【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様においては、共通モード電流の低減に対する方法を使用することにより、この点を達成することができる。この態様においては、電気回路の外部にある電気エネルギー源と、前記電気回路の電気エネルギー蓄積ユニットとの間で電気エネルギーが交換されるときに、電気回路の内部接地とアースとの間を流れる共通モード電流を低減させることができる。この方法においては、1つの電子素子を使用して、少なくとも1つのインピーダンス(例えば、キャパシタ)を介して接続された注入点において、電気回路の配線に、1つの電気量を印加する。この電気配線を介して、電気エネルギーの交換が実行される。この印加された電気量によって、共通モード電流(特に、回路の内部接地とアースとの間を流れる共通モード電流)を低減させることができる。
【0015】
電気エネルギー源は、電気ネットワークの一部を形成することができ、印加される電気量によって、電気ネットワークの周波数における共通モード電流を低減させることができる。印加される電気量によって、電気ネットワークのこの周波数の最初の10個の高調波における共通モード電流を低減させることもできる。
【0016】
少なくとも1つのインピーダンスを介して電気配線に接続される点を、以下においては、「注入点」と呼ぶことにする。従って、
‐ 「注入点の上流」とは、「電気ネットワークと、注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスとの間に配置されている電気配線の部分(すなわち、前記インピーダンスの上流)を意味する。また、
‐ 「注入点の下流」とは、注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスと、電気エネルギー蓄積ユニットとの間に配置されている電気配線の部分(すなわち、前記インピーダンスの下流)を意味する。
【0017】
注入点は、少なくとも1つのキャパシタを介して電気配線に接続することができる。各キャパシタの容量は、1μF程度であってよい。
【0018】
変形例として、注入点は、少なくとも1つのコイル、または少なくとも1つの抵抗、または変成器を介して、または、これらの素子の組み合わせを介して、電気配線に接続することができる。
【0019】
電子素子によって注入点に印加される電気量は、次に示すものとすることができる。
‐ 電圧。この場合には、電子素子によって、注入点とアースとの間に印加される。
‐ 電流。この場合には、注入点とアースとの間に流れる。
【0020】
この方法が、ネットワークの電気エネルギー源から電気回路の電気エネルギー蓄積ユニットへの充電に対応する場合には、電子素子によって印加される電気量は、注入点の下流の電気配線の中を流れる共通モード電流に対抗する電流の発生を誘起することができる。
【0021】
電子素子が、注入点で電流を印加する場合には、上述の生成される電流は、この電流である。
【0022】
電子素子が、注入点で電圧を印加する場合には、この電圧の印加は、上記電流の発生を引き起こす。
【0023】
電子素子によって印加される電気量によって生成される電流は、注入点の下流の電気配線の中を流れる共通モード電流の値以下の値を有することができる。生成されるこの電流は、絶対値として、注入点の下流の電気配線の中を流れる共通モード電流の、例えば、少なくとも50%、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、また更に、95%以上の値を有している。
【0024】
生成される電流の値が、注入点の下流の電気配線における共通モード電流の値に近いほど、注入点の上流側の電気配線(特に、電気ネットワーク)の中を流れる共通モード電流の、それだけ多くの量を低減することができる。これは、接点の法則により導き出すことができる。従って、電子素子が前記電気量を印加することによって生成される電流は、注入点の下流の電気配線の中を流れる共通モード電流に極力近い値を有するイメージ電流である。
【0025】
電気配線は、単相であってもよい。この場合には、前記注入点は、
‐ 注入点と電気配線の位相端子との間に挿入された、少なくとも1つのインピーダンスを介して、電気配線の位相端子に、また、
‐ 注入点と、電気配線の中性点との間に挿入された、少なくとも1つのインピーダンスを介して、電気配線の中性点に、接続することができる。
【0026】
単相電気配線の変形例の場合には、注入点は、それぞれ、電気配線の位相端子、または中性点だけに、それぞれ、中性点または位相端子に接続していない1つのインピーダンスを介して、接続することができる。
【0027】
1つの変形例では、電気配線は、3相であることができる。この場合には、注入点は、それぞれ、少なくとも1つのインピーダンスを介して、各位相端子に接続することができる。
【0028】
3相電気配線の変形例の場合においては、注入点は、電気配線の特定の位相に接続されてはいない。
【0029】
