(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1のコーティングは、触媒材料の層、電極材料の層、非多孔性材料で含浸または積層されたシート、1または複数の電気伝導性粒子で含浸されたプラスチックシート、誘電体材料の層、多孔質媒体、性能増強層、またはこれらの組み合わせを含む請求項1の方法。
上記第1のコーティングは、白金、白金ブラック、炭素支持白金、パラジウム、銅、ニッケル、金、炭素繊維紙、カーボン紙、カーボンブラック、炭素粉末、黒鉛粉末、伸長黒鉛、またはこれらの組み合わせを含む請求項1記載の方法。
第2のコーティングが上記第2の表面に隣接し、当該方法は、上記第2のコーティングの部分を選択的に除去して上記第2のコーティングにおいて予め定められた位置に非連続領域を形成するステップを含む請求項1記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、具体的な詳細はこの発明の理解をより確実にするために提示される。しかしながら、この発明はこのような詳細を伴うことなく実施できる。他の例においては、この発明が不必要に不明瞭にならないようにするために周知の事柄は示されないし、説明されない。図は、理解を助けるために、この発明が実施できる具体的な実施例を示す。この発明の趣旨を逸脱することなく、これら実施例は組み合わされて良く、他の要素または構造上、または論理状の修正を行って良い。したがって、明細書および図面は説明のためのものであり、制約的でないものとして理解されなくてはならない。
【0010】
この文書において参照されている文献、特許、および特許文書は、個々に参照してここに組み入れているけれども、ここで、すべて参照して組み入れることとする。当該文書とそれら文書との間で一貫性のない用例がある場合には、それら組み入れられた文書中の用例は当該文書の用例を補充するものと理解すべきであり、調整ができない場合には当該文書の用例が採用される。
【0011】
当該文書においては、用語「1」が用いられる場合には、特許文献で通常のように、1または1より大きな場合を含み、これは任意の他の事例、または「少なくとも1つ」や「1または複数」の用例とは別である。当該文書においては、用語「または」は、そうでないと示される場合を除いて、非排他的なものを指すものとして用いられ、例えば、「A、B、またはC」は「A」のみ、「B」のみ、「C」のみ、「AおよびB」、「BおよびC」、「AおよびC」、および「A、BおよびC」を含む。当該文書において、用語「上」(above)および「下」(below)は、複合材(composite)の中心との関係で2つの異なる方向を記述するのに採用され、用語「より上」(upper)および「より下」(lower)は複合材の異なる2つの面を記述するのに採用される。しかしながら、これらの用語は、単に記述を容易にするために用いられ、説明される実施例の燃料電池層の配位を固定するものとして理解されない。添付の側面およびいずれの請求項においても、用語「第1」、「第2」、および「第3」等は単にラベルとして採用され、それらの対象の数的な要求を課すものでないことに留意されたい。この文書において明示的に開示されたいかなる数値範囲は、その明示的に開示された数値範囲の任意の部分範囲を、その部分範囲が明示的に開示されたのと同様に、含むことに留意されたい。例えば、開示された1〜100の範囲は、1〜80の範囲、2〜76の範囲、または1〜100の間に入る任意の他の数値範囲を含むと理解される。
【0012】
燃料電池の平坦アレイは、隣接燃料電池を相互に隣接させた配列させた薄型層状燃料電池構造を含む。本件出願人の出願に係る、2008年12月22日に提出され、名称が「非連続領域を含む電気化学電池組立体」の米国特許公報第2009/0162722号、および、2009年2月27日に提出され、名称が「電気化学電池およびこれに関連する膜」のPCT国際特許出願公報第WO2009/105896号(これらの内容は参照してここに組み入れる)のような先行する開示は、燃料電池アレイにおいて非連続領域の生成が、隣接電極の電気的な短絡を回避するために、必要なことを示している。
【0013】
アレイにおける隣接燃料電池の伝導性領域の間に正確に形成された非連続領域は、伝導性を非連続にする。非連続領域の幅を小さくするのが一般的には好ましく、それは、電極の平坦アレイを複数の電極領域に分割し、しかも、エネルギー変換に寄与しない空間の量を最小化し、もって、燃料電池層の電力密度を最大化させるためである。
【0014】
平坦燃料電池層の電極における非連続領域は、典型的には、電極材料を基板上に所望の位置で被着する、直接被着方法により、または、電極材料の被着を所望の位置で阻止する、マスク被着方法(masked deposition method)により、実現される。直接被着方法の例は、パターン電極の転写印刷、電極のステンシル印刷、または、電極のインクジェット印刷を含む。マスク被着は、直接マスクまたはシャドウマスクを用いたスプレイ被着を伴う。
【0015】
これら従来の直接被着またはマスク方法を用いて、燃料電池アレイの電極領域における充分に狭い非連続領域を取得するのは困難である。一般的には、直接被着方法は厚さが漸減する領域を伴って材料を被着させ、一様で、正確な90度の「エッジ」を伴うのではない。換言すると、直接被着方法では、鋭い「エッジ」をともなう境界を形成することが困難であり、これは、そのような方法は、テーパエッジの境界を伴う被着領域を形成しがちであるからである。このため、電極の最も厚い部分から非連続領域への遷移領域に充分に大きな空間を許容するためには、直接被着された隣接電極の間の非連続領域はかなり広くなくてはならない。
【0016】
