【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成25年5月29日〜31日に東京ビックサイトにて開催の「JECA FAIR 2013 〜第61回電設工業展〜」に展示 (2)平成25年5月発行の、未来工業株式会社のパンフレット「防虫戦隊 ムシハイレンジャー」に掲載 (3)平成25年7月3日に、ウェブサイトのアドレス http://www.mirai.co.jp/、及び http://www.mirai.co.jp/osusume/osusume−p_1.pdf(平成25年9月4日時点では、http://www.mirai.co.jp/osusume/osusume−p_2.pdf)にて、上記パンフレットを公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建物における基礎、床または壁からなる構造体を、保護管内に挿通されてその保護管とともに配線・配管材が貫通する貫通部からの、シロアリの侵入を防止する、防蟻構造であって、
前記保護管は、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されてなり、
防蟻成分を含有し、建物内において、前記保護管の外周面を被うように取り付けられる第1防蟻具と、
防蟻成分を含有し、前記保護管内にあって前記配線・配管材の外周面に装着される、第2防蟻具とを、備え、
前記第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、その筒状基体は、前記保護管に嵌まるようその保護管の外径に対応する内径を有する筒状に形成され、一方の端面が前記構造体の表面に当接するようにして前記保護管に嵌められて取り付け設置され、
前記第2防蟻具は、防蟻成分を含有するとともにクッション性を有する材料により形成され、その第2防蟻具が、前記保護管内に圧縮して装着されて、前記配線・配管材の外周面と前記保護管の内周面との間を閉塞している、配線・配管材貫通部の防蟻構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の防蟻構造21にあっては、防蟻剤バケット26を土間スラブ24に埋設することから、後付けで防蟻剤バケット26を設置することができず、また、保護管23の外周面上を伝って侵入するシロアリに関しては対応が十分とはいえなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、後付けすることができ、かつ、シロアリの侵入を的確に防止することができる、配線・配管材貫通部の防蟻構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造は、建物における基礎、床または壁からなる構造体を、保護管内に挿通されてその保護管とともに配線・配管材が貫通する貫通部からの、シロアリの侵入を防止する、防蟻構造である。ここにおいて、前記保護管は、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されてなる。そして、防蟻構造は、防蟻成分を含有し、建物内において、前記保護管の外周面を被うように取り付けられる第1防蟻具と、防蟻成分を含有し、前記保護管内にあって前記配線・配管材の外周面に装着される、第2防蟻具とを、備える。ここで、前記第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、その筒状基体は、前記保護管に嵌まるようその保護管の外径に対応する内径を有する筒状に形成され、一方の端面が前記構造体の表面に当接するようにして前記保護管に嵌められて取り付け設置される。
前記第2防蟻具は、防蟻成分を含有するとともにクッション性を有する材料により形成され、その第2防蟻具が、前記保護管内に圧縮して装着されて、前記配線・配管材の外周面と前記保護管の内周面との間を閉塞している。
【0007】
この防蟻構造によると、第1防蟻具は、防蟻成分を含有し、構造体を貫通する保護管に対し、建物内において、保護管の外周面を被うように取り付けられる。この第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、筒状基体は、筒の一方の端面が構造体の表面に当接するようにして保護管に嵌められる。これにより、第1防蟻具は、構造体の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、保護管自身が、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されているため、シロアリが、保護管の外周面上とか内周面上を通って侵入し難く、また、保護管を食い破ってその内外周面間を行き来し難い。ここで、仮に、シロアリが、保護管と構造体との境界部分を通って侵入しようとしても、第1防蟻具における筒状基体が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。