(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る把持機構の実施の形態を詳細に説明する。ただし、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、本実施の形態に係る把持機構の適用対象は任意であり、例えば、医療分野において、複数種類の物質を含有する試料の中から、標的物質を分離や同定して分析を行うための自動免疫測定装置に適用することができる。以下の本実施の形態では、本発明を、標識物質に酵素を用いるEIA(Enzyme Immunoassay:酵素免疫測定法)測定法によって血液等の試料の分析を実施するための自動免疫測定装置に適用した場合について説明する。また、この種の測定装置としては、反応容器を測定後に洗浄して次の測定に繰り返し使用する装置と、使い捨て用の反応容器(以下、キュベット)を測定後に廃棄する装置とがあり、本発明はこれらいずれの装置にも適用することができるが、以下では、本発明を、後者の装置に適用した場合について説明する。
【0023】
(構成)
まず、本実施の形態に係る測定装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る測定装置の概要を示す平面図である。なお、以下の説明では、
図1のX方向を測定装置の左右方向、
図1のY方向を測定装置の前後方向、
図1のZ方向(
図1の紙面に対して垂直方向)を測定装置の上下方向とする。また、
図1では、図の簡略化のために、後述する筐体2のカバー部の図示を省略する。
【0024】
図1に示すように、測定装置1は、自動免疫測定装置であり、概略的には、筐体2の内部において、筐体2のベース面2aの上部に測定機構3を配置して構成されており、この測定機構3にてキュベットTを所定の複数位置に順次搬送し、これら各位置において各種の所定操作を行うことで測定を行い、測定後にキュベットTを廃棄するものである。この測定装置1の構成については、特記する構成を除いて、公知の自動免疫測定装置の構成を採用することができる。なお、このキュベットTは、特許請求の範囲における「把持対象物」に対応する。
【0025】
また、この測定機構3は、キュベット供給部4、チップ供給部5、試薬保管部6、試料保管部7、基質保管部8、キュベット廃棄部9、第1キュベット搬送部10、第2キュベット搬送部11、試料搬送部12、第1試薬分注部13、第2試薬分注部14、及び反応槽15を備えて構成されている。
【0026】
キュベット供給部4は、使用前の複数のキュベットTを収容して整列させる収容整列手段であり、例えば、パーツフィーダとして構成される。チップ供給部5は、試料の吸引に使用する使い捨て用のチップを収容して整列させるチップ収容整列手段であり、例えば、複数のチップが整列して収容可能なチップラックを用いて構成されている。試薬保管部6は、複数の試薬を収容した容器(ここでは、磁性粒子液ボトル、標識体液ボトル、前処理液ボトル、検体希釈液ボトル等。いずれも図示省略)を円状に整列した状態で収容する試薬収容手段であり、例えば公知の試薬保冷庫を用いて構成されている。試料保管部7は、複数の試料を収容した容器を円状に整列した状態で収容する試料収容手段であり、例えば公知の試料保冷庫を用いて構成されている。基質保管部8は、基質液を保管するための基質保管手段であり、例えば、公知の基質液用の保管タンクを用いて構成されている。キュベット廃棄部9は、廃棄されたキュベットTを受け入れるための空間部であり、例えば、第2キュベット搬送部11によって搬送されたキュベットTよりも下方に位置するように配置されている。なお、このキュベット廃棄部9は、特許請求の範囲における「受容空間」に対応する。
【0027】
第1キュベット搬送部10は、キュベット供給部4に収容されているキュベットTを、後述する反応槽15の第1反応ライン20に搬送するキュベット搬送手段である。第2キュベット搬送部11は、キュベットTを後述する反応槽15の第1反応ライン20から後述する第2反応ライン30に搬送すると共に、キュベットTを後述する第2反応ライン30からキュベット廃棄部9に搬送するキュベット搬送手段である。これら第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11の配置については、例えば、第1キュベット搬送部10は、キュベット供給部4及び後述する反応槽15の近傍位置に配置されている。また、第2キュベット搬送部11は、後述する反応槽15及びキュベット廃棄部9の近傍位置に配置されている。なお、第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11の詳細については、後述する。なお、これら第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11は、特許請求の範囲における「搬送手段」に対応する。
【0028】
試料搬送部12は、チップ供給部5に収容されているチップを取得し、当該チップを介して試料供給部に収容されているラックから試料を吸引し、当該吸引した試料を後述する第1反応ライン20に配置されたキュベットTに吐出する試料搬送手段である。第1試薬分注部13は、試薬保管部6に収容された容器から、後述する第1反応ライン20に配置されたキュベットTに、試薬を分注する試薬分注手段である。第2試薬分注部14は、試薬保管部6に収容された容器から、後述する第2反応ライン30に配置されたキュベットTに、試薬を分注する試薬分注手段である。これら試料搬送部12、第1試薬分注部13、及び第2試薬分注部14は、ステップモータ等を用いた公知のロボットアームに、ポンプを用いた吸引機構を組み合わせて構成されている。また、第1試薬分注部13及び第2試薬分注部14は、試薬保管部6及び反応槽15の近傍に配置されている。
【0029】
反応槽15は、複数のキュベットTを搬送する搬送ラインであり、その内周に第1反応ライン20が設けられると共に、その外周に第2反応ライン30が設けられている。これら第1反応ライン20や第2反応ライン30での処理は、標的物質の種類により異なる。例えば、第1反応ライン20は、試料に対して希釈等の前処理を行い、試料と磁性粒子との反応を行うラインである。第2反応ライン30は、試料と磁性粒子を反応させた反応物と、標識体との反応を行い、且つ、標識体と基質との酵素反応と、酵素反応による生成物から化学発光で生じた光の光量を検出するラインである。これら第1反応ライン20と第2反応ライン30は、相互に同心円状に配置された円環状体として形成されている。そして、この円環状体にはキュベットTを上方から着脱自在に収容するための複数の孔部が形成されており、この円環状体を、パルスモータ等を用いた図示しない公知の駆動機構を介して相互に同一又は異なる搬送速度(回転速度)で回転させることが可能となっている。
【0030】
