特許第6336979号(P6336979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイナン ユニバーシティの特許一覧

特許6336979α−コノトキシンペプチド、その医薬組成物及びそれらの使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336979
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】α−コノトキシンペプチド、その医薬組成物及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20180528BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20180528BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20180528BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20180528BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20180528BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20180528BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 25/30 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 25/34 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20180528BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20180528BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C07K7/08ZNA
   C12N15/00 A
   C07K19/00
   C12N1/15
   C12N1/21
   C12N5/10
   C12N1/19
   A61P25/30
   A61P25/34
   A61P25/32
   A61P25/36
   G01N33/15 Z
   G01N33/50 Z
【請求項の数】17
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2015-525711(P2015-525711)
(86)(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公表番号】特表2015-532637(P2015-532637A)
(43)【公表日】2015年11月12日
(86)【国際出願番号】CN2013077363
(87)【国際公開番号】WO2014023129
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2016年1月26日
(31)【優先権主張番号】201210277619.8
(32)【優先日】2012年8月7日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201210325531.9
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201210347966.3
(32)【優先日】2012年9月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514318323
【氏名又は名称】ハイナン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100164563
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 貴英
(72)【発明者】
【氏名】ルオ スゥラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンスン ドンティン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ヨーン
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ シャオプオン
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ ユエンイエン
(72)【発明者】
【氏名】ビーン ホゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ.マイケル マッキントッシュ
【審査官】 佐藤 巌
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101381403(CN,A)
【文献】 特表2009−533355(JP,A)
【文献】 特表2002−534996(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102154300(CN,A)
【文献】 特表2005−500017(JP,A)
【文献】 特表2007−526221(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1237584(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101745097(CN,A)
【文献】 BROWN, M.,Drug Dis. Today,2002年,Vol.7,pp.885-886
【文献】 YUAN, D-D. et al.,Toxicon,2007年,Vol.49,pp.1135-1149
【文献】 DOWELL, C. et al.,J. Neurosci.,2003年,Vol.23, No.24,pp.8445-8452
【文献】 YANG, K-C. et al.,Acta Pharmacol. Sin.,2009年,Vol.30, No.6,pp.740-751
【文献】 AZAM, L. and MCINTOSH, J.M.,Acta Pharmacol. Sin.,2009年,Vol.30, No.6,pp.771-783
【文献】 JERLHAG, E. et al.,Eur. Neuropsychopharmacol.,2008年,Vol.18,pp.508-518
【文献】 BRUNZELL, D.H. et al.,Neuropsycopharmacol.,2010年,Vol.35,pp.665-673
【文献】 EXLEY, R. et al.,Neuropsycopharmacol.,2008年,Vol.33,pp.2158-2166
【文献】 QUIK, M. et al.,J. Neurosci.,2001年,Vol.21, No.15,pp.5494-5500
【文献】 KURYATOV, A. et al.,Neuropharmacol.,2000年,Vol.39,pp.2570-2590
【文献】 MCINTOSH, J.M. et al.,Mol. Pharmacol.,2004年,Vol.65, No.4,pp.944-952
【文献】 HONE, A.J. et al.,Mol. Pharmacol.,2012年11月,Vol.82, No.5,pp.972-982
【文献】 BAI-SONG, L. et al.,Peptides,1999年,Vol.20,pp.1139-1144
【文献】 TALLEY, T.T. et al.,J. Biol. Chem.,2006年,Vol.281, No.34,pp.24678-24686
【文献】 FRANCO, A. et al.,Biochem. Pharmacol.,2011年11月16日,Vol.83,pp.419-426
【文献】 KLIMIS,H. et al.,Pain,2011年,Vol.152,pp.259-266
【文献】 JERLHAG, E. et al.,Alcohol Alcohol.,2006年,Vol.41,pp.486-493
【文献】 LUO, S. et al.,J. Biol. Chem.,2013年 1月11日,Vol.288,pp.894-902
【文献】 McINTOSH,J.M. et al.,J. Biol. Chem.,2005年,Vol.280,pp.30107-30112
【文献】 LARSSON, A. et al.,Alcohol,2004年,Vol.34,pp.239-250
【文献】 NICKE, A. et al.,Eur. J. Biochem.,2004年,Vol.271,pp.2305-2319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
UniProt/GeneSeq
REGISTRY/CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号11で示されるアミノ酸配列からなる、ポリペプチド。
【請求項2】
前記ポリペプチドのN末端から数えて1番目のシステインと3番目のシステインがジスルフィド結合を形成し、そして前記ポリペプチドのN末端から数えて2番目のシステインと4番目のシステインがジスルフィド結合を形成するか;
あるいは
前記ポリペプチドのN末端から数えて、1番目のシステインと4番目のシステインがジスルフィド結合を形成し、そして前記ポリペプチドのN末端から数えて2番目のシステインと3番目のシステインがジスルフィド結合を形成するか;
あるいは
前記ポリペプチドのN末端から数えて、1番目のシステインと2番目のシステインがジスルフィド結合を形成し、そして前記ポリペプチドのN末端から数えて3番目のシステインと4番目のシステインがジスルフィド結合を形成する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
前記ポリペプチドのカルボキシル末端はアミド化されている、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のポリペプチドのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
【請求項5】
配列番号16で示されるヌクレオチド配列からなる、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のポリヌクレオチドを含む、核酸コンストラクト。
【請求項7】
請求項6に記載の核酸コンストラクトを含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項7に記載の発現ベクターを含む形質転換細胞。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド、又は請求項9に記載の融合タンパク質を含む、依存症の治療、及び/又は予防のための医薬組成物。
【請求項11】
医薬的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
インビトロにおいて、アセチルコリン受容体を遮断するための方法であって、有効量の請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の融合タンパク質を使用する工程を含み、ここで前記アセチルコリン受容体がα6/α3β2β3アセチルコリン受容体である、前記方法。
【請求項13】
アセチルコリン受容体の遮断における請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の融合タンパク質のインビトロでの使用であって、ここで、前記アセチルコリン受容体がα6/α3β2β3アセチルコリン受容体である、前記使用。
【請求項14】
アセチルコリン受容体を遮断するための医薬の製造における、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の融合タンパク質の使用であって、ここで、前記アセチルコリン受容体がα6/α3β2β3アセチルコリン受容体である、前記使用。
【請求項15】