より一般的には、電気配線は、多相であってもよく、相の数は、3以外であってもよい。
【0030】
前記電気量は、少なくとも、共通モード電流(特に注入点の上流で測定された)を表す信号の関数として、電子素子によって印加することができる。換言すれば、電子素子は、前記電気量を、少なくとも、共通モード電流を表す信号の関数として生成することができ、共通モード電流は、電気配線の1つまたは複数の点で測定することができる。
【0031】
本発明の第1の例示的実施形態においては、前記電気量は、共通モード電流(例えば、注入点の上流側で測定した)を表す信号だけの関数として、電子素子によって印加することができる。換言すれば、電子素子は、共通モード電流を表すこの信号だけの関数として、前記電気量を生成することができ、共通モード電流は、電気配線の1つまたは複数の点で(例えば、注入点の上流の1点で)測定することができる。
【0032】
前記電気量が、電気配線の単一の点において測定された共通モード電流を表す信号の関数のみとして生成される場合には、電子素子は、単一の利得を有するループと考えることができる。
【0033】
電気量が電圧である場合の、本発明の第2の例示的実施形態においては、前記電気量は、
‐ 共通モード電流(例えば、注入点の上流において測定された)を表す信号と、
‐ 前記注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号と
の関数として、電子素子によって印加される。
【0034】
換言すれば、電子素子は、電気配線の1つまたは複数の点(特に、注入点の上流)で測定された共通モード電流を表す信号、および注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号の関数として、前記電気量を生成することができる。
【0035】
本発明のこの第2の例示的実施形態においては、共通モード電流を表す信号が、1つの点だけで測定される場合には、電子素子は、2つの利得を有するループと考えることができる。
【0036】
従って、電子素子は、
‐ 共通モード電流(特に、注入点の上流で測定された)を表す信号を入力として受信する第1のサブコンポーネントと、
‐ 前記注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号を入力として受信する第2のサブコンポーネントとを備えることができる。各サブコンポーネントの出力は、ともに加えられて、電子素子によって印加される前記電気量を生成する。
【0037】
第1のサブコンポーネントは、第1の実施形態における電子素子と同一であってよい。変形例として、第1のサブコンポーネントは、第1の実施形態における電子素子が有する利得よりも大きい値の利得を有することができる。
【0038】
第2のサブコンポーネントは、第2の利得を有し、この第2の利得によって、高周波および低周波で第1のサブコンポーネントにより誘起される発振を除去することにより、高周波および低周波での安定性を向上させることができる。従って、この第2のサブコンポーネントは、前記電気量の印加によって生成される電流を、第1のサブコンポーネントの利得と、測定された共通モード電流との積の値にロックすることができる。
【0039】
本発明のこの第2の例示的実施形態の1つの変形においては、共通モード電流は、電気配線の異なる2点で測定することができ、電子素子によって印加される電気量は、
‐ 電気ネットワークの電気エネルギー源と電気配線を前記注入点に接続している1つまたは複数のインピーダンスとの間の電気配線の上(すなわち、注入点の上流)で測定された共通モード電流を表す信号と、
‐ 注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスと電気回路との間の電気配線の上(すなわち、注入点の下流)で測定された共通モード電流を表す信号と、
‐ 前記注入点とアースとの間で流れる電流(すなわち、電子素子が印加する電気量によって生成される電流)を表す信号との関数として求めることができる。
【0040】
換言すれば、共通モード電流を表す2つの異なる測定を使用して、前記電気量を生成させることができる。
【0041】
注入点の下流側において共通モード電流を測定することにより、フィードフォワードを実現することができる。
【0042】
この変形例においては、電子素子は、2つフィードフォワード利得を有するループを実現することができる。この電子素子は、
‐ 前記注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスの上流で測定された共通モード電流を表す信号を入力として受信する、第1のサブコンポーネントと、
‐ 前記注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号と、第3のサブサブコンポーネントの出力との両方を入力として受信する(これら2つの信号は、第2のサブコンポーネントによる処理の前に、互いに減算することにより比較される)、第2のサブサブコンポーネントと、
