特許第6336588号(P6336588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336588電気車両又はハイブリッド車両用の電気プラグ型コネクタ及びプラグ型コネクタシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336588
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】電気車両又はハイブリッド車両用の電気プラグ型コネクタ及びプラグ型コネクタシステム
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   H01R13/52 D
   H01R13/52 301A
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-524777(P2016-524777)
(86)(22)【出願日】2014年7月7日
(65)【公表番号】特表2016-526777(P2016-526777A)
(43)【公表日】2016年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2014064432
(87)【国際公開番号】WO2015004053
(87)【国際公開日】20150115
【審査請求日】2017年4月26日
(31)【優先権主張番号】102013213336.7
(32)【優先日】2013年7月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】フランク ヴィトロック
(72)【発明者】
【氏名】ディルク ヴァイラウフ
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−243467(JP,A)
【文献】 特開2012−119144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタと電気的に接触するための電気プラグ型コネクタであって、前記プラグ型コネクタ(100)は、
少なくとも2つのコンタクト室(108a〜108e)を有する電気絶縁ハウジング(102)と、
前記少なくとも2つのコンタクト室(108a〜108e)の内の1つにそれぞれ受容される少なくとも2つの電力コンタクト要素(112)を備え、
前記少なくとも2つのコンタクト室(108a〜108e)の各々は、前記プラグ型コネクタ(100)から流体を排出するための分離した排水溝(132a〜132e)に接続され、且つ
前記排水溝(132a〜132e)は前記ハウジングと一体的に形成され、
前記排水溝(132a〜132e)の各々は、他の排水溝と互いに分離されたままで前記コンタクト室からコネクタの外まで平行に延在する、
電気プラグ型コネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのコンタクト室(108a〜108e)は、管状の挿入ソケット(106)内に配置され、
前記挿入ソケット(106)は、前記挿入ソケット(106)から流体を排出するために、アースに接続される電力コンタクト要素(112)の排水溝に接続される排水開口(142)を有する、
請求項1に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記プラグ型コネクタをキャリアに取り付けるための組付けプレート(104)を有し、
前記挿入ソケット(106)は、前記組付けプレートから少なくとも部分的に突出し、前記排水開口(142)は、前記組付けプレートに隣接する前記挿入ソケット(106)の端領域内に配置される、
請求項2に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項4】
前記少なくとも2つのコンタクト室(108a〜108e)は、その内部に受容される前記電力コンタクト要素(112a〜112e)と係合するための係止手段(148,150)を有する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも2つのコンタクト要素と前記関連のコンタクト室との間の移行部を封止するために、封止手段がそれぞれ設けられる、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項6】
前記封止手段は、少なくとも1つの弾性Oリング(118)を有する、
請求項5に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項7】
