特許第6336695号(P6336695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336695画像化および治療のためのエチレンジシステイン−糖接合体の効率的な合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336695
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】画像化および治療のためのエチレンジシステイン−糖接合体の効率的な合成
(51)【国際特許分類】
   C07H 5/06 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   C07H5/06
【請求項の数】24
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-503472(P2015-503472)
(86)(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公表番号】特表2015-512408(P2015-512408A)
(43)【公表日】2015年4月27日
(86)【国際出願番号】US2013033919
(87)【国際公開番号】WO2013148710
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2016年3月16日
(31)【優先権主張番号】61/615,684
(32)【優先日】2012年3月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500039463
【氏名又は名称】ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, デイビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ドン−ファン
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−505858(JP,A)
【文献】 特表2003−534388(JP,A)
【文献】 特表2006−515835(JP,A)
【文献】 特表2008−531755(JP,A)
【文献】 特表平04−505152(JP,A)
【文献】 P. Blondeau et al.,Dimerization of an intermediate during the sodium in liquid ammonia reduction of l-thiazolidine-4-carboxylic acid,Canadian Journal of Chemistry,1967年,45(1),pp. 49-52
【文献】 Yang Yanb et al.,Antioxidative properties of a newly synthesized 2-glucosamine-thiazolidine-4(R)-carboxylic acid (GlcNH2Cys) in mice,Nutrition Research,2006年,26(7),pp. 369-377
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップリング剤の存在下でアミノ糖と保護されていないチアゾリジンカルボン酸を混合することによって、ペプチド結合によるチアゾリジン−糖接合体を与えることを含む、チアゾリジン−糖接合体を調製する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法に従ってチアゾリジン−糖接合体を調製すること、および該チアゾリジン−糖接合体を、アルカリ金属および電子源を含む還元剤で還元することによって、エチレンジシステイン−糖接合体を与えること含む、エチレンジシステイン−糖接合体を調製する方法。
【請求項3】
アミノ糖は、アミノヘキソースまたはアミノペントースである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アミノヘキソースは、グルコース、ガラクトース、マンノース、イドース、タロース、アルトロース、アロース、グロースまたはフルクトースのアミノ誘導体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
アミノヘキソースはグルコサミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
アミノペントースは、リボース、キシロース、アラビノースまたはリキソースのアミノ誘導体である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
アミノ糖は、糖の2’位に配置されたアミノ基を有する糖である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アミノ糖のヒドロキシル基が保護されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アミノ糖が、1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−アミノ−α−D−グルコピラノース塩酸塩である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記混合が、有機溶媒中で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
有機溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メタノール、エタノール、ヘキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
還元前にチアゾリジン−糖接合体を精製することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
チアゾリジン−糖接合体が、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、またはこれらの組合せによって精製される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アルカリ金属が、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
電子源が、液体アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、またはこれらの組合せである、請求項2に記載の方法。
【請求項16】
金属イオンをエチレンジシステイン−糖接合体にキレート化し、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を生成することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項17】
金属イオンが、テクネチウムイオン、スズイオン、銅イオン、インジウムイオン、タリウムイオン、ガリウムイオン、ヒ素イオン、レニウムイオン、ホルミウムイオン、イットリウムイオン、サマリウムイオン、セレニウムイオン、ストロンチウムイオン、ガドリニウムイオン、ビスマスイオン、鉄イオン、マンガンイオン、ルテチウムイオン、コバルトイオン、白金イオン、カルシウムイオンおよびロジウムイオンからなる金属イオン群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
金属イオンが放射性核種である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
放射性核種が、99mTc、117mSn、177Lu、188Re、186Re、153Sm、166Ho、90Y、89Sr、67Ga、68Ga、111In、183Gd、59Fe、225Ac、212Bi、211At、45Ti、60Cu、61Cu、67Cu、64Cuおよび62Cuからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
金属イオンが非放射性金属である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
非放射性金属が187Reである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、前記チアゾリジンカルボン酸が、
【化1】
である、方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、前記カップリング剤が、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)である、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、前記カップリング剤が、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2012年3月26日に出願された米国仮特許出願第61/615,684号の利益を請求し、本明細書に全体的に参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般的に、化学合成、画像化、放射線療法、標識化、化学療法、医学的治療、心血管疾患の治療および癌の治療の分野に関する。さらに具体的には、本発明は、分子イメージングおよび治療のための接合体の新規合成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
金属標識化のための分子薬剤の合成による調製に関し、このような薬剤を水性(濡れた)条件で調製する場合、薬剤の精製には、ときに問題がある場合がある。水性条件での精製は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、または特定の分子量を取り除く膜を用いた透析を用いて達成することができ、例えば、透析は、典型的には、分子量が1000g/mol以上の種を分離するときに最も効果的である。しかし、この精製方法は、多くは、望ましい薬剤だけではなく、膜を通過し得る任意の他の種も単離してしまう。画像化剤に不純物が入ることは、将来的な画像化剤の用途、特に、イメージングおよび/または治療用途では問題となり得る。例えば、放射性核種(「真の」画像化剤)を組み込んだ画像化剤が、純粋であると思われるが、実際には、放射性核種も組み込んだ不純物を含む場合には、「真の」画像化剤の適切な測定および検出が、不純物の存在によって曖昧になったり、またはうまくいかなくなったりすることがある。
