特許第6336851号(P6336851)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336851
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】蓄熱体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/14 20060101AFI20180528BHJP
   F28D 20/00 20060101ALI20180528BHJP
   C04B 38/06 20060101ALI20180528BHJP
   C04B 41/88 20060101ALI20180528BHJP
   C04B 41/85 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C09K5/14 E
   F28D20/00 A
   C04B38/06 D
   C04B41/88 U
   C04B41/85 C
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-161383(P2014-161383)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-37553(P2016-37553A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦治
(72)【発明者】
【氏名】八谷 洋介
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−221289(JP,A)
【文献】 特開2012−255105(JP,A)
【文献】 特開平09−143461(JP,A)
【文献】 特公平06−080395(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 5/
F28D 20/
C04B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック材料から成る多孔体を作製する第1工程と、
前記セラミック材料より高い比熱容量を有する蓄熱材を前記多孔体の細孔に充填することによって、前記多孔体に前記蓄熱材を充填した蓄熱体を作製する第2工程とを備える、蓄熱体の製造方法であって、
前記第1工程は、前記多孔体に形成される細孔の直径ごとの合計容積の分布が、最も大きいピークおよび二番目に大きいピークとして、細孔の直径がより大きい第1のピークと、細孔の直径がより小さい第2のピークとを有するように、前記多孔体を作製する工程であり、
前記第2工程は、
前記第1のピークを示す直径より小さく、かつ、前記第2のピークを示す直径より大きい平均粒径を有する粉粒体を、前記蓄熱材の原料として用意する工程と、
前記粉粒体を分散させたスラリを作製する工程と、
前記スラリを前記多孔体に浸透させる工程と
を含む、ことを特徴とする蓄熱体の製造方法。
【請求項2】
前記第2のピークを示す直径を有する細孔の数は、前記第1のピークを示す直径を有する細孔の数より多い、請求項1に記載の蓄熱体の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程は、前記第1のピークを示す細孔の直径に相当する平均粒径を有し、かつ、前記多孔体の作製途中に焼失する化合物を、前記セラミック材料に混合する工程を含む、請求項1または請求項2に記載の蓄熱体の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程は、前記第2のピークを示す細孔の直径に相当する平均粒径を有し、かつ、前記多孔体の作製途中に焼失する化合物を、前記セラミック材料に混合する工程を含む、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の蓄熱体の製造方法。
【請求項5】
前記セラミック材料は、アルミナ、コージェライト、窒化ケイ素、サイアロン、炭化ケイ素、チタン酸アルミネートのいずれかを主成分とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の蓄熱体の製造方法。
【請求項6】
前記セラミック材料は、セラミック粉粒体とセラミック繊維との混合物である、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の蓄熱体の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の蓄熱体の製造方法によって製造された蓄熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄熱体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄熱体としては、セラミック材料から成る多孔体に蓄熱材を付着させたものが知られている。特許文献1には、加熱により液体にした蓄熱材を多孔体の内部に充填することによって、蓄熱体を作製することが記載されている。特許文献2には、蓄熱材を含有するスラリ(泥漿)を多孔体の内部に浸透させることによって、蓄熱体を作製することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−255105号公報