また、この第2反応ライン30には、集磁部31、洗浄液吐出吸引部32、複数の攪拌部(図示省略)、及び基質分注部(図示省略)が設けられている。集磁部31は、キュベットTに対して外部から磁石の磁力を印加し、キュベットTの内壁面に磁性粒子を集磁するものである。洗浄液吐出吸引部32は、図示しない洗浄液タンクから供給される洗浄液をポンプを介してキュベットTに吐出し、当該吐出した洗浄液をポンプを介して吸引することにより、キュベットTの内部の磁性粒子を洗浄するものである。複数の攪拌部は、キュベットTを当該キュベットTの中心軸周りにモータを介して自転させ、あるいはキュベットTに対して振動バイブレータを介して加振することで、キュベットTの内部の磁性粒子を分散させるものである。基質分注部は、基質保管部8から供給される基質液を図示しないポンプを介してキュベットTに分注するものであり、さらに、基質液の分注後に、複数の攪拌部と同様にキュベットTを攪拌するものである。また、磁性粒子と基質とを第2反応ライン30で所定時間反応させた後、キュベットTは、第2反応ライン30の近傍に設置された測定部33へ移送される。測定部33は、酵素反応による生成物から化学発光で生じた微弱な光の光量を測定するものであり、より具体的には、光電子倍増管により光子の数をフォトンカウントするものである。
【0031】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について)
次に、本実施の形態に係る第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11の詳細について説明する。
図2は、
図1における領域Aの拡大斜視図である。
図3は、把持機構周辺を示す斜視図であり、(a)は後述する挟持部50によってキュベットTが挟持された状態を示す図であり、(b)はキュベットTが後述する挟持部50から引き離された状態を示す図である。
図4は、把持機構周辺を示す側面図である。
図5は、キュベットTを挟持している状態における後述する挟持部50を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は側面であり、(c)は(b)の反対側から見た側面図である。なお、
図5では、図の簡略化のために、後述する押圧部60の図示を省略する。また、第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11の構成は略同一であるので、以下の説明では、第2キュベット搬送部11の構成についてのみ説明を行うものとする。この第2キュベット搬送部11は、特記する構成を除いて、ステップモータ等を用いた公知のロボットアームとして構成されているものとする。また、この第2キュベット搬送部11における各種構成要素の材質については、特記する場合を除き、鋼材等にて形成されているものとする。
【0032】
具体的には、
図2〜
図5(a)〜(c)に示すように、第2キュベット搬送部11は、支持部40と、挟持部50と、押圧部60と、くさび部70と、くさび駆動部80と、水平旋回駆動部(図示省略)と、昇降駆動部(図示省略)と、検出部90a、90bとを備えて構成されている。なお、挟持部50、押圧部60、及びくさび部70は、特許請求の範囲における「把持機構」に対応する。
【0033】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について−支持部)
支持部40は、挟持部50と、押圧部60と、くさび部70と、くさび駆動部80とを支持するための支持手段である。この支持部40は、縦断面形状が略凹状である長尺状の板状体にて形成されている。また、この支持部40は、筐体2のベース面2aに設けられた台座40aに配置されている。より具体的には、この支持部40の長手方向が略水平となるように、台座40aに取り付けられた回転軸40bに対して、螺合構造等によって接続されている。
【0034】
また、この支持部40には、開口41a、41bと、回転軸固定部42a、42bと、くさび駆動部固定部43と、検出部固定部44とが設けられている。
【0035】
開口41aは、後述する挟持部50のアーム部51aを支持部40に貫通させるための貫通孔であり、開口41bは、後述する挟持部50のアーム部51bを支持部40に貫通させるための貫通孔である。これら開口41a、41bは、支持部40の長手方向における端部のうち、台座40a側の端部とは反対側の端部近傍に形成されている。より具体的には、支持部40における凹状の底部分において、支持部40の短手方向に略沿うように並設して配置されている。
【0036】
回転軸固定部42a、42bは、後述する挟持部50のアーム部51a、51bを支持する回転軸53を回転可能に固定する部材である。これら回転軸固定部42a、42bは、略柱状体にて形成されており、支持部40の長手方向の端部のうち台座40a側の端部とは反対側の端部近傍に配置されている。より具体的には、
図4に示すように、回転軸固定部42a、42bは、支持部40における凹状の底部分に対して下方に向けて突出するように配置されていると共に、支持部40の長手方向に略沿うように相互に間隔を隔てて並設して配置されている。これら回転軸固定部42a、42bの各々には、開口42cが設けられており、この開口42cには、後述する挟持部50のアーム部51a、51bの回転軸53が挿通されている。
【0037】
くさび駆動部固定部43は、くさび駆動部80を固定するための部材である。このくさび駆動部固定部43は、略板状体にて形成されている。また、このくさび駆動部固定部43は、支持部40における台座40a側に配置されている。より具体的には、くさび駆動部固定部43は、支持部40における凹状の底部分に対して上方に向けて突出するように配置されていると共に、支持部40の短手方向に略沿うように配置されている。このくさび駆動部固定部43には、開口43aが設けられており、この開口43aには、くさび駆動部80のピストンが挿通されている。
【0038】
検出部固定部44は、検出部90a、90bを固定するための部材である。この検出部固定部44は、略板状体にて形成されている。また、この検出部固定部44は、回転軸固定部42a、42bとくさび駆動部固定部43の間に配置されている。より具体的には、検出部固定部44は、支持部40における凹状の底部分に対して上方に向けて突出するように配置されていると共に、支持部40の長手方向に略沿うように配置されている。
【0039】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について−挟持部)
挟持部50は、キュベットを側方から挟持する挟持手段である。この挟持部50は、例えば樹脂材等にて形成されており、支持部40における長手方向の端部のうち、台座40a側の端部とは反対側の端部近傍に配置されている。また、この挟持部50は、アーム部51a、51bと、爪部52a〜52cとを備えている(なお、アーム部51a、51bは、相互に区別する必要がない場合には「アーム部51」と総称する。また、爪部52a〜52cは、相互に区別する必要がない場合には「爪部52」と総称する)。ここで、この挟持部50の形成方法は任意であるが、例えばアーム部51aと爪部52aとを一体に形成し、アーム部51bと爪部52b、52cとを一体に形成する方法等が該当する。
【0040】
アーム部51a、51bは、略棒状体にて形成されており、支持部40の開口41a、41bを貫通するように配置されている。そして、
