(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンテナ装置を備える電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果によって、通信特性を高めたNFCアンテナモジュールは、その性能を十分に発揮するためには、実装位置が金属板の外縁部に近いことが重要である。しかしながら、携帯端末等の電子機器は、小型化と多機能化が進み、それに伴い、電子機器内にカメラ等の各種電子部品が高密度に搭載されるようになっている。このため、金属板による磁気シールド効果によって高めたNFCの通信特性の性能を十分に発揮されないことが問題となっている。特許文献1乃至3のアンテナ装置では、基板等の金属板を利用して特性を高めているものの、小型化、多機能化が進む電子機器のNFC通信特性の更なる向上に関しては、課題が残る。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、小型化、多機能化が進む電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果を利用して、より確実にNFCの通信特性を高めることの可能な、新規かつ改良されたアンテナ装置、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電子機器に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信するアンテナ装置であって、前記電子機器の筐体内部に設けられ、前記外部機器に対向する第1の導電体と、前記第1の導電体の外縁部の近傍の何れかに設けられ、前記外部機器と誘導結合されるアンテナコイルが周回するループアンテナと、磁性体から形成され、前記ループアンテナの中心部から前記外縁部のうち該ループアンテナと対向する対向端部に向けて展開して設けられる磁性シートと、を備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、ループアンテナが設けられた外縁部の近傍から展開するように設けられた磁性シートによって第1の導電体を遮蔽するので、外部機器からの磁束を集めて、ループアンテナの中心部に誘導できる。このため、より確実に電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果を利用して、そのNFCの通信特性を高められる。
【0010】
このとき、本発明の一態様では、前記第1の導電体は、前記筐体を被覆する金属カバーであることとしてもよい。
【0011】
このように、第1の導電体が金属カバーの場合に、特に当該金属カバーを磁性シートで遮蔽することによって、電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果を利用して、そのNFCの通信特性を高められる。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記金属カバーの何れかの部位に開口部が形成されていることとしてもよい。
【0013】
このように、金属カバーに開口部が形成されている場合に、特に当該金属カバーを磁性シートで遮蔽することによって、電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果を利用して、そのNFCの通信特性を高められる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記ループアンテナは、その長手方向の中心線を介して一方側部と他方側部に二分され、前記磁性シートは、前記ループアンテナの前記中心部から前記一方側部及び前記他方側部の幅方向における端部に至るまでそれぞれ延在する第1の磁性シートと、前記ループアンテナの前記中心部から前記対向端部に向けて展開される第2の磁性シートとを備え、前記第1の磁性シートは、その一端が前記外部機器から見て前記一方側部の上側に配置され、前記一端を除く部分が前記外部機器から見て前記他方側部の下側に配置されるように設けられることとしてもよい。
【0015】
このようにすれば、第2の磁性シートで集めた外部機器からの磁束を第1の磁性シートを経由して、ループアンテナの中心部に送ることができる。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記第2の磁性シートは、孔部又は切欠きの少なくとも何れかが形成された構成となっていることとしてもよい。
【0017】
このようにすれば、アンテナ装置を搭載する電子機器の仕様により適用可能なものとすることができる。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記孔部は、前記開口部と対向する部位に形成され、前記開口部より外径が小さいこととしてもよい。
【0019】
このようにすれば、外部機器から送られる開口部周辺の磁束も確実にループアンテナの中心部に送ることができる。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記第1の磁性シートと前記第2の磁性シートは、一体成型された構成となっていることとしてもよい。
