(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1方向に延びる第1配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2配線と、前記第1配線及び前記第2配線と電気的に接続されたスイッチング素子と、共通電極と、前記共通電極の上に配置された絶縁膜と、前記スイッチング素子と電気的に接続されるとともに前記絶縁膜の上に配置され、前記絶縁膜を挟んで前記共通電極と対向する画素電極と、前記画素電極を覆う第1配向膜と、を備えた第1基板と、
前記第1配向膜と対向する第2配向膜を備えた第2基板と、
前記第1配向膜と前記第2配向膜との間に保持された液晶分子を含む液晶層と、を備え、
前記画素電極は、前記第1配線及び前記第2配線にて規定される画素領域において帯状に延びる1本の主画素電極を有し、
前記主画素電極の前記第1方向における幅は、複数の前記画素電極が前記第1方向に配列されるピッチとの関係において、
前記ピッチ×0.5−4.5μm≦前記主画素電極の幅
を満たす、
液晶表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明のいくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表す場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、同一又は類似の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。
【0012】
図1は、本実施形態の液晶表示装置が備える液晶表示パネルLPNの構成及び等価回路を概略的に示す図である。液晶表示装置は、アクティブマトリクスタイプの透過型の液晶表示パネルLPNを備えている。液晶表示パネルLPNは、第1基板であるアレイ基板ARと、アレイ基板ARに対向して配置された第2基板である対向基板CTと、アレイ基板ARと対向基板CTとの間に保持された液晶層LQと、を備えている。このような液晶表示パネルLPNは、画像を表示するアクティブエリアACTを備えている。このアクティブエリアACTは、m×n個(m,nは正の整数)のマトリクス状に配置された複数の画素PXによって構成されている。
【0013】
アレイ基板ARは、アクティブエリアACTにおいて、X方向(第1方向)に沿ってそれぞれ延出した複数のゲート配線G(G1〜Gn)、X方向に直交するY方向(第2方向)に沿ってそれぞれ延出した複数のソース配線S(S1〜Sm)、各画素PXにおいてゲート配線G及びソース配線Sと電気的に接続されたスイッチング素子SW、各画素PXにおいてスイッチング素子SWに電気的に接続された画素電極PE、画素電極PEと向かい合う共通電極CEなどを備えている。
【0014】
共通電極CEは、複数の画素PXに亘って共通に形成されている。画素電極PEは、各画素PXにおいて島状に形成されている。画素容量CSは、後述するように、絶縁膜を介して対向する画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される。
各ゲート配線Gは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ゲートドライバGDに接続されている。各ソース配線Sは、アクティブエリアACTの外側に引き出され、ソースドライバSDに接続されている。共通電極CEは、コモン電圧が供給される給電部VSと電気的に接続されている。ゲートドライバGD及びソースドライバSDは、例えばその少なくとも一部がアレイ基板ARに形成され、駆動ICチップ2と接続されている。図示した例では、液晶表示パネルLPNを駆動するのに必要な信号源としての駆動ICチップ2は、液晶表示パネルLPNのアクティブエリアACTの外側において、アレイ基板ARに実装されている。
【0015】
また、図示した例の液晶表示パネルLPNは、FFSモードに適用可能な構成であり、アレイ基板ARに画素電極PE及び共通電極CEを備えている。このような構成の液晶表示パネルLPNでは、画素電極PE及び共通電極CEの間に形成される横電界(例えば、フリンジ電界のうちの基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用して液晶層LQを構成する液晶分子をスイッチングする。
【0016】
図2は、
図1に示したアレイ基板ARにおける1つの画素PXの構造を対向基板CTの側から見た概略平面図である。
図2に示すように、Y方向に沿ってそれぞれ延出したソース配線Sj,Sj+1(jは正の整数)は、X方向に沿って第1ピッチpxで配置されている。X方向に沿ってそれぞれ延出したゲート配線Gi,Gi+1(iは正の整数)は、Y方向に沿って第1ピッチpxよりも大きい第2ピッチpyで配置されている。なお、
図2の例において、ソース配線Sjは、ゲート配線Giからゲート配線Gi+1に至るまでの間に、複数回に亘って屈曲している。ゲート配線Gi,Gi+1とソース配線Sj,Sj+1とで規定された領域が、1つの画素PXに対応する画素領域である。
【0017】
アレイ基板ARには、半導体層SCが設けられている。半導体層SCは、例えばポリシリコンやアモルファスシリコン、酸化物半導体などによって形成されている。半導体層SCは、その一部がソース配線Sjに沿って延びてゲート配線Giを跨ぎ、略垂直に2度屈曲して再度ゲート配線Giを跨ぐ。半導体層SCは、ゲート配線Gi等とともに、スイッチング素子SWとして機能するダブルゲート型の薄膜トランジスタを構成する。なお、スイッチング素子SWは必ずしもダブルゲート型の薄膜トランジスタである必要はなく、シングルゲート型の薄膜トランジスタなど他種のスイッチング素子であってもよい。
【0018】
半導体層SCは、コンタクトホールCH1を介してソース配線Sjと電気的に接続される。また、半導体層SCは、コンタクトホールCH2,CH3を介して画素電極PEと電気的に接続される。
図3は、
図2における切断線III−IIIに沿った断面図である。
図3には、アレイ基板ARだけでなく、液晶表示パネルLPNに含まれる他の要素の断面も示している。
【0019】
図3に示すように、アレイ基板ARは、ガラス基板などの光透過性を有する第1絶縁基板10を用いて形成されている。このアレイ基板ARは、第1絶縁基板10の対向基板CTに対向する側に、スイッチング素子SW、共通電極CE、画素電極PE、第1絶縁膜11、第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、第4絶縁膜14、第1配向膜AL1などを備えている。
【0020】