依存症の治療、及び/又は予防のための医薬の製造における請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の融合タンパク質の使用。
【請求項16】
前記依存症は、ニコチン、アヘン、ヘロイン、メチルアンフェタミン(アイス)、モルフィン、マリファナ又はコカインによって誘導される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
禁煙、又は依存症治療のための薬剤の製造における請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド又は請求項9に記載の融合タンパク質の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、生物化学及び分子生物学の分野に属し、新規α−コノトキシン (conotoxin) ペプチド、その医薬組成物、それらの調製方法及び使用に関する。本発明はさらに、コノトキシンペプチドのプロペプチド、コノトキシンペプチドの核酸コンストラクト、発現ベクター及び形質転換細胞に関し、並びにコノトキシンペプチドの融合タンパク質に関する。本発明はさらに、アセチルコリン受容体を遮断する方法、及び医薬の製造におけるコノトキシンペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
コノトキシン(CTx、コノペプチド)は、熱帯の海に生息する肉食性の軟体動物の1種であるイモガイ(Conus)により分泌され、これは、種々のイオンチャネルを制御する特殊な機能を有し、診療において重要な価値を示す。コノトキシンは通常、ジスルフィド結合に富む10〜46のアミノ酸を含有し、強い生物活性を有し、動物細胞膜上の受容体及びイオンチャネルに特異的に作用することができ、具体的には電位依存性イオンチャネル又はリガンド依存性イオンチャネルに対して比較的高い選択性を有する(数個のGタンパク質関連受容体などを含む)。コノトキシンは、前駆体タンパク質である小胞体標的化配列及びシステインパターンにより、異なる遺伝子ファミリーに分類することができる。これまでのところ、すべての既知のコノトキシンは、19のスーパーファミリー、すなわち、A、B、C、D、S、M、I1、I2、I3、J、L、O1、O2、O3、P、T、V、Y、Kに分類することができる(Sulan Luo, Sean Christensen, Dongting Zhangsun, Yong Wu, Yuanyan Hu, Xiaopeng Zhu, Sandeep Chhabra, Raymond S. PLoS ONE, (2013) 8(1): e54648 (1-10); Kaas Q, Yu R, Jin AH, Dutertre S and Craik DJ.Nucleic Acids Research (2012) [Ahead of print]; Ye M, Khoo KK, Xu S, Zhou M, Boonyalai N, Perugini MA, Shao X, Chi C, Galea CA, Wang C & Norton RS. A helical conotoxin from Conus imperialis has a novel cysteine framework and defines a new superfamily. Journal of Biological Chemistry (2012) 287, 14973-14983)。コノトキシンは、その受容体標的に従って薬理学的ファミリーであるα、ω、μ、δなどに分類することができる。受容体の標的型に従って、コノトキシンの各スーパーファミリーはさらに、α、αA、κA(A−スーパーファミリー)、ω、δ、κ、μO(O−スーパーファミリー)、μ、ψ、κM(M−スーパーファミリー)、など(サブタイプ)に分類することができる。
【0003】
一方、α−コノトキシンは、ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)サブタイプ特異的遮断剤であり、当該分野において最も高い選択性を有することが知られているものである。従って、α−コノトキシンとその作用標的nAChRは、多くの疾患の機序の研究において、及び薬剤の研究と開発において、非常に重要な価値がある。α−コノトキシンは、最も初期から知られているコノトキシンの1つであり、比較的小さい分子量を有し、通常12〜19のアミノ酸残基からなり、ジスルフィド結合に富んでいる。多様な活性と複雑な構造変化を有する多種類のα−コノトキシンがある。α−コノトキシンは、その高度保存的シグナルペプチド配列、薬理活性、及びシステインパターンに従って分類することができる。α−コノトキシンのシステインパターンはCC−C−Cであり、ここで、天然のペプチドのジスルフィドの結合モードはC1−C3及びC2−C4であり、これは球状異性体と呼ばれ、ジスルフィド結合の間に2つのループが形成される。4つのシステインを含むα−コノトキシン線形ペプチドは通常、C1−C3及びC2−C4(球状異性体)の天然ペプチドのジスルフィド結合モード以外に、酸化とフォールディング後に3つの異性体を生成し、他の2つの異性体は別々にリボン異性体とビーズ異性体である。リボン異性体はC1−C4及びC2−C3としてのジスルフィドの結合モードを有し、ビーズ異性体はC1−C2及びC3−C4としてのジスルフィドの結合モードを有する。球状異性体は完全な生物活性を有し、リボン異性体は、時に異なる活性機序により生物活性を示し、一方ビーズ異性体は通常、低下した活性を有する。ジスルフィド結合間に2つのループが形成され、α−コノトキシンは、2番目と3番目のシステインの間、及び3番目と4番目のシステインの間のアミノ酸の数に従って、α3/5、α4/7、α4/6、α4/4、及びα4/3などの多くのサブファミリーに分類することができ、各ループの特徴と残基組成の差が、異なるコノトキシンが異なる受容体サブタイプに作用するという基礎を形成する(Ulens C, Hogg RC, Celie PH, et al. Structural determinants of selective alpha-conotoxin binding to a nicotinic acetylcholine receptor homolog AChBP[J]. Proc Natl Acad Sci USA 2006; 103: 3615-20; McIntosh, J. M.; Santos, A.Olivera, B. M., Conus peptides targeted to specific nicotinic acetylcholine receptor subtypes. Annual review of biochemistry 1999,68, 59-88; Terlau, H.; Olivera, B. M., Conus venoms: a rich source of novel ion channel-targeted peptides. Physiological reviews 2004,84 (1), 41-68. Gehrmann J, Alewood PF, Craik DJ. Structure determination of the three disulfide bond isomers of alpha-conotoxin GI: a model for the role of disulfide bonds in structural stability1998, 278(2):401-15; Grishin AA, Wang CI, Muttenthaler M, Alewood PF, Lewis RJ, Adams DJ. Alpha-conotoxin AuIB isomers exhibit distinct inhibitory mechanisms and differential sensitivity to stoichiometry of alpha3beta4 nicotinic acetylcholine receptors. J Biol Chem. 2010, 285 (29): 22254-63)。
【0004】
ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)は、動物界に高い頻度で見られる膜タンパク質であり、そして重要な生理学的作用及び臨床研究的な重要性を有し、これらは、ヒトにより見いだされた最初の受容体であり、2群(筋肉型アセチルコリン受容体と神経型アセチルコリン受容体)に分類することができる。nAChRは、細胞膜上のアロステリック膜タンパク質であり、学習、記憶、依存症、応答、及び鎮痛と運動制御を含む中枢及び末梢神経系の多くの生理学的機能を仲介する。nAChRは、多くの神経伝達物質、例えばドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニン、γ−アミノブチル酸の放出を活性化する。nAChRは、重要な疾患の大きな群の診断及び治療の薬剤をスクリーニングするための重要な標的であることが確認されており、これらの疾患は、疼痛、タバコ、アルコール及び薬物への依存症(addiction)、精神薄弱、認知症、統合失調症、中枢神経系の障害、てんかん、パーキンソン病、精神疾患、神経筋遮断、重症筋無力症、うつ病、高血圧、不整脈、喘息、筋弛緩、脳卒中、乳癌及び肺癌を含む。これまで、これらの疾患の対処療法のための医薬は存在していない。一般的な非選択的nAChRアゴニスト、例えばニコチンは、上記の神経疾患の症状を緩和することができるが、これらは、心臓及び胃腸管、及び依存症への強い副作用及び依存性を有する。それ故、上記の疾患の治療のための鍵は、nAChRの様々なサブタイプに関する高い選択性を有するリガンド医薬を開発することである(Livett BG, Sandall DW, Keays D, Down J, Gayler KR, Satkunanathan N, Khalil Z. Therapeutic applications of conotoxins that target the neuronal nicotinic acetylcholine receptor. Toxicon. 2006,48(7):810-829; Taly A., Corringer PJ, Guedin D, Lestage P, Changeux JP. Nicotinic receptors: allosteric transitions and therapeutic targets in the nervous system. Nat Rev Drug Discov. 2009, 8(9): 733-50; Layla A, McIntosh JM. Alpha-conotoxins as pharmacologica probes of nicotinic acetylcholine receptors [J]. Acta Pharmacol Sin 2009 Jun; 30 (6): 771-783.)。
【0005】
しかしながら、かかる医薬を開発するための前提条件は、様々なサブタイプの優れた組成物及び生理学的機能を研究及び同定するためのツール医薬として用いることができるか、又は関連する疾患のための治療薬として直接的に用いることができる、nAChRの様々なサブタイプと特異的に結合することができる選択的な化合物を得ることである。加えて、乳癌及び小細胞肺癌の腫瘍細胞膜上のアセチルコリン受容体の活性化は、腫瘍細胞の増殖を促進することができ、従ってこれらの受容体の活性化を医薬で遮断することは、これらの壊滅的な癌の早期診断又は治療を行うのに効果的に使用することができる。
【0006】
nAChRは、異なるα及びβサブユニットと組み立てられて多くのサブタイプを形成し、各サブタイプは異なる薬理学的特徴を有し、そのうち、筋肉アセチルコリン受容体は5つのサブユニット(2つのα1サブユニット、1つのβサブユニット、1つのδサブユニット及び1つのγもしくはεサブユニットを含む)からなり、これがγ又はεサブユニットであってもなくても、これが胎児性であるか又は成人性アセチルコリン受容体であるかに依存する。哺乳動物の神経nAChRのサブタイプは、筋肉nAChRよりはるかに多く、少なくとも8つのαサブユニット、3つのβサブユニットを有し、これらは別々に、α2−α7、α9、α10(ニワトリのα8)、及びβ2−β4である。ここで、α2、α3及びα4は別々にβ2又はβ4に結合して機能性受容体、例えばα2β2、α3β2、α2β4を形成することができ、α9とα10は結合して機能性受容体α9α10 nAChRを形成する。加えて、α7とα9は相同的マルチマーを形成することができる。種々のサブタイプに対して高い選択性を有するリガンド化合物は存在しないため、種々のnAChRサブタイプの優れた構造と機能を研究し例示することは大きな挑戦である。