【0021】
このようにすれば、外部機器から受ける磁束をより確実に集められる磁性シートを簡素な構成として容易に製造することができる。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記第1の磁性シートと前記第2の磁性シートは、それぞれ別個に成型されて連結した構成となっていることとしてもよい。
【0023】
このようにすれば、外部機器から受ける磁束をより確実に集められる磁性シートの設計自由度が向上する。
【0024】
また、本発明の他の態様は、前述した何れかのアンテナ装置が組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信可能な電子機器である。
【0025】
本発明の他の態様によれば、ループアンテナを備えるアンテナモジュールの実装位置に関わらず、電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果を利用して通信特性を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、ループアンテナが設けられた外縁部の近傍から展開するように設けられた磁性シートによって、電子機器に備わる第1の導電体が遮蔽されるので、外部機器からの磁束をより確実に集めて、ループアンテナの中心部に誘導できる。このため、小型化、多機能化が進む電子機器の主要な金属板による磁気シールド効果を利用して、そのNFCの通信特性を向上させられるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0029】
まず、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の構成について、図面を使用しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置が適用される無線通信システムの概略構成を示す斜視図であり、
図2は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置のループアンテナと磁性シートとの配置関係を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は側面図である。また、
図3は、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置を備える電子機器の一例を示す説明図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図である。
【0030】
本実施形態に係るアンテナ装置1は、電子機器30に組み込まれ、外部機器と電磁界信号を介して通信する装置であって、例えば、
図1に示すようなRFID用の無線通信システム100に組み込まれて使用される。
【0031】
無線通信システム100は、
図1に示すように、電子機器30に備わるアンテナ装置1と、アンテナ装置1に対するアクセスを行う外部機器となるリーダライタ120とを含む。ここで、アンテナ装置1とリーダライタ120とは、三次元直交座標系xyzのxy平面において互いに対向するように配置されているものとする。
【0032】
リーダライタ120は、xy平面において互いに対向するアンテナ装置1に対して、z軸方向に磁界を発信する発信器として機能し、具体的には、アンテナ装置1に向けて磁界を発信するアンテナ121と、アンテナ121を介して誘導結合されたアンテナ装置1と通信を行う制御基板122とを備える。
【0033】
すなわち、リーダライタ120は、アンテナ121と電気的に接続された制御基板122が配設されている。この制御基板122には、一又は複数の集積回路チップ等の電子部品からなる制御回路が実装されている。この制御回路は、アンテナ装置1から受信されたデータに基づいて、各種の処理を実行する。
【0034】
例えば、制御回路は、アンテナ装置1に対してデータを送信する場合、データを符号化し、符号化したデータに基づいて、所定の周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を変調し、変調した変調信号を増幅し、増幅した変調信号でアンテナ121を駆動する。また、制御回路は、アンテナ装置1からデータを読み出す場合、アンテナ121で受信されたデータの変調信号を増幅し、増幅したデータの変調信号を復調し、復調したデータを復号する。
【0035】
なお、制御回路では、一般的なリーダライタで用いられる符号化方式及び変調方式が用いられ、例えば、マンチェスタ符号化方式やASK(Amplitude Shift Keying)変調方式が用いられている。また、以下では、非接触通信システムにおけるアンテナ装置等について説明をするが、Qi(チー)等の非接触充電システムについても同様に適用することができるものとする。
【0036】
アンテナ装置1は、通信時にリーダライタ120とxy平面において対向するように配置される携帯電話機等の電子機器30の筐体32(