ここに示したスイッチング素子SWは、例えばボトムゲート型の薄膜トランジスタである。なお、スイッチング素子SWは、トップゲート型であってもよい。スイッチング素子SWを構成するゲート電極GEは、第1絶縁基板10の上に配置されている。ゲート電極GEは、例えばゲート配線Giの一部である。ゲート電極GEは、第1絶縁膜11によって覆われている。また、この第1絶縁膜11は、第1絶縁基板10の上にも配置されている。
【0021】
半導体層SCは、第1絶縁膜11の上に配置されている。半導体層SCは、第2絶縁膜12によって覆われている。また、この第2絶縁膜12は、第1絶縁膜11の上にも配置されている。
スイッチング素子SWのソース電極SE及びドレイン電極DEは、第2絶縁膜12の上に形成されている。ソース電極SEは、例えばソース配線Sjの一部である。ソース電極SEは、第2絶縁膜12を貫通するコンタクトホールCH1を通して半導体層SCにコンタクトしている。ドレイン電極DEは、第2絶縁膜12を貫通するコンタクトホールCH2を通して半導体層SCにコンタクトしている。このような構成のスイッチング素子SWは、ソース配線Sj,Sj+1とともに第3絶縁膜13によって覆われている。第3絶縁膜13は、第2絶縁膜12の上にも配置されている。第3絶縁膜13は、例えば、透明な樹脂材料によって形成されている。
【0022】
共通電極CEは、第3絶縁膜13の上に形成されている。この共通電極CEは、画素電極PEとドレイン電極DEとがコンタクトする領域を除いて、アクティブエリアのほぼ全域に形成されている。つまり、共通電極CEは、ソース配線Sj,Sj+1及びゲート配線Gi,Gi+1と重なる領域を覆っている。共通電極CEは、透明な導電材料、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)によって形成されている。通電時において、第1絶縁基板10側に配置されたソース配線Sj,Sj+1及びゲート配線Gi,Gi+1などに発生する電界は、共通電極CEによってシールドされ、液晶層LQに殆ど到達しない。
【0023】
共通電極CEは、第4絶縁膜14によって覆われている。第4絶縁膜14は、第3絶縁膜13の上にも配置されている。第4絶縁膜14は、共通電極CEと画素電極PEとの間に位置する層間絶縁膜として機能し、第3絶縁膜13と比較して薄い膜厚に形成され、例えば、シリコン窒化物(SiNx)によって形成されている。
【0024】
第3絶縁膜13及び第4絶縁膜14には、ドレイン電極DEまで貫通したコンタクトホールCH3が形成されている。なお、共通電極CEは、コンタクトホールCH3を囲うように開口している。
画素電極PEは、第4絶縁膜14の上に形成され、共通電極CEと対向している。画素電極PEは、コンタクトホールCH3を介してドレイン電極DEに電気的に接続されている。このような画素電極PEは、透明な導電材料、例えば、ITOによって形成されている。
【0025】
画素電極PEは、第1配向膜AL1によって覆われている。また、第1配向膜AL1は、第4絶縁膜14も覆っている。このような第1配向膜AL1は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
一方、対向基板CTは、ガラス基板などの光透過性を有する第2絶縁基板20を用いて形成されている。対向基板CTは、第2絶縁基板20のアレイ基板ARに対向する側に、ブラックマトリクス21、カラーフィルタ22、オーバーコート層23、第2配向膜AL2などを備えている。
【0026】
ブラックマトリクス21は、アレイ基板ARに設けられたゲート配線Gやソース配線S、さらにはスイッチング素子SWなどの配線部に対向し、各画素PXを区画する。
図2及び
図3に示すように、ブラックマトリクス21は、画素領域において開口部APを規定する。
【0027】
カラーフィルタ22は、開口部APに形成され、ブラックマトリクス21の上にも延在している。このカラーフィルタ22は、互いに異なる複数の色、例えば赤色、青色、緑色といった3原色にそれぞれ着色された樹脂材料によって形成されている。異なる色のカラーフィルタ22間の境界は、ブラックマトリクス21と重なる位置にある。
【0028】
オーバーコート層23は、カラーフィルタ22を覆っている。
図3においては簡略化しているが、カラーフィルタ22のアレイ基板AR側の面はカラーフィルタ22同士の境界部分等に凹凸を有する。オーバーコート層23は、カラーフィルタ22の表面の凹凸を平坦化する。このようなオーバーコート層23は、透明な樹脂材料によって形成されている。
【0029】
オーバーコート層23の表面は、第2配向膜AL2によって覆われている。第2配向膜AL2は、水平配向性を示す材料によって形成されている。
上述したようなアレイ基板ARと対向基板CTとは、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2が向かい合うように配置されている。アレイ基板ARと対向基板CTの間には、一方の基板に形成された柱状スペーサ30により、所定のセルギャップが形成される。図示した例では、柱状スペーサ30は、対向基板CTに形成されているが、アレイ基板ARに形成されていてもよい。アレイ基板ARと対向基板CTとは、セルギャップが形成された状態でシール材によって貼り合わせられている。液晶層LQは、これらのアレイ基板ARの第1配向膜AL1と対向基板CTの第2配向膜AL2との間に形成されたセルギャップに封入された液晶組成物によって構成されている。
【0030】
このような構成の液晶表示パネルLPNに対して、その背面側には、バックライトBLが配置されている。バックライトBLとしては、光源として発光ダイオード(LED)を利用したものや冷陰極管(CCFL)を利用したものなど種々の形態が適用可能である。
【0031】
アレイ基板ARの外面すなわち第1絶縁基板10の外面10Bには、第1偏光板PL1を含む第1光学素子OD1が配置されている。また、対向基板CTの外面すなわち第2絶縁基板20の外面20Bには、第2偏光板PL2を含む第2光学素子OD2が配置されている。第1偏光板PL1の第1偏光軸と第2偏光板PL2の第2偏光軸とは、例えば、クロスニコルの位置関係にある。第1光学素子OD1及び第2光学素子OD2は、さらに位相差板を含んでいてもよい。
【0032】
第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2は、基板主面(あるいは、X−Y平面)と平行な面内において、互いに平行な方位に配向処理(例えば、ラビング処理や光配向処理)が施されている。例えば第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向処理方向は、Y方向と平行な方向である。
【0033】
なお、第1偏光板PL1の第1偏光軸は、例えば、第1配向膜AL1の配向処理方向と平行な方位に設定され、第2偏光板PL2の第2偏光軸は、第1配向膜AL1の配向処理方向と直交する方位に設定されている。
