(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の電気自動車の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、バッテリーを左右何れの側にも搬送可能な搬送装置120を備えた電気自動車1について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態の電気自動車1の概略左側面図であり、
図2は、
図1の電気自動車1の概略平面図である。
【0017】
また、
図3は、本実施の形態の電気自動車1におけるバッテリー交換機構100の要部の概略斜視図である。
【0018】
本実施の形態の電気自動車1は、
図1、
図2に示す様に、(1)車体2と、(2)車体2の骨格部を成す、平面視で略長方形状のメインフレーム3と、(3)駆動輪としての左右一対の前輪4L、4Rと、(4)従動輪としての左右一対の後輪5L、5Rと、(5)操縦ハンドル6と、(6)駆動源としてのモータ7を内蔵した駆動ユニット8と、(7)駆動ユニット8に左側電源ケーブル9L及び右側電源ケーブル9Rを介して電力を供給する、交換可能な同一形状の2つに分割されたバッテリー20、20と、(8)バッテリー交換機構100と、(9)モータ7からの駆動力を前輪4L、4Rに左右の車軸10L、10Rを介して伝達する、ディファレンシャル機構を内蔵した動力伝達部11と、(10)座席シート12が前と後に載置されたフロアーパネル13と、(11)左右両側の前と後にそれぞれ配置されたドア(図示省略)と、を備えている。
【0019】
また、2つのバッテリー20、20は、駆動ユニット8に対して電気的に並列接続されている。
【0020】
また、メインフレーム3は、
図2に示す様に、フロントフレーム3Aとリアフレーム3Bと左サイドフレーム3Lと右サイドフレーム3Rとセンター前フレーム3Caとセンター後フレーム3Cbとにより構成されている。
【0021】
また、同一形状で同一寸法の2つのバッテリー20、20は後述するパレット110の上面に載置され、電気自動車1の左右幅方向の重量バランスが均等になる様に、後述する収納ケース200内において、車体2の左右幅方向に並べて配置されている(
図2参照)。また、車体2の左右幅方向の右側に配置されたパレット110の右側面は、収納ケース200の右側開口部201Rに近接しており、また、車体2の左右幅方向の左側に配置されたパレット110の左側面は、収納ケース200の左側開口部201Lに近接している(
図3参照)。
【0022】
また、バッテリー交換機構100は、
図1〜
図3に示す様に、(1)2つのバッテリー20、20をそれぞれ個別に載置するための平面視で略四角形の窪み111が上面中央に形成された、平面視で略四角形の2つのパレット110、110と、(2)収納ケース200内において、車体2の左右両側の内の一方側(例えば、右側)に配置されているバッテリー20を車体2の左右両側の内の他方側(例えば、左側)から取り出す際にはバッテリー20が載置された上記一方側(例えば、右側)のパレット110を、上記他方側(例えば、左側)に向けて搬送し(
図3の矢印A参照)、また、バッテリー20を車体2の左右両側の内の他方側(例えば、左側)から左右両側の内の一方側(例えば、右側)に収納する際にはバッテリー20が載置されたパレット110を、収納ケース200内において、車体2の上記他方側(例えば、左側)から上記一方側(例えば、右側)に向けて搬送する(
図3の矢印B参照)、ゴム製の搬送ベルト121と駆動ローラ122と従動ローラ123とを有する搬送装置120と、(3)搬送装置120の駆動ローラ122に駆動力を伝達するために右車軸10Rの途中に配置され、傘歯車(図示省略)の組み合わせで構成された駆動力分岐部130と、(4)駆動力分岐部130により分岐された駆動力を搬送装置120の駆動ローラ122に伝達するための、両端がユニバーサルジョイントで構成された分岐駆動軸140と、(5)分岐駆動軸140からの駆動力を駆動ローラ122に伝達するか否かを切り替えるクラッチ151(
図4参照)を内蔵した連結部150と、(6)搬送装置120の搬送方向(
図3の矢印A、矢印B参照)の切り替え及び搬送動作の停止の操作を行うための、左側開口部201L及び右側開口部201Rの近傍に配置された左右一対の切替スイッチ160L、160Rと、(7)収納ケース200内において、車体2の左側におけるバッテリー20の有無を検知する左側バッテリー検知センサ170Lと、(8)収納ケース200内において、車体2の右側におけるバッテリー20の有無を検知する右側バッテリー検知センサ170Rと、(9)収納ケース200の左右両側において、バッテリー20が載置されたパレット110を後述するフォーク部310(
図3参照)により収納ケース200から取り出し可能で、且つ、交換された別のバッテリー20が載置されたパレット110をフォーク部310により収納ケース200内に収納可能に設けられた、側面視で略長方形状の左右一対の開口部201L、201Rと、を備えている。左右一対の切替スイッチ160L、160Rについては更に後述する。
【0023】
また、本実施の形態の電気自動車1は、左右一対の切替スイッチ160L、160Rや、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170R等からの信号を受けて、連結部150に内蔵されたクラッチ151の入り切り動作や、モータ7のON・OFF及び回転方向(正方向、逆方向)の切り替え等を制御する制御部30(
図4参照)を備えている。
【0024】
図4は、本実施の形態の電気自動車1のバッテリー20の交換作業に関する制御ブロック図である。
【0025】
なお、本実施の形態では、搬送ベルト121がゴム製である場合について説明しているが、搬送ベルト121の材質は、ゴム製に限定されるものではない。
【0026】
また、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rは、赤外線の発光素子を有する投光部171と、投光部171から投光された赤外線を受光する受光素子を有する受光部172とから構成されている。
【0027】
左側のバッテリー検知センサ170Lの投光部171は、収納ケース200の後側の内壁面部200cにおいて、左側に載置されているバッテリー20の後面の左角部の後方位置(
図2、
図3参照)に固定されており、且つ、左側のバッテリー検知センサ170Lの受光部172は、収納ケース200の前側の内壁面部200bにおいて、左側に載置されているバッテリー20の前面の左角部の前方位置(
図2、
図3参照)であって、投光部171から車体2の前方に投光された赤外線を受光素子により受光可能な位置に固定されている。
【0028】
これにより、バッテリー20が収納ケース200の左右幅方向の中央位置200CL(
図2参照)を基準として左側に位置する場合、左側のバッテリー検知センサ170Lの投光部171から車体2の前方に投光された赤外線は、当該バッテリー20の後面の左角部によって遮られるので、左側のバッテリー検知センサ170Lの受光部172で受光することが出来ない。この検知結果を受け付けた制御部は、バッテリー20が収納ケース200の左右幅方向の中央位置200CLを基準として左側に位置するものと判定する。なお、左側のバッテリー検知センサ170Lの受光部172が投光部171からの赤外線を受光した場合は、制御部は、バッテリー20が収納ケース200の左右幅方向の中央位置200CLを基準として左側に位置していないものと判定する。
【0029】
また、右側のバッテリー検知センサ170Rの投光部171は、収納ケース200の後側の内壁面部200cにおいて、右側に載置されているバッテリー20の後面の右角部の後方位置(
図2、
図3参照)に固定されており、且つ、右側のバッテリー検知センサ170Rの受光部172は、収納ケース200の前側の内壁面部200bにおいて、右側に載置されているバッテリー20の前面の右角部の前方位置(
図2、
図3参照)であって、投光部171から車体2の前方に投光された赤外線を受光素子により受光可能な位置に固定されている。
【0030】
これにより、バッテリー20が収納ケース200の左右幅方向の中央位置200CLを基準として右側に位置する場合、右側のバッテリー検知センサ170Rの投光部171から車体2の前方に投光された赤外線は、当該バッテリー20の後面の右角部によって遮られるので、右側のバッテリー検知センサ170Rの受光部172で受光することが出来ない。この検知結果を受け付けた制御部は、バッテリー20が収納ケース200の左右幅方向の中央位置200CLを基準として右側に位置するものと判定する。なお、右側のバッテリー検知センサ170Rの受光部172が投光部171からの赤外線を受光した場合は、制御部は、バッテリー20が収納ケース200の左右幅方向の中央位置200CLを基準として右側に位置していないものと判定する。
【0031】
また、本実施の形態の連結部150は、通常の走行時には、クラッチ151が常時「切り」状態を維持し、バッテリー20の交換の際には、左側切替スイッチ160L、右側切替スイッチ160Rを操作することで、クラッチ151を「入り」状態に切り替えることが出来る構成である。これにより、通常の走行時には、搬送ベルト121は駆動しない。
【0032】
また、パレット110の4方の側面部には、後述するハンドフォークリフト300(
図5参照)のフォーク部310が挿入可能な略長方形状の孔部112が2つずつ設けられており、且つ、その2つずつ設けられた孔部112の間には、後述するフック101a(
図3参照)を引っ掛けることが可能な略円形状の引っ掛け用孔部113が2つずつ設けられている。
