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特許6336961膨張式のエアバッグシステムと共に使用するための小型の点火器組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336961
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】膨張式のエアバッグシステムと共に使用するための小型の点火器組立体
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20180528BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B60R21/264
   B01J7/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-506992(P2015-506992)
(86)(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公表番号】特表2015-519245(P2015-519245A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013030133
(87)【国際公開番号】WO2013158245
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】13/450,205
(32)【優先日】2012年4月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597065363
【氏名又は名称】オートリブ エーエスピー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ハバード, ライアン マーク
(72)【発明者】
【氏名】キダ, ジェフ
【審査官】 野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−155858(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3038474(JP,U)
【文献】 特開平05−105027(JP,A)
【文献】 米国特許第04225206(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/16−21/33
B01J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグシステムのインフレータと共に用いるよう適合された小型の点火器組立体であって、前記点火器組立体は、
内部に開口を備えるアダプタ;
点火部;及び
前記点火部に電気的に連結された、前記点火部から前記アダプタの前記開口へと第1の方向に延在する複数の導体を
含むイニシエータを備え、
前記アダプタの前記開口は、前記複数の導体が延在する前記第1の方向を横断する第2の方向に開口内へと摺動したコネクタを受承するよう成形され、
前記点火器組立体は、前記アダプタの前記開口内に配置するためのコネクタを更に備え、前記コネクタは複数の端子を含み、各前記端子は前記イニシエータの前記複数の導体のそれぞれの導体に連結するよう適合され、
前記点火器組立体は、前記コネクタに連結された挿入保証部品を更に備え、前記挿入保証部品は、前記コネクタが前記アダプタの前記開口内へと挿入される際に、前記アダプタの前記開口内に配置される孔であって、前記第の方向に延びる孔内へと延在して前記コネクタを固定するよう適合されている、点火器組立体。
【請求項2】
前記複数の端子の各端子は、導電ピンとして形成されたそれぞれの前記導体を受承及び少なくとも部分的に包含するよう適合されたクリップを備える、請求項1の点火器組立体。
【請求項3】
前記イニシエータの前記複数の導体の各導体は、導電ピンを備える、請求項1の点火器組立体。
【請求項4】
前記アダプタは、前記コネクタが前記開口内へと摺動できる入口を含み、
前記入口は前記アダプタの側面に位置決めされる、請求項1の点火器組立体。
【請求項5】
前記アダプタの一部は、挿入された前記コネクタの第2の方向を横断する動きを制限するために、前記開口の少なくとも一部に亘って延在するよう成形される、請求項1の点火器組立体。
【請求項6】
膨張式のエアバッグシステムと共に用いるよう適合されたインフレータであって:
内部に多量のガス発生剤を閉じ込める本体;並びに