図4に示すように、これらアーム部51a、51bの各々には、開口55が形成されており、この開口55に挿通された回転軸53を介して、支持部40の回転軸固定部42a、42bに対して回転可能に接続されている。ここで、この開口55を設ける位置は任意であり、例えば、アーム部51a、51bの上端部に設けてもよいが、本実施の形態では、後述するように上端部側にくさび部70を挿入して当該アーム部51a、51bの傾きを制御するため、開口55を、アーム部51a、51bの略中央部分に形成している。
【0041】
また、これらアーム部51a、51bの各々には、第1付勢部54が設けられている。第1付勢部54は、キュベットTが挟持部50から引き離されている状態(例えば、
図3(b)に示す状態)においては、アーム部51a(又はアーム部51b)を付勢せず、挟持部50によってキュベットTが挟持されている状態(例えば、
図3(a)に示す状態)においては、アーム部51bに向けてアーム部51aを付勢する(又はアーム部51aに向けてアーム部51bを付勢する)付勢手段である。この第1付勢部54は、例えば弾性を有するバネ材料(例えばコイルスプリング等)にて形成されている(なお、後述する押圧部60の第2付勢部63、及び後述する連結部71の第3付勢部74についても同様とする)。また、この第1付勢部54は、支持部40とアーム部51aとの相互間(又は支持部40とアーム部51bとの相互間)に配置されており、支持部40及びアーム部51a(又は支持部40及びアーム部51b)に対して固定具等にて固定されている。
【0042】
爪部52a〜52cは、キュベットTと当接する部材である。これら爪部52a〜52cは、略板状体にて形成されている。このうち、爪部52aは、アーム部51aの下端部に対して接続されており、爪部52b、52cは、アーム部51bの下端部に対して接続されている。
【0043】
ここで、爪部52a〜52cの配置については任意であるが、例えば、爪部52a〜52cがキュベットTに当接することにより、キュベットTの芯だしを行うことが可能となる配置が好ましい。具体的には、
図5(a)〜(c)に示すように、挟持部50によってキュベットTが挟持された状態において、爪部52a〜52cの各々におけるキュベットTとの当接部分に略沿うように形成された仮想円であって、当該爪部52a〜52cと外接する仮想円の中心位置が、キュベットTのZ方向に沿った中心軸上に位置するように、当該爪部52a〜52cが配置されている。換言すれば、キュベットTのZ方向に沿った中心軸と同芯状となる仮想円を設定し、この仮想円の外周に接する3点であって、相互に間隔を隔てた3点を設定して、これら3点に爪部52a〜52cを配置する。また、これら爪部52a〜52cの形状については任意であるが、例えば、
図3(a)、(b)に示すように、爪部52a〜52cの各々の先端部分は、上記仮想円の外周に略沿った円弧状に形成されていると共に、キュベットTの頸部に対して係合可能となるように略フック状に形成されている。
【0044】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について−押圧部)
押圧部60は、挟持部50によって挟持された状態におけるキュベットTの上端面に対して下方に向けて押圧する押圧手段である。この押圧部60は、挟持部50のアーム部51a、51bの相互間に配置されており、ヘッド部61と、ガイド部62と、第2付勢部63とを備えている。
【0045】
ヘッド部61は、キュベットTの上端面と当接する部材である。このヘッド部61は、例えば樹脂材等にて形成された略円筒状体である。また、このヘッド部61の中心軸方向がZ方向に略沿うように、当該ヘッド部61は配置されている。ここで、このヘッド部61の形状については任意であるが、例えば、キュベットTを押圧する際に生じる偏心を抑制することが可能となるように、ヘッド部61の外縁形状はキュベットTの上端面の外縁形状と略相似形状になるように設定されている。なお、このヘッド部61は、特許請求の範囲における「押圧手段における把持対象物との当接部分」に対応する。また、このキュベットTの上端面は、特許請求の範囲における「把持対象物における押圧手段との当接部分」に対応する。
【0046】
ガイド部62は、ヘッド部61をZ方向に略沿うように誘導するためのガイド手段である。このガイド部62は、略長尺状の棒状体であり、長手方向がZ方向に略沿うように、ヘッド部61の内部に挿通されている。このガイド部62の上端部は、支持部40に対して固定具等にて固定されている。一方、このガイド部62の下端部には、ストッパ64が設けられており、このストッパ64によって、ヘッド部61がガイド部62から脱落することが防止されている。
【0047】
第2付勢部63は、ヘッド部61を下方に向けて付勢する付勢手段である。この第2付勢部63は、ガイド部62の外縁を取り囲むように、ガイド部62に対して同芯状に配置されている。
【0048】
このように構成された押圧部60の配置については任意であるが、例えば、キュベットTの姿勢を安定させることが可能となるように配置されることが好ましい。具体的には、挟持部50によってキュベットTが挟持された状態において、当該キュベットTのZ方向に沿った中心軸と押圧部60のZ方向に沿った中心軸(具体的には、ヘッド部61のZ方向に沿った中心軸、ガイド部62のZ方向に沿った中心軸、及び第2付勢部63のZ方向に沿った中心軸)とが一致するように、押圧部60が配置されている。
【0049】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について−くさび部)
くさび部70は、アーム部51a、51bの相互間のうち、当該アーム部51a、51bにおけるキュベットT側とは反対側の端部から回転軸53に至る挿入部分(以下、「アーム部51a、51bの挿入部分」と称する)に挿入されることにより、アーム部51a、51bの傾き状態を切り替えるためのものである。このくさび部70は、略長尺状の板状体にて形成されている。また、このくさび部70は、アーム部51a、51bの上端部近傍位置に配置されている。より具体的には、このくさび部70の長手方向が支持部40の長手方向に略沿い、且つ、このくさび部70の側面が略水平となるように、このくさび部70は配置されている。
【0050】
ここで、このくさび部70の形状については、例えば、アーム部51a、51bの挿入部分に対するくさび部70の挿入量に基づいて、当該アーム部51a、51bの傾き状態を切り替え可能な形状に形成されている。具体的には、このくさび部70の挿入量が増加するに伴って、アーム部51a、51bの上端部同士の間隔が広くなるように、くさび部70におけるアーム部51a、51b側の端部は鋭角状に形成されている。ここで、上述したように、アーム部51a、51bはその長手方向の中央付近で回転軸53を介して回転可能に支持されているので、アーム部51a、51bの上端部同士の間隔が変わることにより、これとは反対方向に、アーム部51a、51bの下方の爪部52同士の間隔が変わる。つまり、くさび部70の挿入量を増加させると、爪部52同士の間隔が狭くなり、くさび部70の挿入量を減少させると、爪部52同士の間隔が広くなるので、くさび部70の挿入量によって、爪部52同士の間隔を調整することができる。
