【実施例】
【0083】
実施例1−(1):α−コノトキシンLvIA/LvD21遺伝子のクローニングと配列解析
1.タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)のゲノムDNAの抽出
タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の生きた身を海南島と西沙諸島の沿岸地域から収集し、スタンバイ使用のために−80℃で保存した。コーンシェルの毒腺を解剖し、秤量した。毒腺のゲノムDNAを海洋動物のゲノムDNA抽出キット(中国北京天根生化学科学技術有限公司から購入)を用いて抽出し、ここで、具体的な工程はキットの仕様を参照して実行され;又は、参考文献、例えばZheng Xiaodong, Gao Bingsen, Li Baozhu, Peng Chao, Wu Aiying, Zhu Xiaopeng, Chen Xin, Zhangsun Dongting, Luo Sulan, Screening primer for novel type α-conotoxin genetic clone, Chinese Journal of Biotechnologies, 2011, 21(4): 40-44を参照して実行された。
【0084】
抽出された毒腺ゲノムの全DNAを100μLのTEに溶解し、5μLを1.0%アガロースゲル電気泳動のために使用し、ここで、λ−EcoT14 I消化物DNAマーカーを標準物質とし、得られたDNAの完全性及びサイズを測定した。OD
260、OD
280、及びDNA溶液のOD
260/OD
280比を測定するために、核酸/タンパク質用分析機を使用し、DNAの濃度(μg・ml
-1)、純度及びDNA収率(μg・g
-1)を計算した。
【0085】
抽出されたDNAを、コノトキシンの遺伝子クローニングと以下のPCR増幅のための鋳型として使用した。
【0086】
2.PCR反応、及びその生成物のクローニング、配列決定及び配列解析
α−CTx前駆体遺伝子のイントロン配列とその3’−末端非翻訳領域(3’−UTR)配列に従って、α−CTx特異的プライマーが設計される。
上流イントロンプライマー配列:
【化2】
下流3’−UTRプライマー配列:
【化3】
各プライマーは、18塩基を有するオリゴヌクレオチド断片であった。
【0087】
抽出されたゲノムDNAの原料溶液を希釈し、PCR増幅の鋳型として使用した。以下のPCR増幅系と反応条件が使用された。
【0088】
【化4】
【0089】
PCR特異的増幅産物を回収し、T−easyベクター(Promega)に連結し、次に大腸菌XL1株(他の市販のコンピタントな大腸菌を使用することもできる)を形質転換するのに使用し、青−白コロニーとアンピシリン耐性を使用して組み換え体を取り上げ、組み換えプラスミドを抽出し、精製し、そして配列解析に使用した。以下の配列決定結果が得られた:
【化5】
【0090】
上記配列において、イタリック体はイントロンであり、プライマーに対応する。
【0091】
得られたPCR特異的増幅産物配列をDNAStarソフトウェアを使用して解析して、これにコードされるタンパク質配列である3’−非翻訳(UTR)領域を得た。配列解析と比較により、本発明の新規α4/7−CTx LvIA/LvD21の前駆体遺伝子(すなわち、配列番号1の下線部分)が得られ、これは、以下のようにLvIA/LvD21コノトキシンプロペプチドをコードするヌクレオチド配列であった(114アミノ酸):
【化6】
【0092】
前駆体遺伝子とコノトキシンの特徴に従って、LvIA/LvD21コノトキシンプロペプチドが配列番号2に示されるアミノ酸配列(37アミノ酸)中にあると推定され、これはまた以下のように、以下の本明細書でα−コノトキシンLvIA/LvD21前駆体、又はα−LvIA/LvD21前駆体、又はLvIA/LvD21前駆体、又はLvIAもしくはLvD21前駆体とも呼ばれた:
【化7】
【0093】
コノトキシンプロタンパク質のシグナルペプチド、プロペプチド及び成熟ペプチドの予測を、オンラインProP 1.0サーバーを使用して行った(Duckert, P.; Brunak, S.; Blom, N., Prediction of proprotein convertase cleavage sites. Protein engineering, design & selection : PEDS 2004, 17 (1), 107-12.)。予測のための方法と機序は、Luo S, Zhangsun D, Zhang B, Quan Y, Wu Y. Novel alpha-conotoxins identified by gene sequencing from cone snails native to Hainan, and their sequence diversity. J Pept Sci. 2006,12 (11):693-704に見いだされる。誘導プロセスと結果もまた
図1に示される。
【0094】
プロペプチド配列に従って、成熟ペプチドLvIA/LvD21もまた誘導され、これは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有した(16アミノ酸、以後、α−コノトキシンLvIA/LvD21、又はα−LvIA/LvD21、又はLvIA/LvD21、又はLvIA又はLvD21として引用される):
【化8】
【0095】
LvIA/LvD21は、ジスルフィド結合連結方法がI−III、II−IV(
図2A〜B)であるα−CTx特異的CC−C−Cを有し、すなわち2つのジスルフィド結合は第1のシステインと第3のシステインとの間、及び第2のシステインと第4のシステインとの間に別々に形成された。LvIA/LvD21は4/7型α−CTxである(
図1及び
図2A〜B)。
【0096】
実際、本発明の成熟ペプチドLvIA/LvD21はまた、インビボ又はインビトロでプロペプチド(配列番号3又は6)を対応して処理することにより;任意には、アミド化酵素を使用してインビボ又はインビトロのC末端のアミド化により、得られるであろう。
【0097】
LvIA/LvD21をコードするヌクレオチド配列は以下の通りである(48塩基対):
【化9】
【0098】
本発明はさらに、第2のプロセッシング部位(プロセッシング2)に供されていない成熟ペプチドの配列(17アミノ酸):
【化10】
に関し、その対応するヌクレオチド配列は以下の通りである(54塩基対):
【化11】
【0099】
実施例1−(2):α−コノトキシンTxlB/Txd4遺伝子のクローニングと配列解析
1.タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)のゲノムDNAの抽出
海南島と西沙諸島の沿岸地域から収集されたタガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の生きた身を試験材料として使用し、スタンバイ使用のために−80℃で保存した。コーンシェルの毒腺をまず解剖して収集し、秤量した。海洋動物のゲノムDNA抽出キット(中国北京天根生化学科学技術有限公司から購入)を用いてゲノムDNAを抽出し、ここで、具体的な操作はキットの仕様を参照して実行された。コーンシェルの抽出されたゲノムの全DNAを100μLのTEに溶解し、5μLを取って1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、λ−EcoT14 I消化物DNAマーカーを標準物質として使用して、得られたDNAの完全性及びサイズを検出した。核酸/タンパク質用分析機を使用して、OD260、OD280、及びDNA溶液のOD260/OD280比を測定し、DNAの濃度(μg・ml
-1)、純度及びDNA収率(μg・g
-1)を計算した。抽出された完全なDNAを、コノトキシン遺伝子の次のPCR増幅で鋳型として使用した。
【0100】
2.PCR反応とクローニング、及びその生成物の配列決定と配列解析
PCR反応に使用される方法、システム、条件及びプライマーは実施例1−(1)のものと同じであるが、鋳型は、実施例1で抽出されたゲノムDNAの未加工液体の希釈された液体であった。
【0101】
回収されたPCR特異的増幅産物をT−easyベクター(Promega)に連結し、次に大腸菌XL1株(他の市販のコンピタントな大腸菌を使用することもできる)を形質転換するのに使用し、青−白コロニーとアンピシリン耐性を使用して組み換え体を取り上げ、組換えプラスミドを抽出し、精製し、そして配列解析に使用して、PCR特異的増幅産物の配列を得た。
【0102】
得られたPCR特異的増幅産物配列を、DNAStarソフトウェアを使用して解析して、そのコーディング配列、3’−非翻訳領域(UTR)配列を得た。配列解析により、本発明の新規α−CTx TxlB/Txd4の前駆体遺伝子が得られた(配列番号21)(
図10)。
【0103】
コノトキシン前駆体タンパク質のシグナルペプチド、プロペプチド及び成熟ペプチドの予測を、オンラインProP 1.0サーバーを使用して行った(Duckert, P.; Brunak, S.; Blom, N., Prediction of proprotein convertase cleavage sites. Protein engineering, design & selection : PEDS 2004, 17 (1), 107-12.)。
【0104】
前駆体遺伝子とコノトキシンの特徴に従って、TxlB/Txd4コノトキシンプロペプチドが推定され、これは、配列番号15に示されるように41アミノ酸を含むタンパク質配列を有した。
【0105】