前記本体に連結し、少なくとも部分的に前記本体内に、多量のガス発生剤と十分に連通するように位置決めすることで、展開中に膨張ガス供給を生成するための反応を開始させることができるイニシエータであって:
内部に形成された開口を含むアダプタであって、前記開口への入口が前記アダプタの側面に位置決めされたアダプタ;
点火部;及び
前記点火部に電気的に連結された、前記点火部から前記アダプタの前記開口へと第1の方向に延在する複数の導体
を備えるイニシエータを備え、
前記インフレータは、前記第1の方向を横断する第2の方向に挿入して前記アダプタの前記開口内に配置するためのコネクタを更に備え、前記コネクタは、各々が前記イニシエータのそれぞれの導体に連結するよう適合された複数の端子を含み、
前記インフレータは、前記コネクタに連結された挿入保証部品を更に備え、前記挿入保証部品は、前記コネクタが前記アダプタの前記開口内へと挿入される際に前記アダプタ内の前記開口内に配置される孔であって、前記第の方向に延びる孔内へと延在して前記コネクタを固定するよう適合されている、
インフレータ。
【請求項7】
前記複数の端子の各端子は、前記イニシエータのそれぞれの前記導体を受承及び少なくとも部分的に包含するよう適合されたクリップを備える、請求項6のインフレータ。
【請求項8】
前記イニシエータの前記アダプタは、前記本体に連結される、請求項6のインフレータ。
【請求項9】
前記イニシエータの前記複数の導体の各導体は、導電ピンを備える、請求項6のインフレータ。
【請求項10】
前記アダプタの前記開口は、前記複数の導体が延在する前記第1の方向を横断する第2の方向からコネクタを受承するよう構成される、請求項6のインフレータ。
【請求項11】
前記アダプタは、挿入された前記コネクタの前記第2の方向を横断する動きを制限するために、前記開口の少なくとも一部に亘って延在するよう成形された部分を含む、請求項6のインフレータ。
【請求項12】
膨張式のエアバッグクッションシステムと共に用いるよう適合されたインフレータを形成する方法であって、前記方法は:
インフレータ本体を形成すること;
前記本体内に多量のガス発生剤を配置すること;
イニシエータを形成することであって、前記イニシエータは:
点火部;
内部に形成された開口であって、コネクタ挿入方向に前記開口内へと摺動したコネクタを受承するよう適合された前記開口を含む、アダプタ;及び
前記点火部に電気的に連結された複数の導体であって、前記点火部から前記アダプタの前記開口へと、前記コネクタ挿入方向を横断する方向に延在する、複数の導体
を備える、イニシエータを形成すること;並びに
前記イニシエータを少なくとも部分的に前記本体内に、前記多量のガス発生剤と十分に近接して位置決めすることで、展開中に膨張ガス供給を生成するための反応を開始させることができる、位置決めすること、
を含み、
複数の端子の各端子が前記イニシエータの前記複数の導体のそれぞれの導体に電気的に連結されるまで、前記コネクタを前記アダプタの前記開口内へと前記コネクタ挿入方向に挿入することを更に含み、
前記コネクタが十分に挿入された際に、前記アダプタの開口内に配置されて前記複数の導体が延在する方向に延びる孔内に挿入保証部品の一部を位置決めすることであって、これにより前記複数の端子の各端子がそれぞれの導体に電気的に連結される、位置決めすることを更に含む、方法。
【請求項13】
前記イニシエータを少なくとも部分的に前記本体内に位置決めすることは、前記イニシエータの前記アダプタが前記インフレータの本体に連結されるよう配置することを含む、請求項12の方法。
【請求項14】
前記コネクタを前記アダプタの前記開口に挿入することは、前記アダプタの側面に位置する入口から前記コネクタを前記開口内へと摺動することを含む、請求項12の方法。
【請求項15】
前記複数の端子の各端子がそれぞれの導体に電気的に連結されるまで、前記コネクタを前記アダプタの前記開口内へと挿入することは、クリップとして構成された前記各端子をそれぞれのピン形状の導体に連結することを含む、請求項12の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、自動車両用の膨張式のエアバッグクッションに関する。より具体的には、本開示の様々な実施形態は、エアバッグクッションのインフレータ、このようなインフレータと共に使用するための自動車用コネクタ、並びに自動車両用の膨張式のエアバッグシステムで使用されるインフレータ及び自動車用コネクタを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自動車両は通常、乗員が介在する必要なく非展開状態から展開状態へと自己作動する様々な乗員保護システムを採用している。このようなシステムは、一般に「エアバッグクッション」と呼ばれる、クッション又はバッグの形態の膨張式の乗員保護システムを備え、これは現在多くの新型車両の法的要件となっている。通常、このようなエアバッグクッションは、車両の様々な位置に設置してよく、乗員と、ドア、ハンドル、計器盤、ダッシュボード等の車両内装の特定の部分との間の車両内の1つ又は複数の位置に配備することで、乗員がこのような車両内装の部分に強制的にぶつかるのを防ぐか、又はこのような場合に乗員を保護できる。