前記少なくとも2つの電力コンタクト要素(112a〜112e)を前記ハウジング(102)に固定するためのロックデバイス(120)をさらに有する、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項8】
前記ロックデバイス(120)は、前記プラグ型コネクタ(100)と相手コネクタの組付け方向(122)に対して横断的な方向に前記固定をロック及びロック解除するために変位することができるスライドロックを有する、
請求項7に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項9】
前記排水溝(132a〜132e)から排出される前記流体を収集して排出するための排出接続片(134)をさらに有する、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項10】
前記電力コンタクトに接続されることができる電気配線を被覆するためのカバー(126)をさらに有する、
請求項1〜9のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項11】
前記少なくとも2つの電力コンタクト要素(112a〜112e)は、ソケットコンタクトとして構成される、
請求項1〜10のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項12】
前記電気プラグ型コネクタ(100)と前記相手コネクタとの間の信号の電気的、光学的、誘導的又は容量的送信のための少なくとも1つの信号コンタクト要素(113)をさらに有する、
請求項1〜11のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項13】
前記ハウジング(102)は、電気絶縁性のプラスチック材料から射出成形部品として製造される、
請求項1〜12のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタを有する電気車両又はハイブリッド車両用の充電ソケット。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の電気プラグ型コネクタ(100)と、関連の相手コネクタとを有するプラグ型コネクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に電気車両又はハイブリッド車両用の充電ソケットとして必要とされる、相手コネクタに電気的に接触するための電気プラグ型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車両又はハイブリッド車両におけるバッテリを充電するために、現在では、車両のバッテリを充電するための充電時間をできるだけ短く抑えるために、比較的高電圧且つ高電流(例えば、50又は60Hzで400ボルトの交流電流)によって稼働される様々なシステムが確立されている。これらの高電圧は、接触安全性及び破壊強度及び発生するクリープ電流に関して厳しい安全要求事項を伴う。
【0003】
モータービークル上で使用される場合の複雑さとは、充電ソケットも水分に接触する可能性があり、冬季の使用や海岸気候の場合は、塩分とも接触する可能性があることである。従って、電気車両のコンダクティブ方式による充電中におけるコネクタ、ソケット、車両カップリング、及び車両コネクタに対して関連する要求事項に準拠しなければならない。関連する規定は、標準規格IEC60664−1:2007を参照するIEC62196‐1:2012(第28章)に提示されている。IEC62196‐1によれば、クリープパスの寸法形状は、IEC60664−1に係る汚染度4に従って設定されることが意図されている。
【0004】
水沫及び水分との接触は原則として避けられないため、再度プラグ型コネクタの領域から所定の方法で充電ソケットに入り込んだ水を排出する手段がさらに設けられなければならない。
【0005】
この目的のために、充電ソケットのコンタクト室又はプラグ型カラーに入り込んだ水を、対応する排水路を介して、再度プラグ型コネクタの領域外へ導くドレインを取り付けることが知られている。
【0006】
コンタクト室内及びプラグ型カラーの内側のこのような排水開口は、プラグ型接続が組み立てられるとき及び解除されるとき、空気の入れ替えが生じる可能性があるため、挿入力は最低限に留まる。このような排水装置の例は、米国特許第8,257,101号明細書及び欧州特許出願公開第2525443号明細書に記載されている。
【0007】