プロペプチド配列に従って、成熟ペプチドTxlB/Txd4又はTxlB/Txd4(G)が推定され、これらは、配列番号11又は配列番号12に示されるように別々にアミノ酸配列を有し、ことからなる推定のための方法と原理は、Luo S, Zhangsun D, Zhang B, Quan Y, Wu Y. Novel alpha-conotoxins identified by gene sequencing from cone snails native to Hainan, and their sequence diversity. J Pept Sci. 2006,12 (11):693-704、及びオンラインソフトウェアProP 1.0サーバーに見ることができるであろう。
【0106】
この推定の結果の詳細は、
図10に見ることができるであろう。
【0107】
すべての成熟ペプチドはCC−C−Cのシステインパターンを有する。TxlB(G)はC末端にTxlBより1つ多いグリシン(G)を有し、従ってTxlBの類似体である。TxlB/Txd4又はTxlB/Txd4(G)は、ジスルフィド結合連結方法がI−III、II−IV(
図11、A〜B)であるα−CTx特異的CC−C−Cの特異的システインパターンを有し、すなわち2つのジスルフィド結合対は、第1のシステインと第3のシステインとの間、及び第2のシステインと第4のシステインとの間に別々に形成されることができる。TxlB/Txd4及びTxlB/Txd4(G)は4/7型α−CTxである(
図10及び
図11)。
【0108】
(1)配列番号11に示されるアミノ酸配列(成熟ペプチド)(本明細書では、α−コノトキシンTxlB/Txd4又はα−TxlB/Txd4又はTxlB/Txd4又はTxlBとも呼ばれる):
【化12】
好ましくは、C末端システイン(C)はアミド化されており、すなわちGCCSDPPCRNKHPDLC #(ここで、#はC末端アミド化を示す)で表される。
【0109】
(2)配列番号12に示されるアミノ酸配列(成熟ペプチド)(本明細書では、α−コノトキシンTxlB/Txd4(G)、又はα−TxlB/Txd4(G)、又はTxlB/Txd4(G)、又はTxlB(G)とも呼ばれる):
【化13】
好ましくは、C末端グリシン(G)はアミド化されており、すなわちGCCSDPPCRNKHPDLC G #(ここで、#はC末端アミド化を示す)で表される。
【0110】
理論に拘束されないが、グリシンに密接に隣接したシステイン(C、16番目の部位)のアミド化を与えるように、配列番号12の非アミド化C末端グリシン(17番目の部位)はアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号11(GCCSDPPCRNKHPDLC #)が得られるであろう。
【0111】
(3)配列番号13に示されるアミノ酸配列:
【化14】
【0112】
理論に拘束されないが、グリシンに密接に隣接した17番目の部位のグリシン(G)のアミド化を与えるように、配列番号13の18番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号12(GCCSDPPCRNKHPDLC G #)が得られるか、
又は、
グリシンに密接に隣接した16番目の部位のシステイン(C)のアミド化を与えるように、配列番号13の17番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号11(GCCSDPPCRNKHPDLC #)が得られるであろう。
【0113】
(4)配列番号14に示されるアミノ酸配列:
【化15】
【0114】
理論に拘束されないが、グリシンに密接に隣接した17番目の部位のグリシン(G)のアミド化を与えるように、配列番号14の18番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号12(GCCSDPPCRNKHPDLC G #)が得られるか、
又は、
グリシンに密接に隣接した16番目の部位のシステイン(C)のアミド化を与えるように、配列番号14の17番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号11(GCCSDPPCRNKHPDLC #)が得られるであろう。
【0115】
(5)配列番号15に示されるアミノ酸配列(本明細書において、α−コノトキシンTxlB/Txd4前駆体又はα−TxlB/Txd4前駆体又はTxlB/Txd4前駆体又はTxlB前駆体とも呼ばれる)(前駆体ペプチド):
【化16】
【0116】
(6)配列番号16に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド):
【化17】
【0117】
(7)配列番号17に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド又はコーディングTxIB(G)成熟ペプチド):
【化18】
【0118】
(8)配列番号18に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド又はコーディングTxIB(G)成熟ペプチド):
【化19】
【0119】
(9)配列番号19に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド又はコーディングTxIB(G)成熟ペプチド):
【化20】
【0120】
(10)配列番号20に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4又はTxlB(G)前駆体タンパク質配列):
【化21】
【0121】
(11)配列番号21に示されるヌクレオチド配列:
【化22】
【0122】
実施例1−(3):α−コノトキシンTxlC/Txd1遺伝子のクローニングと配列解析
1.タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の毒腺のゲノムDNAの抽出
海南島と西沙諸島の沿岸地域から収集されたタガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の生きた身を試験材料として使用し、スタンバイ使用のために−80℃で保存した。コーンシェルの毒腺をまず解剖して収集し、秤量した。海洋動物のゲノムDNA抽出キット(中国北京天根生化学科学技術有限公司から購入)を用いてゲノムDNAを抽出し、ここで、具体的な操作はキットの仕様を参照して実行し、毒腺のゲノムDNAを得た。
【0123】
抽出された毒腺のゲノムDNAを100μLのTEに溶解し、5μLを取って1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、λ−EcoT14 I消化物DNAマーカーを標準物質として使用して、得られたDNAの完全性及びサイズを検出した。核酸/タンパク質用分析機を使用して、OD
260、OD
280、及びDNA溶液のOD
260/OD
280比を測定し、DNAの濃度(μg・ml
-1)、純度及びDNA収率(μg・g
-1)を計算した。抽出されたDNAを、次のPCR増幅でコノトキシン遺伝子をクローニングするための鋳型として使用した。
【0124】
2.PCR反応とクローニング、及びその生成物の配列決定と配列解析
PCR反応に使用される方法、システム、条件及びプライマーは実施例1−(1)のものと同じであるが、鋳型は、実施例1で抽出されたゲノムDNAの未加工液体の希釈された液体であり、これは、3μg/mlの最終濃度を有した。
【0125】
8μlの増幅産物を、1.5%アガロースゲル電気泳動(90Vの電圧で20分)に供して、DL2000 DNAマーカーを標準物質として使用して増幅産物のサイズを検出した。
【0126】
PCR増幅産物を回収し、T−easyベクター(Promega)に連結し、次に大腸菌XL1株(他の市販のコンピタントな大腸菌を使用することもできる)を形質転換するのに使用し、青−白コロニーとアンピシリン耐性を使用して組み換え体を取り上げ、組換えプラスミドを抽出し、精製し、そして配列解析した。2つの配列決定結果(すなわち、配列番号22と配列番号23)(
図14、168塩基対)が得られ、これらはそれぞれ以下のように示される:
【化23】
【0127】
上記2つの配列は、77番目の部位の塩基のみで異なり、これは枠で印を付けた。
【0128】
得られたPCR特異的増幅産物配列をDNAStarソフトウェアを使用して解析して、これにコードされるタンパク質配列である3’−非翻訳領域(UTR)を得た。配列解析と比較により、本発明の新規α4/6−CTx TvlC/Txd1の前駆体遺伝子(すなわち、配列番号22と配列番号23の下線部分)が得られ、これらは、以下のようにTxlC/Txd1コノトキシンプロペプチドをコードするヌクレオチド配列であった(114アミノ酸):
【化24】
【0129】
前駆体遺伝子とコノトキシンの特徴に従って、TxlC/Txd1コノトキシンプロペプチドが配列番号26又は配列番号27に示されるアミノ酸配列(37アミノ酸)中にあると推定され、これはまた以下のように、以下の本明細書でα−コノトキシンTxlC/Txd1前駆体、又はα−TxlC/Txd1前駆体、又はTxlC/Txd1前駆体、又はTxlC前駆体とも呼ばれた:
【化25】
【0130】
コノトキシン前駆体タンパク質のシグナルペプチド、プロペプチド及び成熟ペプチドの予測を、オンラインProP 1.0サーバーを使用して行った(Duckert, P.; Brunak, S.; Blom, N., Prediction of proprotein convertase cleavage sites. Protein engineering, design & selection : PEDS 2004, 17 (1), 107-12.)。予測のための方法と機序は、Luo S, Zhangsun D, Zhang B, Quan Y, Wu Y. Novel alpha-conotoxins identified by gene sequencing from cone snails native to Hainan, and their sequence diversity. J Pept Sci. 2006,12 (11):693-704に見いだされる。誘導プロセスと結果もまた