【0007】
薬物依存症は、医学的課題であり社会問題である。喫煙依存症は煙草のニコチンにより引き起こされ、そのインビボの受容体は、ニコチンアセチルコリン受容体(nAChR)である(Azam L, McIntosh JM. Alpha-conotoxins as pharmacological probes of nicotinic acetylecholine receptors. Acta Pharmacol Sin. 2009; 30(6): 771-783.)。ドーパミン作動性(DA)ニューロンのnAChRの発現は、神経心理学的疾患、例えばニコチン、モルフィン、コカインの依存症、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病の治療の薬剤作用標的である(Larsson, A.; Jerlhag, E.; Svensson, L.; Soderpalm, B.; Engel, J. A., is an alpha-conotoxin MII-sensitive mechanism involved in the neurochemical, stimulatory, and rewarding effects of ethanol? Alcohol 2004, 34 (2-3), 239-50. Jerlhag, E.; Egecioglu, E.; Dickson, S. L.; Svensson, L.; Engel, J. A., Alpha-conotoxin MII-sensitive nicotinic acetylcholine receptors are involved in mediating the ghrelin-induced locomotor stimulation and dopamine overflow in nucleus accumbens. European neuropsychopharmacology, 2008, 18 (7), 508-18)。α3β2及びα6β2* nAChRを遮断することができるα−コノトキシン−MIIは、線条体シナプトソームからのドーパミン放出を部分的にかつ差別的にブロックすることができ、そしてシナプス前nAChRは、ドーパミンニューロンからのDA放出を制御することができる少なくとも2のサブタイプ、すなわち、MII感受性型とMII非感受性型を含有する(Kaiser SA, Soliakov L, Harvey SC, Luetje CW, Wonnacott S. Differential inhibition by α-conotoxin-MII of the nicotinic stimulation of [3H]-dopamine release from rat striatal synaptosomes and slices. J Neurochem 1998; 70: 1069-76)。いくつかの新しい報告は、α3β4又はα6β2を含有するnAChRを遮断することが、喫煙依存症とモルフィン依存症の発症を効果的に防止することができ、喫煙と薬物に対する欲求を有意に抑制することができることを示す(Brunzell DH, Boschen KE, Hendrick ES, Beardsley PM, McIntosh JM. Alpha-conotoxin MII-sensitive nicotinic acetylcholine receptors in the nucleus accumbens shell regulate progressive ratio responding maintained by nicotine. Neuropsychopharmacology, 2010; 35(3):665-673.)。
【0008】
加えて、DAニューロンは、α6サブユニットを含有するnAChRの非常に高い発現量を有し、α6* nAChRに特異的な薬理学的分子プローブが欠如しているため、依存症におけるα6 nAChRの重要な作用機序はいまだに不明である。哺乳動物の脳の線条体上のα6β2*−nAChRサブタイプは、喫煙依存症と薬物依存症の治療のための薬物作用標的と見なされる(Exley, R.; Clements, M. A.; Hartung, H.; McIntosh, J. M.; Cragg, S. J., Alpha6-containing nicotinic acetylcholine receptors dominate the nicotine control of dopamine neurotransmission in nucleus accumbens. Neuropsychopharmacology 2008, 33 (9), 2158-66)。α6サブタイプは脳に広くは分布されず、中脳ドーパミン作動性ニューロン領域に濃縮されており、この領域は、幸福感、報われ感、及びムードコントロールに密接に関連しており、これは、α6* nAChRが薬物依存症とムードコントロールにおいて重要な役割を果たしていることを意味する(Yang, K. C.,Z. Jin, et al. (2009). Mysterious alpha6-containing nAChRs: function, pharmacology, and pathophysiology. Acta Pharmacol Sin 30(6): 740-751. Klink, R.; de Kerchove d'Exaerde, A.; Zoli, M.; Changeux, J. P., Molecular and physiological diversity of nicotinic acetylcholine receptors in the midbrain dopaminergic nuclei. The Journal of neuroscience, 2001, 21 (5), 1452-63. Azam, L.; Winzer-Serhan, U. H.; Chen, Y.; Leslie, F. M., Expression of neuronal nicotinic acetylcholine receptor subunit mRNAs within midbrain dopamine neurons. The Journal of comparative neurology 2002,444 (3), 260-74. Champtiaux, N.; Gotti, C.; Cordero-Erausquin, M.; David, D. J.; Przybylski, C.; Lena, C.; Clementi, F.; Moretti, M.; Rossi, F. M.; Le Novere, N.; McIntosh, J. M.; Gardier, A. M.; Changeux, J. P., Subunit composition of functional nicotinic receptors in dopaminergic neurons investigated with knock-out mice. The Journal of neuroscience, 2003, 23 (21), 7820-9. Pons, S.; Fattore, L.; Cossu, G.; Tolu, S.; Porcu, E.; McIntosh, J. M.; Changeux, J. P.; Maskos, U.; Fratta, W., Crucial role of alpha4 and alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunits from ventral tegmental area in systemic nicotine self-administration. The Journal of neuroscience, 2008, 28 (47), 12318-27)。α6* nAChRはまた、カテコールアミン作動性核と網膜でも発現される(Le Novere, N.; Zoli, M.; Changeux, J. P., Neuronal nicotinic receptor alpha 6 subunit mRNA is selectively concentrated in catecholaminergic nuclei of the rat brain. The European journal of neuroscience 1996,8 (11), 2428-39. Vailati, S.; Hanke, W.; Bejan, A.; Barabino, B.; Longhi, R.; Balestra, B.; Moretti, M.; Clementi, F.; Gotti, C., Functional alpha6-containing nicotinic receptors are present in chick retina. Molecular pharmacology 1999,56 (1), 11-9.)。α6β2* nAChRは、ドーパミン放出を制御する機能を示し、及びα6β2* nAChRは1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロ高リスクの霊長類モデル及びヒトパーキンソン病モデルにおいて顕著に低下する(Champtiaux, N.; Han, Z. Y.; Bessis, A.; Rossi, F. M.; Zoli, M.; Marubio, L.; McIntosh, J. M.; Changeux, J. P., Distribution and pharmacology of alpha 6-containing nicotinic acetylcholine receptors analyzed with mutant mice. The Journal of neuroscience, 2002, 22 (4), 1208-17. Quik, M.; Polonskaya, Y.; Kulak, J. M.; McIntosh, J. M., Vulnerability of 125I-alpha-conotoxin MII binding sites to nigrostriatal damage in monkey. The Journal of neuroscience, 2001, 21 (15), 5494-500. Quik, M.; Bordia, T.; Forno, L.; McIntosh, J. M., Loss of alpha-conotoxin MII- and A85380-sensitive nicotinic receptors in Parkinson's disease striatum. Journal of neurochemistry 2004, 88 (3), 668-79)。従って、α6/α3β2β3 nAChR特異的遮断剤は、異なる組織におけるα6* nAChR(依存症、パーキンソン病などの関連疾患の治療のための医薬)の生理学的機能を研究し説明するのに貴重なツールであるか、又はそのような医薬をスクリーニングするためのツール薬剤である。
【0009】
新しい研究は、α3β4を含有するnAChRを遮断することが、喫煙依存症とモルフィン及びコカイン依存症の発症を効果的に防止することができ、喫煙と薬物に対する欲求を有意に抑制することができることを示す(Brunzell DH, Boschen KE, Hendrick ES, Beardsley PM, McIntosh JM. Alpha-conotoxin MII-sensitive nicotinic acetylcholine receptors in the nucleus accumbens shell regulate progressive ratio responding maintained by nicotine, Neuropsychopharmacology, 2010, 35(3):665-73)。