米国特許第5,066,252号明細書は、金属コンタクト用の受容部材を開示し、この受容部材は、二段階のロックプロセスによって、プラグ型コネクタにおけるコンタクト受容部材の意図しない固定を防止することを意図している。
【0008】
さらに、国際公開第2012/169144号は、モータービークル側の相手コネクタに接触するための密閉プラグ型コネクタに言及しており、その相手コネクタは、挿入状態のプラグ型コネクタを固定するためのロックを有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、これらの既知の装置では、コンタクト室の排水開口が共通の排水溝に開口している一方、これらは、封止部材とハウジング壁の連携によってさらに形成されるため、既知の装置は、IEC60664−1の汚染度4に係る長いクリープパスに関する要求事項に準拠するには適していない。
【0010】
従って、本発明が取り組む目的は、厳しい使用条件下でも正確且つ安全に動作する、例えば電気車両又はハイブリッド車両の充電ソケット用の電気プラグ型コネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、独立特許請求項の主題によって達成される。本発明の有利な発展形態は、従属特許請求項に提示される。
【0012】
この場合、本発明は、クリープ電流抵抗との関連におけるプラグ型コネクタ内の排水路が、また、導電性の接続を構成するという認識に基づく。さらに、クリープ電流抵抗との関連においてプレスオン封止部材のみを使用して流体路同士を互いに分離すること及びその他の通電コンタクトから分離することは、十分に信頼できる分離ではないことが認識されている。
【0013】
従って、本発明によれば、コンタクト室の各々は、ハウジング内に一体的に且つその他の排水溝からは分離した状態で形成される分離した排水溝に接続される。このようにして、様々なコンタクト室から排出された流体は、クリープ電流パスとの関連において閉ざされた電気的接続を形成するために、互いに接触することができなくなる。さらに、このような排水溝を備えるハウジングは、脱型技術に対する要求が高いが、個別の構成部品の後続の組み立て及び個数の観点からは、組み立ては、よりコスト効果が高く、より簡単である。
【0014】
特に、高電圧コンタクト室に対して互いに分離された排水溝の設置によって、IEC62196‐1:2012に係る空気路及びクリープパスへの準拠を守ることができる。
【0015】
本発明に係る排水溝は、それらの空間的な分離により、例えば60mmの長さを有する空気パス及びクリープパスが可能になる。それにより、塩水に曝された後でも高いレベルの絶縁抵抗を達成することができ、それにより、汚染された環境での動作時であっても高いレベルの信頼性を確実なものとすることができる。
【0016】
本発明に係るプラグ型コネクタでは、電力コンタクト要素を含む少なくとも2つのコンタクト室は、通常、実質的に管状の挿入ソケット内に配置される。この挿入ソケットは、モータービークルでは、大抵の場合、後方に向かって傾斜するように配置されているため、この中に流体が蓄積される可能性があり、以下では挿入面とも呼ばれるこの領域用の分離した排水開口が設けられなければならない。本発明によれば、この排水開口は、残りのコンタクトへの接続が生じないように排水溝の内の厳密に一つに接続される。好ましくは、これは、アースに接続されるコンタクト要素のコンタクト室から水を除去する排水溝である。
【0017】
しかしながら、その代わりに、挿入ソケットに関して、ハウジングに一体的に構成される分離した排水溝を設けることが規定されてもよい。
【0018】
本発明に係る電気プラグ型コネクタは、例えばモータービークルへの取り付けのために、組付けプレートを有してもよく、挿入ソケットは、組付けプレートから少なくとも部分的に突出する。既に述べたように、挿入ソケットの傾斜は、従来は、後方及び内側に向かっているため、排水開口は、挿入ソケットの端領域に配置されることが有利であり、この端領域は、組付けプレートに面し、流体が挿入面の内側に蓄積されないように組付け時には下方に向けられている。
【0019】
電力コンタクト要素をそれぞれのコンタクト室内に固定するために、コンタクト要素と係合する係止手段が設けられることが有利である場合がある。金属コンタクトと連携する係止フックに加えて、コンタクトの突起が係合する係止開口も設けられてもよい。特に洗練された方法では、このような状況において排水溝に繋がる開口に関して、二重機能を行うこと、及び係合と流体の排出の両方のために構成されることが規定されてもよい。
【0020】