図3(A)参照)の内部に組み込まれ、外部機器となるリーダライタ120と電磁界信号を介して通信する。本実施形態のアンテナ装置1は、アンテナモジュール2と、金属板3と、磁性シート20(
図2参照)とを備える。
【0037】
アンテナモジュール2は、電子機器30の筐体32の内部に設けられ、誘導結合されたリーダライタ120との間で通信を行う。本実施形態では、
図1に示すように、アンテナモジュール2は、ループアンテナ11と、通信処理部13と、接続部14とを備える。
【0038】
ループアンテナ11は、電子機器30の筐体32の内部に設けられ、外部機器となるリーダライタ120と誘導結合されることにより当該リーダライタ120と通信可能となるアンテナコイル12(
図2参照)が周回する。本実施形態では、ループアンテナ11は、
図3(A)、(B)に示すように、第1の導電体となる金属板3の外縁部3aの近傍の何れかに設けられる。すなわち、ループアンテナ11は、
図3(B)に示すように、金属板3の外縁部3aのうち、一辺3a1の近傍に設けられている。ループアンテナ11には、
図1に示すように、例えばフレキシブルフラットケーブルなどの可撓性の導線をパターンニング処理等によって形成されるアンテナコイル12と、アンテナコイル12と通信処理部13とを電気的に接続する端子部14とが実装されている。なお、本明細書中における「金属板3の外縁部3aの近傍」とは、金属板3の外縁部3aの直上から当該外縁部3aから距離的に近い領域を含む空間領域をいう。
【0039】
ループアンテナ11は、
図2(A)に示すように略矩形状をなし、外形に沿ってアンテナコイル12の1本の導線が周回されており、その中心部12aが開口部となっている。なお、本実施形態では、ループアンテナ11は、略矩形状をなしているが、その形状は、楕円等の他の形状としてもよい。また、本明細書中でループアンテナ11の「長手方向」とは、その長さや外径が最大値を示す方向を示し、略矩形状の場合では長辺方向、略楕円形の場合では長軸方向を示すものとする。
【0040】
ループアンテナ11は、
図2(A)に示すように、アンテナコイル12が周回する主面が通信時にリーダライタ120とxy平面において対向するように配置される。また、ループアンテナ11は、その長手方向の中心線12bを境に、一方側部11aと他方側部11bとを有する。一方側部11aは、アンテナコイル12の導線を長手方向に沿う電流の向きが同一方向に流れる方向を周回の方向とする。他方側部11bは、アンテナコイル12の導線を長手方向に沿う電流の向きが逆方向に流れる周回の方向とする。そして、ループアンテナ11は、長手方向に沿う一側縁を金属板3側に向けて、すなわち、一方側部11a又は他方側部11bの何れか一方を金属板3側に向けて配置される。
【0041】
アンテナコイル12は、リーダライタ120から発信される磁界を受けると、リーダライタ120と誘導結合によって磁気的に結合され、変調された電磁波を受信して、端子部14を介して受信信号を通信処理部13に供給する。
【0042】
通信処理部13は、アンテナコイル12に流れる電流により駆動し、リーダライタ120との間で通信を行う。具体的に、通信処理部13は、受信された変調信号を復調し、復調したデータを復号して、復号したデータを、当該通信処理部13が有する内部メモリに書き込む。また、通信処理部13は、リーダライタ120に送信するデータを内部メモリから読み出し、読み出したデータを符号化し、符号化したデータに基づいて搬送波を変調し、誘導結合によって磁気的に結合されたアンテナコイル12を介して変調された電波をリーダライタ120に送信する。なお、通信処理部13は、アンテナコイル12に流れる電力ではなく、電子機器内に組み込まれたバッテリパックや外部電源などの電力供給手段から供給された電力によって駆動してもよい。
【0043】
金属板3は、電子機器30の筐体内に設けられ、外部機器となるリーダライタ120に対向する第1の導電体となる。金属板3は、例えば携帯電話やスマートフォン、あるいはタブレットPC等の電子機器の筐体内に設けられ、アンテナモジュール2の通信時にリーダライタ120に対向する第1の導電体を構成するものである。当該第1の導電体として、例えば、スマートフォンの筐体の内面に貼付されたメタルカバーや、スマートフォン内に収納されたバッテリパックの金属筐体、あるいは、タブレットPCの液晶モジュールの裏面に設けられた金属板等が相当する。
【0044】
磁性シート20は、アンテナモジュール2の通信特性を高めるために、当該アンテナモジュール2の通信時にリーダライタ120から送られる磁束をループアンテナ11の中心部12aに誘導する機能を有する。磁性シート20は、酸化鉄や酸化クロム、コバルト、フェライト等の磁性体から形成され、本実施形態では、
図3(A)、(B)に示すように、ループアンテナ11の中心部12aから第1の導電体3の外縁部3aのうち、当該ループアンテナ11と対向する対向端部3a2に向けて展開して設けられることを特徴とする。すなわち、
図3(B)に示すように、ループアンテナ11が設けられる金属板3の外縁部3aのうち、ループアンテナ11が設けられる一辺3a1から、当該一辺3a1に対向する対辺3a2に向けて、金属板3を遮蔽するように展開して設けられる。