【0033】
また、バッテリー交換機構100は、パレット110の窪み111に載置されたバッテリー20が走行中の振動等により浮き上がらない様にするためのゴム製の帯状固定バンド101を備えている。更にまた、帯状固定バンド101は、そのバンドの両端に上述した2つずつ設けられた引っ掛け用孔部113に引っ掛けるためのフック101aが取り付けられている。
【0034】
これにより、帯状固定バンド101の両端部の2つのフック101aを2つの引っ掛け用孔部113に引っ掛けることで、ゴムの弾性力により、バッテリー20が窪み111側に常時押さえつけられるので、走行中にバッテリー20がパレット110上で振動したり、横ズレしたりするのを防止することが出来る。
【0035】
この様に、バレット110の上面に窪み111を設けると共に、帯状固定バンド101を備えたことにより、簡単な構成で、バッテリー20が、走行中においてバレット110上で移動したり、振動したりすることが防止出来る。
【0036】
また、搬送ベルト121はゴム製であり、パレット110を載置する表面は滑り止め用の凹凸(図示省略)が形成されており、パレット110が、走行中において搬送ベルト121上で移動することが防止出来る。
【0037】
なお、左側電源ケーブル9L、及び右側電源ケーブル9Rの長さは、バッテリー交換機構100の搬送装置120によりバッテリー20を取り出すために、
図5に示す様に車体2の左側(又は右側)に向けてバッテリー20が搬送された場合、及び、更にその搬送されたバッテリー20をフォーク部310で左側開口部201L(又は、右側開口部201R)から取り出して、差し込みプラグ9aを手で着脱出来る位置まで引き出した場合をも考慮して、長めに設定されている(
図2参照)。
【0038】
また、左側電源ケーブル9L、及び右側電源ケーブル9Rの後端部には、2つのバッテリー20、20と電気的に接続するための、手で着脱可能に構成された差し込みプラグ9a、9a(
図2参照)が取り付けられている。また、2つのバッテリー20、20の前側面の左右幅方向の中央位置には、差し込みプラグ9aを差し込むためのコンセント20a(
図3参照)が設けられている。
【0039】
また、搬送装置120と、バッテリー20が載置されたパレット110とを収納する収納ケース200は、車体2の左側と右側のそれぞれに左側開口部201Lと右側開口部201R(
図1、
図3参照)を有する箱状部材であり、平面視でセンター前フレーム3Caとセンター後フレーム3Cbとの間に配置され(
図2参照)、側面視でその上端部がセンター前フレーム3Caとセンター後フレーム3Cbに固定されている(
図1、
図2参照)。なお、収納ケース200の天井部は、フロアーパネル13により覆われている。また、本実施の形態の電気自動車1は、車高を高くすることで、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張らない様に配置されている。
【0040】
また、左サイドフレーム3Lは、収納ケース200の左側開口部201Lの上端部に位置しており、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200内の搬送ベルト121上から取り出したり、或いは、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の搬送ベルト121上に載せたりする際に、バッテリー20やパレット110に干渉しない様にするために、下方に突き出した部分を設けない様に形成されている。
【0041】
また、右サイドフレーム3Rについても、左サイドフレーム3Lの場合と同様に上述した場合を考慮して、バッテリー20やパレット110に干渉しない様にするために、下方に突き出した部分を設けない様に形成されている。
【0042】
また、搬送装置120は、収納ケース200の底面部200aに取り付けられている。具体的には、駆動ローラ122、及び従動ローラ123を回動可能に支持する支持ステイ(図示省略)が、収納ケース200の底面部200aに固定されている。
【0043】
また、収納ケース200の左右一対の開口部201L、201Rには、それぞれ蓋部材(図示省略)が、締結部材(図示省略)を用いて着脱可能に取り付けられている。また、蓋部材を取り付けることにより、収納ケース200の剛性を強化することが出来る。
【0044】
なお、ドアの下端部は、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200内の搬送ベルト121上から取り出したり、或いは、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の搬送ベルト121上に載せたりする際に、バッテリー20やパレット110に干渉しない様に形成されている。
【0045】
また、収納ケース200の前側の内壁面部200bの左側開口部201L、及び右側開口部201Rの近傍には、搬送装置120を矢印A方向(
図3参照)、即ち、モータ7を正回転方向に回動させるか、矢印B方向(
図3参照)、即ち、モータ7を逆回転方向に回動させるか、又は、搬送装置120の搬送を停止させるかの何れかに切り替えるための左右一対の切替スイッチ160L、160R(
図1、
図2参照)が設けられている。
【0046】
本実施の形態の左右一対の切替スイッチ160L、160Rは、押しボタン式で、ボタンが押されている間だけ「ON」状態になる所謂モーメンタリタイプのスイッチであり、3つのボタンにより、搬送装置120の動作を3通りに切り替えることが出来る構成である。即ち、左右一対の切替スイッチ160L、160Rは、搬送装置120の動作について、(1)バッテリー20を取出方向に搬送させるための取出搬送用ボタン161と、(2)バッテリー20を収納方向に搬送させるための収納搬送用ボタン162と、(3)搬送動作を強制的に停止させるための強制停止用ボタン163、の3つのボタンを備えている(
図4参照)。
【0047】
なお、左右一対の切替スイッチ160L、160Rは、これに限定されるものではなく、例えば、タッチパネル式のスイッチであっても良い。
【0048】
本実施の形態の電気自動車1は、上述した通り、収納ケース200の左右両側に左右一対の開口部201L、201Rが設けられているため、バッテリー交換所において、車両2の左右両側に広いスペースが確保されている場合には、作業者は次の様な交換作業を行うものである。
【0049】
即ち、左右一対の開口部201L、201Rに取り付けられているそれぞれの蓋部材を取り外した後、左側開口部201Lから左側のパレット110にフォーク部310を差し込んで、当該左側のパレット110とその上に載置されているバッテリー20を取り出して、既に充電が完了してバッテリー交換所に置かれている別のバッテリー20と交換し、また、右側開口部201Rから右側のパレット110にフォーク部310を差し込んで、当該右側のパレット110とその上に載置されているバッテリー20を取り出して、既に充電が完了している別のバッテリー20と交換すれば、2つのバッテリー20、20の交換作業は完了する。この場合は、搬送装置120を駆動させる必要は無い。なお、左側電源ケーブル9L、及び右側電源ケーブル9Rの着脱作業は、左側のパレット110、及び右側のパレット110を、収納ケース200からそれぞれ取り出し、及び収納する作業の途中において行えばよい。
【0050】
しかし、バッテリー交換所において、車体2の左右両側の内、何れか一方側にしかバッテリー交換用のスペースが確保されていない場合には、当該一方側において、2つのバッテリー20、20を交換(取り出し、及び収納)する必要がある。
【0051】
そこで、本実施の形態の電気自動車1の制御部30では、車体2の左右両側の内、何れか一方側にしかスペースがない場合においても、2つのバッテリー20、20を交換することが出来る、次の様な制御が構成されている。
【0052】
ここでは、車体2の左側にのみ設けられたバッテリー交換用のスペースにおいて2つのバッテリー20、20を交換する場合の制御部30の制御動作を中心に説明するが、車体2の右側において2つのバッテリー20、20を交換する場合についても、左右の用語の関係を逆に読み替えれば実質的に同一であるので、その制御動作の説明は省略する。
【0053】
なお、バッテリー交換所におけるバッテリー交換にかかる具体的な説明は、主として
図3〜
図6を参照しながら更に後述する。
【0054】
即ち、本実施の形態の電気自動車1では、ダッシュボードに設けられたバッテリー交換モード入り切りスイッチ(図示省略)を「入り」状態に操作することで、制御部30は、バッテリー交換モードとなり、その初期状態として、左右一対の切替スイッチ160L、160RからのON信号を受け付け可能な待機状態となる。
【0055】
ここで、左右一対の切替スイッチ160L、160Rには、それぞれ3つのボタンが設けられているので、それに対応して、(1)〜(3)の3つの場合に分けて説明する。
【0056】
(1)第1の場合:制御部30が待機状態にあるときに、左側切替スイッチ160Lの取出搬送用ボタン161が押された場合。
【0057】
この場合、制御部30は、まず、左右の何れの側の切替スイッチからの信号であるかを判定し、左側切替スイッチ160Lからの「ON」信号であるとの判定結果を得て、次に、3つのボタン(取出搬送用ボタン161、収納搬送用ボタン162、強制停止用ボタン163)の内の何れのボタンが押されたかを判定し、取出搬送用ボタン161が押されたものであるとの判定結果を得ると、制御部30は、左側バッテリー検知センサ170Lによるバッテリー20の有無の検知結果を取得する。
【0058】