図2に示すように、画素電極PEは、1本の主画素電極PEaを備えている。主画素電極PEaは、ゲート配線Gi,Gi+1及びソース配線Sj,Sj+1により規定される画素領域において、ソース配線Sj,Sj+1と平行に屈曲しながら帯状に延びる。主画素電極PEaと共通電極CEとは、第4絶縁膜14を挟んで対向する。つまり、X−Y平面においては、主画素電極PEaは、スイッチング素子SWとコンタクトする領域を除いて、共通電極CEと重なっている。画素領域には、主画素電極PEaと共通電極CEとが対向しない非対向領域A1,A2が形成される。より具体的には、非対向領域A1は、アレイ基板ARを対向基板CT側から正面視した際に、主画素電極PEaとソース配線Sjとの間に形成される領域である。また、非対向領域A2は、アレイ基板ARを対向基板CT側から正面視した際に、主画素電極PEaとソース配線Sj+1との間に形成される領域である。FFSモードの場合、主画素電極PEaと共通電極CEとの間に生じるフリンジ電界により、主に各非対向領域A1,A2の上方に在る液晶分子が好適にスイッチングされ、各非対向領域A1,A2付近で高い透過率が得られる。すなわち、表示に寄与する光は、主に各非対向領域A1,A2において得られる。
【0034】
また、画素電極PEは、主画素電極PEaの両端に、それぞれ第1副画素電極PEb1及び第2副画素電極PEb2を備えている。各副画素電極PEb1,PEb2は、いずれも開口部APの外側に配置されている。主画素電極PEa及び各副画素電極PEb1,PEb2は、第4絶縁膜14を介して対向する共通電極CEとの間で画素PXの駆動に必要な画素容量CSを形成している。主画素電極PEa及び各副画素電極PEb1,PEb2は、例えば同一の工程において同一の材料により一体的に形成される。
【0035】
図2に示した画素PXは、アレイ基板ARにおいてX方向及びY方向に並び、マトリクス状に配置されている。
図4は、アレイ基板ARに形成される多数の画素PXを対向基板CTの側から見た概略平面図である。
ゲート配線Gi,Gi+1の間の第1ラインL1に形成される画素PXは、いずれも
図2に示したものと同様の形状を有する。ゲート配線Gi+1,Gi+2の間の第2ラインL2に形成される画素PXは、主に画素電極PE及びソース配線Sの形状において、
図2に示したものと異なる。具体的には、第2ラインL2の画素電極PE及びソース配線Sは、第1ラインL1の画素電極PE及びソース配線Sの形状に対し、Y方向に関して線対称な形状である。
【0036】
このように、アクティブエリアACTの全域において、第1ラインL1に示す形状の画素PXの並びと、第2ラインL2に示す形状の画素PXの並びとがY方向に繰り返される。第1ラインL1は例えば偶数ラインであり、第2ラインL2は例えば奇数ラインである。
【0037】
液晶表示パネルLPNの表示面(第2光学素子OD2の外面)から画素電極PEに至るまでに配置された部材は、透明或いは高い透光性を有する。したがって、
図4に示す並びの画素電極PEは、液晶表示装置或いは液晶表示パネルLPNの表示面側から観察することができる。液晶表示装置及び液晶表示パネルLPNを正面(表示面の法線方向)から見たとき、これらの外観形状は略矩形である。液晶表示装置及び液晶表示パネルLPNの厚さは、上記矩形の長辺及び短辺に比べて十分に薄い。すなわち、液晶表示装置及び液晶表示パネルLPNは、平板形状である。
一例として、主画素電極PEaと各副画素電極PEb1,PEb2とを含む画素電極PEのX方向幅及びY方向幅はそれぞれ14μm及び35μmであり、第1ピッチpx及び第2ピッチpyはそれぞれ15μm及び38μmである。
【0038】
以下に、上記構成の液晶表示装置における動作について説明する。
画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差を形成するような電圧が印加されていないオフ時においては、液晶層LQに電圧が印加されていない状態であり、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていない。このため、液晶層LQに含まれる液晶分子は、X−Y平面内において、第1配向膜AL1及び第2配向膜AL2の配向処理方向に初期配向する。以下、液晶分子が初期配向する方向を初期配向方向と称する。
【0039】
オフ時には、バックライトBLからのバックライト光の一部は、第1偏光板PL1を透過し、液晶表示パネルLPNに入射する。液晶表示パネルLPNに入射した光は、第1偏光板PL1の第1偏光軸と直交する直線偏光である。このような直線偏光の偏光状態は、オフ時の液晶表示パネルLPNを通過した際にほとんど変化しない。このため、液晶表示パネルLPNを透過した直線偏光は、第1偏光板PL1に対してクロスニコルの位置関係にある第2偏光板PL2によって吸収される(黒表示)。
【0040】
一方、画素電極PEと共通電極CEとの間に電位差を形成するような電圧が印加されたオン時においては、液晶層LQに電圧が印加された状態であり、画素電極PEと共通電極CEとの間にフリンジ電界が形成される。このため、液晶分子は、X−Y平面内において、初期配向方向とは異なる方位に配向する。
【0041】
このようなオン時には、第1偏光板PL1の第1偏光軸と直交する直線偏光は、液晶表示パネルLPNに入射し、その偏光状態は、液晶層LQを通過する際に液晶分子LMの配向状態(あるいは、液晶層のリタデーション)に応じて変化する。このため、オン時においては、液晶層LQを通過した少なくとも一部の光は、第2偏光板PL2を透過する(白表示)。
【0042】
続いて、画素電極PEの形状につき、詳細に説明する。
図5は、対向基板CT側から見た1つの画素電極PEを示す平面図である。この画素電極PEは、
図4における第1ラインL1に形成される画素電極PEに相当する。
【0043】
この画素電極PEの主画素電極PEaは、第1部分PEa1と、第2部分PEa2と、第3部分PEa3とを備える。第1部分PEa1は、X方向に対して反時計回りにθ1の角度で帯状に延びる。第1部分PEa1のY方向における長さは、da1である。第2部分PEa2は、第1部分PEa1の
図5における上側の端部と第1副画素電極PEb1との間で、X方向に対して反時計回りにθ2の角度で帯状に延びる。第2部分PEa2のY方向における長さは、da2である。第3部分PEa3は、第1部分PEa1の
図5における下側の端部と第2副画素電極PEb2との間で、X方向に対して反時計回りにθ3の角度で帯状に延びる。第3部分PEa3のY方向における長さは、da3である。
【0044】
本実施形態において、角度θ1〜θ3はいずれも鋭角であり、角度θ2,θ3は同じ角度である(θ2=θ3)。また、本実施形態において、長さda2,da3は同じ長さであり(da2=da3)、且つ、長さda1よりも短い長さである。