マスク被着方法も、マスクを製造する上での制約ゆえの不利益がある。非連続領域の幅は、一般的には、マスクの耐久性を確実にするのに必要な幅より広く、かつ、下側の基体との整合が外れないように、製造されなくてはならない。さらに、マスク越しに材料をスプレイするときに電極材料がマスクの下に広がるおそれがあり、潜在的に短絡回路を形成することになる。これを防止するために、マスクの幅を広げて、マスクのいずれのエッジの下の望ましくない被着領域が電極接触を行わないようにする必要がある。またしても、この点によって、マスクの寸法、および、得られる非連続の幅を、高活性領域を利用できるようにするために必要な幅より、広くする必要がある。
【0017】
電極アレイ形成の従来の方法の他の欠点は、これら方法が、電極構造を形成するために使用される材料の種類を制約するという点である。燃料電池技術が進展するのに従って、種々の材料の複数の層を有する電極(層のすべてが被着インクとして処理できない)を構築することが好ましく、また、比較的大きな粒子または繊維を含んで良く、そのためこれら粒子または繊維が短絡回路を形成しないようにするために被着電極の空間を広げる必要がある複合インクから電極を構築することが好ましくなってきている。いくつかの場合、液体またはペーストとして被着できない材料(例えば、電気伝導性の織物または不織材料または多孔質の誘電体層であり、これは水の管理に有益である)を採用することが望まれる。そのような材料は、所望の寸法に切断して燃料電池層の上に直接配置させる必要があるであろうし(例えばラミネーション処理で)、それとともに、隣接配置要素の間の空間により非連続領域を形成する必要がある。そのような場合、要素を基体に整合させることは困難であろうし、比較的大きな非連続領域を形成し、もって、整合ミスを許容し、電気短絡回路を形成しないようにする必要がある。
【0018】
さらに、いくつかの被着方法はマスクの形成に役立たない。例えば、いくつかのスパッタリングまたは蒸着方法にマスクを使用することが知られているけれども、そのような方法は一般的には少量製造処理のためのものである。マスクベースのスパッタリングまたは蒸着方法は、一般的にはロール・ツー・ロールをベースにした処理を用いる、大量製造ラインには実用的でない。
【0019】
さらに、電極アレイ形成のマスク
被着方法の他の欠点は、三次元複合基体が使用されるときに、マスクを複数の非連続領域に整合させることが困難であるということである。いくつかの複合層は、表面的には「平坦」または「平面」であるけれども、実際には三次元であり、これは、本出願人の出願に係る、2010年12月23日提出で、名称が「非対称な構造を具備する、燃料電池および燃料電池要素、並びにその方法」であるPCT国際出願公報第WO2011/079377号に説明されるとおりであり、その開示内容は参照してここに組み入れる。いくつかの複合基体は、全体に、またはその一部で、柔軟性、または適合性を有してよく、これは、本出願人の出願に係る、2008年9月25日提出で、名称が「省スペースの流体プレナムを含む燃料電池システムおよび関連する方法」、2006年1月9日提出で、名称が「外部サポートを具備する柔軟性燃料電池構造」である米国特許出願公報第2006/0127734号、および名称が「制御可能な燃料電池により給電される装置」である米国特許第7,747,075号に説明されるとおりであり、これらの内容は参照してここに組み入れる。
【0020】
液体インクの低精度のスプレイ被着でコンタクトまたはシャドウマスクを使用して複数の電極領域を一度に被覆するときには、使用されるマスクはどのようなものでも、複数の所望の非連続領域と同時に整合しなければならない。下側の複数の複合層の寸法は環境条件の変動に応じて変化しがちであるので、複数のマスクを同時に整合させることはとくに難易度が高い。下側の複合層の寸法の変動に由来して、非連続領域の幅は増大させなければならない。
【0021】
この発明は、非連続領域によって分離される電極領域のアレイを形成する代替的な方法を提供する。この方法は、サブトラクティブ技法を用いて電極材料を平面または非平面燃料電池構造の特定の領域から除去する。サブトラクティブ技法を用いることにより、より狭く、正確な非連続領域を形成することができ、もって、下側の複合基板の特徴部とより良好に整合させることができる。この方法は、直接被着またはマスク被着方法により達成できるものより狭い非連続領域を実現し、電極を形成するためにより幅広い種類の材料および被着方法を許容する。また、この方法は、燃料電池構造の1または複数の表面のそれぞれのすべてまたは一部に渡って非線形である、非連続領域を形成するのに利用できる。
【0022】
[定義]
ここで使用されるように、「触媒」はそれが変更または消費されることなしに反応の開始や反応速度の増加を支援する材料または物質である。触媒層は、手近な塗布に適した任意のタイプの電極触媒を含んで良い。触媒または触媒層は純粋な白金、炭素支持白金、炭素黒、白金−ルテニウム、パラジウム、銅、酸化錫、ニッケル、金、カーボンブラックの混合物、および、1または複数のバインダを含んでよい。バインダはアイオノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、フルオロポリマー、および他のポリマー材料を含んでよく、フィルム、粉末、または分散剤であってよい。ポリイミドの一例はKapton(商標)である。フルオロポリマーの一例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)すなわちTefron(商標)である。他のフルオロポリマーは、PFSA(ペルフルオロスルホン酸)、FEP(フルオロ化エチレンプロピレン)、PEEK(ポリエーテルエチレンケトン)、および、PFA(ペルフルオロアルコエチレン)を含む。バインダは、PVDF(ポリビニリデンジフルオライド)粉末(例えばKynar(商標))、および二酸化珪素粉末であってもよい。バインダは、ポリマーまたはアイオノマーの任意の組み合わせを含んでよい。カーボンブラックは、適切に細かく分割した炭素材料、例えば、アセチレンブラックカーボン、炭素粒子、炭素フレーク、炭素繊維、炭素針、カーボンナノチューブを含んでよい。