また、第2防蟻具は、防蟻成分を含有し、保護管内において、配線・配管材の外周面に装着される。これにより、第2防蟻具は、構造体の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、シロアリが、保護管内において、配線・配管材の外周面上を通って侵入しようとする場合には、その保護管内にある第2防蟻具が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。このようにして、第1防蟻具が、建物内において保護管の外周面に取り付けられ、第2防蟻具が、保護管内に装着されることで、これら第1および第2防蟻具を後付けすることができ、かつ、これら第1および第2防蟻具、並びに防蟻成分を含有する保護管により、シロアリの侵入を的確に防止することができる。
しかも、第2防蟻具は、防蟻成分を含有するとともにクッション性を有する材料により形成され、その第2防蟻具が、圧縮して装着されて、配線・配管材の外周面と保護管の内周面との間を閉塞している。こうすることで、保護管内を進行するシロアリが第2防蟻具を越えて進むことを確実に防ぐことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造は、請求項1に記載の防蟻構造において、前記第2防蟻具は、
防蟻成分を含有する不織布からなる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造は、請求項1または2に記載の防蟻構造において、前記筒状基体は、防蟻成分を含有するゴムにより形成される。
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
また、請求項
4に記載の発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造は、
建物における基礎、床または壁からなる構造体を、保護管内に挿通されてその保護管とともに配線・配管材が貫通する貫通部からの、シロアリの侵入を防止する、防蟻構造である。ここにおいて、前記保護管は、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されてなる。そして、防蟻構造は、防蟻成分を含有し、建物内において、前記保護管の外周面を被うように取り付けられる第1防蟻具と、防蟻成分を含有し、前記保護管内にあって前記配線・配管材の外周面に装着される、第2防蟻具とを、備える。ここで、前記第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、その筒状基体は、前記保護管に嵌まるようその保護管の外径に対応する内径を有する筒状に形成され、一方の端面が前記構造体の表面に当接するようにして前記保護管に嵌められて取り付け設置される。前記第2防蟻具は、前記配線・配管材の外周面と前記保護管の内周面との間を閉塞するように装着され、前記第2防蟻具が前記保護管の内周面に保持された状態で、前記配線・配管材がその長手方向に移動可能となるよう、前記第2防蟻具の外周面と前記保護管の内周面とが接触することによるそれら第2防蟻具と保護管との前記長手方向への相対移動の抵抗が、前記第2防蟻具の内周面と前記配線・配管材の外周面とが接触することによるそれら第2防蟻具と配線・配管材との前記長手方向への相対移動の抵抗よりも大となっている。
この防蟻構造によると、第1防蟻具は、防蟻成分を含有し、構造体を貫通する保護管に対し、建物内において、保護管の外周面を被うように取り付けられる。この第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、筒状基体は、筒の一方の端面が構造体の表面に当接するようにして保護管に嵌められる。これにより、第1防蟻具は、構造体の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、保護管自身が、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されているため、シロアリが、保護管の外周面上とか内周面上を通って侵入し難く、また、保護管を食い破ってその内外周面間を行き来し難い。ここで、仮に、シロアリが、保護管と構造体との境界部分を通って侵入しようとしても、第1防蟻具における筒状基体が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。また、第2防蟻具は、防蟻成分を含有し、保護管内において、配線・配管材の外周面に装着される。これにより、第2防蟻具は、構造体の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、シロアリが、保護管内において、配線・配管材の外周面上を通って侵入しようとする場合には、その保護管内にある第2防蟻具が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。