特許第6336885号(P6336885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336885
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】ゴルフ用支援端末
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   A63B71/06 U
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-215055(P2014-215055)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2016-77775(P2016-77775A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】503350655
【氏名又は名称】テクタイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100177895
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 一範
(72)【発明者】
【氏名】松本 能和
(72)【発明者】
【氏名】野村 尚央
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 大哉
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−212419(JP,A)
【文献】 特表2010−538764(JP,A)
【文献】 特開2003−062145(JP,A)
【文献】 特表2000−511460(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0174480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00 − 71/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点かを設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部とを備えたオブジェクトを記録する記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線と前記ラインデータとの交点までの距離と、この交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有することを特徴とするゴルフ用支援端末。
【請求項2】
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点か設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部と、ゴルフコースにおける面積をもったエリアの周縁部に複数の地点情報を設定したエリアデータ部とを備えたオブジェクトを記録する記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線上に、前記ラインデータとの交点があって、前記エリアデータとの交点がない場合、前記自局の位置から前記ラインデータ部のラインデータとの交点までの距離と、この交点からグリーンまでの距離を算出し、前記ラインデータとの交点と前記エリアデータとの交点がともにある場合、前記自局の位置から前記エリアデータの手前、中央、奥の交点までの距離と、これらの交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し、出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有することを特徴とするゴルフ用支援端末。
【請求項3】
記憶装置は、当該コースの特有のデータ、プレーヤーの特有のデータを記憶した特定情報データを具備してなることを特徴とする請求項2記載のゴルフ用支援端末。
【請求項4】
オブジェクトは、さらにグリーンセンター、グリーンフロント、グリーン周縁部のデータを含むことを特徴とする請求項1記載のゴルフ用支援端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフコース内でプレー中に、ゴルフボールがハザードなどの到達地点にトラブルが発生した場合を含め、その地点からプレーヤーに適切な支援を行うためのゴルフ用支援端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルファーのプレーを支援する端末機器には、国内外の多くのゴルフ場について、各コース毎に種々の情報が入力されたものが知られている。例えば、図8に示すように、ゴルフ場の特定コースのティインググラウンドt1に立つと、このティインググラウンドt1からのグリーンセンターまでの距離gc=384、グリーンフロントまでの距離gf=360、各ハザード(バンカー、クリーク、林、OB等)までの距離h1=188、h2=208、…等が表示される。
【0003】