【0004】
有機溶媒中で有機化合物を合成する方法および保護基の使用は、典型的には、水系精製よりも、化合物の精製という点で改良点を与える。保護基を組み入れると、合成中に、中間体の種々の官能基を保護することができ、これらの中間体の精製を促進する。有機溶媒を用いた種々の精製手段によって、非常に少ない不純物を含む所望の化合物、例えば、画像化剤の分離および単離が可能になる。さらに、1000g/molより小さな分子量の種は、多くは、有機化学精製法を用いて簡単に精製することができる。水系精製を上回る有機合成および精製によって得られる利点という観点から見ると、画像化剤を有機的に合成し、精製する方法では、水系精製によって得られるものよりも純度が高い薬剤が得られると思われる。しかし、保護基の付加および除去は、さらなる費用を追加し、最終生成物の効率および純度を下げる場合がある。
【0005】
従って、もっと純度の高い薬剤をさらに効果的な様式で得ることができる合成技術を用い、これらの薬剤および他の薬剤を調製する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、チアゾリジン−糖接合体およびエチレンジシステイン−糖接合体を調製する新規な方法を提供する。チアゾリジン−糖接合体を調製するために、この方法は、アミノ糖とチアゾリジンカルボン酸を混合することによって、チアゾリジン−糖接合体を製造することを含んでいてもよい。エチレンジシステイン−糖接合体を調製するために、この方法は、チアゾリジン−糖接合体を、アルカリ金属および電子源を含む還元剤で還元することをさらに含んでいてもよい。
【0007】
例えば、アミノ糖は、アミノヘキソースまたはアミノペントースである。アミノヘキソースの非限定的な例としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、イドース、タロース、アルトロース、アロース、グロースまたはフルクトースのアミノ誘導体を含む。アミノヘキソースの具体的な例は、グルコサミンである。アミノペントースの非限定的な例としては、リボース、キシロース、アラビノースまたはリキソースのアミノ誘導体を含む。アミノ糖は、糖の2’ 位、3’ 位、4’ 位または5’位に配置されたアミノ基を有する糖である。具体的な態様では、アミノ糖は、糖環の2’位に配置されたアミノ基を有する。
【0008】
混合する方法は、有機溶媒中、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メタノール、エタノール、ヘキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物の中で行われてもよい。他の態様では、混合する方法は、水性溶媒中で行われてもよい。
【0009】
アミノ糖の1個、2個、3個、4個、5個またはすべてのヒドロキシル基が、例えば、アセチル基またはベンゾイル基によって保護されていてもよく、または保護されていなくてもよい。特定的な例では、アミノ糖は、アセチル基で保護されたグルコサミン、例えば、1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−アミノ−α−D−グルコピラノース塩酸塩である。保護基は、通常は有機合成で用いられ、水性合成では用いられない。
【0010】
本発明の方法は、さらに、少なくとも1つの精製工程を含んでいてもよい。本発明の任意の化合物は、当業者が知っている任意の方法によって精製されてもよい。当業者は、このような方法に精通しており、これらの方法を使用してもよい。例えば、特定の化合物に到達することを目的とする多段階合成では、精製工程を、各合成工程の後、いくつかの工程が終了した後ごとに、合成中の種々の点で、および/または合成の本当に最終時に行ってもよい。いくつかの方法では、1つ以上の精製工程は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)およびLC(液体クロマトグラフィー)からなる群から選択される技術を含む。特定の実施形態では、精製方法は、特定的に、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または透析を除外する。精製方法を以下にさらに詳細に記載する。特定的な態様では、この方法は、還元前にチアゾリジン−糖接合体を精製することを含んでいてもよい。
【0011】
エチレンジシステイン−糖接合体を調製するために、チアゾリジン−糖接合体を、アルカリ金属と電子源によって還元してもよい。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであり得る。電子源は、液体アンモニア、メチルアミン、エチルアミンまたはエチレンジアミンであり得る。特定的な態様では、還元は、Birch還元であり得る。
【0012】
金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を生成ために、この方法は、金属イオンをエチレンジシステイン−糖接合体でキレート化することをさらに含んでいてもよい。例えば、金属イオンは、テクネチウムイオン、スズイオン、銅イオン、インジウムイオン、タリウムイオン、ガリウムイオン、ヒ素イオン、レニウムイオン、ホルニウムイオン、イットリウムイオン、サマリウムイオン、セレニウムイオン、ストロンチウムイオン、ガドリニウムイオン、ビスマスイオン、鉄イオン、マンガンイオン、ルテチウムイオン、コバルトイオン、白金イオン、カルシウムイオンおよびロジウムイオンからなる金属イオン群から選択される。ある態様では、金属イオンは、当業者に既知の放射性核種および任意の放射性核種である。放射性核種の非限定的な例としては、99mTc、117mSn、177Lu、188Re、186Re、153Sm、166Ho、90Y、89Sr、67Ga、68Ga、111In、183Gd、59Fe、225Ac、212Bi、211At、45Ti、60Cu、61Cu、67Cu、64Cuおよび62Cuを含む。他の態様では、金属イオンは、非放射性金属、例えば、187Reである。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、被検体の中の部位を画像化し、疾患を診断するか、または疾患を治療する方法に関する。この方法は、本明細書に記載するように調製した、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を得ることと、薬学的または診断的に有効な量の金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を被検体に投与し、部位が画像化され、疾患が診断されるか、または疾患が治療されることとを含んでいてもよい。
【0014】
画像化される部位は、腫瘍であり得る。この方法は、癌被検体を治療する方法としてさらに定義されてもよい。特定の態様では、癌は、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、脳癌、肝臓癌、子宮頸癌、結腸癌、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨癌、食道癌、膀胱癌、子宮体癌、リンパ系の癌、胃癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、または白血病である。
【0015】
さらなる態様では、この方法は、部位に局在化した、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体からのシグナルを検出することを含む、被検体の中の部位を画像化する方法としてさらに定義されてもよい。シグナルは、PET、PET/CT、CT、SPECT、SPECT/CT、MRI、PET/MRI、SPECT/MRI、光学イメージングおよび超音波からなる群から選択される技術を用いて検出されてもよい。
【0016】
画像化される部位が、腫瘍または心臓であり得る。この方法は、心血管疾患被検体を画像化し、診断するか、または治療する方法としてさらに定義されてもよい。心血管疾患は、心筋梗塞、鬱血性心不全、心筋症、心臓弁膜症、不整脈、先天性心疾患、狭心症、非心臓の循環性鬱血、収縮期心不全、正常な収縮機能を有する心不全、または右側心不全であり得る。
【0017】
さらなる実施形態では、実施形態のエチレンジシステイン−糖接合体と、ネオマイシンとを含む接合体組成物またはキットを提供する。ある態様では、この組成物は、エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.1mg〜約1.0mgのネオマイシン(例えば、エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.2〜0.8mg、0.3〜0.7mg、0.4〜0.6mg、または約0.5mg)を含む。なおさらなる態様では、組成物は、酸化防止剤、安定化剤、防腐剤または塩をさらに含んでいてもよい。例えば、組成物は、さらに、アスコルビン酸、システイン、および/または塩化スズ(II)を含んでいてもよい。ある具体的な態様では、組成物は、(a)エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.5〜2.0mgのアスコルビン酸;(b)エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.1〜1.0mgのシステイン;および/または(c)エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.05〜0.5mgの塩化スズ(II)を含む。ある態様では、組成物は、水溶液であるか、または凍結および/または凍結乾燥された溶液である。
【0018】
関連する実施形態では、(a)エチレンジシステイン−糖接合体およびネオマイシンを水溶液(例えば、塩化スズ(II)溶液)に溶解することと;(b)この溶液を凍結乾燥または乾燥し、エチレンジシステイン−糖接合体組成物を与えることとを含む、接合体組成物を製造する方法を提供する。同様に、エチレンジシステイン−糖接合体およびネオマイシンを含む溶液と、金属イオン(例えば、放射性金属イオン)とを適切な条件で混合し、キレートを作製することを含む、エチレンジシステイン−糖接合体の金属キレートを製造する方法を提供する。