【0003】
車両内の乗員の位置又は配置及び車両衝突の方向又は性質との一方又は両方に基づいた所望の車両乗員保護を提供するために、様々な種類又は形態の乗員保護システムが開発され、適合されてきた。例えば、運転者又は乗客用の膨張式のクッション設備は、正面衝突の場合において運転者及び前方座席の乗客それぞれに保護を提供するために、広く用いられている。他の設備は、(例えば側面衝突、転覆等の)側面衝撃の場合において車両乗員の保護を提供するために、広く用いられている。
【0004】
エアバッグクッションは従来、必要な空間を最小限にするために、非膨張かつ折り畳まれた状態で収容される。事故発生時には、車両内の加速度計が異常な減速を測定し、一般に「インフレータ」と呼ばれるデバイスが供給又は生成する急速膨張ガスの圧出を引き起こす。この膨張ガスがエアバッグを充填すると、エアバッグは運転者及び/又は乗客の前で即座に膨張して、フロントガラス、ダッシュボード又は他の車両内装の表面に対する衝撃からの保護を提供する。
【0005】
インフレータは通常、インフレータ内に収容されたガス発生剤を点火するために自動車用コネクタと連結されたイニシエータ(又はスクイブ)を備えた、点火器組立体を備える。図1は従来技術の点火器組立体100の実施例の側面図である。一般には、点火器組立体100のイニシエータ102は点火部104を含み、この点火部104は、点火部104から軸方向外側に延在する複数の導電ピン106と連結されている。自動車用コネクタ108は、導電ピン106を受承することによりイニシエータ102に連結される。通常、矢印110で示すような、導電ピン106が点火部104から延在するのと同じ方向に、導電ピン106上に自動車用コネクタ108を配置することにより、自動車用コネクタ108をイニシエータ102に連結する。点火部104は通常、自動車用コネクタ108から導電ピン106を介して電気信号を受信することにより点火される。図示したように、従来の自動車用コネクタ108は通常、比較的大型である。即ち、自動車用コネクタ108の(図1に示す配向において)下端から上端までのサイズは一般に比較的大きい。従って、点火部104の下から自動車用コネクタ108の上までの点火器組立体の全体のサイズ112は通常は比較的大きく、これにより、インフレータの全設置面積に相当なサイズが付加される場合があり、及び/又は他のインフレータ構成部品のための空間を使い切ってしまう場合がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の様々な実施形態は、比較的小型であり、かつ膨張式のエアバッグクッションシステム用のインフレータと共に使用するように適合された点火器組立体を備える。1つ又は複数の実施形態では、点火器組立体は、内部に形成された開口を有するアダプタを備えたイニシエータ、点火部、及びこの点火部に電気的に連結された、点火部からアダプタの開口へと第1の方向に延在する複数の導体を備えてよい。アダプタの開口は、複数の導体が延在する第1の方向を横断する第2の方向に開口内へと摺動したコネクタを受承するように形成してよい。少なくともいくつかの実施形態では、コネクタをアダプタの開口内に配置するよう適合してよい。このようなコネクタは複数の端子を備えてよく、各端子はイニシエータの複数の導体のそれぞれの導体に連結されるように適合される。
【0007】
本開示の更なる実施形態は、小型の点火器組立体を備える、エアバッグシステムのインフレータを含む。様々な実施形態によると、インフレータは、その中に多量のガス発生剤を閉じ込める本体を備える。イニシエータを本体に連結し、少なくとも部分的に本体内に位置決めし、上記多量のガス発生剤と十分に連通させることで、展開中に膨張ガス供給を生成するための反応を開始させることができる。イニシエータは、その内部に形成された開口を有するアダプタを含んでよく、開口への入口はアダプタの側面に位置決めされる。イニシエータは、点火部、及び点火部に電気的に連結された、点火部からアダプタの開口へと第1の方向に延在する複数の導体を更に備えてよい。少なくともいくつかの実施形態では、コネクタをアダプタの開口内に配置するよう適合してよい。コネクタは複数の端子を備えてよく、各端子はイニシエータのそれぞれの導体に連結されるように適合される。
