(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに吸着させ、その吸着された蒸発燃料をエンジンに吸入させ、燃料タンクとキャニスタとを接続する経路上に、燃料タンクとキャニスタとの連通を制御する封鎖弁を備え、キャニスタとエンジンとを接続する経路上に、キャニスタとエンジンとの連通を制御するパージ弁を備えた蒸発燃料処理装置において、
燃料タンク内の空間圧力を内圧として検出する内圧センサと、
前記内圧センサによって燃料タンクの内圧が負圧であることが検出され、且つ前記パージ弁が開かれているとき、前記封鎖弁を開いてキャニスタを通じて燃料タンクに大気圧を供給し、前記封鎖弁の開度を燃料タンクの内圧がゆっくり変化するように少しずつ開く封鎖弁制御手段と
を備える蒸発燃料処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特開2010−242723号公報の蒸発燃料処理装置では、エンジン作動中に封鎖弁が開かれると、エンジンの空燃比が乱れる問題がある。なぜなら、燃料タンクが負圧になっている状態でエンジン作動中に封鎖弁が開かれると、キャニスタに吸着されている蒸発燃料が燃料タンクへ戻される、いわゆるバックパージが行われ、キャニスタのパージのためエンジンに吸入されている蒸発燃料が急に減少するためである。
【0004】
このような問題に鑑み本発明の課題は、燃料タンクとキャニスタとを接続する経路上に封鎖弁を備えた蒸発燃料処理装置において、エンジン作動中に燃料タンクが負圧となってもバックパージが急に行われないようにすることにより、空燃比が乱れることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における第1発明は、燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに吸着させ、その吸着された蒸発燃料をエンジンに吸入させ、燃料タンクとキャニスタとを接続する経路上に、燃料タンクとキャニスタとの連通を制御する封鎖弁を備え、キャニスタとエンジンとを接続する経路上に、キャニスタとエンジンとの連通を制御するパージ弁を備えた蒸発燃料処理装置において、燃料タンク内の空間圧力を内圧として検出する内圧センサと、前記内圧センサによって燃料タンクの内圧が負圧であることが検出され、且つ前記パージ弁が閉じられているとき、前記封鎖弁を開いてキャニスタを通じて燃料タンクに大気圧を供給する封鎖弁制御手段とを備える。
【0006】
第1発明によれば、封鎖弁の開動作は、パージが非実行時にのみ行われ、パージ実行中には封鎖弁の開動作は中止される。そのため、パージ実行時に封鎖弁が同時に開かれることはなく、封鎖弁が開かれることによるエンジンの空燃比の乱れはなくすことができる。
【0007】
本発明における第2発明は、燃料タンク内の蒸発燃料をキャニスタに吸着させ、その吸着された蒸発燃料をエンジンに吸入させ、燃料タンクとキャニスタとを接続する経路上に、燃料タンクとキャニスタとの連通を制御する封鎖弁を備え、キャニスタとエンジンとを接続する経路上に、キャニスタとエンジンとの連通を制御するパージ弁を備えた蒸発燃料処理装置において、燃料タンク内の空間圧力を内圧として検出する内圧センサと、前記内圧センサによって燃料タンクの内圧が負圧であることが検出され、且つ前記パージ弁が開かれているとき、前記封鎖弁を開いてキャニスタを通じて燃料タンクに大気圧を供給し、前記封鎖弁の開度を燃料タンクの内圧
がゆっくり変化するように
少しずつ開く封鎖弁制御手段とを備える。
【0008】
上記第2発明は、封鎖弁として弁開度を連続的に変更可能な弁を用い、パージ弁が開かれた状態で封鎖弁を開くとき、封鎖弁の弁開度を燃料タンクの内圧が急変しない中間的な開度に制御することによって実現できる。
【0009】
第2発明によれば、パージ実行中に封鎖弁が開かれても、燃料タンクの内圧
がゆっくり変化するように封鎖弁を
少しずつ開くため、パージ弁を通じてエンジンに吸入される蒸発燃料の急な変化は抑制され、エンジンの空燃比の乱れは抑制することができる。
【0010】