主画素電極PEaのX方向における幅は、各部分PEa1〜PEa3に亘ってwaで一定である。第1副画素電極PEb1のX方向における幅はwb1であり、第2副画素電極PEb2のX方向における幅はwb2である。
【0045】
本実施形態の画素電極PEは、一般にFFSモードにおいて用いられる画素電極のようにスリットが設けられた形状を有さない。つまり、1個の画素電極PEは、共通電極CEとの間で表示に必要なフリンジ電界を形成するための主画素電極PEaを1本のみ備えている。他の観点から言えば、画素電極PEは、画素領域において、平行に延びた2つのエッジED1,ED2のみ有している。これらのエッジED1,ED2は、X方向に対して反時計回りに角度θ1〜θ3の方向に屈曲しながら延びる。さらに他の観点から言えば、画素電極PEは、主画素電極PEaの全長に亘り、不連続部分を生じない連続した断面形状で、X方向に対して反時計回りに角度θ1〜θ3の方向に屈曲しながら帯状に延びる。ここにいう断面形状は、例えば幅方向(X方向)に沿う断面の形状である。幅waが主画素電極PEaの全長に亘って一定である場合、この断面形状は主画素電極PEaの全長に亘って一様である。
【0046】
第1副画素電極PEb1は、X方向に延び、その中間部分で主画素電極PEaの端部(第2部分PEa2側の端部)に繋がっている。つまり、第1副画素電極PEb1及び第2部分PEa2は、略T字形状を形成している。第2副画素電極PEb2は、X方向に延び、その中間部分で主画素電極PEaの端部(第3部分PEa3側の端部)に繋がっている。つまり、第2副画素電極PEb2及び第3部分PEa3は、略T字形状を形成している。本実施形態において、各副画素電極PEb1,PEb2は同じ形状である。すなわち、各副画素電極PEb1,PEb2のX方向における幅wb1,wb2は、同じ大きさである(wb1=wb2)。また、各副画素電極PEb1,PEb2のY方向における長さdb1,db2は、同じ大きさである(db1=db2)。
【0047】
各副画素電極PEb1,PEb2の幅wb1,wb2は、主画素電極PEaの幅waより大きい(wa<wb1,wb2)。このように各副画素電極PEb1,PEb2の幅wb1,wb2を大きくすることで、共通電極CEとの間に十分な画素容量CSを形成することが可能となる。なお、各副画素電極PEb1,PEb2は、ブラックマトリクスと対向する位置に配置されているため、たとえ面積を拡張したとしても、開口部APにおける透過率のロスを招くことはない。
【0048】
液晶表示装置にタッチパネルが設けられる場合などにおいて、ユーザの指やスタイラスペンにより液晶表示パネルLPNが押されると、その押圧により液晶層LQにおいてドメインが成長し、指やスタイラスペンを離した後にもその影響が残ることがある。このような影響は、タッチ尾引きなどと呼ばれる。本実施形態のように主画素電極PEaを多段階に屈曲させる構成においては、例えば主画素電極PEaを屈曲のないストレート形状とする場合に比べ、オン時における液晶分子の配向が強化される。すなわち、主画素電極PEaの第2部分PEa2及び第3部分PEa3と共通電極CEとの間には、第1部分PEa1と共通電極CEとの間に形成されるフリンジ電界よりも液晶分子を大きく回転させるフリンジ電界が形成される。このため、押圧力が解放された際に、第2部分PEa2及び第3部分PEa3付近に生ずるフリンジ電界の作用によって、液晶分子を所望の配向方向に方向付けることが可能となり、上記タッチ尾引きなどのディスクリネーション(配向欠陥)を生じ難くくさせることが可能となる。
【0049】
出願人の実験及びシミュレーションにより、45deg≦θ2,θ3≦75deg、75deg≦θ1≦87deg、θ2,θ3≦θ1、3μm≦da2,da3≦10μmの条件を満たすように角度θ1〜θ3及び長さd1,d3を定めると、ディスクリネーションの防止効果が良好に発揮されることが判明した。したがって、主画素電極PEaの形状は、上記の条件を満たすように定めることが好ましい。
【0050】
主画素電極PEaの幅waは、例えば液晶表示パネルLPNの表示面を斜め方向(表示面の法線方向に対して傾いた方向)から見た際に、隣り合う画素PX同士の過度の混色が生じないように定める必要がある。また、主画素電極PEaの幅waは、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される画素容量CSが十分な値となるように定める必要がある。
【0051】
これらの見地から、出願人は、画素電極PEがX方向に配列されるピッチ(第1ピッチpx)ごとに主画素電極PEaの幅waとして採用し得る上限値wa1及び下限値wa2測定した。
図6は、この測定結果を示すグラフである。
【0052】
画素PX同士の過度の混色を防止するためには、隣り合う各画素PXにおける主画素電極PEaの間の距離をできるだけ長くする必要がある。上限値wa1は、この観点から測定した。その結果、上限値wa1は、wa1=px−9μmの近似直線により定義できることが判った。
【0053】
十分な画素容量CSを形成するためには、主画素電極PEaの幅waをできるだけ大きくする必要がある。下限値wa2は、この観点から測定した。なお、第4絶縁膜14の膜厚は、およそ80〜120nmを想定している。その結果、下限値wa2は、wa2=0.5px−4.5μmの近似直線により定義できることが判った。
【0054】
これらより、主画素電極PEaの幅waは、以下の関係を満たすように定めることが好ましい。
0.5px−4.5μm≦wa≦px−9μm
続いて、一般にFFSモードで用いられるスリットを有する形状の画素電極を用いた液晶表示装置に対する、本実施形態に係る液晶表示装置の利点について説明する。
一般的な製造プロセスにより画素電極を形成する場合、2〜3μmが線幅及びスリット幅の解像限界である。また、上述の通り、画素PX同士の過度の混色を防止するためには、隣り合う各画素PXにおける主画素電極PEaの間の距離を十分長くする必要がある。
【0055】
ここで、形成可能な最小の画素電極の幅が3μmであり、X方向に隣り合う画素PX同士の間隔を最低で11μm離す必要がある場合を想定する。この場合、例えば1つのスリットを有する画素電極においては、スリットにより隔てられた2本の電極部分及びスリットのX方向における幅の合計が9μmとなり、これに画素PX同士の間隔11μmを加算した20μm(423ppi)が画素PXの最小幅となる。
【0056】
