(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336648
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
F02C 3/107 20060101AFI20180528BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20180528BHJP
F02C 3/067 20060101ALI20180528BHJP
F02K 3/06 20060101ALI20180528BHJP
F02K 3/072 20060101ALI20180528BHJP
F02C 7/32 20060101ALI20180528BHJP
F02C 7/36 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
F02C3/107
F02C7/00 F
F02C3/067
F02K3/06
F02K3/072
F02C7/32
F02C7/36
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-55238(P2017-55238)
(22)【出願日】2017年3月22日
(62)【分割の表示】特願2015-542697(P2015-542697)の分割
【原出願日】2013年11月7日
(65)【公開番号】特開2017-160911(P2017-160911A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2017年3月22日
(31)【優先権主張番号】61/726,211
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/719,620
(32)【優先日】2012年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005449
【氏名又は名称】ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ,フレデリック,エム.
(72)【発明者】
【氏名】グラーン,ジョーン,エー.
【審査官】
山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−177607(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02071139(EP,A1)
【文献】
米国特許第08291690(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0275904(US,A1)
【文献】
特開2004−003488(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0272658(US,A1)
【文献】
特開2008−019856(JP,A)
【文献】
特開2007−024052(JP,A)
【文献】
特開2007−024048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 3/107
F02C 3/067
F02C 7/00
F02C 7/32
F02C 7/36
F02K 3/06
F02K 3/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンの設計方法であって、このガスタービンエンジンは、
ファンと、
前記ファンと流体連通する圧縮機セクションと、
前記圧縮機セクションと流体連通する燃焼セクションと、
前記燃焼セクションと流体連通するタービンセクションと、を備え、
前記タービンセクションが、第1のタービンセクションおよび第2のタービンセクションを含み、
前記第1のタービンセクションが、第1の出口点において第1の出口面積を有し、かつ第1の速度で回転し、
前記第2のタービンセクションが、第2の出口点において第2の出口面積を有し、かつ前記第1の速度よりも高い第2の速度で回転し、
前記方法は、
前記第1のタービンセクションを2つのベアリング上に支持し、第1のベアリングは、前記第1のタービンセクションと前記第2のタービンセクションとの中間に位置する中間タービンフレーム内に取り付けられ、第2のベアリングは、前記第1のタービンセクションを取り付けるとともに、前記第1のタービンセクションの下流側の排気ケース内に支持されており、
前記ファンが前記第1のタービンセクションよりも低速度で回転するように、前記ファンと前記第1のタービンセクションによって駆動される低スプールとの間にギヤ減速装置を設け、
第2の性能量に対する第1の性能量の比が、約0.8〜約1.5となるように設定することを含み、
第1の性能量は、前記第1の速度の自乗と前記第1の面積との積として定義され、第2の性能量は、前記第2の速度の自乗と前記第2の面積との積として定義されることを特徴とするガスタービンエンジンの設計方法。
【請求項2】
前記圧縮機セクションが、第1の圧縮機セクションおよび第2の圧縮機セクションを含み、前記第1のタービンセクションおよび前記第1の圧縮機セクションが第1の方向に回転し、前記第2のタービンセクションおよび前記第2の圧縮機セクションが第2の反対方向に回転する、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項3】