【0008】
本開示の他の実施形態は、小型の点火器組立体を備えるエアバッグシステムのインフレータを形成する方法を含む。このような方法の1つ又は複数の実施形態は、インフレータ本体を形成すること及びこの本体内に多量のガス発生剤を配置することを含んでよい。イニシエータは、点火部、コネクタ挿入方向に開口内へと摺動したコネクタを受承するよう適合された開口を備えるアダプタ、及びこの点火部に電気的に連結された複数の導体を備えるよう形成してよい。複数の導体は、点火部からアダプタの開口へと、開口内にコネクタを受承するためのコネクタ挿入方向を横断する方向に延在してよい。イニシエータを、少なくとも部分的に本体内に位置決めして、上記多量のガス発生剤と十分に近接させることで、展開中に膨張ガス供給を生成するための反応を開始させることができる。少なくともいくつかの実施形態では、複数の端子の各端子がイニシエータの複数の導体のそれぞれの導体に電気的に連結されるまで、コネクタをアダプタの開口内へとコネクタ挿入方向に挿入してよい。
【0009】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面との関連で理解される以下の説明及び添付の請求項から、より完全に明らかになるであろう。これらの図面は単に例示的な実施形態を図示したものであり、従って本開示の請求の範囲を制限するものと見做すべきものではないことを理解した上で、本開示の例示的な実施形態を、添付の図面の使用により、更なる具体性及び詳細と一緒に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、点火器組立体の従来技術の実施例の側面図である。
図2図2は、本開示の少なくとも1つの実施形態によるエアバッグインフレータを示す等角図である。
図3図3は、少なくとも1つの実施形態によるインフレータの、図2の線3−3に沿った横断面図である。
図4図4は、少なくとも1つの実施形態による点火器組立体の、図2の線3−3に沿った横断面図である。
図5図5は、少なくとも1つの実施形態による点火器組立体の、図2の線5−5に沿った横断面図である。
図6図6は、少なくとも1つの実施形態によるアダプタの内側部分の例を示す点火器組立体の横断上面図である。
図7図7は、少なくとも1つの実施形態による開口の例を示すアダプタの等角図である。
図8図8は、少なくとも1つの実施形態による点火器組立体の等角図である。
図9図9は、インフレータを形成するための方法の少なくとも1つの実施形態を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で提示される図面は、場合によって、いずれの特定のコネクタ、イニシエータ、点火器組立体又はインフレータの実際の図ではなく、本デバイス及び方法を説明するために用いる、単に理想的に表現された図である。更に、複数の図面間で共通の要素には、同じ参照番号を付している場合がある。
【0012】
本開示の様々な実施形態は、自動車両用の膨張式のエアバッグシステムで使用するためのエアバッグクッションインフレータを含む。図2は、本開示の少なくとも1つの実施形態によるエアバッグインフレータ200を示す等角図である。インフレータ200を、散布部材202及び基礎部材204を含むディスク形状のインフレータとして形成できる。散布部材202及び基礎部材204は、従来の様式(例えば、溶接、接着、機械的手段等)で一体に連結され、本体206を形成する。
【0013】
散布部材202は、その横径周りの横側壁に皿状の構成を備えてよい。散布部材202の側壁は、展開中に膨張ガスがそれを通してインフレータ200から抜けることができる1つ又は複数の孔208を含んでよい。
【0014】
基礎部材204もまた、その横径周りの横側壁に同様の皿状の構成を備えてよい。基礎部材204を、少なくとも1つの点火器組立体210を受承し、それと連結するように構成してよい。即ち、基礎部材204は、1つ又は複数の点火器組立体210を受承し、それと連結するように適合された孔を含んでよい。
【0015】
本開示の特徴によると、点火器組立体210は、従来の点火器組立体と比べて比較的小型に構成される。点火器組立体210を小型にすることで、点火器組立体210が占める全体の空間(例えば点火器組立体210の「設置面積」)を有意に削減できる。このように点火器組立体210の設置面積を削減することにより、他のインフレータ部品のために利用できる追加の空間を生み出すことができ、及び/又はインフレータ200の全体のサイズ(若しくは設置面積)を有意に削減できる。換言すると、本明細書に記載の小型の点火器組立体210によって空間を解放することで、インフレータ200は、性能を向上できる追加の若しくは大型の部品を収容でき、及び/又はインフレータ200はより小さい幾何学的形状で同等の性能を維持できる。