【0010】
研究は、人口の約6分の1が、関節炎、神経痛、ひりひりした痛みを含む疼痛(このうち、人の口4〜8%が関節炎に罹患する)に苦しみ、神経痛が、アルコール依存症、座骨神経痛、癌及び癌化学療法、糖尿病、顔面痛、硬化症、帯状疱疹、機械的損傷によって発生する可能性があることを示している。α3β2及びα3β4サブタイプを含むα3サブユニットを含むnAChRは主に末梢神経系で発現され、中枢神経系にも分布しており、神経痛薬の作用のための標的である。α3β2又はα3β4を遮断することができるα−コノトキシンは、診療で多くの慢性の痛みに優れた鎮痛活性を示し、依存症は無い。慢性の疼痛は世界的に健康問題であり、新しい治療薬に対する緊急の必要性がある(Napier, I. A.; Klimis, H.; Rycroft, B. K.; Jin, A. H.; Alewood, P. F.; Motin, L.; Adams, D. J.; Christie, M. J., Intrathecal α-conotoxins Vc1.1, AuIB and MII acting on distinct nicotinic receptor subtypes reverse signs of neuropathic pain. Neuropharmacology 2012,62 (7), 2202-2207. Blyth, F. M.; March, L. M.; Brnabic, A. J.; Jorm, L. R.; Williamson, M.; Cousins, M. J., Chronic pain in Australia: a prevalence study. PAIN 2001,89 (2-3), 127-34. Cousins, M. J.; Brennan, F.; Carr, D. B., Pain relief: a universal human right. PAIN 2004,112 (1-2), 1-4. Eisenberg, E.; McNicol, E. D.; Carr, D. B., Efficacy and safety of opioid agonists in the treatment of neuropathic pain of nonmalignant origin: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. JAMA : the journal of the American Medical Association 2005,293 (24), 3043-52.)。
【0011】
α3β4 nAChRは、感覚神経及び自律神経中心の主要なアセチルコリン受容体サブタイプである。α3β4 nAChRはまた、中心髄と背面髄に延長している手綱などの中枢神経系(CNS)ニューロンの分岐であり、ニコチンやその他の乱用薬物の依存症に関連する(Millar, N. S.; Gotti, C., Diversity of vertebrate nicotinic acetylcholine receptors. Neuropharmacology 2009,56 (1), 237-46; Tapper, A. R.; McKinney, S. L.; Nashmi, R.; Schwarz, J.; Deshpande, P.; Labarca, C.; Whiteaker, P.; Marks, M. J.; Collins, A. C.; Lester, H. A., Nicotine activation of alpha4* receptors: sufficient for reward, tolerance, and sensitization. Science 2004,306 (5698), 1029-32.)。α3β4 nAChRは、辺縁系ドーパミン経路に関し、乱用物質(薬物など)によって生成された報われ感に対して非常に重要な役割を果たしている。β4サブユニットノックアウトマウスでは、運動と報われ感は有意に低下し、これは、CNSにおけるニコチン依存症に対するα3β4 nAChRの重要な作用を示唆している(Salas, R., Sturm, R., Boulter, J., and De Biasi, M. (2009) Nicotinic receptors in the habenulo-interpeduncular system are necessary for nicotine withdrawal in mice. J. Neurosci. 29, 3014-3018)。α3β4 nAChRはまた、脅迫応答において非常に重要な役割を果たし、グルタミン酸の制御とノルアドレナリンの放出に顕著に影響を与える(Zhu, P. J.; Stewart, R. R.; McIntosh, J. M.; Weight, F. F., Activation of nicotinic acetylcholine receptors increases the frequency of spontaneous GABAergic IPSCs in rat basolateral amygdala neurons. Journal of neurophysiology 2005, 94 (5), 3081-91. Alkondon, M.; Albuquerque, E. X., A non-alpha7 nicotinic acetylcholine receptor modulates excitatory input to hippocampal CA1 interneurons. Journal of neurophysiology 2002, 87 (3), 1651-4. Luo, S.; Kulak, J. M.; Cartier, G. Jacobsen, R. B.; Yoshikami, D.; Olivera, B. M.; McIntosh, J. M., alpha-conotoxin AuIB selectively blocks alpha3 beta4 nicotinic acetylcholine receptors and nicotine-evoked norepinephrine release. The Journal of neuroscience: the official journal of the Society for Neuroscience 1998, 18 (21), 8571-9. Kulak, J. M.; McIntosh, J. M.; Yoshikami, D.; Olivera, B. M., Nicotine-evoked transmitter release from synaptosomes: functional association of specific presynaptic acetylcholine receptors and voltage-gated calcium channels. Journal of neurochemistry 2001, 77 (6), 1581-9.)。
【0012】
nAChRの特定のサブタイプに対して顕著な選択性を有するα−CTxは、種々のサブタイプの分布と機能、及び関連疾患の治療のための医薬を研究するための必要なツールである(Kasheverov, I. E., Utkin, Y. N., and Tsetlin, V. I. (2009) Naturally Occurring and Synthetic Peptides Acting on Nicotinic Acetylcholine Receptors. Current Pharmaceutical Design 15, 2430-2452; Nicke, A., Wonnacott, S., and Lewis, R. J. (2004) alpha-Conotoxins as tools for the elucidation of structure and function of neuronal nicotinic acetylcholine receptor subtypes. Eur. J. Biochem. 271, 2305-2319)。α3β2サブタイプを特異的に遮断することができるが、非常によく似たα6β2*サブタイプを遮断する活性は非常に小さいか又は全く活性の無いα−CTxは非常に貴重であり、これは、α3β2及びα6β2*サブタイプを区別することができる非常に重要な科学的及び適用価値を有するリガンドである。その理由は、α6β2*サブタイプがドーパミン作動性領域を支配するためである。この重要な生理学的領域における受容体の組成、特性及び生理学的機能は、α−CTx MIIの適用のみからであるが、α−CTx MIIはα3β2及びα6β2*サブタイプに対して選択性が乏しく、これらを区別することができない;又はこれらは、α6β2*サブタイプの選択性遮断剤を使用して研究される(Dowell, C., Olivera, B. M., Garrett, J. E., Staheli, S. T., Watkins, M., Kuryatov, A., Yoshikami, D., Lindstrom, J. M., and McIntosh, J. M. (2003) a-Conotoxin PIA Is Selective for 6 Subunit-Containing Nicotinic Acetylcholine Receptors. The Journal of Neuroscience 23, 8445-8452; McIntosh, J. M., Azam, L., Staheli, S., Dowell, C., Lindstrom, J. M., Kuryatov, A., Garrett, J. E., Marks, M. J., and Whiteaker, P. (2004) Analogs of alpha-conotoxin MII are selective for alpha 6-containing nicotinic acetylcholine receptors. Molecular pharmacology 65, 944-952; Quik, M., Perez, X. A., and Grady, S. R. (2011) Role of alpha 6 nicotinic receptors in CNS dopaminergic function: relevance to addiction and neurological disorders. Biochemical pharmacology 82, 873-882; Letchworth, S. R., and Whiteaker, P. (2011) Progress and challenges in the study of alpha 6-containing nicotinic acetylcholine receptors. Biochemical pharmacology 82, 862-872; Champtiaux, N., Gotti, C., Cordero-Erausquin, M., David, D. J., Przybylski, C., Lena, C., Clementi, F., Moretti, M., Rossi, F. M., Le Novere, N., McIntosh, J. M., Gardier, A. M., and Changeux, J. P. (2003) Subunit composition of functional nicotinic receptors in dopaminergic neurons investigated with knock-out mice. Journal of Neuroscience 23, 7820-7829). しかし、α3β2* nAChRの発現は通常、α6β2* nAChRの発現重複を引き起こす(Whiteaker, P., McIntosh, J. M., Luo, S. Q., Collins, A. C., and Marks, M. J. (2000) I-125-alpha-conotoxin MII identifies a novel nicotinic acetylcholine receptor population in mouse brain. Molecular pharmacology 57, 913-925; Whiteaker, P., Peterson, C. G., Xu, W., McIntosh, J. M., Paylor, R., Beaudet, A. L., Collins, A. C., and Marks, M. J. (2002) Involvement of the alpha 3 subunit in central nicotinic binding populations. Journal of Neuroscience 22, 2522-2529; McClure-Begley, T. D., Wageman, C. R., Grady, S. R., Marks, M. J., McIntosh, J. M., Collins, A. C., and Whiteaker, P. (2012) A novel alpha-conotoxin MII-sensitive nicotinic acetylcholine receptor modulates H-3 -GABA release in the superficial layers of the mouse superior colliculus. J Neurochem 122, 48-57)。