【実施例1】
【0012】
本実施例を実現する為の構成について
図1〜
図16を用いて説明する。
図1は、本発明のATMの設置状態の概要を示した図である。
【0013】
通常、現金自動取引装置101(以降、ATM101とする)は、ATM101前方のエンドユーザ102(利用者ともいう)が来店し操作する部屋(以降、キャッシュコーナー103とする)と、ATM101後方の壁104で隔てられた係員105が機器メンテナンスを行う部屋(以降、マシン室106とする)に跨る様に設置されている。マシン室106は、基本的には銀行が許可した人物しか入れないセキュリティが施されたエリアである。マシン室106にて行う機器メンテナンスは、主に現金の装填や回収、明細票の補充、通帳の補充等の作業、定期点検や修理等がある。
【0014】
ATM101の前面側には、キャッシュコーナー103からエンドユーザ102が操作しATMの情報を表示する顧客操作パネル110と、エンドユーザが問い合わせを行う際に用いる通話器(以降、オートホン111とする)と前面側からATM101を操作している人物を撮影する為の人物カメラ112が装備されている。
【0015】
ATM101の後方側には、マシン室106から係員105が操作する係員操作パネル120、マイク121とスピーカー122、操作する係員105を撮影する係員カメラ123が装備されている。
【0016】
また、これらのデバイスは、ATM101のATM制御部130に接続され、HDDに記憶された図示しないATMの制御プログラムによって制御されている。さらに、ATM101は、店舗内ネットワークLAN107を介してIP電話207、213に接続されている。
【0017】
次に本実施例を構成する各装置について詳細な説明をする。
図2は本発明を実現する概略構成を示したブロック図である。
ATM101は、銀行の店舗201に設置されておりATM101の傍らには、オートホン111が設置されている。なお、オートホン111は一般的にはATM1台に対して1台ずつ設置されているため本実施例でもその構成に則って説明するが、これに限定されるものではない。
【0018】
オートホン111は、ATM101に接続されている。さらにオートホン111の受発信を制御するオートホン制御部203、ATM制御部130のVOIP変換部205、外部回線部207に接続されている。なお、オートホン111は、顧客音声入出力部と呼ぶこともできる。
【0019】
オートホン111はエンドユーザ102が手に取るとオフフックする構造になっており、オフフックをオートホン制御部203が検知すると、オートホン制御部203はあらかじめ設定したカレンダ設定に応じて、オートホン111の接続先を切り替えて接続する機能を有している。なお、オートホン制御部203は顧客音声制御部とも呼ぶことができ、また、ATM制御部130の一部の機能とすることもできる。
【0020】
例えば、オフフックを検知した時間が店舗201の営業時間内のときは、ATM制御部130内のVOIP変換部205、外部回線制御部206と店舗内ネットワークLAN107を経由して、店舗201内の予め接続するように設定されたIP電話207に接続する。店舗201の営業時間外のときは、ATM制御部130内のVOIP変換部205、外部回線制御部206と店舗内ネットワークLAN107からルーター208を経由して、WAN回線204を介して接続するATMコールセンタ210のルーター211からコールセンタLAN212を経由して、あらかじめ接続先として割り振られたIP電話213に接続する。
【0021】
ATM101は、ATM101の前面に装備された顧客操作パネル110とATM101を操作するエンドユーザ102の上半身を撮影し取引記録として残す為の人物カメラ112、エンドユーザ102に対して紙の明細票を印字発行する明細票発行部227、ATM101で取り忘れられた媒体(例えば、カード)を回収し収納する取り忘れ媒体収納庫228、ATM101の後方に装備されたスピーカー122とマイク121を備えた係員操作パネル120、操作した係員を画像で記録する係員カメラ123を有している。なお、顧客操作パネル110を顧客操作部、係員操作パネル120を係員操作部、人物カメラ112を顧客撮影部、係員カメラ123を係員撮影部、スピーカ122とマイク121を併せて係員音声入出力部と呼ぶこともできる。
【0022】
これらATM101の各機器は信号線を介してATM制御部130と接続し、ATM制御部130により制御される。なお、ATM制御部130は全体制御部ともいう。また、ATM制御部130はオペレーティングシステムやATMの動作プログラム、稼動ログ(JNL:ジャーナルともいう)、各カメラの映像などを記憶するHDD228、オートホン111からの音声信号をパケットに変換するVOIP変換部205、VOIP変換部205にて変換されたパケットをネットワークを介してIP電話207、213との間で送受信をしたり、ATM101とホストコンピュータ108やATM監視端末109との間で情報の送受信を行う外部回線制御部207を有している。
