(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両のユーザが所持する携帯キーと、前記車両に搭載された車載機とを含み、前記携帯キーと前記車載機との無線通信により、前記携帯キーの照合を行うシステムに用いられる車両盗難防止装置であって、
前記ユーザが所持する携帯端末をさらに含み、
前記車載機は、
前記携帯キーと通信を行う車載機通信部と、
前記車両の位置を取得する車両位置取得部と、
を備え、
予め定められた位置送信条件が成立したとき、前記車載機通信部は、前記車両位置取得部が取得した前記車両の位置を含む車両位置情報を前記携帯キーへ送信し、
前記携帯キーは、
前記車載機および前記携帯端末と通信を行う携帯キー通信部を備え、
前記携帯キー通信部は、前記車載機から受信した前記車両位置情報を前記携帯端末へ送信し、
前記携帯キー通信部が前記携帯端末から受信した、前記携帯キーの、前記ユーザの意図に基づかない動作である不正動作を防止するための制御情報を含む不正動作防止情報に基づいて、前記携帯キーの予め定められた機能を制御する動作制御部をさらに備え、
前記携帯端末は、
前記携帯キーと通信を行う携帯端末通信部と、
前記携帯端末の位置を取得する携帯端末位置取得部と、
前記携帯端末通信部が受信した前記車両位置情報に含まれる前記車両の位置を記憶する携帯端末記憶部と、
前記携帯端末記憶部に記憶した前記車両の位置と前記携帯端末の位置とに基づいて、前記車両と前記携帯端末との距離を演算する距離演算部と、
前記距離と予め定められた距離閾値とに基づいて、前記不正動作防止情報を作成する情報作成部と、
を備え、
前記携帯端末通信部は、作成した前記不正動作防止情報を前記携帯キーに送信することを特徴とする車両盗難防止装置。
前記距離演算部は、前記携帯キーから受信した前記車両位置情報に前記車両の位置が含まれていないとき、あるいは、前記携帯端末位置取得部が前記携帯端末の位置を取得できないとき、前記携帯キーから前記車両位置情報を受信してから、前記携帯端末位置取得部が前記携帯端末の位置を取得できたときまでの時間に基づいて、前記距離を推定演算する請求項1に記載の車両盗難防止装置。
前記不正動作防止情報は、前記距離が前記距離閾値を上回るとき、前記機能の動作を許可しない内容を含み、前記距離が前記距離閾値を下回るとき、前記機能の動作を許可する内容を含む請求項1または請求項2に記載の車両盗難防止装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1のように、車両盗難防止装置100は、車両101に搭載された車載機1、ユーザが所持する携帯キー2および携帯端末3を含む。車載機1と携帯キー2とで、周知のスマートキーシステムを構成する。
【0016】
車載機1は、ECU10(本発明の車両位置取得部、車両状態取得部)と、ECU10に接続されたLF送信部11(本発明の車載機通信部)、UHF受信部12(本発明の車載機通信部)、を少なくとも含む。
【0017】
ECU10は、周知のCPU、信号入出力回路などの周辺回路(いずれも図示せず)および、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成されたメモリ10aを含むコンピュータとして構成される。CPUがメモリ10aに記憶された車載機制御プログラムを実行することで、車載機1の各種機能を実現する。
【0018】
LF送信部11は、携帯キー2に対し、例えばLF(長波)帯の電波を用いて、応答要求信号等の無線信号を送信する。無線信号は、LF送信部11に接続されたドアアンテナ16(16FR、16RR、16FL、16RLの総称)、室内アンテナ17、トランク内アンテナ18、およびトランク外アンテナ19を介して、それぞれ、該当するドア外の近傍、車室内、トランク内、トランク外近傍の、限られた送信エリア内(例えば、アンテナから2.0mの範囲)にのみ到達する。
【0019】