このようにして、第1防蟻具が、建物内において保護管の外周面に取り付けられ、第2防蟻具が、保護管内に装着されることで、これら第1および第2防蟻具を後付けすることができ、かつ、これら第1および第2防蟻具、並びに防蟻成分を含有する保護管により、シロアリの侵入を的確に防止することができる。しかも、第2防蟻具は、配線・配管材の外周面と保護管の内周面との間を閉塞するように装着される。こうすることで、保護管内を進行するシロアリが第2防蟻具を越えて進むことを確実に防ぐことができる。さらに、第2防蟻具の外周面と保護管の内周面とが接触することによるそれら第2防蟻具と保護管との長手方向への相対移動の抵抗が、第2防蟻具の内周面と配線・配管材の外周面とが接触することによるそれら第2防蟻具と配線・配管材との長手方向への相対移動の抵抗よりも大となっている。これにより、配線・配管材がその長手方向に移動しても、第2防蟻具は、移動することがなく、このため、その第2防蟻具を保護管内の所定の位置に保持したまま、配線・配管材の配設作業を行なうことができる。
【0014】
また、請求項
5に記載の発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造は、
建物における基礎、床または壁からなる構造体を、保護管内に挿通されてその保護管とともに配線・配管材が貫通する貫通部からの、シロアリの侵入を防止する、防蟻構造である。ここにおいて、前記保護管は、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されてなる。そして、防蟻構造は、防蟻成分を含有し、建物内において、前記保護管の外周面を被うように取り付けられる第1防蟻具と、防蟻成分を含有し、前記保護管内にあって前記配線・配管材の外周面に装着される、第2防蟻具とを、備える。ここで、前記第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、その筒状基体は、前記保護管に嵌まるようその保護管の外径に対応する内径を有する筒状に形成され、一方の端面が前記構造体の表面に当接するようにして前記保護管に嵌められて取り付け設置される。そして、前記第2防蟻具と前記配線・配管材との間に、前記第2防蟻具の防蟻成分が前記配線・配管材に移行するのを防止するシート材が配置される。
この防蟻構造によると、第1防蟻具は、防蟻成分を含有し、構造体を貫通する保護管に対し、建物内において、保護管の外周面を被うように取り付けられる。この第1防蟻具は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体を備え、筒状基体は、筒の一方の端面が構造体の表面に当接するようにして保護管に嵌められる。これにより、第1防蟻具は、構造体の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、保護管自身が、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されているため、シロアリが、保護管の外周面上とか内周面上を通って侵入し難く、また、保護管を食い破ってその内外周面間を行き来し難い。ここで、仮に、シロアリが、保護管と構造体との境界部分を通って侵入しようとしても、第1防蟻具における筒状基体が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。また、第2防蟻具は、防蟻成分を含有し、保護管内において、配線・配管材の外周面に装着される。これにより、第2防蟻具は、構造体の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、シロアリが、保護管内において、配線・配管材の外周面上を通って侵入しようとする場合には、その保護管内にある第2防蟻具が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。このようにして、第1防蟻具が、建物内において保護管の外周面に取り付けられ、第2防蟻具が、保護管内に装着されることで、これら第1および第2防蟻具を後付けすることができ、かつ、これら第1および第2防蟻具、並びに防蟻成分を含有する保護管により、シロアリの侵入を的確に防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造によれば、第1防蟻具が、建物内において保護管の外周面に取り付けられ、第2防蟻具が、保護管内に装着されることで、これら第1および第2防蟻具を後付けすることができ、かつ、これら第1および第2防蟻具、並びに防蟻成分を含有する保護管により、シロアリの侵入を的確に防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明に係る配線・配管材貫通部の防蟻構造を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1〜