このようなゴルフコース情報を使用して支援する端末器が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献1に示すものは、ゴルフコース位置情報と、ホール情報と目標位置情報及び障害物情報を有するゴルフコース情報が予め保存される記憶部と、測位衛星からの電波を受信可能な測位衛星無線受信部と、外部機器と双方向通信可能な外部接続部と、方位を算出するためのセンサ部と、を有し、さらに、上記受信部からの信号により現在位置を算出する測位処理と、外部機器との通信処理と、上記記憶部への情報の読み書き指令処理と、を行う演算処理部を備え、上記処理部で算出された測位処理情報を表示する表示部と、該表示部の表示切換や上記処理部の処理を操作する操作部と、上記処理部にて算出された障害物距離及び目標距離を音声で出力する音声出力部と、ゴルフプレーヤーの音声を入力して上記記憶部に送信するための音声入力部と、を具備し、上記受信部からの信号により現在位置を算出すると共に目標距離及び障害物距離を上記処理部によって演算して、目標距離及び障害物距離とホール情報を上記表示部に表示させると共に上記音声出力部から目標距離及び障害物距離を音声で出力するものである。
また、上記記憶部に予め保存したゴルフコース位置情報と上記処理部で算出された現在位置情報から、ゴルフプレーヤーがプレーを開始するゴルフコースを自動検出することにより上記表示部にゴルフコース情報を表示し、また、検索が途中で中断された場合は、上記現在位置に該当する地理情報を自動的に表示するものである。
【0004】
特許文献2に示すゴルファ支援装置では、GPS衛星からの情報信号をアンテナから受信し、この受信した情報信号に基づいてGPS受信機が自局の位置を表す測位情報を取得する。また、メモリには、ゴルフ場の各ホール毎のコースレイアウト情報を地図情報として保持するとともに各ホール毎のホールピンの位置を表すピン位置情報を保持しており、これらコースレイアウト情報及び位置情報並びに前記測位情報に基づいて、距離算出手段が測位情報に対応するホールにおける当該測位情報が示す位置とピン位置情報が示す位置との間の距離を算出する。この算出された距離は、対応するホールのコースレイアウト画像とともに表示画面に表示出力されて、プレーヤーに提示される。
【0005】
これら特許文献1及び2に示すものは、図8に示すティインググラウンドt1で第1打を打ち、図9に示す地点b1に落下したものとする。プレーヤーがこの地点b1まで達すると、ゴルフコース位置情報とGPSで算出された現在位置情報から、ゴルフプレーヤーがプレーを開始するゴルフコースを自動検出して図8で示したグリーン中心までの距離gc=220、各種ハザードまでの距離h4=156,h3=124,h1=80などのように表示され、これらの情報のいずれかを選択してプレーヤーは、プレーを再開する。
【0006】
ところが、地点b1から直接グリーンを狙うべきか、グリーンに近いフェアウェイF1を狙うべきか、グリーンから遠いが最も安全なフェアウェイF2を狙うべきかなど、最も安全で有効な選択はどれであるかを決めるための情報が不足しているという問題があった。
また、直接グリーンを狙うには、自分の飛距離が足りなかったり、地点b1から直接グリーンを狙ったときのグリーン周りのハザードの位置情報が不足し、また、グリーンに近いフェアウェイF1点を狙うためには、林越えの無理なショットとなるため、さらなるトラブルの原因になったり、最も安全なフェアウェイF2点を狙うとこのF2点からグリーンまで、どの程度の距離が残るか、また、グリーンまでの間にあるハザードまでの距離はどの程度かなどの情報が得られない、という問題があった。
そのため、地点b1で打った後の次のショット地点からの情報をより詳しく得られることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−22622号公報
【特許文献2】特開平10−113415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の装置では、ショットが思わぬ方向に飛んだ時、そのボールの位置から特定の方向に所定の距離を打った場合、次の地点でショットすべき詳細な情報が得られず、プレーヤーは、欲しい情報がないままショットしなければならないという問題があった。
本発明は、特定の方向に所定の距離を打った場合、次の地点でショットすべき詳細な情報を前もって表示することのできるゴルフ用支援端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明のゴルフ用支援端末は、
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点かを設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部とを備えたオブジェクトを記録する記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線と前記ラインデータとの交点までの距離と、この交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の本発明のゴルフ用支援端末は、