前記ファンが、前記第2の反対方向に回転する、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項4】
前記ギヤ減速装置のギヤ比が約2.3よりも大きい、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項5】
前記ギヤ比が約2.5よりも大きい、請求項4に記載のエンジンの設計方法。
【請求項6】
前記比が約1.0以上となるように設定することを含む、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項7】
前記ファンが、空気の一部をバイパスダクトに送り、バイパス比が、前記バイパスダクト内に送られる空気の前記一部を前記圧縮機セクション内に送られる空気量で除算した値として定義され、前記バイパス比が約6.0よりも大きい、請求項2に記載のエンジンの設計方法。
【請求項8】
前記バイパス比が約10.0よりも大きい、請求項7に記載のエンジンの設計方法。
【請求項9】
前記ファンが26個以下のブレードを有する、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項10】
前記第1のタービンセクションが少なくとも3段のステージを有する、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項11】
前記第1のタービンセクションが6段までのステージを有する、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【請求項12】
前記第1のタービンセクションにわたる圧力比が約5:1よりも大きい、請求項1に記載のエンジンの設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、低圧タービンセクションが、高圧タービンセクションの速度および遠心引張応力に対して従来技術のエンジンよりも高い速度および遠心引張応力で回転する、ガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2012年11月14日に出願された仮出願第61/726211号に対する優先権を主張する。
【0003】
ガスタービンエンジンは、周知であり、典型的には空気を低圧圧縮機セクションに送るファンを備える。空気は、低圧圧縮機セクション内で圧縮され、高圧圧縮機セクションに送られる。空気は、高圧圧縮機セクションから燃焼セクションに導かれ、燃料と混合されて点火される。この燃焼の生成物は、高圧タービンセクションを介して下流側に、その後低圧タービンセクションに送られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝統的に、多くの従来技術のエンジンでは、低圧タービンセクションは、低圧圧縮機セクションおよびファンの両方を直接に駆動する。コア直径に対してファン直径をより大きくすることにより燃料消費が改善されるので、業界ではファン直径を大きくする傾向がある。しかしながら、ファン直径が増加すると、高いファンブレードの先端速度が圧縮作用に起因する効率の低下をもたらすことがある。これにより、ファン速度、したがって低圧圧縮機セクションおよび低圧タービンセクション(いずれも、歴史的に低圧スプールを介してファンに連結された)の速度は、設計上の制約となっていた。近年、低圧スプール(低圧圧縮機セクションおよび低圧タービンセクション)とファンとの間にギヤ減速が提案された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
主な実施形態では、ガスタービンエンジンのタービンセクションは、第1および第2のタービンセクションを有する。第1のタービンセクションは、第1の出口面積を有し、第1の速度で回転する。第2のタービンセクションは、第2の出口面積を有し、第1の速度よりも速い第2の速度で回転する。第1の性能量は、第1の速度の自乗と第1の面積の積として定義される。第2の性能量は、第2の速度の自乗と第2の面積の積として定義される。第2の性能量に対する第1の性能量の比は、約0.5〜約1.5である。第1のタービンセクションは、2つのベアリング上に支持され、第1のベアリングが第1のタービンセクションと第2のタービンセクションの中間に位置する中間タービンフレーム内に取り付けられ、第2のベアリングが第1のタービンセクションを取り付けるとともに、第1のタービンセクションの下流側に延在する支持体を有する。
【0006】
前の実施形態による別の実施形態では、上記比は約0.8以上である。
【0007】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第1のタービンセクションは少なくとも3段のステージを有する。
【0008】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第1のタービンセクションは6段までのステージを有する。
【0009】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第2のタービンセクションは、2段以下のステージを有する。
【0010】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第1のタービンセクションにわたる圧力比は約5:1よりも大きい。
【0011】