【0023】
ここで使用されるように、「コーティング」は複合層の表面に配され、または被着される伝導性または非伝導性の薄膜を指す。コーティングは、複合層の表面の上に、または、隣接して配され、または被着されて良く、また、コーティングは、複合層表面の上に、ただし、中間層の材料(例えば、同一または異なるコーティング材料の付加的な層)によって直接接触部から離間されて配され、または被着されて良い。例えば、コーティングは、触媒層または電極層(例えばアノードおよびカソード)のような電気化学反応層であって良い。
【0024】
ここで使用されるように、「複合層」または「複合材」(composite)は、厚さを伴う少なくとも2つの表面を含む層であって、1または複数のイオン伝導性の通路および1または複数の電気伝導性通路がそれら表面の間に設けられているものを指す。複合材のイオン伝導性および電気伝導性は、イオン伝導性通路および電気伝導性通路を異なる寸法、形状、密度、または配列で設けることにより、当該複合材の異なる領域で変化されてよい。複合層は、流体(例えば、気体または液体)に対して非透過性、または実質的に非透過性であって良い。複合層は誘電体材料を含んで良い。複合層は、所望の電気伝導性、イオン伝導性、気体透過性、気体非透過性、および機械強度特性を、複合層の全空間に渡って実現することができ、また複合層の種々の領域に渡ってそれらの程度を可変させることができる。複合層は基体として使用されて良い。この発明の方法が適用されて良い複合層は、ここに説明される複合層、または、ここで参照して組み入れる特許文献に説明される任意の複合層を含んで良く、その複合層の主たる表面に一方または双方の上に、またはこれに隣接して配されるコーティングを含み、または含むであろう。明確にするために、ここに挙げる図は、比較的少ない数の複合層要素のみの構成を含む複合層の種々の実施例を図説するけれども、この発明の方法は、より多くの数の複合層要素を伴う複合層に適用できる。
【0025】
ここに引用され組み込まれる、本出願人の出願に係る特許文献に加えて、以下の米国特許、または米国特許出願は、複合層アーキテクチャの複数の例を提供し、これは、この発明の方法の対象である複合層として採用することができる、燃料電池層のような電気化学電池のアレイを含む。
(i)2009年12月15日に発行された、「電気化学反応層の下に横たわる電流搬送構造を具備する電気化学電池」という名称の米国特許第7,632,587号
(ii)2008年9月25日に提出され、「省スペース流体プレナムを含む燃料電池システムおよび関連する方法」という名称の米国特許出願公報第2009/0081493号
(iii)2008年12月22日に提出され、「非連続領域を含む電気化学電池組立体」という名称の米国特許出願公報第2009/0162722号
(iv)2009年2月27日に、PCT出願第PCT/CA09/00253号として、提出され、「電気化学電池およびこれに関連する膜」という名称の米国特許出願公報第2011/0003229号
(v)2010年12月28日に提出され、「燃料電池を外部回路に接続する装置および方法」という名称の米国特許出願公報第2011/0165495号
(vi)2011年6月29日に提出され、「燃料電池を外部回路に接続する装置および方法」という名称の米国特許出願第13/172645号
これら特許文献のすべては参照してここに組み入れる。
【0026】
ここで使用されるように、用語または句「電流コレクタ」、「インターコネクタ」、または「燃料電池接続要素」は、入れ換えて使用することができ、2またはそれ以上の燃料電池ユニットの電極を電気的に連絡する電気伝導性部材を指す。燃料電池接続要素または電池インターコネクトは、燃料電池の少なくとも1つの電極と外部回路との間、または、燃料電池の少なくとも1つの電極と他の燃料電池の少なくとも1つの電極との間の電気伝導性経路を実現するように燃料電池内で使用されるように適合化される。インターコネクトは、アレイを外部回路と連絡させるための、複合層および/または、最終電流コレクタの電気伝導性経路の任意の1つを含んで良い。この発明のいくつかの実施例において、インターコネクトは、電気伝導性要素に加えて、非伝導性の「インターフェース領域」または「誘電体要素」を含んで良い。いくつかの実施例において、インターコネクトは、誘電体要素を電気伝導性要素と一緒に積層させて形成して、複合材電流コレクタ要素を形成して良い。誘電体要素は寸法安定性を実現して良く、イオン伝導性要素と電流コレクタとの間の接着性を助長して良く、また、ここで説明されるように、隣接電池の間の電気非連続性の領域を形成するために使用されて良い。そのような複合材電流コレクタまたは電池インターコネクトの他の例は、本出願人の出願に係る、共に「燃料電池を外部回路に接続させるための装置および方法」という名称の米国特許出願公報第2011/0165495号、および、その一部継続出願である米国特許出願第13/172,645号に見いだすことができ、その開示内容は参照してここに組み入れる。
【0027】
ここで使用されるように「誘電体要素」は、1または複数の誘電体材料を含む、複合層の要素を指す。誘電体要素は、イオン伝導性経路、誘電体保護層、誘電体スキン、誘電体支持構造、またはこれらの何らかの組み合わせを含んで良い。誘電体要素は、例えば、プロトン交換膜要素、薄膜酸化電解質、または繊維充填エポキシ樹脂を含んで良い。