図4は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、建物の基礎を示す。2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。3は、前記配線・配管材2を保護する保護管を示す。4は、配線・配管材貫通部の防蟻構造を示し、この防蟻構造4は、前記基礎1を、前記保護管3内に挿通されてその保護管3とともに前記配線・配管材2が貫通する貫通部からの、シロアリの進入を防止するものである。
【0019】
防蟻構造4は、防蟻成分を含有し、建物内において、保護管3の外周面を被うように取り付けられる第1防蟻具5と、防蟻成分を含有し、保護管3内にあって配線・配管材2の外周面に装着される、第2防蟻具8とを、備える。ここで、第1防蟻具5は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体6を備える。この筒状基体6は、保護管3に嵌まるようその保護管3の外径に対応する内径を有する筒状に形成され、一方の端面6aが基礎1の表面に当接するようにして保護管3に嵌められて取り付け設置される。
【0020】
また、第2防蟻具8は、保護管3内において、第1防蟻具5が取り付けられた位置と重なる位置に、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着される。そして、第2防蟻具8が保護管3の内周面に保持された状態で、配線・配管材2がその長手方向Pに移動可能となるよう、第2防蟻具8の外周面と保護管3の内周面とが接触することによるそれら第2防蟻具8と保護管3との前記長手方向Pへの相対移動の抵抗が、第2防蟻具8の内周面と配線・配管材2の外周面とが接触することによるそれら第2防蟻具8と配線・配管材2との前記長手方向Pへの相対移動の抵抗よりも大となっている。
【0021】
具体的には、基礎1は、コンクリート製であって、例えば、床下に設置される底盤からなる。そして、配線・配管材2は、配線材としては、電力用の線とか通信用の線等であったりし、また、配管材としては、給水管とか排水管等であったりする。
【0022】
保護管3は、自在に屈曲可能な波付管からなるが、この波付管は、凹凸が環状に形成された平行波付管であるのが好ましい。もっとも、保護管3は、波付管に限る必要はなく、平滑管であってもよい。この保護管3は、基礎1および筒状基体6を貫通し、建物内において筒状基体6から若干突出して延びる。そして、前記配線・配管材2は、保護管3内に挿通され、建物内において保護管3から露出するように配設される。
【0023】
第1防蟻具5は、前記筒状基体6からなる。この筒状基体6は、前述したように防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有する、エチレンプロピレンゴム等のゴム)により形成されるが、その防蟻成分としては、例えば、ピレスロイド系剤、有機リン剤、カーバメント剤、ホウ素化合物、フッ素化合物などが挙げられ、これら防蟻成分を適宜選択し、また、その含有率を調整することで、筒状基体6は、シロアリを忌避する忌避機能を備えたり、シロアリを殺虫する殺虫機能を備えたりする。
【0024】
この筒状基体6は、筒状基体6の内周面6bの軸方向寸法6uが、筒状基体6と保護管3との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成され、かつ、筒状基体6は、筒状基体6の前記一方の端面6aの内外周間寸法6vが、筒状基体6と基礎1との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成され、また、筒状基体6は、その筒状基体6の内周面6bと前記一方の端面6aとの交わるコーナー6cから、前記一方の端面6aとは反対側の他方の端面6dおよび外周面6eまでの寸法6wが、その間を筒状基体6の内部を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。
【0025】
詳細には、筒状基体6は、前記一方の端面6a側が径大となり前記他方の端面6d側が径小となる段付き環状形状をしている。そして、筒状基体6は、他方の端面6d側が弧状に湾曲して形成されている。また、この筒状基体6の一方の端面6aには、基礎1との間に隙間を形成するように窪む第1凹部6fが形成され、同様に、筒状基体6の内周面6bには、保護管3との間に隙間を形成するように窪む第2凹部6gが形成されている。そして、これら第1および第2凹部6f、6gは、防蟻成分を含有する隙間材6h、例えばブチルゴム等で埋められる。こうして、筒状基体6は、隙間材6hを有し、この隙間材6hを含めて、前記軸方向寸法6u、内外周間寸法6v、並びにコーナー6cから他方の端面6dおよび外周面6eまでの寸法6wが測られる。
【0026】
そして、筒状基体6には、周方向を分断するように、内外を貫通するとともに軸方向全体に延びる、スリット6iが設けられている(
図2、