本発明における第3発明は、上記第2発明において、前記封鎖弁制御手段は、前記内圧センサによって燃料タンクの内圧が負圧であることが検出されている状態で、前記パージ弁が開から閉に切り換えられると、燃料タンクの
内圧がゆっくり変化するように前記封鎖弁の開度を
少しずつ開く制御を中止して封鎖弁を開く。
【0011】
本発明における第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記封鎖弁制御手段は、封鎖弁を
少しずつ開く際、前記封鎖弁の開度を時間と共に増大させる。
【0012】
本発明における第5発明は、上記第2又は第3発明において、前記封鎖弁制御手段は、封鎖弁を
少しずつ開く際、燃料タンクの内圧の変化が
所定値以内となるように前記封鎖弁の開度を制御する。
【0013】
本発明における第6発明は、上記第2又は第3発明において、前記封鎖弁制御手段は、封鎖弁を
少しずつ開く際、エンジンにおける空燃比のフィードバック補正量が所定範囲内となるように前記封鎖弁の開度を制御する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の第1発明に対応する概念図であり、ここでの説明は繰り返しとなるため省略する。
【0016】
図2、3は、本発明の第1実施形態を示す。この実施形態は、
図2に示すように、車両のエンジンシステム10に蒸発燃料処理装置20を付加している。
【0017】
図2において、エンジンシステム10は、周知のものであり、エンジン本体11に吸気通路12を介して空気に燃料を混ぜた混合気を供給している。空気はスロットル弁14によって流量を制御して供給され、燃料は燃料噴射弁(不図示)によって流量を制御して供給されている。スロットル弁14と燃料噴射弁は共に制御回路16に接続されており、スロットル弁14は制御回路16にスロットル弁14の開弁量に関する信号を供給し、燃料噴射弁は制御回路16によって開弁時間を制御されている。燃料噴射弁には燃料が供給されており、その燃料は燃料タンク15から供給されている。
【0018】
蒸発燃料処理装置20は、給油中に発生する燃料蒸気、又は燃料タンク15内で蒸発した燃料蒸気(以下、蒸発燃料という)をベーパ通路22を介してキャニスタ21に吸着させている。また、キャニスタ21に吸着された蒸発燃料はパージ通路23を介してスロットル弁14の下流側の吸気通路12に供給されている。ベーパ通路22には、この通路22を開閉するようにステップモータ式封鎖弁(本発明における封鎖弁に相当する。以下、単に封鎖弁ともいう)24が設けられ、パージ通路23には、この通路23を開閉するようにパージ弁25が設けられている。封鎖弁24は、ステップモータによる開弁動作開始後、燃料タンク15とキャニスタ21との間が連通状態となるまでの間に弁が閉状態を維持されたままとなる領域を有し、開度を連続的に変更可能とされている。
【0019】
キャニスタ21内には、吸着材としての活性炭21aが装填されており、ベーパ通路22からの蒸発燃料を活性炭21aにより吸着し、この吸着された蒸発燃料をパージ通路23へ放出するようにしている。キャニスタ21には大気通路28も接続されており、キャニスタ21にパージ通路23を介して吸気負圧が印加されると、大気通路28を通じて大気が供給されてパージ通路23を介した蒸発燃料のパージが行われる。また、燃料タンク15内の空間圧力が負圧の状態で、封鎖弁24が開かれた場合は、大気通路28からの大気がキャニスタ21、ベーパ通路22を通じて燃料タンク15に流れ、キャニスタ21に吸着されていた蒸発燃料が燃料タンク15に戻されるバックパージが行われる。大気通路28は、燃料タンク15に設けられた給油口17の付近から大気を吸引するように給油口17付近に開口されている。
【0020】
制御回路16には、燃料噴射弁の開弁時間等を制御するために必要な各種信号が入力されている。上述のスロットル弁14の開弁量信号の他、
図2に示されているものでは、燃料タンク15の内圧を検出する圧力センサ26の検出信号を制御回路16に入力している。また、制御回路16は、上述のように燃料噴射弁の開弁時間の制御の他、
図2に示されているものでは、封鎖弁24及びパージ弁25の開弁制御を行っている。
【0021】
次に制御回路16にて行われるステップモータ式封鎖弁24の開弁制御処理ルーチンについて、