【0051】
この場合において、くさび部70の幅の長さについては、例えば、くさび部70の最小幅の長さは、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅よりも広い間隔となる長さに設定されている。また、くさび部70の最大幅の長さは、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅よりも小さい間隔となる長さに設定されている。また、くさび部70の最小幅と最大幅との中間幅の長さは、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅と略同一の間隔となる長さに設定されている。なお、アーム部51a、51bの形状については任意であるが、例えば、アーム部51a、51bの挿入部分へのくさび部70の挿入が容易となるように、アーム部51a、51bの各々におけるくさび部70側の端面のうち、くさび部70との当接部分が傾斜状に形成されてもよい。
【0052】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について−くさび駆動部、水平旋回駆動部、及び昇降駆動部)
くさび駆動部80は、連結部71を介して挟持部50におけるアーム部51a、51bの挿入部分に対するくさび部70の挿入量を調整するためのくさび駆動手段である。このくさび駆動部80は、公知のソレノイド等を用いて構成されている。また、このくさび駆動部80は支持部40における台座40a側に配置されている。より具体的には、このくさび駆動部80のピストンがくさび駆動部固定部43の開口43aに挿通される位置に、当該くさび駆動部80は配置されている。そして、くさび駆動部80のピストンがくさび駆動部固定部43に対して螺合構造等にて固定されている。なお、このように構成されたくさび駆動部80の近傍には、水平旋回駆動部と昇降駆動部とが配置されており、この水平旋回駆動部は、回転軸40bを中心に支持部40を水平に旋回させ、昇降駆動部は、回転軸40bを介して支持部40を昇降させる。これら水平旋回駆動部及び昇降駆動部は、例えば公知のモータ等を用いて構成されている。
【0053】
また、このくさび駆動部80には、連結部71と、レール部72とが設けられている。
【0054】
連結部71は、長尺状の板状体にて形成されており、支持部40の長手方向に略沿うように配置されていて、その長手方向の端部の一方は、くさび部70に対して接続されており、その長手方向の端部の他方は、くさび駆動部80のピストンに対して接続されている。また、連結部71には、第3付勢部74が設けられている。第3付勢部74は、後述するデフォルト状態において、くさび部70がアーム部51a、51bの挿入部分に挿入された状態となるように、連結部71を付勢する付勢手段である。具体的には、第3付勢部74の長手方向の端部の一方が、連結部71から張り出された張出部71aに対して固定されており、第3付勢部74の長手方向の端部の他方が、支持部40に設けられた付勢部固定部45に対して固定されており、この第3付勢部74によって、くさび部70がアーム部51a、51bの挿入部分に挿入される方向に付勢されている。このため、停電等により測定装置1の電源がOFFとなった場合においては、把持機構によってキュベットTが把持されている状態とすることで、キュベットTの落下を防止することができる。
【0055】
レール部72は、縦断面形状が凹状の長尺部材であり、支持部40における凹状の底部分に対して固定されている。ここで、連結部71の下面には、当該連結部71に沿ってスライドブロック73が固定されており、このスライドブロック73がレール部72の内部において当該レール部72に沿ってスライドすることで、連結部71が支持部40の長手方向に沿って移動するようになっている。なお、レール部72には、スライドブロック73のスライドを円滑化するためのベアリング(図示省略)が設けられている。
【0056】
(構成−第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の詳細について−検出部)
検出部90a、90bは、挟持部50のアーム部51a、51bの傾き状態を検知するために、連結部71の移動量を検出する検出手段である。これら検出部90a、90bは、連結部71近傍に配置されており、検出部固定部44に対して固定されている。
【0057】
また、検出部90a、90bは、公知の距離センサ(例えば光学式測距センサ等)を用いて構成されている。より具体的には、検出部90a、90bは、側面を略コ字状とするいわゆるフォーク型センサとして構成されており、これら検出部90a、90bの内部に設けられた光学素子(図示せず)の光路を、連結部71から上方に向けて立設した遮光板91が遮光することにより、連結部71の位置を検出することが可能となっている。すなわち、検出部90aによる遮光板91の検出状態と、90bによる遮光板91の検出状態との組み合わせとして、以下の3つの検出状態を取り得る。第1の検出状態は、検出部90aによって遮光板91が検出されている状態(「検出部90aの検出=ON」)であり、かつ、検出部90bによって遮光板91が検出されていない状態(「検出部90bの検出=OFF」)である。この第1の検出状態は、くさび部70の挿入量が最小となっており、このために爪部52a〜52cの相互間隔が最大となっていることを意味する。第2の検出状態は、検出部90aによって遮光板91が検出されている状態(「検出部90aの検出=ON」)であり、かつ、検出部90bによって遮光板91が検出されている状態(「検出部90bの検出=ON」)である。この第2の検出状態は、くさび部70の挿入量が最小と最大の間となっており、このために爪部52a〜52cの相互間隔も最小と最大の間となっていることを意味する。第3の検出状態は、検出部90aによって遮光板91が検出されていない状態(「検出部90aの検出=OFF」)であり、かつ、検出部90bによって遮光板91が検出されている状態(「検出部90bの検出=ON」)である。この第3の検出状態は、くさび部70の挿入量が最大となっており、このために爪部52a〜52cの相互間隔が最小となっていることを意味する。従って、測定装置1の制御部(図示省略)が、検出部90a、90bからの出力に基づいて、現在の状態が上記3つの検知状態のいずれの状態であるのかを判定することにより、くさび部70の挿入量及び爪部52a〜52cの相互間隔を判定することが可能になる。
【0058】
このような判定の具体的なタイミングは任意であるが、把持機構のポジションが変わる毎に判定を行ってもよい。例えば、第2キュベット搬送部11を用いて、第2反応ライン30からキュベット廃棄部9にキュベットTを搬送する場合、測定装置1の制御部(図示省略)は、以下に示すタイミングで判定を行う。まず、第2反応ライン30の孔部に収容されたキュベットTを把持するために、把持機構を所定位置まで下降させたタイミングで判定する。次に、把持したキュベットTを引き上げるために、把持機構を所定位置まで上昇させたタイミングで判定する。次いで、キュベットTをキュベット廃棄部9に搬送するために、把持機構をキュベット廃棄部9まで移動させたタイミングで判定する。最後に、キュベットTをキュベット廃棄部9に廃棄した後、把持機構を所定位置に戻すために、把持機構を所定位置まで移動させたタイミングで判定する。さらに、これらの動作中において、キュベットTを把持した直後のタイミングや、キュベットTを開放した直後のタイミングで判定してもよい。