別の主な実施形態では、ガスタービンエンジンは、ファン、およびファンと流体連通する圧縮機セクションを有する。燃焼セクションは、圧縮機セクションと流体連通する。タービンセクションは、燃焼セクションと流体連通する。タービンセクションは、第1のタービンセクションおよび第2のタービンセクションを含む。第1のタービンセクションは、第1の出口点において第1の出口面積を有し、第1の速度で回転する。第2のタービンセクションは、第2の出口点において第2の出口面積を有し、第1の速度よりも高い第2の速度で回転する。第1の性能量は、第1の速度の自乗と第1の面積の積として定義される。第2の性能量は、第2の速度の自乗と第2の面積の積として定義される。第2の性能量に対する第1の性能量の比は、約0.5〜約1.5である。第1のタービンセクションは、2つのベアリング上に支持され、第1のベアリングが第1のタービンセクションと第2のタービンセクションの中間に位置する中間タービンフレーム内に取り付けられ、第2のベアリングが第1のタービンセクションを取り付けるとともに、第1のタービンセクションの下流側の排気ケース内に支持される。
【0012】
前の実施形態による別の実施形態では、上記比は約0.8以上である。
【0013】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、圧縮機セクションが第1の圧縮機セクションおよび第2の圧縮機セクションを含む。第1のタービンセクションおよび第1の圧縮機セクションは、第1の方向に回転する。第2のタービンセクションおよび第2の圧縮機セクションは、第2の反対方向に回転する。
【0014】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、ギヤ減速装置がファンと第1のタービンセクションによって駆動される低スプールとの間に含まれ、これにより、ファンが第1のタービンセクションよりも低い速度で回転する。
【0015】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、ファンが第2の反対方向に回転する。
【0016】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、ギヤ減速装置のギヤ比が約2.3よりも大きい。
【0017】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、ギヤ比が約2.5よりも大きい。
【0018】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、前記比が約1.0以上である。
【0019】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、ファンが空気の一部をバイパスダクト内に送る。バイパス比は、バイパスダクト内に送られる空気の一部を圧縮機セクション内に送られる空気の量によって除算した比として定義され、このバイパス比は約6.0よりも大きい。
【0020】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、バイパス比が約10.0よりも大きい。
【0021】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、ファンが26個以下のブレードを有する。
【0022】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第1のタービンセクションが少なくとも3段のステージを有する。
【0023】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第1のタービンセクションが6段までのステージを有する。
【0024】
前の実施形態のいずれかによる別の実施形態では、第1のタービンセクションにわたる圧力比が約5:1よりも大きい。
【0025】
これらおよび他の特徴は、以下の明細書および図面から最もよく理解することができ、以下は図面の簡単な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】ファンドライブおよび、低スプールと高スプールの配設の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、ガスタービンエンジン20を概略的に示す。ガスタービンエンジン20は、本明細書では2スプールターボファンとして開示され、通常、ファンセクション22、圧縮機セクション24、燃焼器セクション26、およびタービンセクション28を組み込む。代替となるエンジンでは、他のシステムまたは特徴の中にオーグメンタセクション(図示せず)を含む場合がある。ファンセクション22は、空気をバイパス流路Bに沿って駆動し、一方圧縮機セクション24は、空気をコア流路Cに沿って駆動し、圧縮して燃焼器セクション26内に送り、その後タービンセクション28を介して膨張させる。開示された非限定的な実施形態では、ターボファンガスタービンエンジンとして示されているが、本明細書に記載のコンセプトは、本教示が3スプール構造を含む他のタイプのタービンエンジンにも適用できるので、ターボファンに使用することに限定されないことを理解されたい。
【0028】
エンジン20は、通常、いくつかのベアリングシステム38を介してエンジン静止構造36に対してエンジン長手方向中心軸Aを中心として回転するように取り付けられた低速スプール30および高速スプール32を含む。様々な位置の様々なベアリングシステム38が、代わりにまたは追加で、提供できることを理解されたい。
【0029】