さらに、脊椎中のα3β2* nAChRはまた、疼痛刺激の伝達に重要な役割を果たし、鎮痛作用の標的である(Young, T., Wittenauer, S., McIntosh, J. M., and Vincler, M. (2008) Spinal α3β2* nicotinic acetylcholine receptors tonically inhibit the transmission of nociceptive mechanical stimuli. Brain research 1229, 118-124)。すなわち、α3β2*対α6β2* nAChR選択性遮断剤を見つけることは、正常状態及び疾患状態におけるサブタイプの機能と意味を総合的に研究し理解するのに重要な価値を有する。
【0013】
α−コノトキシンは、疼痛の治療、禁煙、リハビリテーション、パーキンソン病、認知症、うつ病及び統合失調症の治療のための新薬を開発するための、及び関連疾患の機序を研究するための、大きな可能性を有することがわかっており、特定のnAChRサブタイプを区別するための分子プローブツール薬剤並びに神経痛や依存症の治療のための発明薬剤もまた、疼痛、喫煙依存症及び薬剤依存症により引き起こされる傷害や深刻な社会問題を緩和するために、緊急の必要性がある。現在では、高い特異性を有する新しいnAChR遮断剤を開発する緊急の必要性がまだある。
【発明の概要】
【0014】
精力的な研究及び創造的な努力の結果、本発明の発明者らは、アセチルコリン受容体を特異的に遮断することができ、特に、神経痛薬標的であるα3β2 nAChR、α3β4 nAChR又はα6/α3β4 nAChRと、依存症薬標的であるα6/α3β2β3 nAChR又はα3β4 nAChRと、を遮断する強力な活性を有し、そして動物モデルにおける強力鎮痛活性を示し、従って、鎮痛、禁煙及びリハビリテーション用の医薬の製造の面で、及びうつ病、認知症、統合失調症、パーキンソン病の予防と治療の面で、又は神経科学的ツール薬剤としての使用の面で、優れた応用の見込みがある、新しい種類のα−コノトキシンペプチドを発見した。従って、以下の発明が提供される。
【0015】
本発明の1つの態様は、式I:
【化1】
[式中、
1は、D又はHであり、
2は、P、A又はVであり、
3は、R、N又はSであり、
4は、N、V又はAであり、
5は、K、D、M又はAであり、
6は、H又はSであり、
7は、D、Eであるか、又は存在せず、
8は、L又はIであり、
9は、Gであるか、又は存在しない];
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドに関し、
任意に、式IのポリペプチドのC末端はアミド化されている。
【0016】
上記アミノ酸D、H、P、A、V、R、N、S、K、M、H、E、L、I、Gは、アミノ酸の略語であり、当業者に公知の意味を有する。
【0017】
式IのポリペプチドのC末端のアミド化はまた、#により示すこともでき、すなわち、GCCSX1PX2CX3456PX78CX9#で示すことができる。
【0018】
本発明はさらに、以下の項目(1)〜(3):
(1)配列番号3、4、6、11〜15、26〜28又は30のいずれか1つで示されるアミノ酸配列;
(2)前記(1)のアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、特に好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも97%の同一性を有するアミノ酸配列;又は
(3)1〜5個、好ましくは1〜3個、より好ましくは1〜2個、最も好ましくは1個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加において前記(1)又は(2)の配列と異なるアミノ酸配列
のいずれか1つのアミノ酸配列であるか、又はいずれか1つのアミノ酸配列を含む、ポリペプチドに関する。
【0019】
本発明の1つの目的のために、2又は複数のアミノ酸配列の同一性は、以下のパラメーター:blastall −p blastp−a4− e10−E0−v500−b250−I [query document]−d prot_all(−pはプログラムの名称を表し、−aはサーバーの名称を表し、−eは予測値を表し、−Eはエクステンションギャップのコストを表し、−vはオンラインディスクリプションの数を表し、−bは表示される比較数を表し、−Iはクエリードキュメントを表し、−dはクエリーのために用いられるデータベースを表す)を用いて、BLAST2.0タンパク質データベースクエリープログラム(Aaltschul et al., 1997, Nuculeic Acid Research 25: 3389-3402)により決定される。
【0020】
相同なポリペプチドのアミノ酸配列と、配列番号3、4、6、11〜15、26〜28又は30のいずれか1つで示されるアミノ酸配列との違いは、1又は複数の、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、特に最も好ましくは1〜2、最も好ましくは1アミノ酸残基の置換、挿入付加及び/又は欠失にあってもよい。好ましくは、アミノ酸の変更は、特性にほとんど影響のない変更であり、即ち、これは従来のアミノ酸置換、通常1〜約5、好ましくは1〜3、より好ましくは1アミノ酸の欠失である小さい断片の欠失;小さいアミノ又はカルボキシル末端伸長、例えばアミノ末端に付加されるメチオニン残基、最大約20〜25残基を有する小さいリンカーペプチド;又は、電荷、又はポリヒスチジン断片、エピトープ、結合ドメイン(これらのすべては、タンパク質のフォールディング及び/又は活性に有意な影響を与えない)などの他の機能を変更することにより精製に寄与する小さい伸長である。
【0021】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)の中での置換、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)の中での置換、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)の中での置換、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)の中での置換、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)の中での置換及び小さいアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、スレオニン及びメチオニン)の中での置換である。通常、特定の活性を変化させないアミノ酸置換は、当該技術分野においてよく知られており、例えば、"Proteins", H.Neurath and R.L.Hill, 1979, Academic Press, New Yorkに記載されている。最も一般的な置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu及びAsp/Gly等及びその逆に行われた置換である。
【0022】
本発明は、α−コノトキシンのN末端及び/又はC末端が他のペプチド/ポリペプチドと融合された、融合ポリペプチド又は溶解可能な(lysable)融合ポリペプチドをさらに含む。融合ポリペプチドを作成するための技術は、当該技術分野において知られており、それらが1つのリーディングフレーム中に存在し、そして融合ポリペプチドの発現が同一のプロモーター及びターミネーターにより制御されるように、本発明のペプチドをコードするコーディング配列を他のペプチド/ポリペプチドをコードするコーディング配列と連結させることを含む。
【0023】
本発明の項目の任意の1つに記載のポリペプチドは、好ましくは配列番号4(α−LvIA/LvD21)又は配列番号3(このペプチドは実際にはα−LvIA/LvD21のプロペプチドである)で示されるアミノ酸配列を有する。
【0024】
本発明の項目のいずれか1つに記載のポリペプチドにおいて、ポリペプチドのC末端は、好ましくはアミド化されている。アミド化は、人工的化学合成又はインビボもしくはインビトロのアミド化酵素により行うことができる。
【0025】
本発明の項目のいずれか1つに記載のポリペプチドにおいて、好ましくはポリペプチドのN末端の1番目のシステインと3番目のシステインがジスルフィド結合を形成し、そして2番目のシステインと3番目のシステインがジスルフィド結合を形成するか;あるいはポリペプチドのN末端の1番目のシステインと4番目のシステインがジスルフィド結合を形成し、そして2番目のシステインと3番目のシステインがジスルフィド結合を形成するか;あるいはポリペプチドのN末端の1番目のシステインと2番目のシステインがジスルフィド結合を形成し、そして3番目のシステインと4番目のシステインがジスルフィド結合を形成する。
【0026】
本発明のポリペプチドは、コノトキシンであり;具体的には、α−コノトキシンである。
【0027】
コノトキシンは、中国の海南省において産生されるイボシマイモ(Conus lividus)又はタガヤサンミナシ(Conus textile)から抽出してもよく;あるいは化学的合成のアミノ酸(例えば実施例2−(1)〜2−(3)の方法)でもよく;あるいは遺伝子組み換えを介したそのヌクレオチドを発現することにより(前記ヌクレオチド配列は、実施例1−(1)〜1−(3)の方法又は実施例2−(1)〜2−(3)の方法の直接的なポリペプチドの人工的合成により調製することができる);あるいは以下の方法を参照することにより、得られるポリペプチドでもよい。
【0028】
本発明の別の態様は、以下の工程:
1)Fmocアミノ酸の側鎖保護基はPmc(Arg)、Trt又はAcm(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)及びBoc(Lys)である、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置又は手動の方法により線形ポリペプチドを合成し、
2)工程1)で合成された線形ポリペプチドをレジンから切り出すこと、
3)工程2)において得られた線形ポリペプチドを氷ジエチルエーテルを使用して沈殿させそして洗浄し、線形ポリペプチドの粗生成物を回収すること、
4)分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を使用して、工程3)において得られた線形ポリペプチドの粗生成物を精製すること、
5)工程4)において得られた生成物を2工程又は1工程の酸化的フォールディングに供すること、
を含む、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチドを調製するための方法に関する。
【0029】