【0019】
なおさらなる実施形態では、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を、ネオマイシンと組み合わせて患者に投与することを含む、被検体の中の部位を画像化し、疾患を診断するか、または疾患を治療する方法を提供する。例えば、この方法は、(a)金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体およびネオマイシンを含む組成物を得ることと;(b)薬学的または診断的に有効な量の組成物を被検体に投与し、部位が画像化され、疾患が診断されるか、または疾患が治療されることとを含んでいてもよい。
【0020】
なおさらなる実施形態では、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン−糖接合体と、ネオマイシン(例えば、エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.1mg〜約1.0mgのネオマイシン)とを含む組成物を提供する。例えば、ある態様では、この組成物は、被検体の中の部位を画像化し、疾患を診断するか、または疾患を治療することに使用するためのものである。
【0021】
本発明の方法および/または組成物という観点で記載する実施形態を、本明細書に記載する任意の他の方法または組成物について使用してもよい。従って、ある方法または組成物に関する実施形態を、同様に、本発明の他の方法および組成物に適用してもよい。
【0022】
本明細書で使用する場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つ以上を意味していてもよい。特許請求の範囲で使用する場合、「〜を含む」という語句と組み合わせて用いられる場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、1個、または1個より多いことを意味していてもよい。
【0023】
特許請求の範囲で「または」という用語を用いることは、明確に二者択一であることのみを指すために示されている場合、または選択肢が相互に排他的である場合を除き、「および/または」を意味するために使用されるが、本開示は、二者択一のみを指すという定義、および「および/または」を指すという定義を含んでいる。本明細書で使用する場合、「別の」は、少なくとも2番目以上を意味していてもよい。
【0024】
本明細書全体で、「約」という用語は、ある値が、デバイスに固有の誤差変動を含み、この方法を用いて値を決定しているか、または研究被検体に存在する変動を含むことを示すために用いられる。
【0025】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるし得る。しかし、詳細な説明および具体例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、本発明の精神および範囲に入る種々の変更および改変は、この詳細な説明から当業者には明らかになると思われるため、単なる具体例として与えられていることを理解すべきである。
【0026】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示する特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、1つ以上のこれらの図面を参照することによって良好に理解されてもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
アミノ糖とチアゾリジンカルボン酸を混合することによって、チアゾリジン−糖接合体を与えることを含む、チアゾリジン−糖接合体を調製する方法。
(項目2)
チアゾリジン−糖接合体を、アルカリ金属および電子源を含む還元剤で還元することによって、エチレンジシステイン−糖接合体を与えることをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
アミノ糖は、アミノヘキソースまたはアミノペントースである、項目1に記載の方法。
(項目4)
アミノヘキソースは、グルコース、ガラクトース、マンノース、イドース、タロース、アルトロース、アロース、グロースまたはフルクトースのアミノ誘導体である、項目3に記載の方法。
(項目5)
アミノヘキソースはグルコサミンである、項目4に記載の方法。
(項目6)
アミノペントースは、リボース、キシロース、アラビノースまたはリキソースのアミノ誘導体である、項目3に記載の方法。
(項目7)
アミノ糖は、糖の2’位に配置されたアミノ基を有する糖である、項目1に記載の方法。
(項目8)
アミノ糖のヒドロキシル基が保護されている、項目1に記載の方法。
(項目9)
アミノ糖が、1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−アミノ−α−D−グルコピラノース塩酸塩である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記混合が、有機溶媒中で行われる、項目1に記載の方法。
(項目11)
有機溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メタノール、エタノール、ヘキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物である、項目10に記載の方法。
(項目12)
還元前にチアゾリジン−糖接合体を精製することをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目13)
チアゾリジン−糖接合体が、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、またはこれらの組合せによって精製される、項目12に記載の方法。
(項目14)
アルカリ金属が、リチウム、ナトリウムまたはカリウムである、項目2に記載の方法。
(項目15)
電子源が、液体アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、またはこれらの組合せである、項目2に記載の方法。
(項目16)
金属イオンをエチレンジシステイン−糖接合体にキレート化し、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を生成することをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目17)
金属イオンが、テクネチウムイオン、スズイオン、銅イオン、インジウムイオン、タリウムイオン、ガリウムイオン、ヒ素イオン、レニウムイオン、ホルミウムイオン、イットリウムイオン、サマリウムイオン、セレニウムイオン、ストロンチウムイオン、ガドリニウムイオン、ビスマスイオン、鉄イオン、マンガンイオン、ルテチウムイオン、コバルトイオン、白金イオン、カルシウムイオンおよびロジウムイオンからなる金属イオン群から選択される、項目16に記載の方法。
(項目18)
金属イオンが放射性核種である、項目16に記載の方法。
(項目19)
放射性核種が、99mTc、117mSn、177Lu、188Re、186Re、153Sm、166Ho、90Y、89Sr、67Ga、68Ga、111In、183Gd、59Fe、225Ac、212Bi、211At、45Ti、60Cu、61Cu、67Cu、64Cuおよび62Cuからなる群から選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
金属イオンが非放射性金属である、項目16に記載の方法。
(項目21)
非放射性金属が187Reである、項目20に記載の方法。
(項目22)
被検体の中の部位を画像化し、疾患を診断するか、または疾患を治療する方法であって、
(a)項目16に記載の方法によって作られる、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を得ることと;
(b)薬学的または診断的に有効な量の金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を被検体に投与し、部位が画像化され、疾患が診断されるか、または疾患が治療されることとを含む方法。
(項目23)
前記方法が、癌被検体を治療する方法としてさらに定義される、項目22に記載の方法。
(項目24)
癌が、中皮腫、乳癌、肺癌、前立腺癌、卵巣癌、脳癌、肝臓癌、子宮頸癌、結腸癌、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨癌、食道癌、膀胱癌、子宮体癌、リンパ系の癌、胃癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、または白血病である、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記方法が、二重放射線療法/化学療法併用療法を行うための方法としてさらに定義される、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記方法が、部位に局在化した、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン−糖接合体からのシグナルを検出することを含む、被検体の中の部位を画像化する方法としてさらに定義される、項目22に記載の方法。
(項目27)
シグナルが、PET、PET/CT、CT、SPECT、SPECT/CT、MRI、PET/MRI、SPECT/MRI、光学イメージングおよび超音波からなる群から選択される技術を用いて検出される、項目26に記載の方法。
(項目28)
画像化される部位が、腫瘍または心臓である、項目22に記載の方法。
(項目29)
心血管疾患被検体を画像化し、診断するか、または治療する方法としてさらに定義される、項目22に記載の方法。
(項目30)
心血管疾患が、心筋梗塞、鬱血性心不全、心筋症、心臓弁膜症、不整脈、先天性心疾患、狭心症、非心臓の循環性鬱血、収縮期心不全、正常な収縮機能を有する心不全、または右側心不全である、項目29に記載の方法。
(項目31)
エチレンジシステイン−糖接合体と、ネオマイシンとを含む、接合体組成物。
(項目32)
エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.1mg〜約1.0mgのネオマイシンを含む、項目31に記載の組成物。