【0016】
図2の線3−3に沿ったインフレータ200の横断面図である図3に示すように、点火器組立体210は、コネクタ306に連結されたイニシエータ304を含む。イニシエータ304は本体206に対して、多量のガス発生剤302と十分に連通するように位置決めされ、これによってインフレータ200の展開中に膨張流体の供給を生成するためのガス発生剤302の反応(例えばガス発生剤302の変換)を開始させることができる。イニシエータ304は一般に、センサ(図示せず)が衝突を検知すると生成されるような電気信号を、コネクタ306を介して受信すると、このような多量のガス発生剤302の反応を開始するよう適合される。一般に、電気的信号によりイニシエータの点火部308を点火してよく、これにより高温の点火ガスが点火部308からガス発生剤302に向かって吐出される。いくつかの実装形態では、ガス発生剤302の反応を開始するのを補助するために、着火時に点火部308に対して加速剤310を配備してよい。
【0017】
ガス発生剤302の反応を開始すると、散布部材202の孔208を通して本体206から外向きに流れるように膨張ガスの供給が生成される。フィルタ312を設けてよく、このフィルタ312は、膨張ガスが散布部材202の孔208へと流れている間に膨張ガスからデブリ及び熱を除去するよう適合される。従って、多量のガス発生剤302と散布器202内の孔との間のインフレータ200の本体206内に、フィルタ312を設けてよい。
【0018】
ここで、少なくとも1つの実施形態による点火器組立体210の図2の線3−3に沿った横断面図である図4、及び少なくとも1つの実施形態による点火器組立体210の図2の線5−5に沿った横断面図である図5に移る。なお、点火器組立体210は、コネクタ306に連結されたイニシエータ304を含む。様々な実施形態によると、コネクタ306は、(図4に示す配向において)側面方向から、イニシエータ304に摺動可能に連結される。側面から挿入するこのような構造により、コネクタ306を有意に低くすることができ、これは実質的に更に小型の点火器組立体210に寄与する。即ち、側面から挿入するタイプの連結に適合したコネクタ306により、点火部308の下からコネクタ306及び/又はアダプタ402の上までの全体の高さHを削減できる。例えば、図1に示すようないくつかの従来型の組立体では、全体の高さ112は約26.2mm〜28.6mmである。一方、本開示の少なくとも1つの実施形態では、図4の全体の高さHは約15.9mmであり、従来型の組立体より高さが約40%〜44%削減されている。
【0019】
イニシエータ304は、イニシエータ304をインフレータ200の本体206に連結するよう成形されたアダプタ402を含む。少なくともいくつかの実施形態では、アダプタ402は、基礎部材204の側壁の一部を囲むように形成される射出成型材料を備えてよい。点火部308は、図4及び5には示していないが、火工材料に囲まれた点火ビーズ等、一般に公知の従来の部品を備えてよい。
【0020】
図5に示すように、イニシエータ304はまた、点火部308に連結された複数の導体404を含む。複数の導体404は、点火部308からアダプタ402を通して、アダプタ402の上部又は近位部に形成された開口406へと延在する。いくつかの実施形態では、導体は一般に、ピン形状であってよい。このような実施形態では、導体404は、開口406内へと短い距離だけ延在してよい。例えば、少なくとも1つの実施形態では、導体404は開口406内へと約2ミリメートルの距離だけ延在する。他の非限定的な実施例では、導体404は開口406内へと、開口406の表面と少なくとも実質的に平坦又は連続的でありながら開口内に露出するのに十分な距離だけ延在する。即ち、導体404は、導体404が開口406の表面と少なくとも実質的に連続するように、約0ミリメートルだけ開口406内へと延在してよい。限定するものではないが例えば、導体404を開口406内へと、約0ミリメートル〜約2ミリメートルの範囲のいずれの距離だけ延在するように構成してよいが、特定の実装形態によっては他の距離を適用してもよい。このような比較的短いピンの露出により、ピンの湾曲(これはコネクタ306とイニシエータ304との連結を困難にし、ピンが互いに接触すると短絡を形成してしまう)を低減又は排除することさえできる。
【0021】
