(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0011】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0012】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0013】
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本実施の形態の半導体装置は、MIM(Metal Insulator Metal)型の容量素子を有する半導体装置である。MIM型の容量素子は、半導体基板上の層間絶縁膜上に形成できるので、容量素子の下方に種々の素子(例えばトランジスタなど)を形成することも可能であり、チップ面積の縮小を図るには有利である。
【0014】
本実施の形態の半導体装置の構造について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態の半導体装置の要部断面図である。
図1では、一例として、半導体装置がCMOSイメージセンサである例について、図示している。このため、実際には、半導体基板SBの主面には、フォトダイオードDIと複数のトランジスタとからなる画素がアレイ状に複数配置されているが、
図1では、そのうちの1つの画素についてのフォトダイオードDIと転送トランジスタTXと画素トランジスタQ1とが代表して示されている。
【0016】
また、
図2は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図である。
図2には、容量素子CPの平面図(平面レイアウト図)が示されており、容量素子CPを構成する下部電極LEと容量絶縁膜YZと上部電極UEとが示されているが、図面を見やすくするために、下部電極LEを破線で示し、容量絶縁膜YZを二点鎖線で示し、上部電極UEを実線で示している。また、
図2には、下部電極LEに接続するプラグP3aと、上部電極UEに接続するプラグP4aも示されているが、下部電極LEに接続するプラグP3aを破線で示し、上部電極UEに接続するプラグP4aを実線で示している。
図1には、容量素子CPの断面も示されているが、
図1における容量素子CPの断面は、
図2のA−A線の位置での断面にほぼ対応している。
【0017】
なお、ここでは、半導体基板SBの主面にCMOSイメージセンサを構成する複数の画素が形成された場合について図示および説明するが、これに限定されるものではなく、半導体基板SBの主面に形成する素子または回路は、種々変更可能であり、任意の素子または回路を半導体基板SBの主面に形成することができる。
【0018】
図1に示されるように、半導体基板SBの主面において、素子分離領域STで規定された活性領域には、フォトダイオードDIと転送トランジスタTXと画素トランジスタQ1とが形成されている。フォトダイオードDIは、半導体基板SBに形成されたp型ウエルPW1、n型半導体領域(n型ウエル)NWおよびp
+型半導体領域PRからなる。
【0019】
転送トランジスタTXは、フォトダイオードDIにより生成された電荷を転送する転送用トランジスタである。また、1つの画素は、転送トランジスタTXを含む複数のトランジスタを有しているが、画素を構成する複数のトランジスタのうち、転送トランジスタTX以外のトランジスタを代表して、画素トランジスタQ1として示してある。
【0020】
半導体基板SBは、例えば、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物(ドナー)が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)である。他の形態として、半導体基板SBを、いわゆるエピタキシャルウエハとすることもできる。
【0021】
半導体基板SBの主面には、活性領域を規定するために、絶縁体からなる素子分離領域STが形成されている。
【0022】
半導体基板SBの主面から所定の深さにわたって、p型ウエル(p型半導体領域)PW1,PW2が形成されている。p型ウエルPW1は、フォトダイオードDIが形成されている領域と、転送トランジスタTXが形成されている領域とにわたって形成されている。p型ウエルPW2は、画素トランジスタQ1が形成される領域に形成されている。
【0023】
半導体基板SBにおいて、p型ウエルPW1に内包されるように、n型半導体領域(n型ウエル)NWが形成されている。n型半導体領域NWは、フォトダイオードDIを形成するためのn型半導体領域であるが、転送トランジスタTXのソース領域もn型半導体領域NWにより形成される。
【0024】
n型半導体領域NWの表面の一部には、p
+型半導体領域PRが形成されている。p
+型半導体領域PRの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型ウエルPW1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
【0025】
p
+型半導体領域PRの底面の深さは、n型半導体領域NWの底面の深さよりも浅く、p
+型半導体領域PRは、主として、n型半導体領域NWの表層部分に形成される。このため、半導体基板SBの厚さ方向に見ると、最上層のp
+型半導体領域PRの下にn型半導体領域NWが存在し、n型半導体領域NWの下にp型ウエルPW1が存在する状態となる。また、n型半導体領域NWが形成されていない領域において、p
+型半導体領域PRの一部はp型ウエルPW1に接している。
【0026】
p型ウエルPW1とn型半導体領域NWとの間には、PN接合が形成される。また、p
+型半導体領域PRとn型半導体領域NWとの間には、PN接合が形成される。p型ウエルPW1とn型半導体領域NWとp
+型半導体領域PRとによって、フォトダイオード(PN接合ダイオード)DIが形成される。
【0027】
p
+型半導体領域PRは、半導体基板SBの表面に多数形成されている界面準位に基づく電子の発生を抑制する目的で形成される領域である。電子を多数キャリアとするn型半導体領域NWの表面に、正孔を多数キャリアとするp
+型半導体領域PRを形成することにより、光が照射されていない状態での電子の発生を抑制し、暗電流の増加を抑制することができる。
【0028】
フォトダイオードDIは、受光素子(光電変換素子)であり、入力された光を光電変換して電荷を生成し、生成した電荷を蓄積する機能を有し、転送トランジスタTXは、フォトダイオードDIで蓄積された電荷をフォトダイオードDIから転送する際のスイッチとしての役割を有している。
【0029】
また、n型半導体領域NWの一部と平面視で重なるように、転送トランジスタTXのゲート電極GTが形成されている。ゲート電極GTは、半導体基板SB上にゲート絶縁膜GIを介して形成されている。ゲート電極GTの側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSWが形成されている。
【0030】
半導体基板SBのp型ウエルPW1において、ゲート電極GTの両側のうちの一方の側には、上記n型半導体領域NWが形成されており、他方の側には、n型半導体領域NRが形成されている。n型半導体領域NRは、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有することもできる。
【0031】
n型半導体領域NRは、転送トランジスタTXのドレイン領域として機能するが、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)とみなすこともできる。また、n型半導体領域NWは、フォトダイオードDIの構成要素であるが、転送トランジスタTXのソース用の半導体領域としても機能することができる。n型半導体領域NWとn型半導体領域NRとは、転送トランジスタTXのチャネル形成領域を挟んで互いに離間するように形成されている。
【0032】
フォトダイオードDIの表面上、すなわちn型半導体領域NWおよびp
+型半導体領域PRの表面上には、保護膜としてキャップ絶縁膜CZが形成されている。キャップ絶縁膜CZの一部は、ゲート電極GT上に乗り上げることもできる。
【0033】
一方、半導体基板SBのp型ウエルPW2上には、ゲート絶縁膜GIを介して、画素トランジスタQ1のゲート電極GSが形成されており、ゲート電極GSの両側の側壁上には、側壁絶縁膜としてサイドウォールスペーサSWが形成されている。また、ゲート電極GSの両側のp型ウエルPW2中には、画素トランジスタQ1のソース・ドレイン領域SDが形成されている。画素トランジスタQ1のソース・ドレイン領域は、LDD構造を有している。
【0034】
また、n型半導体領域NR、ソース・ドレイン領域SD、ゲート電極GTおよびゲート電極GSの各上部などに、いわゆるサリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)プロセスによって、金属シリサイド層(図示せず)を形成することもできる。
【0035】
半導体基板SB上には、ゲート電極GT,GS、キャップ絶縁膜CZおよびサイドウォールスペーサSWを覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L1が形成されている。層間絶縁膜L1は、半導体基板SBの主面全体上に形成されている。層間絶縁膜L1および後述の層間絶縁膜L2,L3,L4,L5は、酸化シリコン膜などからなり、例えば、TEOS(Tetra Ethyl Ortho Silicate)を原料とした酸化シリコン膜により形成されているが、HDP酸化膜を用いることもできる。なお、HDP酸化膜とは、HDP(High Density Plasma)−CVD法により形成した酸化シリコン膜である。
【0036】
層間絶縁膜L1には、コンタクトホールとしてスルーホール(開口部、貫通孔)S1が形成されており、スルーホールS1内に、接続用の導電体部として導電性のプラグ(コンタクトプラグ)P1が形成されている。
【0037】
スルーホールS1およびそれに埋め込まれたプラグP1は、例えば、n型半導体領域NR、ソース・ドレイン領域SD、ゲート電極GTおよびゲート電極GSの上などに形成される。
【0038】
層間絶縁膜L1上には、複数の配線層を含む多層配線構造が形成されており、ここでは、第1〜第4配線層の合計4層の配線層が形成されているが、形成する配線層の数は4層に限定されず、種々変更可能である。最下層の配線層である第1配線層の配線が、配線M1であり、第1配線層よりも1つ上層の配線層である第2配線層の配線が、配線M2であり、第2配線層よりも1つ上層の配線層である第3配線層の配線が、配線M3であり、第3配線層よりも1つ上層の配線層である第4配線層の配線が、配線M4である。
図1では、第4配線層が最上層の配線層となっているが、第4配線層よりも更に上層の配線層を形成することもできる。
【0039】
すなわち、プラグP1が埋め込まれた層間絶縁膜L1上に、第1配線層の配線M1が形成されている。プラグP1は、上面が配線M1の下面と接することで、その配線M1と電気的に接続されている。
【0040】
層間絶縁膜L1上に、配線M1を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L2が形成されている。層間絶縁膜L2には、スルーホール(開口部、貫通孔)S2が形成されており、スルーホールS2内に、接続用の導電体部として導電性のプラグ(コンタクトプラグ)P2が形成されている。
【0041】
プラグP2が埋め込まれた層間絶縁膜L2上に、第2配線層の配線M2が形成されている。
【0042】
層間絶縁膜L2上に、配線M2を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L3が形成されている。層間絶縁膜L3には、スルーホール(開口部、貫通孔)S3が形成されており、スルーホールS3内に、接続用の導電体部として導電性のプラグ(コンタクトプラグ)P3が形成されている。
【0043】
プラグP3が埋め込まれた層間絶縁膜L3上に、第3配線層の配線M3が形成されている。
【0044】
層間絶縁膜L3上に、配線M3を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L4が形成されている。層間絶縁膜L4には、スルーホール(開口部、貫通孔)S4が形成されており、スルーホールS4内に、接続用の導電体部として導電性のプラグ(コンタクトプラグ)P4が形成されている。
【0045】
プラグP4が埋め込まれた層間絶縁膜L4上に、第4配線層の配線M4が形成されている。
【0046】
層間絶縁膜L4上に、配線M4を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L5が形成されている。CMOSイメージセンサの場合、層間絶縁膜L5上には、カラーフィルタ(図示せず)やマイクロレンズ(図示せず)などを配置することもできる。また、層間絶縁膜L5上にパッシベーション膜(図示せず)を形成することもできる。また、層間絶縁膜L5に開口部を設けて、その開口部から配線M5の一部を露出させることにより、パッド(ボンディングパッド)を形成することもできる。
【0047】
第1配線層の配線M1は、パターニングされた導電膜(積層導電膜)からなり、ここでは、下から順に、バリア導体膜B1aと主導体膜C1とバリア導体膜B1bとの積層膜からなる。第2配線層の配線M2は、パターニングされた導電膜(積層導電膜)からなり、ここでは、下から順に、バリア導体膜B2aと主導体膜C2とバリア導体膜B2bとの積層膜からなる。第3配線層の配線M3は、パターニングされた導電膜(積層導電膜)からなり、ここでは、下から順に、バリア導体膜B3aと主導体膜C3とバリア導体膜B3bとの積層膜からなる。第4配線層の配線M4は、パターニングされた導電膜(積層導電膜)からなり、ここでは、下から順に、バリア導体膜B4aと主導体膜C4とバリア導体膜B4bとの積層膜からなる。
【0048】
各配線層において、配線(M1〜M4)を構成する下層側のバリア導体膜(B1a,B2a,B3a,B4a)は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜からなるが、他の形態として、チタン(Ti)膜、あるいは、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜を用いることもできる。この下層側のバリア導体膜(B1a,B2a,B3a,B4a)は、配線(M1,M2,M3,M4)と下地の絶縁膜(L1,L2,L3,L4)との間の密着性を向上させる機能を有している。
【0049】
