特許第6336852号(P6336852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336852
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/38 20060101AFI20180528BHJP
   H01H 50/04 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01H50/38 H
   H01H50/04 W
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-161825(P2014-161825)
(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-39035(P2016-39035A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】窪野 和男
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−118451(JP,A)
【文献】 特開2002−367499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/38
H01H 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を有する固定接点部と、
前記固定接点に接触する可動接点を有する可動接点部と、
電磁石と、
継鉄と、
前記継鉄に対して回動可能に設けられ、前記電磁石の励磁に応じて動作して、前記可動接点部を、前記固定接点と前記可動接点とが接触する位置と、前記固定接点と前記可動接点とが離れた位置との間で動作させる接極子と、
を備え、
前記継鉄は、前記固定接点及び前記可動接点を挟んで対向するように配置される複数の消弧継鉄部を有し、
それぞれ前記消弧継鉄部の一方の面に取り付けられ、前記固定接点及び前記可動接点を挟んで互いに対向するように配置される複数の磁性部を備えることを特徴とする、電磁継電器。
【請求項2】
前記複数の消弧継鉄部は、前記継鉄とは別体により構成され、前記複数の消弧継鉄部の側面が前記継鉄に接触して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記複数の消弧継鉄部は、前記継鉄から延設されることで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記電磁継電器の最外面を形成する外側カバーであって、内部に、前記複数の消弧継鉄部に当接する当接部が設けられている外側カバーを有することを特徴とする請求項2または3に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気信号の入力に応じて接点の開閉を行う電磁継電器が広く普及している。一般に、電磁継電器は、固定接点部と、固定接点部に接触する可動接点部と、可動接点部を動作させる電磁石装置とを備える。
【0003】
また、電磁継電器では、固定接点部及び可動接点部の側面に永久磁石を配置することで、固定接点部と可動接点部との間で生じるアーク放電を短時間で消弧する消弧機能を実現している。更に、永久磁石の周囲に消弧用継鉄を配置することで、永久磁石による磁力を高め消弧性能の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−17086号公報
【特許文献2】特開2013−80692号公報
【特許文献3】特開2012−195102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電磁継電器を小型化するためには、電磁継電器を構成する各部の部品を小型化することに加え、部品点数を削減する等、各部品を省スペースで配置するための対策が不可欠であり、消弧機能に関連する部品も例外ではない。
【0006】
本発明の1つの側面では、消弧機能に関連する部品を省スペースで配置可能な電磁継電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る電磁継電器は、以下のような構成を有する。すなわち、
固定接点を有する固定接点部と、
前記固定接点に接触する可動接点を有する可動接点部と、
電磁石と、
継鉄と、
前記継鉄に対して回動可能に設けられ、前記電磁石の励磁に応じて動作して、前記可動接点部を、前記固定接点と前記可動接点とが接触する位置と、前記固定接点と前記可動接点とが離れた位置との間で動作させる接極子と、
を備え、
前記継鉄は、前記固定接点及び前記可動接点を挟んで対向するように配置される複数の消弧継鉄部を有し、
それぞれ前記消弧継鉄部の一方の面に取り付けられ、前記固定接点及び前記可動接点を挟んで互いに対向するように配置される複数の磁性部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の各実施形態によれば、消弧機能に関連する部品を省スペースで配置した電磁継電器を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電磁継電器の本体部の全体構成を示す図である。
図2】電磁継電器の本体部の各部の構成を示す図である。
図3】電磁継電器の消弧用継鉄の詳細構成を示した図である。
図4】永久磁石及び消弧用継鉄の取り付けを説明するための図である。
図5】電磁継電器の外側カバー及び底板を示す図である。
図6】外側カバーの内側形状及び当接部の当接状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。
【0011】
[第1の実施形態]
<1.電磁継電器の本体部の全体構成>
はじめに、本実施形態に係る電磁継電器の全体構成について説明する。図1は、外側カバー及び底板を取り外した状態の電磁継電器の本体部100の全体構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、電磁継電器の本体部100は、固定接点部110と、可動接点部120と、電磁石装置130とを有しており、固定接点部110と、可動接点部120と、電磁石装置130とは、ベースモールド140等により固定されている。また、ベースモールド140の下側には、2つの端子150、2つの端子160が突出している。