そして、制御部30は、取得した、バッテリー20の有無の検知結果から、搬送ベルト121の左側にバッテリー20が「無い」と判定すると、搬送装置120の搬送方向が矢印A方向(
図3参照)になる様に制御し、また、搬送ベルト121の左側にバッテリー20が「有る」と判定すると、制御部30は、搬送装置120を回動させることなく、収納ケース200に設けられたスピーカー40(
図4参照)から所定の第1音声メッセージを出力させて作業者に注意を喚起すると共に、上述した待機状態に戻る。
【0059】
即ち、ここで、制御部30により搬送ベルト121の左側にバッテリー20が「無い」と判定された場合、制御部30は、クラッチ151を「切り」状態から「入り」状態に切り替える切替信号をクラッチ151に送り、且つ、モータ7を低速で正回転させるための低速正回転信号を駆動ユニット8に送る。駆動ユニット8は、搬送対象となるバッテリー20の電力を利用してモータ7を駆動させる。これにより、搬送装置120は、矢印A方向に低速で回動を開始し、搬送ベルト121の右側に載置されているパレット110はバッテリー20を載せたまま、右側から左側の開口部201Lに向けて搬送されていく。
【0060】
なお、制御部30によりバッテリー20が「有る」と判定された場合に出力される上述した所定の第1音声メッセージは、例えば、「左側開口部付近にバッテリーが存在しますので、右側のバッテリーを搬送できません。」という内容である。
【0061】
更に、上述した通り、制御部30によりバッテリー20が「無い」と判定されて、搬送ベルト121の右側に載置されているパレット110がバッテリー20を載せたまま、右側から左側の開口部201Lに向けて搬送されてくると、パレット110の左側面が左側開口部201Lの近傍に到達した時点で、バッテリー20の後面の左角部が、左側バッテリー検知センサ170Lの投光部171からの赤外線を遮断することになるので、左側バッテリー検知センサ170Lの受光部172の受光状態がONからOFFに変化する。制御部30は、左側バッテリー検知センサ170Lの受光部172の受光状態のONからOFFへの変化を検知することで、パレット110に載置されたバッテリー20が、右側から左側開口部201Lの近傍まで到達したものと判定し、搬送装置120の回動を自動停止させる。即ち、制御部30は、クラッチ151を「入り」状態から「切り」状態に切り替える切替信号をクラッチ151に送り、且つ、モータ7の回転を停止させるための停止信号を駆動ユニット8に送る。
【0062】
そして、制御部30は、「バッテリー20の搬送が完了しました。」という内容の第2音声メッセージをスピーカー40から出力させると共に、上述した待機状態に戻る。
【0063】
これにより、左側開口部201Lから、バッテリー20、20がそれぞれ載置された2つのパレット110、110を取り出す場合において、作業者が、まず、搬送ベルト121上の左側に載置されているパレット110をハンドフォークリフト300のフォーク部310を用いて左側開口部201Lから取り出した後に、左側切替スイッチ160Lの取出搬送用ボタン161を押すことで、搬送ベルト121上の右側に載置されているパレット110を左側開口部201L近傍にまで搬送させることが出来て、その位置で自動停止されるものである。この様に、パレット110を常に適切な一定位置に自動停止させることが出来るので、作業者はパレット110の動きを常時、見張っている必要がなく、別の作業を並行して行えて作業の効率化が図られる。また、パレット110を停止させる位置が、作業者の力量に左右されることも無く、作業の確実性が確保される。
【0064】
そして、左側開口部201L近傍の一定位置に到達して停止しているパレット110を、作業者がハンドフォークリフト300のフォーク部310を用いて左側開口部201Lから取り出すことが出来るので、作業の安全性と確実性を確保することが出来る。
【0065】
また、作業者が上述した作業手順を間違って、搬送ベルト121上の左側に最初から載置されているパレット110をハンドフォークリフト300のフォーク部310を用いて左側開口部201Lから取り出す作業を行う前に、左側切替スイッチ160Lの取出搬送用ボタン161を操作した場合でも、上述した様に、制御部30が、左側バッテリー検知センサ170Lによるバッテリー20の有無の検知結果を取得して、バッテリー20が「有る」と判定することで、制御部30は、搬送装置120を回動させることなく、収納ケース200に設けられたスピーカー40(
図4参照)から所定の第1音声メッセージを出力させて作業者に注意を喚起するので、作業者の誤操作によるバッテリー20の落下を防止することが出来、作業の安全性を確保することが出来る。
【0066】
(2)第2の場合:制御部30が待機状態にあるときに、左側切替スイッチ160Lの収納搬送用ボタン162が押された場合。
【0067】
この場合、制御部30は、まず、左右の何れの側の切替スイッチからの信号であるかを判定し、左側切替スイッチ160Lからの「ON」信号であるとの判定結果を得て、次に、3つのボタン(取出搬送用ボタン161、収納搬送用ボタン162、強制停止用ボタン163)の内の何れのボタンが押されたかを判定し、収納搬送用ボタン162が押されたものであるとの判定結果を得ると、制御部30は、右側バッテリー検知センサ170Rによるバッテリー20の有無の検知結果を取得する。
【0068】
そして、制御部30は、取得した、バッテリー20の有無の検知結果から、搬送ベルト121の右側にバッテリー20が「無い」と判定すると、搬送装置120の搬送方向が矢印B方向(
図3参照)になる様に制御し、また、搬送ベルト121の右側にバッテリー20が「有る」と判定すると、制御部30は、搬送装置120を回動させることなく、収納ケース200に設けられたスピーカー40(
図4参照)から所定の第3音声メッセージを出力させて作業者に注意を喚起すると共に、上述した待機状態に戻る。
【0069】
即ち、ここで、制御部30により、搬送ベルト121の右側にバッテリー20が「無い」と判定された場合、制御部30は、クラッチ151を「切り」状態から「入り」状態に切り替える切替信号をクラッチ151に送り、且つ、モータ7を低速で逆回転させるための低速逆回転信号を駆動ユニット8に送る。駆動ユニット8は、搬送対象となるバッテリー20の電力を利用してモータ7を駆動させる。これにより、搬送装置120は、矢印B方向に低速で回動を開始し、搬送ベルト121の左側に載置されているパレット110はバッテリー20を載せたまま、左側から右側の開口部201Rに向けて搬送されていく。
【0070】
なお、制御部30によりバッテリー20が「有る」と判定された場合に出力される上述した所定の第3音声メッセージは、例えば、「右側開口部付近にバッテリーが存在しますので、左側のバッテリーを搬送できません。」という内容である。
【0071】
更に、上述した通り、制御部30によりバッテリー20が「無い」と判定されて、搬送ベルト121の左側に載置されているパレット110がバッテリー20を載せたまま、左側から右側開口部201Rに向けて搬送されていくと、パレット110の右側面が右側開口部201Rの近傍に到達した時点で、バッテリー20の後面の右角部が、右側バッテリー検知センサ170Rの投光部171からの赤外線を遮断することになるので、右側バッテリー検知センサ170Rの受光部172の受光状態がONからOFFに変化する。制御部30は、右側バッテリー検知センサ170Rの受光部172の受光状態のONからOFFへの変化を検知することで、パレット110に載置されたバッテリー20が、左側から右側開口部201Rの近傍まで到達したものと判定し、搬送装置120の回動を自動停止させる。即ち、制御部30は、クラッチ151を「入り」状態から「切り」状態に切り替える切替信号をクラッチ151に送り、且つ、モータ7の回転を停止させるための停止信号を駆動ユニット8に送る。
【0072】
そして、制御部30は、「バッテリー20の搬送が完了しました。」という内容の第2音声メッセージをスピーカー40から出力させると共に、上述した待機状態に戻る。
【0073】
これにより、左側開口部201Lから、充電が完了した別のバッテリー20、20がそれぞれ載置された2つのパレット110、110を収納ケース200に収納する場合において、作業者が、まず、充電が完了した別のバッテリー20が載置されたパレット110をハンドフォークリフト300のフォーク部310を用いて左側開口部201Lから搬送ベルト121上に載せた後に、左側切替スイッチ160Lの収納搬送用ボタン162を押すことで、搬送ベルト121上の左側に載置されているパレット110を右側開口部201R近傍にまで搬送させることが出来て、その位置で自動停止されるものである。この様に、作業者からは見えにくい位置であっても、パレット110を常に適切な一定位置に自動停止させることが出来るので、作業者はパレット110の動きを常時、見張っている必要がなく、作業の安全性を確保出来ると共に、別の作業を並行して行えて作業の効率化も図られる。また、パレット110を右側開口部201R近傍の適切な一定位置に自動停止させることが出来るので、搬送ベルト121上の左側には、もう1つのパレット110を載置することが出来るだけのスペースが、作業者の力量に左右されることも無く確実に確保される。
【0074】
これにより、その後、充電が完了している別のバッテリー20が載置されたパレット110を、作業者がハンドフォークリフト300のフォーク部310を用いて左側開口部201Lから搬送ベルト121上の左側に確保されているスペースに安全に且つ確実に載せることが出来て、充電が完了した2つのバッテリー20、20の収納ケース200への収納作業が効率的に行える。
【0075】