‐ 注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスの下流で測定された共通モード電流を表す信号を入力として受信する、第3のサブサブコンポーネントとを有する。第3のサブサブコンポーネントの出力は、第2のサブサブコンポーネントの入力の1つである。第3のサブサブコンポーネントは、増幅器(特に単1利得の増幅器)として機能することができる。
【0043】
本発明の第2の例示的実施形態の変形(前記電気量は、電流である)においては、前記電気量は、
‐ 注入点の上流における共通モード電流を表す信号と、
‐ 注入点の下流における共通モード電流を表す信号との関数として、電子素子によって印加される。
【0044】
電子素子は、2つの利得を有するループと考えることができる。
【0045】
従って、電子素子は、
‐ 注入点の上流における共通モード電流を表す信号を入力として受信する、第1のサブコンポーネントと、
‐ 注入点の下流における共通モード電流を表す信号を入力として受信する第3のサブコンポーネントの出力を入力として受信する、第2サブコンポーネントとを備えることができる。
第1および第2のサブコンポーネントの出力は、互いに加えられて、電子素子が印加する前記電気量が生成される。
【0046】
第1のサブコンポーネントは、第1の実施形態における電子素子と同一であってもよい。変形例として、第1サブコンポーネントは、第1の実施形態における電子素子が有する利得よりも大きい値の利得を有することができる。
【0047】
第2のサブコンポーネントは、第2の利得を有することができ、第2のサブコンポーネントによって、第1サブコンポーネントにより誘起される高周波および低周波の発振を除去することにより、高周波および低周波数における安定性を向上させることができる。従って、第2のサブコンポーネントは、注入点に印加される電流を、第1のサブコンポーネントによって与えられる利得と測定された共通モード電流との積に等しい値にロックすることができる。
【0048】
電気量が電圧である場合の本発明の第3の例示的実施形態においては、電気量は、
‐ 共通モード電流(特に、注入点の上流で測定された)を表す信号と、
‐ 前記注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号と、
‐ 電磁干渉フィルタのキャパシタに流れる電流を表す信号との関数として、電子素子によって印加される。
電磁干渉フィルタは、電気配線を注入点に接続している1つまたは複数のインピーダンスと、電気エネルギー蓄積ユニットとの間(すなわち、注入点の下流)に配置されている。
【0049】
換言すれば、電子素子は、
‐ 電気配線の1つまたは複数の点(特に、注入点の上流)で測定された共通モード電流を表す信号と、
‐ 注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号と、
‐ 電磁干渉フィルタの中を流れる電流を表す信号との関数として、前記電気量を生成することができる。
【0050】
電磁干渉フィルタ(一般的に、EMIフィルタ、またはEMCフィルタとも呼ばれる)は、「Yキャパシタ」と呼ばれるキャパシタを備えている。Yキャパシタの中のキャパシタは、他のキャパシタによって接続されている電気配線の各導体をアースに接続することができ、この第3の実施形態に対して使用される、電磁干渉フィルタの中を流れる電流は、これらYキャパシタの中の1つのキャパシタを流れる電流である。
【0051】
本発明のこの第3の例示的実施形態においては、共通モード電流を表す信号が、電気配線の1点(特に注入点の上流)だけで測定される場合には、電子素子を、追加的な2つのフィードフォワード利得を有するループと考えることができる。
【0052】
本発明の第2の例示的実施形態と同様に、電子素子は、2つのフィードフォワード利得を有するループを形成しており、この電子素子は、
‐ 注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスの上流で測定された共通モード電流を表す信号を入力として受信する、第1のサブコンポーネントと、
‐ 注入点とアースとの間を流れる電流を表す信号と、第3のサブコンポーネントの出力との両方を入力として受信する(第2のサブコンポーネントへ入力する前に、両信号の減算が実行される)、第2のサブコンポーネントと、
‐ 電磁干渉フィルタの中を流れる前記電流を表す信号を入力として受信し、出力が第2のサブコンポーネントの入力の1つである、第3のサブコンポーネントとを有することができる。
【0053】
第3のサブコンポーネントは、フィードフォワード専用とすることができ、第2のサブコンポーネントを使用して、開ループモードで共通モード電流をチェックすることができる。従って、第1のサブコンポーネントによって、第2、および第3のサブコンポーネントによって処理した後の残留誤差を除去することができる。この残留誤差は、例えば、