【0013】
固定接点部110は、2つの固定接点ばね111と2つの固定接点112とを有し、それぞれの固定接点ばね111は、互いに異なる端子150に接続されている。同様に、可動接点部120も2つの可動接点ばねと2つの可動接点とを有し、それぞれが対応する固定接点ばね111及び固定接点112と対向して配されている。また、2つの可動接点ばねは、保持部材137を介して接極子131に接続されている。なお、図1では、2つの可動接点ばねのうちの一方の可動接点ばね121と、2つの可動接点のうちの一方の可動接点122のみを示している。
【0014】
電磁石装置130は、接極子131、鉄心132、巻線133、巻枠134、駆動用継鉄135、ヒンジばね136、保持部材137を有する。
【0015】
接極子131は、駆動用継鉄135の上端部を支点として回動可能に設けられている。接極子131が駆動用継鉄135の上端部を支点として回動動作すると、保持部材137を介して接極子131に接続された可動接点部120は、可動接点と固定接点とが接触する接触位置と、可動接点と固定接点とが非接触となる非接触位置との間を往復動作する。
【0016】
また、接極子131は、巻枠134の内部に挿入された鉄心132の端面(鉄心面)に対して吸着離反する。具体的には、巻枠134に巻き回された巻線133と接続された端子160に電圧が印加されることで電磁力が生じると(鉄心132、巻線133、巻枠134により形成される電磁石が励磁されると)、接極子131は鉄心面に吸着される。この結果、可動接点部120が接触位置に動作する。なお、可動接点部120が接触位置に動作すると、2つの可動接点と2つの固定接点とがそれぞれ接触するため、一方の端子150が、一方の固定接点及び可動接点、他方の可動接点及び固定接点を介して、他方の端子150と導通することとなる。
【0017】
ヒンジばね136は、接極子131が鉄心面から離反する方向に接極子131を付勢するため、端子160への電圧の印加が停止すると、接極子131は鉄心面から離反し、可動接点部120は非接触位置へと動作する。そして、次に端子160に電圧が印加されるまでの間、可動接点部120の非接触位置は維持されることとなる。
【0018】
<2.電磁継電器の本体部の各部の構成>
次に、電磁継電器の本体部100の各部の構成について図2を参照しながら説明する。図2(a)は、電磁継電器の本体部100の各部のうち、電磁石装置130の構成を示す図であり、説明の便宜上、固定接点部110、可動接点部120、ベースモールド140、端子150等は省略している。
【0019】
図2(a)に示すように、駆動用継鉄135はL字状に形成されており、その底部は巻枠134の底面付近に配置される。駆動用継鉄135の上端部は接極子131が矢印201方向に回動動作する際の支点となっている。接極子131を吸着離反する鉄心132は、巻枠134の内部に挿入されている。巻枠134の外周面には巻線133が巻き回されている。
【0020】
図2(b)、(c)は、電磁継電器の本体部100の各部のうち、固定接点部110と可動接点部120の構成ならびに、固定接点部110及び可動接点部120周辺の部品を示す図である。図2(b)、(c)では、説明の便宜上、接極子131、鉄心132、巻線133、巻枠134、ヒンジばね136、保持部材137、ベースモールド140、端子160等は省略している。
【0021】
図2(b)、(c)に示すように、対向して配置された固定接点部110と可動接点部120の側面には、磁性部材の一例である複数の永久磁石221、222が配置されている。永久磁石221、222は固定接点部110と可動接点部120とを挟んで互いに対向して配置されており、固定接点部110及び可動接点部120に対して磁力を発生させている。これにより、永久磁石221、222は、可動接点部120が接触位置から非接触位置へと動作する際、あるいは、可動接点部120が非接触位置から接触位置へと動作する際に、可動接点部120と固定接点部110との間で発生するアークを消弧する。
【0022】
また、図2(b)、(c)に示すように、駆動用継鉄135は、消弧継鉄部として、複数の消弧用継鉄231、232を有する。消弧用継鉄231、232は、永久磁石221、222の外側に位置し、永久磁石221、222による磁力の効果を高める。なお、消弧用継鉄231、232の構成は以下に詳説する。
【0023】
<3.消弧用継鉄の詳細構成>
図3は、消弧用継鉄231、232の詳細構成を示す図である。このうち、図3(a)は、消弧用継鉄231、232が配置された位置近傍の斜視図であり、図3(b)は、消弧用継鉄231、232が配置された位置近傍の平面図である。
【0024】
図3(a)に示すように、永久磁石221、222、消弧用継鉄231、232は、平板形状を有している。消弧用継鉄231、232は、永久磁石221、222よりも大きい。永久磁石221、222はそれぞれ一方の面が消弧用継鉄231、232の面と接触しており、他方の面は互いに対向するように配置される。つまり、消弧用継鉄231、232は、永久磁石221、222それぞれの外側の面を覆っている。また、消弧用継鉄231、232の一方の側面は、駆動用継鉄135と接触している。なお、消弧用継鉄231、232は、駆動用継鉄135の幅方向の最も外側の位置において、駆動用継鉄135と接触している。
【0025】
このため、図3(b)に示すように、消弧用継鉄231、232が取り付けられた状態を上方から見ると、消弧用継鉄231、232と駆動用継鉄135とにより、コの字形状が形成される。
【0026】
本実施形態では、コの字型の消弧用継鉄を配置するのではなく、駆動用継鉄135を消弧用継鉄の一部として共有化することで、コの字形状の消弧用継鉄を形成する。
【0027】