(項目33)
エチレンジシステイン−糖接合体が、項目1に記載の方法によって作られる、項目31に記載の組成物。
(項目34)
酸化防止剤をさらに含む、項目31に記載の組成物。
(項目35)
アスコルビン酸、システイン、または塩化スズ(II)をさらに含む、項目31に記載の組成物。
(項目36)
(a)エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.5〜2.0mgのアスコルビン酸;
(b)エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.1〜1.0mgのシステイン;または
(c)エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.05〜0.5mgの塩化スズ(II)を含む、項目35に記載の組成物。
(項目37)
前記組成物が凍結乾燥される、項目31に記載の組成物。
(項目38)
(a)エチレンジシステイン−糖接合体およびネオマイシンを水溶液に溶解することと;
(b)この溶液を凍結乾燥し、エチレンジシステイン−糖接合体組成物を提供することとを含む、接合体組成物を製造する方法。
(項目39)
被検体の中の部位を画像化し、疾患を診断するか、または疾患を治療する方法であって、
(a)金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体およびネオマイシンを含む組成物を得ることと;
(b)薬学的または診断的に有効な量の組成物を被検体に投与し、部位が画像化され、疾患が診断されるか、または疾患が治療されることとを含む、方法。
(項目40)
金属イオンで標識されたエチレンジシステイン−糖接合体と、ネオマイシンとを含む、組成物。
(項目41)
エチレンジシステイン−糖接合体1mgあたり約0.1mg〜約1.0mgのネオマイシンを含む、項目40に記載の組成物。
(項目42)
被検体の中の部位を画像化し、疾患を診断するか、または疾患を治療することに使用するための、項目40に記載の組成物。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1。ECGの効果的な合成。
図2図2。溶出液として食塩水を用いた68Ga−ECGのTLC分析。68Ga−ECGの純度の放射線−TLC分析は、>96%であった。
図3図368/69Ga−ECGおよびECGのHPLC分析(移動相:HO/アセトニトリル、9:1V/V、流速:0.5ml/分、カラム:C18−extend(Agilent)、UV ABS 210nm)。68Ga−ECGの純度のHPLC分析は、>96%であった。
図4図499mTc−ECGのITLC(上側のa、食塩水中)およびHPLC(下側のb、NaI検出器)分析(移動相:HO/アセトニトリル、9:1V/V、流速:0.5ml/分、カラム:C18−extend(Agilent)、UV ABS:210nm)。99mTc−ECGの純度の放射線−TLCおよびHPLC分析は、>96%であった。
図5図5。中皮腫を有するラットの18F−FDGおよび68Ga−ECG PETイメージング(400μCi/ラット、静脈内、45分間収集した)。腫瘍および筋肉について、対応する時間間隔でコンピュータによって輪郭を作成した関心領域(ROI)(ピクセルあたりの計測数)を使用し、動態プロットを作成した。動態プロットは、0〜45分であった。
図6図6。45分治療する前および後の中皮腫を有するラットの68Ga−ECG PET画像(400μCi/ラット、静脈内、下半身)。上側:腫瘍の大きさが1.5cmでのベースライン、下側:パクリタキセルで治療したもの(20mg/kg、静脈内、7日目に1回投薬)。T:腫瘍。
図7図7。中皮腫を有するラットの99mTc−EC(左側)および99mTc−ECG(300μCi/ラット、静脈内、500,000計測数を収集した)(真ん中および右側)のプラナーシンチグラフィー。1時間(上側パネル)および2時間(下側パネル)での筋肉に対する腫瘍の計測密度比の数。T:腫瘍。
図8図8。G−Ac−TのH NMR。
図9図9。T−G−(Ac)4の13C NMR
図10図10。T−G−(Ac)4のMS
図11図11。EC−GのH NMR
図12図12。EC−Gの13C NMR
図13図13。EC−Gの質量スペクトル
図14図14。EC−GのHPLC
図15図1599mTcEC−G(ITLC、溶出液として食塩水を用いる)。
図16図16。移動相として食塩水を用いて、99mTc−EC−Gの即時型薄層クロマトグラフィー分析。紙:Waterman 1番;カタログ番号:3030614。左側のパネルは、本明細書に開示するキットを用いて作られた生成物であり、右側のパネルは、標準的な99mTc−EC−Gである。
図17図17。溶出液としてHO/MeCN(9:1)を用い、流速0.50mL/分で本明細書に開示するキットを用いて作られた99mTc−EC−GのHPLC分析。カラム:Extend C18;SN:USFK004129、Agilent)。
図18図18。溶出液としてHO/MeCN(9:1)を用い、流速0.50mL/分で標準的な99mTc−EC−GのHPLC分析。カラム:Extend C18;SN:USFK004129、Agilent)。
図19図19。13762ラット哺乳動物腫瘍細胞における、作られたキットおよび標準的な99mTc−EC−Gの吸収。左側のカラムは、キット製品であり、右側のカラムは、標準的な製品である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、エチレンジシステイン−糖接合体を調製するための前駆体であるチアゾリジン−糖接合体を調製するための新規合成方法に関する。本発明は、さらに、エチレンジシステイン−糖接合体の合成方法を提供する。ある態様では、これらの合成方法は、エチレンジシステイン(EC)に対するさらなる保護基の必要性を取り除き、米国特許出願公開第20100055035号(本明細書に参照により組み込まれる)に記載される他の方法と比較したときに、処理効率および最終生成物の純度が上げ得る。
【0029】
特定の態様では、本発明の方法の少なくとも一部分は、有機溶媒中で行われる。本発明の方法のための溶媒の選択は、当業者に知られ得る。溶媒の選択は、例えば、すべての試薬の可溶化を促進するかどうか、または、例えば、(特に、反応機構が知られている場合には)望ましい反応を最良に促進するかどうかにより得る。溶媒は、例えば、極性溶媒および/または非極性溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシドであり得る。溶媒の選択としては、限定されないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メタノール、エタノール、ヘキサン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、および/またはアセトニトリルを含む。ある実施形態では、溶媒としては、エタノール、ジメチルホルムアミドおよび/またはジオキサンを含む。任意の特定の反応または精製手順のために、1種類より多い溶媒を選択してもよい。水を任意の溶媒の選択肢とともに混合してもよく、この混合は、例えば、1つ以上の反応剤の溶解度を高めるために行うことができる。濡れた(水性)化学に由来する方法も提供する。
【0030】
本明細書に記載するように、本発明のいくつかの態様は、チアゾリジンまたはその誘導体との反応において、アミノ糖を保護するための保護基の使用を含む。しかし、本発明の態様は、米国特許出願公開第20100055035号のようなエチレンジシステイン(EC)に保護基を付加する必要をなくし得る。
【0031】
多官能化合物の1つの反応性部位で選択的に化学反応を行う場合、他の反応性部位は、一時的に遮断しなければならない。「保護基」または「保護された求核性基」は、本明細書で使用する場合、この一時的な遮断の目的のために用いられる基として定義される。本発明の高分子の合成中に、種々の官能基は、合成の種々の段階で保護基(または保護剤)を用いて保護されなければならない。このような工程を達成するために、当業者がよく知っている多くの方法が存在する。保護剤、それらの反応性、取り込みおよび使用については、例えば、GreeneおよびWuts(1999)を参照(その全体に参照により組み込まれる)。保護基の機能は、遊離した(言い換えると、保護されていない)官能基は、その後の反応で遊離している必要性と一致しない様式で反応し、官能基化されているため、または反応中に遊離官能基が妨害するため、十分に進まないであり得るその後の反応中に、1つ以上の官能基(例えば、−NH2、−SH、−COOH)を保護することである。同じ保護基を使用し、1つ以上の同じか、または異なる官能基を保護してもよい。さらに、異なる保護基を用い、複数の工程で本発明の高分子内の同じ種類の官能基を保護することができる。
【0032】
特定の態様では、出発物質としてのアミノ糖のヒドロキシル基を保護してもよい。ヒドロキシ(またはアルコール)保護基は、当業者によく知られている。例えば、GreeneおよびWuts(1999)、Chapter 2を参照。当業者によく知られている保護剤によって、これらの保護基を取り込んでもよい。これらの基の除去も、当業者によく知られている。
【0033】
適切なヒドロキシ保護基は、エステルまたはエーテルからなる群から選択されてもよい。エステル、例えば、アセテート、ベンゾイル、tert−ブチルカルボニルおよびトリフルオロアセチル基は、酸性条件または塩基性条件によって除去可能である。エーテル、例えば、メトキシ、エトキシおよびトリベンジルメチルは、もっと強い酸性条件または塩基性条件によって除去可能である。好ましい保護基は、酢酸エステルである。
【0034】
