具体的に上述されたように、水素であるまたは第三級アルキルである。
【0218】
部分−CH−Rが式(III)中のフェニル環に結合している位置は、一般に重要ではなく、部分は、2−位(オルト)、3−位(メタ)、または4−位(パラ)に連結していてもよい。実施形態のいくつかにおいて、部分は、好ましくはフェニル環の2−または4−位に、より好ましくは4−位に連結している。
【0219】
D°ブロックを区別する式(III)の選択的ハロゲン化ブロックコポリマー単位は、フェニル環が第一級アルキル基、すなわち−CH−Rにより置換された(アルキル)スチレンから得られる。したがって、各D°ブロックは、(i)スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、(ii)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、(iii)アルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに(iv)第一級アルキル基により置換されたフェニル環を有するアルファ−アルキルスチレンのホモポリマーおよびコポリマーの群から独立して選択される。
【0220】
一般に、内部ブロックD°は、平均して少なくとも1つの式(III)の前駆体ポリマー単位を含む。しかしながら、ハロゲン化され易いポリマー単位の量は、導入されて官能化ブロックコポリマーを生成し得る官能基の量に対応するため、D°ブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の少なくとも5%が、式(III)のポリマー単位であることが一般に好ましい。これらの好ましい実施形態のいくつかにおいて、D°ブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%、または少なくとも25%、または少なくとも30%が、式(III)のポリマー単位である。
【0221】
いくつかの実施形態において、D°ブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の100%が、式(III)のポリマー単位である。他の実施形態において、平均して、D°ブロックの(アルキル)スチレンから得られるポリマー単位の98%まで、または95%まで、または90%まで、または85%までが、式(III)のポリマー単位である。
【0222】
したがって、実施形態のいくつかにおいて、平均して、D°ブロックの(アルキル)スチレンポリマー単位の10%から100%、または15%から100%、または20%から100%、または25%から100%、または30%から100%が、式(III)のポリマー単位である。さらなる実施形態において、平均して、D°ブロックの(アルキル)スチレンポリマー単位の10%から98%、または15%から98%、または20%から98%、または25%から98%、または30%から98%が、式(III)のポリマー単位である。実施形態のいくつかにおいて、平均して、D°ブロックの(アルキル)スチレンポリマー単位の10%から95%、または15%から95%、または20%から95%、または25%から95%、または30%から95%が、式(III)のポリマー単位である。他の実施形態において、平均して、D°ブロックの(アルキル)スチレンポリマー単位の10%から90%、または15%から90%、または20%から90%、または25%から90%、または30%から90%が、式(III)のポリマー単位である。さらなる実施形態において、平均して、D°ブロックの(アルキル)スチレンポリマー単位の10%から85%、または15%から85%、または20%から85%、または25%から85%、または30%から85%が、式(III)のポリマー単位である。
【0223】
前駆体ブロックコポリマー中に複数のブロックD°が存在する場合、個々のブロックD°は、同一であってもよくまたは異なっていてもよい。複数のブロックD°の間の差異は、(i)数平均分子量、(ii)式(III)の前駆体ブロックコポリマー単位の数、(iii)共重合モノマーの存在または非存在、ならびに(iv)存在する場合には、そのような共重合モノマーの量および性質の1つ以上にあってもよい。複数のブロックD°が存在する場合、個々のD°ブロックは、好ましくは、個々のD°ブロックのそれぞれを構成するモノマーの性質および組成において同様であるが、必ずしも同一とは限らない。
【0224】
ブロックD°の上述の(アルキル)スチレン単位と共重合していてもよいコモノマーは、特に制限されない。ブロックAおよびBに関連して言及されたモノマーの本質的に全てが好適である。モノマーの2種以上が組み合わされて使用される場合、ランダム、ブロック、テーパー型ブロック、制御分布ブロック等の共重合形態から選択される任意の共重合形態が使用され得る。例えば、D°ブロックは、例えばUS7,169,848において開示されるように、共重合共役ジエンポリマー単位が選択的に水素化されているコモノマーの制御分布を有する(アルキル)スチレン−co−[共役ジエン]ブロックから得られてもよい。
【0225】
D°ブロックが、上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる場合、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の少なくとも約10%を構成すべきである。いくつかの実施形態において、そのような共重合ブロックD°の(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%を構成する。他の実施形態において、そのような共重合ブロックD°の上述の(アルキル)スチレンは、平均して、共重合ポリマーブロック単位の最高で約80%、または最高で約75%、または最高で約70%を構成する。
【0226】
したがって、ブロックD°が上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる実施形態のいくつかにおいて、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約80%、または約15%から約80%、または約20%から約80%、または約25%から約80%、または約30%から約80%を構成すべきである。ブロックD°が上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られるさらなる実施形態において、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約75%、または約15%から約75%、または約20%から約75%、または約25%から約75%、または約30%から約75%を構成すべきである。ブロックD°が上述の(アルキル)スチレンのコポリマーから得られる他の実施形態において、(アルキル)スチレンポリマー単位は、平均して、共重合ポリマーブロック単位の約10%から約70%、または約15%から約70%、または約20%から約70%、または約25%から約70%、または約30%から約70%を構成すべきである。
【0227】
特定の実施形態において、各ブロックD°は、式(III)のポリマー単位、ならびに場合によって、スチレンおよびアルファ−アルキルスチレンからなる群から選択される1つ以上のモノマーから得られるポリマー単位からなる。
【0228】
前駆体ブロックコポリマーのA、D°および場合によるBブロックは、そのような構成の末端ブロックがAブロックである、すなわちD°ブロックおよび場合によるBブロックが内部ブロックである限り、様々な構成で配置され得る。いくつかの実施形態において、前駆体ブロックコポリマーは、必須のAおよびDブロックに加えて、少なくとも1つのさらなるブロックBを含む。特定の実施形態において、前駆体ブロックコポリマーは、一般構成A−D°−A、A−D°−A−D°−A、(A−D°−A)X、(A−D°)X、A−B−D°−B−A、A−D°−B−D°−A、(A−B−D°)X、(A−D°−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはD°ブロックは、同じであるまたは異なっている。さらなる特定の実施形態において、前駆体ブロックコポリマーは、一般構成A−B−D°−B−A、A−D°−B−D°−A、(A−B−D°)X、(A−D°−B)Xまたはこれらの混合を有し、式中、nは、2から約30の整数であり、Xは、カップリング剤残基であり、複数のAブロック、BブロックまたはD°ブロックは、同じであるまたは異なっている。
【0229】
4.官能化ブロックコポリマーの膜またはフィルム
本開示の官能化ブロックコポリマーは、コーティングを含むフィルムまたは膜用の材料として特に適している。そのようなフィルムまたは膜は、
a)1種以上の非プロトン性有機溶媒を含む液相中に官能化ブロックコポリマーを含む組成物を用意し、
b)組成物をキャストし、
c)液相を蒸発させる
ことにより得ることができる。
【0230】