UHF受信部12は、携帯キー2から、例えばUHF(極超短波:高周波)帯の電波を用いて送信される応答信号等の無線信号を受信する。これにより、携帯キー2からの無線信号の出力レベルが比較的微弱でも相応に通信距離(例えば、100m)を確保でき、携帯キー2から車載機1へ、より確実に信号を伝達できる。
【0020】
ECU10には、位置検出部13、車両状態検出部14、始動スイッチ15が接続される。
【0021】
位置検出部13は、例えば、周知のGPS衛星からの電波(GPS信号)を受信し、受信したGPS信号に基づいて、車両101の位置を検出する。車両101が周知の車両用ナビゲーション装置を搭載しているときは、車両用ナビゲーション装置から、車両101の位置を取得してもよい。
【0022】
車両状態検出部14は、以下のうちの少なくとも一つを含む。
・車速センサ:車両の速度を検出。
・シフトポジションセンサ:シフトポジションを検出。
・駐車ブレーキスイッチ:駐車ブレーキの作動状態を検出。
【0023】
始動スイッチ15は、原動機(エンジンあるいはモータ)を始動状態あるいは始動可能状態にする際にユーザが操作するスイッチで、ユーザが始動スイッチ15を操作したことを検知した場合、ECU10は原動機の始動を許可できる状態にあるか否かを判断し、許可できる状態にあれば、ECU10からエンジン制御部(図示せず)へ始動許可信号を出力する。
【0024】
携帯キー2は、制御部20(本発明の動作制御部)と、制御部20に接続されたLF受信部21(本発明の携帯キー通信部)、UHF送信部22(本発明の携帯キー通信部)、操作部24、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成されるメモリ25、BT通信部26(本発明の携帯キー通信部)、電池27、電源供給部28を備える。
【0025】
制御部20は、車載機1のECU10と同様に、コンピュータとして構成される。そして、制御部20がメモリ25に記憶された携帯キー制御プログラムを実行することで、携帯キー2の各種機能を実現する。
【0026】
LF受信部21は、車載機1からLF帯の電波にて送信される無線信号を受信する。UHF送信部22は、車載機1に対し、UHF帯の電波にて無線信号を送信する。
【0027】
操作部24は、1以上のスイッチを含む。ユーザの操作に応じて、例えば、ドアのロック/アンロック、トランク開動作等の、いわゆるリモートキーレス機能のコマンドを車両101(例えば、車載機1)に送信する。車載機1は、該コマンドを受信したとき、コマンドに応じた動作制御を行う。
【0028】
BT通信部26は、例えば、BLUETOOTH(BLUETOOTHは登録商標、以下、BT)のような近距離無線通信技術を用いて、携帯端末3のBT通信部31との間でデータを送受信する。なお、BTは、事前にペアリング設定をした機器間でのみ通信可能であるため、第三者が通信内容を傍受することはできず、セキュリティを確保できる。
【0029】
電池27は、携帯キー2の各部に電源を供給する(各部との接続線は図示せず)。電源供給部28は、制御部20からの制御信号に基づき、少なくとも、電池27からUHF送信部22への電源の供給/遮断の切り替えを行う。
【0030】
携帯端末3は、例えば、周知のスマートフォンに代表されるタブレット型端末(液晶ディスプレイなどの表示部分にタッチパネルを搭載し、指で操作する携帯情報端末の総称)を用いる。携帯端末3は、制御部30(本発明の携帯端末位置取得部、距離演算部、情報作成部)と、制御部30に接続されたBT通信部31(本発明の携帯端末通信部)、位置検出部32、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体で構成されるメモリ33(本発明の携帯端末記憶部)、表示部34、操作部35を備える。
【0031】
制御部30は、携帯キー2の制御部20と同様に、コンピュータとして構成される。制御部30がメモリ33に記憶された携帯端末制御プログラムを実行することで、携帯端末3の各種機能を実現する。携帯端末3としてスマートフォンを用いる場合、携帯端末制御プログラムは、OS(Operating System)上で動作するアプリケーションソフトに含まれる。