図14に示される。
【0131】
プロペプチド配列に従って、成熟ペプチドTxlC/Txd1もまた誘導され、これは、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有した(以後、α−コノトキシンTxlC/Txd1、又はα−TxlC/Txd1、又はTxlC/Txd1、又はTxlCとして引用される):
【化26】
【0132】
TxlC/Txd1は、ジスルフィド結合連結方法がI−III、II−IV(
図15A)であるα−CTx特異的CC−C−Cシステインパターンを有し、すなわち2つのジスルフィド結合は第1のシステインと第3のシステインとの間、及び第2のシステインと第4のシステインとの間に別々に形成された。TxlC/Txd1は4/6型α−CTxである(
図14及び
図15A)。TxlC/Txd1は新しいα−コノトキシンであり、他のα−CTxとの配列と活性の比較は表6に示される。
【0133】
実際、本発明の成熟ペプチドTxlC/Txd1はまた、インビボ又はインビトロでプロペプチド(配列番号26又は27又は30)を対応して処理することにより得られる(例えば、
図14に示されるもの);任意には、アミド化酵素を使用してインビボ又はインビトロのC末端のアミド化により、得られるであろう。
【0134】
TxlC/Txd1をコードするヌクレオチド配列は以下の通りである(45塩基対):
【化27】
【0135】
本発明はさらに、第2のプロセッシング部位(プロセッシング2)に供されていない成熟ペプチドの配列(16アミノ酸):
【化28】
に関し、その対応するヌクレオチド配列は以下の通りである(51塩基対):
【化29】
【0136】
実施例2−(1):α−コノトキシンLvIA/LvD21の人工合成
α−コノトキシンLvIA/LvD21成熟ペプチドのアミノ酸配列(配列番号4、C末端はアミド化されている)に従って、LvIA/LvD21線形ペプチド(
図2)をFmoc法により人工的に合成した。具体的な方法は、以下の通りである。
【0137】
レジンペプチドは、Fmoc化学法により人工的に合成され、例えばポリペプチド合成装置又は手動の合成法により合成された。システインを除いて、残るアミノ酸は、標準的な側鎖保護基を用いて保護された。LvIA/LvD21に関して、2つ一組で、その1番目及び3番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Trt(S−トリチル)により保護され、そして2番目及び4番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Acm(S−アセトアミドメチル)により保護された。前記合成工程は、固相合成方法のFmoc及びFastMoc法を用いること、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置により3つの異性体線形ペプチドを合成することを含む。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Pmc(Arg)、Trt(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)、Boc(Lys)である。Fmoc HOBT DCC法、Rinkアミド化レジン及びFmocアミノ酸が用いられ、合成工程は、装置の合成マニュアルに従って行なわれた。合成を完了するために、ピペリジン脱保護時間及びカップリング時間はそれぞれ適切に延長され、二重結合は、結合することが困難なアミノ酸に用いられ、このようにしてレジンペプチドを得た。線形ペプチドを試薬K(トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/フェノール/チオアニソール;90:5:2.5:7.5:5、v/v/v/v/v)を用いてレジンから切断し、そして氷ジエチルエーテル沈殿及び洗浄に供し、そして線形ペプチドの粗生成物を回収し、分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を、精製のために用い、そして溶出線形勾配は0〜40分で0〜40% B90、40〜45分で40〜100% B90であった。溶液B90は90%ACN(アセトニトリル)、10% H
20、0.05% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.075% TFA水溶液である。214nmで紫外線吸収分析を行った。精製された線形ペプチドを、HPLC C18カラム(Vydac)での純度検出に供し(
図2C)、ここで、HPLC条件は、調製と精製のものと同じであり、流速は0.75ml/分であり、α−コノトキシンLvIA/LvD21線形ペプチドは、27.713分の出現時間を有した。
【0138】
LvIA/LvD21の線形ペプチドを、文献(Dowell, C.; Olivera, B. M.; Garrett, J. E.; Staheli, S. T.; Watkins, M.; Kuryatov, A.; Yoshikami, D.; Lindstrom, J. M.; McIntosh, J. M., Alpha-conotoxin PIA is selective for alpha6 subunit-containing nicotinic acetylcholine receptors. The Journal of neuroscience 2003, 23 (24), 8445-52.)に従って、2工程の酸化フォールディング反応に供し、そしてこれらの方法は手短に、以下のように記載される。
【0139】
まず、Trt保護基を有する2つのシステイン間のジスルフィド結合の一つ目の対をフェリシアン化カリウム法(20mM フェリシアン化カリウム、0.1M Tris、pH7.5、30分)により形成させた。一環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製後、ヨウ素酸化を行い(H
2O中10mM ヨウ素:トリフルオロ酢酸:アセトニトリル(容量で78:2:20、10分)、別の2つのシステインのAcmを除去し、そして同時に2つのシステイン間のジスルフィド結合の2つ目の対を形成させた(
図2B)。二環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製し、ジスルフィド結合がN末端からC末端の順番に対応するシステイン間で指向的に形成される、α○−コノトキシンを得て、LvIA/LvD21の出現時間が27.947分(
図2D)であり、質量分析(MS)により確認した。HPLC分析条件は以下の通りである:Vydac C18分取用逆相HPLCカラムを用い、線形勾配溶出は40分以内に行い、ここで、溶液Bは0〜40%、そして溶液Aは100〜60%であり;溶液Aは0.075% TFA(トリフルオロ酢酸)であり、溶液Bは0.05%TFA及び90%ACN(アセトニトリル)であり、流速は0.75ml/分である。214nmで紫外線吸収分析を行った。
【0140】
酸化フォールディング後のLvIA/LvD21の理論的な分子量(モノアイソトピック質量)は、測定された分子量に一致した:LvIA/LvD21のモノアイソトピック質量は1678.91Daであり、一方LvIA/LvD21の測定された分子量は1678.7977Daであり、これは1678.91Daの線形ペプチド分子量より4Da小さかった。比色分析アッセイを、280nmの波長下でポリペプチド濃度を検出するために用い、そしてポリペプチド濃度及び質量を、ランベルト・ベール(方程式)に従って、計算した。定量され、充分に折り畳まれたこれらの毒素ペプチドは、以後の実施例でその後の活性アッセイに用いた。
【0141】
実施例2−(2):α−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)の人工合成
α○−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)成熟ペプチドのアミノ酸配列(配列番号11及び12、両方C末端はアミド化されている)に従って、TxlB及びTxlB(G)線形ペプチド(
図11)をFmoc法により人工的に合成した。具体的な方法は、以下の通りである。
【0142】
レジンペプチドは、Fmoc化学法により人工的に合成され、例えばポリペプチド合成装置又は手動の合成法により合成された。システインを除いて、残るアミノ酸は、標準的な側鎖保護基を用いて保護された。TxlB及びTxlB(G)に関して、2つ一組で、その1番目及び3番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Trt(S−トリチル)により保護され、そして2番目及び4番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Acm(S−アセトアミドメチル)により保護された。前記合成工程は、固相合成方法のFmoc及びFastMoc法を用いること、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置により3つの異性体線形ペプチドを合成することを含む。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Pmc(Arg)、Trt(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)、Boc(Lys)である。Fmoc HOBT DCC法、Rinkアミド化レジン及びFmocアミノ酸が用いられ、合成工程は、装置の合成マニュアルに従って行なわれた。合成を完了するために、ピペリジン脱保護時間及びカップリング時間はそれぞれ適切に延長され、二重結合は、結合することが困難なアミノ酸に用いられ、このようにしてレジンペプチドを得た。線形ペプチドを試薬K(トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/フェノール/チオアニソール;90:5:2.5:7.5:5、v/v/v/v/v)を用いてレジンから切断し、そして氷ジエチルエーテル沈殿及び洗浄に供し、線形ペプチドの粗生成物を回収し、分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を、精製のために用い、そして溶出線形勾配は0〜40分で2〜42% B60、42〜47分で42〜100% B60であった。溶液B60は60%ACN(アセトニトリル)、40% H