各配線層において、配線(M1,M2,M3,M4)を構成する上層側のバリア導体膜(B1b,B2b,B3b,B4b)は、好ましくは窒化チタン(TiN)膜からなるが、他の形態として、チタン(Ti)膜、あるいは、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜を用いることもできる。この上層側のバリア導体膜(B1b,B2b,B3b,B4b)は、配線(M1,M2,M3,M4)とその配線(M1,M2,M3,M4)を覆う絶縁膜(L2,L3,L4,L5)との間の密着性を向上させる機能も有し、また、フォトリソグラフィ工程における反射防止膜としての機能を有している。
【0050】
配線M1,M2,M3,M4は、いずれも、アルミニウム(Al)を主成分とするアルミニウム配線である。このため、主導体膜C1,C2,C3,C4は、それぞれ、アルミニウム(Al)を主成分とする導電材料膜(但し金属伝導を示す導電材料膜)からなる。主導体膜C1,C2,C3,C4としては、それぞれ、アルミニウム膜を用いることができるが、これに限定されず、例えば、Al(アルミニウム)とSi(シリコン)との化合物膜または合金膜、あるいは、Al(アルミニウム)とCu(銅)との化合物膜または合金膜、あるいは、Al(アルミニウム)とSi(シリコン)とCu(銅)との化合物膜または合金膜を、好適に用いることができる。主導体膜C1,C2,C3,C4のそれぞれにおけるAl(アルミニウム)の組成比は50原子%より大きい(すなわちAlリッチである)が、99原子%以上であれば、より好ましい。
【0051】
各配線M1〜M4において、主導体膜(C1〜C4)の厚みは、下層側のバリア導体膜(B1a〜B4a)の厚みよりも厚く、かつ、上層側のバリア導体膜(B1b〜B4b)の厚みよりも厚い。
【0052】
プラグP1,P2,P3,P4は、いずれもコンタクトプラグである。プラグP1,P2,P3,P4は、層間絶縁膜に埋め込まれた接続用の導体部(埋め込み導体部)とみなすことができる。プラグP1,P2,P3,P4のそれぞれは、スルーホール(S1〜S4)の底部および側壁(側面)上に形成された薄いバリア導体膜と、このバリア導体膜上にスルーホール(S1〜S4)を埋め込むように形成された主導体膜とで形成されているが、図面の簡略化のために、
図1では、各プラグP1,P2,P3,P4を構成するバリア導体膜および主導体膜を一体化して示してある。なお、プラグP1,P2,P3,P4用のバリア導体膜としては、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜を用いることができ、プラグP1,P2,P3,P4用の主導体膜としては、タングステン膜を用いることができる。他の形態として、プラグP1,P2,P3,P4のうちの任意のものに対して、タングステンプラグ以外のプラグ、例えば銅プラグなどを用いることもできる。
【0053】
プラグP2は、配線M2と配線M1との間に配置されている。プラグP2の上面が配線M2の下面と接することで、プラグP2と配線M2とが電気的に接続され、また、プラグP2の下面が配線M1の上面と接することで、プラグP2と配線M1とが電気的に接続されている。このため、プラグP2は、プラグP2上に配置された配線M2とプラグP2の下に配置された配線M1との間を電気的に接続する。
【0054】
プラグP3は、配線M3と配線M2との間、または、下部電極LEと配線M2との間、に配置されている。プラグP3の上面が配線M3の下面または下部電極LEの下面と接することで、プラグP3と配線M3または下部電極LEとが電気的に接続され、また、プラグP3の下面が配線M2の上面と接することで、プラグP3と配線M2とが電気的に接続されている。このため、プラグP3は、プラグP3上に配置された配線M3または下部電極LEとプラグP3の下に配置された配線M2との間を電気的に接続する。
【0055】
プラグP4は、配線M4と配線M3との間、または、配線M4と上部電極UEとの間、に配置されている。プラグP4の上面が配線M4の下面と接することで、プラグP4と配線M4とが電気的に接続され、また、プラグP4の下面が配線M3の上面または上部電極UEの上面と接することで、プラグP4と配線M3または上部電極UEとが電気的に接続されている。このため、プラグP4は、プラグP4上に配置された配線M4とプラグP4の下に配置された配線M3または上部電極UEとの間を電気的に接続する。
【0056】
本実施の形態では、半導体基板SB上に形成された多層配線構造内のいずれかの配線層に、MIM型の容量素子(キャパシタ)CPが形成されている。
図1の場合は、第3配線層に容量素子CPが形成されている。
【0057】
容量素子CPは、下部電極(第1電極)LEと、上部電極(第2電極)UEと、下部電極LEと上部電極UEとの間に介在する容量絶縁膜(誘電体膜)YZとにより構成されている。
【0058】
容量素子CPの下部電極LEは、プラグP3が埋め込まれた層間絶縁膜L3上に形成されている。下部電極LEは、導電材料膜(但し金属伝導を示す導電材料膜)からなるが、アルミニウム(Al)の融点よりも高い融点を有する材料からなることが好ましく、窒化チタン(TiN)膜、チタン(Ti)膜、窒化タンタル(TaN)膜、またはタンタル(Ta)膜を好適に用いることができる。ここでは、下部電極LEを、窒化チタン(TiN)膜により形成している。
【0059】
下部電極LEの下にはプラグP3が配置されて、下部電極LEに電気的に接続されている。プラグP3のうち、下部電極LEの下に配置されて下部電極LEに電気的に接続されたプラグP3を、符号P3aを付してプラグP3aと称することとする。プラグP3aの上面が下部電極LEの下面と接することにより、プラグP3aと下部電極LEとが電気的に接続されている。また、プラグP3のうち、配線M3の下に配置されて配線M3に電気的に接続されたプラグP3を、符号P3cを付してプラグP3cと称することとする。プラグP3cの上面が配線M3の下面と接することにより、プラグP3cと配線M3とが電気的に接続されている。
【0060】
また、下部電極LEの下にプラグP3a(下部電極LEに接続されたプラグP3a)が配置されているが、下部電極LE上にはプラグP4(下部電極LEに接続されたプラグP4)は配置されていない。
【0061】
なお、配線M3と配線M2との間に配置されたプラグP3cは、その配線M3と配線M2との間を電気的に接続するように機能する。一方、下部電極LEの下に配置されたプラグP3aは、下部電極LEとプラグP3aの下に配置された配線M2との間を電気的に接続するように機能する。すなわち、プラグP3aは、下部電極LEと配線M2との間に配置されており、プラグP3aの上面が下部電極LEの下面と接することで、プラグP3aと下部電極LEとが電気的に接続され、また、プラグP3aの下面が配線M2の上面と接することで、プラグP3aと配線M2とが電気的に接続されている。このため、プラグP3aは、プラグP3a上に配置された下部電極LEとプラグP3aの下に配置された配線M2との間を電気的に接続する。
【0062】
容量絶縁膜YZは、層間絶縁膜L3上に、下部電極LEを覆うように形成されている。容量絶縁膜YZは、例えば窒化シリコン膜からなる。
図2からも分かるように、平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包されている。このため、下部電極LEの上面と側面とは、容量絶縁膜YZで覆われている。従って、下部電極LEと上部電極UEとの間には容量絶縁膜YZが介在し、下部電極LEと上部電極UEとは接していない。下部電極LEの下面(底面)は、プラグP3aの上面に対向する部分以外は、層間絶縁膜L3の上面と対向している。このため、下部電極LEの下面(底面)は、プラグP3aの上面に接している部分以外は、層間絶縁膜L3の上面に接することになる。
【0063】
上部電極UEは、層間絶縁膜L3上に、容量絶縁膜YZを覆うように(従って下部電極LEも覆うように)、形成されている。上部電極UEは、第3配線層の配線M3と同層に形成されている。すなわち、上部電極UEは、第3配線層の配線M3と同層の導電膜パターンにより形成されている。つまり、上部電極UEと配線M3とは、共通の導電膜(後述の導電膜CD3に対応)をパターニングすることにより形成されたものである。上部電極UEと配線M3とは、繋がっておらず、互いに分離されている。なお、上部電極UEの一部を層間絶縁膜L3上に延在させて、配線として機能させることもできる。
【0064】
このため、上部電極UEを構成する材料と、配線M3を構成する材料とは、同じである。また、上部電極UEの厚みと、配線M3の厚みとは、実質的に同じである。すなわち、上部電極UEの厚みと配線M3の厚みとの差は、後述の導電膜CD3の成膜時の厚みばらつきの範囲内である。また、上部電極UEの積層構成は、配線M3の積層構成と同じである。
【0065】
すなわち、配線M3は、バリア導体膜B3aと、バリア導体膜B3a上の主導体膜C3と、主導体膜C3上のバリア導体膜B3bとの積層膜からなる場合、上部電極UEも、バリア導体膜B3aと、バリア導体膜B3a上の主導体膜C3と、主導体膜C3上のバリア導体膜B3bとの積層膜からなる。上部電極UEを構成するバリア導体膜B3aと、配線M3を構成するバリア導体膜B3aとは、同じ材料からなり、実質的に同じ厚みを有している。また、上部電極UEを構成する主導体膜C3と、配線M3を構成する主導体膜C3とは、同じ材料からなり、実質的に同じ厚みを有している。また、上部電極UEを構成するバリア導体膜B3bと、配線M3を構成するバリア導体膜B3bとは、同じ材料からなり、実質的に同じ厚みを有している。
【0066】
図2からも分かるように、平面視において、上部電極UEは、容量絶縁膜YZおよび下部電極LEを内包している。このため、平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包され、容量絶縁膜YZは上部電極UEに内包された状態になっている。つまり、平面視において、容量絶縁膜YZは、下部電極LEと重なる部分と重ならない部分とを有しており、容量絶縁膜YZの外周部は、下部電極LEとは重なっておらず、また、上部電極UEは、容量絶縁膜YZに重なる部分と重ならない部分とを有しており、上部電極UEの外周部は、容量絶縁膜YZとは重なっていない。従って、容量絶縁膜YZの平面寸法(平面積)は、下部電極LEの平面寸法(平面積)よりも大きく、上部電極UEの平面寸法(平面積)は、容量絶縁膜YZの平面寸法(平面積)よりも大きい。
【0067】
なお、「平面視」または「平面的に見て」などと言うときは、半導体基板SBの主面に平行な平面でみた場合をいう。
【0068】
上部電極UE上にはプラグP4が配置されて、上部電極UEに電気的に接続されている。プラグP4のうち、上部電極UE上に配置されて上部電極UEに電気的に接続されたプラグP4を、符号P4aを付してプラグP4aと称することとする。プラグP4aの下面(底面)が上部電極UEの上面と接することにより、プラグP4aと上部電極UEとが電気的に接続されている。また、プラグP4のうち、配線M3上に配置されて配線M3に電気的に接続されたプラグP4を、符号P4cを付してプラグP4cと称することとする。プラグP4cの下面(底面)が配線M3の上面と接することにより、プラグP4cと配線M3とが電気的に接続されている。
【0069】
上部電極UE上に配置されて上部電極UEと電気的に接続されたプラグP4aは、平面視において下部電極LEとは重なっていない。すなわち、平面視において、上部電極UEとは重なるが、下部電極LEとは重ならない位置に、プラグP4aが配置されている。つまり、平面視において、上部電極UEは、下部電極LEに重なる部分と重ならない部分とを有しているが、下部電極LEに重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4aが配置されている。
【0070】
また、上部電極UE上に配置されて上部電極UEと電気的に接続されたプラグP4aは、平面視において容量絶縁膜YZとは重なっていない。すなわち、平面視において、上部電極UEとは重なるが、容量絶縁膜YZとは重ならない位置に、プラグP4aが配置されている。つまり、平面視において、上部電極UEは、容量絶縁膜YZに重なる部分と重ならない部分とを有しているが、容量絶縁膜YZに重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4aが配置されている。
【0071】
従って、平面視において、プラグP4aは、下部電極LEと容量絶縁膜YZのどちらにも重なっていない。
【0072】
また、平面視において、下部電極LEと重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4a(上部電極UEに接続されたプラグP4a)が配置されているが、下部電極LEと重なる部分の上部電極UE上には、プラグP4(上部電極UEに接続されたプラグP4)は配置されていない。
【0073】
なお、配線M4と配線M3との間に配置されたプラグP4cは、その配線M4と配線M3との間を電気的に接続するように機能する。一方、上部電極UE上に配置されたプラグP4aは、上部電極UEとプラグP4a上に配置された配線M4との間を電気的に接続するように機能する。すなわち、プラグP4aは、配線M4と上部電極UEとの間に配置されており、プラグP4aの上面が配線M4の下面と接することで、プラグP4aと配線M4とが電気的に接続され、また、プラグP4aの下面が上部電極UEの上面と接することで、プラグP4aと上部電極UEとが電気的に接続されている。このため、プラグP4aは、プラグP4aの下に配置された上部電極UEとプラグP4a上に配置された配線M4との間を電気的に接続する。
【0074】
配線M4と配線M3との間に配置されたプラグP4cの高さ(h2)と、配線M4と上部電極UEとの間に配置されたプラグP4aの高さ(h1)とは、ほぼ同じである(h1=h2)。別の見方をすると、配線M3上に形成(配置)されてプラグP4cが埋め込まれるスルーホールS4の深さ(d2)と、上部電極UE上に形成(配置)されてプラグP4aが埋め込まれるスルーホールS4の深さ(d1)とは、ほぼ同じである(d1=d2)。そうなるのは、上部電極UEと配線M3とが同層の導電膜パターンにより形成されているため、上部電極UEの厚みと配線M3の厚みとが実質的に同じであることと、平面視において下部電極LEおよび容量絶縁膜YZに重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4aを形成(配置)しているためである。
【0075】
なお、プラグP4aの高さh1とプラグP4cの高さh2は、後述の
図24に示してあり、プラグP4aが埋め込まれるスルーホールS4の深さd1とプラグP4cが埋め込まれるスルーホールS4の深さd2とは、後述の
図21に示してある。プラグP4aの高さh1は、そのプラグP4aが埋め込まれるスルーホールS4の深さd1とほぼ一致し、プラグP4cの高さh2は、そのプラグP4cが埋め込まれるスルーホールS4の深さd2とほぼ一致している。