【0023】
なお、図示はしていないがATM101には、紙幣や硬貨を取扱う紙幣/硬貨処理部や磁気カードやICカード取扱うカード処理部、通帳の記帳処理などを行う通帳処理部などを備えている事はいうまでもない。また、顧客操作パネル110や係員操作パネル120は本実施例ではタッチパネルとして説明をするが、ディスプレイとボタン等により構成されるものとしてもよい。
【0024】
店舗201にはATM101と店舗内ネットワークLAN107を介して接続するATM監視端末109とIP電話207がある。ATM監視端末109はATM101が正常に取引ができているか、紙幣搬送ジャム等により取引ができない状態になっていないか等の稼働状態を監視する端末である。IP電話207は上述するようにオートホン制御部203のカレンダ機能によってオートホン111からの着信を受ける。
【0025】
また、ATM101は店舗内ネットワークLAN107、ルーター208、WAN回線204を介してホストコンピュータ108やATMコールセンタ210と接続する。ホストコンピュータ108はATM101のエンドユーザ102が取引の際に口座情報の照会等を行う。ATMコールセンタ210は、WAN回線204に接続するルーター211、コールセンタ内ネットワークLAN212に接続するIP電話213を有しており、オートホン制御部203のカレンダ機能によりオートホン111からの着信を受け、ATMコールセンタ210に在席するオペレータがエンドユーザ102との接客対応を行う。
【0026】
次に本実施例の上記に説明した構成の装置を用いた取り忘れ媒体返却処理の流れを
図3に示すシーケンス図と、
図4〜16の画面の例とを用いて説明する。本実施例では係員がエンドユーザ102のカード取り忘れに対応する例を説明するが、この対応に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0027】
初めにエンドユーザ102により、ATM101の傍らにあるオートホン111がオフフックされると(ステップ301)、オートホン制御部203はカレンダ機能によりオフフックされた時間が店舗201の営業時間内かどうかを判定する(ステップ302)。
【0028】
店舗の201の営業時間内であれば、店舗201内のあらかじめ設定されたIP電話207へ発信し(ステップ303)、店舗201内にいる係員105を呼出す。なお、店舗201の営業時間外の場合は、ATMコールセンタ210へ接続し、従来どおりATMコールセンタ210に在席するオペレータがエンドユーザ102の対応を行う。
【0029】
係員105がIP電話207をオフフックすると、エンドユーザ102との間で通話が可能となり、エンドユーザ102の問い合わせに応答し内容をヒアリングする(ステップ304)。ヒアリング内容によりそのままATM101の実機確認をせずに解決できる場合は、係員105はそのまま従来どおりエンドユーザ102との応答を行う。例えば、ATM101の取引操作に関する問い合わせ等が該当する。
【0030】
係員105によって、ヒアリング内容がエンドユーザ102の媒体取忘れなどによりATM101の実機において確認が必要であると判断された場合は(ステップ305)、係員105の転送操作によってIP電話207は当該のATM101に電話を転送する(ステップ306)。IP電話207より電話転送を受けたATM101は、係員操作パネル120に
図4に示す画面を表示して係員が応答するまで呼出し状態で待機する(ステップ307)。またこのときATM101は、顧客操作パネル110には
図5に示す案内画面も表示する(ステップ307)。
【0031】
マシン室106へ移動した係員105により(ステップ308)、ATM101の係員操作パネル120の画面(
図4)に従い応答ボタン401の押下を検知すると(ステップ309)、ATM制御部130は、オートホン111の音声通話の接続先を係員操作パネルのマイク121とスピーカー122に切換え、係員操作パネル120に
図6に示す画面が表示される(ステップ310)。係員105とエンドユーザ102と会話し、エンドユーザ102の同意が得られた場合、ATM101はTV電話ボタン601を押下を検知し(ステップ311)、ATMTV電話を起動する(ステップ312)。
【0032】
ATMTV電話が起動されると(ステップ312)、係員操作パネル120には
図7に示す画面を表示され、右上には顧客の人物カメラ動画701を表示する。また顧客操作パネル110には