【0028】
ここで使用されるように、「誘電体材料」は無視できる電気伝導性しか示さない物質を指す。誘電体材料は、イオン伝導性材料、非イオン伝導性材料、またはこれらの組み合わせを含むと理解されて良い。イオン伝導性材料の例は、イオン交換ポリマーのような所定の用途に適用可能なアイオノマーまたは電解質、アルカリ性溶液、酸性溶液、リン酸、アルカリカーボネート、および、酸化イオン伝導性セラミックを含む。非イオン伝導性材料の例は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミド、フルオロポリマー、および他のポリマーフィルムのようなポリマーを含む。ポリイミドの例はKepton(商標)フィルムを含む。フルオロポリマーの例はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)またはTefron(商標)フィルムを含む。他のフルオロポリマーはPFSA(ペルフルオロスルホン酸)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン)、およびPFA(ペルフルオロアルコキシエチレン)を含む。誘電体材料は、また、ファイバグラスのような強化複合材料、珪素またはガラスのような任意の適切な非ポリマー材料、およびこれらの組み合わせを含んで良い。誘電体材料は電解質を含んで良い。電解質は固体電解質膜であって良い。
【0029】
ここで使用されるように、「非連続領域」(discontinuity region)は複合層の表面の領域であって、コーティング領域の間の物理的な分離を実現する領域を指す。コーティング領域が伝導性の場合には、非連続領域がそれらの間の電気絶縁を実現する。非連続領域は「非連続の領域」(region of discontinuity)または「島状ブレーク」(insular break)とも呼ばれて良い。
【0030】
ここで使用されるように、「電気化学反応層」は電気化学反応が起こる領域を指す。電気化学反応層は、電気化学反応におけるアノード、カソード、またはそれら双方として機能する材料または要素を含んで良い。電気化学反応層は、電極材料、触媒材料、電気伝導性材料、基体透過性材料、および水反応性材料(例えば、親水性、および疎水性材料)を含むことができ、機械的な耐久性を付与する構造添加物を含んで良い。電気化学反応層の組成物は反応を助長するように最適化されて良い。
【0031】
ここで使用されるように、「電極領域」または「電極」は、電気化学反応におけるアノード、カソード、またはそれら双方として機能する材料または要素を指す。電極領域は、純粋な白金、白金ブラック、炭素支持白金、パラジウム、銅、ニッケル、金、織物および不織の炭素繊維紙、カーボン紙、カーボンブラックの混合物、炭素粉末、黒鉛粉末、伸長黒鉛、黒鉛充填エポキシのような伝導性接着剤、黒鉛充填Nafion(商標)のような伝導性プライマー、Nafion(商標)、またはこれらの組み合わせを含んで良い。電極領域は、微多孔性層も含んで良い。微多孔性層は、電極中において熱、水、電気の搬送を支援する機能を有し、電極に構造上の支持を付与する機能も有する。微多孔性層は、黒鉛粉末、炭素粉末、炭素ニードル、黒鉛フレーク、黒鉛ニードル、酸化錫、酸化珪素、およびバインダを含んで良い。バインダはアイオノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、フルオロポリマー、および他のポリマー材料を含んでよく、フィルム、粉末、または分散剤であってよい。ポリイミドの一例はKapton(商標)である。フルオロポリマーの一例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)すなわちTefron(商標)である。他のフルオロポリマーは、PFSA(ペルフルオロアルコエチレン)を含む。バインダは、PVDF(ポリビニリデンジフルオライド)粉末(例えばKynar(商標))、および二酸化珪素粉末であってもよい。バインダは、ポリマーまたはアイオノマーの任意の組み合わせを含んでよい。そのような微多孔性層の例は、コートされたカーボン紙、およびコートされたカーボン繊維紙の形態で商業的に入手可能なもの、さらには、France、ClichyのSociete BICにより製造されるものを含む。電極領域は、本出願人の出願に係る、2010年12月23日に提出され、名称が「燃料電池用の性能助長層」のPCT出願公報第WO2011/079378号に記載されているような層性能助長層を含んで良く、その開示内容は参照してここに組み入れる。電極領域は、コーティングの形態で、複合層の表面上に配されて良い。「電極領域」および「電極」はここでは交換可能に使用される。
【0032】
ここで説明されるように、「電子伝導性要素」は電気的な伝導性通路を形成する複合層の要素を指す。電子伝導性要素は、例えば、複合層の一方の層から、この複合層を通じて、この複合層の反対の表面に至る1または複数の電気的な伝導性通路を形成して良い。電子伝導性要素は、電気的に伝導性の材料、たとえば、金属、金属フォーム、炭素質材料、電気伝導性セラミック、電気伝導性ポリマー、これらの組み合わせ等の1つまたは複数を含む。
【0033】
ここで使用されるように、「イオン伝導性要素」はイオン伝導性通路を形成する要素を指す。イオン伝導性要素は複合材の要素であってよい。イオン伝導性要素はイオン伝導性材料、例えば、フルオロポリマーベースのイオン伝導性材料、または炭化水素ベースの伝導性材料を含む。イオン伝導性要素は「電解質」または「電解質膜」とも呼ばれる。
【0034】
ここで使用されるように、「平面」(plane)は、既知拡張および空間方向または位置を伴う2次元仮想表面を指す。例えば、矩形ブロックは、相互に直交する、1つの垂直の平面および2つの水平な平面を具備して良い。平面は相互との関係で、例えば、90°より大きな、または小さな角度を用いて定義されて良い。