これに対し、本実施形態の画素電極PEにおいては、例えば幅waを一般的な製造プロセスにおける解像限界(例えば3μm)に対して余裕を持たせた4〜5μmとした場合であっても、これに画素PX同士の間隔11μmを加算した15〜16μmが画素PXの最小幅となる。すなわち、本実施形態にて開示した画素電極PEを用いると、スリットを有する画素電極を用いる場合に比べて、1つの画素PXを大幅に小型化できる。このように小型化された画素PXを用いれば、従来のFFSモードの液晶表示装置に比べ、格段に高精細な液晶表示装置、例えば500ppi以上の解像度を有する液晶表示装置を得ることができる。
【0057】
また、スリットを有する画素電極を用いた従来のFFSモードの液晶表示装置には、画素電極の駆動電圧Vの変化に応じて表示色のシフトが顕著に発生するとの問題があった。以下、この問題について説明する。
図7は、スリットを有する画素電極と共通電極との間に生じる電界が液晶分子に与える影響を説明するための図であり、共通電極CEs、スリットを有する画素電極PEs、第4絶縁膜14s及び液晶層LQsの概略的な断面を示している。この画素電極PEsは、1本のスリットSLと、このスリットSLにより分断された2本の主画素電極PEasとを備える。共通電極CEs、第4絶縁膜14s、及び液晶層LQsは、それぞれ上述した共通電極CE、第4絶縁膜14、及び液晶層LQに相当する。液晶層LQsに含まれる液晶分子LMは、アレイ基板の主面と平行な面内に設定された初期配向方向に長軸が向くように初期配向されている。
【0058】
画素電極PEsに駆動電圧Vを印加すると、各主画素電極PEasから共通電極CEsに向けたフリンジ電界Eが発生する。液晶分子LMは、このフリンジ電界Eの方向に長軸が向くように回転する。このとき、各主画素電極PEasの中央部付近の上方に在る液晶分子LMは、各主画素電極PEasの両エッジを越えて共通電極CEに至るフリンジ電界Eの影響をそれぞれ受けて、アレイ基板の主面と垂直或いは垂直に近い方向に立ち上がる。また、スリットSLの中央部付近の上方に在る液晶分子LMは、各主画素電極PEasからスリットSLの下方に在る共通電極CEに至るフリンジ電界Eの影響を受けて、アレイ基板の主面と垂直或いは垂直に近い方向に立ち上がる。アレイ基板の主面と平行な面内において、液晶分子LMが立ち上がる範囲は、画素電極PEsに印加される駆動電圧Vに応じて変化する。これに起因して、上述のような表示色のシフトが発生する。
【0059】
図7の例と比較するために、本実施形態に係る画素電極PEを用いる場合におけるフリンジ電界Eと液晶分子LMとの関係について説明する。
図8は、本実施形態における画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界が液晶分子に与える影響を説明するための図であり、共通電極CE、画素電極PE、第4絶縁膜14及び液晶層LQの概略的な断面を示している。
【0060】
図8に示す例において、主画素電極PEaの幅waは、
図7に示した各主画素電極PEasの幅よりも大きく、かつ
図7に示した各主画素電極PEas及びスリットSLを併せた幅よりも小さい。主画素電極PEaの幅waが各主画素電極PEasよりも大きいために、主画素電極PEaの中央部付近の上方に在る液晶分子LMは、主画素電極PEaの両エッジを越えて共通電極CEに至るフリンジ電界Eの影響を受け難い。したがって、主画素電極PEaの中央部付近の上方に在る液晶分子LMは、アレイ基板ARの主面と垂直な方向に立ち上がり難い。
【0061】
主画素電極PEaの幅waを
図7の例における1つの主画素電極PEas程度まで小さくした場合、主画素電極PEaの中央部付近の上方に在る液晶分子LMが立ち上がり得る。しかしながらこの場合であっても、少なくとも
図7に示したスリットSLの上方における液晶分子LMの立ち上がりが発生しないために、画素電極PEを用いる場合には画素電極PEsを用いる場合に比べて液晶分子LMが立ち上がる領域が小さい。
【0062】
図9は、1つのスリットを有する画素電極PEsを備える液晶表示パネルで白色を表示した際において、駆動電圧Vに応じた色度を測定した結果を表すグラフである。
図10は、本実施形態における画素電極PEを備える液晶表示パネルで白色を表示した際において、駆動電圧Vに応じた色度を測定した結果を表すグラフである。これらの測定は、画素電極の形状のみ異ならせ、他の条件を全て一致させて行った。
【0063】
図9及び
図10において、2種類のプロットは、駆動電圧V毎に測定したCIE表示系におけるx値及びy値をそれぞれ示す。
図9においては、x値及びy値のいずれについても駆動電圧1.8V程度でピークに達し、その後は駆動電圧Vの上昇に伴って徐々に低下する。特にy値の変化が大きく、これにより表示色のシフトが顕著に発生する。
【0064】
図10においても、x値及びy値は駆動電圧1.8V程度でピークに達した。その後、x値及びy値は、駆動電圧Vの上昇に伴って
図9の場合よりも小さい勾配で低下し、やがて上昇に転じた。
図9及び
図10におけるx値及びy値の変化を見て明らかなように、スリットを有さない画素電極PEは、スリットを有する画素電極PEsに比べて、駆動電圧Vの変化に応じた色度の変化が小さい。すなわち、本実施形態における画素電極PEを用いることで、駆動電圧Vの変化に応じた表示色のシフトが小さい液晶表示装置を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態における画素電極PEは、主画素電極PEaよりも幅が大きい第1及び第2副画素電極PEb1,PEb2を備える。これらの副画素電極PEb1,PEb2により、画素電極PE、共通電極CE、及び第4絶縁膜14により形成される画素容量CSを高めることができる。この画素容量CSを十分に高めることにより、別途の補助容量を画素PXごとに設ける必要がなくなる。この場合においては、補助容量線などが不要になるため、透過率が向上する。
【0066】
また、本実施形態における画素電極PEの主画素電極PEaは、X方向に対してそれぞれ角度θ1〜θ3で傾く第1〜第3部分PEa1〜PEa3を備える。このように主画素電極PEaを屈曲させることで、上述したディスクリネーションの発生を低減ないし防止することができる。
これらの他にも、本実施形態にて開示した構成からは、種々の好適な作用が得られる。
【0067】
以上説明した実施形態にて開示した構成は、適宜変形して実施することができる。
例えば、画素電極PEの形状は、
図2,
図4及び
図5などを用いて説明したものに限られない。以下に、画素電極PEの形状に関するいくつかの変形例を示す。
【0068】
(第1変形例)
図11は、第1変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。第1変形例に係る画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第1副画素電極PEb1の端部と主画素電極PEaの端部(第2部分PEa2側の端部)とが繋がり、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第3部分PEa3側の端部)とが繋がっている点で異なる。つまり、第1副画素電極PEb1と第2部分PEa2、及び、第2副画素電極PEb2と第3部分PEa3は、それぞれ略L字形状を形成している。