非プロトン性有機溶媒または溶媒混合物が、適切な均質性のコーティングまたはフィルムキャスト組成物を達成するのに十分な程度まで官能化ブロックコポリマーを溶解または分散させることができる限り、液相の性質および組成は一般に重要ではない。
【0231】
好適な非プロトン性有機溶媒は、例えば、4個から12個の炭素原子を有する場合によってハロゲン化された炭化水素を含む。炭化水素は、直鎖、分岐状または単環式もしくは多環式であってもよく、直鎖、分岐状および単環式または多環式の、場合によって芳香族の炭化水素基、例えば、直鎖、分岐状または環式ペンタン、(モノ−、ジ−またはトリ−)メチルシクロペンタン、(モノ−、ジ−またはトリ−)エチルシクロペンタン、直鎖、分岐状または環式ヘキサン、(モノ−、ジ−またはトリ−)メチルシクロヘキサン、(モノ−、ジ−またはトリ−)エチルシクロヘキサン、直鎖、分岐状または環式ヘプタン、直鎖、分岐状または(単もしくは二)環式オクタン、2−エチルヘキサン、イソオクタン、ノナン、デカン、パラフィン系油、混合パラフィン系溶媒、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等を含んでもよい。
【0232】
いくつかの特定の実施形態において、非極性液相は、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタン、シクロオクタンおよびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の溶媒を含み、シクロヘキサン、および/またはシクロペンタン、および/またはメチルシクロヘキサンが最も好ましい。
【0233】
さらなる具体的な実施形態において、非極性液相は、それぞれが好ましくはハロゲン化されていない少なくとも2種の非プロトン性溶媒により形成される。さらなる具体的な実施形態において、非極性液相は、ヘキサン、ヘプタンおよびオクタン、ならびにシクロヘキサンおよび/またはメチルシクロヘキサンと混合されたそれらの混合物から選択される少なくとも1種の溶媒を含む。
【0234】
さらなる実施形態において、液相は、極性溶媒および1種の非極性溶媒から選択される少なくとも2種の溶媒で構成される。
【0235】
好ましくは、極性溶媒は、水、1個から20個の炭素原子、好ましくは1個から8個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子を有するアルコール;1個から20個の炭素原子、好ましくは1個から8個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子を有する、環式エーテルを含むエーテル;1個から20個の炭素原子、好ましくは1個から8個の炭素原子、より好ましくは1個から4個の炭素原子を有するカルボン酸のエステル、硫酸のエステル、アミド、カルボン酸、無水物、スルホキシド、ニトリル、および環式ケトンを含むケトンから選択される。より具体的には、極性溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、置換および非置換フラン、オキセタン、ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、置換および非置換テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、硫酸メチル、硫酸ジメチル、二硫化炭素、ギ酸、酢酸、スルホ酢酸、無水酢酸、アセトン、クレゾール、クレオソール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、水およびジオキサンから選択され、水、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、酢酸、スルホ酢酸、硫酸メチル、硫酸ジメチルおよびイソプロピルアルコールが、より好ましい極性溶媒である。
【0236】
好ましくは、非極性溶媒は、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、四塩化炭素、トリエチルベンゼン、メチルシクロヘキサン、イソペンタンおよびシクロペンタンから選択され、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソペンタンおよびジクロロエタンが、最も好ましい非極性溶媒である。上述のように、方法は、2種以上の溶媒を使用する。
【0237】
これは、極性溶媒のみ、非極性溶媒のみ、または極性溶媒および非極性溶媒の組合せから選択される2種、3種、4種またはそれ以上の溶媒が使用され得ることを意味する。溶媒同士の比は、幅広く変動し得る。例えば、2種の溶媒を有する溶媒混合物において、比は、99.99:0.01から0.01:99.99の範囲となり得る。
【0238】
液相中の官能化ブロックコポリマーの濃度は、官能化ブロックコポリマーの性質、および溶媒または溶媒混合物の属性等の因子に依存する。一般に、ポリマー濃度は、官能化ブロックコポリマーの溶液または分散液の総重量を基準として、約1重量%.から約40重量%、代替として約2重量%から約35重量%、代替として約3重量%から約30重量%の範囲内であり、または、約1重量%から約30重量%、代替として約2重量%から約25重量%、代替として約5重量%から約20重量%の範囲内である。好適な範囲は、特定の組合せおよび範囲が共に列挙されていない場合であっても、指定された重量パーセンテージの任意の組合せを含むことが、当業者に理解される。
【0239】
組成物(a)を得るための官能化ブロックコポリマーの液相中の分散液または溶液は、例えば、必要量の官能化ブロックコポリマーおよび溶媒または溶媒混合物を、約20℃から使用される溶媒(複数種可)の沸点までの温度で合わせることにより達成される。一般に、温度は、約20℃から約100℃、代替として約20℃から約80℃、代替として約20℃から約60℃、代替として約25℃から約65℃、代替として約25℃から約60℃の範囲内(例えば、約50℃)である。十分な均質性の組成物を得るための分散または溶解時間は、温度、溶媒または溶媒混合物、ならびにポリマーの分子量およびIECに依存して、約1分未満から約24時間以上の範囲内となり得る。
【0240】
フィルムまたは膜の品質は、組成物(a)の均質性により影響され得ることが、当業者に認識される。したがって、液相中の官能化ブロックコポリマーの混合は、有利には、当該技術分野において公知である好適な混合機器またはホモジナイザを用いて補助され得る。ほとんどの実施形態において、適切な均質性の組成物を得るために、従来の槽または管中混合手順が適している。いくつかの実施形態において、従来のホモジナイザにおいて組成物(a)を均質化することが有利となり得る。混合の完全性はまた、官能化ブロックコポリマーの濃度を減少させることにより促進され得ることが、当業者に認識される。好適な機器および濃度の選択は、一般に、生態的および経済的因子に依存する。
【0241】
組成物(a)は、一般に、約70重量%までの固体含量を有し得るが、フィルムおよび膜は、必ずしも最高レベルの固体を有する組成物から調製されなくてもよい。しかしながら、固体レベルおよび濃度が可能な限り高い組成物(a)が、保存量および配送コストを最小限化するような保存または輸送に有利である。また、保存および/または輸送グレードの組成物(a)は、望ましくは、最終的な使用の前に、特定用途の目的に適した固体含量または粘度レベルまで希釈され得る。調製されるフィルムまたは膜の厚さ、および組成物を基板に塗布する方法が、通常は分散液の固体レベルおよび溶液の粘度を決定付ける。一般に、組成物(a)からフィルムまたは膜を調製する場合、固体含量は、1重量%から約60重量%、好ましくは約5重量%から約50重量%、または約10重量%から約45重量%である。
【0242】
本明細書に記載の用途のためのコーティングを含むフィルムおよび膜の厚さは重要ではなく、通常、フィルム、膜およびコーティングの標的となる用途に依存する。通常、フィルムおよび膜は、少なくとも約0.1μmおよび最大で約1000μmの厚さを有してもよい。典型的には、厚さは、約0.5μmから約200μm、例えば約1μmから約100μm、または約1μmから約35μmの範囲である。
【0243】
組成物(a)でコーティングされ得る基板は、天然および合成の織材料および不織材料、ならびにそのような材料の1種以上で作製された基板を含む。基板の形状および形態は、幅広く変動し得、繊維、フィルム、生地、皮および木製部品または構築物を含む。いくつかの実施形態において、基板は、例えばポリスルホン、ポリエチレン、ポリイミド等の微細孔合成材料である。
【0244】
本質的に、カーペット、および衣服、張替え、テント、日よけ等において使用される生地を含む任意の繊維状材料が、当業者に周知の方法により組成物(a)でコーティング、含浸、または別様に処理され得る。好適な生地は、織物、不織物、または編物を問わず、また天然、合成または再生を問わず、布、糸およびブレンドを含む。好適な生地の例は、酢酸セルロース、アクリル、毛、綿、ジュート、麻、ポリエステル、ポリアミド、再生セルロース(レーヨン)等を含む。
【0245】