また、作業者が上述した作業手順を間違って、搬送ベルト121上の右側にパレット110が載置されている状況において、左側切替スイッチ160Lの収納搬送用ボタン162を操作した場合でも、上述した様に、制御部30が、右側バッテリー検知センサ170Rによるバッテリー20の有無の検知結果を取得して、バッテリー20が「有る」と判定することで、制御部30は、搬送装置120を回動させることなく、収納ケース200に設けられたスピーカー40(
図4参照)から所定の第3音声メッセージを出力させて作業者に注意を喚起するので、作業者の誤操作によるバッテリー20の右側開口部201Rの蓋部材への衝突や落下を防止することが出来、作業の安全性を確保することが出来る。
【0076】
(3)第3の場合:強制停止用ボタン163が押された場合。
【0077】
搬送装置120が搬送動作中において、制御部30が強制停止用ボタン163からの「ON」信号を受け付けると、制御部30は、搬送装置120の回動を自動停止させる。即ち、制御部30は、クラッチ151を「入り」状態から「切り」状態に切り替える切替信号をクラッチ151に送り、且つ、モータ7の回転を停止させるための停止信号を駆動ユニット8に送る。
【0078】
そして、制御部30は、「搬送装置を強制停止しました。」という内容の第4音声メッセージをスピーカー40から出力させて、作業者に注意を喚起すると共に、上述した待機状態に戻る。
【0079】
これにより、作業者は、自らの意思により任意のタイミングで、搬送装置120の搬送動作を強制的に停止させることが出来るので、バッテリー交換作業の安全性を確保することが出来る。
【0080】
なお、搬送装置120が停止中において、制御部30が強制停止用ボタン163からの「ON」信号を受け付けても、制御部30は、何もしないで、上述した待機状態に戻る。
【0081】
また、上述した第1の場合及び第2の場合の説明から明らかな様に、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rの機能を次の様に纏めることが出来る。
【0082】
即ち、左側バッテリー検知センサ170Lは、2つのバッテリー20、20を車体2の左側開口部201Lから取り出す場合において、(1)搬送ベルト121上の右側のバッテリー20を搬送装置120により左側に搬送する際には、搬送ベルト121上の左側におけるバッテリー20の有無を検知し、「有り」と検知すれば搬送動作を開始させない安全装置としての機能を有し、また、(2)搬送ベルト121上の右側のバッテリー20が搬送装置120により左側に搬送されてきた際には、搬送ベルト121上の左側開口部201L近傍に到達したバッテリー20を検知して、そのバッテリー20を左側開口部201Lから落下させることなく安全に搬送動作を停止させる安全停止装置としての機能を有する。
【0083】
また、右側バッテリー検知センサ170Rは、2つのバッテリー20、20を車体2の左側開口部201Lから収納する場合において、(1)搬送ベルト121上の左側のバッテリー20を搬送装置120により右側に搬送する際には、搬送ベルト121上の右側におけるバッテリー20の有無を検知し、「有り」と検知すれば搬送動作を開始させない安全装置としての機能を有し、また、(2)搬送ベルト121上の左側のバッテリー20が搬送装置120により右側に搬送されてきた際には、搬送ベルト121上の右側開口部201R近傍に到達したバッテリー20を検知して、そのバッテリー20が載置されたパレット110を右側開口部201Rの蓋部材に衝突させることなく安全に搬送動作を停止させる安全停止装置としての機能を有する。
【0084】
なお、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rの機能についての上記説明は、車体2の左側にのみ設けられたバッテリー交換用のスペースにおいて2つのバッテリー20、20を交換する場合のものであるが、車体2の右側において2つのバッテリー20、20を交換する場合についても、左右の用語の関係を逆に読み替えれば実質的に同一である。
【0085】
以上のことから、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rは、2つのバッテリー20、20を車体2の左右一対の開口部201L、201Rの何れか一方の開口部を介して交換する場合において、安全装置としての機能と、安全停止装置としての機能の両方の機能を兼ね備えているといえる。
【0086】
なお、本実施の形態の車体2は、本発明の車体の一例にあたり、本実施の形態のモータ7は、本発明のモータの一例にあたる。また、本実施の形態の2つのバッテリー20、20は、本発明の複数のバッテリーの一例にあたり、本実施の形態の2つのパレット110、110は、本発明の複数のバッテリー載置部材の一例にあたる。また、本実施の形態の搬送装置120は、本発明の搬送部の一例にあたる。また、本実施の形態の搬送ベルト121は、本発明の搬送ベルトの一例にあたり、本実施の形態の駆動ローラ122は、本発明の駆動ローラの一例にあたる。
【0087】
次に、本実施の形態のバッテリー交換機構100の動作について、主として
図3、
図5、
図6を参照しながら説明する。
【0088】
図5は、本実施の形態の電気自動車1における2つに分割されたバッテリー20、20の交換作業を模式的に示す概略平面図である。
【0089】
また、
図6は、ハンドフォークリフト300の概略側面図である。
【0090】
本実施の形態では、セルフ式ガソリンスタンドにおいて、車体2の左側にのみバッテリー交換スペースが設けられている場合について説明する。
【0091】
なお、セルフ式ガソリンスタンドにおいて、車体2の左右両側にバッテリー交換スペースが設けられている場合の2つのバッテリー20、20の交換作業については、既に上述した通りであるので、ここでの説明は省略する。
【0092】
また、このセルフ式ガソリンスタンドには、予め充電が完了している交換用のバッテリー20が帯状固定バンド101でパレット110に固定された状態で保管されており、そのパレット110を交換、運搬するためのハンドフォークリフト300が用意されている。
【0093】
更にまた、このセルフ式ガソリンスタンドのバッテリー交換スペースには、電気自動車1の左右一対の前輪4L、4Rを下方から回動自在に支持する前後一対の回転ローラ401(
図5参照)が配置されたローラ設備400が設けられている。前後に所定の間隔402を隔てて配置された一対の回転ローラ401の当該所定の間隔402の間に電気自動車1の左右一対の前輪4L、4Rを載せた状態で前輪4L、4Rを駆動させた場合、その前輪4L、4Rの駆動に伴って前後一対の回転ローラ401が従動回転するので、車体2自体はその場に停止した状態になる。
【0094】
なお、電気自動車1において、モータ7からの動力を左右の車軸10L、10Rに伝達させないニュートラルモードを備え、バッテリー交換モード入り切りスイッチ(図示省略)を「入り」状態に操作することでニュートラルモードに自動的に切り替わる構成とすることで、搬送装置120を駆動させても左右の前輪4L、4Rが回転することは無い。従って、この構成の場合は、バッテリー交換スペースにおいてローラ設備400を設ける必要はない。即ち、この構成の電気自動車の場合、ニュートラルモードにおいて、左側切替スイッチ160Lと右側切替スイッチ160Rの何れを操作しても、モータ7からの動力は搬送装置120にのみ伝達され、左右の車軸10L、10Rには伝達されない。
【0095】
なお、本実施の形態のハンドフォークリフト300は、本発明の荷役装置の一例にあたり、本実施の形態のフォーク部310は、本発明の荷役装置のフォーク部の一例にあたる。
【0096】
まず、電気自動車1のドライバーは、この様なローラ設備400を備えたバッテリー交換スペースに電気自動車1を移動させ、左右一対の前輪4L、4Rを上記前後一対の回転ローラ401の所定の間隔402の間に載せて車体2を停止させて、バッテリー交換モード入り切りスイッチ(図示省略)を「入り」状態に操作する。
【0097】
次に、ドライバーは、車外に出て、収納ケース200の左側開口部201Lに取り付けられている蓋部材(図示省略)のみを取り外す。
【0098】
そして、ドライバーは、搬送ベルト121上の左側に載置されている、バッテリー20を上面に載せたパレット110を、ハンドフォークリフト300のフォーク部310を操作して左側開口部201Lから取り出して、左側電源ケーブル9Lの差し込みプラグ9aを手で着脱出来る位置まで引き出す。
【0099】
具体的には、ドライバーは、ハンドフォークリフト300のフォーク部310の先端が、左側開口部201Lの近傍に位置するパレット110の左側面部に設けられている孔部112に挿入できる様に、高さ調整レバー320(
図6参照)を操作してフォーク部310の高さを調整する。そして、ドライバーは、ハンドフォークリフト300の左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図5参照)に移動させながら、フォーク部310の先端をパレット110の左側面部の孔部112の奥まで挿入した後、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310を少し上昇させる。
【0100】
これにより、パレット110の下面は、搬送ベルト121の表面から離れるので、その状態のまま、ドライバーは、左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図5参照)と反対方向に移動させて、バッテリー20が載置されたパレット110を車体2の収納ケース200から取り出して、左側電源ケーブル9Lの差し込みプラグ9aを手で着脱出来る位置まで引き出す。そして、左側電源ケーブル9Lの差し込みプラグ9aをバッテリー20のコンセント20aから引き抜く。