【0035】
ここで使用されるように、「燃料電池アレイ」は複数の個別のユニット電池(セル)を指す。複数の電池(セル)はイオン交換膜材料のシートまたは他の基体の上に形成されて良く、また、複数の要素を具体的な態様で組み立てることにより形成して良い。アレイは任意の適切な幾何形状に形成することができる。燃料電池の平面アレイの例は、本出願人の出願に係る、2005年2月2日に提出された、名称が「電気化学反応層の下に電流担持層を具備する電気化学電池」の米国特許出願公報第2005/0250004に説明されており、その内容は、本出願人の出願に係る他の出願とともに参照してここに組み入れる。アレイ中の燃料電池は、他の平面表面、例えばチューブ(筒状燃料電池に見いだされるようなもの)をたどってもよい。代替的には、またはこれに加えて、アレイは、種々の幾何形状に順応できる柔軟な材料を含むことができる。
【0036】
複数のユニット電池を含む燃料電池層は、複数のイオン伝導性領域を含む基体を実現することにより構築して良い。そのような基体は、例えば、非伝導性または部分的に伝導性を有する材料のシートを選択的に処理してイオン伝導性領域を形成することにより、またはイオン伝導性材料のシートを選択的に処理して非伝導性領域を形成することにより、実現できるでき、これは、例えば、本出願人の出願に係る、2004年5月4日に提出した、名称が「膜および当該膜を組み込む電気化学電池」の米国特許出願公報第2005/0249994号公報に説明されているようなものであり、その内容は参照してここに組み入れる。
【0037】
燃料電池層は、伝導性および誘電体線条部材をパターン化することによって製造された複数のユニット電池を含んでよく、これは例えば、本出願人の出願に係る、2008年9月30日に提出の、名称が「電気化学電池を製造する方法」の米国特許出願公報第2009/0095409号に説明されるとおりであり、その内容は参照してここに組み入れる。
【0038】
図1A〜
図1Dは、この発明の方法の1実施例の順次的な表示を図説し、コーティングされ、つぎにそのコーティングの一部が除去されて非連続領域を形成する複合層の断面図を示す。
【0039】
図1Aは、複合層102を示し、これは第1の側面120および第2の側面122を含む。層102は複数のイオン伝導性要素104、誘電体要素106、および電子伝導性要素108を含む。要素104、106、および108の各々は、第1の側面120から第2の側面122へ伸びる。
図1は、イオン伝導性、誘電体、および電子伝導性要素のすべてが第1から第2の側面に伸びている複合層を示すけれども、この発明のいくつかの実施例においては、1または複数の要素タイプの要素は第1の側面から第2の側面に伸びなくても良い。例えば、複合層は、第1の側面から第2の側面に伸びるイオン伝導性および電子伝導性要素と、第1の側面から第2の側面に伸びず、その代わりに、複合層を通じて部分的に伸びる、1または複数の誘電体要素とを含んで良い。
【0040】
図1Bは、第1のコーティング112が第1の側面120の上およびその近くに被着されたコーティング済み複合層110を形成した後の複合層102を示す。第1のコーティング112は、第1の側面120を形成する、要素104、106、および108の部分の上を覆う。第1のコーティング112は、電極材料の層であり、これは、
図1Bに示すように、第1の側面120の上に1つの連続した電極領域を形成する。いくつかの実施例において、コーティングは触媒または電極の材料の層であって良い。
【0041】
図1Cは第1のコーティング112の部分の選択的な除去を図説する。レーザ114が使用されて予め定められた位置から第1の電極112の部分が切除、または焼却され、第1の電極112のそれらの選択位置から電極材料を取り除く。この発明のいくつかの実施例において、レーザ光の波長は約200および約400ナノメータの間、または、約250および約355ナノメータの間であるけれども、所定のコーティング材料を除去する上で有効である限り、任意の波長のレーザ光を採用して良い。
【0042】
図1Dは第1のコーティング112の部分が選択的に除去された後の、コーティング済み複合層110を図説する。図示のとおり、複合層110の3つの部分がレーザ114により除去され、非連続領域116を形成し、これらは、3つの誘電体要素106により形成された、第1の側面120の領域の上に位置して、その下に横たわる3つの誘電体要素106を露出させる。複合層102は、第1のコーティング112の3つの隣接する領域を支持し、3つの非連続領域116は、これら第1のコーティング112の3つの領域を、相互に分離し、電気的に絶縁させる。
図1A〜
図1Dは3つの非連続領域の形成を図説するけれども、1、2、4、またはそれ以上の非連続領域をコーティング層中に適宜形成することができる。また、
図1Cおよび
図1Dは、複合層の誘電体要素の上にある、コーティング層の部分に非連続領域を形成することを図説するけれども、この発明はそのような点に限定されない。例えば、この発明のいくつかの実施例は、非連続領域が、複合層の他の部分(例えば、イオン伝導性および/または電子伝導性要素)の上にある、コーティングの領域に、形成される方法および物品を含む。
【0043】
この発明のいくつかの実施例において、複合層は、第1の側面および第2の側面の双方においてコーティングされ、また、両側面のコーティングが材料の選択的除去処理を施される。
図1Eは、コーティング済み複合材110の他の断面図として、そのような実施例を図説し、複合材110は第2のコーティング118を含む。
図1Bおよび