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点か設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部と、ゴルフコースにおける面積をもったエリアの周縁部に複数の地点情報を設定したエリアデータ部とを備えたオブジェクトを記録する記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線上に、前記ラインデータとの交点があって、前記エリアデータとの交点がない場合、前記自局の位置から前記ラインデータ部のラインデータとの交点までの距離と、この交点から前記記憶装置に記録されたグリーンまでの距離を算出し、前記ラインデータとの交点と前記エリアデータとの交点がともにある場合、前記自局の位置から前記エリアデータの手前、中央、奥の交点までの距離と、これらの交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し、出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有することを特徴とする。
【0011】
記憶装置は、当該コースの特有のデータ、プレーヤーの特有のデータを記憶した特定情報データを具備してなることを特徴とする。
【0012】
オブジェクトは、さらにグリーンセンター、グリーンフロント、グリーン周縁部のデータを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点かを設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部とを備えたオブジェクトを記録する記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線と前記ラインデータとの交点までの距離と、この交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有するので、以下の効果を有する。
(1)最も安全で有効な選択はどれであるかを決めるための情報が得られる。即ち、自分の飛距離に応じて、直接グリーンを狙うか、直接グリーンを狙ったときのグリーン周りのハザードがあるかどうか、また、最も安全なフェアウェイ点を狙ったときのグリーンまでの距離が残るか、また、グリーンまでの間にあるハザードまでの距離はどの程度かなどの情報が得られるのでトラブル点から打った後の次のショット地点からの情報をより詳しく得られる。
(2)ショットが思わぬ方向に飛んだ時、プレーヤーは、そのボールの位置から次の地点でショットすべき詳細な情報を前もって知ることができる。
(3)記憶装置には、少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点かを設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部とを備えたオブジェクトを記録しているので、オブジェクトがラインデータである場合、ゴルフ用支援端末を任意の方向に向けると、その方向にある地点を設定することなく、その方向における直線とフェアウェイの略中心に何点かを設定しその間を結んだラインデータとの交点までの距離を算出し、さらに、この交点からグリーン地点までの距離を算出し、出力して表示する。ラインデータは、メモリ容量が小さいので、特に、ゴルフ用支援端末がウエアラブル型端末の場合に好適である。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点か設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部と、ゴルフコースにおける面積をもったエリアの周縁部に複数の地点情報を設定したエリアデータ部とを備えたオブジェクトを記録する記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線上に、前記ラインデータとの交点があって、前記エリアデータとの交点がない場合、前記自局の位置から前記ラインデータ部のラインデータとの交点までの距離と、この交点から前記記憶装置に記録されたグリーンまでの距離を算出し、前記ラインデータとの交点と前記エリアデータとの交点がともにある場合、前記自局の位置から前記エリアデータの手前、中央、奥の交点までの距離と、これらの交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し、出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有するので、特定方向のより正確な距離情報が得られる。
すなわち、オブジェクトは、エリアデータを備えているので、エリアのもう一点の交点を算出し、ゴルフ用支援端末の向きの方向にあるエリアの手前、奥及びこれらから算出した中央の各地点と距離を、例えば、手前まで95,奥まで145,中央まで120ヤードのように算出し、さらに、ゴルフ用支援端末が手前、奥、中央までの距離を算出した地点にいる時点で、エリアの手前、奥及び中央の各地点からグリーンセンターまでの距離を算出して表示することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、
記憶装置は、当該コースの特有のデータ、プレーヤーの特有のデータを記憶した特定情報データを具備してなるので、ゴルフコースの一般的な情報だけでなく、プレーヤー個人の力量に応じた情報が得られる。
【0017】
請求項記載の発明によれば、
オブジェクトは、さらにグリーンセンター、グリーンフロント、グリーン周縁部のデータを含むので、グリーンに近づいてからのアプローチの処理が正確に行える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明のゴルフ用支援端末による表示の例を示す説明図である。