このように、コの字形状の一辺を構成する部品を他の部品、すなわち駆動用継鉄135と共有化することで、消弧用継鉄231、232は、コの字型の消弧用継鉄を配置した場合と同程度に、永久磁石221、222の消弧性能を向上させることができる。更に、消弧用継鉄231、232を配置した場合、コの字型の消弧用継鉄を配置した場合と比較して省スペース化を実現することができる。
【0028】
<4.消弧用継鉄及び永久磁石の取り付け方法>
次に、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222の取り付けについて説明する。図4は、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222の取り付けを示す図である。
【0029】
図4の部分拡大領域400に示すように、ベースモールド140には、消弧用継鉄232及び永久磁石222を上方から挿入するための開口部401が設けられている。なお、図4には図示していないが、ベースモールド140には、消弧用継鉄231及び永久磁石221を上方から挿入するための開口部も設けられている。
【0030】
それぞれの開口部に、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222を上方から挿入することで、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222は、固定接点部110及び可動接点部120の側面に配置される。このとき、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222は、駆動用継鉄135に対して図3に示した位置関係に配置される。
【0031】
<5.外側カバー及び底板>
次に、電磁継電器の外側カバー及び底板について説明する。図5は、電磁継電器の本体部100を覆う外側カバー及び底板を示す図である。図5に示すように、電磁継電器の本体部100には、外側カバー510と底板520とが取り付けられる。これにより、外側カバー510と底板520とが電磁継電器500の最外面を形成し、電磁継電器の本体部100が外側カバー510と底板520とにより覆われた電磁継電器500が形成される。
【0032】
なお、外側カバー510は、電磁継電器の本体部100を覆うとともに、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222に当接することで、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222を固定する役割を果たす。図6は、外側カバー510の内側形状及び当接部の当接状態を示す図である。
【0033】
図6(a)に示すように、外側カバー510の内部には、当接部601、602が配されている。外側カバー510は、電磁継電器の本体部100に取り付けた際に、当接部601、602の下面が、永久磁石221、222及び消弧用継鉄231、232の上面に当接するよう構成されている。図6(b)は、当接部601の下面が永久磁石221の上面に当接した様子を示している。また、図6(c)は、当接部601が消弧用継鉄232の上面に当接した様子を示している。
【0034】
これにより、消弧用継鉄231、232及び永久磁石221、222が固定され、これらの部品が開口部401等から滑り落ちるのを防止することができる。
【0035】
<6.まとめ>
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る電磁継電器では、
・固定接点部と可動接点部の側面に、固定接点部と可動接点部とを挟んで互いに対向するように、永久磁石及び消弧用継鉄を配置した。
・消弧用継鉄を、駆動用継鉄の幅方向の最も外側の位置に取り付け、消弧用継鉄と駆動用継鉄とで、コの字形状を形成する構成とした。
【0036】
このように、駆動用継鉄を消弧用継鉄の一部として共有化することで、コの字型の消弧用継鉄を配置した場合と同程度に、永久磁石の消弧性能を向上させつつ、コの字型の消弧用継鉄を配置した場合と比較して省スペース化を実現することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、消弧用継鉄231、232の側面と、駆動用継鉄135とを接触するように取り付ける構成としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、消弧用継鉄231、232の側面と、駆動用継鉄135との間に、隙間を設けて取り付ける構成としてもよい。また、上記第1の実施形態では、消弧用継鉄231、232を、駆動用継鉄135と別体として構成することとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、消弧用継鉄231、232は、駆動用継鉄135から延設するように駆動用継鉄と一体形成するようにしてもよい。
【0038】
つまり、駆動用継鉄135が消弧継鉄部として有する消弧用継鉄231、232は、駆動用継鉄135と別体であっても一体であってもよく、別体であった場合には、接触して取り付けられても、隙間を設けて取り付けられてもよい。
【0039】
上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0040】
100 :電磁継電器の本体部
110、110a、110b :固定接点部
111、111a、111b :固定接点ばね
112、112a、112b :固定接点
120、120a、120b :可動接点部
121、121a、121b :可動接点ばね
122、122a、122b :可動接点
130 :電磁石装置
131 :接極子
132 :鉄心
133 :巻線
134 :巻枠
135 :駆動用継鉄
136 :ヒンジばね
137 :保持部材
140 :ベースモールド
150 :端子
160 :端子
221、222 :永久磁石
231、232 :消弧用継鉄
500 :電磁継電器
510 :外側カバー
520 :底板
601、602 :当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6