そのようなコーティングされた物品を製造するために利用可能な方法は、原則的に当該技術分野において公知であり、例えば、スプレーコーティング、エレクトロコーティング、直接コーティング、転写コーティング、濾過、およびいくつかの異なるフィルムラミネーションプロセスを含む。直接コーティング法において、組成物(a)は、適切な基板上、通常は生地上にキャストされ、その後乾燥され、場合によって、例えば温度および滞留時間または処理量の制御条件下で硬化または架橋される。これは、基板上に官能化ブロックコポリマーを含むコーティング層を提供する。コーティング層は、典型的には非微細孔性である。
【0246】
この方法において、コーティング層は、基板上に直接提供されてもよく、または、基板は、1つ以上の追加の層、例えばポリマー層をその表面上に備えてもよい。例えば、水蒸気透過性タイまたはベースコートおよび中間層が、基板表面上に存在してもよい。例えば、基板は、発泡、微細孔または親水性ポリマーの層を有する生地であってもよい。したがって、いくつかのコーティング層(および/またはフィルム層)を有する多層コーティングが提供される。いくつかの実施形態において、官能化ブロックコポリマーを含むコーティング層が、最外層として提供される。
【0247】
転写コーティング法において、組成物(a)は、除去可能な剥離基板、例えば剥離紙上にキャストされ、次いで乾燥および場合によって硬化されて、剥離基板上にフィルムまたは膜を提供する。フィルムまたは膜は、典型的には非微細孔性である。剥離基板は、例えば、シリコン処理紙またはブランケットである。フィルムもしくは膜は、さらなる使用の前にこの形態で保存および/もしくは輸送されてもよく、または、保存もしくは使用前に剥離基板が除去されてもよい。
【0248】
次いで、フィルムまたは膜は、典型的には、熱エネルギーを使用して、または接着剤の層を使用することにより基板材料に結合され得る。接着剤の層は、フィルムもしくは膜、または基板材料、またはその両方に塗布されてもよい。接着剤層は、連続的または不連続的であってもよく、典型的には、発泡、微細孔または親水性ポリマー調合物を含む。剥離基板は、フィルムまたは膜の材料への塗布前または塗布後に除去される。
【0249】
上記の様式で、直接コーティング層および多層コーティングが生成され得る。例えば、材料に塗布されるフィルムは、事前に形成された多層フィルムであってもよく、および/または、本開示のフィルムの塗布前に追加の層が材料上に存在してもよい。これらの追加の層は、水蒸気透過性タイまたはベースコートおよび中間層であってもよい。したがって、多層フィルム、ならびに複数フィルム層(および/またはコーティング層)でコーティングされた材料が提供される。典型的には、本開示のポリマーを含むフィルム層が、最内層として提供される。
【0250】
本開示によるコーティングを含む1つ以上の内層と、従来のより疎水性の低い層との組合せは、異方性となり得、また水蒸気耐性に対する水蒸気流の方向性効果を示し得る。この効果は、二層および多層系において最も明らかであり、この効果の大きさは、材料の全体的通気性に関して顕著である。蒸気流がまず本開示によるフィルムを通して生じる場合、相乗効果が観察され得、これは、複合材に対する予測よりも低い水蒸気耐性の値をもたらす。逆に、まずより疎水性の低い層を通して生じる蒸気流は、本開示によるコーティングを含む層に対する弱体化効果を有し得、これは、予測よりも高い水蒸気耐性の値をもたらす。この水蒸気流に対する追加的な制御機能は、多層フィルム、コーティングされた布等の他の材料、および衣料品等の最終製品の設計に有益に組み込むことができる。
【0251】
5.官能化ブロックコポリマーの特性
官能化ブロックコポリマーを含む膜の重要な特徴は、そのような膜がアニオンを選択的に輸送することである。これに関して、本明細書において開示された膜は、例えばUS7,737,224において開示されているような、カチオンを輸送するスルホン化ブロックコポリマーを含む膜を補完する。
【0252】
アニオンおよびカチオン交換膜両方を組み合わせて含む用途において、異なる膜が、例えば寸法安定性、強度、柔軟性等の特性において同様であることが重要である。本明細書において開示された膜は、例えばUS7,737,224に記載のようなスルホン化ブロックコポリマーを含むカチオン選択膜に対する必要な類似性を有することが判明している。
【0253】
膜の硬さおよび柔軟性は、1つ以上の軟質Bブロックの量の量に対するAおよびDブロックのスチレン含量のバランスを取ることにより容易に調節され得る。スチレンの量が増加すると、官能化ブロックコポリマーはより硬くなり、より柔軟性ではなくなる。一方、ブロックBの量が増加すると、官能化ブロックコポリマーはより可鍛性および柔軟性となる。
【0254】
官能化ブロックコポリマーの構造を調節することにより、驚異的な湿潤強度、膜を介した十分に制御された高い水および/またはアニオン輸送速度、有機および非極性液体およびガスに対する卓越したバリア特性、調整可能な柔軟性および弾性、制御された弾性係数、ならびに酸化および熱安定性を有する膜を生成することができる。膜は、メタノール輸送に対する良好な耐性およびメタノールの存在下での特性の良好な保持を有することが予測される。
【0255】
これらの膜は架橋されていないため、膜は、それらを溶媒中に再溶解し、得られた溶液を再キャストすることにより、再成形または再処理され得、それらはまた、様々なポリマー溶解プロセスを使用して再使用または再成形され得る。
【0256】
本開示による官能化ブロックコポリマーは、100psiを超える、好ましくは500psiを超えるASTM D412に従う湿潤引張強度、および100重量%未満の膨潤性を有する。
【0257】
本発明の官能化ブロックコポリマーは、典型的には、500psiを超える、多くの場合約1000psiの湿潤引張強度を有する。さらに、本発明の官能化ブロックコポリマーは、0.3を超える、乾燥引張強度に対する湿潤引張強度の比率を有する。
【0258】
6.官能化ブロックコポリマーの用途
官能化ブロックコポリマーは、コポリマー特性に悪影響を及ぼさない他の構成成分とともに配合されてもよい。官能化ブロックコポリマーは、オレフィンポリマー、スチレンポリマー、親水性ポリマーおよびエンジニアリング熱可塑性樹脂を含む多様な他のポリマーと、イオン流体、天然油、香料等のポリマー液体および他の流体と、ならびにナノクレイ、炭素、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の充填剤、およびタルク、シリカ等の従来の充填剤とブレンドされてもよい。
【0259】
さらに、官能化ブロックコポリマーは、Kraton Polymers LLCから入手可能なスチレンブロックコポリマー等の従来のスチレン/ジエンおよび水素化スチレン/ジエンブロックコポリマーとブレンドされてもよい。例示的なスチレンブロックコポリマーは、直鎖状S−B−S、S−I−S、S−EB−S、S−EP−Sブロックコポリマーを含む。また、イソプレンおよび/またはブタジエンと共にスチレンに基づく放射状ブロックコポリマー、ならびに選択的水素化放射状ブロックコポリマーも含まれる。特に有用なのは、官能化ブロックコポリマーに対応する、前駆体ブロックコポリマー、または非官能化、非ハロゲン化ブロックコポリマーとのブレンドである。
【0260】
オレフィンポリマーは、例えば、エチレンホモポリマー、エチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン/アルファ−オレフィンコポリマー、高衝撃耐性ポリプロピレン、ブチレンホモポリマー、ブチレン/アルファ−オレフィンコポリマー、および他のアルファ−オレフィンコポリマーまたはインターポリマーを含む。代表的なポリオレフィンは、例えば、これらに限定されないが、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度または極低密度ポリエチレン(ULDPEまたはVLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)および高圧低密度ポリエチレン(LDPE)を含む、実質的に直鎖状のエチレンポリマー、均一に分岐した直鎖状エチレンポリマー、不均一に分岐した直鎖状エチレンポリマーを含む。本明細書において含まれる他のポリマーは、エチレン/アクリル酸(EAA)コポリマー、エチレン/メタクリル酸(EMAA)アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル(EVA)コポリマー、エチレン/ビニルアルコール(EVOH)コポリマー、エチレン/環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマー、プロピレン/スチレンコポリマー、エチレン/プロピレンコポリマー、ポリブチレン、エチレン一酸化炭素インターポリマー(例えば、エチレン/一酸化炭素(ECO)コポリマー、エチレン/アクリル酸/一酸化炭素ターポリマー等)である。本明細書において含まれるさらに他のポリマーは、ポリ塩化ビニル(PVC)およびPVCの他の材料とのブレンドである。
【0261】