電力コンタクト用の係止要素が排水溝に配置されるとの事実から、これらは、特に空間を節約して、弾性的且つ可撓性に構成されることができ、射出成形工具におけるモールドからの取外しを比較的簡単に行うことができる。
【0021】
この装置が内側で完全に封止されるように、電力コンタクトと、それぞれ関連するコンタクト室との間の移行部を封止するために、例えば弾性材料のOリング等の封止手段が設けられてもよい。コンタクト室の各々が排水溝を介して外部空間と空気置換の状態にあることにより、プラグ型コネクタ及びその相手コネクタが互いに連結される時、これらの封止手段には圧力負荷が生じることがない。
【0022】
組み付けられた電力コンタクト要素がガタツキなくしっかりと固定されたままになるように、大きな温度変化があっても、電力コンタクト要素をハウジングにロックするための第2のロックデバイスが設けられることが有利な場合がある。
【0023】
このロックデバイスは、プラグ型コネクタ及び相手コネクタの組付け方向に対して横断的な方向に変位することができる場合、特に確実且つ効率的に作動する。
【0024】
排水溝から排出される水が、所定の端位置に供給されることができるように、好ましくは、排水溝から排出された流体を収集して排出するために、例えばホースに接続可能な排出接続片が設けられる。
【0025】
電力コンタクト要素は、コネクタ面とは反対を向く側で、車両の電気系統に接触している配線に接続される。この接続のために、例えば、圧着、半田、又はプラグ型接続を使用することができる。このような接触装置を保護するために、プラグ型コネクタはカバーを有してもよく、さらに、このカバーにも、適切な張力緩和部材が設けられることができる。それにより、ケーブルコンタクトの十分な接触保護及び機械的保護が可能になる。
【0026】
実際の電力コンタクトに加えて、プラグ型コネクタには、電気プラグ型コネクタと相手コネクタとの間で信号を送信するための少なくとも1つの信号コンタクトが設けられてもよい。この送信は、例えば、光学的に誘導的又は容量的な方法等、接触的又は非接触的に行われることができる。これらの信号コンタクトは、高い電圧及び電流を案内しないため、その排水は、挿入面内に向かって行われれば十分である。この目的のために、信号コンタクトのコンタクト室には、対応する排水開口が、設けられてもよい。信号コンタクト要素は、対応する配線によって、そのコンタクト領域において車両の電気系統にも接続される。
【0027】
本発明に係るプラグ型コネクタのハウジングは、例えば射出成形技術を用いて、適切な電気絶縁性で、機械的に安定した劣化のしにくいプラスチック材料から製造される。
【0028】
既に述べたように、本発明に係る課題解決法の利点は、プラグ型コネクタが、特に電気車両又はハイブリッド車両用の充電ソケットとして使用される場合に明白である。しかしながら、当然のことながら、本発明に係る課題解決法は、湿潤雰囲気又は塩分含有雰囲気であっても十分な空気及びクリープ電流抵抗及び水の除去が確保されなければならないその他のプラグ型コネクタにも使用されてよい。
【0029】
本発明のより良い理解のために、本発明は、以下の図面に示す実施形態を参照してより詳細に説明される。同一の構成部品には、同一の参照番号及び同一の構成部品名が付与されている。さらに、図示及び記述される異なる実施形態からの一部の特徴又は特徴の組み合わせは、独立した課題解決法、独創的な課題解決法、又は本発明それ自体に従う課題解決法を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の有利な実施形態に係る電気プラグ型コネクタの斜視の断面図である。
図2】挿入面から見た時のハウジングの斜視図である。
図3】ケーブル接続側から見た時のハウジングの斜視図である。
図4】挿入面から見た時のハウジングの平面図である。
図5】接続側から見た時のハウジング平面図である。
図6図4の装置の第1の断面である。
図7図4の装置の第2の断面である。
図8図4の装置の第3の断面である。
図9図5の装置の第1の断面である。
図10図5の装置の第2の断面である。
図11図9からの細部である。
図12図8からの細部である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、電気車両又はハイブリッド車両用の充電ソケットの例を参照して以下に記載される。しかしながら、当業者には、本発明に係る思想は、より高い電圧を伴う電気コンタクトが厳しい環境条件下で安全に挿入されることを意図する場所なら何処でも用いることができることは明らかである。
【0032】