本発明は、アミノ糖と、チアゾリジンカルボン酸とを混合するための方法を想定する。混合の条件は、アミノ糖とチアゾリジンカルボン酸、例えば、1つ以上のカップリング剤または触媒とのペプチオ結合を生成するのに適した任意の条件を含んでいてもよい。カップリング剤は、本明細書で使用する場合、アミノ基およびカルボキシル基のカップリングを促進し、ペプチド結合を生成する試薬である。このような薬剤は、当業者にはよく知られており、特定の実施形態では、本発明の方法を使用してもよい。カップリング剤の例としては、限定されないが、スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミド(スルホ−NHS)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDAC)およびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を含む。他のカルボジイミドは、カップリング剤として想定される。カップリング剤は、例えば、Bodansky、1993およびGrant、1992に記載される。接合を促進するために、これらのカップリング剤を単独で使用してもよく、互いに組み合わせて、または他の薬剤と組み合わせて使用してもよい。次いで、接合した生成物を、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたはHPLCによって精製してもよい。
【0035】
本発明のいくつかの態様では、別個の脱保護反応を必要としない。還元反応によって、チアゾリジン−糖接合体をエチレンジシステイン−糖接合体に変換しつつ、保護基を除去することができる。還元反応は、アルカリ金属および電子源、例えば、ルイス塩基を含む還元剤の使用を含む。アルカリ金属は、リチウム、ナトリウムまたはカリウムであり得る。電子源は、ルイス塩基、例えば、液体アンモニア、メチルアミン、エチルアミンまたはエチレンジアミンであり得る。特定の態様では、還元は、Birch還元であり得る。例えば、Birch還元のための還元剤は、リチウム金属またはナトリウム金属と、液体アンモニアを含む。代替となる実施形態では、還元剤は、リチウム金属、ナトリウム金属、カリウム金属、またはカルシウム金属と、メチルアミンまたはエチルアミンを含む。Birch還元反応混合物は、溶媒混合物を含んでいてもよい。この溶媒混合物は、イソプロピルアルコール(IPA)、t−ブチルアルコール、テトラヒドロフラン(THF)、アンモニア、またはこれらの組合せを含んでいてもよい。使用する試薬に依存して、Birch還元は、約−80℃〜約55℃の温度で起こり得る。液体アンモニアを試薬として使用によって、還元を約−80℃〜約−35℃の温度で行ってもよい。メチルアミンまたはエチルアミンを試薬として使用する場合、還元を約−10℃〜約10℃の温度で行ってもよい。Birch還元反応混合物を上述の温度に約10分〜約4時間維持する。
【0036】
上述のように、当業者は、本発明の化合物を精製する方法を熟知しているだろう。本明細書で使用する場合、「精製」は、精製前の材料の純度と比較して、なんらかの測定可能な純度の増加を指す。中間体の精製および最終生成物の精製を含め、本発明のそれぞれの化合物の精製は、一般的に可能である。精製工程は、以下に説明する一般的な方法論に常に含まれるわけではないが、当業者は、化合物を一般的に任意の工程で精製することができることが理解されるだろう。精製方法の例としては、ゲル濾過、サイズ排除クロマトグラフィー(ゲル濾過クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィーまたは分子排除とも呼ばれる)、透析、蒸留、再結晶化、昇華、誘導体化、電気泳動、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、順相HPLCおよび逆相HPLCを含む高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。特定の実施形態では、サイズ排除クロマトグラフィーおよび/または透析は、本発明の化合物の精製形態として特定的に除外される。シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたはHPLCによる化合物の精製は、例えば、望ましい化合物を非常に高純度で得るという利点を与え、多くは、他の方法によって化合物が精製されるときよりも純度が高い。また、本発明の化合物の放射性化学物質の純度も決定され得る。放射性化学物質の純度を決定する方法は、当該技術分野でよく知られており、放射能検出方法と組み合わせたクロマトグラフィー方法を含む(例えば、オートラジオグラフィー分析)。有機方法および濡れた方法によって作られ、種々の方法によって精製される化合物の純度の比較例を以下に与える。
【0037】
化合物の純度を決定する方法は、当業者によく知られており、非限定的な例では、オートラジオグラフィー、質量分析法、融点の決定、紫外線分析、熱量分析、(HPLC)、薄層クロマトグラフィー、核磁気共鳴(NMR)分析を含む(限定されないが、H NMRおよび13C NMRを含む)。ある実施形態では、熱量測定方法を使用し、中間体および最終生成物の純度を滴定することができる。一実施形態では、知られていない化合物の純度は、既知の純度の化合物と比較することによって決定されてもよく、この比較は、測定が未知の純度を記述する比率の形態であり得る。種々の装置(例えば、分光光度計、HPLC、NMR)で利用可能なソフトウェアは、当業者がこれらの決定事項および当業者が知っている他の手段を作るのに役立ち得る。
【0038】
本発明は、さらに、1つ以上の金属イオンをエチレンジシステイン−糖接合体にキレート化し(配位とも呼ばれる)、金属イオンで標識されたエチレンジシステイン(EC)−糖接合体を作製する方法を想定する。このようなキレート化工程は、有機溶媒中で行ってもよい。他の実施形態では、キレート化は、水系媒体で行う。特定の実施形態では、キレート化剤ECおよび糖は、それぞれ、金属イオンのキレート化に寄与し得る。好ましい実施形態では、金属イオンは、キレート化剤ECでのみキレート化される。キレート化された金属イオンは、例えば、イオン結合、共有結合、または配位共有結合(供与結合とも呼ばれる)によって結合してもよい。このような配位方法は、当業者によく知られている。一実施形態では、配位は、金属イオンを、エチレンジシステイン−糖接合体を含有する溶液に混合することによって行ってもよい。別の実施形態では、配位は、金属イオンを、EC−糖接合体を含有する溶液に混合することによって行ってもよい。
【0039】
いくつかの非限定例では、金属イオンは、テクネチウム、インジウム、レニウム、ガリウム、銅、ホルミウム、白金、ガドリニウム、ルテニウム、イットリウム、コバルト、カルシウム、ヒ素、またはこれらの任意の同位体であり得る。本明細書に記載する任意の金属イオンを本発明の化合物にキレート化してもよい。
【0040】
本発明の特定の態様は、治療薬部分が、本発明のキレート剤接合体、例えば、エチレンジシステイン−糖接合体に接合する組成物に関する。本発明の組成物は、特定の実施形態では、イメージングおよび治療の併用に有用であり得る。特定の実施形態では、治療薬部分は、既知の薬剤であり、治療に利点を与えると思われ、被検体の過剰常食性疾患を予防する部分である。被検体は、動物、例えば、哺乳動物であり得る。特定の実施形態では、被検体は、ヒトである。
【0041】
本発明の他の実施形態では、治療薬部分は、治療用金属イオン(例えば、Re−188、Re−187、Re−186、Ho−166、Y−90、Sr−89およびSm−153)であり、金属でキレート化されたエチレンジシステイン−糖接合体は、(画像化剤ではなく)治療に適用することができる治療薬剤である薬剤である。
【0042】
過剰増殖性疾患は、本明細書では、異常な細胞成長または異常な細胞ターンオーバーと関連する任意の疾患であると定義される。例えば、過剰増殖性疾患は、癌であり得る。「癌」という用語は、本明細書で使用する場合、組織内の制御できず、進行性の細胞成長であると定義される。当業者は、他の同義語が存在することに気づいており、例えば、新生物または悪性腫瘍または腫瘍である。任意の種類の癌が、本発明の方法による治療に想定される。例えば、癌は、乳癌、肺癌、卵巣癌、脳癌、肝臓癌、子宮頸癌、結腸癌、腎臓癌、皮膚癌、頭頸部癌、骨癌、食道癌、膀胱癌、子宮体癌、胃癌、膵臓癌、精巣癌、リンパ腫、または白血病であり得る。本発明の他の実施形態では、癌は、転移性癌である。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、本発明の組成物は、化学療法と放射線療法の併用に適している(放射線化学療法)。例えば、本明細書に記載するようなキレート化剤EC−糖接合体を、治療用金属イオンである金属イオンおよび治療薬部分(例えば、抗癌性部分)にキレート化してもよい。別の例として、治療用金属イオンを、EC−糖接合体のECおよび糖部分の両方にキレート化してもよい。
【0044】
例えば、金属イオンは、β−放射体であり得る。本明細書で定義するように、β放射体は、任意の範囲のβエネルギーを放出する任意の薬剤である。β放射体の例としては、Re−188、Re−187、Re−186、Ho−166、Y−90およびSn−153を含む。当業者は、過剰増殖性疾患、例えば、癌の治療に使用するためのこれらの薬剤を熟知しているだろう。
【0045】
当業者は、本発明の化合物の投与に適用することができる化学治療薬プロトコルおよび放射線治療プロトコルの設計を熟知しているだろう。以下に記載するように、これらの薬剤を、過剰増殖性疾患、例えば、癌の治療に向けた他の治療様式と組み合わせて使用してもよい。さらに、当業者は、被検体に投与するための適切な投薬量の選択を熟知しているだろう。このプロトコルは、単回投薬または複数回投薬を含んでいてもよい。当業者が熟知しているプロトコルを用い、毒性および治療への応答について、患者を監視してもよい。
【0046】
本発明の医薬組成物は、治療的または診断的に有効な量の本発明の組成物を含む。「薬学的または薬理学的に許容され得る」という句、または「治療的に有効な」または「診断的に有効な」という句は、適切な場合、動物、例えば、ヒトに投与した場合、有害反応、アレルギー反応または他の面倒な反応を引き起こさない分子部分および組成物を指す。治療的に有効な組成物または診断的に有効な組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18版、Mack Printing Company、1990(本明細書に参照により組み込まれる)に例示されるように本開示の観点で当業者に知られている。さらに、動物(例えば、ヒト)へ投与する場合、FDA Office of Biological Standardsによって必要とされるように、調剤薬が、不妊、発熱、全身への安全性および純度標準を満たすべきであることが理解されるだろう。
【0047】