スチレンポリマーは、例えば、結晶ポリスチレン、高衝撃耐性ポリスチレン、中衝撃耐性ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン(ABS)ポリマー、シンジオタクチックポリスチレン、スルホン化ポリスチレン、スルホン化スチレンブロックコポリマー、およびスチレン/オレフィンコポリマーを含む。代表的スチレン/オレフィンコポリマーは、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは25重量%以上の共重合スチレンモノマーを含有する、実質的にランダムなエチレン/スチレンコポリマーである。それに対応して、代表的なスルホン化スチレンブロックコポリマーは、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは25重量%以上のブロック共重合スチレンモノマーを含有する。スルホン化ポリスチレンおよびスルホン化スチレンブロックコポリマーのスルホン化度は、ポリマー鎖当たり1つのスルホン酸基から、スチレンポリマー単位当たり1つのスルホン酸基の範囲であってもよい。
【0262】
親水性ポリマーは、酸との相互作用に利用可能な電子対を有するものとして特徴付けられるポリマー塩基を含む。そのような塩基の例は、例えばポリエチレンアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルピリデン等のポリマーアミン;例えばポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ABS、ポリウレタン等の窒素含有材料のポリマー類似体;ポリマーエーテル、エステル、およびアルコール等の酸素含有化合物のポリマー類似体;ならびに、例えばポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール等のグリコール、ポリテトラヒドロフラン、エステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、脂肪族ポリエステル等を含む)およびアルコール(ポリビニルアルコールを含む)、多糖類、およびデンプンと組み合わされた場合の酸−塩基水素結合相互作用を含む。使用され得る他の親水性ポリマーは、スルホン化ポリスチレンを含む。
【0263】
イオン液体等の親水性液体は、本発明のポリマーと組み合わされて、膨潤導電性フィルムまたはゲルを形成し得る。US5,827,602およびUS6,531,241に記載のもの等のイオン液体は、事前にキャストされた膜を膨潤させることにより、または膜をキャストする前、フィルムをコーティングする前または繊維を形成する前に溶媒系に添加することにより、官能化ブロックコポリマー内に導入されてもよい。
【0264】
追加構成成分として使用され得る例示的材料は、限定されることなく、(1)顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ろう、および流動促進剤;(2)微粒子、充填剤および油;ならびに(3)組成物の加工性および取り扱いを向上させるために添加される溶媒および他の材料を含む。
【0265】
顔料、酸化防止剤、安定剤、界面活性剤、ろうおよび流動促進剤は、官能化ブロックコポリマーと組み合わされて使用される場合、組成物の総重量を基準として10重量%まで(この濃度を含む)の量、すなわち0%から10%までの量で含まれてもよい。これらの構成成分の任意の1つ以上が存在する場合、それらは、約0.001重量%から約5重量%、より好ましくは約0.001重量%から約1重量%の量で存在してもよい。
【0266】
微粒子、充填剤および油は、組成物の総重量を基準として50重量%まで(この濃度を含む)の量、すなわち0%から50%の量で存在してもよい。これらの構成成分の任意の1つ以上が存在する場合、それらは、約5重量%から約50重量%、好ましくは約7重量%から約50重量%の量で存在してもよい。
【0267】
組成物の加工性および取り扱いを向上させるために添加される溶媒および他の材料の量は、多くの場合において、調合される特定の組成物、ならびに添加される溶媒および/または他の材料に依存することが、当業者に理解される。典型的には、そのような量は、組成物の総重量を基準として50%を超えない。
【0268】
本明細書に記載の官能化ブロックコポリマーは、様々な用途および最終使用において使用され得、その特性プロファイルによって、官能化ブロックコポリマーは、水中に浸された場合の高い弾性率、良好な湿潤強度、良好な寸法安定性、良好な水およびイオン輸送特性、良好なメタノール耐性、容易なフィルムまたは膜形成、良好なバリア特性、制御された柔軟性および弾性、調節可能な硬さ、ならびに熱/酸化安定性を必要とする用途における材料として特に適したものとなる。
【0269】
本発明の一実施形態において、官能化ブロックコポリマーは、電気化学的用途、例えば燃料電池または酸化還元フローセル(セパレータ相)、燃料電池および酸化還元フローセルのアニオン交換膜、燃料電池、水電解槽(電解質)、酸バッテリー(電解質セパレータ)、スーパーキャパシタ(電解質)、金属回収プロセス用の分離セル(電解質バリア)、センサ(特に湿度感知用)等のためのものを含む電極アセンブリにおける使用のためのポリマーセメント内の金属含浸炭素粒子の分散において使用され得る。官能化ブロックコポリマーはまた、パーベーパレーションまたは脱塩膜として、および多孔質膜上のコーティングにおいて使用される。ガス輸送におけるその選択性によって、官能化ブロックコポリマーは、ガス分離用途に有用となる。さらに、官能化ブロックコポリマーは、防護服および通気性布地用途において使用されてもよく、膜、コーティングされた布、および貼り合わせた布は、様々な環境要素(風、雨、雪、化学的作用物質、生物学的作用物質)からの保護のバリアを提供し得ると共に、膜または布の片側から他方側に急速に水を移動させるその能力の結果として、ある快適性レベルを提供し得る、例えば発汗による水分を着用者の皮膚表面から膜もしくは布の外側に、またはそれとは逆に逃がすことを可能にする。そのような膜および布から作製された完全封止衣服は、煙、化学物質流出、または様々な化学的もしくは生物学的作用物質への曝露が考えられる緊急の現場において第1の応答者を保護し得る。生物学的危害への曝露の危険性がある医療用途、特に手術においても同様の必要性が生じる。これらの種類の膜から作られた手術用手袋およびドレープは、医療環境において有用となり得る他の用途である。これらの種類の膜から作られた物品は、四級化S−EB−Sブロックコポリマーが抗菌活性を有することを開示しているVinodhら、J. Biosci. Tech.、1(1)、45−51(2009)により報告されたように、抗細菌および/または抗ウイルスおよび/または抗菌特性を有し得る。個人衛生用途において、発汗による水蒸気を輸送すると共に、他の体液の漏出に対するバリアを提供しつつ、湿潤環境における強度特性を維持する、本発明の膜または布が有利である。おむつおよび成人用失禁構造物におけるこれらの種類の材料の使用は、既存の技術に対する改善となる。
【0270】
したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の官能化ブロックコポリマーは、湿潤または水中環境において使用される水蒸気輸送膜用の材料として特に使用される。そのような膜は、例えば、燃料電池、濾過デバイス、湿度を制御するためのデバイス、正電気透析用デバイス、逆電気透析用デバイス、浸透圧発電用デバイス、正浸透用デバイス、逆浸透用デバイス、水を選択的に添加するためのデバイス、水を選択的に除去するためのデバイス、電気吸着脱イオン用デバイス、分子濾過用デバイス、水から塩を除去するためのデバイス、水圧破砕用途からの生成水を処理するためのデバイス、イオン輸送用途のためのデバイス、水の軟化のためのデバイス、およびバッテリーにおいて有用である。
【0271】
いくつかの実施形態において、官能化ブロックコポリマーは、少なくとも1つのアノード、少なくとも1つのカソードおよび1つ以上の膜を備える電気脱イオンアセンブリ用の膜において、特に有利に使用される。電気脱イオンアセンブリは、特に、脱塩セルを含む。脱塩セルの例示的な描写は、図4に記載されている。
【0272】
電気駆動脱塩用途において有用となるためには、負に帯電した電極に引き付けられるイオンを輸送するために、カチオンを輸送する膜が必要である。この膜は、アニオンを排除しなければならない(カチオン膜)。各セルはまた、正に帯電した電極の方向にアニオンを輸送する膜(アニオン膜)を必要とする。アニオン膜はカチオンを輸送しないことが重要であり、これらのデバイスにおける電気の効率的使用には、アニオンに対する高レベルの選択性が重要である。電気的特性においてカチオン膜に十分に適合していることに加えて、アニオン膜はまた、機械的特性においても同様にカチオン膜と同様でなければならない。
【0273】
いくつかの実施形態において、官能化ブロックコポリマーを含む膜は、アニオン膜として特に適している。具体的用途において、官能化ブロックコポリマーを含むアニオン膜は、少なくとも1つのカチオン膜と有利に対となり得る。
【0274】