図4のタイムチャートを参照しながら
図3のフローチャートに基づいて説明する。このルーチンの処理が実行されると、ステップS2では、車両の電源スイッチであるイグニッションスイッチIG(不図示)がオンとされているか否かが判定される。ここでイグニッションスイッチIGがオンとされるのを待って、イグニッションスイッチIGがオンとされると、ステップS2が肯定判断され、ステップS4において、封鎖弁24のイニシャライズ(初期化)が実施される。封鎖弁24のイニシャライズは、封鎖弁24の開弁動作がステップモータによって行われ、ステップモータの動作ステップ数と弁の開度との間にズレのない正しい相関がとれた状態とするため、ステップモータの動作開始位置と弁の開弁動作開始位置とを予め一致させておく処理である。次のステップS6では、ステップS4のイニシャライズが完了するのを待って、イニシャライズが完了すると、ステップS6は肯定判断され、ステップS8においてイニシャライズ完了フラグがセットされて、イニシャライズが完了したことが記憶される。
【0022】
図4における封鎖弁24開弁量の線図において、イニシャライズの期間にステップモータの動作ステップ数が待機位置から初期位置に変化していることが示されている。待機位置は、封鎖弁24の開弁制御において開弁量がゼロとされるとき常に待機する位置である。封鎖弁24において実際に弁が開かれ始める位置である開弁開始位置を予め学習値として記憶しておき、封鎖弁24の開弁制御において、封鎖弁24を常に開弁開始位置に待機させて開弁制御の応答性が良くなるようにしている。即ち、封鎖弁24の開弁開始位置が待機位置として記憶されている。
【0023】
ステップS10では、燃料タンク15の内圧が負圧となっているか否かが判定される。負圧になっていなければ、このルーチンの処理は終了するが、負圧となっている場合は、ステップS10が肯定判断され、ステップS12においてパージ弁25が閉じられたパージOFF状態とされているか否かが判定される。このときパージ弁25が閉じられていなければ、ステップS12は否定判断されて、このルーチンの処理は終了するが、パージ弁25が閉じられていれば、ステップS12は肯定判断され、ステップS14においてAステップだけ所定の速度で封鎖弁24が開弁される。
【0024】
図4に示されるように、燃料タンク15の内圧が負圧(
図4ではマイナスAキロパスカル)となっていて、封鎖弁24がAステップだけ開弁されるとき、封鎖弁24の開弁量は初期位置から待機位置まで一気に開かれる。この制御は、封鎖弁24の待機位置である開弁開始位置が学習値として予め記憶されているため、この学習値に基づいて応答よく封鎖弁24の開弁制御が開始されることを示している。待機位置からの開弁は所定速度で行われる。
【0025】
ステップS16では、燃料タンク15の内圧が正圧になるのを待つ。上述のように封鎖弁24が開かれると、キャニスタ21の大気通路28から大気がキャニスタ21、封鎖弁24を通じて燃料タンク15内に流れ、燃料タンク15の内圧が負圧から大気圧に向けて変化する。燃料タンク15の内圧が大気圧になると、ステップS16が肯定判断され、ステップS18において封鎖弁24がBステップだけ閉じられ、「A−B」ステップに対応する位置まで封鎖弁24が閉じられる。この位置は待機位置とされる。
【0026】
以上の第1実施形態では、封鎖弁24が閉じられている間に燃料タンク15の内圧が負圧となっていると、イグニッションスイッチIGがオンとされたとき、パージ弁25が閉じられていれば、封鎖弁24が開かれ、燃料タンク15内にキャニスタ21の大気通路28から大気が供給される。これにより燃料タンク15が負圧によって変形するのを防止している。その上、係る封鎖弁24の開制御はパージ弁25が開かれているときには行われないため、燃料タンク15が負圧の状態で封鎖弁24が開かれることによりバックパージが行われ、エンジンの空燃比が乱れるのを防止することができる。
【0027】
図5は、本発明の第2実施形態における封鎖弁24の開弁制御処理ルーチンを示す。第2実施形態は、第1実施形態に対して、燃料タンク15の負圧状態下で行われる封鎖弁24の開弁制御をパージ弁25が開かれているときに行うようにし、しかも封鎖弁24の開弁を少しずつ行うようにした点を特徴とする。その他の点については、第2実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0028】