【特許文献2】特開2009−221289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、加熱により液体にした蓄熱材の温度によっては、多孔体のセラミック材料が蓄熱材と反応する場合や、多孔体のセラミック材料が溶融する場合があるという課題があった。また、特許文献2では、スラリに含まれる蓄熱材が多孔体の細孔に目詰まりすることによって、蓄熱材を含有するスラリを多孔体の内部へと十分に浸透させることが困難であるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、セラミック材料から成る多孔体を作製する第1工程と;前記セラミック材料より高い比熱容量を有する蓄熱材を前記多孔体の細孔に充填することによって、前記多孔体に前記蓄熱材を充填した蓄熱体を作製する第2工程とを備える、蓄熱体の製造方法が提供される。この製造方法において、前記第1工程は、前記多孔体に形成される細孔の直径ごとの合計容積の分布が、最も大きいピークおよび二番目に大きいピークとして、細孔の直径がより大きい第1のピークと、細孔の直径がより小さい第2のピークとを有するように、前記多孔体を作製する工程であり、前記第2工程は、前記第1のピークを示す直径より小さく、かつ、前記第2のピークを示す直径より大きい平均粒径を有する粉粒体を、前記蓄熱材の原料として用意する工程と;前記粉粒体を分散させたスラリを作製する工程と;前記スラリを前記多孔体に浸透させる工程とを含む。この形態によれば、スラリに含まれる蓄熱材の原料である粉粒体を、第1のピークを示す細孔へと充填しながら、スラリに含まれる液体成分を、第2のピークを示す細孔を介して多孔体の内部へと流通させることができる。そのため、多孔体の内部へのスラリの浸透を促進させることができる。その結果、多孔体の内部へと蓄熱材が十分に充填された蓄熱体を作製できる。
【0007】
(2)上記形態における蓄熱体の製造方法において、前記第2のピークを示す直径を有する細孔の数は、前記第1のピークを示す直径を有する細孔の数より多くてもよい。この形態によれば、多孔体の内部へのスラリの浸透を更に促進させることができる。
【0008】
(3)上記形態における蓄熱体の製造方法において、前記第1工程は、前記第1のピークを示す細孔の直径に相当する平均粒径を有し、かつ、前記多孔体の作製途中に焼失する化合物を、前記セラミック材料に混合する工程を含んでもよい。この形態によれば、第1のピークを示す細孔を容易に形成できる。
【0009】
(4)上記形態における蓄熱体の製造方法において、前記第1工程は、前記第2のピークを示す細孔の直径に相当する平均粒径を有し、かつ、前記多孔体の作製途中に焼失する化合物を、前記セラミック材料に混合する工程を含んでもよい。この形態によれば、第2のピークを示す細孔を容易に形成できる。
【0010】
(5)上記形態における蓄熱体の製造方法において、前記セラミック材料は、アルミナ、コージェライト、窒化ケイ素、サイアロン、炭化ケイ素、チタン酸アルミネートのいずれかを主成分としてもよい。この形態によれば、上記のセラミック材料を用いた多孔体の内部へと蓄熱材を十分に充填できる。
【0011】
(6)上記形態における蓄熱体の製造方法において、前記セラミック材料は、セラミック粉粒体とセラミック繊維との混合物であってもよい。この形態によれば、セラミック粉粒体のみから成る多孔体と比較して、セラミック繊維によって多孔体の強度を向上させることができる。
【0012】
本発明は、蓄熱体の製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、上記の製造方法によって製造された蓄熱体、蓄熱体の製造装置、蓄熱体を備える装置(例えば、排気ガス浄化装置、ガスセンサ、触媒、セラミックフィルタ)などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】蓄熱体の部分断面を模式的に示す説明図である。
図2】蓄熱体の製造方法を示す工程図である。
図3】多孔体に形成された細孔の直径ごとの合計容積の分布の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.実施形態
A1.蓄熱体の構成
図1は、蓄熱体100の部分断面を模式的に示す説明図である。蓄熱体100は、排気ガス浄化装置、ガスセンサ、触媒、セラミックフィルタなどに用いられる。蓄熱体100は、多孔体120と、蓄熱材140とを備える。
【0015】
蓄熱体100の多孔体120は、セラミック材料から成る。本実施形態では、多孔体120のセラミック材料は、アルミナである。他の実施形態では、多孔体120のセラミック材料は、アルミナ、コージェライト、窒化ケイ素、サイアロン、炭化ケイ素、チタン酸アルミネートのいずれかを主成分としてもよい。本実施形態では、多孔体120のセラミック材料は、セラミック粉粒体とセラミック繊維との混合物である。
【0016】