20、0.05% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.075% TFA水溶液である。
【0143】
精製された線形ペプチドを、HPLC C18カラム(Vydac)での純度検出に供し、ここで、溶出勾配は0〜40分で2〜42% B60、42〜47分で42〜100% B60であり、流速は1ml/分であった。これは、最大95%以上の純度を有し、酸化フォールディングのために使用した。
【0144】
TxlB及びTxlB(G)の線形ペプチドを、文献(Dowell, C.; Olivera, B. M.; Garrett, J. E.; Staheli, S. T.; Watkins, M.; Kuryatov, A.; Yoshikami, D.; Lindstrom, J. M.; McIntosh, J. M., Alpha-conotoxin PIA is selective for alpha6 subunit-containing nicotinic acetylcholine receptors. The Journal of neuroscience 2003, 23 (24), 8445-52.)に従って、2工程の酸化フォールディング反応に供し、そしてこれらの方法は手短に、以下のように記載される。
【0145】
まず、Trt保護基を有する2つのシステイン間のジスルフィド結合の一つ目の対をフェリシアン化カリウム法(20mM フェリシアン化カリウム、0.1M Tris、pH7.5、30分)により形成させた。一環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製後、ヨウ素酸化を行い(H
2O中10mM ヨウ素:トリフルオロ酢酸:アセトニトリル(容量で78:2:20、10分))、別の2つのシステインのAcmを除去し、そして同時に2つのシステイン間のジスルフィド結合の2つ目の対を形成させた。二環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製し、ジスルフィド結合がN末端からC末端の順番に対応するシステイン間で指向的に形成される、α○−コノトキシンを得て、質量分析(MS)により確認した。
【0146】
酸化フォールディング後のTxlB及びTxlB(G)の理論的な分子量(モノアイソトピック質量)は、測定された分子量に一致した:TxlBのモノアイソトピック質量は1738.7Daであり、一方TxlBの測定された分子量は1738.6Daであった;TxlB(G)のモノアイソトピック質量は1795.7Daであり、一方TxlB(G)の測定された分子量は1795.6Daであった。比色分析アッセイを、280nmの波長下でポリペプチド濃度を検出するために用い、そしてポリペプチド濃度及び質量を、ランベルト・ベール方程式に従って、計算した。定量され、充分な折り畳まれたこれらの毒素ペプチドは、以後の実施例でその後の活性アッセイに用いた。
【0147】
実施例2−(3):α−コノトキシンTxlCの人工合成
α○−コノトキシンTxlC成熟ペプチドのアミノ酸配列(配列番号28、C末端はアミド化されている)に従って、TxlC線形ペプチド(
図15A)をFmoc法により人工的に合成した。具体的な方法は、以下の通りである。
【0148】
レジンペプチドは、Fmoc化学法により人工的に合成され、例えばポリペプチド合成装置又は手動の合成法により合成された。システインを除いて、残るアミノ酸は、標準的な側鎖保護基を用いて保護された。TxlCに関して、2つ一組で、その1番目及び3番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Trt(S−トリチル)により保護され、そして2番目及び4番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Acm(S−アセトアミドメチル)により保護された。前記合成工程は、固相合成方法のFmoc及びFastMoc法を用いること、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置により3つの異性体線形ペプチドを合成することを含む。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Pmc(Arg)、Trt(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)、Boc(Lys)である。Fmoc HOBT DCC法、Rinkアミド化レジン及びFmocアミノ酸が用いられ、合成工程は、装置の合成マニュアルに従って行なわれた。合成を完了するために、ピペリジン脱保護時間及びカップリング時間はそれぞれ適切に延長され、二重結合は、結合することが困難なアミノ酸に用いられ、このようにしてレジンペプチドを得た。線形ペプチドを試薬K(トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/フェノール/チオアニソール;90:5:2.5:7.5:5、v/v/v/v/v)を用いてレジンから切断し、そして氷ジエチルエーテル沈殿及び洗浄に供し、そして線形ペプチドの粗生成物を回収し、分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を、精製のために用い、そして溶出線形勾配は0〜40分で15〜50% B90、40〜45分で50〜100% B90であった。溶液B90は90%ACN(アセトニトリル)、10% H
20、0.5% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.65% TFA水溶液である。
【0149】
214nmで紫外線吸収分析を行った。精製された線形ペプチドを、HPLC C18カラム(Vydac)での純度検出に供し、ここで、溶出勾配は0〜40分で2〜42% B60、42〜47分で42〜100% B60であり、流速は1ml/分であった。これは、最大95%以上の純度を有し、酸化フォールディングのために使用した。
【0150】
TxlCの線形ペプチドを、文献(Dowell, C.; Olivera, B. M.; Garrett, J. E.; Staheli, S. T.; Watkins, M.; Kuryatov, A.; Yoshikami, D.; Lindstrom, J. M.; McIntosh, J. M., Alpha-conotoxin PIA is selective for alpha6 subunit-containing nicotinic acetylcholine receptors. The Journal of neuroscience 2003, 23 (24), 8445-52.)に従って、2工程の酸化フォールディング反応に供し、そしてこれらの方法は手短に、以下のように記載される。
【0151】
まず、Trt保護基を有する2つのシステイン間のジスルフィド結合の一つ目の対をフェリシアン化カリウム法(20mM フェリシアン化カリウム、0.1M Tris、pH7.5、30分)により形成させた。一環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製後、ヨウ素酸化を行い(H
2O中10mM ヨウ素:トリフルオロ酢酸:アセトニトリル(容量で78:2:20、10分)、別の2つのシステインのAcmを除去し、そして同時に2つのシステイン間のジスルフィド結合の2つ目の対を形成させた。二環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製し、ここで、線形勾配は0〜40分で15〜50% B90、40〜45分で50〜100% B90であり、溶媒B90は90%ACN(アセトニトリル)、10% H
20、0.05% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.65% TFA水溶液である。214nmで紫外線吸収分析を行った。ジスルフィド結合がN末端からC末端の順番に対応するシステイン間で指向的に形成される、αO−コノトキシンを得て、TxlCの出現時間は23.366分(
図15B)であり、質量分析(MS)により確認した。
【0152】
酸化フォールディング後のTxlCの理論的な分子量(モノアイソトピック質量)は、測定された分子量に一致した:TxlCのモノアイソトピック質量は1488.81Daであり、一方TxlCの測定された分子量は1488.4266Daであり、これは、線形ペプチド分子量の1492.815Daより4Da小さかった。比色分析アッセイを、280nmの波長下でポリペプチド濃度を検出するために用い、そしてポリペプチド濃度及び質量を、ランベルト・ベール方程式に従って、計算した。定量され、充分に折り畳まれたこれらの毒素ペプチドを、以後の実施例でその後の活性アッセイに用いた。