図1Cに示されるように、第1のコーティング112が層形成され、その後、第1のコーティング112から材料の選択除去が行われるのと同様に、第2のコーティング118が、第2の側面122の上に、またそれに隣接して
被着され、この後、レーザによって、コーティング118の部分から材料が選択的に除去される。コーティング118からの材料の選択的な除去によって、非連続領域116および非連続領域116Aが形成され、これらが第2のコーティング118の3つの領域を相互に分離して電気的に絶縁させる。非連続領域116は、各々、誘電体要素106の1つにより形成された、第2の側面122の領域の上に位置し、これを露出させ、他方、非連続領域116Aは、2つの誘電体要素106および1つの電子伝導性要素108により形成される、第2の側面122の領域の上に位置し、これらを露出させる。第2のコーティング118の3つの領域の中の2つは、電子伝導性要素108の1つの上に横たわるように示され、このため、第2のコーティング118のこれら2つの領域の各々は、対応して、下に横たわる、電子伝導性要素108と反対で、かつ隣接する、第1のコーティング112の領域と電気的に接続される。非連続領域116Aは、コーティング済み複合層110から、電流コレクタによって電流を集めることができるようにし、もって外部装置に方向づけることが可能にする等の目的を実現する上で有益である。
【0044】
図1A〜
図1Dはレーザを用いてコーティング材料を選択的に除去することを図説するけれども、この発明の他の実施例はレーザ光以外のエネルギーの形態を利用し、または、物質の流れを利用してコーティング材料を除去する。例えば、液体の切除流(例えば水のジェット)、小さな固形粒子(例えばサンドブラスタ)、または液体および固体の双方からなるスラリを用いてコーティング材料を選択的に除去して良い。
【0045】
いくつかの実施例において、この発明は、複合層の上のコーティングから材料を除去するための機械ツールを使用した選択除去方法を含む。
図2は、コーティング済み複合層200を含むそのような実施例を図説する。コーティング済み複合層200は、
図1Cに図説されるコーティング済み複合層110と類似であり、このコーティング済み複合層200は、複合層202と、この複合層202の第1の側面の上に、またはこれに隣接して被着された第1のコーティング212とを含む。複合層202はイオン伝導性要素204、誘電体要素206、および電子伝導性要素208を含む。いくつかの実施例において、第1のコーティング212は電極材料の層または触媒材料の層である。
【0046】
いくつかの実施例において、この発明は、基体(例えば、コーティング済み複合層)の上において、非連続領域を形成することが望まれる位置を特定し、また、材料を選択的に除去して当該非連続領域を形成するのに使用する1または複数のツールを位置合わせする方法および手段を含む。基体が幾何学的に安定しているならば、基板の上の整合点を使用して基体および材料除去ツール(1または複数)を相互に位置づけることができる。しかしながら、基体は幾何学的に安定していないかもしれない。例えば、温度および湿度の局所的な変動により、基体または基体の部分(例えば、プロトン伝導性膜材料)が伸びたり縮んだりする。また、非連続性を形成するために使用する方法は、基体の幾何的な不安定性をもたらすかもしれない。例えば、材料を除去する1または複数のツールが、熱を生成するかもしれず、これは基体または基体の部分の局所的な伸びをもたらす。
【0047】
いくつかの実施例において、この発明は、各非連続領域またはグループの非連続領域を形成する前に基体に対して1または複数のツールを再整合することを含む。例えば、基体上において、個々の非連続部およびグループの非連続部の所望の位置に対して1または複数の基準(fiduciary)マークが形成でき、これらマークが、基体を、材料除去用の1または複数のツールに対して、整合させるのに使用される。1つの基準マークをグループの非連続部を形成するための参照点として使用しなければならない場合には、グループに渡る基体の幾何学的な歪みが充分に小さく単一の基準マークでツールの整合に適切であることを確認するのを支援するために、許容試験を実行できる。基準マークは機械的な特徴、または光学的に検出可能な特徴であって良い。基準マークは、また、基体中に自然に存在する特徴であってよく、例えば、基体の要素の間の検出可能な境界である(例えば電流コレクタの間の境界または電解質領域の間の境界)。
【0048】
いくつかの実施例において、この発明は、1または複数の基準マークを検出して個々のまたはグループの非連続部を光学的に整合させるためのコンピュータビジョンシステムを利用すること、またその後、コンピュータ制御でツールを基準位置から
離し所望の1または複数の非連続領域の位置に位置決めすることを含む。
【0049】
続けて
図2を参照すると、マスク218は第1のコーティング212の上に被着される。マスク218は開口216を含み、この開口216は、そこから材料が除去される、第1のコーティングの領域の上に、配置される。機械ツール214はマスク218の開口216によって案内されて、第1のコーティング212から材料を除去して所望の非連続領域を形成する。機械ツール214は、カッティング、スクライビング、スコアリング、切削(shaving)、剥離(scraping)、剪断(shearing)、またはクリービングの各プロセスによって材料を除去して良い。所定の非連続領域に対する材料は、1つの材料除去ステップにおいてツールにより除去されて良く、また、複数のステップで、全体の材料のうちのいくつかの部分が各ステップで除去されて良い。
【0050】