【0032】
BT通信部31は、上述の近距離無線通信技術(BT)を用いて、携帯キー2のBT通信部26との間でデータを送受信する。つまり、BTを用いることで、悪意ある人物が所持するリレーアタック用の中継機では、携帯端末3との通信を行うことができなくなる。よって、正規ユーザに成り済まして、携帯端末3に、携帯キー2から車載機1への通信を行わせるような不正動作防止情報を作成させることは困難となる。
【0033】
位置検出部32は、位置検出部13と同様に、GPS衛星から受信したGPS信号に基づいて、携帯端末3の位置を検出する。
【0034】
表示部34は、例えば、周知のLCDあるいは有機EL表示器を用いる。操作部35は、表示部34の表示画面上に形成されたタッチパネルあるいはメカニカルスイッチを含む。
【0035】
図2に、車載機制御プログラムに含まれる、車載機通信処理を示す。まず、車両状態検出部14の検出状態に基づき、車両101が駐車状態であるか否か(すなわち、本発明の位置送信条件が成立したか否か)を判定する。判定方法は、以下のうちの少なくとも一つを用いる。
・始動スイッチ15がオン状態からオフ状態に変化したとき、駐車状態であると判定。
・車両の速度が0km/hの状態が所定時間継続したとき、駐車状態であると判定。
・シフトポジションが、「P(パーキング)」に変化したとき、駐車状態であると判定。
・駐車ブレーキスイッチが解除状態から作動状態に変化したとき、駐車状態であると判定。
上述の他に、車両に乗員が存在せず(周知の乗員検知センサを使用)、ドアが解錠状態から施錠状態に変化したとき(ドアドック装置の状態を検知)、駐車状態であると判定してもよい。
【0036】
上述の構成が、「車載機は、車両の状態を取得する車両状態取得部を含み、車両の状態が、車両が駐車していることを含むとき、位置送信条件が成立したとする」ものである。本構成によって、特に車載機の処理負荷を低減できる。また、車両の駐車位置をより正確に取得できる。
【0037】
車両101が駐車状態でないとき(S11:No)、本処理を終了する。一方、車両101が駐車状態のとき(S11:Yes)、位置検出部13から、車両101の位置(すなわち、車両の駐車位置)を取得する(S12)。次に、取得した位置を含む車両位置情報を、LF送信部11を介して、携帯キー2に送信する(S13)。
【0038】
例えば、立体駐車場等のGPS信号を受信できない場所に駐車したとき、位置検出部13は車両101の位置を特定できないこともある。そこで、位置検出部13からGPS信号を受信できない旨の情報を取得したとき、車両位置情報は、GPS信号の失探(以降、「GPSロスト」ともいう)を表すものとする。
【0039】
次に、応答要求信号の送信タイミングが到来したとき(S14:Yes)、LF送信部11を介して、応答要求信号を、携帯キー2に送信する(S15)。その後、携帯キー2からの応答信号の受信待ち状態となる。
【0040】
UHF受信部12を介して、携帯キー2から応答信号を受信したとき(S16:Yes)、応答信号に含まれるIDコードと、メモリ10aに記憶されたマスタコードとを照合する(S17)。照合の結果、両者が一致しないとき(S18:No)、本処理を終了する。一方、両者が一致したとき(照合結果正常、S18:Yes)、ドアの施錠または解錠の許可、あるいは原動機の始動の許可を含む制御指令を、制御対象となる装置に出力する(S19)。
【0041】
すなわち、ステップS14〜S19は、従来のスマートキーシステムにおける車載機の照合処理と同様である。本発明では、従来の処理の実行前に、車両101が駐車状態に遷移したとき、車両101の位置を携帯キー2に送信する処理(ステップS11〜S13)を追加している。
【実施例1】
【0042】
図3および
図4に、本発明の車両盗難防止装置の、携帯キー2および携帯端末3の第1実施例を示す。
図3および