【0153】
実施例3−(1):α−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)の実験
文献(Azam L, Yoshikami D, McIntosh JM. Amino resudues that confer high selectivity of the alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunit to alpha-conotoxin MII[S4A,E11A,L15A]. J Biol Chem. 2008;283(17):11625-32.)の方法、インビトロ転写キット(mMessage mMachine in vitro transcription kit (Ambion, Austin, TX))の取扱説明書は、様々なラット神経型nAChRサブタイプ(α3β2、α6/α3β2β3、α6/α3β4、α9α10、α4β2、α4β4、α3β4、α2β2、α2β4、α7)、ヒトα3β2、α6/α3β2β3、α3β4、及びマウス筋肉型nAChR(α1β1δε)のcRNAを調製するために参照され、これらの濃度は、UV 260nmにおいてOD値により測定及び計算された。カエル(Xenopus)(アフリカツメガエル(Xenopus laveis))の卵母細胞(カエルの卵)を回収及び解剖し、cRNAをカエルの卵に注入し、各サブタイプについての注入容量は5ng cRNAであった。筋肉型nAChRについて、各サブタイプを、0.5〜2.5ng DNA注入した。カエルの卵を、ND−96中で培養した。回収されたカエルの卵に、1〜2日間、cRNAを注入し、そしてnAChR電圧クランプを用い、注入後1〜4日間記録した。
【0154】
cRNAが注入されたカエルの卵の1つは、30uLのSylgardレコードタンク(直径4mm×深さ2mm)中に置かれ、0.1mg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するND96潅流液(96.0mM NaCl、2.0mM KCl、1.8mM CaCl
2、1.0mM MgCl
2、5mM HEPES、pH7.1〜7.5)、又は1mMアトロピンを含有するND96(ND96A)で重力潅流し、流速は1ml/分であった。全てのコノトキシン溶液は、毒素の非特異的吸着を減少させるために0.1mg/ml BSAを含み、切換弁(SmartValve, Cavro Scientific Instruments, Sunnyvale, CA)を、毒素及びアセチルコリン(ACh)の潅流の間に自由に切り替えるために用いることができ、一組みの三方電磁弁(solenoid valves, model 161TO31, Neptune Research, Northboro, MA)を、ND96及びAChの潅流の間に、自由に切り替えるために用いた。二電極式電圧クランプ増幅器(model OC-725B, Warner Instrument Corp., Hamden, CT)を用いて、Ach依存性電流(Ach gating current)を「slow」クランプに設定し、最大値(×2000)配置(position)においてクランプ上昇(clamp gain)のオンライン記録を行った。ガラス電極を、外径1mmx内径0.75mmのガラスキャピラリー(fiber-filled borosilicate capillaries, WPI Inc., Sarasota, FL)から引き出し、電圧及び電流電極において3M KClを充填した。膜電圧を、−70mVにおいて保った。全システム及びデータ記録の制御を、コンピューターで行った。AChパルスを5分間隔で1秒間、自動的にAChを潅流した。AChは筋肉型nAChR及び神経型α9α10 nAChRの卵母細胞に対して10μM;神経型のnAChRのα7に対して200μM、及び他のサブタイプに対して100μMの濃度を有した。少なくとも4つの卵母細胞を、様々な毒素濃度下において、サブタイプの電流応答及び電流軌道の刺激を記録するために用いた。
【0155】
測定された電流データを、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いて統計的解析に供し、用量反応曲線はプロットし、コノトキシンの半数遮断濃度(IC
50)及び毒素が遮断するnAChRに関連する多くの他のパラメーターを計算した。
【0156】
結果は、LvIA/LvD21(実施例2−(1)において調製される)が、ラットα3β2 nAChRに対して遮断効果を示し、そして早い溶出の特徴を有したことを示す(
図3)。LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRに対して最も強力な作用を示し、その半数遮断用量IC
50はわずかに8.69nMであり、誤差範囲は6.9−11.0nであった(表1)。100nM α−LvIA/LvD21は、Ach依存性のラットα3β2 nAChRオープンにより発生する電流を完全に遮断し、2分以内に完全に溶出され、この遮断は可逆的であった(
図3A)。α6/α3β4 nAChRに対するLvIA/LvD21の遮断活性は2位を占め、半数遮断用量(IC
50)と誤差範囲は120.9(86.1−169.8)nMであり;3位はα3β4であり、半数遮断用量IC
50と誤差範囲は148.4(103.2−213.2)nMを示した。α6/α3β2β3 nAChRに対するLvIA/LvD21の遮断活性は非常に弱く、半数遮断用量IC
50と誤差範囲は852(590−1230)nMを示し;α7、α2β4に対する極度に弱い遮断活性が観察され、その半数遮断用量(IC
50)と誤差範囲は、それぞれ最大3000(1797−4997)nMと15520(11600−20770)nMであった。これは、他のサブタイプ(α9α10、α2β2、α4β2、α4β4及びMα1β1δε)に対して遮断活性を示さず、そのIC
50>10μMであった(表1)。種々のnAChRサブタイプに対するLvIA/LvD21の用量応答曲線は、
図3B、3C、3Dに示される。
【0157】
比較して、α3β2に対するα−LvIA/LvD21の遮断活性は、α6/α3β2β3に対するそれより100倍以上高く、すなわち、ラットで約100倍、ヒトで約305倍高かった(
図3B、3D、及び表1)。すなわち、α−LvIA/LvD21は、α3β2対α6/α3β2β3について最適の選択性と識別能を有する最初のリガンドであった。当該分野で開示されているすべてのコノトキシンはほとんど同時にα6/α3β2β3 nAChRを遮断する。従って、α−LvIA/LvD21は、α3β2
*対α6β2
* nAChRについて高い選択性を有する最初の真の新規遮断剤であり、従って、正常状態及び疾患状態において前記サブタイプの機能と意味を研究し理解するための非常に重要な価値を有する。
【0158】
α−LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRの遮断において、より高い選択性を示した。
【0159】
α3β2 nAChRの電流に対する100nM α−LvIA/LvD21の影響(
図4A)、及び同様のα2β2(
図4B)とMα1βδεα7(
図4C)nAChRの電流に対する10μM α−LvIA/LvD21の影響(
図4)から、100nM α−LvIA/LvD21はα3β2 nAChR(
図4A)を完全に遮断し、一方、100倍高い濃度を有する毒素は、α2β2及びMα1βδε nAChRサブタイプに対して遮断活性を示さないことがわかる(
図4B−C)。
【0160】
従って、α−LvIA/LvD21は本発明者らにより開示された神経α−コノトキシンであり、これは、α3β2 nAChRに対して非常に強い活性を示し、α3β2対α6/α3β2β3について最適の選択性と識別能を有する最初のリガンドである。
【0161】
【表1】
【0162】
α3β2、α6/α3β4及びα3β4 nAChRが、神経心理学的疾患、例えば神経痛、依存症、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病、不安などの治療の薬物作用標的であることが、いくつかの研究で示された(背景技術中の関連文献を参照)。従って、本発明の新規α−コノトキシンLvIA/LvD21は、上記疾患の機序の研究、診断及び治療の分野で極めて有望である。
【0163】
実施例3−(2):α6/α3β2β3 nAChRの特異的遮断におけるα−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)の実験
文献(Azam L, Yoshikami D, McIntosh JM. Amino resudues that confer high selectivity of the alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunit to alpha-conotoxin MII[S4A,E11A,L15A]. J Biol Chem. 2008;283(17):11625-32.)の方法、インビトロ転写キット(mMessage mMachine in vitro transcription kit (Ambion, Austin, TX))の取扱説明書は、様々なラット神経型nAChRサブタイプ(α3β2、α6/α3β2β3(すなわち、α6β2*−nAChR)、α6/α3β4、α9α10、α4β2、α4β4、α3β4、α2β2、α2β4、α7)、ヒトα6/α3β2β3、及びマウス筋肉型nAChR(α1β1δε)のcRNAを調製するために参照され、これらの濃度は、UV 260nmにおいてOD値により測定及び計算された。カエル(Xenopus)(アフリカツメガエル(Xenopus laveis))の卵母細胞(カエルの卵)を回収及び解剖し、cRNAをカエルの卵に注入し、各サブタイプについての注入容量は5ng cRNAであった。筋肉型nAChRについて、各サブタイプを、0.5〜2.5ng DNA注入した。カエルの卵を、ND−96中で培養した。回収されたカエルの卵に、1〜2日間、cRNAを注入し、そしてnAChR電圧クランプを用い、注入後1〜4日間記録した。