図2】現在位置情報から各オブジェクト情報までの交点を求める方法を示すもので、(a)は、画像データ(ドットデータ)による方位から距離を求めるための説明図、(b)は、線で囲まれたエリアデータによる方位から距離を求めるための説明図、(c)は、ラインデータによる方位から距離を求めるための説明図である。
図3】本発明によるゴルフ用支援端末の制御回路の一実施例を示すブロック図である。
図4】現在地からオブジェクトの交点までの距離を算出する手順を示すフローチャートである。
図5】本発明によるゴルフ用支援端末に距離を表示する手順を示すフローチャートである。
図6】本発明によるゴルフ用支援端末の具体的表示例を示すもので、(a)は、ウエアラブル型端末の正面図、(b)は、小型携帯型端末の正面図である。
図7】本発明によるゴルフ用支援端末の方位情報を取得する他の例を示すもので、(a)は、小型携帯型端末にのぞき窓を設けた例を示す正面図、(b)は、小型携帯型端末の側辺部に方位スリットを設けた例を示す斜視図である。
図8】ゴルフコース内の地点データ例を示す説明図である。
図9】従来装置による距離等の表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、
ゴルフプレーに携行されるコンピュータとしてのCPUを利用したゴルフ用支援端末において、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、GPSモジュールと通信モジュールを備えた自局の位置を表す測位情報を取得するための現在位置特定装置と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、このゴルフ用支援端末の向いている方向を指示する方向指示手段と、
前記ゴルフ用支援端末に内蔵され、ゴルフコースにおける少なくともグリーン地点、ハザード地点、セーフティ地点を含む位置情報を表すデータを記憶している地点データ部と、ゴルフコースにおけるフェアウェイの略中心に何点かを設定しその間を結んだラインデータを記憶しているラインデータ部と、ゴルフコースにおける面積をもったエリアの周縁部に複数の地点情報を設定したエリアデータ部とを備えたオブジェクトを記憶装置と、
前記自局の位置から前記ゴルフ用支援端末の向いている方向における直線上に、前記ラインデータとの交点があって、前記エリアデータとの交点がない場合、前記自局の位置から前記ラインデータとの交点までの距離と、この交点から前記記憶装置に記録されたグリーンまでの距離を算出し、前記ラインデータとの交点と前記エリアデータとの交点がともにある場合、前記自局の位置から前記エリアデータの手前、中央、奥の交点までの距離と、これらの交点から前記記憶装置に記録されたグリーン地点までの距離を算出し、出力する手段と、
これらの距離をゴルフコースとともに表示する表示手段と
を有する。
【0021】
記憶装置は、ゴルフコースにおけるグリーン、ハザード等の複数の地点情報を記憶した地点データ、セーフティエリアの略中心に設定したラインデータ、面積を持つグリーン、フェアウェイ、ハザード等の周辺と中央に設定したエリアデータを具備し、また、当該コースの特有のデータ、プレーヤーの特有のデータを記憶した特定情報データを具備することが望ましい。
【0022】
オブジェクトは、セーフティエリアの周縁部に設定したエリアデータと、セーフティエリアの略中心部に線状に設定したラインデータとを含み、さらにグリーンセンター、グリーンフロント、グリーン周縁部のデータを含むことが望ましい。
【0023】
前記次のショット地点から前記記憶装置に予め記憶されたグリーン方向に向けたときの前記オブジェクトとを結ぶさらに次のショット地点までの距離を算出し出力する手段は、次のショット地点から少なくともグリーンまでの距離、ハザードの手前までの距離、ハザードの奥までの距離を算出し出力する。
【実施例1】
【0024】
本発明によるゴルフ用支援端末の実施例1を図1図7に基づき説明する。
図3において、コンピュータとしてのCPU10は、接続された各装置間を統括制御するとともに、各地点までの距離、各地点からグリーンまでの距離、各地点の座標などの算出を行う。
記憶装置11は、フラッシュメモリなどのROM,RAM,HDD等からなり、地点データ部17と,ラインデータ部18と,エリアデータ部19と,特定情報データ部20と,プログラムデータ部21等が記憶されている。
入力装置12は、ボタン、タッチパネル等からなり、操作開始から終了までの操作信号や各種データ等が入力される。
現在位置特定装置13は、アンテナ、受信機などを内蔵するGPSモジュール、通信モジュール等からなり、自局の位置を表す測位情報を取得する。
方位センサ14は、方位を算出し、加速度センサ15は、ゴルフ用支援端末の向いている方向を検出するもので、前記方位センサ14に含まれているものもある。これらの方位センサ14と加速度センサ15により方向指示手段30が構成される。
出力部16は、時計型のようにディスプレイが小形のウエアラブル型表示部22、ディスプレイがそれよりやや大形の小型携帯端末型表示部23からなり、さらに音声出力部24を具備することが望ましい。
【0025】
前記地点データ部17は、グリーンセンターgc、グリーンフロントgf、各種ハザード(例えば、バンカーやクリークの手前と奥、林・崖・OBなどの手前)その他の各地点の位置情報h1、h2,h3,h4、…を表すデータを記憶している。