図5において、ステップS2〜ステップS10の処理は、
図3におけるステップS2〜ステップS10の処理と同一である。ステップS20では、パージ弁25が開かれてパージONとされたか否かが判定されている。パージ弁25が開かれていなければステップS20は否定判断されて、このルーチンは終了する。パージ弁25が開かれていると、ステップS20が肯定判断され、ステップS22において封鎖弁24が
図6で示すようにA秒毎にαステップずつ開かれてゆく。次のステップS24では、燃料タンク15の内圧が正圧となったか否かが判定され、正圧となるまで封鎖弁24が開かれてゆく。燃料タンク15の内圧が正圧となり、ステップS24が肯定判断されると、ステップS26において封鎖弁24がBステップだけ閉じられ、「α×n−B」ステップに対応する位置まで封鎖弁24が閉じられる。この位置は待機位置とされる。なお、nは、ステップS22において封鎖弁24が開かれた回数を表す。
【0029】
第2実施形態では、封鎖弁24が閉じられている間に燃料タンク15の内圧が負圧となっていると、イグニッションスイッチIGがオンとされたとき、パージ弁25が開かれていれば、封鎖弁24が少しずつ開かれ、燃料タンク15内にキャニスタ21の大気通路28から大気がゆっくり供給される。これにより燃料タンク15が負圧によって変形するのを防止している。その上、係る封鎖弁24の開制御は少しずつ行われるため、バックパージが行われても、それが急激には行われないため、エンジンの空燃比制御がパージ量の変化に追従することができ、空燃比が乱れるのを抑制することができる。
【0030】
図7は、本発明の第3実施形態における封鎖弁24の開弁制御処理ルーチンを示す。第3実施形態は、第1実施形態に対して、燃料タンク15の負圧状態下で行われる封鎖弁24の開弁制御をパージ弁25が開かれているときに行うようにし、しかも封鎖弁24の開弁を、燃料タンク15の内圧変化が所定値以内となるようにした点を特徴とする。その他の点については、第3実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0031】
図7において、ステップS2〜ステップS20の処理は、
図5におけるステップS2〜ステップS20の処理と同一である。ステップS28では、燃料タンク15の内圧の変化量が所定値以内か否かが判定される。具体的には、内圧の変化量がbキロパスカル/秒以下か否か判定される。内圧の変化量が所定値以内であり、ステップS28が肯定判断されると、ステップS30では、
図8に示すように封鎖弁24がαステップだけ開弁される。そして、次のステップS32では、燃料タンク15の内圧が負圧となっているか否かが判定され、負圧であればステップS32は肯定判断されて、ステップS34において、燃料タンク15の内圧の変化量が所定値(bキロパスカル/秒)より大きいか否かが判定される。内圧の変化量が所定値より小さくてステップS34が否定判断されると、ステップS30に戻って再度封鎖弁24がαステップだけ開弁される。以後、上述のようにステップS32、ステップS34の処理が繰り返され、内圧の変化量が所定値より大きくなってステップS34が肯定判断されると、ステップS36において封鎖弁24の開弁量が保持される。このときは、
図8に示すように燃料タンク15の内圧の変化量が所定値(bキロパスカル/秒)より小さくなるまで封鎖弁24の開弁量が変更されないで保持される。次のステップS38では、燃料タンク15の内圧が正圧となったか否かが判定され、正圧となるまで上述のステップS20以降の処理が繰り返される。封鎖弁24の開弁量が保持されている間に燃料タンク15の内圧変化が所定値以内となると、ステップS28が肯定判断されることによりステップS30において再度封鎖弁24がαステップだけ開弁される。その後、燃料タンク15の内圧が正圧となり、ステップS38が肯定判断されると、ステップS40において封鎖弁24がBステップだけ閉じられ、「α×n−B」ステップに対応する位置まで封鎖弁24が閉じられる。この位置は待機位置とされる。なお、nは、ステップS30において封鎖弁24が開かれた回数を表す。