【0059】
そして、このようなタイミングで判定を行う毎に、測定装置1の制御部(図示省略)は、くさび部70の挿入量及び爪部52a〜52cの相互間隔が所定状態になっているか否かを判定し、所定状態になっていない場合にはエラー制御を行う。このため、例えば、測定装置1の記憶部(図示省略)には、把持機構の各ポジションと、各ポジションにおける所定状態(上記3つの状態のいずれか一つの状態)とを、相互に関連付けて構成された判定テーブルを予め格納しておく。そして、把持機構のポジションが変化する毎に、検出部90a、90bからの出力に基づいて判定した状態が、当該変化後のポジションに関連付けて判定テーブルに格納された所定状態に合致しているか否かを判定する。そして、合致している場合には、くさび部70の挿入量及び爪部52a〜52cの相互間隔が正常状態であると判定してそのまま制御を続行する。一方、合致していない場合には、くさび部70の挿入量及び爪部52a〜52cの相互間隔が異常状態であると判定して所定のエラー制御を行う。このエラー制御の具体的内容については任意であるが、例えば、キュベットTが正常に搬送ができておらず、キュベットTの把持状態が不安定になっていたり、搬送経路中でキュベットTが落下している可能性があるため、第1キュベット搬送部10(又は第2キュベット搬送部11)の動作を停止させたり、又は、検出エラーが発生した旨を測定装置1の図示しない出力手段(例えば、ディスプレイ等の表示手段やスピーカ等の音声出力手段等)にて出力させる。
【0060】
(第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の動作について)
次に、上述のように構成された第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11の動作について説明する。
図6は、キュベットTの把持状態における把持機構周辺を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である。
図7は、キュベットTの解放状態における把持機構周辺を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面断面図である。
図8は、キュベットTの閉時状態における把持機構周辺を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)正面断面図である。なお、第1キュベット搬送部10及び第2キュベット搬送部11の動作は略同一であるので、以下では、第2キュベット搬送部11の動作についてのみ説明する。また、この第2キュベット搬送部11の動作方法については任意であるが、例えば、測定装置1の制御部が、ユーザからの所定の起動指示を図示しない入力手段を介して受け付けた場合に、測定装置1の記憶部にインストールされた測定プログラムを解釈実行することで、自動的に動作される。
【0061】
また、この第2キュベット搬送部11の動作は、キュベットTを把持する「把持動作」と、キュベットTに対する第2キュベット搬送部11(具体的には、把持機構)による把持を解除する「解除動作」との2つの動作に区分けされる。ここで、第2キュベット搬送部11による「把持動作」が行われるタイミングとしては、例えば、反応槽15の第1反応ライン20から第2反応ライン30にキュベットTを搬送する場合に、第1反応ライン20の孔部に収容されたキュベットTを把持するタイミングや、第2反応ライン30からキュベット廃棄部9にキュベットTを搬送する場合に、第2反応ライン30の孔部に収容されたキュベットTを把持するタイミング等が該当する。また、第2キュベット搬送部11による「解除動作」が行われるタイミングとしては、第1反応ライン20から第2反応ライン30に搬送する場合に、第2反応ライン30でキュベットTに対する第2キュベット搬送部11による把持を解除するタイミングや、第2反応ライン30からキュベット廃棄部9に搬送する場合に、キュベット廃棄部9でキュベットTに対する第2キュベット搬送部11による把持を解除するタイミング等が該当する。
【0062】
また、上述した、第2キュベット搬送部11の「把持動作」又は「解除動作」における把持機構の状態には、「キュベットTの把持状態」と、「キュベットTの解放状態」と、「キュベットTの閉時状態」との3つの状態が含まれる。ここで、「キュベットTの把持状態」は、
図6(a)、(b)に示すように、把持機構がキュベットTを把持している状態である。「キュベットTの解放状態」は、
図7(a)、(b)に示すように、把持機構がキュベットTを把持しておらず、挟持部50のアーム部51a、51bに支持された爪部52同士が「キュベットTの把持状態」よりも離間している状態である。「キュベットTの閉時状態」は、
図8(a)、(b)に示すように、把持機構がキュベットTを把持しておらず、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士が「キュベットTの把持状態」よりも近接している状態である。なお、この「キュベットTの閉時状態」は、把持機構によってキュベットTが把持されている状態において、停電等により測定装置1の電源がOFFとなった場合に、この状態を保持することができ、キュベットTの落下を防止することができる。よって、本実施の形態では、この「キュベットTの閉時状態」を、把持機構の「デフォルト状態」とする。
【0063】
なお、この「デフォルト状態」になるタイミングとしては、例えば「把持動作」の初期状態、「解除動作」の終了状態等が該当する。また、具体的な状態としては、
図8(a)、(b)に示すように、アーム部51a、51bの挿入部分に対するくさび部70の挿入量が最大となるように、くさび部70は当該挿入部分に挿入されている。また、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅よりも狭い間隔となるように、アーム部51a、51bは傾いている(この場合において、第1付勢部54に付勢力が生じる)。さらに、ヘッド部61は、ガイド部62のストッパ64と当接している。
【0064】
(第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の動作について−把持動作)
最初に、第2キュベット搬送部11の動作のうち、把持動作について説明する。
【0065】
まず、例えば、第2反応ライン30からキュベット廃棄部9にキュベットTを搬送する場合に、第2反応ライン30の孔部に収容されたキュベットTを把持するタイミングが到来すると、測定装置1の制御部は、水平旋回駆動部によって、第2キュベット搬送部11を第2反応ライン30に向けて旋回させる。
【0066】