図4が、「車載機通信部は、予め定められた送信タイミングで、応答要求信号を携帯キーへ送信し、携帯キー通信部は、応答要求信号を受信したとき、携帯端末に、応答信号の送信の可否を問い合わせる照会信号を送信し、携帯端末において、携帯端末位置取得部は、照会信号を受信したときに携帯端末の位置を取得し、情報作成部は、携帯端末の位置を用いて演算された距離と距離閾値とに基づいて、照会信号に対する不正動作防止情報を作成する」ものである。
【0043】
スマートキーシステムの車載機は、定期的、あるいはユーザのドアスイッチの操作のようなイベント発生時に応答要求信号を送信する。携帯キーは、所定時間応答要求信号を受信しないときは、通常の動作モードよりも消費電力の少ないスリープモードで動作することが多い。上記構成によって、携帯キーは、応答要求信号を受信したときに照会信号を送信することで、照会信号のみを送信する動作を行うだけのためにウエイクアップ(スリープモードから通常の動作モードへの遷移)をせず、消費電力の増加を抑制できる。また、携帯端末は、照会信号を受信したときのみに不正動作防止情報を作成すればよいので、携帯端末の処理負荷を低減でき、より的確な不正動作防止情報を作成できる。
【0044】
図3の、携帯キー2の携帯キー制御プログラムに含まれる、携帯機通信処理を説明する。まず、LF受信部21を介して、車載機1から車両位置情報を受信したとき(S31:Yes)、BT通信部26を介して、携帯端末3に車両位置情報を送信する(S32)。この後、車載機1からの応答要求信号の受信待ち状態となる。
【0045】
次に、車載機1から応答要求信号を受信したとき(S33:Yes)、BT通信部26を介して、携帯端末3に、応答信号の送信の可否を問い合わせる照会信号を送信する(S34)。その後、携帯端末3からの、照会信号に対する不正動作防止情報の受信待ち状態となる。
【0046】
BT通信部26を介して、携帯端末3から不正動作防止情報を受信したとき(S35:Yes)、不正動作防止情報に基づいて、応答信号の送信の可否を判定する。不正動作防止情報に応答信号の送信を許可しない旨(制御情報)が含まれているとき(S36:No)、本処理を終了する。すなわち、応答信号を送信しない。一方、不正動作防止情報に応答信号の送信を許可する旨(制御情報)が含まれているとき(S36:Yes)、UHF送信部22を介して、車載機1に応答信号を送信する(S37)。
【0047】
上述のステップS36、S37が、「予め定められた機能として、携帯キー通信部が、車載機通信部から送信された応答要求信号に応答する、照合のための応答信号の送信を含み、動作制御部は、応答信号の送信を行うか否かを制御する」ものである。本構成によって、携帯キーが受信した応答要求信号を、不正な信号であるか否かを判断してから応答信号を送信するので、携帯キーが不正動作することを低減できる。
【0048】
図4の、携帯端末3の携帯端末制御プログラムに含まれる、盗難防止処理を説明する。まず、車両位置情報を取得する車両位置取得処理を実行する(S51:後述)。この後、携帯キー2からの照会信号の受信待ち状態となる。
【0049】
次に、BT通信部31を介して、携帯キー2から照会信号を受信したとき(S52:Yes)、車両101と携帯端末3との距離を演算する距離演算処理を実行する(S53:後述)。
【0050】
次に、演算した距離と、予めメモリ33に記憶された距離閾値とを比較する。演算した距離が距離閾値を下回るとき(S54:Yes)、携帯キー2の不正動作を防止するための不正動作防止情報に、携帯キー2からの応答信号の送信を許可する旨を含める(S55)。一方、演算した距離が距離閾値を上回るとき(S54:No)、不正動作防止情報に、携帯キー2からの応答信号の送信を許可しない旨を含める(S57)。
【0051】
最後に、BT通信部31を介して、携帯キー2へ、不正動作防止情報を送信する(S56)。
【0052】
ステップS54、S55、S57が、「不正動作防止情報は、距離が距離閾値を上回るとき、機能の動作を許可しない内容を含み、距離が距離閾値を下回るとき、機能の動作を許可する内容を含む」ものである。本構成によって、リレーアタックのように、不正に送信された応答要求信号を携帯キーが受信したとき、車両との距離が所定値(距離閾値、例えば、2m)を超えるときは、不正な信号と判断して応答信号を送信しないので、不正動作を防止できる。