図3参照)。そこで、筒状基体6がゴムにより形成されることから、このスリット6iを広げることができ、保護管3への筒状基体6の取付けにあたっては、筒状基体6を、その広がったスリット6i側から保護管3へ被せることができる。そして、筒状基体6を保護管3へ被せた後には、筒状基体6の外周面6eにバインド線(図示せず)を巻き、そのバインド線で筒状基体6の外周面6eを締め付けることで、この筒状基体6は、保護管3に取付固定される。
【0027】
このスリット6iは、一方の端面6a側と他方の端面6d側において、互いに周方向にずれた位置にて軸方向に延びる垂直部6j、6jと、中間位置においてそれら垂直部6j、6jを繋ぐように斜めに延びる傾斜部6kとから構成されている。こうして、スリット6iが傾斜部6kを有するにも拘わらず、両端面6a、6d側に垂直部6j、6jを設けることで、外周面6eを締め付けたときに、スリット6iを挟む両側が軸方向にずれることがない。
【0028】
また、筒状基体6は、その外周面6eから突出するようにして取付部6mを有し、その取付部6mには取付孔6nが設けられる。そこで、釘とかビス等の固着具9を、取付孔6nに挿入し、基礎1に打ち込んだりねじ込んだりすることで、この筒状基体6は、基礎1に固定される。
【0029】
第2防蟻具8は、前述したように防蟻成分を含有するが、その防蟻成分としては、筒状基体6における防蟻成分と同様の成分が挙げられ、筒状基体6の場合と同様に、防蟻成分を適宜選択し、また、その含有率を調整することで、第2防蟻具8は、シロアリを忌避する忌避機能を備えたり、シロアリを殺虫する殺虫機能を備えたりする。
【0030】
この第2防蟻具8は、保護管3の先端部分において、第1防蟻具5(図示実施の形態においては、筒状基体6)と重なる位置に、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着される。
【0031】
ここで、第2防蟻具8は、例えば、防蟻成分を含有するとともにクッション性を有する材料により形成される。詳細には、第2防蟻具8は、防蟻成分を含有する不織布からなり、配線・配管材2に巻き付けられる。そして、この不織布からなる第2防蟻具8は、内周面が粘着性を有しないのに対し、外周面が粘着性を有して、その粘着性を有しない内周面が配線・配管材2の外周面に接し、粘着性を有する外周面が保護管3の内周面に接する。その結果、前述したように、第2防蟻具8の外周面と保護管3の内周面とが接触することによるそれら第2防蟻具8と保護管3との前記長手方向Pへの相対移動の抵抗が、第2防蟻具8の内周面と配線・配管材2の外周面とが接触することによるそれら第2防蟻具8と配線・配管材2との前記長手方向Pへの相対移動の抵抗よりも大となる。
【0032】
もっとも、図示実施の形態においては、保護管3は、波付き管からなり、その内周面には、凹凸が連続して形成されている。このため、その凹凸における凹部にクッション性を有する第2防蟻具8が入り込むことで前記抵抗が増加する。したがって、このような場合には、第2防蟻具8の外周面が粘着性を備えることは必ずしも必要ではない。
【0033】
次に、第一の実施の形態に示す防蟻構造4の作用効果について説明する。この防蟻構造4によると、第1防蟻具5は、防蟻成分を含有し、基礎1を貫通する保護管3に対し、建物内において、保護管3の外周面を被うように取り付けられる。この第1防蟻具5は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体6を備える。この筒状基体6は、筒の一方の端面6aが基礎1の表面に当接するようにして保護管3に嵌められる。これにより、第1防蟻具5は、基礎1の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、シロアリが、保護管3と基礎1との境界部分を通って侵入しようとしても、第1防蟻具5における筒状基体6が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。
【0034】
また、第2防蟻具8は、防蟻成分を含有し、保護管3内において、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着される。これにより、第2防蟻具8は、基礎1の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、シロアリが、保護管3内を通って侵入しようとする場合には、その保護管3内にある第2防蟻具8が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。
【0035】
そして、第2防蟻具8は、保護管3内において、第1防蟻具5が取り付けられた位置と重なる。これにより、保護管3内が、第1防蟻具5と第2防蟻具8とで、建物内に対し遮断される。したがって、保護管3内を通って進行するシロアリが、保護管3を破って侵入しようとしても、第1防蟻具5が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。
【0036】