【0101】
その後、更に、バッテリー20が載置されたパレット110を車体2の収納ケース200から完全に引き出して、ハンドフォークリフト300に載せたまま所定の場所に運ぶ。
【0102】
そして、予め充電が完了している交換用のバッテリー20が帯状固定バンド101でパレット110に固定された状態で保管されているので、そのパレット110をハンドフォークリフト300を用いて電気自動車1の後方まで運び、充電が完了した別のバッテリー20が載せられたパレット110をその位置に一旦降ろし、一時的に仮置きする。
【0103】
その後、ドライバーは、収納ケース200の前側の内壁面部200bの左側に設けられた左側切替スイッチ160Lの取出搬送用ボタン161(
図4参照)を押す。
【0104】
これにより、車体2に設けられている制御部30(
図4参照)は、上述した通り、左側切替スイッチ160Lの取出搬送用ボタン161からの「ON」信号を受け、更に、左側バッテリー検知センサ170Lによるバッテリー20の有無の検知結果を取得して、搬送ベルト121の左側にバッテリー20が「無い」と判定すると、搬送装置120の搬送方向が矢印A方向(
図3参照)になる様に制御する。これにより、駆動ユニット8は、搬送対象となるバッテリー20の電力を利用して、モータ7を低速で正回転させるので、左右の車軸10L、10Rが低速で正回転し、駆動力分岐部130から分岐された駆動力が、分岐駆動軸140及び連結部150のクラッチ151を介して、駆動ローラ122に伝達される。
【0105】
これにより、搬送ベルト121が矢印A方向(
図3参照)に移動し、
図5に示す様に、バッテリー20が載置されたパレット110が車体2の左側の開口部201Lに向けて搬送されてくると、上述した通り、パレット110の左側面が左側開口部201Lの近傍に到達した時点で、左側バッテリー検知センサ170Lの受光部172の受光状態がONからOFFに変化する。制御部30は、左側バッテリー検知センサ170Lの受光部172の受光状態のONからOFFへの変化を検知することで、パレット110に載置されたバッテリー20が、右側から左側開口部201Lの近傍まで到達したものと判定し、搬送装置120の回動を自動停止させて、上述した通り、第2音声メッセージがスピーカー40から発せられる。
【0106】
次に、ドライバーは、左側開口部201Lに到達して停止しているパレット110の上に載置されたバッテリー20のコンセント20aに接続されている右側電源ケーブル9Rの差し込みプラグ9aを引き抜くために、上記と同様に、ドライバーは、搬送ベルト121上の左側に到達して停止している、バッテリー20を上面に載せたパレット110を、ハンドフォークリフト300のフォーク部310を操作して左側開口部201Lから取り出して、右側電源ケーブル9Rの差し込みプラグ9aを手で着脱出来る位置まで引き出す。そして、右側電源ケーブル9Rの差し込みプラグ9aをバッテリー20のコンセント20aから引き抜く。
【0107】
その後、更に、バッテリー20が載置されたパレット110を車体2の収納ケース200から完全に引き出して、ハンドフォークリフト300に載せたまま所定の場所に運ぶ。
【0108】
そして、予め充電が完了している交換用のバッテリー20が上面に固定された状態で保管されているパレット110をハンドフォークリフト300を用いて電気自動車1の左側まで運ぶ。
【0109】
更に、ドライバーは、そのパレット110を、左側開口部201Lから搬送ベルト121の上面に載せることができる様に、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310の高さを調整する。そして、ドライバーは、ハンドフォークリフト300の左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図5参照)に移動させながら、パレット110の左右幅の半分程度まで収納ケース200の内部に挿入し、ハンドフォークリフト300をその位置で一旦停止させて、右側電源ケーブル9Rの差し込みプラグ9aをバッテリー20のコンセント20aに差し込む。その後、ドライバーは、再び、ハンドフォークリフト300の左右一対の取っ手部330を握ってハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図5参照)に更に移動させ、バッテリー20が載置されたパレット110の左側面が収納ケース200の左側開口部201Lの内側に納まる程度まで挿入したことを目視で確認した後、ハンドフォークリフト300の移動を停止させて、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310を少し降下させ、フォーク部310の上面部が、パレット110の孔部112の天井部から離れたことを目視で確認した後、高さ調整レバー320を操作してフォーク部310の降下を停止させ、ハンドフォークリフト300を矢印B方向(
図5参照)と反対方向に移動させて、フォーク部310をパレット110の孔部112から完全に引き抜く。
【0110】
その後、ドライバーは、収納ケース200の前側の内壁面部200bの左側に設けられた左側切替スイッチ160Lの収納搬送用ボタン162(
図4参照)を押す。
【0111】
これにより、制御部30(
図4参照)は、上述した通り、左側切替スイッチ160Lの収納搬送用ボタン162からの「ON」信号を受け、更に、右側バッテリー検知センサ170Rによるバッテリー20の有無の検知結果を取得して、搬送ベルト121の右側にバッテリー20が「無い」と判定すると、搬送装置120の搬送方向が矢印B方向(
図3参照)になる様に制御する。これにより、駆動ユニット8は、搬送対象となるバッテリー20の電力を利用してモータ7を低速で逆回転させるので、左右の車軸10L、10Rが低速で逆回転し、駆動力分岐部130から分岐された駆動力が、分岐駆動軸140及び連結部150のクラッチ151を介して、駆動ローラ122に伝達される。
【0112】
これにより、搬送ベルト121が矢印B方向(
図3参照)に移動し、充電が完了した別のバッテリー20が載置されたパレット110が車体2の右側の開口部201Rに向けて搬送されてくると(
図3参照)、上述した通り、パレット110の右側面が右側開口部201Rの近傍に到達した時点で、右側バッテリー検知センサ170Rの受光部172の受光状態がONからOFFに変化する。制御部30は、右側バッテリー検知センサ170Rの受光部172の受光状態のONからOFFへの変化を検知することで、パレット110に載置されたバッテリー20が、左側から右側開口部201Rの近傍まで到達したものと判定し、搬送装置120の回動を自動停止させて、上述した通り、第2音声メッセージがスピーカー40から発せられる。
【0113】
次に、ドライバーは、車体2の後方に一時的に仮置きしておいた、充電が完了した別のバッテリー20が載せられたパレット110を、ハンドフォークリフト300のフォーク部310により持上げて、フォーク部310の高さを調整をして、収納ケース200の左側開口部201Lから搬送ベルト121の左側に挿入する。そして、その挿入の途中で、上記と同様に、左側電源ケーブル9Lの差し込みプラグ9aをバッテリー20のコンセント20aに差し込み、更に、パレット110の左側面が左側開口部201Lの内側に完全に納まる位置まで挿入して、その位置において搬送ベルト121上に載置する。
【0114】
これにより、同一形状で同一重量のバッテリー20がそれぞれ載置された2つのパレット110が車体2の左右幅の中央位置200CLを中心として左右に均等に配置され、車体2の重量バランスを良好に保つことが出来る。
【0115】
最後に、ドライバーは、収納ケース200の左側開口部201Lに蓋部材(図示省略)を締結部材を用いて固定する。
【0116】
以上の動作により、ドライバーは、車体2の両側からでも、また、片側からでも、安全で効率的な作業により、2つのバッテリー20、20を容易に交換することが出来る。
【0117】
また、駆動ユニット8は、搬送対象となるバッテリー20の電力を利用してモータ7を駆動させることで、搬送装置120を駆動させるので、重量物であるバッテリー20を確実に且つ容易に搬送することが出来る。
【0118】
以上説明したことから、本実施の形態の電気自動車1によれば、例えば、セルフ式ガソリンスタンド等に、簡単な設備を備えた簡易なバッテリー交換スペースを用意しておくことで、ガソリンスタンドの作業員は勿論のこと、ドライバーが自ら、2つのバッテリー20、20の交換を容易に行えるという効果を発揮する。
【0119】
また、これにより、例えば、セルフ式ガソリンスタンド等において、簡単な設備を備えるだけで良いので、バッテリー交換スペースを設置するためのインフラ投資を安く抑えることが出来る。
【0120】
また、本実施の形態の電気自動車1によれば、車体2の左右両側の内の何れの片側からでも、2つのバッテリーを交換することが出来るので、バッテリー交換所において広いスペースが確保出来ない場合でもバッテリー交換作業を行うことが出来る。従って、例えば、セルフ式ガソリンスタンド等において、バッテリー交換スペースを必ずしも大きく確保する必要がなく、インフラ投資を安く抑えることが出来る。
【0121】
また、上記構成によれば、必要な充電量を確保するためのバッテリーを2分割して搭載しているので、バッテリーが一つに纏めて構成されている場合に比べて、それぞれのバッテリー20のサイズを小さくすることが出来て、ハンドフォークリフト300によるバッテリー20を載置したパレット110のリフト操作や運搬操作が容易になり、バッテリー交換作業にあたるガソリンスタンドの作業員やドライバーの負担が軽減される。