官能化ブロックコポリマーを含むアニオン膜と対となるのに適している具体的なカチオン膜は、少なくとも2つのポリマー末端ブロックEおよび少なくとも1つのポリマー内部ブロックFを含むスルホン化ブロックコポリマーを含むカチオン交換膜であり、各Eブロックは、スルホン酸またはスルホン化エステル官能基を本質的に含有せず、各Fブロックは、スルホン化され易いポリマー単位を含み、スルホン化され易いポリマー単位の数を基準として、約10mol%から約100mol%のスルホン酸またはスルホン酸エステル官能基を含む。そのようなカチオン交換膜は、好ましくは、US7,737,224において一般的および具体的に説明されるようなスルホン化ブロックコポリマーを含む。
【実施例】
【0275】
7.実施例
以下の実施例は、例示のみを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意図せず、またそのように解釈されるべきではない。
【0276】
a.材料および方法
乾燥状態における引張係数は、ASTM D412に従って測定した。
【0277】
本明細書に記載のような湿潤状態における引張係数は、試験前に水中で24時間の期間平衡化され、試験のために完全に水中に沈められた試料を使用して、ASTM D412による方法と同様に測定した。
【0278】
全ての引張データは、温湿度が調節された室内で、74°F(23.3℃)および50%相対湿度で収集された。
【0279】
本明細書に記載のようなWVTRは、ASTM E96/E96Mと同様に測定した。ASTM法は、より小さいバイアルを使用し、10mlの水を使用し、160mm(ASTM法による1000mmと対照的に)の曝露膜面積を有することで修正された。水を添加し、バイアルを膜試験片で封止した後、バイアルを反転し、25℃の温度および50%の相対湿度を有する空気を膜に吹き付けた。時間に対して重量損失を測定し、測定値に基づいて、水輸送速度をg/mとして、または試験膜の厚さに対して正規化した場合にはg×mil/mとして計算した。
【0280】
本明細書に記載され、滴定により決定されるようなスルホン化度は、以下の電位差滴定手順に従って測定した。中和されていないスルホン化反応生成物溶液を、2回の別個の滴定(「2回滴定法」)により分析して、スチレンポリマースルホン酸、硫酸、および非ポリマー副生成物スルホン酸(2−スルホイソ酪酸)のレベルを決定した。各滴定において、約五(5)グラムの反応生成物溶液のアリコートを、約100mLのテトラヒドロフラン中に溶解し、約2mLの水および約2mLのメタノールを添加した。第1の滴定において、溶液をメタノール中0.1Nのシクロヘキシルアミンで電位差滴定すると、2つの終点が得られ、第1の終点は、試料中の全てのスルホン酸基および硫酸の第1の酸性プロトンに対応し、第2の終点は、硫酸の第2の酸性プロトンに対応していた。第2の滴定において、溶液を約3.5:1のメタノール:水中0.14Nの水酸化ナトリウムで電位差滴定すると、3つの終点が得られ、第1の終点は、試料中の全てのスルホン酸基ならびに硫酸の第1および第2の酸性プロトンに対応し、第2の終点は、2−スルホイソ酪酸のカルボン酸に対応し、第3の終点は、イソ−酪酸に対応する。
【0281】
第1の滴定における硫酸の第2の酸性プロトンの選択的検出と共に、第2の滴定における2−スルホイソ酪酸のカルボン酸の選択的検出によって、酸構成成分濃度を計算することができた。
【0282】
本明細書に記載のような、およびH−NMRにより決定されるようなスルホン化度は、以下の手順を使用して測定した。約二(2)グラムの中和されていないスルホン化ポリマー生成物溶液を、数滴のメタノールで処理し、50℃の真空炉内で約0.5時間乾燥させることにより、溶媒を取り除いた。30mgの乾燥ポリマーの試料を、約0.75mLのテトラヒドロフラン−d8(THF−d8)中に溶解し、次いでこれに濃HSOの一部の液滴を添加して、その後のNMR分析において干渉性の不安定なプロトンシグナルを芳香族プロトンシグナルから下にシフトさせた。得られた溶液を、H−NMRにより約60℃で分析した。スチレンスルホン化のパーセンテージを、スルホン化スチレン単位に対する芳香族プロトンの半分に対応する7.6パーツパーミリオン(ppm)におけるH−NMRシグナルの積分から計算したが、そのような芳香族プロトンの残りの半分に対応するシグナルは、非スルホン化スチレン芳香族プロトンおよびtert−ブチルスチレン芳香族プロトンに対応するシグナルと重複していた。
【0283】
スルホン化ブロックコポリマーの本明細書に記載のようなイオン交換能は、上述の電位差滴定法により決定し、スルホン化ブロックコポリマーのグラム当たりのスルホン酸官能基のミリ当量(meq.)として報告した。
【0284】
本明細書に記載のような官能化度は、H−NMRまたはIR分光法により決定され得る。
【0285】
官能化ブロックコポリマーの本明細書に記載のようなポリマーのグラム当たりのmeq.でのイオン交換能は、官能化度を、官能化ブロックコポリマーの数平均分子量で除したものに基づいて計算され得る。
【0286】
面積抵抗は、直流(DC)測定により、または交流(AC)測定により決定され得る。DCにより測定される抵抗は境界層効果を含むため、DCにより測定される抵抗は、典型的にはACにより測定される抵抗より高い。境界層効果は、実際には常に存在するため、DC法からの抵抗データは、実際の性能をより厳密に表す。
【0287】
図1に示されるような構成を使用して、直流法により膜抵抗を測定した。膜あり、または膜なしで、ハーバー−ルギン毛細管の間の電位降下を電流密度の関数として測定した。抵抗は、電圧対電流の傾きから決定した。膜抵抗を得るために、膜なしでの抵抗を、膜ありでの抵抗から差し引いた。図2は、膜抵抗を得る方法を示している。膜抵抗は、傾きの差である。
【0288】
膜面積抵抗は、厚さに依存する。したがって、厚さの異なる膜の面積抵抗は比較できない。真の膜抵抗を得るために、膜導電率がしばしば使用される。膜導電率は、膜厚を膜面積抵抗で除すことにより計算した。
【0289】
「真の」膜選択透過性は、電気透析システムを通過する流れの量を測定することによる、濃縮および希釈溶液の両方のイオン濃度変化の測定に基づくべきである。しかしながら、この方法は時間を要する。
【0290】
代替の方法は、「見かけの」選択透過性を測定することであり、これは、異なる濃度の2つの電解質溶液を分離している膜にわたる電位勾配の測定に基づく。見かけの選択透過性は、境界層効果を考慮しないため、実際の選択透過性よりも常に高いことが指摘するに値する。しかしながら、差は一般的に小さい。実験構成は、図3に概略的に示されている。
【0291】
異なる濃度の2つの電解質溶液の間の電位、すなわち膜電位(φ)を、電圧計を使用して測定した。膜電位(φ)は、以下の等式により表現され得る。
【0292】
【数1】
式中、Tcouは、対イオンの膜輸送数であり、a1およびa2は、2つのKCl溶液の活量であり、Rは、気体定数であり、Tは、温度であり、Fは、ファラデー定数である。厳密に選択透過性の膜(Tcouが1である)では、膜電位は以下の通りとなる。
【0293】
【数2】
【0294】
膜の見かけの選択透過性(Ψ)は、KCl溶液中で測定した場合、以下の等式により与えられる:
【0295】
【数3】
上記の例において、膜の片側は0.1M KClであり、膜の他方側は0.5M KClであり、φm,spは36.2mVである。したがって、膜の見かけの選択透過性は、以下の式に従って計算され得る:
【0296】
【数4】
当然ながら、他の溶液および濃度もまた使用され得る。しかしながら、異なる濃度に対して、また溶液中でのイオン移動度の差に対して補正を行う必要がある。
【0297】
塩の透過性を測定するための実験構成を、図4に示す。膜は、2つのセル、すなわちドナーセルと受容セルとの間に挟まれていた。実験の開始時に、ドナーセルは既知の濃度の塩溶液を含有し、受容セルは純粋な水を含有していた。塩がドナーセルから受容セルに向けて膜を透過するにつれて、受容セル内の塩濃度が増加したが、これは経時的に導電率プローブにより監視された。
【0298】
塩の透過性は以下の等式から導出することができるが、式中、Pは、塩の透過性であり、tは、時間であり、Vは、セルの体積であり、δは、膜厚であり、Aは、膜表面積であり、c[0]は、ドナーセル内の開始時塩濃度であり、c[t]は、受容セル内の試験時間にわたる塩濃度である。
【0299】
【数5】
いくつかの膜において、Pは、開始時塩濃度(c[0])に依存し、したがって、c[0]は、しばしばPと共に報告される。本明細書において報告される試験において、c[0]は2000ppm NaClであった。
【0300】