低速スプール30は、通常、ファン42、低圧(または第1の)圧縮機セクション44、および低圧(または第1の)タービンセクション46を相互接続する内側シャフト40を含む。内側シャフト40は、ギヤード構造48を介してファン42に接続され、ファン42を低速スプール30よりも低速度で駆動する。高速スプール32は、高圧(または第2の)圧縮機セクション52および高圧(または第2の)タービンセクション54を相互接続する外側シャフト50を含む。燃焼器56は、高圧圧縮機セクション52と高圧タービンセクション54との間に配設される。エンジン静止構造36の中間タービンフレーム57は、通常、高圧タービンセクション54と低圧タービンセクション46との間に配設される。中間タービンフレーム57は、タービンセクション28内のベアリングシステム38をさらに支持する。本明細書では、高圧タービンセクションは、低圧タービンセクションよりも高い圧力を受ける。低圧タービンセクションは、ファン42に動力供給するセクションである。内側シャフト40および外側シャフト50は、同心であり、それらの長手方向軸と同一直線上にあるエンジン長手方向中心軸Aを中心としてベアリングシステム38を介して回転する。高および低スプールは、共回転または逆回転のいずれかが可能である。
【0030】
コア空気流Cは、低圧圧縮機セクション44、続いて高圧圧縮機セクション52によって圧縮され、燃焼器56内で燃料と混合されて燃焼し、その後高圧タービンセクション54および低圧タービンセクション46にわたって膨張する。中間タービンフレーム57は、コア空気流路内にあるエアフォイル59を含む。タービンセクション46、54は、膨張に応答して、それぞれの低速スプール30および高速スプール32を回転駆動する。
【0031】
一実施例のエンジン20は、高バイパスギヤード航空機エンジンである。バイパス比は、バイパス路B内に送られる空気量をコア路C内への空気量によって除算した比である。さらなる実施例では、エンジン20のバイパス比は、約6よりも大きく、10よりも大きい実施例の実施形態を含み、ギヤード構造48は、約2.3よりも大きいギヤ減速比を有する遊星ギヤシステムまたは他のギヤシステムのような遊星ギア列であり、低圧タービンセクション46は、約5よりも大きい圧力比を有する。開示された一実施形態では、エンジン20のバイパス比は、約10(10:1)よりも大きく、ファン直径は、低圧圧縮機セクション44の直径よりも著しく大きく、低圧タービンセクション46は、約5:1よりも大きい圧力比を有する。いくつかの実施形態では、高圧タービンセクションは、2段以下のステージを有することができる。一方、低圧タービンセクション46は、いくつかの実施形態では、3〜6段のステージを有する。さらに、低圧タービンセクション46の圧力比は、排気ノズルの前の低圧タービンセクション46の出口における全圧に対する低圧タービンセクション46の入口の前で計測された全圧である。ギヤード構造48は、約2.5:1よりも大きいギヤ減速比を有する遊星ギヤシステムまたは他のギヤシステムのような遊星ギア列であることができる。しかしながら、上述のパラメータは、ギヤード構造エンジンの一実施形態の単なる例示であることと、本発明が直接駆動ターボファンを含む他のガスタービンエンジンに適用可能であることと、を理解されたい。
【0032】
高バイパス比により、スラストのかなりの量はバイパス流Bによって提供される。エンジン20のファンセクション22は、特定の飛行条件、典型的には約0.8マッハかつ約35,000フィートの巡航、で設計される。0.8マッハかつ35,000フィートの飛行条件では、エンジンの燃料消費が最良であり、「バケット巡航推力当たり燃料消費率(「TSFC」)としても知られている。TSFCは、lbmで示す1時間当たりの燃料消費率を、エンジンが前記の飛行条件で生成するlbfで示す推力で除算した業界標準のパラメータである。「低ファン圧力比」は、ファン出口ガイドベーンの前の、ファンブレードのみにわたる全圧の比である。非限定的な一実施形態によって本明細書で開示される低ファン圧力は、約1.45より小さい。「低補正ファン先端速度」は、ft/秒を単位とする実際のファン先端速度を[(Tram°R)/(518.7°R)]
0.5の業界標準の温度補正値で除算した値である。非限定的な一実施形態によって本明細書に開示される「低補正ファン先端速度」は、約1150ft/秒よりも小さい。さらに、ファン42は、26個以下のブレードを有することができる。
【0033】
出口面積400は、
図1および
図2において、高圧タービンセクション54の出口位置に示される。低圧タービンセクションの出口面積は、低圧タービンセクションの出口401において画定される。
図2に示すように、タービンエンジン20は逆回転することができる。これは、低圧タービンセクション46および低圧圧縮機セクション44が一方向に回転し、高圧タービンセクション54および高圧圧縮機セクション52を含む高圧スプール32が反対方向に回転することを意味する。ギヤ減速装置48は、例えばエピサイクリックトランスミッション(例えば、太陽、リング、および星ギヤを備える)であってもよく、ファン42が高スプール32と同じ方向に回転するように選択される。様々な量および動作範囲を含むこの配設により、ならびに上述の他の構造により、非常に高い速度を低圧スプールに提供することができる。低圧タービンセクションおよび高圧タービンセクションは、多くの場合、それぞれの速度の自乗が乗算されたタービンセクションの出口面積である性能量を考察して評価される。この性能量(「PQ」)は以下のように定義される。