この発明のいくつかの実施例において、2以上の機械ツールを用いて材料を除去することが望ましいかもしれない。これらの実施例において、2またはそれ以上の異なるまたは類似の機械ツールが同時にまたは順次的に使用されて1または複数の非連続領域を形成して良い。例えば、所定の非連続部を形成するのに材料の2またはそれ以上の段階で2つの異なる、または類似のツールを使用して材料を除去する必要があるかもしれず、これは、腰羽目(dado)ブレードを用いて相互に近接した2つの平行なカットを形成し、その後、2つのカットで残された材料を除去するような場合である。他の例では、マスクが非連続領域用に複数の所望の位置を特定して良く、2またはそれ以上の類似または異なるツールを並行して使用してそれら位置から材料を除去して良い。これらの実施例において、マスクは、コーティング層が被着されない領域を規定するためというよりも、むしろ、コーティング層の領域を切除または除去から防護するために用いられる。いくつかの実施例において、2またはそれ以上の異なる、または類似の機械ツールを用いてマスクを使用することなく材料を除去する。
【0051】
マスク218は、当該マスクをコーティング済み複合層200の特徴部に対して案内することにより、コーティング済み複合層200上で適切に整合できる。例えば、コーティング済み複合層200の構造上の特徴部(例えば、高さ、スロープ、または配位の相違)、領域の間のコントラスト、または領域の間の他の境界、または、構成上の特徴(例えば誘電体材料の領域)を案内部として用いてマスク218がコーティング済み複合層200の上に適切に整合させられることを確実にして良い。マスク218は手作業で整合させて良く、また、光学、超音波を用い、または色、反射率、透過率、密度、トポグラフィー、その他の相違を検出する他の方法を用いる、コンピュータ制御で整合させて良い。
【0052】
マスクを整合させる上述の方法は、材料除去装置を整合するのにも使用できる。例えば、CNC案内機械ツールは、以下にさらに説明するようなものであり、これは、上述したコンピュータ制御方法を利用してコーティングまたは複合層に整合させて良い。他の例では、コーティング材料をエネルギーまたは物質を用いて除去するのに使用される装置(例えばレーザまたは液体および/または固体の流れを放出する装置)を上述したコンピュータ制御方法を利用してコーティングまたは複合層に整合させて良い。
【0053】
図2は、マスクおよび機械ツールを用いて選択的にコーティング材料を除去することを図説するけれども、いくつかの実施例において、この発明は1または複数の機械ツールを、マスクを使用すること無しに採用する。例えば、コンピュータ数値制御工作機械(CNC工作機械)に結合された1または複数の機械ツールをマスク無しの材料除去に利用でき、CNC工作機械は、ツールに充分な制御精度を付与し、マスクを必要とすることなしに、非連続領域を実現できる。また、
図2は、マスクおよび機械ツールを用いて選択的にコーティング材料を除去することを図説するけれども、いくつかの実施例において、この発明は、上述のエネルギー放射除去装置(例えばレーザ)または液体および/または固体の物質の流れを投射する除去装置と関連付けてマスクを採用する。例えば、いくつかの実施例において、この発明はマスクをコーティングまたは複合層に整合させ、その後、レーザを用いて選択的にコーティング材料を除去することを含む。
【0054】
この発明のいくつかの実施例において、複合層はイオン伝導性要素を含むけれども他の誘電体要素を含まない。
図3は、コーティング済み複合層300としてそのような実施例を図説する。コーティング済み複合層300は、複合層302を含み、その第1の側面320の上に第1のコーティング312を被着し、その第2の側面322の上に第2のコーティング318を被着する。複合層は、イオン伝導性要素304および電子伝導性要素308を有し、要素304および308は層302の長さ方向に沿って交換的な位置に位置づけられる。材料は第1のコーティング312から選択的に除去され、第1のコーティング312の、3つの離間した個別の領域を第1の側面320に形成する。材料は第2のコーティング318からも同様に除去され、第2のコーティング318の、3つの離間した個別の領域を第2の側面322に形成する。
【0055】
この発明のいくつかの実施例において、非連続領域が、コーティング済みの複合層の2つの側面の上に形成され、非連続領域が複合層を横切って相互に整合させられるようになっている。他の実施例において、先の図に示したような非連続領域のように、非連続領域が、複合層を横切って交互にジグザグに配列され、または非整合状態である。さらに他の実施例において、非連続領域のいくつかは整合させられ、他の非連続領域は整合させられない。
【0056】
この発明のいくつかの実施例において、この発明の方法は、対称的でない燃料電池を製造するのに適用して良い。
図4は、コーティング済み複合層400を含むそのような実施例を図説する。コーティング済み複合層400は、複合層402、第1のコーティング412、および第2のコーティング414を含む。第1のコーティング412は第1の側面420の上、または、これに隣接して被着され、他方、第2のコーティング414は第2の側面422の上、または、これに隣接して被着される。材料はコーティング412および414から選択的に除去されて3つの離間した個別の材料の領域を第1および第2のコーティング412、414から残す。複合層402は複数の誘電体要素406、電子伝導性要素408、およびイオン伝導性要素404を含む。複合層402は非対称な形状とされ、イオン伝導性要素404の各々が第2の側面に方向づけられた窪んだ凹みを具備する。
【0057】
この発明のいくつかの実施例において、得られた燃料電池は性能増強層を含む。そのような性能増強層の例は、本出願人の出願に係る、2010年12月23日に提出の、名称が「燃料電池用の性能増強層」に説明されており、その教示内容は参照してここに組み入れる。