本例では、GB/中国標準規格に従うAC充電ソケットの実施形態が常に提示される。この標準規格では、5つの電力コンタクト要素及び2つの信号コンタクトが設けられる。しかしながら、本発明に係る原理は、当然のことながら、あらゆる交流電流、直流電流、又は複合AC/DC充電システムと共に使用されてもよい。
【0033】
図1は、まず、装置全体の断面の斜視図である。
【0034】
充電ソケット100は、一般的にプラグ型コネクタとも呼ばれるが、ハウジング102を備え、ハウジング102は、射出成形技術を用いて電気絶縁性のプラスチック材料から製造されることができる。ハウジング102は、組付けプレート104を有し、組付けプレート104からは、実際の挿入ソケット106が部分的に突出している。カラー状の挿入ソケット106の内側には、GB/中国標準規格の第2部に従って、電力コンタクト要素用の5つのコンタクト室108と、信号コンタクト用の2つのコンタクト室110とが配置されている。
【0035】
一般的に金属から製造される導電性の電力コンタクト要素112は、いずれの場合もコンタクト室108内に受容されている。図示の実施形態では、電力コンタクト要素112は、ソケットコンタクトとして構成される。しかし、当然のことながら、本発明は、ソケットコンタクトのみに限定されない。本発明に係るプラグ型コネクタ100には、当然のことながら、ピンコンタクトも使用することができる。
【0036】
電力コンタクト要素112の各々は、電気的接触が相手コネクタに関して閉じられるコンタクト領域114と、車両ケーブルに繋がり、結果的に車両の電気系統に繋がる配線が接続される接続領域116とを有する。図示の実施形態では、接続領域116は、コンタクト領域114と同様に、ソケットコンタクトとして構成される。
【0037】
ハウジング102と電力コンタクト又は信号コンタクトとの間の確実な封止のために、本実施形態では、Oリング118が封止手段として嵌合されることが規定される。電力コンタクト要素112は、一方では、係止手段によって、関連のコンタクト室108に固定される。他方では、1つの操作ステップで7つ全てのコンタクト要素をロックするために、挿入方向122に対して横断的に変位させることができるロックデバイス120が設けられる。
【0038】
ケーブルガイド124と、ケーブルガイド124に接続されることができるケーブルカバー126は、組付け状態において連続するケーブル(図示せず)を保護する。
【0039】
本発明によれば、コンタクト室108の各々は、排水開口128を有し、排水開口128から、コンタクト室に進入した流体(即ち、気体又は液体)が排出されることができる。当然のことながら、金属コンタクト要素112も、この箇所にて開口130を有さなくてはならない。
【0040】
本発明によれば、排水開口128は、排水溝132に開口し、排水溝132は、その断面において全側面が閉じられた状態でハウジング材料から製造され、且つ各コンタクト室108に対して分離して構成される。実質的に平行に延在する排水溝132の各々は、例えばホースに流体を導くことができる排出接続片134内に通じている。図2図12は、GB/中国の第2部の標準規格に従う本発明に係る充電ソケット100のハウジング102の様々な図及び断面である。
【0041】
図2は、電力コンタクト要素用の5つのコンタクト室108a〜108e及び信号コンタクト用の2つのコンタクト室110を備える挿入面の斜視図である。コンタクト室108a〜108e,110は、挿入ソケット106内に配置されている。分離した排水溝132a〜132eは、コンタクト室108a〜108eの各々に対応するように連結している。その断面では、排水溝132a〜132eは、全側面において閉じられた状態で且つ一体的にハウジング102の材料から製造されている。排水溝132から排出される流体は、2つの係止突起136に固定される排出接続片を介して排出されることができる。
【0042】
この特定の閉じられた製造方法により、異なる電位を有する2つのコンタクト要素間のクリープパスは、前側ではコンタクト室の長さの二倍になり、後側では排水溝の長さの二倍になる可能性がある。約60mmの値を容易に達成することができる。
【0043】
組付けプレート104では、さらに、固定開口138が設けられ、固定開口138によって、充電ソケット100は、リベット留め又は螺子留めによって車両のシャシに接続されることができる。
【0044】
挿入面106の開口が後方の基部領域よりも高くなっている図2に示すハウジング102の僅かに傾斜した位置は、モータービークルにおけるプラグ型コネクタの設置箇所に実質的に対応している。従って、挿入ソケット106からも水が取り除かれなければならないことは明らかである。これは、以下により詳細に記述されるドレインを介して行われる。