【0045】
本実施形態では、磁性シート20は、ループアンテナ11の中心部12aに長手方向に亘って形成される開口部に差し込まれる第1の磁性シート21と、ループアンテナ11の中心部12aから対向端部3a2に向けて展開される第2の磁性シート22とを備える。すなわち、ループアンテナ11の中心部12aに差し込まれた第1の磁性シート21に対して、第2の磁性シート22が当該中心部12aから金属板3の外縁部3aのうち、ループアンテナ11に対向する位置に有する対向端部3a2に向けて展開するように設けられている。本実施形態では、磁性シート20を簡素な構成として製造容易にするために、第1の磁性シート21と第2の磁性シート22は、一体成型された構成となっている。
【0046】
なお、本明細書中では、「対向端部」とは、金属板3の外縁部3aのうち、ループアンテナ11が設けられた部位と対向する位置に有する外縁部3aの部位、領域を示す。すなわち、
図3(B)に示す一例では、略矩形の金属板3の外縁部3aのうち、ループアンテナ11が設けられる部位となる一辺3a1に対向する位置に有する対辺3a2を示す。
【0047】
また、本実施形態では、第2の磁性シート22は、金属板3の外縁部3aのうち、当該ループアンテナ11と対向する対向端部3a2に向けて展開するように、第2の磁性シート22が設けられている。具体的には、第2の磁性シート22は、
図3(B)に示すように、金属板3の外縁部3aのうち、ループアンテナ11が設けられる一辺3a1から、当該一辺3a1に対向する対辺3a2に向けて、金属板3を遮蔽するように展開して設けられる。
【0048】
なお、本実施形態では、第2の磁性シート22は、ループアンテナ11の中心部12aから金属板3の外縁部3aの一辺3a1から対辺3a2に至る途中の部位まで、当該金属板3を遮蔽している。しかし、より確実にリードライタ120からの磁束を捕集して、ループアンテナ11の中心部12aに送るためには、外縁部3aの一辺3a1の対向端部となる対辺3a2に到達するまで第2の磁性シートを展開させる方が好ましい。
【0049】
このように、本実施形態では、金属板3の外縁部3aのうち、ループアンテナ11が設けられた部位3a1から対向端部3a2に向けて展開するように設けられた磁性シート20によって、第1の導電体となる金属板3を遮蔽する。このため、電子機器30に備わるアンテナ装置1がリーダライタ120との近距離非接触通信の際に、リーダライタ120から送られた磁束は、金属板3を遮蔽するように設けられた第2の磁性シート22によって捕集される。そして、第2の磁性シート22によって捕集されたリーダライタ120からの磁束は、第1の磁性シート21を介してループアンテナ11の中心部12aに引き込まれる。このようにして、第2の磁性シート22と第1の磁性シート21を介して、ループアンテナ11の中心部12aに導かれた磁束によって、アンテナコイル12に大きな起電力が生じるので、アンテナ装置1のNFCによる通信特性がより向上される。
【0050】
すなわち、本実施形態では、リーダライタ120から見て、金属板3の外縁部3aである一辺3a1に設けられたループアンテナ11の中心部12aから、外縁部3aの対向端部となる対辺3a2に向けて展開するように、第1の磁性シート21に対して追加して設けた第2の磁性シート22で金属板3を遮蔽している。換言すると、リーダライタ120から受ける磁束の流れの上流側に第2の磁性シート22を設けて、金属板3を遮蔽している。このため、携帯端末等の電子機器30に内蔵され、基板等の金属板3の磁気シールド効果による磁束の集中を利用して、通信特性を上げるアンテナモジュール2に備わる金属板3の外縁部3aの通信特性性能が改善される。
【0051】
換言すると、本実施形態では、金属板3を遮蔽するようにして設けられる第2の磁性シート22が、当該金属板3に向けてリーダライタ120から送られた磁束を確実に捕集して、第1の磁性シート21を介して、当該磁束をループアンテナ11の中心部12aに送れる。このため、電子機器30が小型化、多機能化しても、その主要な金属板3による磁気シールド効果を利用して、高性能な通信特性を有するアンテナモジュール2を実現することができる。特に、第1の導電体となる金属板3が電子機器30の筐体32を被覆する金属カバーの場合に、第2の磁性シート22で当該金属カバーを遮蔽することによって、小型化、多機能化が進む電子機器30の主要な金属板3による磁気シールド効果を利用して、そのNFCの通信特性を高められる。
【0052】
このように、基板等の金属板3の磁気シールド効果による磁束の集中を利用して通信特性を上げるためには、第2の磁性シート22で集めたリーダライタ120からの磁束を第1の磁性シート21を経由して、ループアンテナ11の中心部12aに送る必要がある。このため、本実施形態では、第1の磁性シート21は、その一端(本実施形態では、第1の磁性シート21と第2の磁性シート22が一体成型された構成なので、第2の磁性シート22)がリーダライタ120から見て一方側部11aの上側に配置され、当該一端を除く部分(