前記ラインデータ部18は、図2(c)に示すようなフェアウェイの略中心に何点か設定し、その間を結んだラインデータ18を記憶している。フェアウェイは、季節その他の理由で、広くなったり、狭くなったり、また、クリークで分断されたり、1つのホールに2つのフェアウェイがあったりするので、フェアウェイの形状に関係なく、セーフティエリアを想定し、その略中心に何点か設定し、その間を結んだラインデータ18とすることもできる。
エリアデータ部19は、面積をもったエリア(例えば、グリーン、フェアウェイ、ハザード(バンカー、クリーク、ペナルティゾーン等)等)の周縁部に複数の地点情報を設定し、これらの制御点から得られるN−1次曲線(ペジェ曲線)の他に、ポリゴンデータのような直線または曲線で囲まれた画像(区画)、ドットなどにより示される画像データなどであってもよい。
特定情報データ部20は、記憶装置11からの出力設定として、ハザードを表示するかどうか、音声出力を必要とするかなどの情報、また、そのプレーヤーのクラブ番手毎の飛距離、スライス、フックなどの特性などが特定情報データとして記憶される。
出力部16は、図6(a)に示すような表示内容の少ないウエアラブル型端末25と、(b)に示すような表示内容の多い小型携帯型端末26がある。また、これらの端末に音声出力部24を内在してもよい。この出力部16には、液晶型、カラーディスプレー型等があり、さらにバイブレータを有するものとすることができる。
【0026】
本発明の作用を図面に基づき説明する。
図1において、ティインググラウンドt1で第1打を打ち、ボールは、フェアウェイを外れて停止した位置がb1とする。プレーヤーが本発明のゴルフ用支援端末9を携行してb1地点に到達したものとする。以下、図4に示すフローチャートにより説明する。
(1)現在地から向いている方向にあるオブジェクト(ライン、エリア)の検出手順を説明する。
(2)b1地点に到達すると、記憶装置11の地点データ部17からそのコースの地点データを、ラインデータ部18からラインデータを、エリアデータ部19からエリアデータをそれぞれ取得する。即ち、当該コースのデータを取得する。
(3)GPSなどの現在位置特定装置13によってb1における現在位置情報をゴルフ用支援端末9に取得する。
【0027】
(4)方向指示手段30の方位センサ14によってb1における方位情報を得、かつ、加速度センサ15によって端末向き情報を得る。この端末向き情報は、図6(a)又は(b)に示すようにウエアラブル型端末25からなる端末本体29または小型携帯型端末26からなる端末本体29を目的の方向に向けることで取得できる。この端末本体29の向き情報を得るには、その他に、図7(a)に示すように、小型携帯型端末26の端末本体29に設けたのぞき窓27の中心点を目的の地点に合わせることで得ることもできるし、また、(b)に示すように、端末本体29の側辺部に形成した方位スリット28を目的の方向に向けることで取得することができる。
(5)取得した位置情報、端末向き・方位情報、地点データ部17とラインデータ部18とエリアデータ部19などのコースデータにて現在地からの各距離と端末9の方位の先のオブジェクトの交点の有無をCPU10で算出する。
【0028】
(6)〜(14)までのループは、対象ホール内のオブジェクトの数だけ繰り返す。本発明のゴルフ用支援端末9が図1におけるA方向、B方向、C方向に向けている場合を想定してそれぞれについて説明する。
(7)「端末の向いている方向の直線上に交点はあるか?」を判断する。
・A方向の場合:
A方向がグリーンセンターgc方向であって、エリア又はラインとの交点がなく、各地点の位置情報グリーセンターgcのみであるから、この判断はnoとなり、ボール位置b1からグリーセンターgcのでの距離(例えば、220ヤード)を算出し、(14)の「ループ終了か?」に移行する。
・B方向及びC方向の場合:
「エリア又はラインとの交点があるか?」がyesとなって次の工程に移行する。
(8)B方向及びC方向の場合には、「オブジェクトは、エリアデータか?」がyesとなって、(9)の工程に移行する。エリアデータは、メモリ容量が大きいので、特に、図5(b)で示す小型携帯型端末26の場合に好適である。
【0029】
(9)エリアのもう一点の交点を算出し、端末の向きの方向にあるエリアの手前、奥及びこれらから算出した中央の各地点と距離を算出する。例えば、B方向の場合、図2(b)に示すように、手前(b31)まで95,奥(b32)まで145,中央(b3)まで120ヤードのように算出する。C方向の場合、同じく図2(b)に示すように、手前(b21)まで80,奥(b22)まで120,中央(b2)まで100ヤードのように算出する。
(10)プレーヤーが地点b1にいる時点で、前工程で算出したエリアの手前、奥及び中央の各地点からグリーンセンターgcまでの距離を算出する。例えば、B方向の場合、b3からグリーンまで104ヤード、C方向の場合、b2からグリーンまで184ヤードを算出する。
【0030】
(11)エリアの手前、中央、奥の地点のウエアラブル型表示部22又は小型携帯型表示部23での表示上の座標を算出する。
(12)前記工程(8)において、「オブジェクトは、エリアデータか?」がnoの場合、即ち、オブジェクトがラインデータである場合、端末本体29の向きの方向にあるライン上の地点と距離を算出し、この地点からグリーンセンターgcまでの距離を算出する。例えば、B方向の場合、図2(c)に示すように、b3からグリーンまで104ヤード、C方向の場合、b2からグリーンまで184ヤードを算出する。ラインデータは、メモリ容量が小さいので、特に、図5(c)で示すウエアラブル型端末25の場合に好適である。