【0032】
ステップS30において封鎖弁24が開かれる制御が行われた後、燃料タンク15の内圧が正圧となってステップS32が否定判断されるか、パージ弁25が閉じられてステップS20が否定判断されると、上記ステップS40において封鎖弁24が待機位置まで閉じられる。
【0033】
第3実施形態では、封鎖弁24が閉じられている間に燃料タンク15の内圧が負圧となっていると、イグニッションスイッチIGがオンとされたとき、パージ弁25が開かれていれば、燃料タンク15の内圧変化が所定値以内となるように封鎖弁24が少しずつ開かれ、燃料タンク15内にキャニスタ21の大気通路28から大気がゆっくり供給される。これにより燃料タンク15が負圧によって変形するのを防止している。その上、係る封鎖弁24の開制御は少しずつ行われるため、バックパージが行われても、それが急激には行われず、エンジンの空燃比制御がパージ量の変化に追従することができ、空燃比が乱れるのを抑制することができる。
【0034】
図9は、本発明の第4実施形態における封鎖弁24の開弁制御処理ルーチンを示す。第4実施形態は、第1実施形態に対して、燃料タンク15の負圧状態下で行われる封鎖弁24の開弁制御をパージ弁25が開かれているときに行うようにし、しかも封鎖弁24の開弁を、燃料タンク15の内圧変化が所定値以内となるようにすると共に、この状態からパージ弁25が閉じられたときには一旦封鎖弁24を閉じた後、再び開くようにした点を特徴とする。その他の点については、第4実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0035】
図9において、ステップS2〜ステップS40の処理は、
図7におけるステップS2〜ステップS40の処理と同一である。ステップS42では、パージ弁25が閉じられてパージOFFとされたか否かが判定される。このときパージ弁25が開かれていればステップS42は否定判断されて、このルーチンの処理は終了する。パージ弁25が閉じられると、ステップS42は肯定判断され、ステップS44において、燃料タンク15の内圧が負圧状態のままか否か判定される。正圧になっていればステップS44は否定判断されて、このルーチンの処理は終了する。燃料タンク15の内圧が負圧状態のままの場合は、ステップS44は肯定判断され、ステップS46において、
図10のように封鎖弁24がAステップだけ開かれる。次のステップS48においては、燃料タンク15の内圧が正圧になったか否かが判定され、正圧になると、ステップS50において封鎖弁24がAステップだけ閉じられ、「A−A」ステップに対応する待機位置まで封鎖弁24が閉じられる。
【0036】
第4実施形態では、封鎖弁24が閉じられている間に燃料タンク15の内圧が負圧となっていると、イグニッションスイッチIGがオンとされたとき、パージ弁25が開かれていれば、燃料タンク15の内圧変化が所定値以内となるように封鎖弁24が少しずつ開かれ、燃料タンク15内にキャニスタ21の大気通路28から大気がゆっくり供給される。これにより燃料タンク15が負圧によって変形するのを防止している。その上、係る封鎖弁24の開制御は少しずつ行われるため、バックパージが行われても、それが急激には行われず、エンジンの空燃比制御がパージ量の変化に追従することができ、空燃比が乱れるのを抑制することができる。しかも、封鎖弁24を開制御して燃料タンク15内に大気を導入している途中で、パージ弁25が閉じられ、封鎖弁24の開制御が終了したとき、未だ燃料タンク15が負圧になっていたとしても、再度封鎖弁24が開かれて、燃料タンク15内に大気が供給され、燃料タンク15の内圧が負圧のままとなるのが防止される。
【0037】
第4実施形態では、パージ弁25が開かれているときの封鎖弁24の開弁制御を、燃料タンク15の内圧変化が所定値以内となるように行うものとしたが、第2実施形態(
図5、6)のように燃料タンク15の内圧変化を見ないで、一定のゆっくりした速さで開くようにしても良い。
【0038】