次に、測定装置1の制御部は、把持機構の状態を、デフォルト状態からキュベットTの解放状態へ移行するための制御を行う。具体的には、測定装置1の制御部は、検出部90aのみにて遮光板91が遮光される状態になるまで(つまり、アーム部51a、51bの挿入部分に対するくさび部70の挿入量が最小となる位置まで)、くさび駆動部80によって当該くさび部70を移動させる。
【0067】
これにより、
図7(a)、(b)に示すように、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅よりも広い間隔となるように、アーム部51a、51bは傾く(以下、この傾き状態を「第1の状態」と称する。なお、この場合において、第1付勢部54に付勢力は生じない)。また、ヘッド部61は、ストッパ64と当接した状態を維持する。すなわち、把持機構の状態は、キュベットTの解放状態になる。
【0068】
次いで、測定装置1の制御部は、昇降駆動部によって、第2反応ライン30に収容された所定のキュベットTが把持可能な位置に、第2キュベット搬送部11を降下させる。ここで、「キュベットが把持可能な位置」とは、ヘッド部61がキュベットTの上端面と当接しながらガイド部62に沿って上方に移動し、且つ、押圧部60の第2付勢部63がキュベットTを下方に向けて付勢する位置を意味する。
【0069】
続いて、測定装置1の制御部は、把持機構の状態を、キュベットTの解放状態からキュベットTの把持状態へ移行するための制御を行う。具体的には、測定装置1の制御部は、検出部90a、90bにて遮光板91が遮光される状態になるまで(つまり、アーム部51a、51bの挿入部分に対するくさび部70の挿入量が最小と最大の間となる位置まで)、くさび駆動部80によって当該くさび部70を移動させる。
【0070】
これにより、
図6(a)、(b)に示すように、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅と略同一の間隔となるように、アーム部51a、51bは傾く(以下、この傾き状態を「第2の状態」と称する。また、この場合において、第1付勢部54に付勢力が生じる。)。また、ヘッド部61は、第2付勢部63の付勢力によって、アーム部51a、51bにて挟持された状態におけるキュベットTの上端面に対して下方に向けて押圧している状態となる。すなわち、把持機構の状態は、キュベットTの把持状態になる。この場合において、キュベットTのZ方向に沿った中心軸と押圧部60のZ方向に沿った中心軸とが一致しているので、キュベットTの姿勢を効果的に安定させることができる。また、爪部52a〜52cと外接する仮想円の中心位置が、キュベットTのZ方向に沿った中心軸上に位置するように、爪部52a〜52cが配置されているので、爪部52a〜52cがキュベットTに当接することにより、キュベットTの芯だしを行うことが可能となる。また、ヘッド部61の形状がキュベットTの上端面の形状と相似形状であるので、キュベットTを押圧する際に生じる偏心を抑制することが可能となる。
【0071】
次いで、測定装置1の制御部は、昇降駆動部によって、第2反応ライン30からキュベットTを搬送可能な位置に、第2キュベット搬送部11を上昇させる。ここで、「第2反応ライン30からキュベットTが搬送可能な位置」とは、キュベットTの下端部が第2反応ライン30よりも上方となる位置を意味する。これにて、第2キュベット搬送部11の把持動作が終了する。
【0072】
(第1キュベット搬送部及び第2キュベット搬送部の動作について−解除動作)
次に、第2キュベット搬送部11の動作のうち、解除動作について説明する。
【0073】
まず、例えば、第2反応ライン30からキュベット廃棄部9にキュベットTを搬送する場合に、キュベット廃棄部9でキュベットTに対する第2キュベット搬送部11による把持を解除するタイミングが到来すると、測定装置1の制御部は、水平旋回駆動部によって、第2キュベット搬送部11をキュベット廃棄部9に向けて旋回させる。
【0074】
次に、測定装置1の制御部は、把持機構の状態を、キュベットTの把持状態からキュベットTの解放状態へ移行するための制御を行う。具体的には、測定装置1の制御部は、検出部90aのみにて遮光板91が遮光される状態になるまで、くさび駆動部80によって当該くさび部70を移動させる。
【0075】
これにより、
図7(a)、(b)に示すように、アーム部51a、51bは、第1の状態のように傾く。また、アーム部51a、51bの傾きが変わることに伴って、ヘッド部61は、第2付勢部63の付勢力によってストッパ64に当接する位置まで下方に移動する。すなわち、把持機構の状態は、キュベットTの解放状態になる。この場合において、キュベット廃棄部9の上方において、第2キュベット搬送部11の解除動作に伴って、第2付勢部63の付勢力を受けているヘッド部61によって当該キュベットTを下方に向けて押し出し可能としたので、キュベットTに対する第2キュベット搬送部11による把持を解除することが容易となる。
【0076】
次いで、測定装置1の制御部は、把持機構の状態を、キュベットTの解放状態からデフォルト状態へ移行するための制御を行う。具体的には、測定装置1の制御部は、検出部90bのみにて遮光板91が遮光される状態になるまで(つまり、アーム部51a、51bの挿入部分に対するくさび部70の挿入量が最大となる位置まで)、くさび駆動部80によって当該くさび部70を移動させる。
【0077】
これにより、
図8(a)、(b)に示すように、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅よりも狭い間隔となるように、アーム部51a、51bは傾く。また、ヘッド部61は、ストッパ64と当接した状態を維持する。すなわち、把持機構の状態は、デフォルト状態になる。これにて、第2キュベット搬送部11の解除動作が終了する。
【0078】
(効果)
このように本実施の形態によれば、キュベットTを側方から挟持する挟持部50と、挟持部50によって挟持された状態におけるキュベットTの上端面に対して下方に向けて押圧する押圧部60を備えたので、キュベットTの内部に挟持部50や押圧部60が入り込むことがないので、キュベットTに対して静電気の発生やコンタミネーションの発生を抑制することが可能となる。また、挟持部50によってキュベットTが挟持された状態において、当該キュベットTのZ方向に沿った中心軸と押圧部60のZ方向に沿った中心軸とが一致するように、当該押圧部60を配置したので、キュベットTの姿勢を効果的に安定させることができ、第1キュベット搬送部10(又は第2キュベット搬送部11)の搬送性を向上させることが可能となる。
【0079】
また、挟持部50によってキュベットTが挟持された状態において、挟持部50の爪部52a〜52cの各々におけるキュベットTとの当接部分に略沿うように形成された仮想円であって、当該爪部52a〜52cと外接する仮想円の中心位置が、当該キュベットTのZ方向に沿った中心軸上に位置するように、当該爪部52a〜52cを配置したので、爪部52a〜52cがキュベットTに当接することにより、キュベットTの芯だしを行うことが可能となり、キュベットTの姿勢を一層安定させることができる。
【0080】
また、押圧部60のヘッド部61の形状が、キュベットTの上端面の形状と相似形状となるように、当該ヘッド部61を形成したので、キュベットTを押圧する際に生じる偏心を抑制することが可能となり、キュベットTの姿勢を一層安定させることができる。