図2(B)に示すY方向における第1の磁性シート21の先端側部分)がリーダライタ120から見て他方側部11bの下側に配置されるように設けられる。
【0053】
なお、ループアンテナ11は、アンテナ用金属箔4が重畳する一方側部11aにおけるアンテナコイル12の本数(例えば3本)よりも、アンテナ用金属箔4が重畳しない他方側部11bにおけるアンテナコイル12の本数(例えば4本)が多くなるように周回させるようにしてもよい。すなわち、1本のアンテナコイルの導線の始端と終端を他方側部11bにすることにより、アンテナコイル12の中心線12aを挟んで、ループアンテナ11の一方側部11aよりも他方側部11bの方に多くのコイル導線が周回するように形成することができる。これにより、リーダライタ120からの磁束と誘導結合するコイルの本数を増やし、良好な通信特性を実現することができる。
【0054】
前述した本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1では、磁性シート20を構成する第1の磁性シート21と第2の磁性シート22を一体成型した構成となっているが、アンテナ装置1を他の構成とすることも可能である。すなわち、本実施形態のアンテナ装置1は、搭載される電子機器30の仕様に応じて、下記の変形例の場合でも適用可能である。
【0055】
例えば、磁性シートの設計自由度を高めるために、
図4(A)、(B)に示すように、磁性シート20aを構成する第1の磁性シート21aと第2の磁性シート22aを別個に成型してから、連結した構成としてもよい。このように、第1の磁性シート21aと第2の磁性シート22aを別個に成型してから連結させる構成とすることによって、電子機器30の仕様や構成に応じて、より好適な形状や大きさの第2の磁性シート22aを設けることができる。
【0056】
また、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1を搭載する電子機器30の仕様に応じて適用可能とするために、
図5に示すように、第2の磁性シート22bにカメラやマイク等の電子部品を使用するための孔部22b1や、
図6に示すような切欠き22c1を形成してもよい。なお、第2の磁性シート22bの孔部22b1は、金属板3に設けられる開口部3g1(
図10(A)、(B)参照)と対向する部位に形成される。当該孔部22b1は、開口部3g1の周辺の磁束も確実に捕集してループアンテナ11の中心部12aに送るために、開口部3g1より外径が小さい方が好ましい。
【0057】
さらに、
図7に示すように、第2の磁性シート22dがループアンテナ11や第1の磁性シート21dよりも幅が狭い構成としたり、
図8に示すように、第2の磁性シート22eに対する第1の磁性シート21eの位置がオフセンターとなっている構成としてもよい。
【0058】
また、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1の実装部位は、平面形状の金属板3に限定されない。例えば、アンテナ装置1は、
図9(A)に示すように、斜面3f1を有する曲がった金属カバー3fにも実装可能である。このとき、
図9(B)に示すように、第1の磁性シート21fと第2の磁性シート22fを一体成型により形成されるが、第1の磁性シート21gと第2の磁性シート22gを別体で成型して貼り付けてもよい。
【0059】
さらに、アンテナ装置1は、
図10(A)に示すように、開口部3g1が形成された金属カバー3gにも実装可能である。本変形例では、第1の導電体は、斜面3g1を有する曲がった金属カバー3gであり、
図10(B)に示すように、ループアンテナ11gは、金属カバー3gの斜面3g1に設けられている。第2の磁性シート22gで捕集されたリーダライタ120からの磁束は、第2の磁性シート22g及び第1の磁性シート21gを介して、当該ループアンテナ11gに送られる。
【0060】
本発明者は、前述した本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、第1の導電体となる金属カバー3gに開口部3g1が形成されている場合に、第2の磁性シート22で当該金属カバー3を遮蔽すると、金属板3による磁気シールド効果を利用したNFCの通信特性が大幅に向上することを見出した。このため、本実施形態では、開口部3g1が形成されている金属カバー3を遮蔽するように、第2の磁性体22を設けるようにしている。なお、
図10(B)に示す変形例では、第1の磁性シート21gと第2の磁性シート22gが一体成型されている構成としているが、第1の磁性シート21gと第2の磁性シート22gを別体で成型してから貼り付ける構成としてもよい。
【実施例】
【0061】
次に、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の実施例1と、実施例1に対応する従来のアンテナ装置の実施例である比較例1と、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置の金属板に開口部がある場合の実施例2と、実施例2に対応する従来のアンテナ装置の実施例である比較例2とをそれぞれ比較して説明する。なお、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