‐ 電気配線とアースとの間に電磁干渉フィルタが存在によって生ずるインピーダンスの値と、
‐ 電気回路の接地とアースとの間に存在する浮遊容量のインピーダンスの値と、
‐ アースインピーダンスの値とに関する、正確でない認識によって生じる。
【0054】
本発明の第3の例示的実施形態の変形(前記電気量は電流である)においては、前記電気量は、
‐ 注入点の上流における共通モード電流を表す信号と、
‐ 電磁干渉フィルタのキャパシタに流れる電流を表す信号との関数として、電子素子によって印加される。
電磁干渉フィルタは、電気配線を注入点に接続している1つ、または複数のインピーダンスと電気エネルギー蓄積ユニットとの間(すなわち、注入点の下流)に配置されている。
【0055】
換言すれば、電子素子は、
‐ 注入点の上流で測定された共通モード電流を表す信号と、
‐ 電磁干渉フィルタの中を流れる電流を表す信号との関数として、前記電気量を生成することができる。
【0056】
電子素子は、2の利得を有するループと考えることができる。
【0057】
本発明の第2の例示的実施形態と同様に、電子素子は、2つの利得を有するループを形成することができ、この電子素子は、
‐ 注入点に接続された1つまたは複数のインピーダンスの上流で測定された共通モード電流を表す信号を入力として受信する第1のサブコンポーネントと、
‐ 入力が電磁干渉フィルタの中を流れる前記電流を表す信号である、第3サブコンポーネントの出力を入力として受信する第2のサブコンポーネントとを有することができる。
【0058】
上記の全てにおいて、共通モード電流は、
‐ 電気配線の各導体、または
‐ 測定導体が周囲に巻かれた磁気コアを使用して、電気配線の上で測定することができる。
【0059】
磁気コアは、例えば、ナノ結晶、またはフェライト磁気コアである。従って、共通モード電流を表す信号は、電圧である。しかし、他の信号(共通モード電流自体の測定値を含む)であってもよい。
【0060】
電気エネルギー源と電気回路との間での電気エネルギーの交換が、3相信号の形で実行される場合には、各相を流れる電流を表す信号を測定することができ、これらの信号の各々は、ベクトル的に加えて、共通モード電流を表す信号を得ることができる。
【0061】
従って、本発明により、印加されるべき電気量の値を、動的に求めて、共通モード電流を低減させることができる。
【0062】
電子素子は、注入点の上流における共通モード電流の値(電子素子が入力信号として受信する信号に対応)を、所定の設定値(ゼロ、または規格によって許容される最大値より低い値)にロックするように構成することができる。
【0063】
その後、本発明による方法では、能動フィルタを使用して、注入点の上流における共通モード電流の値をロックする(ゼロにロックすることが望ましい)ことを提案している。これは、特許文献2で開示されている解決策とは異なっている。特許文献2では、注入点の下流における共通モード電流と等しい値の電流を注入することが記載されている。この場合には、接点の法則によって、注入点の上流を流れる共通モード電流、従って、電気ネットワークの電気エネルギー源の中の共通モード電流は、ゼロになる。従って、特許文献2によって開示されている解決策では、注入点の上流における共通モード電流を、直接にゼロにロックするのではなく、注入点の下流における共通モード電流に働きかけることにより、間接的に操作する。
【0064】
電子素子は、電気ネットワークの周波数のところだけで、共通モード電流の能動フィルタを形成することができ、電気ネットワークの周波数は、一般的に、50Hzまたは60Hzである。
【0065】
変形例として、電子素子は、
‐ 電気ネットワークの周波数における共通モード電流だけと、
‐ 電気ネットワークの周波数におけるこの共通モード電流の最初の10次高調波までだけを、フィルタリングするように構成することができる。
【0066】
電気ネットワークが50Hzの電圧を供給している場合には、電子素子は、50〜500Hzの周波数に対する共通モード電流をフィルタリングすることができる。
【0067】
電子素子は、5〜1.1kHzに対して、dB表示で正の利得を有することができる。電子素子は、電界効果トランジスタを有することはできない。電子素子は、例えば、バイポーラトランジスタ(特に450Vの程度の電圧Vceに耐えるような寸法の)を備えている。
【0068】
電子素子は、ジャイレーターとして動作することができる。
【0069】
上記のすべての例において、電子素子は、注入点とアースとの間に、単一の電圧を印加することができる。
【0070】
変形例として、上記のすべての例において、
‐ 注入点と電子素子の内部接地との間に、第1の電圧と、
‐ アースと電子素子の内部接地との間に、第1の電圧と反対符号を有する第2の電圧とを印加することにより、注入点とアースとの間に、前記電圧を印加することができる。
これにより、第1の電圧と第2電圧との差が、前記印加される電圧と等しくなるようにすることができる。
【0071】