本発明の別の態様は、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチドのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドに関する。
【0030】
好ましくは、本発明の項目のいずれか1つのポリヌクレオチドは、以下の項目(1)〜(3):
(1)配列番号1、配列番号2、配列番号5、配列番号7、配列番号8、配列番号16〜21、配列番号22〜25、配列番号29又は配列番号31の配列のいずれか1つに示されるようなヌクレオチド配列;
(2)(1)のヌクレオチド配列の相補的配列;
(3)ストリンゲジェントな条件下で(1)のヌクレオチド配列とハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列
のいずれか1つから選択されるヌクレオチド配列であるか、又はこのヌクレオチド配列を含む。
【0031】
ポリヌクレオチド間のハイブリダイゼーションに関しては、例えばMolecular Cloning: A Laboratory Manual, Edition 2, Sambrook, etc., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring, 1989を含む、当該技術分野における多くの文献を参考にすることができる。ハイブリダイゼーションは、様々な程度のストリンジェントな条件、例えば、中程度にストリンジェントな条件、やや高度にストリンジェントな条件、又は高度にストリンジェントな条件を用いることができる。よりストリンジェントな条件は、二重らせんを形成するために要求される、より高度な相補的な程度である。ストリンジェントの程度は、温度、プローブ濃度、プローブ長、イオン強度、時間等により調整することができる。二重鎖DNAについて、ハイブリダイゼーションは、6X SSPE、5X デンハルト液、0.1%SDS、0.1mg/m変性DNA中で、一晩、DNAヘテロ接合体の融点[Tm]より20〜25℃低い温度において行なわれる。洗浄は、通常、以下:0.2X SSPE、0.1%SDS中で、Tm−20℃において1回、15分間(中程度にストリンジェントな条件下での洗浄)のように行なわれる。
【0032】
本発明の別の態様は、本発明の項目のいずれか1つのポリヌクレオチドを含む核酸コンストラクトに関する。
【0033】
本発明の別の態様は、本発明の核酸コンストラクトを含む発現ベクターに関する。
【0034】
本発明の別の態様は、本発明の発現ベクターを含む形質転換細胞に関する。
【0035】
本発明の別の態様は、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチドを含む融合タンパク質に関する。
【0036】
本発明の別の態様は、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチド、又は本発明の融合タンパク質を含み;任意で、医薬的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、医薬組成物に関する。
【0037】
本発明の別の態様は、有効量の本発明の項目のいずれか1つのポリペプチド又は融合タンパク質を用いる工程を含む、アセチルコリン受容体を遮断する方法に関し;具体的には、前記アセチルコリン受容体はα3β2アセチルコリン受容体、α6/α3β2β3アセチルコリン受容体又はα3β4アセチルコリン受容体である。
【0038】
本発明の別の態様は、アセチルコリン受容体のインヒビターをスクリーニングする、あるいはアセチルコリン受容体のサブタイプを決定するための方法であって、前記方法は、候補化合物の存在又は不在下において、アセチルコリン受容体と、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチド又は融合タンパク質とを接触させる工程を含み;具体的には、前記アセチルコリン受容体はα3β2アセチルコリン受容体、α6/α3β2β3アセチルコリン受容体又はα3β4アセチルコリン受容体である、方法に関する。前記ポリペプチド又は融合タンパク質が、α3β2アセチルコリン受容体(例えば、α−コノトキシンLvIA/LvD21)を特異的に遮断することができる場合、α6/α3β2β3アセチルコリン受容体(例えば、α−コノトキシンTxIB/Txd4)を特異的に遮断することができる場合、又はα3β4アセチルコリン受容体(例えば、α−コノトキシンTxIC/Txd1)を特異的に遮断することができる場合、アセチルコリン受容体はα3β2サブタイプ、α6β2*サブタイプ(α6/α3β2β3アセチルコリン受容体)又はα3β4サブタイプアセチルコリン受容体であると決定することができる。
【0039】
本発明の別の態様は、アセチルコリン受容体の遮断における、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチド又は融合タンパク質の使用に関し;具体的には、前記アセチルコリン受容体は、α3β2アセチルコリン受容体、α6/α3β2β3アセチルコリン受容体又はα3β4アセチルコリン受容体である。
【0040】
本発明の別の態様は、アセチルコリン受容体を遮断するための医薬又は試薬の製造における、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチド又は融合タンパク質の使用に関し、具体的には、前記アセチルコリン受容体は、α3β2アセチルコリン受容体、α6/α3β2β3アセチルコリン受容体又はα3β4アセチルコリン受容体である。
【0041】
本発明の別の態様は、神経系疾患、例えば依存症、神経痛、パーキンソン病又は認知症の治療及び/又は予防のための医薬の製造における、本発明の項目のいずれか1つのポリペプチド又は融合タンパク質の使用、あるいは害虫の殺滅、鎮痛、禁煙又は依存症の治療のための薬剤の製造における使用であって;具体的には、前記神経痛は、以下の因子:癌及び癌の化学療法、アルコール依存症、坐骨神経痛、糖尿病、三叉神経痛、硬化症、帯状疱疹、機械的損傷及び外科的損傷、AIDS、頭部神経麻痺、薬物中毒、産業公害中毒、リンパ神経痛、骨髄腫、マルチポイントモーター神経痛(multipoint motor neuralgia)、慢性先天性感覚神経症、急性自発神経痛、圧迫するような神経痛、血管炎、脈管炎、虚血、尿毒症、小児の胆汁性肝疾患、慢性呼吸器疾患、複合的な神経痛、多臓器不全、敗血症/膿血症、肝炎、ポルフィリン症、ビタミン欠乏症、慢性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、高脂血症、ハンセン病、ライム関節炎、感覚神経周囲炎、アレルギー等により引き起される。
【0042】
本発明の別の態様は、神経系疾患、例えば疼痛、煙草、アルコール及び薬物の依存症、認知症、統合失調症、中枢神経障害、てんかん、パーキンソン病、精神障害、神経筋遮断、重症筋無力症、うつ病、高血圧、不整脈、喘息、筋弛緩、脳卒中、乳癌及び肺癌の治療及び/又は予防及び/又は補助療法のための方法、あるいは害虫の殺滅、鎮痛、禁煙、又は依存症の治療のための方法であって、有効量の本発明のポリペプチド(コノトキシンペプチド若しくはこれらのプロペプチド)若しくは融合タンパク質、又は本発明の医薬組成物を投与する工程を含み、具体的には、前記依存症は、ニコチン、モルフィン、コカイン、アルコールなどの依存性物質により誘導され、前記神経痛は、以下の理由:癌及び癌の化学療法、アルコール依存症、坐骨神経痛、糖尿病、三叉神経痛、硬化症、帯状疱疹、機械的損傷及び外科的損傷、AIDS、頭部神経麻痺、薬物中毒、産業公害中毒、リンパ神経痛、骨髄腫、マルチポイントモーター神経痛、慢性先天性感覚神経症、急性自発神経痛、圧迫するような神経痛、血管炎、脈管炎、虚血、尿毒症、小児の胆汁性肝疾患、慢性呼吸器疾患、複合的な神経痛、多臓器不全、敗血症/膿血症、肝炎、ポルフィリン症、ビタミン欠乏症、慢性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、高脂血症、ハンセン病、ライム関節炎、感覚神経周囲炎、アレルギー等により誘導される。
【0043】
本発明のコノトキシンペプチドは、α3β2アセチルコリン受容体(nAChR)、α6/α3β2β3アセチルコリン受容体又はα3β4アセチルコリン受容体と結合することにより、効果を発揮することができ、そして鎮痛作用を有し、神経系疾患、例えば依存症、神経痛、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病の研究、診断及び/又は治療のために、そして研究における有用な分子プローブとして用いることができる。脊椎動物(vertebrate)受容体に対する様々なα CTxのアフィニティーは、例えば、桁が幾つか異なるなど、大変に多様である。生殖細胞系におけるかかる多様性により、α−CTxは、脊椎動物の系統発生を研究するためのプローブとして有用であり、あるいはnAchRの異なるサブタイプを決定するための分子プローブとして有用である。これらは、新規薬物の開発における、候補薬物、基礎的な薬物、及び治療薬である。
【0044】
本発明に用いられる用語を、以下に説明する。
【0045】
神経痛
本発明のポリペプチドは、様々な神経痛の治療のための使用に関する。神経痛は、末梢若しくは中枢神経系の一次若しくは二次疾患、又は機能性疾患、又は一過性疾患により引き起され、自発性疼痛、感覚過敏性等として現れる。神経痛は、癌及び癌の化学療法、アルコール依存症、坐骨神経痛、糖尿病、三叉神経痛、硬化症、帯状疱疹、機械的損傷及び外科的損傷、AIDS、頭部神経麻痺、薬物中毒、産業公害中毒、リンパ神経痛、骨髄腫、マルチポイント神経痛、慢性先天性感覚神経症、急性自発神経痛、圧迫するような神経痛、血管炎、脈管炎、虚血、尿毒症、小児の胆汁性肝疾患、慢性呼吸器疾患、複合的な神経痛、多臓器不全、敗血症/膿血症、肝炎、ポルフィリン症、ビタミン欠乏症、慢性肝疾患、原発性胆汁性肝硬変、高脂血症、ハンセン病、ライム関節炎、感覚神経周囲炎、アレルギー等を含む、多くの疾患より引き起される疼痛である。
【0046】
依存症
本発明のポリペプチドは、種々の依存性物質により引き起こされる依存症の治療に関する。依存症は、精神活性物質を繰り返し使用する対象の周期的又は慢性の中毒状態を指す。精神活性物質は、ニコチン、アヘン、ヘロイン、メチルアンフェタミン(氷)、モルフィン、マリファナ、コカイン、及び他の麻酔薬、及びヒトで依存症を引き起こし、国の規制により管理されている精神活性物質を指す。依存症は、ドーパミンの多量の生成に関し、お気に入りの物質の我慢できない使用、又は抑制も矯正もできない使用行動を示し、そしていい気分を得るか又は禁断症状を回避するための向精神物質を得るためにいかなる手段も使用することを指す。典型的な状況は、抵抗の増加と禁断症状の発生である。依存症者の生活は依存性の物質によって完全に支配され、従って大きな影響を受け、さらには、他の重要な行動とすべての責任を拒否する。従って、依存症物質の使用は、個人と社会の両方にダメージをもたらすだろう。アルコールとともに使用する場合は、依存症は慢性アルコール中毒と同等である。用語「依存症」はまた、肉体的及び心理的な内容の両方をカバーする。精神的依存症は、アルコール飲酒や薬物投与における調節損傷経験を制御強調し、一方、肉体的な依存症は抵抗と禁断症状を指す。
【0047】
核酸コンストラクト
本発明は、さらに、本発明の核酸配列、及びそれに作動式に連結される1又は複数の制御配列を含み、前記制御配列は、これらの適合する条件下で、好適な宿主細胞中で発現するためのコーディング配列を導く、核酸コンストラクトに関する。前記発現は、限定することなく、転写、転写後修飾、翻訳、修飾、及び翻訳後分泌を含むポリペプチドの生産に関する任意の工程を含むことは理解されるべきである。
【0048】
本明細書において、「核酸コンストラクト」は、天然の遺伝子から分離された一本鎖又は二本鎖核酸分子として定義され、修飾により非天然の態様において組み合わされ、且つ配置された核酸断片を含む。前記核酸コンストラクトが本発明のコーディング配列を発現するために必要な全ての制御配列を含む場合、用語「核酸コンストラクト」は、発現カセットと同一の意味を有する。本明細書において、用語「コーディング配列」は、タンパク質生成物のアミノ酸配列を直接的に決定するための核酸配列の一部として定義される。コーディング配列の境界は、通常、mRNA5’末端のオープンリーディングフレーム上流に密接する(原核細胞に対応する)リボソーム結合部位、及びmRNA3’末端のオープンリーディングフレーム下流に密接する転写終結配列により決定される。コーディング配列は、限定することなく、DNA、cDNA及び組み換え核酸配列を含むことができる。