【0164】
cRNAが注入されたカエルの卵の1つは、30uLのSylgardレコードタンク(直径4mm×深さ2mm)中に置かれ、0.1mg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するND96潅流液(96.0mM NaCl、2.0mM KCl、1.8mM CaCl
2、1.0mM MgCl
2、5mM HEPES、pH7.1〜7.5)、又は1mMアトロピンを含有するND96(ND96A)で重力潅流し、流速は1ml/分であった。全てのコノトキシン溶液は、毒素の非特異的吸着を減少させるために0.1mg/ml BSAを含み、切換弁(SmartValve, Cavro Scientific Instruments, Sunnyvale, CA)を、毒素及びアセチルコリン(ACh)の潅流の間に自由に切り替えるために用いることができ、一組みの三方電磁弁(solenoid valves, model 161TO31, Neptune Research, Northboro, MA)を、ND96及びAChの潅流の間に、自由に切り替えるために用いた。二電極式電圧クランプ増幅器(model OC-725B, Warner Instrument Corp., Hamden, CT)を用いて、Ach依存性電流(Ach gating current)を「slow」クランプに設定し、最大値(×2000)配置(position)においてクランプ上昇(clamp gain)のオンライン記録を行った。ガラス電極を、外径1mmx内径0.75mmのガラスキャピラリー(fiber-filled borosilicate capillaries, WPI Inc., Sarasota, FL)から引き出し、電圧及び電流電極において3M KClを充填した。膜電圧を、−70mVにおいて保った。全システム及びデータ記録の制御を、コンピューターで行った。AChパルスを5分間隔で1秒間、自動的にAChを潅流した。AChは筋肉型nAChR及び神経型α9α10 nAChRの卵母細胞に対して10μM;神経型のnAChRのα7に対して200μM、及び他のサブタイプに対して100μMの濃度を有した。少なくとも4つの卵母細胞を、様々な毒素濃度下において、サブタイプの電流応答及び電流軌道の刺激を記録するために用いた。
【0165】
測定された電流データを、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いて統計的解析に供し、用量反応曲線はプロットし、コノトキシンの半数遮断濃度(IC
50)及び毒素が遮断するnAChRに関連する多くの他のパラメーターを計算した。
【0166】
結果は、α−TxlB及びTxlB(G)(実施例2−(2)において調製される)が、ラットα6/α3β2β3 nAChRに対して遮断効果を示し、そして早い溶出の特徴を有したことを示す(
図12)。1μM α−TxlB/Txd4は、Ach依存性のラットα6/α3β2β3 nAChRオープンにより発生する電流をほとんど完全に遮断し、迅速に溶出され、この遮断は可逆的であった(
図12A)。比較して、α−TxlBの活性はTxlB(G)の活性より8.7倍高く(
図12B)、α6/α3β2β3 nAChRについてその半数遮断用量(IC
50)及び誤差範囲は、それぞれ:α−TxlB、28.4(18.6−43.4)nM;α−TxlB(G)、247.4(186.2−328.8)nMであった。用量反応曲線の傾き及び誤差範囲は、それぞれ、α−TxlB、0.51(0.41−0.60)nM及びα−TxlB(G)、0.78(0.63−0.93)nMであった。従って、α−TxlB及びTxlB(G)は、他のnAChRサブタイプに対して遮断活性を示さず、そのIC50>10μMであった(
図12C、表2)。
【0167】
【表2】
【0168】
表2において、aは、信頼度95%の信頼限界である。bは、TxlB(G)及びTxlBの間の半数遮断用量(IC50)の比を指す。cは、10μM下で遮断活性が無いことを示す。
【0169】
α−TxlB/Txd4は、α6/α3β2β3 nAChRの遮断において高い選択性を示す。α6/α3β2β3 nAChRの電流に対する1μM α−TxlB/Txd4の作用、及び非常によく似たα3β2(B)、α6/α3β4(C)、α3β4(D) nAChR(
図13)の電流に対する10μM α−TxlB/Txd4の作用から、1μM α−TxlB/Txd4がα6/α3β2β3 nAChRを特異的に遮断し(
図13A)、一方、10倍高い濃度を有する毒素は、α3β2(
図13B)、α6/α3β4(
図13C)及びα3β4(
図13D) nAChRサブタイプに対する遮断活性を示さなかった。ヒトα6/α3β2β3 nAChRについて、α−TxlB及びTxlB(G)は、ラットα6/α3β2β3 nAChRの遮断活性と似た遮断活性を有した。従って、α−TxlBはα6/α3β2β3 nAChRに対して最適な選択性を有するα−コノトキシンであり、活性の比較は表3に示される。
【0170】
α6/α3β2β3 nAChRが、神経心理学的疾患、例えばニコチン、モルフィン及びコカインに対する依存症、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病などの治療の薬物作用標的であることが、いくつかの研究で示された(背景技術中の関連文献を参照)。従って、本発明の新規α−コノトキシンTxlB/Txd4及びTxlB(G)は、上記疾患の機序の研究、診断及び治療の分野で極めて有望である。
【0171】
TxlB/Txd4及びTxlB/Txd4(G)と他のα−CTxの配列と活性の比較は、表3に示される。
【0172】
【表3】
【0173】
実施例3−(3):α−コノトキシンTxlCを用いてα3β4及びα6/α3β4 nAChRを特異的に遮断する実験
文献(Azam L, Yoshikami D, McIntosh JM. Amino resudues that confer high selectivity of the alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunit to alpha-conotoxin MII[S4A,E11A,L15A]. J Biol Chem. 2008;283(17):11625-32.)の方法、インビトロ転写キット(mMessage mMachine in vitro transcription kit (Ambion, Austin, TX))の取扱説明書は、様々なラット神経型nAChRサブタイプ(α3β4、α6/α3β4、α9α10、α4β2、α4β4、α3β4、α2β2、α2β4、α7)、ヒトα3β4、及びマウス筋肉型nAChR(α1β1δε)のcRNAを調製するために参照され、これらの濃度は、UV 260nmにおいてOD値により測定及び計算された。カエル(Xenopus)(アフリカツメガエル(Xenopus laveis))の卵母細胞(カエルの卵)を回収及び解剖し、cRNAをカエルの卵に注入し、各サブタイプについての注入容量は5ng cRNAであった。筋肉型nAChRについて、各サブタイプを、0.5〜2.5ng DNA注入した。カエルの卵を、ND−96中で培養した。回収されたカエルの卵に、1〜2日間、cRNAを注入し、そしてnAChR電圧クランプを用い、注入後1〜4日間記録した。
【0174】
cRNAが注入されたカエルの卵の1つは、30uLのSylgardレコードタンク(直径4mm×深さ2mm)中に置かれ、0.1mg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するND96潅流液(96.0mM NaCl、2.0mM KCl、1.8mM CaCl
2、1.0mM MgCl
2、5mM HEPES、pH7.1〜7.5)、又は1mMアトロピンを含有するND96(ND96A)で重力潅流し、流速は1ml/分であった。全てのコノトキシン溶液は、毒素の非特異的吸着を減少させるために0.1mg/ml BSAを含み、切換弁(SmartValve, Cavro Scientific Instruments, Sunnyvale, CA)を、毒素及びアセチルコリン(ACh)の潅流の間に自由に切り替えるために用いることができ、一組みの三方電磁弁(solenoid valves, model 161TO31, Neptune Research, Northboro, MA)を、ND96及びAChの潅流の間に、自由に切り替えるために用いた。二電極式電圧クランプ増幅器(model OC-725B, Warner Instrument Corp., Hamden, CT)を用いて、Ach依存性電流(Ach gating current)を「slow」クランプに設定し、最大値(×2000)配置(position)においてクランプ上昇(clamp gain)のオンライン記録を行った。ガラス電極を、外径1mmx内径0.75mmのガラスキャピラリー(fiber-filled borosilicate capillaries, WPI Inc., Sarasota, FL)から引き出し、電圧及び電流電極において3M KClを充填した。膜電圧を、−70mVにおいて保った。全システム及びデータ記録の制御を、コンピューターで行った。AChパルスを5分間隔で1秒間、自動的にAChを潅流した。AChは筋肉型nAChR及び神経型α9α10 nAChRの卵母細胞に対して10μM;神経型のnAChRのα7に対して200μM、及び他のサブタイプに対して100μMの濃度を有した。少なくとも4つの卵母細胞を、様々な毒素濃度下において、サブタイプの電流応答及び電流軌道の刺激を記録するために用いた。