このようにして、第1防蟻具5が、建物内において保護管3の外周面に取り付けられ、第2防蟻具8が、保護管3内の第1防蟻具5と重なる位置に装着されることで、これら第1および第2防蟻具5、8を後付けすることができ、かつ、これら第1および第2防蟻具5、8により、シロアリの侵入を的確に防止することができる。
【0037】
また、第1防蟻具5における筒状基体6は、その筒状基体6の内周面6bの軸方向寸法6uが、その筒状基体6と保護管3との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。そして、筒状基体6は、その筒状基体6の一方の端面6aの内外周間寸法6vが、その筒状基体6と基礎1との境界部分を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。さらに、筒状基体6は、その筒状基体6の内周面6bと一方の端面6aとの交わるコーナー6cから、他方の端面6dおよび外周面6eまでの寸法6wが、その間を筒状基体6の内部を進むシロアリの歩行限界距離よりも長く形成される。こうして、筒状基体6の各寸法を、シロアリの歩行限界距離よりも長く形成することで、シロアリの侵入を一層的確に防止することができる。
【0038】
また、筒状基体6にスリット6iが設けられることで、この筒状基体6を保護管3に嵌めた後に、スリット6iを閉じるように保護管3を、例えばバインド線を用いて締め付けることで、この筒状基体6を、保護管3に密着させることができる。
【0039】
また、第2防蟻具8が、クッション性を有することで、配線・配管材2および保護管3に対する密着度を高めることができる。ここにおいて、第2防蟻具8を保護管3内に配置するにあたっては、保護管3内に挿通されて配設された配線・配管材2に対し、保護管3の外において配線・配管材2に第2防蟻具8を装着する。そこで、第2防蟻具8がクッション性を有することから、その第2防蟻具8を径小となるように圧縮して保護管3内に押し入れることができる。そして、保護管3内において、第2防蟻具8は、その復元力により保護管3の内周面に密着する。また、第2防蟻具8と配線・配管材2とは、その配線・配管材2の長手方向Pに相対移動可能となるように、それら第2防蟻具8の内周面と配線・配管材2の外周面とが接触している。このため、配線・配管材2をその長手方向Pに移動させることなく、第2防蟻具8のみを保護管3内へと移動させることができる。
【0040】
また、第2防蟻具8の外周面と保護管3の内周面とが接触することによるそれら第2防蟻具8と保護管3との長手方向Pへの相対移動の抵抗が、第2防蟻具8の内周面と配線・配管材2の外周面とが接触することによるそれら第2防蟻具8と配線・配管材2との長手方向Pへの相対移動の抵抗よりも大となっている。これにより、配線・配管材2がその長手方向Pに移動しても、第2防蟻具8は、移動することがない。このため、その第2防蟻具8を保護管3内の所定の位置に保持したまま、配線・配管材2の配設作業を行なうことができる。
【0041】
図5は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態の防蟻構造4は、第一の実施の形態とは、第1防蟻具5がテープ巻き部7を備え、また、保護管3には、接続具10(継手)を介して他の保護管11が接続されるが、他はほぼ同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0042】
この防蟻構造4においては、建物内において、保護管3は、筒状基体6から突出して延びている。そして、その延びた先には、その保護管3に続いて配線・配管材2が挿通される他の保護管11が、接続具10を介して接続される。
【0043】
そこで、第1防蟻具5は、筒状基体6の他に、テープ巻き部7を備え、そのテープ巻き部7は、防蟻成分を含有する防蟻テープ7aが保護管3における筒状基体6と接続具10との間を被うよう巻かれて形成される。そして、第2防蟻具8は、保護管3の先端部分において、前記テープ巻き部7と重なる位置に、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着される。
【0044】
具体的には、接続具10は、配線・配管材2が挿通されるよう筒状に形成されている。そして、接続具10の各端側に、保護管3と他の保護管11の端部がそれぞれ嵌められて支持される。
【0045】
防蟻テープ7aは、前述したように防蟻成分を含有するが、その防蟻成分としては、筒状基体6における防蟻成分と同様の成分が挙げられ、筒状基体6の場合と同様に、防蟻成分を適宜選択し、また、その含有率を調整することで、防蟻テープ7a、つまりテープ巻き部7は、シロアリを忌避する忌避機能を備えたり、シロアリを殺虫する殺虫機能を備えたりする。そして、防蟻テープ7aは、例えば、防蟻成分を含有するパテ状のブチルゴムを片面に有し、そのブチルゴムの面を内側にして、保護管3に巻き付けられる。
【0046】