【0069】
図12は、第1変形例に係る画素電極PEを含む多数の画素PXを対向基板CTの側から見た概略平面図である。ゲート配線Gi,Gi+1の間の第1ラインL1に形成される画素PXは、いずれも
図11に示した画素電極PEを備える。ゲート配線Gi+1,Gi+2の間の第2ラインL2に形成される画素PXは、主に画素電極PE及びソース配線Sの形状において、第1ラインL1に形成される画素PXと異なる。具体的には、第2ラインL2の画素電極PE及びソース配線Sは、第1ラインL1の画素電極PE及びソース配線Sの形状に対し、Y方向に関して線対称な形状である。
【0070】
第1変形例に係る画素電極PEを用いた液晶表示装置は、上記実施形態における画素電極PEを用いる場合に比べて、光の透過率が優れる。この作用につき、
図13及び
図14を用いて説明する。
図13は、上記実施形態における画素電極PEを用いた画素PXにおいて、光の透過率を測定した結果を表す透過率分布図である。
図14は、第1変形例における画素電極PEを用いた画素PXにおいて、光の透過率を測定した結果を表す透過率分布図である。これらの図においては、透過率の分布を色の濃淡と等値線で表している。色が濃い部分ほど透過率が高い。
【0071】
図13及び
図14に示す測定結果から判るように、いずれの場合においても主画素電極PEaの両エッジの近傍において透過率が最も高くなる。
図13に示す測定結果においては、各副画素電極PEb1,PEb2の中央付近に、主画素電極PEaの方向に延びる低透過率領域Bが現れた。これら低透過率領域Bは、各副画素電極PEb1,PEb2の幅wb1,wb2が大きいことから、その上方に在る液晶分子が殆どスイッチングしないために発生する。これら低透過率領域Bは、
図2に示す開口部APの内部にも及び、表示品質に影響し得る。
【0072】
一方、
図14に示す測定結果においても低透過率領域Bが現れるものの、その大きさは
図13におけるものに比べて小さく、主画素電極PEaに到達していない。このように、第1変形例における画素電極PEを用いることで、各副画素電極PEb1,PEb2付近に生じる低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。これにより、画素PXの透過率を高めることができる。
その他、第2変形例における画素電極PEは、上記実施形態と同様の作用を奏する。
【0073】
(第2変形例)
図15は、第2変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第3部分PEa3側の端部)とが繋がっている点で異なる。つまり、第2副画素電極PEb2と第3部分PEa3は、略L字形状を形成している。
【0074】
例えば、
図4における画素電極PEを第2変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図15に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第2変形例における画素電極PEは、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第2変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0075】
(第3変形例)
図16は、第3変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、主画素電極PEaが第1部分PEa1を有し、第2部分PEa2及び第3部分PEa3を有さないストレート形状である点で異なる。さらに、第1副画素電極PEb1の端部と主画素電極PEaの端部(第1部分PEa1の一方の端部)とが繋がり、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第1部分PEa1の他方の端部)とが繋がっている。つまり、第1副画素電極PEb1と第1部分PEa1、及び、第2副画素電極PEb2と第1部分PEa1は、それぞれ略L字形状を形成している。
【0076】
例えば、
図4における画素電極PEを第3変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図16に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第3変形例における画素電極PEは、ディスクリネーションの防止効果が上記実施形態に比べて弱まるものの、その他の点については上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第3変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、第1副画素電極PEb1及び第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0077】
(第4変形例)
図17は、第4変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第2副画素電極PEb2のY方向における長さdb2が第1副画素電極PEb1の同方向における長さdb1に比べて短い点で異なる。
【0078】
例えば、
図4における画素電極PEを第4変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図17に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第4変形例における画素電極PEは、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第4変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、第2副画素電極PEb2の面積が小さいために第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0079】
(第5変形例)
図18は、第5変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、主画素電極PEaが第1部分PEa1を有し、第2部分PEa2及び第3部分PEa3を有さないストレート形状である点、及び、第2副画素電極PEb2のY方向における長さdb2が第1副画素電極PEb1の同方向における長さdb1に比べて短い点で異なる。さらに、第1副画素電極PEb1の端部と主画素電極PEaの端部(第1部分PEa1の一方の端部)とが繋がり、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第1部分PEa1の他方の端部)とが繋がっている。つまり、第1副画素電極PEb1と第1部分PEa1、及び、第2副画素電極PEb2と第1部分PEa1は、それぞれ略L字形状を形成している。