【0062】
ここでは、本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1(
図3参照)の実施例1と、
図11に示す従来のアンテナ装置1hの比較例のそれぞれに対して、対向するリーダライタ120を所定の方向に移動させた場合の結合係数をシミュレーションで求めた。
【0063】
すなわち、実施例1では、
図3に示す本発明の一実施形態に係るアンテナ装置1を用いて、金属板3とリーダライタ120(
図1参照)とを対向させて、金属板3とループアンテナ11との相対的な位置関係を変化させたときの通信特性について評価した。比較例1では、
図11に示すような第2の磁性シートを付加していない通常の磁性シート20hを備えるアンテナ装置1hを用いて、金属板3hとリーダライタ120(
図1参照)とを対向させて、金属板3hとループアンテナ11
hとの相対的な位置関係を変化させたときの通信特性について評価した。
【0064】
また、実施例2と比較例2では、さらにループアンテナ11の上部に開口部付の金属カバーがある場合の性能差を評価した。すなわち、実施例2では、第1の導電体が金属カバー3g(
図10(A)、(B)参照)であり、当該金属カバー3gに開口部3g1が形成された場合について、金属板3gとリーダライタ120(
図1参照)とを対向させて、金属板3gとループアンテナ11との相対的な位置関係を変化させたときの通信特性について評価した。一方、比較例2では、実施例2のアンテナ装置に第2の磁性シートを付加していない通常の磁性シートを備えるアンテナ装置を用いて、金属板とリーダライタとを対向させて、金属板とループアンテナとの相対的な位置関係を変化させたときの通信特性について評価した。
【0065】
具体的な評価条件としては、次のようにした。すなわち、リーダライタ120のアンテナ121は、xy軸方向で規定される外形直径が70mmの2巻コイルとした。また、金属板3は、xyz軸方向で規定される寸法が50mm×100mm×0.3mmのステンレスとした。また、ループアンテナ11のアンテナコイル12は、xy軸方向で規定される外形が30mm×10mmとした構造のコイルである。さらに、z軸方向で規定される金属板3の表面からアンテナコイル12の表面までの距離は4mmとした。また、リーダライタ120とアンテナコイル12との距離は45mmとした。
【0066】
また、実施例2及び比較例2では、実施例1及び比較例1と同じ寸法と材質の金属板に、その先端から10mmの位置に20mm×20mmの開口部を形成したもので、同様にして対向するリーダライタを所定の方向に移動させた場合の結合係数をシミュレーションで求めた。なお、実施例1及び実施例2では、
図3に示すY軸方向に、比較例1及び比較例2では、
図11に示すX軸方向にそれぞれリーダライタを移動させた。
【0067】
実施例1と比較例1に係る結合係数の変化のグラフを
図12に、実施例2と比較例2に係る結合係数の変化のグラフを
図13に、それぞれ示す。
【0068】
実施例1と比較例1の結合係数の変化を見ると、
図12に示すように、従来例1と比べると、実施例1は、通信特性が約5%と幾分、向上したことが分かる。このことから、第2の磁性シート22を付け足して磁性シート20をループアンテナ11の中心部12aから金属板3の外縁部3aの対向端部に向けて展開して設けることによって、NFCの通信特性が少しだけ向上することが分かる。
【0069】
一方、実施例2と比較例2の結合係数の変化を見ると、
図13に示すように、従来例2と比べると、実施例2は、通信特性が約2.7倍と大幅に向上したことが分かる。このことから、第2の磁性シートを付け足して磁性シートをループアンテナの中心部から金属板の外縁部の対向端部に向けて展開して設けることによって、NFCの通信特性が大幅に改善されることが分かる。
【0070】
この理由として、アンテナ装置がリーダライタとの近距離非接触通信の際に、リーダライタから受けた磁束が金属カバーの開口部から漏れ易いことが考えられる。すなわち、第2の磁性シートがリーダライタからの磁束の流れの上流側に設けられるので、金属カバーの開口部から漏れ出そうとする磁束を第2の磁性シートで確実に捕集する。そして、第2の磁性シートが捕集した当該磁束を第1の磁性シートを介して、ループアンテナの中心部に導くことによって、アンテナコイルに大きな起電力が生じて通信特性をより向上させられることがその理由として考えられる。
【0071】
なお、上記のように本発明の一実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0072】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、アンテナ装置、及び電子機器の構成、動作も本発明の一実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。