【0122】
また、上記構成によれば、必要な充電量を確保するためのバッテリーを2分割して搭載しているので、2つのバッテリー20、20の内、何れか一方のバッテリー20だけ交換することも可能であり、バッテリー交換の自由度が拡大する。
【0123】
また、上記構成によれば、電源ケーブル9L、9Rの差し込みプラグ9aを電気的に接続するためのバッテリー20側のコンセント20aを、バッテリー20の前側面の左右幅の中央位置に設けたことにより、バッテリー20を車体2の左右両側の何れからでも取り出せる様にするために確保されるべき電源ケーブル9L、9Rの全長の余裕度を最小限にとどめることが出来る。
【0124】
また、上記構成によれば、電源ケーブル9L、9Rの差し込みプラグ9aを電気的に接続するためのバッテリー20側のコンセント20aを、バッテリー20の前側面の左右幅の中央位置に設けたことにより、2つのバッテリー20、20を完全に同一形状、同一寸法とすることが出来、バッテリーの共通化が図れる。
【0125】
また、上記構成によれば、車体2の左右両側にバッテリー交換スペースが確保されているようなバッテリー交換所においては、収納ケース200の右側に位置する、バッテリー20が載置されたパレット110を右側開口部201Rを介して交換するときには、収納ケース200の左側に位置するバッテリー20からの電力が使用可能であり、また、収納ケース200の左側に位置する、バッテリー20が載置されたパレット110を左側開口部201Lを介して交換するときには、収納ケース200の右側に位置するバッテリー20からの電力が使用可能であるので、バッテリー交換作業中であっても、2つのバッテリー20、20の内の少なくとも何れか一方が電気的に接続されているので、電気自動車1の電源が確保されており、エアコンやカーナビ等の電子機器を使用することが可能となる。
(実施の形態2)
実施の形態2では、同一形状で同一サイズの交換可能な2つのバッテリー20、20を、車体の左右幅方向における重量バランスが均一になる様に配置した第2の電気自動車1001について説明する。
【0126】
図7は、本発明の別の一実施の形態の第2の電気自動車1001の概略平面図である。
【0127】
ここでは、上記実施の形態1の電気自動車1との相違点を中心に説明し、基本的に共通する構成については同じ符号を付した。
【0128】
本実施の形態の第2の電気自動車1001は、
図7に示す様に、(1)車体2と、(2)車体2の骨格部を成す、平面視で略長方形状のメインフレーム3と、(3)駆動輪としての左右一対の前輪4L、4Rと、(4)従動輪としての左右一対の後輪5L、5Rと、(5)操縦ハンドル6と、(6)駆動源としてのモータ7を内蔵した駆動ユニット8と、(7)駆動ユニット8に左側電源ケーブル9L及び右側電源ケーブル9Rを介して電力を供給する、交換可能な同一形状の2つに分割されたバッテリー20、20と、(8)モータ7からの駆動力を前輪4L、4Rに左右の車軸10L、10Rを介して伝達する、ディファレンシャル機構を内蔵した動力伝達部11と、(9)座席シート12が前と後に載置されたフロアーパネル13と、(10)左右両側の前と後にそれぞれ配置されたドア(図示省略)と、を備えている。
【0129】
なお、2つのバッテリー20、20は、駆動ユニット8に対して電気的に並列接続されている。
【0130】
即ち、上記説明から分かる様に、本実施の形態の第2の電気自動車1001
は、搬送装置120、駆動力分岐部130、分岐駆動軸140、連結部150、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170R、及び左右一対の切替スイッチ160L、160R(
図1、
図2参照)が設けられていない点が、上記実施の形態1の電気自動車1との基本的な相違点であり、その他の構成は、基本的には同じである。
【0131】
また、バッテリー20がそれぞれの上面に載置された2つのパレット110、110を、中央位置200CLを中心として左右両側に重量バランスが均等になる様に収納可能な収納ケース200が設けられており、その収納ケース200の左右両側に左右一対の開口部201L、201Rが形成されている点は、上記実施の形態1の電気自動車1と同じであるが、その収納ケース200の底面部200aにおいて、2つのパレット110、110が載置可能な凹部が形成されている点は、上記実施の形態1の電気自動車1と相違する。
【0132】
即ち、収納ケース200の底面部200aには、パレット110、110が載置される正規の位置に、パレット110の平面視での外形形状とほぼ同じ大きさの略正方形状の凹部が左右にそれぞれ形成されている。凹部の底面は平である。2つのパレット110、110は、それぞれこの凹部の底面上に載置されることにより、走行中における位置ズレを防止出来る。
【0133】
これにより、収納ケース200内に、上記実施の形態1で説明した様なバッテリー交換機構100(
図1、
図2参照)を設ける必要が無いので、上記実施の形態1の電気自動車1の場合と比べて、収納ケース200の高さ方向の寸法を小さくすることが出来る。
【0134】
以上のことから、本実施の形態の第2の電気自動車1001によれば、車両2の左右両側に広いスペースが確保されているバッテリー交換所において、バッテリー交換所の作業員又はドライバーは次の様な交換作業を行うことが出来る。
【0135】
まず、収納ケース200の左右一対の開口部201L、201Rに取り付けられているそれぞれの蓋部材を取り外した後、左側開口部201Lから左側のパレット110にハンドフォークリフト300のフォーク部310を差し込んで、当該左側のパレット110とその上に載置されているバッテリー20を取り出して、既に充電が完了してバッテリー交換所に置かれている別のバッテリー20と交換する。
【0136】
次に、右側開口部201Rから右側のパレット110にハンドフォークリフト300のフォーク部310を差し込んで、当該右側のパレット110とその上に載置されているバッテリー20を取り出して、既に充電が完了している別のバッテリー20と交換する。
【0137】
これにより、2つのバッテリー20、20の交換作業が極めて容易に行えると共に、車体の左右幅方向における重量バランスを均一に出来る。
【0138】
なお、左側電源ケーブル9L、及び右側電源ケーブル9Rの着脱作業は、上記実施の形態1で説明したのと同様に、左側のパレット110、及び右側のパレット110を、収納ケース200からそれぞれ取り出し、及び収納する作業の途中において行えばよい。
【0139】
また、本実施の形態の構成によれば、バッテリー交換所において、上記実施の形態1で説明したローラ設備400を必要としないので、バッテリー交換に必要なスペースを確保出来さえすれば良く、インフラ投資を安く抑えることが出来る。
【0140】
また、本実施の形態の構成によれば、必要な充電量を確保するためのバッテリーを2分割して搭載しているので、バッテリーが一つに纏めて一体構造として構成されている場合に比べて、それぞれのバッテリー20のサイズを小さくすることが出来て、ハンドフォークリフト300によるバッテリー20を載置したパレット110のリフト操作や運搬操作が容易になり、バッテリー交換作業にあたるガソリンスタンドの作業員やドライバーの負担が軽減される。
【0141】
また、本実施の形態の構成によれば、必要な充電量を確保するためのバッテリーを2分割して搭載しているので、2つのバッテリー20、20の内、何れか一方のバッテリー20だけ交換することも可能であり、バッテリー交換の自由度が拡大する。
【0142】
また、本実施の形態の構成によれば、電源ケーブル9L、9Rの差し込みプラグ9aを電気的に接続するためのバッテリー20側のコンセント20aを、バッテリー20の前側面の左右幅の中央位置に設けたことにより、2つのバッテリー20、20を完全に同一形状、同一寸法とすることが出来、バッテリーの共通化が図れる。
【0143】
また、本実施の形態の構成によれば、バッテリー交換所において、収納ケース200の右側に位置する、バッテリー20が載置されたパレット110を右側開口部201Rを介して交換するときには、収納ケース200の左側に位置するバッテリー20からの電力が使用可能であり、また、収納ケース200の左側に位置する、バッテリー20が載置されたパレット110を左側開口部201Lを介して交換するときには、収納ケース200の右側に位置するバッテリー20からの電力が使用可能であるので、バッテリー交換作業中であっても、2つのバッテリー20、20の内の少なくとも何れか一方が電気的に接続されているので、電気自動車1の電源が確保されており、エアコンやカーナビ等の電子機器を使用することが可能となる。
【0144】
また、本実施の形態の構成によれば、実施の形態1の電気自動車1に設けられている搬送装置120等が設けられていないので、構造を簡素化出来るとともに、車両重量を軽減することが出来る。
【0145】
また、本実施の形態の構成によれば、実施の形態1の電気自動車1に設けられている搬送装置120等が設けられていないので、パレット110を搬送装置120で搬送するための時間が不要となり、バッテリー交換作業の短縮化が図れる。
【0146】
また、本実施の形態の構成によれば、必要な充電量を確保するためのバッテリーを2分割して搭載しているので、バッテリーが一つに纏めて一体構造として構成されている場合に比べて、それぞれのバッテリー20のサイズを小さくすることが出来て、ハンドフォークリフト300によるバッテリー20を載置したパレット110のリフト操作や運搬操作が容易になり、バッテリー交換作業の短縮化が図れる。