図4から最もよく分かるように、コネクタ306はアダプタ402の開口406の少なくとも一部内に位置決めされる。コネクタ306は、コネクタ306を開口406内へと(図4に示す配向において)側部から矢印407の方向に摺動させることにより、開口406内に配置できる。即ち、コネクタ306は、コネクタ306を開口406内へと、導体404が点火部308から延在する配向を横断する方向407に摺動させることにより、開口406内に配置できる。
【0022】
コネクタ306は一般に、その中で複数の導電素子410が延在できるハウジング408を備える。ハウジング408は電気絶縁材料からなってよい。導電素子410は、センサに通信可能に連結して、衝突を検知すると生成される電気信号を送信するよう適合させることができる。フェライトビーズ412をハウジング408内に位置決めして、複数の導電素子410を取り囲んでよい。即ち、導電素子410は、フェライトビーズ412内の1つ又は複数の孔を通って延在してよい。フェライトビーズ412は、外部から導電素子410に誘導される電磁及び無線周波数による干渉からの保護を提供する。
【0023】
ある特徴によると、点火器組立体210の様々な実施形態は、コネクタ306の一部に連結された挿入保証部品414を含んでよい。挿入保証部品414は、コネクタ306が開口406内に十分に挿入されていることの指標を提供でき、コネクタ306を開口406内に保持する、固定する、又はその両方を行うことができる。1つ又は複数の実施形態では、図4に示すように、挿入保証部品414は、コネクタハウジング408の一部を通って延在できるか、又はそうでない場合はコネクタハウジング408の一部に連結できる。コネクタ306が開口406内に十分に挿入されている場合、挿入保証部品414上の突出部は、アダプタ402の孔416へと入ることができる。孔416は、コネクタ306が開口406内に十分に配置された際に挿入保証部品414が孔416と係合するよう、複数の導体404に対して位置決めされ、これによりコネクタ306は複数の導体404と電気接続する。更に、挿入保証部品414を孔416内に固定することにより、意図せずにコネクタ306が摺動して開口406から外れないことを保証するロック機構も提供できる。
【0024】
ここで図6を参照すると、点火器組立体210の横断上面図が示されている。図示したように、コネクタ306のハウジング408内に延在する複数の導電素子410は、それぞれの端子602と連結される。様々な実施形態によると、複数の端子602は、それぞれの導電素子410と一体化できるか、又はそれぞれの導電素子410に(例えば圧着、溶接、はんだ付け等で)電気的に連結された別個の部品とすることができる。各端子602は、イニシエータのそれぞれの導体404と接触するよう適合される。図示した実施形態では、導体404は導電性ピンとして構成されており、複数の端子602は、それぞれのピンを受承及び少なくとも部分的に包含するクリップとして構成されている。しかしながら、このようなピン及びクリップの構成は単なる例であり、複数の端子602と導体404との間の電気的接触を生み出すための他の様々な構成が可能であることは明らかである。
【0025】
図7は、少なくとも1つの実施形態による開口406の実施例を示すアダプタ402の等角図である。開口406は、(図7に示す配向において)コネクタを上から受承するのとは対照的に、側面からコネクタを受承するよう形成される。換言すると、開口406は、コネクタ(例えば図3のコネクタ306)が開口内へと、(図5に示すように)導体404が点火部308から延在する配向を横断する方向に摺動できるように適合される。図示した実施形態では、開口406は、アダプタ402の側面に位置決めされた開口406への入口702を備え、コネクタはこの入口702を通って、まず開口406内へと入ることができる。挿入保証部品414(図4参照)を採用した実施形態では、開口406は、挿入保証部品414を受承するための孔416を含む。
【0026】
少なくともいくつかの実施形態では、挿入されたコネクタの動きを制限するために開口406の少なくとも一部に亘って延在するよう適合された1つ又は複数のコネクタ保持特徴部704を備えるように、アダプタ402を形成してよい。図7に示す実施形態では、コネクタ保持特徴部704は、挿入されたコネクタの上面に亘って延在するよう適合された突出部を備える。このような突出部により、挿入されたコネクタの、コネクタ挿入の方向を横断する方向の動きを制限できる。
【0027】