式1:PQ
ltp=(A
lptxV
lpt2)
式2:PQ
hpt=(A
hptxV
hpt2)
ここで、A
lptは、低圧タービンセクションの出口における(例えば、401における)低圧タービンセクションの面積であり、V
lptは、低圧タービンセクションの速度であり、A
hptは、高圧タービンセクションの出口における(例えば、400における)高圧タービンセクションの面積であり、V
hptは、高圧タービンセクションの速度である。
【0034】
したがって、高圧タービンセクションの性能量に対する低圧タービンセクションの性能量の比は、以下のようになる。
式3:(A
lptxV
lpt2)/(A
hptxV
hpt2)=PQ
ltp/PQ
hpt
上述の設計によって作られたタービンの一実施形態では、低圧タービンセクションおよび高圧タービンセクションの面積は、それぞれ557.9in
2および90.67in
2である。さらに、低圧タービンセクションおよび高圧タービンセクションの速度は、それぞれ10179rpmおよび24346rpmである。したがって、上記の式1および2を使用すると、低圧タービンセクションおよび高圧タービンセクションの性能量は、以下のようになる。
式1:PQ
ltp=(A
lptxV
lpt2)=(557.9in
2)(10179rpm)
2=57805157673.9in
2rpm
2
式2:PQ
hpt=(A
hptxV
hpt2)=(90.67in
2)(24346rpm)
2=53742622009.72in
2rpm
2
上記の式3を使用すると、高圧タービンセクションに対する低圧タービンセクションの比は、以下のようになる。
比=PQ
ltp/PQ
hpt=57805157673.9in
2rpm
2/53742622009.72in
2rpm
2=1.075
別の実施形態では、比は約0.5であり、もう1つの実施形態では、比は約1.5であった。PQ
ltp/PQ
hptの比が0.5〜1.5の範囲内にあると、全体として非常に効率的なガスタービンエンジンが得られる。より厳密には、約0.8以上のPQ
ltp/PQ
hptの比はより効率的である。さらに厳密には、1.0以上のPQ
ltp/PQ
hptの比はさらに効率的である。これらのPQ
ltp/PQ
hptの比によって、特に、タービンセクションを直径および軸長さの両方において従来技術よりもはるかに小さくすることができる。さらに、エンジン全体の効率が大幅に向上する。
【0035】
低圧圧縮機セクションもまた、この配設によって改善され、従来の低圧圧縮機セクションよりも高圧圧縮機セクションのように動作する。それは、従来技術よりも効率的であり、より少ないステージでより多くの仕事を提供することができる。低圧圧縮機セクションは、半径をより小さく、長さをより短くすることができ、同時にエンジンの全体的な圧力比の設計目標の達成に向けてより貢献することができる。
【0036】
図3は、上述の特徴を有するエンジンのための取り付け配設を示す。タービンセクションの開発に伴い、最低圧タービンからファンを駆動するためのシャフトがますます細く、長くなっている。
【0037】
図3では、より高圧のシャフト102が、114で或る方法で取り付けられた前方ベアリング116によって支持されて示されている。シャフト102はまた、好ましくは中間タービンフレーム100を介して、下流位置のベアリング104によって取り付けられる。中間タービンフレーム100は、高圧タービン54の下流側端部と低圧タービン46の上流側端部との中間にあることが示されている。中間タービンフレーム100はまた、低圧またはファン駆動シャフト106を支持するベアリング108に取り付けられる。ファン駆動シャフト106の下流側端部は、タービン排気ケース110内の113で取り付けられたベアリング112内で支持される。すなわち、ベアリング取り付け部113は、低圧タービン46の下流側に延在する。
【0038】
周知のエンジンでは、ファン駆動シャフト106は、タービン排気ケース内に取り付けられた2つのベアリングによって支持されていた。このような配設では、ハブ115は、シャフト106の軸に沿って2つのベアリングを離間させることができる距離を制限する。従来技術では、これらのベアリングは、ファンドライブまたは低圧タービンセクション46の限界速度に耐えなければならない。2つのベアリングは、そのような取り付け部によって十分な距離で常には離間されていなかった。
【0039】
中間タービンフレーム内にベアリング108を取り付け、タービン排気ケース内に下流側ベアリング112を取り付けることにより、かなり広い「ホイールベース」が2つのベアリング108および112の間に設けられ、限界速度の問題に対抗する非常に良好な支持が得られる。
【0040】
図3は、2つのタービンセクションを有するエンジン内の配設を示すが、それらの特徴は3つのタービンセクションを有するエンジンに対しても同様に適用することができる。3つのタービンセクションのエンジンでは、中間タービンフレームは、中間タービンと低圧タービンとの間に存在する。さらに、このようなエンジンでは、上述の面積と速度の比はまた、中間タービンセクションおよび最低圧タービンセクションに対しても当てはまる。
【0041】
実施形態が開示されたが、当業者であれば、特定の修正が本発明の範囲内に入るであろうことを認識するであろう。そのため、以下の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲および内容を決定するために検討されるべきである。