【0049】
本発明のペプチドをコードする分離された核酸配列は、ペプチドを発現するように多くの方法で操作することができる。発現ベクターに依存して、前記核酸配列は、必要であれば、ベクターへの挿入の前に処理され得る。組み換えDNA法を用いた核酸配列を修飾する技術は、当該技術分野においてよく知られている。
【0050】
本明細書において、用語「制御配列」は、本発明のペプチドの発現に必須の全ての要素、あるいは貢献する全ての要素として定義される。各制御配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列中に生来存在する、あるいは外来的に付加される。これらの制御配列としては、限定することなく、リーダー配列、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナル配列及び転写終結因子が挙げられる。最低限度、制御配列は、転写及び翻訳のためのプロモーター及び終結因子を含むべきである。制御配列と連結するための特異的な制限酵素認識部位を、ポリペプチドをコードする核酸配列のコーディング領域に導入するために、コネクターを有する制御配列が提供されてもよい。本明細書において、用語「作動式に連結される」とは、制御配列がポリペプチドの発現を導くように、前記制御配列が、DNA配列に対応するコーディング配列の好適な位置に存在する配置を意味する。
【0051】
前記制御配列は、任意の好適なプロモーター配列、即ち、核酸配列を発現する宿主細胞により認識され得る核酸配列であってもよい。前記プロモーター配列は、ポリペプチド発現を調整する転写制御配列を含む。前記プロモーターは、例えば突然変異誘発された、切断された、及びハイブリダイズされたプロモーターを含む、選択された宿主細胞中で転写活性を有する任意の核酸配列でもよく、宿主細胞と同種の又は異種の細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られてもよい。
【0052】
前記制御配列は、さらに、好適な転写終結配列、即ち、転写を終結させるように、宿主細胞において認識され得る配列でもよい。前記終結配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の3’末端に作動式に連結される。選択された宿主細胞においてかかる機能を有する任意の終結因子を、本発明において用いることができる。
【0053】
前記制御配列は、さらに、好適なリーダー配列、即ち、宿主細胞の翻訳に大変重要なmRNA非翻訳領域でもよい。前記リーダー配列は、ポリペプチドをコードする核酸配列の5’末端に作動式に連結される。選択された宿主細胞において機能を発揮することができる任意のリーダー配列を、本発明において用いることができる。
【0054】
前記制御配列は、さらに、シグナルペプチドのコーディング領域でもよく、そして前記領域は、ポリペプチドのアミノ末端に連結されるアミノ酸配列をコードし、コードされたポリペプチドを細胞分泌経路に導くことができる。核酸配列のコーディング領域の5’末端は、翻訳リーディングフレームに一致したシグナルペプチドコーディング領域を本来含み、そして分泌されたポリペプチドのコーディング領域に本来連結される。あるいは、コーディング領域の5’末端は、コーディング配列に対して、外来のシグナルペプチドコーディング領域を含んでもよい。コーディング配列が通常の条件下でシグナルペプチドコーディング領域を含まない場合、外来のシグナルペプチドコーディング領域が付加されてもよい。あるいは、外来のシグナルペプチドコーディング領域は、ポリペプチドの分泌を増大させるように、生来のシグナルペプチドコーディング領域を単に置換するために用いられてもよい。しかしながら、発現されたポリペプチドを、用いられる宿主細胞の分泌経路への移行を導くことができる任意のシグナルペプチドコーディング領域を、本発明において用いることができる。
【0055】
前記制御配列は、さらに、プロペプチドコーディング領域でもよく、前記領域はポリペプチドのアミノ末端におけるアミノ酸配列をコードする。得られたポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチドと称される。前記プロポリペプチドは、通常、活性を有さず、触媒又は自己触媒によりプロポリペプチドからプロペプチドを切断することにより、成熟活性ポリペプチドに変換される。
【0056】
ポリペプチドのアミノ末端がシグナルペプチド及びプロペプチドの両者を有する場合、プロペプチドは、ポリペプチドのアミノ末端に隣接する一方で、シグナルペプチドは、プロペプチドのアミノ末端に隣接する。
【0057】
宿主細胞の増殖条件に従ってポリペプチド発現を制御することができる制御配列を付加することが必要であってもよい。制御系の例としては、遺伝子発現を開始又は終了するために、(制御化合物を有する条件において誘導される)化学的又は物理的刺激に応答することができる系である。制御配列の他の例は、遺伝子を増幅することができる制御配列である。これらの例において、ポリペプチドをコードする核酸配列は、制御配列に作動式に連結されるべきである。
【0058】
発現ベクター
本発明は、さらに、本発明の核酸配列、並びに転写及び翻訳のためのプロモーター及びターミネーターを含む組み換え発現ベクターに関する。上記核酸及び制御配列は、組み換え発現ベクターを調製するために一緒に連結され得、そして前記ベクターは、前記ポリペプチドをコードする核酸配列をこれらの部位において挿入又は置換することができるような、1又は複数の便利な制限酵素部位を含んでもよい。あるいは、核酸配列又は前記配列を含む核酸コンストラクトは、本発明の核酸配列を発現するために、好適な発現ベクターに挿入されてもよい。前記発現ベクターが調製される場合、前記コーディング配列は、好適な発現制御配列に作動式連結されるように、ベクター中に存在してもよい。
【0059】
前記組み換え発現ベクターは、組み換えDNA操作を行なうことができ、核酸を発現することができる任意のベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)でもよい。ベクターの選択は、通常、ベクターと、ベクターが導入される宿主細胞の適合性に依存する。前記ベクターは、線形又は環状プラスミドでもよい。
【0060】
前記ベクターは、自己複製することができるベクター(即ち、染色体から独立して複製することができる染色体外の完全なコンストラクト)、例えばプラスミド、染色体外要素、微小染色体又は人工染色体でもよい。前記ベクターは、自己複製を確実にする任意の機序を含んでもよい。あるいは、前記ベクターは、前記ベクターが宿主細胞に導入される場合、ゲノムに統合され、それに統合される染色体と一緒に複製されるベクターである。加えて、用いられるベクターは、1つのベクター又はプラスミドでもよく、あるいは、一般的に、2又はそれ以上の宿主細胞ゲノム又はトランスポゾンに導入される全DNAのベクター又はプラスミドを含んでもよい。
【0061】
好ましくは、本発明のベクターは、形質転換細胞を選択するのに簡便な1又は複数の選択マーカーを含む。前記選択マーカーは、殺生物剤に対する抵抗性、重金属に対する抵抗性を提供するか、あるいは栄養素要求株原栄養性(auxotroph prototrophy)を提供する、かかる遺伝子である。細菌の選択マーカーの例は、バチルス・サブチリス(bacillus subtilis)又はバチラス・リケニホルミス(bacillus licheniformis)のdal遺伝子であり、耐性マーカーとしてはアンピシリン、カナマイシン、クロロマイシン又はテトラサイクリンが挙げられる。
【0062】
好ましくは、本発明のベクターは、宿主細胞のゲノムに安定的に統合されるベクターを確実にする、あるいは細胞中の細胞ゲノムから独立して自己複製されるベクターを確実にする要素を含む。
【0063】
自己複製に関して、前記ベクターが宿主細胞において自己複製できるように、前記ベクターは、さらに複製起源を含む。前記複製起源は、宿主細胞において、温度感受性タイプとなる、突然変異を有してもよい(例えば,fEhrlich, 1978, National Academy of Sciences, 75:1433を参照のこと)。
【0064】
本発明の核酸配列の1超のコピーは、遺伝子産物の生産を増加させるために、宿主細胞に挿入されてもよい。核酸配列のコピー数は、少なくとも1つの更なる配列のコピーを宿主細胞のゲノムに挿入することにより、あるいは増幅選択マーカーとともに核酸配列を挿入し、好適な選択的な試薬の存在下で細胞を培養し、コピー増幅のための選択マーカー遺伝子を有し、それにより核酸の更なるコピーを有する細胞を選択することにより、増加させることができる。
【0065】
本発明の組み換え発現ベクターを構築するための上記要素と連結するための工程は、当該技術分野においてよく知られている(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Edition 2, Sambrook, etc., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring, 1989を参照のこと)。
【0066】
宿主細胞
本発明はさらに、ポリペプチドの組み換え産物のための、本発明の核酸配列を含む組み換え宿主細胞に関する。本発明の核酸配列を含むベクターは、前記ベクターが上記の染色体の統合された体(body)又は自己複製可能な染色体外ベクターの形態において維持されるように、宿主細胞に導入することができる。用語「宿主細胞」は、複製期間の突然変異により、親細胞と異なる任意の子孫(offspring)を網羅する。宿主細胞の選択は、ポリペプチドコーディング遺伝子及びそれらの起源に主に依存する。
【0067】
前記宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞、例えば細菌又は酵母菌でもよい。前記ベクターは、当該技術分野においてよく知られている技術により、宿主細胞に導入することができる。
【0068】
調製方法
本発明はさらに、本発明のペプチドの組み換え生産のための方法であって、(a)ペプチドを生産するのに好適な条件下で核酸コンストラクトを有する宿主細胞を培養すること、ここで前記核酸コンストラクトは前記ペプチドをコードする核酸配列を含む;及び前記ペプチドを回収することを含む、方法に関する。
【0069】
本発明の調製方法において、前記細胞は、当該技術分野において知られている方法により、ポリペプチド生産に好適な栄養培地中で培養される。例えば、前記細胞は、ポリペプチド発現及び/又は分離を可能にする条件下で、好適な培養培地中で、振盪フラスコ培養、実験室培養、工業的な発酵タンク中での小又は大スケール発酵(連続型、バッチ型、バッチ投入型、又は固相発酵型を含む)により培養される。前記培養は、炭素源及び窒素源及び無機塩類を含む好適な培養培地中で、当該技術分野において知られている工程により行なうことができる。好適な培養培地は、供給者から提供されてもよく、あるいは当該技術分野において知られている組成(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ中のもの)に従って調製されてもよい。前記ポリペプチドが培養中に分泌される場合、前記ポリペプチドを、培養培地から直接回収することができる。前記ポリペプチドが外側に分泌されない場合、これを、細胞溶解液から回収することができる。
【0070】
生産されたポリペプチドは、当該技術分野において知られている方法により回収することができる。例えば、前記ポリペプチドは、従来の工程(限定することなく、遠心分離、濾過、噴霧乾燥、蒸発又は沈殿を含む)により培養培地から回収することができる。
【0071】