多孔体120は、複数の細孔130を有する。細孔130は、複数の細孔131,132が連なった連続細孔である。細孔131の平均直径は、蓄熱材140の平均粒径より大きい。細孔132の平均直径は、蓄熱材140の平均粒径より小さい。多孔体120に形成された細孔の直径ごとの合計容積の分布は、最も大きいピークおよび二番目に大きいピークとして、細孔130の直径がより大きい第1のピークと、細孔130の直径がより小さい第2のピークとを有する。第1のピークを示す細孔の直径は、細孔131の平均直径に相当し、第2のピークを示す細孔の直径は、細孔132の平均直径に相当する。本実施形態では、第1のピークを示す細孔の直径は、約50μm(マイクロメートル)であり、第2のピークを示す細孔の直径は、約3μmである。
【0017】
蓄熱体100の蓄熱材140は、多孔体120のセラミック材料より高い比熱容量を有する。本実施形態では、蓄熱材140は、アルミナ被覆アルミ合金から主に成る。蓄熱材140は、多孔体120の細孔130に充填されている。蓄熱材140の平均粒径は、細孔131の平均直径より小さく、かつ、細孔132の平均直径より大きい。本実施形態では、蓄熱材140の平均粒径は、約40μmである。
【0018】
A2.蓄熱体の製造方法
図2は、蓄熱体100の製造方法を示す工程図である。まず、製造者は、多孔体120を作製する(第1工程P110)。第1工程P110では、製造者は、多孔体120に形成される細孔の直径ごとの合計容積の分布が、最も大きいピークおよび二番目に大きいピークとして、細孔の直径がより大きい第1のピークと、細孔の直径がより小さい第2のピークとを有するように、多孔体120を作製する。
【0019】
本実施形態では、製造者は、次の材料を秤量した後、これらの材料にエタノールを添加して攪拌することによって、多孔体120用のスラリを作製する。
・アルミナ粉粒体(平均粒径0.1μm)・・・20体積%
・アルミナ繊維(平均繊維長100μm)・・・20体積%
・樹脂ビーズ(平均粒径130μm)・・・50体積%
・樹脂ビーズ(平均粒径5μm)・・・10体積%
・アルミナゾル・・・10質量%(外配合)
【0020】
アルミナ粉粒体およびアルミナ繊維は、多孔体120を構成するためのセラミック材料である。樹脂ビーズ(平均粒径130μm)は、多孔体120に細孔131を形成するために多孔体120の作製途中に焼失する化合物である。樹脂ビーズ(平均粒径5μm)は、多孔体120に細孔132を形成するために多孔体120の作製途中に焼失する化合物である。アルミナ粉粒体および樹脂ビーズの平均粒径は、レーザ回折・散乱法(日本工業規格JIS−Z−8825:2013)に基づく測定値である。
【0021】
製造者は、多孔体120用のスラリを作製した後、スラリの粘度を調整した上で、浸漬法(ディップ法)によってアルミナ基板にスラリを塗布する。その後、製造者は、200℃の処理温度および数時間の処理時間で、アルミナ基板に塗布されたスラリを乾燥させる。その後、製造者は、大気中、1400℃の処理温度および3時間の処理時間で、乾燥させたスラリを焼成する。その際に、スラリに混合された樹脂ビーズが焼失し、細孔130が形成される。これらの工程を経て、多孔体120が完成する。
【0022】
図3は、多孔体120に形成された細孔の直径ごとの合計容積の分布LDの一例を示すグラフである。図3の横軸は、多孔体120に形成された細孔の直径である細孔直径Dpを示す。図3の縦軸は、細孔直径Dpごとの合計容積である細孔容積Vpを示す。図3の分布LDは、水銀圧入法(日本工業規格JIS−R−1655:2003)によって得られた測定結果である。
【0023】
分布LDは、最も大きいピークおよび二番目に大きいピークとして、細孔の直径がより大きい第1のピークPk1と、細孔の直径がより小さい第2のピークPk2とを有する。本実施形態では、第1のピークPk1を示す細孔直径Dp1は、50μmであり、第2のピークPk2を示す細孔直径Dp2は、3μmである。本実施形態では、第1のピークPk1を示す細孔容積Vp1は、第2のピークPk2を示す細孔容積Vp2とほぼ同じである。本実施形態では、第2のピークPk2を示す細孔直径Dp2を有する細孔132の数は、第1のピークPk1を示す細孔直径Dp1を有する細孔131の数より多い。
【0024】
図2の説明に戻り、第1工程P110を終えた後、製造者は、蓄熱材140を多孔体120の細孔130に充填する(第2工程P120)。
【0025】
第2工程P120において、製造者は、第1のピークPk1を示す細孔直径Dp1より小さく、かつ、第2のピークPk2を示す細孔直径Dp2より大きい平均粒径を有する粉粒体を、蓄熱材140の原料として用意する(工程P122)。本実施形態では、蓄熱材140の原料はアルミナ被覆アルミ合金であり、その平均粒径は約40μmである。蓄熱材140の原料の平均粒径は、レーザ回折・散乱法(日本工業規格JIS−Z−8825:2013)に基づく測定値である。
【0026】
蓄熱材140の原料を用意した後(工程P122)、第2工程P120において、製造者は、蓄熱材140の原料を分散させたスラリを作製する(工程P124)。本実施形態では、製造者は、蓄熱材140の原料である粉粒体に、アルミナゾルおよびエタノールを添加して攪拌することによって、蓄熱材140用のスラリを作製する。