図8に示す画面を表示され、係員カメラ123の係員映像801が表示される。
【0033】
一方、エンドユーザ102の同意が得られない場合は、
図7の人物カメラのカメラ映像701と
図8の係員カメラ123の係員映像801を表示させず、そのまま音声のみの会話を継続する。
【0034】
また、係員操作パネル120には
図7に示す応答ナビゲーションが表示され、係員105の応答をサポートする。応答ナビゲーションは、最低限確認する項目を画面表示して、係員105がエンドユーザ102に対してのヒアリングを漏れなく行えるようにサポートする機能である。はじめに、
図7に示すようにエンドユーザ102の問い合わせは媒体返却を伴うかどうかを確認する(ステップ312)。
【0035】
媒体返却を伴わない場合は、通常画面に戻すボタン703を押下して通常の係員パネル画面に戻し、通常の応対を行う。例えば、取引中に紙幣等の媒体が詰まり搬送ジャムが発生した際の応対等である。
【0036】
媒体取忘れボタン702を押下して媒体取り忘れを選択された場合は(ステップ313)、係員操作と通話内容とをATM制御部130のHDD228へ記録(ロギング)を開始する(ステップ314)。媒体を返したエンドユーザ102を特定したり、係員105が不正や誤った対応を行われた場合に後から特定するためである。
【0037】
次に該当する稼働ログを検索する為、
図9に示す媒体種類をヒアリングする画面を係員操作パネルに表示する(ステップ315)。本実施例では、カードの取り忘れ処理を例に挙げて説明する。係員105により、媒体選択ボタン901の中からカード取り忘れボタンが押下されると(ステップ316)、顧客操作パネル110には
図10に示す画面が表示される(ステップ317)。この
図10の画面は、例えばガイダンス文言1001を表示して、係員が操作している内容を簡略にエンドユーザ102に伝えるものである。
【0038】
続いて係員操作パネル130に、
図11に示す画面を表示する(ステップ317)。係員105からエンドユーザ102からヒアリングした、取り忘れ発生日の入力を受け付ける。この入力画面
図11は、0〜9のテンキー1102以外に、直近の発生にすぐ対応できるようにショートカットボタン1103を表示する。本実施例では、当日発生した場合について説明する。この場合、係員105は、当日ボタン1103を押下し、確認ボタン1104を押下する(ステップ318)。当日ボタン1103と確認ボタン1104が押下されると顧客操作パネル110には、
図12に示す画面が表示され、併せてガイダンス文言1201が表示をされる(ステップ319)。なお、本実施例では取り忘れ発生日の入力を係員105が行うとしているが、顧客操作パネル110に入力画面を表示させ、エンドユーザ102に入力させるものとしてもよい。
【0039】
次に係員操作パネル120には、
図13に示すカード取り忘れの検索結果が一覧表示1301される(ステップ319)。係員105より該当の取引を選び、返却ボタン1302が押下されると(ステップ320)、係員操作パネル120には
図14示す画面が表示される(ステップ321)。係員105は
図14示す当該取引情報1401を元に、ATM101の取り忘れ媒体収納庫228から当該カードを探すことができる(ステップ322)。
【0040】
このとき当該取り忘れカードが見つからない場合は、取引の状況などをより詳細に調べる必要があるため、係員105により中止ボタン1402を押下され、返却処理は中止される。エンドユーザ102と会話するために窓口などで対応するためである。
【0041】
ステップ322で当該取り忘れカードが見つかった場合は、取り忘れ媒体収納庫228から取り忘れカードを取り出した係員05により
図14に示される画面にある確認ボタン1403が押下される(ステップ323)。このとき、係員カメラ123に当該取り忘れカードを映し、エンドユーザ102に確認させ、確認入力を入力させてもよい。その後、明細票発行部227は
図15に示す画面を表示し、媒体引換券を発行する(ステップ324)。また、係員操作パネル120には、
図16に示す画面を表示し(ステップ325)、係員105から終了ボタン1601の押下を受け付けると通話を終了する(ステップ326)。
【0042】
終了ボタン1601の入力を確認すると、ATM制御部130は、ATM101の操作記録(ロギング)を終了する(ステップ327)。その後、エンドユーザ102は店舗201にある窓口に媒体引換券を持っていき交換する等を行うことで取り忘れカードを受け取ることができる。なお、媒体引換券の発行終了後または媒体引換券がエンドユーザ102に抜き取られた事を検知すると、操作記録(ロギング)を終了するとしてもよい。
【0043】