以降で説明される実験および調査において使用された以下の溶媒および化学薬品は、Sigma−Aldrichから得られた:シクロヘキサン(#227048)、ヘプタン(#246654)、トルエン(#244511)、1−プロパノール(#402893)、テトラヒドロフラン(THF;#186562)、酢酸(99.7%;#320099)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc;#271012)、メチルエチルケトン(MEK;#360473)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF;#227056)、アセトニトリル(#271004)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO;#D27802)、25重量%トリメチルアミン溶液(#W324108)、テトラフルオロホウ酸ナトリウム(NaBF;#202215)、p−トルエンスルホン酸一水和物(#402885)、およびキシレン(#214736)。アセトンは、VWRから得られた(#BDH2025)。
【0301】
別段の指定がない限り、以下で溶媒系に対して示された溶媒比は、体積比である。
【0302】
b.調製例
実施例1:選択的ハロゲン化ブロックコポリマー(P1.II)の調製
出発材料は、一般構成A−B−D°−B−A(式中、AおよびAのそれぞれは、約11,000g/モルのスチレン当量分子量のゲル透過の結果に基づく推定される真の分子量を有する重合tert−ブチルスチレン(tBS)のブロックであり、BおよびBは、それぞれ約13,500g/モルおよび約13,800g/モルの推定される真の分子量を有する水素化イソプレン(EP)のブロックであり、D°は、約21,000g/モルの推定される真の分子量を有するパラ−メチルスチレン(pMS)のブロックである)を有するブロックコポリマー(P1.III)であった。
【0303】
ブロックコポリマーP1.IIIを、テトラクロロメタン(CCl)中に溶解し、100mlのCCl当たり1.2gのP1.IIIの濃度を有する溶液を得た。酸素不含雰囲気中で、溶液を撹拌しながら70℃まで加熱した。N−ブロモスクシンイミド(NBS;pMSポリマー単位のモル当たり1.8モル)およびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN;pMSポリマー単位のモル当たり0.09モル)を、加熱された溶液に添加し、得られた混合物を、還流下で約1.5時間撹拌および加熱した。同じ量のNBSおよびAIBNの第2の添加を行い、続いて還流下でさらに3時間加熱した。まず約50%のCClを留去し、その後10倍過剰(体積で)のメタノールを添加することにより、臭素化ポリマー(P1.II)を沈殿させた。真空濾過により沈殿物を回収し、2体積等量のメタノールで洗浄することにより精製した。H−NMRにより決定されるように、臭素化ポリマー(P1.II)の臭素化度は70%であった。
【0304】
実施例2:選択的ハロゲン化ブロックコポリマー(P2.II)の調製
実施例1のブロックコポリマーP1.IIIを、CClに溶解し、100mlのCCl当たり1.4gのP1.IIIの濃度を有する溶液を得た。窒素雰囲気中で、溶液を撹拌および70℃に加熱した。70℃で、NBS(pMSポリマー単位のモル当たり1.0モル)およびAIBN(pMSポリマー単位のモル当たり0.05モル)を添加し、得られた混合物を、還流下で4時間撹拌および加熱した。実施例1に記載の様式で、臭素化ポリマー(P2.II)を沈殿および回収した。H−NMRにより決定されるように、臭素化ポリマー(P2.II)の臭素化度は56.9%であった。
【0305】
実施例2B:選択的ハロゲン化ブロックコポリマー(P6.II)の調製
出発材料として代替のブロックコポリマーを使用して、上で概説された手順を繰り返し、様々な代替の溶媒および溶媒ブレンド、ならびに異なる出発ポリマー濃度を使用するように、臭素化反応条件を調節した。これらの実験において、出発材料は、一般構成A−B−D°−B−A(式中、Aは、15,000g/モルの推定される真の分子量を有する重合tert−ブチルスチレンのブロックであり、Aは、約18,000g/モルの推定される真の分子分子量を有する重合tert−ブチルスチレン(tBS)のブロックであり、BおよびBは、約13,000の推定される真の分子量を有する水素化イソプレン(EP)のブロックであり、D°は、約16,000の推定される真の分子量を有するパラ−メチルスチレン(pMS)のブロックである)を有するブロックコポリマー(P6.III)であった。
【0306】
代表的な実験において、機械式撹拌器を備える1リットルの丸底フラスコ内で、15.1gのベースブロックコポリマーP6.IIIを、400mlのクロロベンゼン中に溶解した。撹拌された反応混合物を通して窒素流をパージし、酸素を除去した。十分に撹拌された反応槽を、70℃に加熱した。臭素化剤(2.4gのNBS)を、撹拌しながら反応槽に添加した。臭素化剤が溶解したら、十分に撹拌された槽に促進剤(0.12gのAIBN)を添加し、反応内容物を70℃に維持した。63分の反応後、NBSの第2のアリコート(2.4g)を槽に添加した。NBSが溶解したら、AIBNの追加のアリコート(0.12g)を同様に添加した。123分の反応時間後、NBSの第3のアリコート(2.4g)を槽に添加した。NBSが溶解したら、AIBNの追加のアリコート(0.12g)を同様に添加した。183分の反応後、NBSの第4のアリコート(2.4g)を槽に添加した。NBSが溶解したら、AIBNの追加のアリコート(0.12g)を同様に添加した。244分の反応後、NBSの第5のアリコート(2.4g)を槽に添加した。NBSが溶解したら、AIBNの追加のアリコート(0.12g)を同様に添加した。307分の反応後、NBSの第6の最後のアリコート(2.4g)を槽に添加した。NBSが溶解したら、AIBNの追加のアリコート(0.12g)を同様に添加した。70℃で357分の全反応時間後、溶液を室温まで冷却した。過剰のアルコール中での凝固により、反応生成物を固体として回収した。固体を濾過により収集し、乾燥させ、秤量した(18gの臭素化ポリマー生成物)。臭素化ポリマー生成物P.6.II(b)(ポリマー生成物の指定については、以下の表を参照されたい)の単離収率は、95重量%超であった。フーリエ変換赤外分析FTIRによる分析では、生成物が臭素化されたことが判明した。プロトン核磁気共鳴技術H−NMRを使用した定量分析では、ブロックコポリマーのp−メチルスチレンセグメントのメチル部位の74mol%が臭素化されたことが判明した。
【0307】
上で概説された反応技術を使用して、各種溶媒および様々な出発ポリマー濃度でP6.IIIを臭素化した。これらの実験において、ポリマーP6.IIIに対する臭素化剤およびプロモーターの重量比は、本質的に一定に保持された。これらの実験の結果は、以下の表に要約されている。
【0308】
H−NMRにより決定されるように、臭素化ポリマーP6.II(a)から(h)の臭素化度は、表1に示される。
【0309】
【表1】
【0310】
この表中のデータにより反映されるように、非ハロゲン化溶媒が臭素化反応に効果的に使用され得る。非ハロゲン化溶媒は環境上の理由から好ましいため、これは有利である。さらに、臭素化反応において使用されるポリマーの濃度は、臭素化化学の結果に悪影響を及ぼすことなく増加され得る。臭素化ポリマーの製造コストは、反応媒体中のポリマーの濃度に逆相関すると推測され得るため、この結果は重要である。
【0311】
実施例2C:選択的ハロゲン化ブロックコポリマー(P7.II)の調製
同じ溶媒(CCl4)、濃度(1重量%)、および臭素化レベルを含めて、ブロックポリマーP6.IIIを臭素化してP6.II(a)を生成するための臭素化プロセスと同じプロセスを使用したが、但し、実験室サイズのプロセスから、100gのポリマーを使用したより大規模なプロセスへとプロセスを拡張し、ブロックコポリマーP7.IIを得た。
【0312】
実施例3:トリメチルアミン官能化ブロックコポリマー(P1.I)の調製および調査
実施例1の選択的臭素化ブロックコポリマーP1.IIのトルエン中28重量%の溶液を、室温でシリコン処理基板上に手作業でキャストした。窒素パージ下で乾燥させた後、3〜5ミルの範囲内の厚さの膜が得られた。膜をいくつかの片に切断し、片をガラス製試料瓶内に入れた。水中25重量%のトリメチルアミン溶液約180mLを、膜片を含有する試料瓶に加え、膜片を溶液中に浸漬した。試料瓶を密閉し、60℃の炉内に約6時間入れ、その後室温(約25℃)まで冷却した。室温で約2日後、膜片を脱イオン(DI)水で3回洗浄した。1日後、洗浄後の溶液のpHは塩基性(pH=8.5〜9.0)であり、膜片をさらに2回洗浄して、中性pHを得た。膜片の一部を輸送性能に関して試験し、一方他の片を溶解試験において使用した。
【0313】
試験された膜電位は、15.5mVであることが判明し、計算された選択透過性は43.7%、およびNaCl透過性は1.5×10−6cm/秒であった。
【0314】
いくつかの膜片を周囲条件下で空気乾燥させ、溶解試験のために以下の溶媒および溶媒系に別個に投入した:(a)トルエン、(b)1−プロパノール、(c)テトラヒドロフラン(THF)、(d)酢酸(99.7%)、(e)水中の酢酸(約80%)、(f)トルエン/1−プロパノール(1/1)、(g)トルエン/N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(3/1)、(h)トルエン/DMAc(1/1)、(i)アセトン、(j)アセトン/水(1/1)、(k)キシレン、(l)トルエン/1−プロパノール(4/1)、(m)トルエン/DMAc(7/3)、(n)シクロヘキサン、(o)メチルエチルケトン(MEK)、(p)N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、(q)トルエン/DMF(1/1)、および(r)アセトニトリル。溶媒および溶媒系のいずれにおいても、膜片の溶解は観察されなかった。