従って、2つの増幅器を使用して前記印加電圧を生成することができる。この方法では、各増幅器を、1つ1つが印加電圧の生成を保証できる増幅器を製作する場合に必要な電子素子を使用する場合と比較して、安価な電子素子を使用して形成することができる。
【0072】
電気回路の内部接地と電子素子の内部接地とは、互いに接続することができない。それらは、同じ電位にはない。
【0073】
電気回路は、整流段を備えることができる。整流段は、電気エネルギー源による電気エネルギー蓄積ユニットへの充電中に供給される交流電圧を整流する。整流段は、正出力端子と負出力端子とを有している。電気回路の内部接地は、この整流段の負または正の出力端子により形成することができる。
【0074】
整流段は、整流電圧の値を、この整流段の下流の素子に適合させるように構成することができるが、そうでなくてもよい。整流段は、例えば、PFC素子(特に、ブリッジレスPFC素子)である。
【0075】
本発明の例示的実施形態においては、電気エネルギー蓄積ユニットは、整流段の正および負の出力端子の間に接続される。既に述べたように、このエネルギー蓄積ユニットが電気エネルギー源によって充電されるときには、上記の方法が実施される。
【0076】
電気エネルギー蓄積ユニットは、例えば、1つまたは複数の電池によって形成される。複数の電池によって形成される場合には、電池を、直列、および/または並列にして組み込むことができる。
【0077】
エネルギー蓄積ユニットが充電されるときには、エネルギー蓄積ユニットの端子の電圧は、150〜450Vであってよい。エネルギー蓄積ユニットによって消費される電力は、100W以上になる可能性がある。例えば、電気ネットワークが、単相である場合には、20kW 以上にもなり、3相の場合には、更にそれ以上にもなる。
【0078】
電気エネルギー蓄積ユニットは、電気またはハイブリッド推進車両に搭載され、車両の電気推進モータに電力を供給するようになっている。より一般的には、電気回路は、この車両に搭載することができる。
【0079】
電気回路は、電気モータのステータの巻線によって形成されるインダクタを備えることができる。
【0080】
電子素子は、車両に搭載することができ、または車両の外側に設置することもできる。また、例えば、電気ネットワーに電気回路のコネクタを接続して、電気ネットワークの充電端子に組み込むことができる。その充電端子に電気回路のコネクタを接続し、その充電端子を介して、電気エネルギー源と電気回路との間で電気エネルギーの転送を行うことができる。
【0081】
電気回路の内部接地と、電気エネルギーを交換するように電気回路が接続されている電気ネットワークとの間には、電気絶縁を設ける必要がなければ、有利である。
【0082】
前記電気回路とアースとの間に0〜350nF(例えば、70〜350nF)の浮遊容量がある場合でも、電子素子が存在することによって、電気回路は、電気回路とアースとの間に、いずれの電気絶縁を有する必要はない。
【0083】
本発明の別の態様においては、本発明の別の主題は、上記した方法を実施するための電子素子に関する。
【0084】
更に別の態様においては、本発明の別の主題は、電気回路であって、
‐ AC入力電圧を整流するための整流段であって、正出力端子と負出力端子とを有し、前記電気回路は、前記出力端子のいずれかによって形成された内部接地を有する、整流段と、
‐ 電気エネルギー源に接続するようになっている電気配線であって、これにより、前記電気エネルギー源と前記回路との間で電気エネルギーを交換することができ、前記整流段に直接または間接的に接続されている、電気配線と、
‐ 一方が電気配線に、他方がアースに接続されるようになっている電子素子であって、少なくとも1つのインピーダンス(例えば、キャパシタ)を介して接続された注入点において、電気配線に電気量を印加し、これにより、前記電気エネルギー源と前記回路との間で電気エネルギーが交換されるときに、前記電気回路の内部接地とアースとの間を流れる共通モード電流を低減することができる、電子素子とを備えている。
【0085】
この電気回路は、ハイブリッドまたは電気推進を有する車両に搭載することができる。変形例として、電気回路は、任意の他の電気機器(例えば、電気モータ(同期または非同期)に対する電力供給システム)、に属することもできる。
【0086】
このアセンブリは、電気絶縁が高価である任意のシステム(例えば、100W以上の電力を消費するバッテリ充電器)、に組み込むことができる。
【0087】
本発明の方法に関して上記した特徴は、個別に、または組み合わせて、上記の回路に組み込むことができる。
【0088】
上記で述べた全ての場合において、共通モード電流を表す信号が、単一の点で測定される場合には、この点は、注入点の上流側の電気配線上に位置することができる。そして、注入点の上流における共通モード電流は、電子素子によって、所定の値(例えばゼロ)に、ロックすることができる。
【0089】
本発明の特徴は、以下に示す非限定的な例示的実施形態に関する説明を読み、かつ添付の図面を検討することにより、更に明確に理解しうると思う。