本明細書で使用する場合、「治療的に有効な量を含む組成物」または「診断的に有効な量を含む組成物」は、当業者が知っているように、溶媒、分散媒体、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定化剤、ゲル、バインダー、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、染料など、およびこれらの組合せのいずれかおよびすべてを含む。任意の従来の担体は、活性成分と非相溶性である場合を除き、本組成物での使用が想定される。
【0048】
本発明の組成物は、固体、液体またはエアロゾルの携帯で投与すべきか否か、注射のような投与経路に滅菌が必要であるか否かによって、異なる種類の担体を含んでいてもよい。当業者が知っているように、本発明の組成物を、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、筋肉内、腹腔内、皮下、結膜下、膀胱内、粘膜、心膜内、臍帯内、眼内、経口、局所、局部、注入、点滴、連続点滴、標的細胞に直接局所的に灌流させる、カテーテルによる、洗浄による、液体組成物(例えば、リポゾーム)、または他の方法によって、または上述の任意の組合せによって投与してもよい。
【0049】
患者に投与される本発明の組成物の実際に必要な量は、物理的因子および生理学的因子、例えば、体重、状態の重篤性、画像化された組織、治療する疾患の種類、従前または同時に起こるイメージングまたは治療介入、患者の特発性疾患および投与経路によって決定することができる。投与に責任のある医師は、任意の事象において、組成物中の活性成分の濃度および個々の被検体のための適切な投薬量を決定するだろう。
【0050】
特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、キレート化剤−金属イオンキレートの少なくとも約0.1%を含んでいてもよい。他の実施形態では、活性化合物は、約2重量%〜約75重量%の単位、または約25重量%〜約60重量%、例えば、これらから誘導される任意の範囲を含んでいてもよい。他の非限定例では、投薬量は、投与あたり、約0.1mg/kg/体重〜約1000mg/kg/体重、またはこの範囲内の任意の量、または1000mg/kg/体重より多い量を含んでいてもよい。
【0051】
とにかく、組成物は、1つ以上の要素の酸化を遅らせるために、種々の酸化防止剤を含んでいてもよい。さらに、微生物作用の予防は、限定されないが、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール、またはこれらの組合せを含む、防腐剤、例えば、種々の抗菌剤および抗真菌剤によってもたらされ得る。
【0052】
本発明の組成物を、遊離塩基、中性形態または塩形態で配合してもよい。薬学的に許容され得る塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは水酸化第二鉄などの無機塩基から誘導される遊離カルボキシル基で作られる塩、;またはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジンまたはプロカインのような有機塩基を含む。
【0053】
組成物が液体形態である実施形態では、担体は、限定されないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポゾーム)、およびこれらの組合せを含む溶媒または分散媒体であり得る。例えば、コーティング、例えば、レシチンを使用することによって、担体、例えば、液体ポリオールまたは脂質に分散させることによって必要な粒径を維持することによって、界面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースを使用することによって、またはこれらの組合せのこのような方法によって、適切な流動性を維持することができる。多くの場合には、等張化剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはこれらの組合せのこのような方法を含むことが好ましいし得る。
【0054】
例えば、濾過滅菌のような技術を用い、滅菌注射溶液を調製してもよい。一般的に、種々の滅菌活性成分を、基本的な分散媒体および/または他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって、分散物を調製する。滅菌注射溶液、懸濁物またはエマルションの調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、すでに滅菌濾過した液体媒体から活性成分と任意のさらなる望ましい成分の粉末を得る減圧乾燥技術または凍結乾燥技術である。液体媒体は、必要な場合、適切に緩衝液化されるべきであり、十分な食塩水またはグルコースとともに注入する前に、液体希釈剤を最初に等張性にしておくべきである。直接注射するために非常に濃縮した組成を有する調剤薬も想定され、DMSO(ジメチルスルホキシド)の溶媒としての使用は、きわめて迅速な等価をもたらし、小さな領域に高濃度の活性薬剤を送達することが想定される。
【0055】
組成物は、製造条件および貯蔵条件で安定でなければならず、微生物、例えば、菌類および真菌類の汚染作用にたいして保護されなければならない。内毒素の汚染が、安全なレベル、例えば、0.5ng/タンパク質mgで最低限に維持すべきであることが理解されるだろう。
【0056】
具体的な実施形態では、注射組成物の長期間に渡る吸収は、例えば、アルミニウムモノステアレート、ゼラチン、またはこれらの組合せのような吸収を遅らせる薬剤の組成物で使用することによってもたらすことができる。
【0057】
当業者に知られているイメージングのために、本発明の組成物を種々の核医学技術で使用してもよい。例えば、ガンマカメライメージングは、EC−糖接合体にキレート化した金属イオンから誘導されるシグナルを測定するために利用可能なイメージング方法として想定される。当業者は、ガンマカメライメージング用途のための技術を熟知しているだろう(例えば、本明細書に参照により組み込まれるKundraら、2002を参照)。
【0058】
放射性核種イメージング様式(ポジトロン放出断層撮影(PET);単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT))は、放射性核種で標識された放射性トレーサーの位置および濃度を地図にする診断に用いる断面イメージング技術である。CTおよびMRIは、腫瘍の位置および程度に関するかなりの解剖学的情報を与えるが、これらのイメージング様式は、浮腫、放射線による壊死、グレーディングまたはグリオーシスから、浸潤性病変を十分に区別することができない。PETおよびSPECTを使用し、代謝活性を測定することによって、腫瘍の場所を見つけ、特性決定することができる。
【0059】
PETおよびSPECTは、細胞レベルでの情報、例えば、細胞生存性に関する情報を与える。PETでは、患者は、わずかに放射性の物質を取り込むか、または注入され、陽電子を放出し、物質が体中を移動するにつれて、監視することができる。ある一般的な用途では、例えば、患者は、接続した陽電子放射体を付着された状態でグルコースが与えられ、種々のタスクを行いつつ、患者の脳を監視する。脳は、機能するときにグルコースを使用するため、PET画像は、脳の活性が高い場所を示す。
【0060】
PETに密接に関連するのは、単光子放出コンピュータ断層撮影、すなわちSPECTである。この2つの主な違いは、ポジトロン放出物質の代わりに、SPECTは、低エネルギーの光子を放出する放射性トレーサーを使用することである。SPECTは、冠状動脈疾患を診断するのに貴重で、すでに、1年に250万のSPECT心臓試験が米国で行われている。
【0061】
イメージングのためのPET放射性医薬品は、一般的に、ポジトロン放出剤、例えば、11C、13N、15O、18F、82Rb、62Cuおよび68Gaで標識されている。SPECT放射性医薬品は、一般的に、ポジトロン放出剤、例えば、99mTc、201Tlおよび67Gaで標識されている。脳イメージングに関し、PETおよびSPECT放射性医薬品は、血液脳関門透過性(BBB)、脳灌流および代謝受容体への結合および抗原−抗体結合に従って分類される(Sahaら、1994)。血液脳関門SPECT剤、例えば、99mTcO4−DTPA、201Tlおよび[67Ga]クエン酸塩は、通常の脳細胞によって排除されるが、BBBが変更されているため、腫瘍細胞には入る。SPECT灌流剤、例えば、[123I]IMP、[99mTc]HMPAO、[99mTc]ECDは、親油性薬剤であり、従って、正常な脳に拡散する。重要な受容体に結合するSPECT放射性医薬品としては、[123I]QNE、[123I]IBZMおよび[123I]イオマゼニルを含む。これらのトレーサーは、特定の受容体に結合し、受容体に関連する疾患の評価にとって重要である。
【0062】
コンピュータ断層撮影(CT)は、本発明の観点で、イメージング様式として想定される。種々の角度から一連の(ある場合には、1000を超える)X線をとり、次いで、これをコンピュータで合わせることによって、CTによって、身体の任意の部分の3次元画像を構築することが可能である。コンピュータは、任意の角度および任意の深さで2次元の切断面を示すようにプログラムされている。
【0063】
CTでは、X線不透過性造影剤の静脈内注射によって、初期のCTスキャンを診断に用いないとき、軟組織の塊の特定および描写を助けることができる。同様に、造影剤は、軟組織または骨病変の血管分布状態を評価するのに役立つ。例えば、造影剤の使用は、腫瘍と隣接する血管構造の関係の描写を助け得る。
【0064】
CT造影剤としては、例えば、ヨウ素化した造影媒体を含む。これらの薬剤の例としては、イオタラム酸、イオヘキソール、ジアトリゾエート、イオパミドール、エチオドールおよびイオパノエートを含む。ガドリニウム剤は、CT造影剤として使用されることも報告されてきた(例えば、Hensonら、2004を参照)。例えば、ガドペンテート剤がCT造影剤として使用されてきた(StrunkおよびSchild、2004に記載)。
【0065】
磁気共鳴イメージング(MRI)は、画像を製造するために、高強度の磁石および無線周波数シグナルを使用するCTよりも新しいイメージング様式である。生体組織で最も豊富な分子種は、水である。最終的に、イメージング実験でシグナルを生じる水のプロトン核の量子力学的「スピン」である。MRIでは、画像化されるサンプルを、強い静電磁場(1〜12テスラ)に置き、スピンは、無線周波数(RF)の放射線のパルスで励起し、サンプル中の正味の磁化を引き起こす。次いで、種々の磁場勾配および他のRFパルスは、記録したシグナルに空間情報をコード化するためにスピン上で作用する。これらのシグナルを集め、分析することによって、3次元画像をコンピュータで計算することができ、CT画像のように、通常は、2次元断面で示される。