【0315】
調査により、トリメチルアミン官能化ブロックコポリマーP1.Iは、驚くべきことに、膜輸送性能に関して試験された場合独特の特性を有し、またさらに試験された化学薬品のいくつかに対して顕著な耐薬品性を有することが示された。
【0316】
実施例3B:トリメチルアミン官能化ブロックコポリマー(P6.I)の調製および調査
P6.II(a)−(h)の臭素化誘導体を、以下の手順に従い官能化した。ポリマーを28重量%固形分でトルエン中に溶解し、ポリマーが完全に溶解するまで、ローラー上に2〜4時間設置した。厚い均一キャストフィルムを得るために、調節可能なブレードを50マイクロメートルに設定して、溶液からフィルムをキャストした。フィルムを3”×3”の片に切断し、H2O中25重量%のTMAの瓶内に一晩設置した。プロセスは、ドライボックス内で行った。次いでフィルムを溶液から除去し、吸収性のワイプで押さえて水分を取り、ドライボックス内で一晩乾燥させた。乾燥したら、フィルムは、透過性、選択透過性、吸水および機械的強度試験の準備が整った。これらの実験の結果は、以下の表2および3に要約されている。
【0317】
【表2】
【0318】
【表3】
【0319】
P1.Iに関して述べたのと同様に、トリメチルアミン官能化ブロックコポリマーは全て、透過性の結果に反映されているように、塩素アニオンを輸送するための驚異的に高い能力を有していた。選択されたポリマーに対する引張試験では、これらの材料がまた著しく強く丈夫であることが実証された。吸水値に反映されているように、これらの膜は、水に対する高い親和性を有していた。
【0320】
実施例4:トリメチルアミン官能化ブロックコポリマー(P2.I)およびDABCO官能化ブロックコポリマー(P3.I)の調製および調査
実施例1の選択的臭素化ブロックコポリマーP1.IIのトルエン中5重量%の溶液を調製した(溶液1)。
【0321】
1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)の水中25重量%の溶液を調製し、溶液1の第1のポーションに等しい重量比で添加し、試料1を得た。それに応じて、水中25重量%のトリメチルアミン溶液を溶液1の第2のポーションに等しい重量比で添加し、試料2を得た。
【0322】
試料1および2を室温で7時間低速シェーカーに設置し、次いで8日間静置した。それぞれの場合において、溶液は、明確な層に相分離した。1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、DABCOを含有する試料1は、2つの層に分離し、一方トリメチルアミンを含有する試料2は、3つの層に分離したが、試料2の最上層は、単離するのに十分な液体または分離を含有しなかった。
【0323】
次いで、各層を透明顕微鏡スライドガラス上に滴下し、ドラフト内で周囲条件下で試料を乾燥させることにより、ドロップキャスティングを行った。2日後、ドロップキャスティングしたスライドガラスを、50℃で約5時間真空炉内に設置し、さらに乾燥させた。次いで、スライドの全てを別個に脱イオン(DI)水中に浸漬して、残留するアミンを排除し、その後50℃で約8時間真空炉内で再び乾燥させた。
【0324】
スライドガラス上のドロップキャストフィルムを、以下の溶媒および溶媒系に室温で一晩、別個に浸漬した:(a)1−プロパノール、(b)トルエン、(c)シクロヘキサン、(d)トルエン/1−プロパノール(1/1)、(e)トルエン/N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(3/1)、および(f)テトラヒドロフラン(THF)。
【0325】
TMAを含有する試料2の2つのドロップキャストフィルムは、溶媒系(d)トルエン/1−プロパノール(1/1)中に溶解した。他のドロップキャスティングは、上記溶媒系のいずれにも溶解しなかった。
【0326】
ドロップキャストフィルムは、ポリマー、トルエン、および各アミン溶液を含有する溶液から成功裏に作製され、ドロップキャストフィルムの2つは再溶解可能であった。調査では、選択的ハロゲン化ブロックコポリマーが、フィルムキャストの前の溶液中で官能化ブロックコポリマーに変換可能であることが示されている。また、調査では、同じく、各種溶媒および溶媒系に対する官能化ブロックコポリマーからキャストされた膜の驚異的な耐薬品性が示された。
【0327】
DABCO試薬は、等しい反応性の2つのアミン中心を含有するため(それらは構造的に同一である)、この試薬との反応によるフィルムは、イオンミクロ相内で共有結合的に架橋していると推測するのが妥当である。隣接するポリマー鎖上の臭化物中心の変位は、単一のDABCO中心により連結された2つの四級アンモニウムイオン種の形成をもたらし、このようにしてポリマー鎖は共有結合的に架橋される。
【0328】
実施例5:DABCO官能化ブロックコポリマー(P4.I)の調製および調査
実施例1の選択的臭素化ブロックコポリマーP1.IIを膜にキャストし、実施例3に記載のように膜を片に切断して乾燥させた。膜片を、DABCOの水中25重量%の溶液中に室温で沈めた。試料を室温で3日間静置したが、初日には7時間低速振盪した。その後、膜片を脱イオン(DI)水で4回洗浄し、次いで週末にかけてDI水中に浸漬した。次いで、浸漬した膜片を50℃で約5時間、真空炉内で乾燥させた。
【0329】
乾燥膜の片を(a)トルエン/1−プロパノール(1/1)および(b)アセトニトリル中に投入した。溶解は観察されなかったが、この結果は架橋ポリマー系において推測されるものである。乾燥膜の別の片を、トルエン/1−プロパノール(1/1)の第2のバッチに投入したが、この場合も溶解しなかった。トルエン/1−プロパノール溶媒系(a)を含有する両方の試料を、約6時間高速オービタルシェーカー上に設置したが、溶解は見られなかった。そのような架橋膜は、架橋密度が十分に高ければ溶解しない。いくつかの用途において、そのような架橋膜は、その溶媒に対する耐性のために好ましい。
【0330】
実施例6:アニオン修飾アミン官能化ブロックコポリマーの調製および調査
NaBFの水中25重量%の溶液を調製した(溶液1)。別個に、p−トルエンスルホン酸一水和物の水中25重量%の溶液を調製した(溶液2)。
【0331】
その後、実施例3に記載のP1.Iおよび実施例5に記載のP4.1と同様の真空乾燥膜の片を、溶液1(試料P1−1.Iおよび試料P4−1.I)ならびに溶液2(試料P1−2.Iおよび試料P4−2.I)の別個の部分に浸した。
【0332】
試料を室温で約2日間維持した。次いで、膜片を溶液から分離し、DI水で5回洗浄し、50℃で約5時間真空炉内で乾燥させた。
【0333】
乾燥膜片のそれぞれを、溶解試験のために以下の溶媒または溶媒系に別個に入れた:(a)シクロヘキサン、(b)トルエン、および(c)トルエン/1−プロパノール(1/1)。調査した溶媒および溶媒系のいずれにおいても、膜片の溶解は観察されなかった。驚くべきことに、NaBFおよびp−トルエンスルホン酸一水和物は、列挙された溶媒および溶媒系によるアミン官能化ブロックコポリマーの溶解特性に影響を与えなかった。
【0334】
実施例7:非水性溶媒中のDABCO官能化ブロックコポリマー(P5.I)の調製
実施例1の選択的臭素化ブロックコポリマーP1.IIをトルエンに溶解し、非水性DABCO溶液と共に使用した。固体DABCOは1−プロパノール中に容易に溶解し、等量のトルエン(トルエン/1−プロパノールは1/1であった)が溶液に添加されても可溶性を維持した。
【0335】
実施例1の選択的臭素化ブロックコポリマーP1.IIのトルエン中10重量%の溶液を調製した(溶液1)。別個に、DABCOの1−プロパノール中5重量%の溶液を調製し(溶液2)、1/1の最終溶媒比を得るように溶液1に等量で添加した。溶液2の溶液1への添加後、すぐにエマルションが形成された(試料1)。対照的に、1/1の最終溶媒比を得るように1−プロパノールを溶液1に等量で添加すると、すぐに沈殿物状の物質が形成された。
【0336】
試料1を50℃で約5時間炉内に設置したが、外見の変化は観察されなかった。いずれの場合も、エマルションおよび沈殿物は望ましい効果ではなかった。その代わり、残留量のアミンのみを有するトルエン/1−プロパノール中の溶解したポリマーを含有する均質溶液が望ましかった。
【0337】
実施例8:仮想実施例
本発明の膜を、官能性モノマーのアニオン重合により重合したポリマーから調製する。
【0338】