【0081】
また、キュベット廃棄部9の上方において、キュベットTに対する第1キュベット搬送部10(又は第2キュベット搬送部11)の解除動作に伴って、第2付勢部63の付勢力を受けているヘッド部61によって当該キュベットTを下方に向けて押し出し可能としたので、キュベットTに対する第1キュベット搬送部10(又は第2キュベット搬送部11)による把持を解除することが容易となる。
【0082】
また、くさび部70は、アーム部51a、51bの挿入部分に対する当該くさび部70の挿入量に基づいて、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅よりも広い間隔となる第1の状態と、アーム部51a、51bに支持された爪部52同士の間隔がキュベットTの幅と略同一の間隔となる第2の状態とに、アーム部51a、51bの傾き状態を切り替え可能とするので、アーム部51a、51bの傾き状態を切り替える切替手段を簡易な構造にて製造することができ、把持機構の製造性を向上させることができる。また、アーム部51a、51bをキュベットTのY方向に沿った中心軸に対して略対称に傾けることができるので、例えばキュベットTの姿勢を一層安定させることができる。
【0083】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0084】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、挟持部50によってキュベットTが挟持された状態において、キュベットTのZ方向に沿った中心軸と押圧部60のZ方向に沿った中心軸とが一致するように、押圧部60を配置しづらい場合であっても、この押圧部60の配置を、従来とは異なる技術により従来と同様に達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0085】
(把持対象物について)
上記実施の形態では、把持対象物はキュベットT等のチューブ状の容器であると説明したが、これに限られない。例えば、シャーレ等の平皿状の容器等であってもよい。
【0086】
(支持部の構成について)
上記実施の形態では、搬送時の安全性の観点から、支持部40は、当該支持部40の長手方向を略水平とする形式(つまり、ねかせた形式)で構成されていると説明したが、これに限られない。例えば、支持部40は、当該支持部40の長手方向を略鉛直とする形式(つまり、直立形式)で構成されてもよい。
【0087】
(アーム部の個数について)
上記実施の形態では、挟持部50には、アーム部51が2体設けられていると説明したが、これに限られず、例えば3体以上であってもよい。
【0088】
(アーム部の構成について)
上記実施の形態では、アーム部51には、第1付勢部54が設けられていると説明したが、これに限られない。例えば、この第1付勢部54に代えて、公知のソレノイドが設けられてもよい。
【0089】
(爪部の個数について)
上記実施の形態では、挟持部50には、爪部52が3体設けられていると説明したが、これに限られず、例えば2体であってもよく、あるいは、4体以上であってもよい。
【0090】
(第1付勢部について)
上記実施の形態では、支持部40とアーム部51aとの相互間(又は支持部40とアーム部51bとの相互間)に、第1付勢部54が設けられていると説明したが、例えば、第1付勢部54に代えて他の部材が設けられてもよい。具体的には、アーム部51aの上端部とアーム部51bの上端部との相互間に、これら2つの上端部を相互に近づける方向に付勢する付勢部が設けられてもよい。あるいは、爪部52aと爪部52b(又は爪部52c)との相互間に、これら爪部52aと爪部52b(又は爪部52c)を相互に近づける方向に付勢する付勢部が設けられてもよい。
【0091】
(押圧部について)
上記実施の形態では、押圧部60は、ヘッド部61と、ガイド部62と、第2付勢部63とを備えて構成されていると説明したが、これに限られない。例えば、押圧部60は、公知のソレノイドを用いて構成されてもよい。
【0092】
(ヘッド部について)
上記実施の形態では、ヘッド部61の外縁形状については、キュベットTの上端面の外縁形状と略相似形状になるように設定されていると説明したが、その他の形状であってもよい。例えば、ヘッド部61の外縁形状の中心軸が、キュベットTの上端面の外縁形状の重心と一致するような形状であれば、キュベットTの上端面の外縁形状に対して略相似形状となる形状以外の形状であっても、キュベットTを押圧する際に生じる偏心を抑制することが可能となる。このような形状としては、例えば、平面形状が、略楕円状、三角形状や四角形等の多角形状、あるいは十字形状(クロス形状)となる形状を挙げることができる。
【0093】
また、上記実施の形態では、ヘッド部61は、略円筒状体にて形成されていると説明したが、例えば、キュベットTの芯だしを一層簡易かつ確実に行うことができるように、ヘッド部61が形成されてもよい。具体的には、
図9に示すように、ヘッド部61の内縁形状がキュベットTの外縁形状よりも小さく、ヘッド部61の外縁形状がキュベットTの外縁形状よりも大きくなるように、ヘッド部61が形成される。また、ヘッド部61の下端面の形状については、例えば、当該下端面の外縁61aが、当該下端面の内縁に対して外側下方に向けて突出するように、当該下端面の一部(具体的には、当該下端面のうち外縁からキュベットTの外縁との対向部分までの部分)が傾斜状にて形成される。このような構成により、キュベットTの外縁がヘッド部61の外縁61aの傾斜に沿って中心に誘導されるので、キュベットTのZ方向に沿った中心軸の延長線上にヘッド部61の下端面の外縁形状の中心が位置するようにキュベットTを誘導できるので、キュベットTの芯出しを一層簡易かつ確実に行うことが可能となる。
【0094】
(くさび部の形状について)
上記実施の形態では、くさび部70の形状については、くさび部70の挿入量が増加するに伴って、アーム部51a、51bの上端部同士の間隔が比例的に広くなるように、くさび部70におけるアーム部51a、51b側の端部は鋭角状に形成されていると説明したが、これに限られない。例えば、
図10(a)に示すように、くさび部70の挿入量が増加するに伴って、アーム部51a、51bの上端部同士の間隔が
図6(a)よりも急激に広くなるように、上記端部が鋭角状(具体的には、上記端部の平面形状が略先窄み状)に形成されてもよい。あるいは、
図10(b)に示すように、くさび部70の挿入量が増加するに伴って、アーム部51a、51bの上端部同士の間隔が
図6(a)よりも緩やかに広くなるように、上記端部が鋭角状(具体的には、上記端部の平面形状が略半円状)に形成されてもよい。その他にも、くさび部70の形状としては、アーム部51a、51bの上端部同士の間隔を所望の変化率で変化させるための、任意の形状を採用することができる。また、上記実施の形態では、連結部71をアーム部51a、51bに向けて押し出すことに伴い、くさび部70の挿入量を増加させる例を記載したが、連結部71をアーム部51a、51bから離れる方向に引き寄せることに伴い、くさび部70の挿入量を増加させるようにしてもよい。すなわち、くさび部70を、