【0066】
MRイメージングで用いられる造影剤は、他のイメージング技術で用いられる造影剤とは異なる。これらの目的は、同一のシグナル特徴を有する組織成分同士を区別するのを助けることであり、緩和時間を短くするためにである(T1強調型スピン−エコーMR画像ではもっと強いシグナルを発生し、T2強調型画像では強度が低いシグナルを発生する)。MRI造影剤の例としては、ガドリニウムキレート化剤、マンガンキレート化剤、クロムキレート化剤および鉄粒子を含む。
【0067】
CTおよびMRIは両方とも、組織の境界および血管構造を識別するのに役立つ解剖学的情報を与える。CTと比較して、MRIの欠点は、患者の忍容性が低いこと、ペースメーカーおよび特定の他の移植する金属デバイスの禁避、複数の原因によるアーチファクトがあり、これらのうち一番重要でないわけではないが動きもある(Albericoら、2004)。一方、CTは、迅速であり、十分に忍容性であり、容易に利用可能であるが、MRIよりコントラスト解像度が低く、ヨウ素化コントラストおよび電離放射線を必要とする(Albericoら、2004)。CTおよびMRIの両方の欠点は、イメージング様式が細胞レベルで機能情報を与えないことである。例えば、どの様式も、細胞生存性に関する情報を与えない。
【0068】
光学イメージングは、特別な医学領域で広範囲に受け入れられる別のイメージング様式である。例としては、細胞成分の光学標識化、および血管造影、例えば、フルオロセインによる血管造影およびインドシアニングリーンによる血管造影を含む。光学画像化剤の例としては、例えば、フルオレセイン、フルオレセイン誘導体、インドシアニングリーン、オレゴングリーン、オレゴングリーン誘導体、ローダミングリーン、ローダミングリーン誘導体、エオシン、エリスロシン、テキサスレッド、テキサスレッドの誘導体、マラカイトグリーン、ナノゴールドスルホスクシンイミジルエステル、カスケードブルー、クマリン誘導体、ナフタレン、ピリジルオキサゾール誘導体、カスケードイエロー染料、またはダポキシル染料を含む。
【0069】
幅広い許容性が得られる別の生物医学イメージング様式は、超音波である。超音波イメージングを非侵襲的に使用し、体内の軟組織構造および血流の情報の断面画像、さらには3次元画像をリアルタイムで提供する。血流、組織および臓器の画像を作成するための高周波音波およびコンピュータ。
【0070】
血流の超音波イメージングは、多くの因子、例えば、血管の大きさおよび深さによって制限を受けるし得る。比較的最近の開発である超音波造影剤は、ペルフッ素およびペルフッ素類似体を含み、グレースケールの画像およびドップラーシグナルを高めるのに役立つことによって、これらの制限を克服するように設計される。
【0071】
本発明の特定の実施形態は、画像化部分−キレート化剤−金属イオン錯体からの第1のシグナルおよび第2のシグナルを測定することを含む2つのイメージング様式を用い、被検体の中の部位を画像化する方法に関する。第1のシグナルは、金属イオンから誘導され、第2のシグナルは、イメージング部分から誘導される。上に記載したように、当業者に既知の任意のイメージング様式を、本発明のイメージング方法のこれらの実施形態に適用することができる。
【0072】
診断的に有効な量の本発明の組成物を含む組成物の投与中または投与後の任意のときにイメージング様式を行う。例えば、本発明の併用イメージング組成物の投与中に、またはその後の任意のときにイメージング試験を行ってもよい。ある実施形態では、併用イメージング剤の投与と同時に開始するか、または併用イメージング剤を投与してから約1秒後、1時間後、1日後、または任意のもっと長い時間が経過した後、またはこれらの述べられている任意の時間の間にある任意のときに、第1のイメージング様式を行う。
【0073】
第1のイメージング様式と同時に第2のイメージング様式を行ってもよく、または第1のイメージング様式の後の任意のときに行ってもよい。例えば、第1のイメージング様式を終了してから約1秒後、約1時間後、約1日後、または任意のもっと長い時間が経過した後に第2のイメージング様式を行ってもよい。本発明の特定の実施形態では、薬剤を投与してから同時に開始するように、第1のおよび第2のイメージング様式を同時に行う。当業者は、本発明によって想定される種々のイメージング様式の性能を熟知しているだろう。
【0074】
併用イメージングの本発明のいくつかの実施形態では、同じ画像作成デバイスを使用し、第1のイメージング様式と第2のイメージング様式を行う。他の実施形態では、異なる画像作成デバイスを使用し、第2のイメージング様式を行う。当業者は、第1のイメージング様式および第2のイメージング様式の性能を利用可能な画像作成デバイスを熟知しており、当業者は、画像を作成するためのこれらのデバイスの使用を熟知しているだろう。診断方法および治療方法のさらなる詳細は、US 2008/0107198号に見出され得る(本明細書に参照により組み込まれる)。
【0075】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示すために含まれる。本発明の実施を十分に機能させ、その実施のための好ましい態様を構築すると本願発明者らによって開発された技術をあらわす実施例に開示する技術が、当業者によって理解されるはずである。しかし、当業者は、本開示の観点で、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示されており、同様の結果が得られる多くの変更を具体的な実施形態で行うことができることを理解すべきである。
【実施例】
【0076】
(実施例1−N,N−エチレンジシステイン−グルコサミン(EC−G)の合成)
図1を参照。
(概要)
あらゆる化学物質および溶媒は、Sigma−Aldrich(セントルイス、MO)から得た。Bruker 300MHz Spectrometerで核磁気共鳴(NMR)を行い、University of Texas MD Anderson Cancer Center(UTMDACC;Houston、TX)のコア設備でWaters Q−TOF Ultima Mass Spectrometer(Milford、MA)で質量分析を行った。化学シフトをδ(ppm)およびHz単位のJ値で測定した。FDGを、UTMDACCにあるDepartment of Nuclear Medicineから得た。
【0077】
(ECGの合成)
(工程1。T−G−(Ac)の合成)
チアゾリジン−4−カルボン酸(T)(2.6g、0.02mol)のDMF(20ml)および5.0mlのトリメチルアミン溶液に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物2.7g(0.02mol)を加えた。30分後、1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−アミノ−α−D−グルコピラノース塩酸塩(G−(Ac))(7.7g、0.02mol)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC;4.2g、0.02mol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP;1.2g、0.01mol)を混合物に加え、室温で一晩攪拌した。溶液を高減圧下で乾燥するまで蒸発させた。ジクロロメタン(CHCl)(50ml)を残渣に加え、4℃で一晩保持し、次いで濾過した。生成物を、CHCl/MeOH(95/5、V/V)で溶出させることによって、シリカゲルによって精製し、白色生成物T−G−(Ac) 4.08g(44.2%)を得た。NMRおよび質量分析法を使用し、T−G−(Ac)の構造を確認した。
【0078】
(工程2。還元反応)
T−G−(Ac)4(4.08g、8.8mmol)の液体アンモニア(170g)溶液に、ナトリウムを片ごとに加えた。溶液の色は、ゆっくりと暗青色に変化した。30分後、少量の塩化アンモニウムを加えた。液体アンモニアを減圧によって除去した。残渣固体をメタノール(100ml)で磨砕した。次いで、固体を濾過し、さらなるメタノール(50ml)で洗浄し、未精製生成物4.16gを得た。分析的に純粋なECGを得るために、未精製生成物(0.1g)を1.0mlのHCl(0.1N)に溶解し、SephadexカラムでHOを用いて溶出させることによって精製した。水性フラクションを合わせ、凍結乾燥し、EC−G 0.029g(46.7%)を得た。NMR、質量分析法およびHPLCを用い、ECGの構造を確認した。
【0079】
(結果)
合成スキームを図1に示す。ECGを2工程反応で合成した。第1の工程では、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、DCCおよびDMAP存在下、チアゾリジン−4−カルボン酸(T)を1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−アミノ−α−D−グルコピラノース塩酸塩(G−(Ac))と反応させた。精製した後、生成物T−G−(Ac)の収率は44.2%であった。H NMR(DO,δ):1.97−2.14(m,12H),3.88(t,1H),3.93(s,2H,),4.05−4.10(m,6H) 4.22−4.30(m,2H,),5.09(t,1H),5.34(t,1H),5.80(d,1H),6.93(d,1H,).13C NMR(DO,δ):171.19,171.00,170.65,169.35,166.35,141.76,92.05,82.45,72.79,72.02,68.02,61.73,60.39,53.21,42.32,20.84,20.68,20.58,20.55.FAB MS m/z:462.5。
【0080】
第2の工程では、T−G−(Ac)を液体アンモニア中、ナトリウムで還元した(Birch還元)。未精製生成物をSephadexカラムで精製し、ECG(46.7%)を得た。HPLCは、純度が82%を超えていることを示す。H NMR(D2O,δ):3.15−3.20(m,4H),3.78−4.05(m,6H),4.08−4.15(m,8H),4.2−4.3(d,2H),4.68−4.73(d,2H),5.19−5.21(d,2H).13C NMR(DO,δ):174.81,174.56,94.95,90.87,90.84,75.96,73.91,73.85,71.59,70.71,70.66,70.10,69.88,60.72,60.62,56.72,54.11,23.33,22.23,21.96.FAB MS m/z:591。