【0175】
測定された電流データを、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いて統計的解析に供し、用量反応曲線はプロットし、コノトキシンの半数遮断濃度(IC
50)及び毒素が遮断するnAChRに関連する多くの他のパラメーターを計算した。
【0176】
結果は、TxlC(実施例2−(3)において調製される)が、α3β4 nAChRに対して遮断効果を示し、そして迅速に溶出された(
図16)。TxlCは、α3β4 nAChRに対して最も強力な遮断剤であり、その半数遮断用量IC
50はわずかに12.5nMであり、他の既知のコノトキシンとの活性の比較は表4に示した。
【0177】
1μM α−TxlC/Txd1は、Ach依存性のラットα3β2 nAChRオープンにより発生する電流を完全に遮断し、迅速に溶出され、この遮断は可逆的であった(
図16A)。TxlCは、α3β4 nAChRに対して最も強い遮断活性を示し、その半数遮断用量と誤差範囲は12.5(9.4−16.5nM)を示し、α6/α3β4 nAChRに対するTxlCの遮断活性は2位を占め、半数遮断用量(IC
50)と誤差範囲は94.1(73−121nM)であり;α2β4 nAChRに対するTxlCの遮断活性は非常に弱く、半数遮断用量IC
50と誤差範囲は4550(3950−5230nM)を示した。TxlCの用量応答曲線の傾き及び誤差範囲のそれぞれ:α3β4 nAChR、0.19(0.66−1.44);α6/α3β4 nAChR 0.26(0.73−1.87);α2β4 nAChR、0.20(1.48−2.42)であった。α−TxlCは、他のnAChRサブタイプ(α4β4、α4β2、α6/α3β2β3、α2β2、α9α10、α7、α1β1δε)に対して遮断活性を示さず、そのIC
50>10μMであった(
図16B、表5)であり、比較して、α−TxlCは、α3β4に対して、α6/α3β4 nAChRに対する遮断活性より7.5倍高い活性、及びα2β4に対する活性より524倍高い活性を示した(
図16B、表5)。
【0178】
α−TxlC/Txd1は、α3β4 nAChRの遮断において高い選択性を示した。α3β4 nAChRの電流に対する1μM α−TxlC/Txd1の影響、及び非常によく似たα4β4(B)、α7(C)nAChRの電流に対する10μM α−TxlC/Txd1の影響から、1μM α−TxlC/Txd1はα3β4 nAChR(
図17A)を完全に遮断し、一方、10倍高い濃度を有する毒素は、α4β4(
図17B)及びα7(
図17C)nAChRサブタイプに対して遮断活性を示さないことがわかる。ヒトα3β4 nAChRについては、α−TxlCは、ラットα3β4 nAChRについての遮断活性と同様の遮断活性を示した。
【0179】
従って、α−TxlCは、これまで発見されているようにα3β4 nAChRに対して最も強い活性を有するα−コノトキシンであり、α6/α3β4 nAChRに対して比較的強い遮断活性を示し、これらの活性の比較を表4に示した。
【0180】
【表4】
【0181】
【表5】
【0182】
α3β4、α6/α3β4 nAChRが、神経心理学的疾患、例えばニコチン、モルフィン及びコカインに対する依存症、神経痛、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病、不安などの治療の薬物作用標的であることが、いくつかの研究で示された(背景技術中の関連文献を参照)。従って、本発明の新規α−コノトキシンTxlC/Txd1は、上記疾患の機序の研究、診断及び治療の分野で極めて有望である。
【0183】
実施例4:α−コノトキシンLvIA/LvD21を用いてα3β2 nAChR変異体を遮断する実験
α−CTx LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRの7つのβ2変異体:α3β2[T59K]、α3β2[T59L]、α3β2[T59I]、α3β2[V111I]、α3β2[F119Q]、α3β2[Q34A]、α3β2[K79A](
図6−7;
図5−6)に対する遮断活性において大きな多様性を示し、これらの7つの変異体において、主要なアミノ酸残基は、nAChRのβ2サブユニットと、β4サブユニット(α−CTx MIIを含む)中の対応するアミノ酸残基中へ変異されるリガンドを結合する部位にある。変異体を調製するための方法は、文献(Shiembob DL, Roberts RL, Luetje CW, McIntosh JM. Determinants of alpha-conotoxin BuIA selectivity on the nicotinic acetylcholine receptor beta subunit. Biochemistry. 2006 Sep 19;45(37):11200-7.)に従って行われた。
【0184】
前の5つのα3β2 nAChR変異体の詳細は、文献(Shiembob DL, Roberts RL, Luetje CW, McIntosh JM. Determinants of alpha-conotoxin BuIA selectivity on the nicotinic acetylcholine receptor beta subunit. Biochemistry. 2006 Sep 19;45(37):11200-7; and Dutertre S, Nicke A, Lewis RJ. β2 subunit contribution to 4/7 α-conotoxin binding to the nicotinic acetylcholine receptor. J Biol Chem 2005;280:30460-8.)中に見いだされるであろう。
【0185】
α3β2受容体へのα−CTx LtlA結合の主要なアミノ酸に関連する、後の2つのα3β2 nAChR変異体(α3β2 Q34A、α3β2 K79A)(Luo, S., Akondi, K. B., Zhangsun, D., Wu, Y., Zhu, X., Hu, Y., Christensen, S., Dowell, C., Daly, N. L., Craik, D. J., Wang, C. I., Lewis, R. J., Alewood, P. F., and Michael McIntosh, J. (2010) Atypical alpha-conotoxin LtIA from Conus litteratus targets a novel microsite of the alpha3beta2 nicotinic receptor.Biol. Chem.285, 12355-12366)。
【0186】
具体的な実験方法は実施例3−(1)と同じであり、結果は表6〜7及び
図5〜6に示した。
【0187】
表2と
図5から、α−CTx LvIA/LvD21は変異体α3β2[V111l]に対して最小の遮断活性(IC
50は126nMであった)を有し、その活性は野生型α3β2 nAChRに対する活性(IC
50は14.5nMであった)より8.7倍低かった。変異体α3β2[F119Q]、α3β2[T59K]、α3β2[T59L]に対するその遮断活性は非常に強く、そのIC
50値はそれぞれ0.58、0.96及び2.03であり、その活性は、野生型α3β2 nAChRに対する活性より、それぞれ25倍、15倍及び7倍高かった。α−CTx LvIA/LvD21は、変異体α3β2[Q34A]、α3β2[T79K]及び[T59l]に対して8.64、10.8及び15.2nMのIC
50を示し、その遮断活性は、野生型α3β2 nAChRに対する遮断活性の0.6〜1.05倍であり、これは、野生型α3β2 nAChRの遮断活性からの有意差を示さなかった。α−CTx LvIA/LvD21は、変異体α3β2[F119Q]に対して、α3β2[V111l]に対する活性の217倍の活性を示した。これは、β2サブユニットの111番目の部位のバリン、119番目の部位のフェニルアラニン、及び59番目の部位のスレオニンが、LvlAをα3β2に結合させるのに重要な役割を果たすことを意味し、ここで、活性の変化は2つの傾向(上昇と下降)を含み、これは、すでに開示された、α3β2 nAChRにα−CTxを結合させたMII、LtlA及び他の部位とは異なっていた。
【0188】
【表6】
【0189】
α−CTx LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRのいくつかの変異体の遮断活性(IC
50)に大きな影響を有するのみでなく、その溶出速度に顕著な影響を有した(
図6及び表7)。研究結果は、10nM α−LvIA/LvD21がα3β2 nAChRの野生型の電流の約50%を遮断し、溶出が迅速に行われ、電流が2分以内に完全に回復され(
図6A);一方、10nM α−LvIA/LvD21は変異体α3β2[F119Q]のすべての電流を遮断し、溶出はゆっくり行われ、電流は12分溶出後に回復され(
図6B);より有意な差は、10nM α−LvIA/LvD21が変異体α3β2[T59K]のすべての電流を遮断し、溶出は非常にゆっくり行われ、電流は20分溶出後に対照電流の27%まで回復(