また、第2防蟻具8の配線・配管材2への装着あたっては、接続具10を保護管3から外した後に、それら保護管3と接続具10との間の隙間から、第一の実施の形態と同様にして、装着の作業が行なわれる。
【0047】
また、図示実施の形態においては、第3防蟻具12が、他の保護管11の先端部分において、配線・配管材2の外周面と他の保護管11の内周面との間を閉塞するように装着される。この第3防蟻具12は、第2防蟻具8と同様の材料からなり、この第3防蟻具12の配線・配管材2への装着あたっては、接続具10を他の保護管11から外した後に、それら他の保護管11と接続具10との間の隙間から、第2防蟻具8と同様にして、装着の作業が行なわれる。
【0048】
この第二の実施の形態に示す防蟻構造4の作用効果は、第一の実施の形態に示す防蟻構造4と同様であるが、保護管3に続いて他の保護管11が、接続具10を介して接続されることから、建物内においても、配線・配管材2を露出しないようにすることができる。
【0049】
図6は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態とは、保護管3の、材料および筒状基体6からの突出量、並びに第2防蟻具8の配置位置が異なるが、他は同様であり、以下に、同様の部位には同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0050】
この防蟻構造4においては、保護管3は、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成される。この防蟻成分としては、筒状基体6における防蟻成分と同様の成分が挙げられ、筒状基体6の場合と同様に、防蟻成分を適宜選択し、また、その含有率を調整することで、保護管3は、シロアリを忌避する忌避機能を備えたり、シロアリを殺虫する殺虫機能を備えたりする。そして、保護管3は、第一の実施の形態における保護管3よりも、筒状基体6から長く突出している。ここにおいて、保護管3は、二種類の材料が積層された二層管からなっていてもよく、この場合には、外層が、防蟻成分を含有する材料(例えば、防蟻成分を含有する合成樹脂)により形成されてもよい。
【0051】
そこで、第2防蟻具8は、保護管3内にあって配線・配管材2の外周面に装着される。詳細には、第2防蟻具8は、第1防蟻具5(図示実施の形態においては、筒状基体6)が取り付けられた位置とは重ならない位置に、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着される。もっとも、第2防蟻具8は、第1防蟻具5が取り付けられた位置と重なる位置に装着されてもよい。また、第2防蟻具8は、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着されているが、閉塞することなく装着されてもよい。すなわち、第2防蟻具8は、その第2防蟻具8の外周面と保護管3の内周面との間に隙間が形成されるようにして装着されてもよい。
【0052】
次に、第三の実施の形態に示す防蟻構造4の作用効果について説明する。この防蟻構造4によると、第1防蟻具5は、防蟻成分を含有し、基礎1を貫通する保護管3に対し、建物内において、保護管3の外周面を被うように取り付けられる。この第1防蟻具5は、防蟻成分を含有する材料により形成された筒状基体6を備え、筒状基体6は、筒の一方の端面6aが基礎1の表面に当接するようにして保護管3に嵌められる。これにより、第1防蟻具5は、基礎1の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、保護管3自身が、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成されているため、シロアリが、保護管3の外周面上とか内周面上を通って侵入し難く、また、保護管3を食い破ってその内外周面間を行き来し難い。ここで、仮に、シロアリが、保護管3と基礎1との境界部分を通って侵入しようとしても、第1防蟻具5における筒状基体6が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。
【0053】
また、第2防蟻具8は、防蟻成分を含有し、保護管3内において、配線・配管材2の外周面に装着される。これにより、第2防蟻具8は、基礎1の形成後に取り付ける、つまり後付けすることができる。そして、シロアリが、保護管3内において、配線・配管材2の外周面上を通って侵入しようとする場合には、その保護管3内にある第2防蟻具8が妨げとなり、シロアリのそれ以上の進行を防ぐことができる。ここで、特に、第2防蟻具8が、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着されると、保護管3内を進行するシロアリが第2防蟻具8を越えて進むことを確実に防ぐことができる。
【0054】
このようにして、第1防蟻具5が、建物内において保護管3の外周面に取り付けられ、第2防蟻具8が、保護管3内に装着されることで、これら第1および第2防蟻具5、8を後付けすることができ、かつ、これら第1および第2防蟻具5、8、並びに防蟻成分を含有する保護管3により、シロアリの侵入を的確に防止することができる。