【0076】
また、上部電極UEの一部の下に下部電極LEおよび容量絶縁膜YZが存在していることを反映して、上部電極UEの上面には、凸部TBが形成されている。なお、凸部TBは、後述の
図19に符号TBを付して示した領域に対応している。凸部TBは、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZの厚みの分だけ、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZ上に位置する部分の上部電極UEの上面が盛り上がることにより、形成されている。上部電極UEの上面において、凸部TBは凸部TBの周囲の領域よりも、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZの厚みの分だけ高さが高くなっている。この凸部TBが形成されている領域は、平面視で下部電極LEおよび容量絶縁膜YZが形成されている領域と概ね一致している。本実施の形態および後述の実施の形態2〜5では、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZを反映して形成された上部電極UEの上面の凸部TB上には、上部電極UEに接続するプラグP4を配置していない。
【0077】
そして、本実施の形態および後述の実施の形態3では、上部電極UEの上面のうち、凸部TBの周囲の領域上、すなわち、凸部TBよりも低くなっている領域上に、上部電極UEに接続するプラグP4aを配置している。上部電極UEの上面のうち、凸部TBの周囲の領域、すなわち、凸部TBよりも低くなっている領域では、上部電極UEの上面の高さ位置は、配線M3の上面の高さ位置とほぼ同じになるため、配線M3上に配置されたプラグP4cの高さ(h2)と、上部電極UE上に配置されたプラグP4aの高さ(h1)とは、ほぼ同じになる(h1=h2)。
【0078】
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。
図3〜
図24は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【0079】
本実施の形態の半導体装置を製造するには、まず、
図3に示されるように、半導体基板(半導体ウエハ)SBを準備(用意)する。
【0080】
半導体基板SBは、例えば、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)である。他の形態として、半導体基板SBを、いわゆるエピタキシャルウエハとすることもできる。
【0081】
次に、半導体基板SBに受光素子(ここではフォトダイオードDI)を含む半導体素子を形成する。
【0082】
まず、
図3に示されるように、半導体基板SBの主面に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法などにより、絶縁体(溝に埋め込まれた絶縁体)からなる素子分離領域STを形成する。他の形態として、LOCOS(Local oxidation of silicon)法を用いて素子分離領域STを形成することもできる。素子分離領域STによって、半導体基板SBの活性領域が規定される。
【0083】
次に、半導体基板SBに、p型ウエルPW1、p型ウエルPW2、n型半導体領域NR、p
+型半導体領域PRを、それぞれイオン注入により形成する。p型ウエルPW1とn型半導体領域NRとp
+型半導体領域PRとによって、フォトダイオード(PN接合ダイオード)DIが形成される。
【0084】
次に、半導体基板SB上に転送トランジスタTX用のゲート電極GTと、画素トランジスタQ1用のゲート電極GSとを、それぞれゲート絶縁膜GIを介して形成する。
【0085】
次に、半導体基板SBに、n型半導体領域NRおよびソース・ドレイン領域SDを、それぞれイオン注入により形成する。この際、低不純物濃度のエクステンション領域をイオン注入により形成してから、サイドウォールスペーサSWを形成し、その後に高不純物濃度領域をイオン注入により形成することで、n型半導体領域NRやソース・ドレイン領域SDを、それぞれ、低不純物濃度のエクステンション領域と高不純物濃度領域とを有するLDD構造とすることもできる。
【0086】
次に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
【0087】
このようにして、半導体基板SBに、フォトダイオードDIと転送トランジスタTXと画素トランジスタQ1とが形成される。
【0088】
次に、半導体基板SBの主面上に絶縁膜を形成してから、この絶縁膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、キャップ絶縁膜(保護膜)CZを形成する。キャップ絶縁膜CZは、例えば酸化シリコン膜などにより形成することができる。
【0089】
次に、サリサイド技術により、n型半導体領域NR、ソース・ドレイン領域SD、ゲート電極GTおよびゲート電極GSの各上部などに、低抵抗の金属シリサイド層(図示せず)を形成することもできる。
【0090】
ここまでの工程により、
図3に示されるように、半導体基板SBに受光素子(ここではフォトダイオードDI)を含む半導体素子が形成される。なお、本実施の形態では、半導体基板SBに受光素子を含む半導体素子を形成する場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、半導体基板SBに形成する素子は種々変更可能であり、受光素子を含まない半導体素子を半導体基板SBに形成する場合もあり得る。
【0091】
次に、
図4に示されるように、半導体基板SBの主面上に、絶縁膜として層間絶縁膜L1を形成する。層間絶縁膜L1は、ゲート電極GT,GS、サイドウォールスペーサSWおよびキャップ絶縁膜CZを覆うように、半導体基板SB上に形成される。
【0092】
層間絶縁膜L1は、例えば酸化シリコン膜からなる。この酸化シリコン膜としては、例えばTEOSを原料とした酸化シリコン膜を用いることができ、例えばCVD法などにより形成することができるが、HDP酸化膜を用いることもできる。
【0093】
層間絶縁膜L1の成膜後、層間絶縁膜L1の表面(上面)をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により研磨するなどして、層間絶縁膜L1の上面を平坦化する。層間絶縁膜L1を成膜した段階で、下地段差に起因して層間絶縁膜L1の表面に凹凸形状が形成されていても、成膜後に層間絶縁膜L1の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜L1を得ることができる。
【0094】
次に、層間絶縁膜L1上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜L1をエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、層間絶縁膜L1にスルーホールS1を形成する。スルーホールS1は、層間絶縁膜L1を貫通するように形成される。
【0095】
次に、スルーホールS1内にプラグP1を形成する。プラグP1は、例えば次のようにして形成することができる。
【0096】
すなわち、まず、スルーホールS1の内部(底部および側壁上)を含む層間絶縁膜L1上に、スパッタリング法またはプラズマCVD法などによりバリア導体膜(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜を、CVD法などによってバリア導体膜上にスルーホールS1を埋めるように形成する。その後、スルーホールS1の外部の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。これにより、層間絶縁膜L1の上面が露出し、層間絶縁膜L1のスルーホールS1内に埋め込まれて残存するバリア導体膜および主導体膜により、プラグP1が形成される。
図4では、図面の簡略化のために、プラグP1は、主導体膜とバリア導体膜とを一体化して示してある。
【0097】
次に、プラグP1が埋め込まれた層間絶縁膜L1上に、第1配線層の配線M1を形成する。配線M1は、例えば次のようにして形成することができる。
【0098】
すなわち、まず、
図5に示されるように、プラグP1が埋め込まれた層間絶縁膜L1上に、第1配線層用の導電膜CD1を形成する。導電膜CD1は、バリア導体膜B1aとバリア導体膜B1a上の主導体膜C1と主導体膜C1上のバリア導体膜B1bとの積層膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。各膜の材料については、上述した通りである。それから、導電膜CD1をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、
図6に示されるように、パターニングされた導電膜CD1からなる配線M1を形成することができる。
【0099】
次に、
図7に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L1上に、配線M1を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L2を形成する。層間絶縁膜L2は、例えば酸化シリコン膜からなる。この酸化シリコン膜としては、例えばTEOSを原料とした酸化シリコン膜を用いることができ、例えばCVD法などにより形成することができるが、HDP酸化膜を用いることもできる。層間絶縁膜L2の成膜後、必要に応じて、層間絶縁膜L2の上面をCMP法により研磨するなどして、層間絶縁膜L2の上面の平坦性を高めることもできる。
【0100】
次に、層間絶縁膜L2上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜L2をエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、層間絶縁膜L2にスルーホールS2を形成する。スルーホールS2は、層間絶縁膜L2を貫通し、スルーホールS2の底部では、配線M1の上面が露出される。
【0101】
次に、スルーホールS2内に導電膜を埋め込むことにより、スルーホールS2内にプラグP2を形成する。プラグP2は、上記プラグP1と同様の手法により形成することができる。
【0102】
次に、プラグP2が埋め込まれた層間絶縁膜L2上に、第2配線層の配線M2を形成する。配線M2は、例えば次のようにして形成することができる。
【0103】
すなわち、まず、
図8に示されるように、プラグP2が埋め込まれた層間絶縁膜L2上に、第2配線層用の導電膜CD2を形成する。導電膜CD2は、バリア導体膜B2aとバリア導体膜B2a上の主導体膜C2と主導体膜C2上のバリア導体膜B2bとの積層膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。各膜の材料については、上述した通りである。それから、この導電膜CD2をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、
図9に示されるように、パターニングされた導電膜CD2からなる配線M2を形成することができる。
【0104】
次に、
図10に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L2上に、配線M2を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L3を形成する。層間絶縁膜L3は、例えば酸化シリコン膜からなる。この酸化シリコン膜としては、例えばTEOSを原料とした酸化シリコン膜を用いることができ、例えばCVD法などにより形成することができるが、HDP酸化膜を用いることもできる。層間絶縁膜L3の成膜後、必要に応じて、層間絶縁膜L3の上面をCMP法により研磨するなどして、層間絶縁膜L3の上面の平坦性を高めることもできる。このようにして、
図10の構造が得られる。
【0105】
図11は、
図10と同じ工程段階が示されているが、
図11〜
図24では、図面の簡略化のために、層間絶縁膜L2およびそれよりも下層の構造については、図示を省略している。また、
図11では、図面の簡略化のために、
図10に対して配線M2の間隔を若干変えて描いてある。
【0106】
次に
図12に示されるように、層間絶縁膜L3上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜L3をエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、層間絶縁膜L3にスルーホールS3を形成する。スルーホールS3は、層間絶縁膜L3を貫通し、スルーホールS3の底部では、配線M2の上面が露出される。
【0107】
次に、スルーホールS3内に導電膜を埋め込むことにより、スルーホールS3内にプラグP3を形成する。プラグP3は、上記プラグP1と同様の手法により形成することができる。
【0108】
次に、プラグP3が埋め込まれた層間絶縁膜L3上に、容量素子CPの下部電極LEを形成する。下部電極LEは、例えば次のようにして形成することができる。
【0109】
すなわち、まず、
図13に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわちプラグP3が埋め込まれた層間絶縁膜L3上に、下部電極LE形成用の導電膜CDLEを形成する。導電膜CDLEは、例えば窒化チタン(TiN)膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。それから、導電膜CDLE上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP1を形成する。それから、フォトレジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて、導電膜CDLEをエッチングしてパターニングすることにより、
図14に示されるように、下部電極LEを形成する。下部電極LEは、パターニングされた導電膜CDLEからなる。その後、フォトレジストパターンRP1は除去する。
図14には、この段階が示されている。
【0110】
次に、容量素子CPの容量絶縁膜YZを形成する。容量絶縁膜YZは、例えば次のようにして形成することができる。
【0111】
すなわち、まず、