【0027】
蓄熱材140用のスラリを作製した後(工程P124)、第2工程P120において、製造者は、蓄熱材140用のスラリを、第1工程P110で作製した多孔体120に浸透させる(工程P126)。本実施形態では、製造者は、浸漬法(ディップ法)によって蓄熱材140用のスラリを多孔体120に浸透させる。これによって、蓄熱材140の原料である粉粒体が、多孔体120の細孔131に充填される。
【0028】
蓄熱材140用のスラリを多孔体120に浸透させた後(工程P126)、第2工程P120において、製造者は、蓄熱材140用のスラリを浸透させた多孔体120を乾燥させる(工程P128)。その後、製造者は、乾燥させた多孔体120を焼成する(工程P129)。本実施形態では、製造者は、大気中、900℃の処理温度および1時間の処理時間で、乾燥させた多孔体120を焼成する。これによって、多孔体120の細孔131に蓄熱材140が保持される。これらの工程を経て、蓄熱体100が完成する。
【0029】
A3.評価試験
試験者は、図2の製造方法における第1工程P110によって20個の多孔体120を作製し、そのうち10個の多孔体120から第2工程P110によって10個の蓄熱体100を作製した。その後、試験者は、10個の多孔体120および10個の蓄熱体100の各々について、水銀圧入法(日本工業規格JIS−R−1655:2003)によって細孔の分布LDを測定した。その後、試験者は、測定結果に基づいて、多孔体120から蓄熱体100になるに伴って細孔容積Vp1が減少する割合である細孔減少割合Raを算出した。
【0030】
試験者は、多孔体120および蓄熱体100と同様に、次の異なる配合による多孔体用のスラリを用いて10個の多孔体および10個の蓄熱体を作製した。
・アルミナ粉粒体(平均粒径0.1μm)・・・20体積%
・アルミナ繊維(平均繊維長100μm)・・・20体積%
・樹脂ビーズ(平均粒径130μm)・・・60体積%
・アルミナゾル・・・10質量%(外配合)
その後、試験者は、多孔体120および蓄熱体100と同様に、異なる配合によるスラリから作製した多孔体および蓄熱体について、細孔容積Vp1が減少する割合である細孔減少割合Rbを算出した。
【0031】
評価試験の結果、細孔減少割合Raは細孔減少割合Rbより大きいことが分かった。このことは、細孔132が形成されている多孔体120の方が、細孔132が形成されていない多孔体よりも、多孔体120の内部へと蓄熱材140が十分に充填されていることを示す。
【0032】
A4.効果
以上説明した実施形態によれば、蓄熱材140用のスラリを多孔体120に浸透させる際(工程P126)、スラリに含まれる蓄熱材140の原料である粉粒体を、第1のピークPk1を示す細孔131へと充填しながら、スラリに含まれる液体成分を、第2のピークPk2を示す細孔132を介して多孔体120の内部へと流通させることができる。そのため、多孔体120の内部へのスラリの浸透を促進させることができる。その結果、多孔体120の内部へと蓄熱材140が十分に充填された蓄熱体100を作製できる。
【0033】
また、第2のピークPk2を示す細孔直径Dp2を有する細孔132の数は、第1のピークPk1を示す細孔直径Dp1を有する細孔131の数より多いため、多孔体120の内部へのスラリの浸透を更に促進させることができる。
【0034】
また、第1のピークPk1を示す細孔直径Dp1に相当する樹脂ビーズを、多孔体120のセラミック材料に混合するため(第1工程P110)、第1のピークPk1を示す細孔131を容易に形成できる。また、第2のピークPk2を示す細孔直径Dp2に相当する樹脂ビーズを、多孔体120のセラミック材料に混合するため(第1工程P110)、第2のピークPk2を示す細孔132を容易に形成できる。
【0035】
また、多孔体120のセラミック材料は、セラミック粉粒体とセラミック繊維との混合物であるため、セラミック粉粒体のみから成る多孔体と比較して、セラミック繊維によって多孔体120の強度を向上させることができる。
【0036】
B.他の実施形態
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0037】
多孔体120のセラミック材料は、セラミック繊維を含まなくてもよい。多孔体120における細孔131の細孔直径Dp1は、上述の値に限られず、他の値であってもよい。多孔体120における細孔132の細孔直径Dp2は、上述の値に限られず、他の値であってもよい。多孔体120における細孔131の細孔容積Vp1は、多孔体120における細孔132の細孔容積Vp2より大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0038】
蓄熱材140の材質は、多孔体120のセラミック材料より高い比熱容量を有する材質であればよい。蓄熱材140の原料としての粉流体の平均粒径は、上述の値に限られず、他の値であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
100…蓄熱体
120…多孔体
130…細孔
131…細孔
132…細孔
140…蓄熱材
図1
図2
図3