【0147】
また、本実施の形態の構成によれば、2つのハンドフォークリフト300を使い、2人で車体2の両側から同時にバッテリー交換作業を行うことにより、圧倒的に交換時間を短縮出来る。
【0148】
また、本実施の形態の構成によれば、実施の形態1の電気自動車1に設けられている搬送装置120等が設けられておらず、搬送装置120等を備えた場合に比べて収納ケース200の高さ方向の寸法を小さくすることが出来るので、第2の電気自動車1001の室内空間を広くすることが出来る。
【0149】
また、本実施の形態の構成によれば、実施の形態1の電気自動車1に設けられている搬送装置120等が設けられておらず、搬送装置120等を備えた場合に比べて収納ケース200の高さ方向の寸法を小さくすることが出来るので、第2の電気自動車1001の車体の重心が下がり車体が安定し、乗り心地が向上する。
【0150】
なお、上記実施の形態では、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rを設けた構成について説明したが、これに限らず例えば、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rを備えない構成としても良い。この構成の場合、例えば、搬送装置120の搬送動作開始時の安全確認や搬送動作の停止のタイミングは、作業者の目視等による判断に基づいて行えば良い。また、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rに代えて、パレット110を停止させるべき適正位置を目視で確認出来る様にした、目印プレートを、収納ケース200の内部の天井部の中央位置200CLから左右揺動可能に吊り下げておいても良い。この構成によれば、例えば、予め充電が完了しているバッテリー20が載置されたパレット110をハンドフォークリフト300を利用して左側開口部201L(又は右側開口部201R)から搬送ベルト121の左側(又は右側)に載せて、右側開口部201R(又は左側開口部201L)に向けて搬送させた場合、左側(又は右側)から右側(左側)に向けて搬送されるバッテリー20の上面部の右側角部(左側角部)が、目印プレートの下端部に当接することで、目印プレートが右側(左側)に向けて回動し、その後、バッテリー20の上面部が、引き続き目印プレートの下端部に当接し続けることで、目印プレートはそのままの姿勢を維持するが、更に、バッテリー20が右方向(左方向)に搬送されて、バッテリー20の上面部の左側角部(右側角部)が中央位置200CLを通過してパレット110の左側面(右側面)が中央位置200CLを通過する直前において、目印プレートはバッテリー20の上面部による当接から解放される様に調整されているので、目印プレートは左側(右側)に向けて回動し、しばらく左右に揺動するが最終的には下方に向けて垂れ下がって停止する。作業者は、目印プレートがバッテリー20の上面部による当接から解放されて、左側(右側)に向けて回動を開始したことを目視で確認すれば、速やかに左側切替スイッチ160L(又は右側切替スイッチ160R)の強制停止用ボタン163を押せば良い。これにより、搬送装置120の搬送動作が停止されて、パレット110は、収納ケース200の右側(又は左側)の適切な位置に停止させることが出来る。なお、上述した目印プレートに蛍光塗料等の目立つ色を塗布することにより、更に視認性が向上する。
【0151】
また、上記実施の形態では、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rが、赤外線を利用した構成について説明したが、これに限らず例えば、レーザー光でも良く、光に種類に限定されるものではない。
【0152】
また、上記実施の形態では、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rが、投光部と受光部とを個別に備えた透過型の構成について説明したが、これに限らず例えば、投受光部と反射板を備えた反射型であっても良い。この構成の場合、反射板は、例えば、バッテリー20又はパレット110の前側面又は後側面の所定の位置に予め取り付けておけば良い。
【0153】
また、上記実施の形態では、左右一対のバッテリー検知センサ170L、170Rが、投光部と受光部とを備えた光電センサである場合について説明したが、これに限らず例えば、磁気を利用した近接センサであっても良いし、センサの構造に限定されるものではない。磁気を利用した近接センサの場合、例えば、バッテリー20又はパレット110の前側面又は後側面の所定の位置に予め磁石を取り付けておけば良い。
【0154】
また、上記実施の形態では、左右一対の切替スイッチ160L、160Rが、押しボタン式で、ボタンが押されている間だけ「ON」状態になる所謂モーメンタリタイプのスイッチである場合について説明したが、これに限らず例えば、搬送装置120の動作を上述した様に3通りに切り替えることが出来るスイッチであればどの様な構成であっても良い。例えば、3ポジションの中で任意のポジションに切替ることが可能なダイヤル式のスイッチであっても良いし、レバー式のスイッチであっても良い。
【0155】
また、上記実施の形態では、2つのバッテリー20、20の前側面の左右幅方向の中央位置に、左右の電源ケーブル9L、9Rの差し込みプラグ9aを差し込むためのコンセント20a(
図3参照)がそれぞれ設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、バッテリー20のコンセントを左右方向にスライド移動可能なレール構造とし、先端がフック状に曲がった引っ掛け棒を電気自動車において予め装備した構成としても良い。この構成の場合、作業者は、ハンドフォークリフト300を用いてパレット110を収納ケース200から取り出す前に、スライド可能なコンセントを引っ掛け棒の先端で引っ掛けて開口部まで引き寄せることで、手の届く位置においてコンセントから差し込みプラグ9aを引き抜くことが出来る。また、バッテリー20のコンセントを左右方向にスライド移動可能なレール構造としたうえで、更に、そのコンセントを開口部まで自動で移動させるための移動機構を車体側に設けた構成としても良い。
【0156】
また、上記実施の形態では、バッテリーが2つ搭載されている場合について説明したが、これに限らず例えば、バッテリーの数は、3つ以上であっても良い。
【0157】
また、上記実施の形態では、同一形状、同一寸法の全く同一のバッテリーが2つ搭載されている場合について説明したが、これに限らず例えば、複数のバッテリーはそれぞれ形状や寸法において同一でなくても良い。
【0158】
また、上記実施の形態では、電気自動車1が前輪駆動の場合について説明したが、これに限らず例えば、後輪駆動であっても良い。その場合は、駆動力分岐部130を後輪の車軸に設けることで、搬送装置120の駆動力は後輪側から分岐すれば良い。また、四輪駆動の場合であれば、搬送装置120の駆動力は前輪側又は後輪側の何れから分岐しても良い。
【0159】
また、上記実施の形態では、バッテリー20の搬送の際には、搬送装置120の駆動ローラ122の回転と共に、前輪の左右の車軸10L、10Rも回転する構成について説明したが(
図2、
図5参照)、これに限らず例えば、バッテリー20の搬送の際には、前輪の左右の車軸10L、10Rを回転させないで、駆動ローラ122にのみ駆動力を伝達させる構成としても良い。この構成を実現するには、例えば、モータ7からの駆動力を、動力伝達部11に伝達させるか、それとも、駆動ローラ122側に伝達させるかという伝達経路を切り替える伝達切替機構500(
図8参照)を、駆動ユニット8と動力伝達部11との間の伝達経路上に設けた構成としても良い。また、この様に伝達切替機構500を設けた第3の電気自動車1a(
図8参照)の場合は、上述した連結部150にクラッチ151を内蔵させる必要は無いし、また、セルフ式ガソリンスタンドのバッテリー交換スペースにおいてローラ設備400(
図5参照)を設ける必要も無い。また、この様に伝達切替機構500を設けた第3の電気自動車1aの場合は、例えば、左側切替スイッチ160Lの取出搬送用ボタン161を押すと、車体2に設けられている制御部は、その信号を受けて、伝達切替機構500における伝達経路を、モータ7からの駆動力が駆動ローラ122側にのみ伝達される様に切り替えると共に、モータ7を低速で正回転させるための信号を駆動ユニット8に出力し、また、例えば、左側切替スイッチ160L収納搬送用ボタン162を押すと、上記制御部は、その信号を受けて、伝達切替機構500における伝達経路を、モータ7からの駆動力が駆動ローラ122側にのみ伝達される様に切り替えると共に、モータ7を低速で逆回転させるための制御信号を駆動ユニット8に出力し、また、例えば、左側切替スイッチ160Lの強制停止用ボタン163を押すと、上記制御部は、その信号を受けて、伝達切替機構500における伝達経路を、モータ7からの駆動力が動力伝達部11にも駆動ローラ122側にも伝達されない中立の状態に切り替えると共に、モータ7の回転を停止させる構成としても良い。
図8は、伝達切替機構500を設けた第3の電気自動車1aを示す概略平面図であり、
図2の電気自動車1と同じ構成には同じ符号を付した。
【0160】
また、上記実施の形態では、モータ7が、左右の車軸10L、10Rの駆動と、搬送装置120の駆動ローラ122の駆動とを同時に行うか(
図2の電気自動車1参照)、又は選択的に行うか(
図8の第3の電気自動車1a参照)の何れの場合においても、一つのモータ7が、左右の車軸10L、10Rの駆動と、駆動ローラ122の駆動とを兼ねている場合について説明したが、これに限らず例えば、