図15に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L3上に、下部電極LEを覆うように、容量絶縁膜YZ形成用の絶縁膜LYZを形成する。絶縁膜LYZは、例えば窒化シリコン膜からなり、プラズマCVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜LYZとして、窒化シリコン膜は好適であるが、それ以外にも、例えば、酸化シリコン膜、酸化タンタル膜、または酸化チタン膜などを用いることもできる。それから、絶縁膜LYZ上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP2を形成する。それから、フォトレジストパターンRP2をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜LYZをエッチングしてパターニングすることにより、
図16に示されるように、容量絶縁膜YZを形成する。容量絶縁膜YZは、パターニングされた絶縁膜LYZからなる。その後、フォトレジストパターンRP2は除去する。
図16には、この段階が示されている。
【0112】
平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包されるため、容量絶縁膜YZを形成すると、下部電極LEは容量絶縁膜YZで覆われた状態になり、従って、下部電極LEは露出していない状態になる。
【0113】
次に、層間絶縁膜L3上に、第3配線層の配線M3と上部電極UEとを形成する。配線M3および上部電極UEは、例えば次のようにして形成することができる。
【0114】
すなわち、まず、
図17に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L3上に、容量絶縁膜YZを覆うように、導電膜CD3を形成する。導電膜CD3は、配線M3形成用の導電膜と上部電極UE形成用の導電膜とを兼ねている。導電膜CD3は、バリア導体膜B3aとバリア導体膜B3a上の主導体膜C3と主導体膜C3上のバリア導体膜B3bとの積層膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。各膜の材料については、上述した通りである。それから、
図18に示されるように、導電膜CD3上に、反射防止用の絶縁膜ARFを形成する。絶縁膜ARFは、例えば酸窒化シリコン膜からなり、CVD法などを用いて形成することができる。絶縁膜ARFは、不要であればその形成を省略することもできる。それから、絶縁膜ARF上に(絶縁膜ARFを形成しない場合は導電膜CD3上に)、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP3を形成する。それから、フォトレジストパターンRP3をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜ARFおよび導電膜CD3を順にエッチングする。これにより、導電膜CD3と導電膜CD3上の絶縁膜ARFとの積層膜がパターニングされる。その後、フォトレジストパターンRP3を除去してから、絶縁膜ARFをエッチング(好ましくはウェットエッチング)によって選択的に除去する。このようにして、
図19に示されるように、パターニングされた導電膜CD3からなる配線M3と上部電極UEとを形成することができる。なお、絶縁膜ARFを除去せずに、配線M3上と上部電極UE上とに絶縁膜ARFを残存させる場合もあり得る。
【0115】
このように、本実施の形態では、配線M3形成用と上部電極UE形成用とを兼ねた共通の導電膜CD3を、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、配線M3と上部電極UEとを形成している。このため、配線M3と上部電極UEとは、いずれも、パターニングされた導電膜CD3により形成されている。また、配線M3と上部電極UEとは、同工程で形成される。
【0116】
次に、
図20に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L3上に、配線M3および上部電極UEを覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L4を形成する。層間絶縁膜L4は、例えば酸化シリコン膜からなる。この酸化シリコン膜としては、例えばTEOSを原料とした酸化シリコン膜を用いることができ、例えばCVD法などにより形成することができるが、HDP酸化膜を用いることもできる。層間絶縁膜L4の成膜後、必要に応じて、層間絶縁膜L4の上面をCMP法により研磨するなどして、層間絶縁膜L4の上面の平坦性を高めることもできる。
【0117】
次に、
図21に示されるように、層間絶縁膜L4上にフォトリソグラフィ技術を用いて形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、層間絶縁膜L4をエッチング(好ましくはドライエッチング)することにより、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成する。スルーホールS4は、層間絶縁膜L4を貫通し、スルーホールS4の底部では、配線M3または上部電極UEの上面が露出される。すなわち、上部電極UEに接続するプラグP4aを埋め込むためのスルーホールS4では、上部電極UEの上面が露出され、配線M3に接続するプラグP4cを埋め込むためのスルーホールS4では、配線M3の上面が露出される。
【0118】
次に、
図22に示されるように、スルーホールS4内に導電膜を埋め込むことにより、スルーホールS4内にプラグP4を形成する。プラグP4は、上記プラグP1と同様の手法により形成することができる。
【0119】
次に、プラグP4が埋め込まれた層間絶縁膜L4上に、第4配線層の配線M4を形成する。配線M4は、例えば次のようにして形成することができる。
【0120】
すなわち、まず、
図23に示されるように、プラグP4が埋め込まれた層間絶縁膜L4上に、第4配線層用の導電膜CD4を形成する。導電膜CD4は、バリア導体膜B4aとバリア導体膜B4a上の主導体膜C4と主導体膜C4上のバリア導体膜B4bとの積層膜からなり、スパッタリング法などを用いて形成することができる。各膜の材料については、上述した通りである。それから、この導電膜CD4をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングすることにより、
図24に示されるように、パターニングされた導電膜CD4からなる配線M4を形成することができる。
【0121】
次に、上記
図1に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L4上に、配線M4を覆うように、絶縁膜として層間絶縁膜L5を形成する。層間絶縁膜L5は、例えば酸化シリコン膜からなる。この酸化シリコン膜としては、例えばTEOSを原料とした酸化シリコン膜を用いることができ、例えばCVD法などにより形成することができるが、HDP酸化膜を用いることもできる。層間絶縁膜L5の成膜後、必要に応じて、層間絶縁膜L5の上面をCMP法により研磨するなどして、層間絶縁膜L5の上面の平坦性を高めることもできる。
【0122】
以降の製造工程については、ここではその説明は省略する。また、配線層の数は4層には限定されず、層間絶縁膜L5上に更に第5配線層の配線を形成することも可能である。
【0123】
<検討例について>
図25は、本発明者が検討した検討例の半導体装置の要部断面図であり、上記
図24に相当する断面図が示されている。図面の簡略化のために、
図25では、上記層間絶縁膜L2およびそれよりも下層の構造については、図示を省略し、また、上記層間絶縁膜L5についても、図示を省略している。
【0124】
図25に示される検討例の半導体装置も、MIM型の容量素子CP101を有する半導体装置であり、半導体基板上に形成された多層配線構造内に容量素子CP101が形成されている。具体的には、容量素子CP101は、下部電極LE101と、上部電極UE101と、下部電極LE101と上部電極UE101との間に介在する容量絶縁膜YZ101とにより構成されている。
【0125】
図25に示される検討例の場合、容量素子CP101の下部電極LE101が、第3配線層の配線M3と同層の導電膜パターンにより形成されている。すなわち、
図25に示される検討例の場合、下部電極LE101と配線M3とは、共通の導電膜(上記導電膜CD3に相当するもの)をパターニングすることにより形成されたものである。このため、
図25に示される検討例の場合、下部電極LE101の積層構成は、配線M3の積層構成と同じであり、下部電極LE101と配線M3とは、どちらも、バリア導体膜B3aと、バリア導体膜B3a上のアルミニウムを主成分とする主導体膜C3と、主導体膜C3上のバリア導体膜B3bとの積層膜からなる。そして、下部電極LE101上に、容量絶縁膜YZ101を介して上部電極UE101が形成されている。
上部電極UE101は、配線M3とは別の導電膜パターンにより形成されており、例えば窒化チタン(TiN)膜からなる。容量絶縁膜YZ101は、例えば窒化シリコン膜からなる。
【0126】
本発明者の検討によれば、
図25に示される検討例の半導体装置では、次のような課題が生じることが分かった。
【0127】
すなわち、
図25に示される検討例の場合、下部電極LE101用と配線M3用とを兼ねた導電膜(上記導電膜CD3に相当するもの)を形成した後に、容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜を成膜することになる。この場合、容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜を成膜する際に、下地となる導電膜(下部電極LE101用と配線M3用とを兼ねた導電膜)に熱応力が発生し、配線M3の表面にヒロック(半球状突起物)が発生する虞がある。すなわち、アルミニウムを主体とする導電膜は、融点が比較的低いため、容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜を成膜する際の熱応力に起因して、アルミニウム配線である配線M3にヒロックが発生する虞がある。ヒロックの発生は、配線M3の信頼性の低下につながる。例えば、ヒロックの発生は、配線M3の平坦性の劣化(モフォロジの劣化)などを招き、配線間のリーク電流を発生させる虞がある。ヒロックの発生をできるだけ抑えるように容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜を成膜しようとすると、例えば、容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜の成膜温度を低くしようとすると、容量絶縁膜YZ101の材料の選択の幅が少なくなり、また、容量絶縁膜YZ101の膜質が低下する虞がある。容量絶縁膜YZ101の膜質の低下は、容量素子CP101の信頼性の低下につながる。
【0128】
また、
図25に示される検討例の場合、下部電極LE101上には容量絶縁膜YZ101および上部電極UE101を形成するが、配線M3上には、容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜と上部電極UE101用の導電膜は残存させていない。このため、上部電極UE101用の導電膜と容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜とを、エッチングしてパターニングすることで上部電極UE101および容量絶縁膜YZ101を形成するが、そのエッチングの際に、配線M3の上面が露出され、配線M3の上面がエッチングされることになる。このエッチングにより、配線M3にダメージが入り、配線M3の信頼性が低下する虞がある。
【0129】
また、配線M3および容量素子CP101を覆うように層間絶縁膜L4が形成され、その層間絶縁膜L4に形成されたスルーホールS4内にプラグP4が埋め込まれている。
図25に示される検討例の場合、プラグP4には、配線M3上に配置されて、その配線M3に接続されたプラグP4(P104c)と、上部電極UE101上に配置されて、その上部電極UE101に接続されたプラグP4(P104a)と、上部電極UE101で覆われていない部分の下部電極LE101上に配置されて、その下部電極LE101に接続されたプラグP4(P104b)とがある。
【0130】
ここで、
図25に示される検討例の場合において、上部電極UE101で覆われていない部分の下部電極LE101上に配置されて、その下部電極LE101に接続されたプラグP4を、プラグP104bと称することとする。また、
図25に示される検討例の場合において、下部電極LE101上に容量絶縁膜YZ101を介して形成された上部電極UE101の上に配置されて、その上部電極UE101に接続されたプラグP4を、プラグP104aと称することとする。また、
図25に示される検討例の場合において、配線M3上に配置されて、その配線M3に接続されたプラグP4を、プラグP104cと称することとする。
【0131】
配線M3と下部電極LE101とは、共通の導電膜をパターニングすることにより形成されているため、ほぼ同じ厚みを有している。このため、配線M3上に配置されたプラグP104cと、上部電極UE101で覆われていない部分の下部電極LE101上に配置されたプラグP104bとは、ほぼ同じ高さを有している。しなしながら、上部電極UE101上に配置されたプラグP104aの高さは、配線M3上に配置されたプラグP104cの高さよりも、容量絶縁膜YZ101と上部電極UE101との合計の厚みの分だけ、小さくなる。このため、プラグP104aを埋め込むためのスルーホールS4の深さは、プラグP104cを埋め込むためのスルーホールS4の深さよりも、容量絶縁膜YZ101と上部電極UE101との合計の厚みの分だけ、浅くなる。従って、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、配線M3に到達するスルーホールS4(プラグP104cを埋め込むためのスルーホールS4)を形成しようとすると、上部電極UE101上に形成するスルーホールS4(プラグP104aを埋め込むためのスルーホールS4)の底部で上部電極UE101がオーバーエッチングされることになる。スルーホールS4の底部で上部電極UE101がオーバーエッチングされることは、上部電極UE101を備える容量素子CP101の信頼性の低下につながる虞があり、ひいては、容量素子CP101を有する半導体装置の信頼性の低下につながる虞がある。
【0132】
<主要な特徴と効果について>
本実施の形態の半導体装置は、半導体基板SBと、半導体基板SB上に形成された層間絶縁膜L3(第1層間絶縁膜)と、層間絶縁膜L3上に互いに離間して形成された配線M3(第1配線)および下部電極LEと、層間絶縁膜L3上に下部電極LEを覆うように形成された上部電極UEと、下部電極LEと上部電極UEとの間に介在する容量絶縁膜YZと、を有している。下部電極LEは、容量素子CP用の下部電極であり、上部電極UEは、容量素子CP用の上部電極であり、容量絶縁膜YZは、容量素子CP用の容量絶縁膜である。更に、本実施の形態の半導体装置は、層間絶縁膜L3上に、配線M3、下部電極LE、容量絶縁膜YZおよび上部電極UEを覆うように形成された層間絶縁膜L4(第2層間絶縁膜)と、層間絶縁膜L4に埋め込まれたプラグP4c(第3コンタクトプラグ)であって、配線M3上に配置されて配線M3に電気的に接続されたプラグP4cと、を有している。