【0080】
例えば、
図4における画素電極PEを第5変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図18に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第5変形例における画素電極PEは、ディスクリネーションの防止効果が上記実施形態に比べて弱まるものの、その他の点については上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第5変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、第1副画素電極PEb1及び第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。特に、第2副画素電極PEb2の面積が小さいために、第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を大幅に狭めることができる。
【0081】
(第6変形例)
図19は、第6変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、主画素電極PEaが第1部分PEa1及び第2部分PEa2を有し、第3部分PEa3を有さない形状である点で異なる。
【0082】
例えば、
図4における画素電極PEを第6変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図19に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第6変形例における画素電極PEのように主画素電極PEaを屈曲させた場合であっても、上記実施形態と同様にディスクリネーションの発生を低減ないし防止する効果が得られる。その他の点についても、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。
【0083】
(第7変形例)
図20は、第7変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、主画素電極PEaが第3部分PEa3を有さず、第1副画素電極PEb1の端部と主画素電極PEaの端部(第2部分PEa2側の端部)とが繋がり、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第1部分PEa1側の端部)とが繋がっている点で異なる。つまり、第1副画素電極PEb1と第2部分PEa2、及び、第2副画素電極PEb2と第1部分PEa1は、それぞれ略L字形状を形成している。
【0084】
例えば、
図4における画素電極PEを第7変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図20に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第7変形例における画素電極PEのように主画素電極PEaを屈曲させた場合であっても、上記実施形態と同様にディスクリネーションの発生を低減ないし防止する効果が得られる。その他の点についても、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第7変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、各副画素電極PEb1,PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0085】
(第8変形例)
図21は、第8変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、主画素電極PEaが第3部分PEa3を有さず、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第1部分PEa1側の端部)とが繋がっている点で異なる。つまり、第2副画素電極PEb2と第1部分PEa1は、略L字形状を形成している。
【0086】
例えば、
図4における画素電極PEを第8変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図21に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
第8変形例における画素電極PEのように主画素電極PEaを屈曲させた場合であっても、上記実施形態と同様にディスクリネーションの発生を低減ないし防止する効果が得られる。その他の点についても、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第8変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0087】
(第9変形例)
図22は、第9変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第2部分PEa2の幅が第1副画素電極PEb1に近づくほど拡大し、第3部分PEa3の幅が第2副画素電極PEb2に近づくほど拡大する点で異なる。
【0088】
具体的には、
図22における第2部分PEa2の右側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ2の角度で延び、第2部分PEa2の左側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延びる。また、
図22における第3部分PEa3の左側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ3の角度で延び、第3部分PEa3の右側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延びる。
【0089】
第1部分PEa1はその幅waが全長に亘り一定であってX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延び、第1部分PEa1の左右のエッジは第2部分PEa2及び第3部分PEa3の左右のエッジにそれぞれ接続される。すなわち、第1部分PEa1の左側のエッジと第2部分PEa2の左側のエッジは、1本の直線上で延びる。また、第1部分PEa1の右側のエッジと第3部分PEa3の右側のエッジは、1本の直線上で延びる。