図9に示す様に、左右の車軸10L、10Rを駆動させるモータ7の他に、搬送装置120の駆動ローラ122のみを駆動させる搬送装置専用モータ600を備えた第4の電気自動車1bを構成しても良い。
図9は、左右の車軸10L、10Rを駆動させるモータ7の他に、搬送装置120の駆動ローラ122のみを駆動させる搬送装置専用モータ600を備えた第4の電気自動車1bの概略平面図であり、
図2の電気自動車1と同じ構成には同じ符号を付した。また、この様に搬送装置専用モータ600を設けた第4の電気自動車1b(
図9参照)の場合は、上述した連結部150にクラッチ151を内蔵させる必要は無いし、また、セルフ式ガソリンスタンドのバッテリー交換スペースにおいてローラ設備400(
図5参照)を設ける必要も無い。
【0161】
また、上記実施の形態の電気自動車1は、車高を高くすることで、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張らない様に配置されている場合について説明したが、これに限らず例えば、
図10に示す様に、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張った状態に配置された他の例としての第5の電気自動車1cを構成しても良い。この構成の場合、左サイドフレーム3Lと右サイドフレーム3Rの前後幅の略中央部は、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の左側開口部201L、又は右側開口部201Rから出し入れする際に、それらの部材と干渉しない様に、上方に退避する様に側面視で上側に向けて、即ち室内空間側に向けて突き出した形状に形成されている必要がある。
図10は、本発明の電気自動車の他の例としての第5の電気自動車1cの概略左側面図である。
【0162】
また、上記実施の形態の第2の電気自動車1001は、
図10に示した第5の電気自動車1cの場合と同様に、収納ケース200が車体2の室内空間側に出っ張った状態に配置された構成とした場合、第2の電気自動車1001は、搬送装置120等が設けられていないので、収納ケース200の高さ方向の寸法を小さくすることが出来るため、
図10に示す第5の電気自動車1cに比べて、車体2の室内空間側への出っ張りを少なくすることが出来て室内空間を広くすることが出来る。
【0163】
また、上記実施の形態では、左右のサイドフレーム3L、3Rと、フロアーパネル13とが別部材である構成について説明したが、これに限らず例えば、フロアーパネルと左右のサイドフレームとが一体的に形成されたフロアーフレーム(図示省略)を備えた構成であっても良い。その構成の場合、フロアーフレームの内、バッテリー20が載置されたパレット110を収納ケース200の左右一対の開口部201L、201Rから出し入れする際に、出し入れする側に位置するフロアーフレームのサイド部は、出し入れするバッテリー20やパレット110の部材と干渉しない様に形成されておれば良い(
図1、
図10参照)。
【0164】
また、上記実施の形態では、バッテリー20を載置したパレット110、110を、表面は滑り止め用の凹凸(図示省略)が形成された搬送ベルト121の上に載せることで、パレット110、110が、走行中において搬送ベルト121上で移動することが防止出来る構成について説明したが、これに限らず例えば、搬送ベルト121の表面に、パレット110の前後幅に対応した幅Wの溝部121W(
図3中の二点鎖線の斜線を施した部分参照)を搬送方向に沿って全周に亘り形成した構成としても良い。これにより、パレット110を搬送ベルト121の溝部121Wに、はまり込む様に載せることで、車体2の前後方向のズレがより効果的に防止出来るので、電気自動車1が急発進、急停止する場合でも、搬送ベルト121上でパレット110、110が前後方向にズレることを防止出来る。
【0165】
また、上記実施の形態では、バッテリー20を載置したパレット110の位置ズレを防止するための構成として、搬送ベルト121の表面に滑り止め用の凹凸(図示省略)を形成した場合(実施の形態1参照)、また、収納ケース200の底面部200aに凹部を形成した場合(実施の形態2参照)について説明したが、これに加えて、収納ケース200の底面部の前側と後側、又は前側と後側の壁部や天井部において、側面視でそれぞれが例えば略L字形状等を成した、一対の自動ロック式可動アームをパレット毎に設け、その一対の自動ロック式可動アームの先端部がパレット110の前後方向の側面部に形成された孔部112(
図3参照)に挿入されることで、走行中においてパレット110が上下方向に振動したり、前後左右方向に位置ズレすることを防止する構成としても良い。この自動ロック式可動アームは、例えば、上述した、ダッシュボードに設けられたバッテリー交換モード入り切りスイッチ(図示省略)の「切り」状態に操作されたことに連動して、パレット110、110をロックする構成としても良い。
【0166】
また、上記実施の形態では、セルフ式ガソリンスタンドには、充電済みのバッテリー20がパレット110に帯状固定バンド101で固定された状態で保管されている場合について説明したが、これに限らず例えば、予め充電が完了したバッテリー20のみが保管されていても良い。その場合は、ドライバーがパレット110上からバッテリー20を取り外して、充電が完了しているバッテリー20をパレット110上に固定する作業が必要となる。
【0167】
また、上記実施の形態では、バッテリーの交換作業は、セルフ式ガソリンスタンドに設けられているバッテリー交換スペースで行う場合について説明したが、これに限らず例えば、バッテリー交換スペース(バッテリー交換所)は、どこに設けられていても良い。
【0168】
また、上記実施の形態では、パレット110は、ハンドフォークリフト300のフォーク部310の先端が挿入される孔部112が、側面部に形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、パレット110は、その底面において、左右一対の開口部201L、201Rを介してバッテリー20、20を交換する際にハンドフォークリフト300のフォーク部310の先端が挿入可能な様に、車体2の左右幅方向に沿った一対の溝部(図示省略)が平行に形成されていても良い。
【0169】
また、上記実施の形態では、本発明の荷役装置の一例として、ハンドフォークリフト300を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、乗用型のフォークリフトを用いてバッテリーを交換する場合でも本発明は適用可能である。この場合は、乗用型のフォークリフトの運転には免許が必要となるので、通常は、電気自動車のドライバーが自ら乗用型のフォークリフトを運転してバッテリーを交換するという作業は行えないが、その場合でも、バッテリー交換所においてバッテリーの交換を実施する専門の作業者は、従来に比べてバッテリーの交換が容易に行えるという効果を発揮する。
【0170】
また、上記実施の形態では、本発明の荷役装置の一例として、ハンドフォークリフト300を用いた場合について説明したが、これに限らず例えば、ハンドフォークリフト300に代えて、無人フォークリフトを用いてバッテリーを交換する構成としても良い。この場合、無人フォークリフトは、自動でバッテリーを交換することが出来る機能を備えているものとする。
【0171】
また、上記実施の形態では、バッテリー20とパレット110は別部材として説明したが、これに限らず例えば、バッテリー20とパレット110を一体型にした構成、換言すれば、バッテリー20に、ハンドフォークリフト300のフォーク部310又は乗用型のフォークリフトのフォーク部を差し込むことが出来る孔部又は溝部を設けた構成であっても良い(
図11参照)。
図11は、実施の形態1で説明した電気自動車1において、バッテリー20とパレット110を一体型にした一体型バッテリー2020が搬送装置120上に載置されている状態を模式的に示す概略側面図である。
図11に示す様に、一体型バッテリー2020の左右両側面には、フォーク部を差し込むことが出来る左右一対の一体型用孔部2112L、2112Rが2つずつ形成されている。
【0172】
また、この様なパレットの機能を兼ね備えた一体型バッテリー2020を用いた場合、上述した自動ロック式可動アームと同様のロック機構を収納ケース200に設けることで、パレットの機能を兼ね備えた一体型バッテリー2020を収納ケース200に対してより確実に固定することが出来る。
【0173】
この構成によれば、上述したパレット110を備える必要が無いので、収納ケース200の高さ方向の寸法を、パレット110を備えた構成の場合に比べて縮小することが出来る。そのため、例えば、
図1で説明した、車高を高くするタイプの電気自動車1の場合、その車高の高くなる程度を低く抑えることが出来る。また、バッテリー20とパレット110を一体型にしたことにより、帯状固定バンド101が不要となる。
【解決手段】車体2と、前輪4L、4Rを駆動するモータ7と、少なくともモータ7を駆動させるための交換可能な2つのバッテリー20、20と、ハンドフォークリフト300のフォーク部310で取り扱える、バッテリー20、20のそれぞれを個別に載置する2つのパレット110、110と、を備えた電気自動車1であって、バッテリー20が載置されたパレット110は、車体2の左右幅方向に配置されており、車体2の左右両側には、バッテリー20が載置されたパレット110をフォーク部310により車体2から取り出し可能で、且つ、フォーク部310により車体2に収納可能な開口部201L、201Rが設けられている、ことを特徴とする電気自動車1である。