図6(a)〜
図8(a)の紙面に平行な面内において、アーム部51a、51bを中心として対称となる向きに配置し、連結部71をアーム部51a、51bから離れる方向に引き寄せる程、くさび部70の挿入量が増加し、連結部71をアーム部51a、51bに近づく方向に押し出す程、くさび部70の挿入量が減少するようにしてもよい。
【0095】
(くさび駆動部の構成について)
上記実施の形態では、くさび駆動部80は、公知のソレノイド等を用いて構成されていると説明したが、これに限られない。例えば、くさび駆動部80を、公知のモータ(ステッピングモータ、リニアモータ等)やその他の公知の駆動機構を用いて構成してもよい。
【0096】
特に、このようにくさび駆動部80を公知のモータを用いて構成した場合には、このモータの回転量を制御することで、くさび部70の突出量の度合いを自動調整してもよい。このような自動調整の具体的ロジックは任意であるが、例えば、検出部90a、90bの出力に基づいてくさび部70の挿入量や爪部52a〜52cの相互間隔を判定した結果、所望の状態になっていないことが判定された場合に、くさび部70の挿入量を自動的にフィードバック調整することで、所望の状態になるようにすることができる。この際、くさび部70の外縁形状(特に、くさび部70におけるアーム部51a、51b側の端部の形状)に応じて、くさび部70の挿入量と爪部52a〜52cの相互間隔との相対的な関係が変わり得るため、例えば、このような相対的な関係を特定するための変化率データを測定装置1の記憶部に予め記憶させておき、この変化率データを参照しつつ、測定装置1の制御部がくさび部70の挿入量を制御するようにしてもよい。
(付記)
付記1の把持機構は、把持対象物を把持するための把持機構であって、前記把持対象物を側方から挟持する挟持手段と、前記挟持手段によって挟持された状態における前記把持対象物の上端面を下方に向けて押圧する押圧手段と、を備え、前記挟持手段によって前記把持対象物が挟持された状態において、当該把持対象物の鉛直方向に沿った中心軸と前記押圧手段の鉛直方向に沿った中心軸とが相互に一致するように、当該押圧手段を配置している。
付記2の把持機構は、付記1に記載の把持機構において、前記挟持手段は、前記把持対象物と当接する少なくとも3つ以上の爪部を備え、前記挟持手段によって前記把持対象物が挟持された状態において、前記少なくとも3つ以上の爪部の各々における前記把持対象物との当接部分に略沿うように形成された仮想円であって、当該少なくとも3つ以上の爪部と外接する仮想円の中心位置が、当該把持対象物の鉛直方向に沿った中心軸上に位置するように、当該少なくとも3つ以上の爪部を配置している。
付記3の把持機構は、付記1又は2に記載の把持機構において、前記押圧手段における前記把持対象物との当接部分の形状が、前記把持対象物における前記押圧手段との当接部分の形状と相似形状となるように、当該押圧手段を形成している。
付記4の把持機構は、付記1から3のいずれか一項に記載の把持機構において、前記把持対象物を搬送するための搬送手段に装着された当該把持機構であって、前記搬送手段によって当該搬送手段の搬送領域の一部に搬送された前記把持対象物であって、前記把持機構にて把持された前記把持対象物に対して、下方に位置する受容空間であって、当該把持機構から落下した前記把持対象物を受け入れるための受容空間が設けられている場合において、前記受容空間の上方において、前記把持対象物に対する当該把持機構による把持を解除する動作に伴って、前記押圧手段によって当該把持対象物を下方に向けて押し出し可能としている。
付記5の把持機構は、付記1から4のいずれか一項に記載の把持機構において、前記挟持手段は、相互間に間隔を隔てて設けられた一対の棒状のアーム部であって、当該一対のアーム部の各々における端部以外の部分に設けられた回転軸を中心に回転する一対のアーム部と、前記一対のアーム部の各々における前記把持対象物側の端部と接続された爪部であって、前記把持対象物と当接する爪部と、を備え、前記一対のアーム部の相互間のうち、当該一対のアーム部における前記把持対象物側の端部とは反対側の端部から前記回転軸に至る挿入部分に挿入されることにより、前記一対のアーム部の傾き状態を切り替えるくさび部を備え、前記くさび部は、前記挿入部分に対する当該くさび部の挿入量に基づいて、前記一対のアーム部に接続された前記爪部同士の間隔が前記把持対象物の幅よりも広い間隔となる第1の状態と、前記一対のアーム部に接続された前記爪部同士の間隔が前記把持対象物の幅と略同一の間隔となる第2の状態とに、前記一対のアーム部の傾き状態を切り替え可能とする。
(付記の効果)
付記1の把持機構によれば、把持対象物を側方から挟持する挟持手段と、挟持手段によって挟持された状態における把持対象物の上端面に対して下方に向けて押圧する押圧手段と、を備えているので、把持対象物の内部に挟持手段や押圧手段が入り込むことがないので、把持対象物に対して静電気の発生やコンタミネーションの発生を抑制することが可能となる。また、挟持手段によって把持対象物が挟持された状態において、当該把持対象物の鉛直方向に沿った中心軸と押圧手段の鉛直方向に沿った中心軸とが一致するように、当該押圧手段を配置したので、把持対象物の姿勢を効果的に安定させることができ、例えば、把持機構を装着した搬送手段の搬送性を向上させることが可能となる。
付記2に記載の把持機構によれば、挟持手段によって把持対象物が挟持された状態において、少なくとも3つ以上の爪部の各々における把持対象物との当接部分に略沿うように形成された仮想円であって、当該少なくとも3つ以上の爪部と外接する仮想円の中心位置が、当該把持対象物の鉛直方向に沿った中心軸上に位置するように、当該少なくとも3つ以上の爪部を配置したので、少なくとも3つ以上の爪部が把持対象物に当接することにより、把持対象物の芯だしを行うことが可能となり、把持対象物の姿勢を一層安定させることができる。
付記3に記載の把持機構によれば、押圧手段における把持対象物との当接部分の形状が、把持対象物における押圧手段との当接部分の形状と相似形状となるように、当該押圧手段を形成したので、把持対象物を押圧する際に生じる偏心を抑制することが可能となり、把持対象物の姿勢を一層安定させることができる。
付記4に記載の把持機構によれば、受容空間の上方において、把持対象物に対する当該把持機構による把持を解除する動作に伴って、押圧手段によって当該把持対象物を下方に向けて押し出し可能としたので、把持対象物に対する把持機構による把持を解除することが容易となる。
付記5に記載の把持機構によれば、くさび部は、挿入部分に対する当該くさび部の挿入量に基づいて、一対のアーム部に接続された爪部同士の間隔が把持対象物の幅よりも広い間隔となる第1の状態と、一対のアーム部に接続された爪部同士の間隔が把持対象物の幅と略同一の間隔となる第2の状態とに、一対のアーム部の傾き状態を切り替え可能とするので、前記一対のアーム部の傾き状態を切り替える切替手段を簡易な構造にて製造することができ、把持機構の製造性を向上させることができる。また、一対のアーム部を把持対象物の中心軸に対して略対称に傾けることができるので、例えば把持対象物の姿勢を一層安定させることができる。