例えば、
図4における画素電極PEを第9変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図22に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
このような構成の画素電極PEであっても、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。
【0090】
(第10変形例)
図23は、第10変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第1副画素電極PEb1の端部と主画素電極PEaの端部(第2部分PEa2側の端部)とが繋がり、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第3部分PEa3側の端部)とが繋がっている点で異なる。
【0091】
さらに、この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第2部分PEa2の幅が第1副画素電極PEb1に近づくほど拡大し、第3部分PEa3の幅が第2副画素電極PEb2に近づくほど拡大する点で異なる。具体的には、
図23における第2部分PEa2の右側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ2の角度で延び、第2部分PEa2の左側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延びる。また、
図23における第3部分PEa3の左側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ3の角度で延び、第3部分PEa3の右側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延びる。
【0092】
第1部分PEa1はその幅waが全長に亘り一定であってX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延び、第1部分PEa1の左右のエッジは第2部分PEa2及び第3部分PEa3の左右のエッジにそれぞれ接続される。すなわち、第1部分PEa1の左側のエッジと第2部分PEa2の左側のエッジは、1本の直線上で延びる。また、第1部分PEa1の右側のエッジと第3部分PEa3の右側のエッジは、1本の直線上で延びる。
例えば、
図4における画素電極PEを第10変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図23に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
このような構成の画素電極PEであっても、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第10変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、各副画素電極PEb1,PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0093】
(第11変形例)
図24は、第11変形例に係る画素電極PEを対向基板CT側から見た平面図である。この画素電極PEは、例えば
図4における第1ラインL1の画素PXに配置される画素電極である。この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第2副画素電極PEb2の端部と主画素電極PEaの端部(第3部分PEa3側の端部)とが繋がっている点で異なる。
【0094】
さらに、この画素電極PEを
図5に示したものと比べると、第2部分PEa2の幅が第1副画素電極PEb1に近づくほど拡大し、第3部分PEa3の幅が第2副画素電極PEb2に近づくほど拡大する点で異なる。具体的には、
図24における第2部分PEa2の右側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ2の角度で延び、第2部分PEa2の左側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延びる。また、
図24における第3部分PEa3の左側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ3の角度で延び、第3部分PEa3の右側のエッジがX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延びる。
【0095】
第1部分PEa1はその幅waが全長に亘り一定であってX方向に対して反時計回りにθ1の角度で延び、第1部分PEa1の左右のエッジは第2部分PEa2及び第3部分PEa3の左右のエッジにそれぞれ接続される。すなわち、第1部分PEa1の左側のエッジと第2部分PEa2の左側のエッジは、1本の直線上で延びる。また、第1部分PEa1の右側のエッジと第3部分PEa3の右側のエッジは、1本の直線上で延びる。
例えば、
図4における画素電極PEを第11変形例における画素電極PEに置き換える場合、第2ラインL2の画素PXに配置される画素電極PEの形状は、
図24に示す画素電極PEに対し、Y方向に関して線対称な形状である。
このような構成の画素電極PEであっても、上記実施形態と概ね同様の作用を奏する。また、第11変形例における画素電極PEを用いて画素PXを形成する場合、第2副画素電極PEb2付近で生じる上述の低透過率領域Bの範囲を狭め、その影響を弱めることができる。
【0096】
以上例示した変形例の他にも、画素電極PEの形状としては、種々のものを採用し得る。また、画素電極PEを各変形例に示した形状或いは他の形状とする場合にあっては、画素PXを規定するソース配線Sを、主画素電極PEaと平行に屈曲した形状としてもよい。また、上記実施形態及び各変形例においては、各ソース配線Sによって規定される各ラインに、Y方向に関して線対称の形状を有する画素電極PEが交互に配置される場合を例示した。しかしながら、各ラインに配置される画素電極PEは、いずれも同じ形状であってもよい。
【0097】
本発明の実施形態或いはその変形例として上述した各構成を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての構成も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものついては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。