以上のように本実施例では上記する構成とすることで、エンドユーザ102が媒体の取り忘れをした際に、銀行が営業時間内であれば媒体返却処理を係員105の迅速な対応をサポートすること出来る。その際、ATM101の後方で係員105が対応している様子が係員カメラ123で映し出される事でエンドユーザ102は安心感を得ることができる。また、返却処理のログを記録することで後に不正や誤った対応が行われた場合に参照することも可能となる。
【0044】
[変形例1]
以下、実施例1の変形例について
図17と
図18を用いて説明する。装置構成は実施例1と同様であるため説明を省略する。本変形例では、取り忘れカードを返却する際にエンドユーザ102の本人確認を行う例について説明する。本変形例の本人確認動作を説明するシーケンス図を
図18に示す。
図18に示すシーケンス図の内、ステップ321までは実施例1と動作が同じであるため説明を省略する。
【0045】
ステップ320で当該カードを取り忘れた取引が見つかった場合は(ステップ321、ATM制御部130は、エンドユーザ102の顧客操作パネル110に
図18に示す画面を表示し(ステップ1801)、本人認証のための確認情報として暗証番号の入力を促す。エンドユーザ102から暗証番号の入力を受け付けると(ステップ1802)、ATM101のATM制御部130は入力された暗証番号(本人確認情報)をホストコンピュータ108に送信し(ステップ1803)、ホストコンピュータ108に本人確認を行わさせる(ステップ1804)。ホストコンピュータ108から本人確認完了を示す通信を受信すると(ステップ1805)、係員操作パネル120にその旨を表示し(ステップ1806)、係員105が取り忘れ媒体収納庫228から取り忘れカードを取り出す(ステップ322)。その後、係員105からの確認ボタン1403の押下を待ち(ステップ323)、取り忘れ媒体返却処理を進めることとなるが実施例1と同様のため省略する。なお、暗証番号の照合に失敗した場合は、係員105が中止ボタンを押下して、エンドユーザ102に窓口まで来るように誘導する。
【0046】
以上のように本変形例では上記する構成とすることで、エンドユーザ102の本人確認がより正確に行うことができ、より正確にエンドユーザ102に取り忘れ媒体を返却することができる。
【0047】
[変形例2]
以下、実施例1の変形例について
図19、
図20を用いて説明する。
図19はエンドユーザ102が取引の際に媒体を取り忘れたときのATM101の動作について説明するシーケンス図である。
図20は取引情報の検索結果を表示する画面である。なお、発明を実施するための構成は実施例1と同様であるため説明は省略する。
【0048】
エンドユーザ102がATM101を用いて取引を行っているとき(ステップ1901)、ATM制御部130は、人物カメラ112を用いてエンドユーザ102を撮影し、取引内容とともにHDD228へ記録(ロギング)を開始する(ステップ1902)。その後、取引が進行し、ATM101はエンドユーザ102に媒体(本変形例ではカードとする)を返却する処理を行う(ステップ1903)。
【0049】
エンドユーザ102が、返却されたカードを取り忘れるカード取り忘れが発生した場合(ステップ1904)、ATM101は取り忘れられたカードを取り忘れ媒体収納庫228へ搬送し、取引を終了する(ステップ1905)。カード回収後、取り忘れ媒体収納庫228にエンドユーザ102のカードを収納したことを一連の取引としてログに関連付けて記録する(ステップ1906)。なお、HDD228に記録したログ情報は、ATM監視端末109やホストコンピュータ108にて記録するとしてもよい(ステップ1907)。
【0050】
上記するように、変形例2では、取引処理の際にエンドユーザ102を画像を取得して記録し、さらにカード回収が発生した際にその情報と関連付けて記録する構成とした。この構成とすることで、実施例1で示した取引情報を検索し係員操作パネル120に表示する際に、エンドユーザ102の画像も同時に表示する事が出来ることとなる。即ち、
図20に示すように係員操作パネルには、取引を行った人物に画像2001と媒体返却処理を行っている人物のカメラ画像2002と同じ画面に表示されることとなり、媒体を取り忘れた当人が媒体の返却を受けようとしているか否かを判断する事が出来る。従って、本人になりすまして媒体を獲得しようとすることが防げ、セキュリティを高めることができる。
【0051】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、本発明についてATMに基づいて説明を行ったが、ATMに限らず現金の取引を行う装置(例えばCD)であっても本発明を実施することができる。
【0052】
また、例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。