アニオン重合グレードの溶媒、モノマーおよびリチウムアルキル開始剤を使用して、ならびに標準アニオン重合技術を使用して、10リットルの水冷反応器内で50℃に加熱された8リットルのシクロヘキサンを、10meq.のsec−ブチルリチウム(s−BuLi;シクロヘキサン中1M溶液)で処理する。約150gのスチレンモノマーSを添加すると、約15,000g/モルの分子量(MW)の第1のポリマーブロックが得られる。重合の開始は、赤橙色への溶液の色の変化、および重合溶液の温度の穏やかな上昇により認識される。スチレンモノマーの重合の完了後、約100gのイソプレンIpを添加すると、約25,000g/molの総MWを有するリビング2ブロックコポリマーが得られる。イソプレンの重合は、溶液の色をやや黄色に変化させる。イソプレン重合が完了したら、約150のピペリジルメチル官能化スチレンモノマー(pPMS;p−クロロメチルスチレンをピペリジンと反応させることにより調製される)を添加すると、約40,000g/モルMWの全3ブロックコポリマーが得られる。官能化モノマーの添加は、リビング重合溶液の色の明確な赤色への変化を誘導する。コポリマーの第3のブロックの重合が完了したら、カップリング剤である0.4meqのテトラメトキシシランを重合溶液に添加し、反応を50℃で4時間進行させる。ゲル透過クロマトグラフィーによるポリマー生成物の分析では、ポリマー鎖の少なくとも80%がカップリングして、直鎖状5ブロックコポリマー(S−Ip−pPMS)−Si(OMe)、ならびに関連した分岐状ポリマー(S−Ip−pPMS)−SiOMeおよび(S−Ip−pPMS)−Siが得られることが示される。官能性モノマーの組み込みは、H−NMR技術を使用して定量的にアッセイされる。
【0339】
生成物溶液を、シリコン処理マイラー基板上にキャストする。溶液の揮発性構成成分の蒸発により、薄い、厚さ約1ミルの均一膜が得られる。膜は、ブロックコポリマーの官能性モノマー構成成分を含有する相、ならびにブロックコポリマーのスチレンおよびイソプレン構成成分を含有する別個の相を有する、分離したミクロ相である。
【0340】
膜を、ネオ−ペンチルブロミドのアルコール溶液中に一晩浸漬する。生成物膜は、ネオ−ペンチルブロミド試薬とブロックコポリマーのpPMSモノマーポーションにおける三級アミン置換基との反応により形成された、連続四級アンモニウムイオン含有相を含有する。膜のこの相は、水および塩化物イオン等の負電荷を有するイオンを効果的に輸送する。これは、Na等の正電荷を有するイオンの輸送を選択的に排除する。したがって、この相は、膜アニオン交換膜性能をもたらす。
【0341】
膜の共連続イオン不含相は、膜の強度特性をもたらす。膜は、湿潤または乾燥状態で試験された場合、1,000psiを超える引張強度を有すると推定される。このようにして、官能性モノマーのアニオン重合により、強い効果的なアニオン交換膜が調製され得る。
【0342】
実施例9:選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの調製
実施例1と同様に、実施例1におけるP1.IIIと同じ構造のブロックポリマーを、窒素下で、1.1重量/体積%濃度でCCl中に溶解した。70℃で、ポリマーのpMSブロックに対しそれぞれ0.67および0.034のモル比でNBSおよびAIBNを添加した。この混合物を、還流下で4時間加熱および撹拌した。まずCClの約66%を蒸発させ、続いて10〜20倍過剰のメタノール沈殿および濾過を行うことにより、生成物を単離した。臭素化度は、H−NMRにより約41.8%と決定された。
【0343】
実施例10:選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの調製
実施例1と同様に、実施例1におけるP1.IIIと同じ構造のブロックポリマーを、窒素下で、1.2重量/体積%濃度でクロロベンゼン中に溶解した。70℃で、ポリマーのpMSブロックに対しそれぞれ0.65および0.032のモル比でNBSおよびAIBNを添加した。この混合物を、還流下で4時間加熱および撹拌した。まずクロロベンゼンの約66%を蒸発させ、残渣を同体積のテトラヒドロフラン(THF)で再び希釈し、続いて10〜20倍過剰のメタノール沈殿および濾過を行うことにより、生成物を単離した。臭素化度は、H−NMRにより約41.8%と決定された。
【0344】
実施例11:選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの調製
実施例1と同様に、実施例1におけるP1.IIIと同じ構造のブロックポリマーを、窒素下で、2.3重量/体積%濃度でクロロベンゼン中に溶解した。70℃で、ポリマーのpMSブロックに対しそれぞれ0.67および0.034のモル比でNBSおよびAIBNを添加した。この混合物を、還流下で4時間加熱および撹拌した。まずクロロベンゼンの約66%を蒸発させ、同体積のTHFで再び希釈し、続いて10〜20倍過剰のメタノール沈殿および濾過を行うことにより、生成物を単離した。臭素化度は、H−NMRにより約36.0%と決定された。
【0345】
実施例12:選択的ハロゲン化ブロックコポリマーの調製
実施例1と同様に、実施例1におけるP1.IIIと同じ構造のブロックポリマーを、窒素下で、1.3重量/体積%濃度でクロロベンゼン中に溶解した。70℃で、ポリマーのpMSブロックに対しそれぞれ0.33および0.033のモル比でNBSおよびAIBNの添加を行った。この混合物を、還流下で2時間加熱および撹拌した。同じ量のNBSおよびAIBNの第2の添加を行い、続いてさらに2時間還流を行った。この混合物を、還流下で4時間加熱および撹拌した。まずクロロベンゼンの約66%を蒸発させ、同体積のTHFで再び希釈し、続いて10〜20倍過剰のメタノール沈殿および濾過を行うことにより、生成物を単離した。臭素化度は、H−NMRにより38.83%と決定された。
【0346】
実施例13:官能化ブロックコポリマーの追加の三級アミン変形例(P7.I)の調製および調査(Mike HeniffのPCにより作製された新たな臭素化ポリマーに対する数)
上述の選択的中間ブロック臭素化ポリマーP7.IIを、トルエン/アルコール溶媒ブレンド中に溶解した(ブレンドは1/1(重量/重量)であり、EtOHはエタノール、n−PrOHは1−プロパノール、およびMeOHはメタノールであった)。これらの溶液を、次の三級アミン、トリメチルアミン(TMA)、N,N−ジメチルベンジルアミン(BDMA)、N−メチルジベンジルアミン(DBMA)、トリベンジルアミン(TBA)、N−メチルピペリジン(MPIP)、およびトリエチルアミン(TEA)のそれぞれと独立して反応させた。これらの部分は、以下のように示される。
【0347】
【化25】
【0348】
結果は以下のように表4に示される。
【0349】
【表4】
【0350】
様々な反応生成物を、薄い(1ミルから3ミル)膜にキャストし、水溶液中での塩化物イオンの選択的輸送に関して評価した。これらの結果は、キャスト溶媒および三級アミン官能化剤構造が、得られる膜の性能に影響することを示している。
【0351】
実施例14.ポリスチレン末端セグメントを有する選択的中間ブロックハロゲン化ブロックコポリマーの調製(P8.II)
カップリング技術を使用して、代替のベースポリマーを調製した。このようにして、一般構成(A−B−D02(式中、Aは、約15,000g/モルの真の分子量を有する重合スチレンのブロックであり、Bは、約16,000g/モルのスチレン当量分子量を有する水素化重合イソプレンのブロックであり、D02は、約16,000g/モルのスチレン当量分子量を有する重合p−メチルスチレンのブロックであり、xは、シリコーンカップリング剤(メチルトリメトキシシラン)の残基であり、2から3の間の数値を有する)を有するブロックコポリマー(P8.III)を調製した。このポリマーは、実施例1において概説された一般構成A−B−D°−B−Aと構造的に類似しているが、但し、この例のポリマー上の末端セグメントは、重合スチレンであり、一方実施例1のポリマーの末端セグメントは、重合パラ−tert−ブチルスチレンであったことに留意されたい。
【0352】
実施例10に記載のAIBN/NBS技術を使用して、ポリスチレン末端ブロックコポリマーを臭素化した。全還流濃縮器を備える二口丸底フラスコ内で、十分な乾燥ポリマーを8.05リットルのクロロベンゼン中に溶解し、1重量%溶液を作製した。臭素化反応を開始させるために、21.80gの乾燥および精製されたNBS(N−ブロモスクシンアミド)および1.0gのAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)をフラスコに添加した。フラスコを真空引きし、窒素で3回再充填して反応混合物を脱酸素化した。反応器を70℃で1時間撹拌した。NBSおよびAIBNの第2、第3、および第4のポーション(上記と同じ量)を、1時間間隔で反応器に添加した。反応温度は70℃に維持した。反応が完了したら、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、出発溶媒レベルの40〜70%を除去した。10倍過剰のメタノール(体積で)の添加により、ポリマーを濃縮溶液から沈殿させた。固体ポリマーを、真空濾過により回収した。濾液を室温でメタノールの2つのアリコートで洗浄した(各洗浄に対し100mL)。
図1
図2
図3
図4