図5は、この発明の方法を用いて製造された燃料電池を図説し、これは性能増強層を含む。コーティング済み複合層500は、複合層502、第1のコーティング512、および第2のコーティング514を含む。複合層502は複数の誘電体要素506、電子伝導性要素508、およびイオン伝導性要素504を含む。第1のコーティング512は第1の側面520の上、または、これに隣接して被着され、他方、第2のコーティング514は第2の側面522の上、または、これに隣接して被着される。性能増強層524
は第1の側面520の上に、かつ第1のコーティング512の上、または、これに隣接して被着され、他方、性能増強層526は第2の側面522の上に、かつ第2のコーティング514の上、または、これに隣接して被着される。第1のコーティング512および性能増強層524は、ここに説明した方法を用いて選択的な材料除去を施されて、3つの離間した個別の領域に非連続領域516によって分割される。第2のコーティング514および性能増強層526も、ここに説明した方法を用いて選択的な材料除去を施されて、3つの離間した個別の領域に非連続領域518によって分割される。また、
図5は、複合層の誘電体要素の上に横たわる、2つのコーティングの部分に非連続領域を形成することを図説するけれども、この発明はそのような点に限定されない。例えば、この発明のいくつかの実施例は、非連続領域が、複合層の他の部分(例えば、イオン伝導性および/または電子伝導性要素)の上にある、2つのコーティング層の領域に、形成される方法および物品を含む。
【0058】
いくつかの実施例において、この発明は、触媒または電極層の他のコーティング材料を選択的に除去する方法を含む。例えば、複合層は、その一方または双方の側面において、連続した伝導性シート、連続した絶縁性シート、電気化学電池において水管理を支援する材料の層、またはこれらの層のいくつかの組み合わせをコーティングして良い。ここで説明した、照射エネルギー、物質の流れ、または機械ツールを用いて連続した伝送性または絶縁性のシートから材料部分を選択的に除去できる。連続的な伝導性シートの例は、非多孔性材料で含浸させ、または積層させたカーボンファイバーシート、または、1または複数の電気伝導性粒子を含浸させたプラスチック材料シートを含む。水の管理を支援する材料の例は、多孔質ポリエチレン、伸ばしたポリエチレン、伸ばしたテフロン(商標)材料、およびポリエステルメッシュを含む。この発明は、これら材料の層において非連続鑞域を形成するのに使用して良い。いくつかの実施例において、この発明は、このような電導性または絶縁性のシートから材料を選択的に除去し、他方、複合層の上に被着された触媒または電極コーティング層から材料を残す方法を含む。
【0059】
この発明の方法は、任意の所望の幅を伴う非連続領域を形成するのに使用して良い。一般的には、残すことができる、最も小さな幅が、得られる電気化学電池の実現可能な最も大きな活性面積を可能にする上で好ましい。しかしながら、幅は、また、コーティング層の隣接電極領域の間の電気的な非連続を確実にするために充分なものでなくてはならない。1例において、非連続領域の好ましい幅は、約75および約115マイクロメータの間の値である。
【0060】
図6は、電極材料の層に非連続領域を形成するための1つの実現可能な方法のブロックフロー図を図説する。方法600において、コーティング層(例えば電極または触媒の材料あるいは双方の層)がステージ610で被着される。コーティングはステージ650においてレーザ光照射を受け、選択的にコーティング層材料が除去される。いくつかの実施例において、電極材料の層は、レーザ光ツールと整合させられて、もって、ステージ650の間、光が、選択的除去のための正確な位置に案内される。例えば、画像解析プログラムを用いてツール(例えばレーザ)が、処理対象のコーティング済み複合層に対して自動的かつ動的に整合させられる。
【0061】
図7は、電極材料の層に非連続領域を形成するための他の実現可能な方法のブロックフロー図を図説する。方法700において、コーティング層(例えば電極または触媒の材料あるいは双方の層)がステージ710で被着される。マスクがステージ730で整合させられる。1または複数の機械ツールがステージ750において選択的にコーティング層から材料を除去する。ステージ750は繰り返されて良い。
【0062】
いくつかの実施例において、この発明は、コンピュータ数値制御(CNC)工作機械を利用してツールを制御しコーティング材料を除去し、電極材料の層に非連続領域を形成する方法を含む。例えば、CNC工作機械によって制御される除去ツールがコーティング材料をコーティング済み複合層から除去して良い。CNC工作機械は充分正確に除去ツールを制御して防護マスクを複合層に整合させる必要がないようにできる。
【0063】
以上の記述は説明的であることを意図しており、制約的ではない。他の実施例も利用でき、例えば、当業者は以上の記述を検討することにより採用できる。また、以上の発明の詳細な説明において、種々の特徴をグループ化して説明を簡便にしている。これは、特許請求の範囲に記載されていない特徴がいずれかの請求項において基本的であると理解されてはならない。したがって、特許請求の範囲は発明の詳細な説明に組み込まれ、各請求項はそれ自体で個別の実施例を表す。この発明の範囲は、特許請求の範囲や、そのような特許請求の範囲の権限が及ぶ均等の全範囲を参照にして決定されるべきである。
【0064】
要約は規則(37C.F.R 1.72(b))に適合するものであり読者に技術的開示の本質を即座に把握させることを可能にする。これは、請求項の範囲の意味を解釈したり範囲を限定するのに使用されないことに留意されたい。