【実施例2】
【0053】
図5および
図6に、本発明の車両盗難防止装置の、携帯キー2および携帯端末3の第2実施例を示す。
【0054】
図5の、携帯キー2の携帯キー制御プログラムに含まれる、携帯機通信処理を説明する。
図5が、「予め定められた機能として、携帯キーの少なくとも一部に対する電源供給を含み、動作制御部は、電源供給を制御する」ものである。本構成によって、携帯キーと車両との距離が所定値を超えるときは、例えば、携帯キー通信部のうち、少なくとも車載機への送信を行う回路への電力供給を遮断することで、携帯キーの消費電力を低減でき、さらに、応答信号を送信しないので車両の不正使用あるいは盗難を防止できる。
【0055】
まず、LF受信部を介して、車載機1から車両位置情報を受信したとき(S71:Yes)、BT通信部26を介して、携帯端末3に車両位置情報を送信する(S72)。この後、携帯端末3からの、不正動作防止情報の受信待ち状態となる。
【0056】
BT通信部26を介して、携帯端末3から不正動作防止情報を受信したとき(S73:Yes)、不正動作防止情報に基づいて、電源供給の可否を判定する。不正動作防止情報に電源供給を許可する旨(制御情報)が含まれているとき(S74:No)、制御部20から電源供給部28に対し、携帯キー2の全体への電源の供給を行うよう制御信号を出力する(S78)。この後、本処理を終了する。あるいは、車載機1からの応答要求信号の受信待ち状態となり、
図3の「A」に相当する処理を行う。
【0057】
一方、不正動作防止情報に電源供給を許可しない旨(制御情報)が含まれているとき(S74:Yes)、制御部20から電源供給部28に対し、少なくともUHF送信部22への電源の供給を遮断するよう制御信号を出力する(S75)。この場合、少なくとも、BT通信部31と、制御部30のうちBT通信部31を制御する回路に電源が供給されていればよい。この後、携帯端末3からの、不正動作防止情報の受信待ち状態となる。
【0058】
携帯端末3から不正動作防止情報を受信し(S76:Yes)、不正動作防止情報に電源供給を許可する旨が含まれているとき(S77:Yes)、上述のステップS78以降の処理を行う。
【0059】
図6の、携帯端末3の携帯端末制御プログラムに含まれる、盗難防止処理を説明する。まず、車両位置情報を取得する車両位置取得処理を実行する(S91:後述)。次に、予め定められた演算タイミングが到来したかを判定する。演算タイミングは、例えば、所定の周期(例えば、3秒)とする。演算タイミングが到来したとき(S92:Yes)、車両101と携帯端末3との距離を演算する距離演算処理を実行する(S93:後述)。
【0060】
上述の構成が、「携帯端末位置取得部は、予め定められた取得タイミングで携帯端末の位置を取得し、情報作成部は、取得した携帯端末の位置を用いて演算された距離と距離閾値とに基づいて、不正動作防止情報を作成する」ものである。本構成によって、携帯端末の消費電力の増加を抑制しながら、より適切なタイミングで、不正動作防止情報を作成することができる。
【0061】
次に、演算した距離と、予めメモリ33に記憶された距離閾値とを比較する。演算した距離が距離閾値を下回るとき(S94:Yes)、携帯キー2の不正動作を防止するための不正動作防止情報に、電源供給を許可する旨を含める(S95)。一方、演算した距離が距離閾値を上回るとき(S94:No)、不正動作防止情報に、電源供給を許可しない旨を含める(S97)。
【0062】
次に、BT通信部31を介して、携帯キー2へ、不正動作防止情報を送信する(S96)。
【0063】
ステップS94、S95、S97が、「不正動作防止情報は、距離が距離閾値を上回るとき、機能の動作を許可しない内容を含み、距離が距離閾値を下回るとき、機能の動作を許可する内容を含む」ものである。本構成によって、例えば、車載機からの信号を携帯キーが受信したとき、車両との距離が所定値(例えば、2m)を超えるときは、不正な信号と判断でき、携帯キーの不正動作を防止できる。