【0133】
なお、本実施の形態および後述の実施の形態2では、上部電極UEは、下部電極LE全体を覆うように、層間絶縁膜L3上に形成されており、一方、後述の実施の形態3,4では、上部電極UEは、下部電極LEの一部を覆うように、層間絶縁膜L3上に形成されている。このため、実施の形態1〜4を包括的に捉えると、上部電極UEは、下部電極LEの少なくとも一部を覆うように、層間絶縁膜L3上に形成されていることになる。
【0134】
本実施の形態の半導体装置の主要な特徴のうちの一つは、配線M3と上部電極UEとが、同層の導電膜パターンにより形成されていることである。これを、以下では、第1の特徴と称する。この第1の特徴を、別の見方で言うと、上部電極UEと配線M3とは、共通の導電膜(導電膜CD3に対応)をパターニングすることにより形成されていることになる。
【0135】
本実施の形態の半導体装置の主要な特徴のうちの他の一つは、層間絶縁膜L4(第2層間絶縁膜)に埋め込まれたプラグP4a(第2コンタクトプラグ)であって、上部電極UE上に配置されて上部電極UEと電気的に接続されたプラグP4aを有し、プラグP4aが、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上に配置されていることである。これを、以下では、第2の特徴と称する。この第2の特徴を、別の見方で言うと、上部電極UEの上面のうち、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZを反映して形成された凸部TBの周囲の領域上(すなわち凸部TBよりも低くなっている領域上)に、プラグP4aを配置していることになる。
【0136】
本実施の形態の半導体装置の主要な特徴のうちの更に他の一つは、層間絶縁膜L3に埋め込まれたプラグP3a(第1コンタクトプラグ)であって、下部電極LEの下に配置されて下部電極LEと電気的に接続されたプラグP3aを有することである。これを、以下では、第3の特徴と称する。
【0137】
本実施の形態では、第1の特徴として、配線M3と上部電極UEとが、同層の導電膜パターンにより形成されている。配線M3と容量素子の電極(ここでは上部電極UE)とが同層の導電膜パターンにより形成されていることにより、容量素子CPの製造工程数を抑制することができるため、半導体装置の製造コストを低減することができる。また、半導体装置の製造時間を短縮することができ、スループットを向上することができる。
【0138】
しかしながら、上記
図25に示される検討例のように、配線M3と容量素子の下部電極LE101とが同層の導電膜パターンにより形成されている場合には、上述したように、容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜を成膜する際に、下地となる導電膜(下部電極LE101用と配線M3用とを兼ねた導電膜)に熱応力が発生し、配線M3の表面にヒロックが発生する虞がある。
【0139】
それに対して、本実施の形態では、第1の特徴として、下部電極LEではなく上部電極UEが、配線M3と同層の導電膜パターンにより形成されている。このため、配線M3用の導電膜CD3は、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZを成膜した後に、形成することになるため、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜工程に起因して配線M3の表面にヒロック(半球状突起物)が発生する懸念を回避できる。
【0140】
特に、配線M3に、アルミニウム(Al)を主成分とするアルミニウム配線を適用した場合には、アルミニウムの融点が比較的低いことから、配線M3の表面にヒロック(半球状突起物)が発生する可能性が高くなる。それに対して、本実施の形態では、配線M3として、たとえアルミニウム配線を用いたとしても、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZを成膜した後に、配線M3用の導電膜CD3を形成するため、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜工程に起因して配線M3の表面にヒロックが発生する懸念を回避できる。
【0141】
本実施の形態では、配線M3の表面にヒロックが発生するのを抑制または防止できるため、配線M3の信頼性を向上させることができ、ひいては、半導体装置の信頼性を向上させることができる。例えば、配線にヒロックが発生すると、配線の平坦性の劣化(モフォロジの劣化)などを招き、配線間のリーク電流を発生させる虞があるが、本実施の形態では、配線M3にヒロックが発生するのを抑制間または防止できるため、そのような不具合を防止することができる。
【0142】
従って、本実施の形態は、上部電極UEと同層に形成される配線(ここでは配線M3)が、アルミニウムを主成分とするアルミニウム配線である場合に、特に効果が大きい。
【0143】
また、本実施の形態では、第1の特徴を採用したことにより、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜工程に起因して配線M3にヒロックが発生するのを回避できるため、容量絶縁膜YZの材料の選択の幅が広がる。このため、容量素子の容量絶縁膜として相応しい材料を、容量絶縁膜YZの材料として採用することができ、また、容量素子を有する半導体装置を製造しやすくなる。また、ヒロックの発生を気にせずに、選択した材料に相応しい成膜温度で容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZを成膜することができるので、容量絶縁膜YZの膜質を向上させることができる。このため、容量素子を有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0144】
容量素子CPとして要求される容量値にもよるが、容量絶縁膜YZの材料(従って容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの材料)として、窒化シリコンは好適であり、それ以外にも、例えば、酸化シリコン(代表的にはSiO
2)、酸化タンタル(代表的にはTaO)、または酸化チタン(代表的にはTiO
2)などを用いることができる。このため、容量絶縁膜として、窒化シリコン膜は好適であるが、それ以外にも、酸化シリコン膜、酸化タンタル膜、または酸化チタン膜などを用いることができる。
【0145】
また、層間絶縁膜L4の成膜温度を低くすれば、層間絶縁膜L4の成膜工程に起因して配線M3にヒロックが発生するのを抑制または防止しやすくなる。容量絶縁膜YZの厚みは、層間絶縁膜L4よりもかなり薄く、また、下部電極LEと上部電極UEとの間のリーク電流を防ぐためにも、容量絶縁膜YZの膜質を向上させることが重要である。容量絶縁膜YZの膜質を考慮すると、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜温度は、絶縁膜LYZとして選択した材料に相応しい成膜温度を適用することが望ましい。一方、層間絶縁膜L4は、容量絶縁膜YZに比べると、膜質に対する要求水準が高くない。このため、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜温度に比べると、層間絶縁膜L4の成膜温度の方が、自由度が高い。
【0146】
このため、本実施の形態は、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜温度よりも、層間絶縁膜L4の成膜温度が低い場合に適用すれば、効果が大きい。換言すれば、本実施の形態は、層間絶縁膜L4の成膜温度よりも、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜温度が高い場合に適用すれば、効果が大きい。これは、本実施の形態では、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜温度が高くとも、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜工程に起因して配線M3にヒロックが発生するのを回避できるとともに、層間絶縁膜L4の成膜温度が低ければ、層間絶縁膜L4の成膜工程に起因して配線M3にヒロックが発生するのを抑制または防止できるからである。
【0147】
また、本実施の形態では、配線M3に、アルミニウム(Al)を主成分とするアルミニウム配線を適用するとともに、下部電極LEが、アルミニウム(Al)の融点よりも高い融点を有する材料からなることが好ましい。これにより、容量絶縁膜YZ用の絶縁膜LYZの成膜工程に起因して下部電極LEにヒロックが発生するのを抑制または防止することができる。これは、融点が高い方がヒロックが発生しにくいため、下部電極LEに、アルミニウム(Al)の融点よりも高い融点を有する材料を用いれば、下部電極としてアルミニウム配線を用いた場合(
図25の検討例に対応)に比べて、容量絶縁膜の成膜工程に起因した下部電極のヒロックを抑制または防止できるからである。このため、容量素子CPの信頼性をより向上させることができる。また、容量素子を有する半導体装置の信頼性を、より向上させることができる。
【0148】
下部電極LEとしては、窒化チタン(TiN)膜、チタン(Ti)膜、窒化タンタル(TaN)膜、またはタンタル(Ta)膜を、特に好適に用いることができる。窒化チタン(TiN)の融点(2950℃)と、チタン(Ti)の融点(1668℃)と、窒化タンタル(TaN)の融点(3360℃)と、タンタル(Ta)の融点(3020℃)とは、いずれも、アルミニウム(Al)の融点(660℃)よりも十分に高い。このうち、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、およびタンタル(Ta)は、融点が特に高いため、下部電極LEの材料として最も適している。
【0149】
また、アルミニウム配線(M1,M2,M3,M4)の下層側のバリア導体膜(B1a、B2a,B3a,B4a)と上層側のバリア導体膜(B1b,B2b,B3b,B4b)としては、いずれも窒化チタン(TiN)膜が特に好適である。このため、配線M3および上部電極UEを構成するバリア導体膜B3aとバリア導体膜B3bとにそれぞれ窒化チタン(TiN)膜を用い、更に、下部電極LEとして窒化チタン(TiN)膜を用いれば、特に好ましく、これにより、導電膜CDLEとバリア導体膜B3aとバリア導体膜B3bとが同種の材料により形成されることになるため、半導体装置の製造工程が行いやすくなる。また、半導体装置の製造コストの低下に有利となる。
【0150】
また、上記
図25に示される検討例のように、配線M3と容量素子の下部電極LE101とが同層の導電膜パターンにより形成されている場合には、上述したように、上部電極UE101用の導電膜と容量絶縁膜YZ101用の絶縁膜とをエッチングしてパターニングすることで上部電極UE101および容量絶縁膜YZ101を形成する。このエッチングの際には、配線M3の上面が露出されて配線M3の上面がエッチングされることになる。この場合、このエッチングにより配線M3にダメージが入り、配線M3の信頼性が低下する虞がある。
【0151】
それに対して、本実施の形態では、第1の特徴として、下部電極LEではなく上部電極UEが、配線M3と同層の導電膜パターンにより形成されている。このため、下部電極LEと容量絶縁膜YZとを形成した後に、配線M3を形成することになるため、下部電極LEを形成するエッチング工程や容量絶縁膜YZを形成するエッチング工程で、配線M3がエッチングされずに済む。これにより、エッチングにより配線M3にダメージが入るのを抑制または防止することができ、配線M3の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0152】
また、上記
図25に示される検討例では、上部電極UE101に接続するプラグP104aの高さが、配線M3に接続するプラグP104cの高さよりも、容量絶縁膜YZ101と上部電極UE101との合計の厚みの分だけ小さくなっている。このため、プラグP104aを埋め込むためのスルーホールS4の深さは、プラグP104cを埋め込むためのスルーホールS4の深さよりも、容量絶縁膜YZ101と上部電極UE101との合計の厚みの分だけ、浅くなっている。従って、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、配線M3に到達するスルーホールS4(プラグP104cを埋め込むためのスルーホールS4)を形成しようとすると、上部電極UE101上に形成するスルーホールS4(プラグP104aを埋め込むためのスルーホールS4)の底部で上部電極UE101がオーバーエッチングされることになる。スルーホールS4の底部で上部電極UE101がオーバーエッチングされることは、上部電極UE101を備える容量素子CP101の信頼性の低下につながる虞がある。
【0153】
それに対して、本実施の形態では、第2の特徴として、層間絶縁膜L4に埋め込まれたプラグP4aを、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上に配置して、そのプラグP4aを上部電極UEと電気的に接続している。これにより、上部電極UE上に配置したプラグP4aを通じて、上部電極UEを配線M4に電気的に接続することができる。また、本実施の形態では、第3の特徴として、層間絶縁膜L3に埋め込まれたプラグP3aを下部電極LEの下に配置して、そのプラグP3aを下部電極LEと電気的に接続している。これにより、下部電極LEの下に配置したプラグP3aを通じて、下部電極LEを配線M2に電気的に接続することができる。
【0154】
本実施の形態とは異なり、層間絶縁膜L4に埋め込まれたプラグP4を、下部電極LEと平面視で重なる部分の上部電極UE上に配置して、そのプラグP4を上部電極UEと電気的に接続する場合を仮定する。この場合、下部電極LEと平面視で重なる部分の上部電極UE上に配置されたプラグP4の高さは、配線M3上に配置されたプラグP4cの高さよりも、容量絶縁膜YZと下部電極LEとの合計の厚みの分だけ小さくなってしまう。この場合、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、配線M3に到達するスルーホールS4(プラグP4cを埋め込むためのスルーホールS4)を形成しようとすると、上部電極UE上に形成するスルーホールS4の底部で上部電極UEがオーバーエッチングされることになる。