【0045】
図3は、車両の内部空間に面するハウジング102の側の斜視図である。この場合、全7つのコンタクト室108,110は、完全には外縁となっていないカラーによって包囲されている。このカラー140は、固定状態においてロックデバイス120を固定するように機能する。
【0046】
図4の平面図から分かるように、挿入ソケット106から水を除去するために、他の排水開口142が設けられている。図6における断面図から分かるように、排水開口142は、中心の排水溝132cに開口している。
【0047】
信号コンタクト室110からは、排水開口144を介して挿入ソケット106内へ水が除去される。信号コンタクトの排水開口144は、従来の設置条件下では挿入ソケットの排水開口142の上方に配置されているため、この箇所で排出された水は、排水開口142へ流下し、そこから溝132cに流入し、そこから排出接続片に流入することができる。
【0048】
図5は、電力コンタクト要素が、圧縮リブ146によってコンタクト室108に保持されていることを示す。さらに、排水開口128の各々には、電力コンタクト要素がコンタクト室108内で固定されるように電力コンタクト要素と連携する係止デバイスが設けられている。同様に、排水開口は、信号コンタクト室上でも係止デバイスを形成するために使用される。
【0049】
既に述べたように、図4に示す排水開口142は、中心のコンタクト室108cと連結する排水溝132cに開口している。図5のコンタクト記号表示から分かるように、中心のコンタクト室108cに配置されたコンタクトは、アースに接続され、従って、挿入ソケット106の排水路を、コンタクト室108cに連結する排水溝132cに接続するのに最も適している。クリープパスを考慮すると、排水開口142を介して生じる接続の結果、排水開口128cとコンタクト室108bの挿入側入口との間の間隔にも、十分に長い距離がまだ設けられていることが分かる。
【0050】
図7は、図4に示すように、コンタクト室108dと、その上方に位置する信号コンタクト室110を通り、且つ固定開口138を通る断面を示す。特に、ソケット内へ外方に繋がり且つ信号コンタクト用の係止デバイスとしてさらに使用される排水開口144の位置が分かる。
【0051】
図8は、3つの上方の電力コンタクト室108a,108c及び108eを通る断面である。
【0052】
従って、図9は、2つの信号コンタクト室110を通る断面である。排水開口144は、同時に係止アーム146を形成するために使用されることが有利であり、係止アーム146によって、信号コンタクト要素113の一次的な係合が可能になる。
【0053】
図8によれば、排水開口128における対応する係止アーム150は、それぞれの電力コンタクト要素を固定するために設けられる。
【0054】
図10は、他の断面であり、今度は2つの下方の電力コンタクト室108b及び108dを通る。係合に使用される係止アーム150に加えて、この断面図からは、上方から延出する3つの排水溝128a,128c及び128eの矩形の閉じられた断面がさらに分かる。
【0055】
最後に、図11及び図12は、コンタクト要素用のロック機構を、それぞれ図9及び図8からの詳細図として再度示す。
【0056】
本発明に係る課題解決法を用いて、重大な混入の発生又は塩分含有水沫の影響が存在しても、クリープ電流路及び空気路に関する全ての要求事項に準拠することができるような方法によってモータービークル用の充電ソケットを構成することができる。この製造では、バッチ数が多くてコスト効果が高く、組付け及び取付けが高精度且つ単純である。
【符号の説明】
【0057】
100 充電ソケットおよび/又はプラグ型コネクタ
102 ハウジング
104 組付けプレート
106 挿入ソケット
108a〜108e 電力コンタクト用のコンタクト室
110 信号コンタクトおよび/又はコンタクト室
112 電力コンタクト要素
113 信号コンタクト要素
114 コンタクト領域
116 接続領域
118 Oリング
120 ロックデバイス
122 挿入リング
124 挿入方向
126 カバー
128 排水開口
130 コンタクト要素の開口
132a〜132e 排水溝
134 排出接続片
136 係止突起
138 組付けプレートの固定開口
140 コンタクト室上のカラー
142 挿入ソケットの排水開口
144 信号コンタクトの排水開口
146 圧縮リブ
148 信号コンタクト要素用の係止アーム
150 電力コンタクト要素用の係止アーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12