図11は、本発明の第5実施形態における封鎖弁24の開弁制御処理ルーチンを示す。第5実施形態は、第1実施形態に対して、燃料タンク15の負圧状態下で行われる封鎖弁24の開弁制御をパージ弁25が開かれているときに行うようにし、しかも封鎖弁24の開弁量を、エンジンにおける空燃比のフィードバック補正量が所定範囲内となるように制御した点を特徴とする。その他の点については、第5実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
【0039】
図11において、ステップS2〜ステップS22の処理は、
図5におけるステップS2〜ステップS22の処理と同一である。ステップS52では、エンジンにおける空燃比のフィードバック補正量F/Bが所定範囲「マイナスC〜プラスC」の範囲外にあるか否かが判定される。フィードバック補正量F/Bが所定範囲「マイナスC〜プラスC」の範囲内にあってステップS52が否定判断されると、ステップS22に戻って封鎖弁24が
図12で示すようにA秒毎にαステップずつ開かれてゆく。空燃比のフィードバック補正量F/Bが所定範囲「マイナスC〜プラスC」の範囲外となってステップS52が肯定判断されると、ステップS54において、封鎖弁24が
図12で示すようにαステップだけ閉じられる。次のステップS56では、空燃比のフィードバック補正量F/Bが所定範囲「マイナスC〜プラスC」の範囲内か否か判定される。フィードバック補正量F/Bが所定範囲内となるまでステップS54の処理を繰り返し、フィードバック補正量F/Bが所定範囲内となると、ステップS56は肯定判断され、ステップS24以降の処理によって、燃料タンク15の内圧が正圧となるまでフィードバック補正量F/Bが所定範囲内となるように封鎖弁24が開弁(ステップS22による)又は閉弁(ステップS54による)され、燃料タンク15の内圧が正圧となると、ステップS26にて封鎖弁24が待機位置まで閉じられる。なお、nは、ステップS54において封鎖弁24が閉じられた回数を表す。
【0040】
第5実施形態では、封鎖弁24が閉じられている間に燃料タンク15の内圧が負圧となっていると、イグニッションスイッチIGがオンとされたとき、パージ弁25が開かれていれば、エンジンにおける空燃比のフィードバック補正量F/Bが所定範囲内となるように封鎖弁24が少しずつ開閉制御され、燃料タンク15内にキャニスタ21の大気通路28から大気圧がゆっくり供給される。これにより燃料タンク15が負圧によって変形するのを防止している。その上、封鎖弁24の開閉制御は、エンジンにおける空燃比のフィードバック補正量が所定範囲内となるように行われるため、封鎖弁24が開かれることによりバックパージが行われても、空燃比が乱れるのを抑制することができる。
【0041】
第5実施形態では、エンジンにおける空燃比のフィードバック補正量F/Bが所定範囲「マイナスC〜プラスC」の範囲外となってステップS52が肯定判断されたとき、ステップS54において封鎖弁24の開弁量をαステップずつ閉じるようにしたが、封鎖弁24を閉じる制御の仕方はこれに限らない。例えば、待機位置まで所定速度で閉じるようにしても良い。また、ステップS22において封鎖弁24を開くときのようにA秒毎にαステップずつ閉じるようにしても良い。
【0042】
以上説明した第1実施形態は、本発明における第1発明に対応する実施形態であり、第2〜5実施形態は、本発明における第2発明に対応する実施形態である。また、第4実施形態は、本発明における第3発明に対応する実施形態である。また、第2、5実施形態は、本発明における第4発明に対応する実施形態である。また、第3、4実施形態は、本発明における第5発明に対応する実施形態である。また、第5実施形態は、本発明における第6発明に対応する実施形態である。
【0043】
上記各実施形態における各フローチャートの処理は、本発明における封鎖弁制御手段に相当する。
【0044】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、封鎖弁をステップモータ式封鎖弁24としたが、ボール状の弁体の回転によって開弁量が連続的に変わる構造のボールバルブとしてもよい。また、上記実施形態では、車両用のエンジンシステムに本発明を適用したが、本発明は車両用に限定されない。車両用のエンジンシステムの場合、エンジンとモータとを併用したハイブリッド車でもよい。