【0155】
それに対して、本実施の形態では、第1の特徴として、上部電極UEと配線M3とは同層の導電膜パターンにより形成されているため、上部電極UEの厚みt1と配線M3の厚みt2とは、ほぼ同じである(すなわちt1=t2)。なお、厚みt1,t2は、
図24に示してある。そして、第2の特徴として、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4aを配置して、そのプラグP4aを上部電極UEと電気的に接続している。別の見方で言うと、上部電極UEの上面のうち、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZを反映して形成された凸部TBの周囲の領域上(すなわち凸部TBよりも低くなっている領域上)に、プラグP4aを配置している。このため、上部電極UE上に配置したプラグP4aの高さh1と、配線M3上に配置したプラグP4cの高さh2とが、実質的に同じになる(すなわちh1=h2)。なお、高さh1,h2は、
図24に示してある。このため、プラグP4aを埋め込むためのスルーホールS4の深さd1は、プラグP4cを埋め込むためのスルーホールS4の深さd2と、実質的に同じになる(すなわちd1=d2)。なお、深さd1,d2は、
図21に示してある。
【0156】
従って、本実施の形態では、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、配線M3に到達するスルーホールS4(プラグP4cを埋め込むためのスルーホールS4)を形成したときに、上部電極UE上に形成するスルーホールS4(プラグP4aを埋め込むためのスルーホールS4)の底部で上部電極UEがオーバーエッチングされるのを抑制または防止できる。また、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、上部電極UEに到達するスルーホールS4(プラグP4aを埋め込むためのスルーホールS4)を形成したときに、配線M3上に形成するスルーホールS4(プラグP4cを埋め込むためのスルーホールS4)の底部で配線M3がオーバーエッチングされるのを抑制または防止できる。これにより、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、配線M3および上部電極UEのオーバーエッチングを抑制または防止できるため、容量素子CPおよび配線M3の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0157】
このように、本実施の形態では、上部電極UEに接続するプラグP4aの高さh1を、配線M3に接続するプラグP4cの高さh2に合わせるために、上部電極UEに接続するプラグP4aを、下部電極LEと平面視で重なる部分の上部電極UE上に配置するのではなく、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上に配置している。別の見方で言うと、上部電極UEの上面のうち、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZを反映して形成された凸部TBを避け、凸部TBの周囲の領域上(すなわち凸部TBよりも低くなっている領域上)に、プラグP4aを配置している。より特定的に言えば、平面視において、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZのどちらにも重ならずに層間絶縁膜L3上に位置する部分の上部電極UEであって、配線M3の上面とほぼ同じ高さ位置にある上面を有する部分の上部電極UE上に、プラグP4aを配置している。このため、プラグP4aは、平面視において上部電極UEには重なるが、下部電極LEにも容量絶縁膜YZにも重なっておらず、プラグP4aが配置された部分の上部電極UEの上面は、プラグP4cが配置された配線M3の上面とほぼ同じ高さ位置にあり、それによって、プラグP4aの高さh1とプラグP4cの高さh2とが、ほぼ同じになっている(h1=h2)。
【0158】
本実施の形態では、平面視において下部電極LEと重ならない(より特定的には下部電極LEと容量絶縁膜YZのどちらにも重ならない)ことにより、配線M3の上面とほぼ同じ高さ位置にある上面を有する部分の上部電極UE上に、プラグP4aを配置している。これにより、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチングの際に、配線M3と上部電極UEのオーバーエッチングを抑制または防止できる。このため、容量素子CPおよび配線M3の信頼性を向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0159】
また、本実施の形態では、平面視において下部電極LE(あるいは容量絶縁膜YZ)と重なる部分の上部電極UE上には、層間絶縁膜L4のスルーホール(S4)に埋め込まれたプラグP4(従って上部電極UEに接続するプラグP4)が形成されていないことが好ましい。別の見方で言うと、上部電極UEの上面のうち、下部電極LEおよび容量絶縁膜YZを反映して形成された凸部TB上には、プラグP4が形成されていないことが好ましい。これにより、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチングの際に、上部電極UEのオーバーエッチングを抑制または防止できる効果を的確に得ることができるようになる。
【0160】
また、本実施の形態とは異なり、下部電極LE上に上部電極UEおよび容量絶縁膜YZが形成されていない領域を設けるとともに、上部電極UEおよび容量絶縁膜YZが形成されていない領域における下部電極LE上に、プラグP4を配置してそのプラグP4を下部電極LEに電気的に接続する場合を仮定する。この場合、下部電極LEの厚みが、配線M3の厚みと相違していることなどに起因して、下部電極LE上に配置したプラグP4の高さは、配線M3上に配置したプラグP4の高さと相違したものとなる。この場合、下部電極LE上に形成するスルーホールS4の深さと、配線M3上に形成するスルーホールS4の深さとが相違したものとなることから、スルーホールS4の底部で、配線M3または下部電極LEがオーバーエッチングされてしまうことになる。
【0161】
それに対して、本実施の形態では、第3の特徴として、層間絶縁膜L3に埋め込まれたプラグP3aを下部電極LEの下に配置して、そのプラグP3aを下部電極LEと電気的に接続している。下部電極LEに接続するプラグ(P3a)を下部電極LEの下に形成しているため、下部電極LEに接続するためのプラグ(P4)を下部電極LE上に形成する必要はない。このため、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程で、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成しなくて済むので、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成することに起因してスルーホールS4の底部で配線M3または下部電極LEがオーバーエッチングされてしまうことを回避することができる。これにより、容量素子CPおよび配線M3の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0162】
このように、本実施の形態では、配線M3と容量素子CPの上部電極UEとを同層の導電膜パターンにより形成するとともに、容量素子CPの上部電極UEに接続するコンタクトプラグ(ここではプラグP4a)と、容量素子CPの下部電極LEに接続するコンタクトプラグ(ここではプラグP3a)とを工夫している。これにより、容量素子と配線を有する半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0163】
また、配線M3は、配線抵抗を低減する観点から、ある程度の厚みを確保することが望ましい。一方、下部電極LEは、あまり厚くしてしまうと、下部電極LEと容量絶縁膜YZと上部電極UEとの積層構造全体の厚みが厚くなってしまい、層間絶縁膜L4の厚みを厚くしなければならなくなる。また、下部電極LEは、配線M3ほど抵抗値を気にしなくともよい。このため、下部電極LEの厚みt3は、配線M3の厚みt2よりも小さい(t3<t2)ことが好ましい。上部電極UEの厚みt1は、配線M3の厚みt2とほぼ同じであるため、下部電極LEの厚みt3は、上部電極UEの厚みt1よりも小さい(t3<t1)ことが好ましいことになる。なお、厚みt1,t2,t3は、
図24に示してある。
【0164】
また、下部電極LEの厚みt3が配線M3の厚みt2よりも小さいと、本実施の形態とは異なり下部電極LEに接続するプラグP4を下部電極LE上に形成する場合には、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成したときに、配線M3上に形成したスルーホールS4の底部で配線M3がオーバーエッチングされてしまう。それに対して、本実施の形態では、下部電極LEに接続するプラグP4を下部電極LE上に形成するのではなく、下部電極LEに接続するプラグP3aを下部電極LEの下に設けているので、下部電極LE上に、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成する必要が無い。このため、下部電極LEの厚みt3が配線M3の厚みt2よりも小さくとも、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成する場合に生じる配線M3のオーバーエッチングを回避することができる。
【0165】
また、本実施の形態および以下の実施の形態2〜5では、第3配線層の配線M3と同層に容量素子CPの上部電極UEを形成する場合(すなわち第3配線層に容量素子CPを形成する場合)について説明しているが、容量素子CPを形成する配線層は、第3配線層に限定されない。例えば、容量素子CPを第2配線層に形成することもでき、その場合、容量素子CPの上部電極UEは、第2配線層の配線M2と同層に形成されることになる。
【0166】
また、本実施の形態および以下の実施の形態2〜5では、半導体基板SB上に形成される多層配線構造が含む配線層の数は、4層に限定されず、種々変更可能であり、多層配線構造に含まれる任意の配線層に、容量素子CPを形成することができる。
【0167】
また、本実施の形態および以下の実施の形態2〜5において、上部電極UEの一部を配線として用いることもできる。すなわち、下部電極LEに平面視で重ならずに層間絶縁膜L3上を延在する部分の上部電極UEを、配線として用いることもできる。言い換えると、下部電極LEに平面視で重ならずに層間絶縁膜L3上に位置する部分の上部電極UEを、配線状に層間絶縁膜L3上に延在させ、この層間絶縁膜L3上に延在する部分の上部電極UEを配線として機能させることができる。
【0168】
(実施の形態2)
図26は、本実施の形態2の半導体装置の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記
図1に対応するものである。
図27は、本実施の形態2の半導体装置の要部平面図であり、上記実施の形態1の上記
図2に対応するものである。
【0169】
上記実施の形態1では、上部電極UEに接続するコンタクトプラグは、層間絶縁膜L4のスルーホールS4に埋め込まれたプラグP4aであり、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4aを配置していた。
【0170】
一方、本実施の形態2では、上部電極UEに接続するコンタクトプラグは、層間絶縁膜L4のスルーホールS4に埋め込まれたプラグP4ではなく、層間絶縁膜L3のスルーホールS3に埋め込まれたプラグP3(P3b)であり、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UEの下にプラグP3(P3b)を配置している。これ以外は、本実施の形態2は、上記実施の形態1と基本的には同じであるので、ここではその繰り返しの説明は省略し、上記実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0171】
本実施の形態2では、
図26および
図27からも分かるように、層間絶縁膜L3に埋め込まれたプラグP3(P3b)を上部電極UEの下に配置して上部電極UEと電気的に接続している。プラグP3のうち、上部電極UEの下に配置されて上部電極UEに電気的に接続されたプラグP3を、符号P3bを付してプラグP3bと称することとする。プラグP3bの上面が上部電極UEの下面と接することにより、プラグP3bと上部電極UEとが電気的に接続されている。
【0172】
つまり、上記実施の形態1において、上記プラグP4aの代わりにプラグP3bを設けたものが、本実施の形態2に対応している。
【0173】
上部電極UEの下に配置されたプラグP3bは、上部電極UEとプラグP3bの下に配置された配線M2との間を電気的に接続するように機能する。すなわち、プラグP3bは、上部電極UEと配線M2との間に配置されており、プラグP3bの上面が上部電極UEの下面と接することで、プラグP3bと上部電極UEとが電気的に接続され、また、プラグP3bの下面が配線M2の上面と接することで、プラグP3bと配線M2とが電気的に接続されている。このため、プラグP3bは、プラグP3b上に配置された上部電極UEとプラグP3bの下に配置された配線M2との間を電気的に接続する。
【0174】
なお、下部電極LEの下にプラグP3aが配置されて、そのプラグP3aと下部電極LEとが電気的に接続されている点は、本実施の形態2も上記実施の形態1と同様である。下部電極LEの下に配置されたプラグP3aは、下部電極LEとプラグP3aの下に配置された配線M2との間を電気的に接続するように機能する。
【0175】
プラグP3bは、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UEの下に配置されている。より特定的には、平面視において下部電極LEおよび容量絶縁膜YZのどちらとも重ならない部分の上部電極UEの下に配置されている。このため、下部電極LEの形成領域を確保しながら、下部電極LEが邪魔になることなく、上部電極UEにプラグP3bを接続することができる。
【0176】
すなわち、上部電極UEの下に配置されて上部電極UEと電気的に接続されたプラグP3bは、平面視において下部電極LEとは重なっていない。すなわち、平面視において、上部電極UEとは重なるが、下部電極LEとは重ならない位置に、プラグP3bが配置されている。つまり、平面視において、上部電極UEは、下部電極LEに重なる部分と重ならない部分とを有しているが、下部電極LEに重ならない部分の上部電極UEの下にプラグP3bが配置されている。このため、平面視において、プラグP3bは、上部電極UEと重なっているが、下部電極LEとは重なっていない。従って、プラグP3bは、上部電極UEに接してその上部電極UEと電気的に接続されているが、下部電極LEには接していない。