開口406は更に、キー溝706を含んでよい。キー溝706は、(図3のコネクタ306等の)コネクタのハウジング408内の突出部(図示せず)に対応できる。キー溝706は従って、コネクタが上下逆さまに挿入されること(これによりコネクタ306の複数の端子602を誤った導体404に接続され得る)がないことを保証できる。しかしながら他の実施形態では、コネクタ306は、いずれの方向でもアダプタ402に連結されるよう適合でき、これによりコネクタ306に対する上側又は下側が存在しなくなり、有利である。
【0028】
図8は、アダプタ402の開口406内に挿入されたコネクタ306を示す点火器組立体210の等角図である。図示したように、コネクタ保持特徴部704は、コネクタ306の一部に亘って延在する。また、挿入保証部品414が下方の位置に示されているが、これは挿入保証部品414の突出部が孔416(図4に示す)内へと挿入されていることを意味しており、かつ複数の端子602(図6)がイニシエータ304のそれぞれの導体404(図6)に連結されていることを示す。
【0029】
本開示の更なる実施形態は、エアバッグ設備で使用するためのインフレータを形成する方法に関し、このインフレータは小型の点火器組立体を含む。図9は、図2〜6で示される点火器組立体210等の点火器組立体を含むインフレータを形成するための方法の少なくとも1つの実施形態を示すフロー図である。図9を参照し、かつ図2〜7の要素を参照すると、方法900は、ステップ902においてインフレータ本体を形成することを含む。例えばインフレータ本体は、基礎部材204に連結された散布部材202を含むディスク形状のインフレータ本体206を備えてよい。ガス発生剤302等の多量のガス発生剤を、ステップ904において本体内に配置してよい。
【0030】
ステップ906において、点火部、アダプタ、及び点火部に電気的に連結されかつ点火部からアダプタの開口へと延在する複数の導体を用いて、イニシエータを形成する。例えば、図4及び5に示すように、このイニシエータは、イニシエータ304と同様に、アダプタ402、点火部308、及び複数の導体404を用いて実現してよい。アダプタ402は、このアダプタ402内に形成され、かつコネクタ挿入方向(即ち第2の方向)に摺動したコネクタを受承するよう適合された、開口406を備えてよい。複数の導体404は、点火部308に電気的に連結しよく、かつ点火部308からアダプタ402の開口406へと導体が延在する方向(即ち第1の方向)に延在してよく、ここで導体が延在する方向(即ち第1の方向)はコネクタ挿入方向(即ち第2の方向)を横断する。
【0031】
ステップ908において、イニシエータ(例えばイニシエータ304)を、少なくとも部分的に本体206内に、ガス発生剤302と十分近接して位置決めしてよく、これにより展開中に膨張ガス供給を生成するための反応を開始させることができる。イニシエータ304を少なくとも部分的に本体206内に位置決めする一方で、アダプタ402を本体206の基礎部材204と連結するように配置してよい。
【0032】
ステップ910において、各端子がイニシエータの複数の導体のそれぞれの導体に電気的に連結するまで、コネクタをアダプタの開口内へと挿入できる。本明細書中で上述したように、アダプタ402等のアダプタは、図7に示すように側面に位置する入口702を有する開口406を含むことができる。従ってコネクタ306等のコネクタは、コネクタ306を入口702から、イニシエータの複数の導体404により定義される第1の方向を横断する第2の方向に摺動させることにより、開口406内へと挿入できる。少なくともいくつかの実施形態では、図6に示すように、コネクタの複数の端子602は、それぞれのピン形状の導体404にクリップ留めされたクリップを備えることができる。コネクタ306はまた、複数の端子をそれぞれの導体に電気的に連結する際に、アダプタ402内の孔416内へと延在する挿入保証部品414(図4を参照)を備えてよい。
【0033】
処理動作を連続したプロセスとして説明及び図示したフローチャートにおいて上述の方法900を示したが、これらの動作の多くは、別のシーケンスにおいて、又は並行して、又は実質的に同時に実施できることを理解されたい。更に、動作の順番は再構成してよい。
【0034】
本発明は、本明細書中で概説した及び後に請求されるような、構造、方法、又は他の重要な特徴を逸脱することなく、他の具体的な形態で実現してよい。上述の実施形態は、その全ての点において単なる例示として考慮されるべきものであり、限定的なものではない。従って、本発明の範囲は、上述の説明によってではなく、添付の請求項によって示される。請求項の意味内及び均等物の範囲内の全ての変更は、これら請求項の範囲内に包含されるべきものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9