(13)ラインと交点の表示上における座標を算出する。
【0031】
(14)表示上の座標を算出すると、「ループ終了か?」が判断される。前記(10)及び(12)工程で算出した地点からグリーンまでの距離を算出するが、算出した地点からグリーンまでの間にハザード等があったときは、noとなり、前記(6)の工程に戻り、(6)(7)(8)(9)(10)(11)(12)(13)(14)の工程を繰り返し、各地点からハザードのエリアデータの手前、奥及び中央の各地点までの距離を算出する。例えば、C方向の場合、グリーンまで184、ハザード奥まで152,ハザード手前まで132ヤードのように算出する。これらの算出値は、ウエアラブル型表示部22又は小型携帯型表示部23でのハザードエリアの手前、中央、奥の地点の表示上の座標点として算出される。
(15)前記工程(14)で「ループ終了か?」がyesになると、結果出力処理に移行する。
【0032】
図5に基づき、結果出力処理を説明する。
(16)記憶装置11の特定情報データ部20から出力設定、プレーヤーの飛距離などの予め、又は、プレー毎に記憶した特定情報を参照する。
(17)「端末の方向に交点のあるオブジェクトがあったか?」が判断される。図1の例では、A方向は、地点データがあってもエリアやラインとの交点がないのでno、B方向及びC方向は、エリアやラインとの交点があるのでyesとなる。
(18)A方向(no)の場合、現在地からグリーン及び各種ハザードまでの距離を出力対象とする。図1の例では、グリーンセンターgcまで220ヤード、グリーンフロントgfまで196ヤードのように表示される。
(19)「端末の方向から設定の距離や角度(例えば残り200ヤードで中心角約3度)内にグリーンがあるか?」が判断される。この工程でyesの場合とは、前記(17)の工程で端末の方向に交点のあるオブジェクトがある場合であって、かつ、設定角度内にグリーンがある例えば、図2(a)のような場合が相当する。グリーンまでの間にハザード(エリアデータ)があるような場合には、ハザードの手前、奥、中央などの各地点までの距離とグリーンセンターgcとgfグリーンフロントgfまでの距離が表示される。
【0033】
(20)図2(a)において、対象となるオブジェクトに特定情報を加味して、ハザードエリアの場合は、手前(b3)と奥(b4)までの、また、ライン18の場合には、その交点(b2)までの現在地点(b1)からの距離を出力する。
(21)前記工程(19)において、「端末本体29の方向から設定の角度内にグリーンがあるか?」がnoの場合(図1のB方向とC方向)、対象となるオブジェクトに特定情報を加味して、セーフティエリアの場合は中心を、ラインの場合は交点をセーフティ地点とする。具体的には、図2(b)に示すように、セーフティエリア19の場合は、B方向を向いているときには、エリア19の手前(b31)と奥(b32)から中心地点(b3)をセーフティ地点として算出する。C方向を向いているときには、エリア19の手前(b21)と奥(b22)から中心地点(b2)をセーフティ地点とする。また、図2(c)に示すように、セーフティライン18の場合は、B方向を向いているときには、ライン18との交点(b3)をセーフティ地点とし、C方向を向いているときには、ライン18との交点(b3)をセーフティ地点とする。
【0034】
(22)現在地点(b1)からセーフティ地点(b2)及び(b3)までの距離を出力とする。図1の例では、B方向を向いているときには、現在地点(b1)から中心地点(b3)までの距離120ヤードを出力する。また、C方向を向いているときには、現在地点(b1)から中心地点(b2)までの距離100ヤードを出力する。
(23)セーフティ地点からグリーンまでの距離を出力する。セーフティ地点座標(b3及びb2)は、前記工程(21)で算出され、かつ、グリーンの地点データ17は、予め記憶装置11に記憶されているので、ボールが地点b1にある時点で、セーフティ地点座標(b3及びb2)からグリーンセンターgcまでの距離は算出され出力される。
【0035】
(24)結果を表示する。前記工程(18)による距離、前記工程(20)による距離、前記工程(23)による距離は、出力部16のウエアラブル型表示部22又は小型携帯型表示部23で表示される。また、必要に応じて音声出力部24で、音声にて出力する。例えば、図6(b)の場合、「グリーンセンターまで220ヤード、フロントまで196ヤード、前方114ヤードに林があります。林越え142ヤードです。」等の音声が出力される。
【0036】
記憶装置11の特定情報データに基づき、表示部22または23での表示は、プレーヤーの飛距離で届く範囲のハザードを優先度高く案内することがより好ましい。
【符号の説明】
【0037】
10…CPU、11…記憶装置、12…入力装置、13…現在位置特定装置、14…方位センサ、15…加速度センサ、16…出力部、17…地点データ部、18…ラインデータ部、19…エリアデータ部、20…特定情報データ部、21…プログラムデータ部、22…ウエアラブル型表示部、23…小型携帯型表示部、24…音声出力部、25…ウエアラブル型端末、26…小型携帯型端末、27…のぞき窓、28…方位スリット、29…端末本体、30…方向指示手段。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9