【0055】
また、筒状基体6におけるシロアリの歩行限界距離に関する作用効果等、その他の作用効果については、第一の実施の形態と同様である。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、基礎1は、床下に配設される底盤でなくとも、その底盤から起立する立上り壁等であってもよい。さらに、防蟻構造4が対象とするのは、建物の基礎1の他に、建物の床とか壁であってもよい。すなわち、この防蟻構造4は、建物における基礎、床または壁からなる構造体を対象とする。
【0057】
また、保護管3は、基礎1(構造体)を貫通するようにして基礎1(構造体)に埋設されているが、埋設されるのではなく、基礎1(構造体)に予めあけられた貫通孔に対して挿入されてもよい。すなわち、保護管3は、埋設の有無を問わず、基礎1(構造体)を貫通するものであればよい。
【0058】
また、筒状基体6は、防蟻成分を含有するゴムにより形成されなくとも、防蟻成分を含有していれば、他の材料により形成されてもよい。ここで、筒状基体6が、硬質の材料により形成される場合には、この筒状基体6は、保護管3に、その先端から嵌められて取り付けられる。
【0059】
また、筒状基体6には、スリット6iが一つ設けられているが、複数設けられることで、筒状基体6が、複数の分割体からなっていてもよい。また、反対に、筒状基体6には、スリット6iが設けられなくともよい。そして、この場合には、上記と同様に、筒状基体6は、保護管3に、その先端から嵌められて取り付けられる。
【0060】
また、筒状基体6を保護管3に取付固定するにあたって、締め具としてのバインド線が用いられるが、帯状の締め具等、その他の締め具が用いられてもよい。もっとも、この締め具は、必要なければ、なくともよい。
【0061】
また、第2防蟻具8は、クッション性を有しておれば、不織布からならなくとも、ゴム等からなっていてもよい。また、第2防蟻具8は、クッション性を有する材料により形成されなくともよい。
【0062】
また、第二の実施の形態において、接続具10および他の保護管11を設けることなく、配線・配管材2が、保護管3の先端から露出するようにしてもよい。そして、この場合には、テープ巻き部7は、防蟻成分を含有する防蟻テープ7aが保護管3における筒状基体6から突出した部分を覆うよう巻かれて形成される。
【0063】
また、第二の実施の形態において、他の保護管11内には、第3防蟻具12が装着されているが、この第3防蟻具12はなくともよい。
【0064】
また、
図7に示すように、第2防蟻具8と配線・配管材2との間に、第2防蟻具8の防蟻成分が配線・配管材2に移行するのを防止するシート材13が配置されてもよい。このシート材13は、例えば、ステンレスとかアルミ等の金属からなる。そして、シート材13は、テープ状に形成されて、配線・配管材2に巻かれる。これにより、第2防蟻具8が防蟻成分とともに有機溶剤を含有する場合であっても、その有機溶剤が配線・配管材2に移行することがない。このことは、配線・配管材2が、架橋ポリエチレン管等の合成樹脂管からなる給水・給湯管(給水管または給湯管)である場合には、有効に作用する。また、ここで、配線・配管材2が、断熱材としての発泡材で被覆された発泡被覆付きの給水・給湯管である場合には、部分的にその発泡被覆を除去して給水・給湯管を露出させ、その露出させた部分にシート材13を巻き付けるのがよい。また、この
図7は、
図1に示す例に対してシート材13を追加したものであるが、他の例においても、シート材13を追加してよいのは勿論である。
【0065】
また、
図8に示すように、追加的に、筒状基体6を床板14部分に設置してもよい。すなわち、この実施の形態においては、保護管3および配線・配管材2は、基礎1を貫通し、さらに、その基礎1の上方に位置する床板14を貫通する。そして、第1防蟻具5を構成する筒状基体6が二つ用いられ、一方は、基礎1部分に設置され、もう一方は、床板14部分に設置される。この床板14部分の筒状基体6は、その筒状基体6の一方の端面6aが床板14の裏面に当接するようにして保護管3に嵌められて取付け設置される。そして、テープ巻き部7は、防蟻成分を含有する防蟻テープ7aが保護管3における筒状基体6、6間を被うよう巻かれて形成される。そして、第2防蟻具8は、第1防蟻具5(詳しくは、床板14部分の筒状基体6)と重なる位置に、配線・配管材2の外周面と保護管3の内周面との間を閉塞するように装着される。もっとも、テープ巻き部7にあっては、保護管3が、防蟻成分を含有する合成樹脂により形成される場合には、そのテープ巻き部7は、無くともよい。なお、図中符号9aは、筒状基体6を床板14に固定するための固着具を示す。
【0066】
また、特に、保護管3が防蟻成分を含有しない場合には、基礎1(構造体)内の保護管3に、その保護管3を被う防蟻材が設けられてもよい。