【0064】
図7に、
図4のステップS51および
図6のステップS91に相当する車両位置取得処理を示す。まず、BT通信部31を介して、携帯キー2から車両位置情報を受信したとき(S111:Yes)、車両位置情報が適正であるか否かを判定する。
【0065】
車両位置情報がGPSロスト(車両位置が適正でない状態、あるいはGPS信号を受信できなかった状態)を表すものであるとき(S112:Yes)、位置検出部32から携帯端末3の位置を取得する(S113)。次に、携帯端末3の位置が適正であるか否かを判定する。
【0066】
携帯端末3の位置がGPSロストを表すものであるとき(S114:Yes)、タイマをスタートさせる(S115)。つまり、携帯端末3の位置が適正なものとなるまで待つ。この後、本処理を終了する。
【0067】
一方、携帯端末3の位置が適正であるとき(S114:No)、携帯端末3の位置を車両101の位置とする(S116)。こうすることで、車両101が駐車した際の位置を特定でき、携帯端末3と車両101との距離を演算することができる。次に、車両101の位置をメモリ33に記憶する(S117)。この後、本処理を終了する。
【0068】
一方、車両位置情報に含まれる車両の位置が適正であるとき(S112:No)、該車両位置をメモリ33に記憶する(S117)。この後、本処理を終了する。
【0069】
図8に、
図4のステップS53および
図6のステップS93に相当する距離演算処理を示す。まず、位置検出部32から携帯端末3の位置を取得する(S131)。次に、携帯端末3の位置が適正であるか否かを判定する。
【0070】
携帯端末3の位置がGPSロストを表すものであるとき(S132:Yes)、携帯端末3と車両101との距離を無限大とする(S133)。こうすることで、車両と携帯端末(すなわち、ユーザ)との距離を演算できないとき、不正動作防止情報は、機能の動作を許可しない旨を含むので、携帯キーの不正動作を防止できる。この後、本処理を終了する。
【0071】
一方、携帯端末3の位置が適正であるとき(S132:No)、メモリ33に記憶してある車両101の位置を読み出す(S134)。次に、車両101の位置が適正であるか否かを判定する。車両101の位置が適正でない(GPSロストを表すものである)とき(S135:Yes)、
図7でスタートさせたタイマを停止する(S137)。
【0072】
次に、停止させたタイマの現在値(すなわち、携帯キー2から車両位置情報を受信してからの経過時間に相当)に基づいて、携帯端末3と車両101との距離を推定する(S137)。例えば、タイマ値と距離との関係をマップ値としてメモリ33に記憶し、タイマ値に基づくマップ補間により距離を求める。マップ値は、例えば、ユーザが車両101のドアを施錠して所定時間(例えば、車両101の状態を確認する時間)経過した後、車両101から遠ざかっていくことを想定して設定する。この後、本処理を終了する。
【0073】
上述の構成が、「距離演算部は、携帯キーから受信した車両位置情報に車両の位置が含まれていないとき、あるいは、携帯端末位置取得部が携帯端末の位置を取得できないとき、携帯キーから車両位置情報を受信してから、携帯端末位置取得部が携帯端末の位置を取得できたときまでの時間に基づいて、距離を推定演算する」ものである。
【0074】
例えば、地下駐車場のようなGPS信号を受信できない場所に駐車したとき、携帯端末がGPS信号を受信できるようになったということは、ユーザが、車両からGPS信号を受信できる地点まで離れたと考えられる。上記構成によって、時間か車両と携帯キーとの距離を推定できる。
【0075】
一方、車両101の位置が適正であるとき(S135:No)、取得した携帯端末3の位置と、メモリ33から読み出した車両101の位置とに基づいて、携帯端末3と車両101との距離を演算する(S138)。この後、本処理を終了する。
【0076】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。