【0081】
(実施例2−冷Ga−ECGの合成)
69GaCl(20mg、0.11mmol)を0.2mlのHOに溶かし、これをECG(60mg、0.1mmol)の0.5ml HO溶液に加えた。0.1N NaOH(50μl)を用い、pH値を4〜5に調節した。この溶液を60℃で30分間加熱した。生成物をSephadex columnでHOを用いて溶出させて精製し、Ga−ECGを得た。凍結乾燥後、Ga−ECGを白色固体として得た(52mg、78.1%)。NMR、質量分析計およびHPLCを使用し、69Ga−ECGの構造を確認した。
【0082】
69Ga−ECGのNMRは、H NMR(DO,δ):2.94−3.38(m,8H),3.43−3.65(m,4H),3.50−3.80(m,10H),3.92−4.02(t,2H),4.23−4.34(d,2H),5.15−5.34(d,2H),13C NMR(DO,δ):175.51,175.16,95.55,90.85,90.67,75.76,74.90,73.55,71.59,70.71,70.66,70.10,69.88,60.72,60.62,56.72,54.11,23.53,22.83,22.1668Ga−ECGおよび99mTc−ECGの純度の放射性−TLCおよびHPLC分析は、>96%であった(図2〜4)。冷69Ga−ECGのHPLCを使用し、68Ga−ECGの構造を確認した(図3)。
【0083】
(実施例3−68Ga−ECGおよび99mTc−ECGの放射性合成)
68Ge/68Ga生成器(Eckert Ziegler、Valencia、CA)から、0.1N HClを用いて溶出させ、68GaClを得た。68GaCl(120μl、300μCi)を、ECG(1.2mg)の0.1ml HO溶液に加え、NaHCO(40μl、0.1N)を用い、pHを4〜5に調節した。この溶液を60℃で15分間加熱した。Covidien(Houston、TX)製の99Mo/99mTc生成器から過テクネチウム酸ナトリウム(Na99mTcO)を得た。99mTc−ECGのラジオシンセシス(radiosynthesis)は、99mTc−過テクネチウム酸塩(40〜50mCi)を、ECGの凍結乾燥した残基(5mg)および塩化スズ(II)(SnCl、100μg)に加えることによって達成された。ECGと99mTcとの錯体化は、pH6.5で行った。放射線化学物質の純度は、TLC(Waterman 1番、Aldrich−Sigma、セントルイス、MO)によって、食塩水を用いて溶出させて決定された。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)にNaI検出器およびUV検出器(210nm)を取付け、C−18逆相カラム(C18−extend、Agilent、Santa Clara、CA)で、アセトニトリル/水(1:9、V/V)を流速0.5ml/分で溶出させた。冷69Ga−ECGのHPLCを用い、68Ga−ECGの構造を確認した。
【0084】
(実施例4−中皮腫を有するラットの放射線トレーサーの生体内分布)
雌のFischer 344ラット(150±25g)(Harlan Sprague−Dawley、インディアナポリス、IN)(n=3ラット/時間点)に、IL−45細胞株から抽出された悪性の胸膜中皮腫細胞を接種した。腫瘍細胞(10細胞/ラット)を後ろ足に注入した(筋肉内)。腫瘍が直径約1cmになったら、接種から14〜17日後に、試験を行った。組織分布試験において、各動物に99mTc−ECG、68Ga−ECGおよび18F−FDGを注射した(静脈内、10μCi/ラット、10μg/ラット)。ラットを0.5〜4時間時に殺した。選択した組織を切断し、秤量し、ガンマカウンター(Packard Instruments、Downers Grove、IL)を用い、放射性活性を計測した。各サンプルのトレーサーの生体内分布を、濡れた組織の重量あたりの注射した投薬量のパーセント(%ID/g)として計算した。
【0085】
68Ga−ECG、99mTc−ECGおよび18F−FDGの腫瘍および組織の取り込み(%ID/g)を表1〜3に示す。99mTc−ECGの最も高い腫瘍取り込みは、注射から30分後に0.47であり、注射から240分後には0.08まで下がった。腫瘍の取り込み(%ID/g)、腫瘍/肺、腫瘍/血液および腫瘍/筋肉の計測数密度比率は、それぞれ、99mTc−ECG(30〜240分)について0.47±0.06〜0.08±0.01;0.71±0.07〜0.85±0.04;0.47±0.03〜0.51±0.01および3.49±0.24〜5.06±0.25;68Ga−ECG(15〜60分)について、0.70±0.06〜0.92±0.08;0.64±0.05〜1.15±0.08;0.42±0.03〜0.67±0.07および3.84±0.52〜7.00±1.42であり;FDG(30〜180分)について、1.86±0.22〜1.38±0.35;3.18±0.44〜2.92±0.34、4.19±0.44〜19.41±2.05および5.75±2.55〜3.33±0.65であった。。68Ga−ECG群および99mTc−ECG群について、高めの腎臓取り込みが観察され、これはおそらく、腎臓において、ECおよびEC−接合体と尿細管とが相互作用し得るためであると思われる(Yangら、2003)。
【0086】
(実施例5−シンチグラフィーイメージング試験)
IL−45細胞株から誘導される悪性の胸膜中皮腫を(後足に)有する雌のFischer 344ラット(150±25g)をイメージング試験に使用した。腫瘍が直径約1cmになったら、接種から14〜17日後に、試験を行った。ガントリー連動型PET/CTデータ獲得に組み込まれたマイクロ−PET(Inveon)から、または低エネルギーの平行穴コリメーターを備えるM−ガンマカメラ(Siemens Medical Systems,Inc.、Hoffman Estates、IL)からシンチグラフィー画像を得た。各動物に99mTc−ECG(300μCi/ラット、静脈内)、68Ga−ECGおよび18F−FDG(400μCi/ラット、静脈内)を投与し、0.5〜4時間時に画像を得た。68Ga−ECGを画像によって導かれる処理に使用することができることを示すために、腫瘍の容積が1.5cmの同じ中皮腫を有するラット(n=3)をパクリタキセル(20mg/kg、静脈内、1回注射)で処理した。処理前およびパクリタキセルで処理した後、7日目に、腫瘍を有するラットから、68Ga−ECGを用いて画像化した。コンピュータによって輪郭を作成した関心領域(ROI)(ピクセルあたりの計測数)を使用し、99mTc−ECGについて、バックグラウンドに対する腫瘍の計測数の密度比を決定した。腫瘍および筋肉について、対応する時間間隔でコンピュータによって輪郭を作成した関心領域(ROI)(ピクセルあたりの計測数)を使用し、68Ga−ECGおよび18F−FDGの動的プロットを作成した。動的プロットは0〜45分であった。細胞株試験において、グルコーストランスポーター(Glut−1)の阻害によって増殖防止効果を与えるため、パクリタキセルを選択した(Rastogiら、2007)。さらに、動物モデルにおいて、パクリタキセル処理に対して中皮腫が応答することが報告されている(Schulzら、2011)。
【0087】
68Ga−ECG、99mTc−ECGおよび18F−FDGを投与したラットのシンチグラフィー画像は、腫瘍が0.5〜4時間で明確に視覚化することができることを示した(図5〜7)。68Ga−ECGおよび18F−FDGの腫瘍取り込みの動的プロットは、同様の移動パターンを示した(図5)。68Ga−ECGは、同じ中皮腫を有するラットでは、パクリタキセル処理応答を監視することができた(図6)。99mTc−ECGを接種した2つのラット(中央部および右側)は、99mTc−ECを接種したラット(左側)と同じイメージングパネルで比較するためにランダムに選択された。99mTc−ECG群における腫瘍は、1時間および2時間で99mTc−EC(コントロール)群よりもかなり取り込みが大きいことを示した(図7)。
【0088】
まとめると、ECGの効果的な合成は、高収率で達成された。68Ga−ECGおよび99mTc−ECGを高い放射性化学物質純度で調製した。生体内分布およびプラナーイメージング試験は、中皮腫を画像化するための68Ga−ECGおよび99mTc−ECGを用いた薬物動態分布および実現可能性を示した。68Ga−ECGおよび99mTc−ECGは、試験したモデルにおいて、中皮腫の取り込みが増加していることを示し、このことは、腫瘍の体積の評価が実行可能であることを示す。68Ga−ECGおよび99mTc−ECGは、すべての癌種に対する処理効率のスクリーニング、診断、ステージング、評価に有用であり得る。
【0089】
(実施例6−EC−Gキットの製造)
1.0mgのEC−Gを0.1mLの水に溶解することによって、1個のキットEC−Gを製造した。これに、1mgのL−アスコルビン酸の0.1mL水溶液、0.5mgのネオマイシンの0.1mL、0.5mg L−システインおよび0.1mLの1mg/mLの塩化スズ(II)溶液を加えた。1個の冷たいキットのために、生成物を凍結乾燥した。即時薄層クロマトグラフィーで、食塩水を移動相として用い、このキットを用いて作られる99mTc−EC−Gを分析した。この結果は、キット製品および標準的な99mTc−EC−G生成物の両方について、同じ保持力を示した(図16)。このキット製品および標準製品も、HPLCによってHO/MeCN(9:1)を溶出液として用い、流速0.50mL/分で分析した(図17および18)。キット製品および標準製品の取り込みは、13762ラット哺乳動物腫瘍細胞への取り込みについて分析した。キット製品は、標準製品よりも5倍良好に取り込むことがわかった(図19)。
【0090】
(参考文献)
以下の参考文献は、例示、手順、または本明細書に記載するものの補助となる他の詳細を与える程度まで、本明細書に全体的に参照により組み込まれる。
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図1
図2
図3
図4
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