【0177】
次に、本実施の形態2の半導体装置の製造工程について、上記実施の形態1と相違する箇所を説明する。
図28および
図29は、本実施の形態2の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、
図28は、上記実施の形態1の上記
図12に対応し、
図29は、上記実施の形態1の上記
図19に対応するものである。
【0178】
図28に示されるように、本実施の形態2では、層間絶縁膜L3にスルーホールS3を形成する際に、プラグP3bを埋め込むためのスルーホールS3も形成し、スルーホールS3内にプラグP3を形成する際に、プラグP3bも形成している。その後、上記実施の形態1と同様の工程(上記
図13〜
図19の工程)を行うことで、
図29に示されるように、配線M3と容量素子CPが形成される。この際、下部電極LEに重ならない部分の上部電極UEの下にプラグP3bが位置することで、プラグP3bと上部電極UEとが電気的に接続されることになる。
【0179】
それ以外は、本実施の形態の半導体装置の製造工程は、上記実施の形態1と同様であるので、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0180】
本実施の形態2では、上記実施の形態1の第1、第2および第3の特徴のうち、上記第2の特徴が相違している。本実施の形態2の場合は、第2の特徴は、層間絶縁膜L3(第1層間絶縁膜)に埋め込まれたプラグP3b(第2コンタクトプラグ)であって、上部電極UEの下に配置されて上部電極UEと電気的に接続されたプラグP3bを有し、プラグP3bが、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UEの下に配置されていることである。下部電極LEと重なる部分の上部電極UE上には、プラグP4(上部電極UEに接続されたプラグP4)を配置していない点は、本実施の形態2も上記実施の形態1と同様である。
【0181】
本実施の形態2においても、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0182】
但し、上記実施の形態1では、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上に、上部電極UEに接続するプラグP4aを配置し、一方、本実施の形態2では、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UEの下に、上部電極UEに接続するプラグP3bを配置している。
【0183】
これを反映して、上記実施の形態1では、上部電極UEに接続するプラグP4aの高さが、配線M3に接続するプラグP4cの高さとほぼ同じになることで、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、上部電極UEがオーバーエッチングされるのを防止していた。一方、本実施の形態2では、上部電極UEに接続するプラグP3bを上部電極UEよりも下側に設けることで、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程において、上部電極UEがオーバーエッチングされるのを防止することができる。このため、容量素子CPおよび配線M3の信頼性を向上させることができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0184】
なお、上記実施の形態1の場合は、上部電極UEに接続されたプラグP4aと、下部電極LEに接続されたプラグP3aとが、異なる層に形成されており、上部電極UEに接続されたプラグP4aと、下部電極LEに接続されたプラグP3aとの間の寄生容量は、極めて小さく、ほとんど気にしないで済む。また、上部電極UEにプラグP4aを通じて電気的に接続された配線M4と、下部電極LEにプラグP3aを通じて電気的に接続された配線M2とは、異なる配線層に形成されており、それらの配線間の寄生容量は、極めて小さく、ほとんど気にしないで済む。このため、容量素子CPの容量値は、下部電極LEと上部電極UEと容量絶縁膜YZとで決めることができ、寄生容量を抑制できるため、容量素子CPの容量値は、ほぼ設計値通りの値とすることができる。
【0185】
一方、本実施の形態2の場合は、上部電極UEに接続されたプラグP3bと、下部電極LEに接続されたプラグP3aとが、同じ層に形成されているため、上部電極UEに接続されたプラグP3bと、下部電極LEに接続されたプラグP3aとの間に寄生容量が発生する場合があり得る。また、上部電極UEにプラグP3bを通じて電気的に接続された配線M2と、下部電極LEにプラグP3aを通じて電気的に接続された配線M2とが、同じ配線層に形成されているため、それらの配線間に寄生容量が発生する場合があり得る。
【0186】
このため、寄生容量を抑制して容量素子CPの容量値の実効的な値を、設計値通りの値に制御するという点では、本実施の形態2よりも上記実施の形態1の方が有利である。このため、容量素子の設計しやすさという観点で、上記実施の形態1は優れている。
【0187】
しかしながら、多層配線構造全体における配線レイアウトを設計する上では、上部電極UEをプラグP4aを介して上部電極UEよりも上層の配線M4に接続するよりも、上部電極UEをプラグP3bを介して上部電極UEよりも下層の配線M2に接続する方が有利な場合がある。そのような場合は、本実施の形態2を適用して、下部電極LEと上部電極UEとをプラグP3aとプラグP3bとを介して、それぞれ同じ配線層の配線に接続すればよい。
【0188】
(実施の形態3)
図30は、本実施の形態3の半導体装置の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記
図1に対応するものである。
図31は、本実施の形態3の半導体装置の要部平面図であり、上記実施の形態1の上記
図2に対応するものである。
【0189】
上記実施の形態1では、平面視において、下部電極LEは、全体が上部電極UEと重なっており、上部電極UEと重ならない部分は有していなかった。すなわち、上記実施の形態1では、平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包され、容量絶縁膜YZは上部電極UEに内包されていた。
【0190】
一方、本実施の形態3では、
図31および
図32にも示されるように、平面視において、下部電極LEは、上部電極UEに重なる部分と重ならない部分とを有している。すなわち、本実施の形態3では、平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包されているが、上部電極UEは、下部電極LE全体ではなく、下部電極LEの一部と重なっている。つまり、下部電極LE全体が容量絶縁膜YZで覆われているが、上部電極UEは、容量絶縁膜YZ全体を覆っているのではなく、下部電極LEは、容量絶縁膜YZを介して上部電極UEに対向する部分と、容量絶縁膜YZを介して上部電極UEに対向していない部分とを有している。
【0191】
これ以外は、本実施の形態3は、上記実施の形態1と基本的には同じである。
【0192】
なお、下部電極LEの下にプラグP3aが配置されて、そのプラグP3aと下部電極LEとが電気的に接続されている点は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。下部電極LEの下に配置されたプラグP3aは、下部電極LEとプラグP3aの下に配置された配線M2との間を電気的に接続するように機能する。
【0193】
また、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UE上にプラグP4aが配置されて、そのプラグ
P4aと上部電極UEとが電気的に接続されている点は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。すなわち、上部電極UEの上面のうち、上記凸部TBの周囲の領域上(すなわち凸部TBよりも低くなっている領域上)に、プラグP4aが配置されている点は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。プラグP4aは、上部電極UEとプラグP4a上に配置された配線M4との間を電気的に接続するように機能する。
【0194】
また、下部電極LEと平面視で重なる部分の上部電極UE上にプラグP4(上部電極UEに接続されるプラグP4)を配置していない点は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。すなわち、上部電極UEの上面のうち、上記凸部TB上にプラグP4(上部電極UEに接続されるプラグP4)を配置していない点は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。
【0195】
また、下部電極LE上に、プラグP4(下部電極LEに接続するプラグP4)が形成されていない点は、本実施の形態3も上記実施の形態1と同様である。従って、本実施の形態3においては、平面視において上部電極UEと重ならない部分の下部電極LE上には、層間絶縁膜L4に埋め込まれて下部電極LEに接続されるプラグP4(コンタクトプラグ)は形成されていない。
【0196】
次に、本実施の形態3の半導体装置の製造工程について、上記実施の形態1と相違する箇所を説明する。
図32〜
図35は、本実施の形態3の半導体装置の製造工程中の要部断面図であり、
図32は、上記実施の形態1の上記
図17に対応し、
図33は、上記実施の形態1の上記
図18に対応し、
図34は、上記実施の形態1の上記
図19に対応し、
図35は、上記実施の形態1の上記
図22に対応するものである。
【0197】
本実施の形態3では、上記実施の形態1と同様にして、上記
図17に対応する
図32の構造を得る。すなわち、導電膜CD3形成工程までは、本実施の形態3の製造工程も、上記実施の形態1と同様である。
【0198】
それから、
図33に示されるように、導電膜CD3上に、反射防止用の絶縁膜ARFを形成してから、絶縁膜ARF上に、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP3を形成する。絶縁膜ARFは、その形成を省略することもできる。ここで、上記実施の形態1の場合は、平面視において、下部電極LEはフォトレジストパターンRP3に内包されていたが、本実施の形態3の場合は、平面視において、下部電極LEは、フォトレジストパターンRP3に重なる部分と重ならない部分とを有している。
【0199】
それから、上記実施の形態1と同様に、フォトレジストパターンRP3をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜ARFおよび導電膜CD3を順にエッチングし、その後、フォトレジストパターンRP3を除去してから、絶縁膜ARFをエッチングによって選択的に除去する。絶縁膜ARFを除去せずに、配線M3上と上部電極UE上とに残存させる場合もあり得る。このようにして、
図34に示されるように、パターニングされた導電膜CD3からなる配線M3と上部電極UEとを形成することができる。
【0200】
ここで、上記実施の形態1の場合は、平面視において、下部電極LEはフォトレジストパターンRP3に内包されていたため、上部電極UEを形成すると、平面視において、下部電極LEは上部電極UEに内包されることになる。一方、本実施の形態3の場合は、平面視において、下部電極LEは、フォトレジストパターンRP3に重なる部分と重ならない部分とを有しているため、上部電極UEを形成すると、平面視において、下部電極LEは上部電極UEに重なる部分と重ならない部分とを有することになる。
【0201】
以降の工程は、上記実施の形態1と基本的には同じである。すなわち、層間絶縁膜L4の形成工程、スルーホールS4の形成工程、及びプラグP4の形成工程を、上記実施の形態1と同様に行うことで、上記
図22に対応する
図35の構造が得られる。以降の工程は、上記実施の形態1と同様であるので、ここでは、その図示および説明は省略する。
【0202】
上記実施の形態1で説明した第1、第2および第3の特徴は、本実施の形態3も満たしている。
【0203】
本実施の形態3においても、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0204】
但し、上記実施の形態1では、下部電極LEが上部電極UEに平面視で内包されているため、下部電極LE全体が、容量絶縁膜YZを介して上部電極UEと対向することになる。このため、下部電極LE全体を、容量素子の実効的な電極として機能させることができるため、容量素子CPの容量値を大きくしやすくなる。このため、大容量の容量素子を形成する場合には、上記実施の形態1は有利である。また、上記実施の形態1の場合は、容量値の大きな容量素子を形成するのに要する面積を縮小することが可能になるため、半導体装置の小型化(小面積化)にも有利である。
【0205】
一方、容量素子CPの容量値をそれほど大きくする必要が無い場合には、本実施の形態3のように、平面視において、下部電極LEが上部電極UEに重なる部分と重ならない部分とを有するようにし、下部電極LEと上部電極UEとが重なる面積を調整することにより、容量素子CPの容量値を制御することができる。このため、容量素子を有する半導体装置の設計が行いやすくなる。例えば、上部電極UEのレイアウトのみを調整して下部電極LEと上部電極UEとの重なり面積を調整すれば、容量素子CPの容量値を所望の値に制御することができるため、容量素子を有する半導体装置の設計変更が容易になる。
【0206】
また、本実施の形態3では、下部電極LEは、平面視で上部電極UEに重ならない部分を有している。このため、下部電極LEが、平面視で上部電極UEと重ならない部分を有する場合において、上部電極UEに重ならない部分の下部電極LE上にプラグP4を配置して、そのプラグP4を下部電極LEに接続することも考えられる。しかしながら、その場合、下部電極LEの厚みが配線M3の厚みと相違していることなどに起因して、下部電極LE上に配置したプラグP4の高さは、配線M3上に配置したプラグP4の高さと相違したものとなる。この場合、下部電極LE上に形成するスルーホールS4の深さと、配線M3上に形成するスルーホールS4の深さとが相違したものとなることから、スルーホールS4の底部で、配線M3または下部電極LEがオーバーエッチングされてしまうことになる。