図6C)することにあったが;しかし、10nM α−LvIA/LvD21は変異体α3β2[V111l]の電流を完全には遮断しなかった(
図6D)。種々の変異体受容体の溶出速度に対するα−LvIA/LvD21の影響を表7に示した。α−LvIA/LvD21で遮断された後の4つの変異体、α3β2[K79A]、α3β2[V111l]、α3β2[Q34A]及びα3β2[T59l]では、溶出速度に対する影響は小さく、すなわち、10〜10000nMのような非常に広範囲の濃度では、その溶出はいつも迅速に行われ、その電流はすべて、1〜3分以内に対照レベル(すなわち100%)まで回復した。変異体α3β2[T59L]については、その溶出は比較的ゆっくり行われ、その電流は5〜8分後に対照レベルまで回復した。変異体α3β2[F119Q]について、その溶出はさらにゆっくり行われ、その電流は10〜12分後に対照レベルまで回復した。変異体α3β2[T59K]については、その溶出は最もゆっくり行われ、10nM LvIA/LvD21はその電流を完全に遮断し、これは20分溶出後に、対照電流の28±3.5%まで回復し、100nM LvIA/LvD21で遮断された後は、その電流は20分溶出後に、対照電流の13±2%まで回復した。変異体α3β2[T59K]がLvIA/LvD21の結合方法に対して最も大きな影響を示したことがわかる。従って、α−CTx LvIA/LvD21の構造と機能は、α−CTxとnAChRとの相互作用の機序を研究するための重要な基礎を与え、そのための優れたツールとモデルとを与える。
【0190】
【表7】
【0191】
実施例5:α−LvIA/LvD21の鎮痛活性の実験
1.LvIA/LvD21の鎮痛活性を試験するためにラットCCIモデルを使用
(1)試験動物と試験材料
SD(スプラーグドーレイ)ラットを使用して、虚血神経の慢性狭窄損傷モデル(慢性狭窄損傷モデル、CCIモデル)を調製し、試験したコノトキシンの鎮痛活性を圧痛テスター(Rat 800G, このモデルはUS IITC 2391である)を用いて測定した。SD(スプラーグドーレイ)ラットは、広東省の医療実験動物センター(Medical Experimental Animal Center of Guangdong Province)から購入した。Bennett et al.の方法(Bennett G J, Xie Y K. A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man [J]. Pain, 1988, 33(1): 87)を使用して、CCIモデルを調製した。
【0192】
(2)実験方法
ペントバルビタールナトリウム80mg/kgの腹腔内注射により麻酔した後、右下肢に無菌条件下で切開して坐骨神経の幹を露出させ、これを1mm間隔で4−0クロム縫合糸を使用して緩く結合させ、縫合糸は神経上膜の血液供給に影響を与えない気密性を有し、次にステッチを層ごとに行った。左下肢を切開して坐骨神経の幹を露出させたが、これは結紮せず、従って偽手術側として使用した。ペニシリン粉末を局所的に両側創傷に塗布した。ペニシリンの腹腔内注射は、1日に1回、80,000単位/時間で連続3日間行った。カテーテル挿入前に5匹のラットを1つのケージで飼育し、カテーテル挿入後に1匹のラットを1つのケージで飼育した。予備選抜後の有資格ラットを無作為に5群、すなわち、生理食塩水陰性対照群、モルフィン陽性対照群、及び毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群、モルフィン陽性対照群、及び毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群(ここで、毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群は2回繰り返した)(すなわち、毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群は3回行われた)、に分けた。ラットの影響を受けた足と偽手術足の機械的疼痛刺激値を、手術前、手術の3日後、1週間後と2週間後に、測定した。有資格慢性狭窄損傷モデル(CCIモデル)を、神経痛に対するLvIA/LvD21の治療効果を試験するための全体の動物モデルとして使用した。
【0193】
CCIモデルにおけるLvIA/LvD21の鎮痛作用を腹腔内注射により試験した。生理食塩水(Saline)をブランク対照、すなわち陰性対照として使用し;モルフィンを陽性対照として、ラット体重1kg当たり1mgの用量で使用した。試験群は毒素ペプチドα−LvIA/LvD21を1nmol/kg(約1.7μg/kg)ラット体重の用量で使用し、各群は8匹を有した(n=8)。鎮痛活性は機械的閾値で示され、これは、基礎的疼痛閾値(100)に対して観察された疼痛閾値の比パーセンテージ(基礎の%)であり、この比が大きいほど、鎮痛作用が良好である。
【0194】
(3)試験結果
結果は
図7〜8に示される。
図7は、α−LvIA/LvD21を1〜24時間腹腔内注射(IP)後の、CCIモデルにおける鎮痛作用を示す。LvIA/LvD21は1時間投与後に、神経痛に対して強力な鎮痛作用を示し、一方モルフィンの陽性対照は1時間の投与後に鎮痛作用を示さなかった;LvIA/LvD21は、3時間投与後に神経痛に対して最大の鎮痛作用を示し、平均鎮痛値は160%であり、ある場合には最大200%であり、一方モルフィンの陽性対照は3時間の投与後に120%の平均鎮痛値を示し;そして、24時間後でさえ、LvIA/LvD21はモルフィンよりはるかに高い鎮痛値を示した(
図7)。
【0195】
連続7日間投与後に、1週間の休薬(7日目〜14日目)後に鎮痛値を試験し、結果を
図8に示す。7日目〜14日目には、LvIA/LvD21はモルフィン群より有意に高い機械的閾値を示し、12日目に最大の鎮痛作用が観察され、平均鎮痛値は最大200%であり、モルフィン群は、生理食塩水対照群と比較して、鎮痛値の有意差を示さなかった。これは、モルフィンの鎮痛作用が休薬後に消失し、一方LvIA/LvD21は休薬後も鎮痛作用を保持したこと(
図8)を示し、これは、LvIA/LvD21が鎮痛作用を有するのみでなく、神経痛に対して治療効果も有することを示唆する。
【0196】
上記結果は、LvIA/LvD21がモルフィンより強力な鎮痛作用を有することを示し、同じ重量と用量で表すと、CCIモデルにおけるLvIA/LvD21の鎮痛作用はモルフィンの作用より823〜1176倍高い。LvIA/LvD21の腹腔内注射は、ラットCCIモデルにおいて強力な鎮痛作用と良好な持続性を示し、コノトキシン自体は依存症を誘導しない。
【0197】
2.マウスホットプレートsknを使用するLvIA/LvD21の鎮痛活性
(1)試験動物
5秒未満または30秒超の応答潜伏期を有するマウスを除去し、18±2gの体重を有する50匹のメスの昆明マウスを使用した。投与前に、マウスを55±0.5℃のホットプレート痛覚閾値検出器(タイプはUS IITC 39であった)の金属板上に乗せ、後肢をなめるか又はジャンプする応答の潜伏期(秒)を算出した。
【0198】
(2)試験方法
マウスを、ランダム割り当て記数テーブルに従って3群、すなわち、陰性対照生理食塩水(Saline)、陽性対照モルフィン群(モルフィン)、及びαコノトキシンLvIA/LvD21に、1群10匹で分けた。各群について、1匹のマウスあたり10μLの注入容量で脳室内注入を行った。陽性対照モルフィンの投与量は、100μg/kgマウス体重であった;α−LvIA/LvD21の投与量は、0.1nmol/kg(約0.17μg/kg)マウス体重であった。同じ重量と用量で表すと、陽性対照モルフィンの投与量は、LvIA/LvD21よりも588倍高かった。投与前に、マウスを55±0.5℃のホットプレート疼痛閾値検出器(タイプはUS IITC 39であった)の金属板上に乗せ、マウスの後肢をなめるか又はジャンプする(秒)単位の応答の潜伏期を疼痛閾値とした。各マウスを2回測定し、その平均値を基礎疼痛閾値として使用し、2回の測定間の間隔を5分とした。足の火傷を避けるために、終了時間を60秒とし、60秒超の疼痛閾値は60秒として記録した。投与後、疼痛閾値を、別々に15、30、45、60、90、120分に測定し、結果をx±sとして表した。
【0199】
(3)試験結果
結果を
図9に示す。
【0200】
α−CTx LvIA/LvD21は、ホットプレート試験モデルで非常に強力な鎮痛作用を示した(
図9)。投与前に、3群のマウスはすべて約14秒〜約17秒の基礎疼痛閾値を有した。投与後、全ての時点で、陽性対照の生理食塩水(Saline)の疼痛閾値は約14〜17秒で維持され、LvIA/LvD21の疼痛閾値は、投与後15分で30秒に急速に上昇し、モルフィンの疼痛閾値も急速に32秒(
図9)に上昇し、その間、LvIA/LvD21は強力な鎮痛活性を示し、これは、LvIA/LvD21LvlAが鎮痛活性の非常に急速な出現を示すことを示した。投与後30〜90分以内に、LvIA/LvD21の疼痛閾値はわずかに低下し、次に連続的に上昇し、一方モルフィンの疼痛閾値は連続して低下し、LvIA/LvD21の疼痛閾値は、モルフィンの疼痛閾値と比較して1.3〜1.5倍上昇した。投与後120分に、LvIA/LvD21の疼痛閾値はわずかに低下したが、それでもモルフィンの疼痛閾値より1.3倍高かった。同じ重量と用量で表されると、ホットプレートモデルにおけるLvIA/LvD21の鎮痛作用は、モルフィンの作用より764〜882倍高かった。
【0201】
本発明の実施形態は詳細に記載されるが、当業者は、これらの詳細が、開示される教示に従って、改変及び変更され得ることを理解し、これらの全ての変更は、本発明の保護範囲内である。本発明の全体の範囲は、添付の特許請求の範囲及びこれらの任意の等価物により与えられる。