【0207】
それに対して、本実施の形態3では、下部電極LEが、平面視で上部電極UEと重ならない部分を有する場合において、下部電極LEに接続するコンタクトプラグ(ここではプラグP3a)を下部電極LE上に設けるのではなく、下部電極LEの下に設けている。すなわち、本実施の形態3においても、上記第3の特徴として、層間絶縁膜L3に埋め込まれたプラグP3aを下部電極LEの下に配置して、そのプラグP3aを下部電極LEと電気的に接続している。下部電極LEに接続するプラグ(P3a)を下部電極LEの下に形成しているため、下部電極LEに接続するためのプラグ(P4)を下部電極LE上に形成する必要はない。このため、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程で、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成しなくて済むので、下部電極LEに到達するスルーホールS4を形成することに起因してスルーホールS4の底部で配線M3または下部電極LEがオーバーエッチングされてしまうことを回避することができる。これにより、容量素子CPおよび配線M3の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0208】
また、本実施の形態3では、容量素子CPの容量値を変えずに、すなわち、下部電極LEと上部電極UEとの重なり面積を変えずに、下部電極LEの寸法や形状を変えることができるため、下部電極LEに接続するプラグP3aの位置を自由に設定することができ、半導体装置の回路設計のレイアウトの自由度が高くなる。
【0209】
また、本実施の形態3では、下部電極LEに接続するプラグP3aを、平面視で上部電極UEに重ならない位置に配置することもできる。そうすることにより、下部電極LEに接続するプラグP3aを上部電極UEから遠ざけることができるため、プラグP3aと上部電極UEとの間に形成される寄生容量を、より低減することができる。このため、容量素子CPの実効的な容量値を、設計値により近づけることができるようになる。
【0210】
(実施の形態4)
図36は、本実施の形態4の半導体装置の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記
図1に対応するものである。
図37は、本実施の形態4の半導体装置の要部平面図であり、上記実施の形態1の上記
図2に対応するものである。
【0211】
本実施の形態4は、上記実施の形態2と上記実施の形態3とを組み合わせたものに対応している。すなわち、本実施の形態4と上記実施の形態3との相違点は、上記実施の形態2と上記実施の形態1との相違点と同様であり、また、本実施の形態4と上記実施の形態2との相違点は、上記実施の形態3と上記実施の形態1との相違点と同様である。
【0212】
すなわち、上記実施の形態3において、上記プラグP4aの代わりに上記実施の形態2と同様の上記プラグP3bを設けたものが、本実施の形態4に対応している。また、上記実施の形態2において、下部電極LEを平面視で内包するように上部電極UEを設けるのではなく、平面視において、下部電極LEが、上部電極UEに重なる部分と重ならない部分とを有するようにしたものが、本実施の形態4に対応している。
【0213】
従って、
図36および
図37にも示されるように、本実施の形態4では、上部電極UEに接続するコンタクトプラグは、層間絶縁膜L4のスルーホールS4に埋め込まれたプラグP4ではなく、層間絶縁膜L3のスルーホールS3に埋め込まれたプラグP3bであり、下部電極LEと平面視で重ならない部分の上部電極UEの下にプラグP3bを配置している。また、本実施の形態4では、
図36および
図37にも示されるように、平面視において、下部電極LEは、上部電極UEに重なる部分と重ならない部分とを有している。すなわち、本実施の形態4では、平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包されているが、上部電極UEは、下部電極LE全体ではなく、下部電極LEの一部と重なっている。つまり、下部電極LE全体が容量絶縁膜YZで覆われているが、上部電極UEは、容量絶縁膜YZ全体を覆っているのではなく、下部電極LEは、容量絶縁膜を介して上部電極UEに対向する部分と、容量絶縁膜YZを介して上部電極UEに対向していない部分とを有している。
【0214】
これ以外は、本実施の形態4は、上記実施の形態1と基本的には同じである。
【0215】
本実施の形態4においても、上記実施の形態2や上記実施の形態3とほぼ同様の効果を得ることができるが、ここではその繰り返しの説明は省略する。
【0217】
本実施の形態5では、下部電極と同層の導電膜パターンにより抵抗素子RSTを形成している。以下、半導体装置の製造工程を中心に具体的に説明する。
【0218】
上記実施の形態1と同様にして、プラグ
P3形成工程までを行って、上記実施の形態1の上記
図12に対応する
図38の構造が得られる。なお、本実施の形態5では、
図38に示されるように、層間絶縁膜L3にスルーホールS3を形成する際に、プラグP3dを埋め込むためのスルーホールS3も形成し、スルーホールS3内にプラグP3を形成する際に、プラグP3dも形成している。
【0219】
ここで、プラグP3のうち、後述する抵抗素子RSTの下に配置されて抵抗素子RSTに電気的に接続されるプラグP3を、符号P3dを付してプラグP3dと称することとする。
【0220】
次に、上記
図13に対応する
図39に示されるように、上記実施の形態1と同様に、プラグP3が埋め込まれた層間絶縁膜L3上に、導電膜CDLEを形成する。本実施の形態5の場合は、導電膜CDLEは、下部電極LE形成用の導電膜と抵抗素子RST形成用の導電膜とを兼ねている。それから、導電膜CDLE上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP1を形成する。本実施の形態5の場合は、フォトレジストパターンRP1は、下部電極LE形成用のパターンだけでなく、抵抗素子RST形成用のパターンも含んでいる。それから、フォトレジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて、導電膜CDLEをエッチングしてパターニングすることにより、
図40に示されるように、下部電極LEおよび抵抗素子RSTを形成する。下部電極LEおよび抵抗素子RSTは、いずれもパターニングされた導電膜CDLEからなる。このため、下部電極LEと抵抗素子RSTとは、同層の導電膜パターンにより形成されている。下部電極LEと抵抗素子RSTとは、互いに分離されている。下部電極LEと抵抗素子RSTとは、同工程で形成される。その後、フォトレジストパターンRP1は除去する。
図39には、この段階が示されている。
【0221】
次に、上記
図15に対応する
図41に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L3上に、下部電極LEおよび抵抗素子RSTを覆うように、容量絶縁膜YZ形成用の絶縁膜LYZを形成する。それから、絶縁膜LYZ上にフォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターンRP2を形成する。本実施の形態5の場合は、フォトレジストパターンRP2は、容量絶縁膜YZ形成用のパターンだけでなく、キャップ絶縁膜YZ2形成用のパターンも含んでいる。それから、フォトレジストパターンRP2をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜LYZをエッチングしてパターニングすることにより、
図42に示されるように、容量絶縁膜YZおよびキャップ絶縁膜YZ2を形成する。容量絶縁膜YZおよびキャップ絶縁膜YZ2は、いずれもパターニングされた絶縁膜LYZからなる。このため、容量絶縁膜YZとキャップ絶縁膜YZ2とは、同層の絶縁膜パターンにより形成されている。容量絶縁膜YZとキャップ絶縁膜YZ2とは、互いに分離されている。その後、フォトレジストパターンRP2は除去する。
図42には、この段階が示されている。
【0222】
平面視において、下部電極LEは容量絶縁膜YZに内包されるため、容量絶縁膜YZを形成すると、下部電極LEは容量絶縁膜YZで覆われた状態になり、従って、下部電極LEは露出していない状態になる。また、平面視において、抵抗素子RSTはキャップ絶縁膜YZ2に内包されるため、キャップ絶縁膜YZ2を形成すると、抵抗素子RSTはキャップ絶縁膜YZ2で覆われた状態になり、従って、抵抗素子RSTは露出していない状態になる。
【0223】
以降の工程は、本実施の形態5も、上記実施の形態1と基本的には同じである。
【0224】
すなわち、上記
図17に対応する
図43に示されるように、半導体基板SBの主面(主面全面)上に、すなわち層間絶縁膜L3上に、容量絶縁膜YZおよびキャップ絶縁膜YZ2を覆うように、導電膜CD3を形成する。導電膜CD3は、バリア導体膜B3aとバリア導体膜B3a上の主導体膜C3と主導体膜C3上のバリア導体膜B3bとの積層膜からなる。それから、上記実施の形態1と同様にして、導電膜CD3をパターニングすることにより、上記
図19に対応する
図44に示されるように、配線M3および上部電極UEを形成する。配線M3と上部電極UEとは、いずれもパターニングされた導電膜CD3からなる。なお、導電膜CD3をパターニングするためのエッチング工程において、キャップ絶縁膜YZ2が露出されるが、抵抗素子RSTはキャップ絶縁膜YZ2で覆われているため、抵抗素子RSTがエッチングされてしまうのを防止することができる。このため、キャップ絶縁膜YZ2は、抵抗素子RSTのエッチング保護膜として機能することができる。
【0225】
その後、上記
図24に対応する
図45に示されるように、上記実施の形態1と同様に、層間絶縁膜L4を形成し、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成し、スルーホールS4内にプラグP4を形成し、プラグP4が埋め込まれた層間絶縁膜L4上に第4配線層の配線M4を形成する。以降の製造工程については、ここではその図示および説明は省略する。
【0226】
図45からも分かるように、本実施の形態5の半導体装置においては、層間絶縁膜L3上に容量素子CPと抵抗素子RSTとが形成されており、容量素子CPの下部電極LEと抵抗素子RSTとは、同層の導電膜パターンにより形成されている。すなわち、下部電極LEと抵抗素子RSTとは、共通の導電膜(CD3)をパターニングすることにより形成されたものである。下部電極LEと抵抗素子RSTとは、繋がっておらず、互いに分離されている。下部電極LEを構成する材料と、抵抗素子RSTを構成する材料とは、同じである。また、下部電極LEの厚みと、抵抗素子RSTの厚みとは、実質的に同じである。
【0227】
抵抗素子RSTとキャップ絶縁膜YZ2と抵抗素子RSTに接続するプラグP3dとを設けたこと以外は、本実施の形態5の半導体装置は、上記実施の形態1〜4のいずれかと同じである。すなわち、本実施の形態5は、上記実施の形態1〜4のいずれに対しても適用することができる。ここでは、上記実施の形態1に基づいて図示および説明を行っているが、上記実施の形態2〜4において、抵抗素子RSTを形成することもでき、その場合の抵抗素子RST、キャップ絶縁膜YZ2、および抵抗素子RSTに接続するコンタクトプラグ(プラグP3d)の構成および製法は、本実施の形態5で説明したのと同様である。
【0228】
本実施の形態5では、上記実施の形態1〜4で得られる効果に加えて、更に次のような効果を得ることができる。
【0229】
本実施の形態5では、抵抗素子RSTと下部電極LEとが、同層の導電膜パターンにより形成されていることにより、容量素子CPを製造する工程に合わせて抵抗素子RSTも製造することができるため、製造工程数を抑制することができ、また、半導体装置の製造コストを低減することができる。また、半導体装置の製造時間を短縮することができ、スループットを向上することができる。
【0230】
また、本実施の形態5では、層間絶縁膜L4に埋め込まれたプラグP3d(コンタクトプラグ)が、抵抗素子RSTの下に配置されて抵抗素子RSTと電気的に接続されている。そして、抵抗素子RST上には、層間絶縁膜L4に埋め込まれて抵抗素子RSTに接続されるプラグP4(コンタクトプラグ)は形成されていない。
【0231】
すなわち、抵抗素子RSTに接続するコンタクトプラグは、層間絶縁膜L4のスルーホールS4に埋め込まれたプラグP4ではなく、層間絶縁膜L3のスルーホールS3に埋め込まれたプラグP3(P3d)である。
【0232】
抵抗素子RSTの下にプラグP3dが配置され、そのプラグP3dの下に配線M2が配置されている。プラグP3dは、抵抗素子RSTと配線M2との間に配置されており、プラグP3dの上面が抵抗素子RSTの下面と接することで、プラグP3dと抵抗素子RSTとが電気的に接続され、また、プラグP3dの下面が配線M2の上面と接することで、プラグP3dと配線M2とが電気的に接続されている。このため、プラグP3dは、抵抗素子RSTとプラグP3dの下に配置された配線M2との間を電気的に接続するように機能する。
【0233】
本実施の形態5とは異なり、抵抗素子RST上にプラグP4を配置してそのプラグP4を抵抗素子RSTに接続する場合を仮定する。しかしながら、その場合、下部電極LEの厚みが配線M3の厚みと相違していることなどに起因して、抵抗素子RST上に配置したプラグP4の高さは、配線M3上に配置したプラグP4の高さと相違したものとなる。この場合、抵抗素子RST上に形成するスルーホールS4の深さと、配線M3上に形成するスルーホールS4の深さとが相違したものとなることから、スルーホールS4の底部で、配線M3または抵抗素子RSTがオーバーエッチングされてしまうことになる。
【0234】
それに対して、本実施の形態5では、抵抗素子RSTに接続するコンタクトプラグ(ここではプラグP3d)を抵抗素子RST上に設けるのではなく、抵抗素子RSTの下に設けている。このため、抵抗素子RSTに接続するためのプラグ(P4)を抵抗素子RST上に形成する必要はない。このため、層間絶縁膜L4にスルーホールS4を形成するエッチング工程で、抵抗素子RSTに到達するスルーホールS4を形成しなくて済むので、抵抗素子RSTに到達するスルーホールS4を形成することに起因してスルーホールS4の底部で配線M3または抵抗素子RSTがオーバーエッチングされてしまうことを回避することができる。これにより、抵抗素子RSTおよび配線M3の信頼性を向上させることができる。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0235】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。