本発明のポリペプチドは、当該技術分野において知られている工程により精製することができ、これらの工程としては、限定することなく、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、クロマト分画(chromatofocusing)及びサイズ排除クロマトグラフィー)、HPLC、電気泳動(例えば、分取用等電点電気泳動分画)、異なる溶解性(例えば硫酸アンモニュウム沈殿法)、SDS−PAGE又は抽出(例えば、Protein Purification, edited by J.C.Janson and Lars Ryden, VCH Publishers, New York, 1989を参照のこと)が挙げられる。
【0072】
トランスジェニック動物と植物
本発明はさらに、形質転換された宿主に新しい特性(例えば、害虫に対する抵抗性)を与えるように、本発明の核酸配列により形質転換された動物細胞又は植物細胞、好ましくは小麦、トウモロコシの植物細胞に関する。これは、動物細胞又は植物細胞を本明細書に開示のコンストラクトを用いて当該分野で公知の方法により行うことができる。
【0073】
害虫駆除のための方法及び調製物
当業者によりよく知られている多くの方法は、本発明のコノトキシンペプチド又はポリヌクレオチドで害虫を駆除するために用いることができる。これらの方法としては、例えば、害虫(又はこれらの場所)に組み換え微生物を施用すること、及び本発明のコノトキシンペプチドをコードする遺伝子で植物を形質転換することを含む。形質転換は、当業者に知られる従来の方法により行なうことができる。かかる形質転換のために必要な物質は、本明細書において開示されるか、あるいは当業者による他の経路により容易に得ることができる。
【0074】
コノトキシンペプチド又は本発明のポリヌクレオチドの組み換え微生物を含む調製物を、土壌に施用することができる。調製された生成物を、植物増殖サイクルの後期において、種子被覆、又は根の処理、又は植物全体への施用のためにさらに用いることができる。前記調製物は、散布濃縮アジュバンド(diffusion-thickening adjuvant)、安定化剤、他の殺虫剤添加物、又は界面活性剤を含んでもよい。液体調製物は、水性、又は非水性でもよく、泡状、ゲル、懸濁液、乳化可能な濃縮物の形態において用いてもよい。成分は、レオロジー剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、又はポリマーを含んでもよい。
【0075】
当業者は、前記殺虫剤は、特定の調製物の性質のために、広く変化する濃度を有しうること、特に、それが濃縮物であってもよく、あるいは直接用いられてもよいことを理解する。殺虫剤は、少なくとも1重量%、又は100重量%の量でもよい。乾燥調製物は、通常、殺虫剤の約1〜95重量%を有する一方で、液体調製物は、通常、液相中の約1〜60重量%の固体含量を有する細胞を含有する。調製物は、通常約102〜約104細胞/mgを有する。これらの調製物は、1へクタールあたり、50mg(液体又は乾燥)〜1kg/へクタールの量で施用され得る。前記調製物は、害虫環境、例えば土壌及び植物に、噴霧、散布又は飛沫により施用することができる。
【0076】
医薬組成物
本発明は、さらに、本発明のペプチド、並びに医薬的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。前記医薬組成物は、依存症、神経痛、精神遅滞、疼痛、パーキンソン病、精神疾患、うつ病、重症筋無力症、癌等に関する疾患又は障害の研究、診断、緩和又は治療するために用いることができる。1つの実施形態においては、治療的有効量の本発明のペプチドを含む医薬組成物は、調製され、そして医薬適用を容易にする方法において投与され、一方患者個人の臨床状態、送達部位、投与方法、投与スケジュール及び医者により知られている他の要因は考慮されるべきである。従って、本明細書における目的のための「有効量」とは、これらの態様において考慮しつつ決定される。
【0077】
本発明の治療的有効量のペプチドを含む医薬組成物を、非経口、経口、嚢内、髄腔内に投与することができる。「医薬的に許容される担体」とは、非毒性固体、半固体若しくは液体充填剤、希釈剤、カプセル剤又は任意の種類の製剤アシスタントを意味する。本明細書において、用語「非経口的に」とは、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸腔内、皮下、髄腔内及び関節内注射又は注入を含む投与方法を意味する。本発明のポリペプチドが、持続放出系により投与されてもよい。
【0078】
本発明はさらに、nAChRを特異的に遮断するための医薬組成物に関する。
【0079】
本発明のコノトキシンペプチドは、動物のnAChRの系統発生を研究するためのプローブとして;nAChRの様々なサブタイプを決定するためのプローブとして;新規薬物を設計するための分子モデルとして;神経疾患、例えば依存症、パーキンソン病、統合運動障害、総合失調症の研究及び/又は診断のためのツール薬物及び治療薬物して;乳癌、肺癌、小細胞肺癌の治療のための候補薬物として;又は新しい種類のバイオ殺虫剤を開発するためのポリペプチド殺虫剤として用いることができる。
【0080】
本発明の有効な作用
本発明のα−コノトキシンペプチドは、アセチルコリン受容体(nAChR)を特異的に遮断することができ、鎮痛と依存症離脱の強力な活性を有し、パーキンソン病、乳癌及び肺癌細胞の治療のために機能し、並びに依存症、認知症、統合失調症、うつ病などの疾患の治療のために機能する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1は、α−コノトキシンLvIA/LvD21(LvIA)のプロペプチド遺伝子配列、及びこれをコードすることにより産生されるプロペプチド、並びに翻訳後修飾により産生される成熟ペプチドを示す。矢印は、翻訳後修飾のためのプロセッシング部位を示す。推定されるプロテイナーゼ加水分解プロセッシング部位1(プロセッシング1)は、アルカリ性アミノ酸であるアルギニン(R)の後であり;C末端アミド化プロセッシング部位は、矢印で示されるグリシンの位置であり、これは、文字の影つき(すなわちプロセッシング2)で記載されている。システイン(Cys)と密接に隣接している成熟ペプチドのC末端のグリシンは、通常アミド化翻訳後修飾のプロセッシング部位であり、プロセッシング部位2のアミド化により産生される成熟ペプチドは、LvIA/LvD21(又はLvIA)と命名され、この配列は、GCCSHPACNVDHPEIC#(#はC末端アミド化を示す)である。プロペプチド領域はイタリック体で示され、ここでシステイン(C)は太字で示され、終止コドンは*で示される。
図2(A)】図2は、合成された線形ペプチドと成熟ペプチドα−LvIA/LvD21(配列番号4)の配列を示し、そしてジスルフィド結合連結方法、並びに対応するHPLCクロマトグラムを示す。図2Aは、合成された線形ペプチド配列、並びにCys1とCys3の遊離−SH、及びCys2とCys4の保護基S−Acm(S−アセトアミドメチル)を示す。
図2(B)】図2は、合成された線形ペプチドと成熟ペプチドα−LvIA/LvD21(配列番号4)の配列を示し、そしてジスルフィド結合連結方法、並びに対応するHPLCクロマトグラムを示す。図2Bは、酸化的フォールディング後の成熟ペプチドα−LvIA/LvD21配列、並びに含有されるI−III及びII−IVジスルフィド結合連結方法を示す。
図2(C)】図2は、合成された線形ペプチドと成熟ペプチドα−LvIA/LvD21(配列番号4)の配列を示し、そしてジスルフィド結合連結方法、並びに対応するHPLCクロマトグラムを示す。図2Cは、図2Aの合成された線形ペプチドのHPLCクロマトグラムを示し、その保持時間は27.713分である。
図2(D)】図2は、合成された線形ペプチドと成熟ペプチドα−LvIA/LvD21(配列番号4)の配列を示し、そしてジスルフィド結合連結方法、並びに対応するHPLCクロマトグラムを示す。図2Dは、図2Bの酸化ペプチドのHPLCクロマトグラムを示し、その保持時間は27.947分である。
図3(A)】図3Aは、α3β2 nAChRの電流に関する100nM α−LvIA/LvD21の影響を示し、ここで、制限電圧は70mVであり、図3A中の「C」とは、対照電流を表し、矢印は、100nM α−LvIA/LvD21を5分間インキュベート後に最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示し、2つの電流軌道間の時間間隔は1分である。図3中の値は、3〜9のアフリカツメガエル卵母細胞から得られた電流の平均値である。
図3(B)】図3B、3C、3Dは、nAChRの種々のサブタイプ(ラットの11、及びヒトの2)に対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を別々に示し、ここで、横軸は、使用されたα−LvIA/LvD21のモル濃度(M)の対数値(Log[LvIA/LvD21]M)を表し;縦軸は、用量応答パーセンテージ(%)を表し、これは、対応する濃度を有する毒素下での対照電流に対するアセチルコリン受容体電流のパーセンテージである。図3Bは、α−LvIA/LvD21高度選択性ブロッキングラットα3β2対α6/α3β2β3 nAChRの用量応答曲線を示す。図3中の値は、3〜9のアフリカツメガエル卵母細胞から得られた電流の平均値である。
図3(C)】図3B、3C、3Dは、nAChRの種々のサブタイプ(ラットの11、及びヒトの2)に対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を別々に示し、ここで、横軸は、使用されたα−LvIA/LvD21のモル濃度(M)の対数値(Log[LvIA/LvD21]M)を表し;縦軸は、用量応答パーセンテージ(%)を表し、これは、対応する濃度を有する毒素下での対照電流に対するアセチルコリン受容体電流のパーセンテージである。図3Cは、他のラット神経サブタイプとマウス筋肉nAChRに対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を示す。図3中の値は、3〜9のアフリカツメガエル卵母細胞から得られた電流の平均値である。
図3(D)】図3B、3C、3Dは、nAChRの種々のサブタイプ(ラットの11、及びヒトの2)に対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を別々に示し、ここで、横軸は、使用されたα−LvIA/LvD21のモル濃度(M)の対数値(Log[LvIA/LvD21]M)を表し;縦軸は、用量応答パーセンテージ(%)を表し、これは、対応する濃度を有する毒素下での対照電流に対するアセチルコリン受容体電流のパーセンテージである。図3Dは、α−LvIA/LvD21高度選択性ブロッキングヒトα3β2対α6/α3β2β3 nAChRの用量応答曲線を示す。図3中の値は、3〜9のアフリカツメガエル卵母細胞から得られた電流の平均値である。
図4(A)】図4は、種々のnAChRの電流に対するα−LvIA/LvD21の異なる用量の影響を示す。図4Aは、ラットα3β2 nAChRの電流に対する100nM α−LvIA/LvD21の影響を示す。図4において、「C」は対照電流を指し、「C」の後に密接に従うのはα−LvIA/LvD21の毒素濃度を指す。矢印は、5分間のインキュベート後に、LvIA/LvD21遮断対応受容体サブタイプとして、最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。図4は、100nMのα−LvIA/LvD21がα3β2 nAChRを特異的に遮断するが、10μMは、α2β2(B)及びMα1βδε(C) nAChRサブタイプを完全には遮断しないことを示す。
図4(B)】図4は、種々のnAChRの電流に対するα−LvIA/LvD21の異なる用量の影響を示す。図4Bは、α2β2 nAChRの電流に対する10μM α−LvIA/LvD21を示す。図4において、「C」は対照電流を指し、「C」の後に密接に従うのはα−LvIA/LvD21の毒素濃度を指す。矢印は、5分間のインキュベート後に、LvIA/LvD21遮断対応受容体サブタイプとして、最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。図4は、100nMのα−LvIA/LvD21がα3β2 nAChRを特異的に遮断するが、10μMは、α2β2(B)及びMα1βδε(C) nAChRサブタイプを完全には遮断しないことを示す。
図4(C)】図4は、種々のnAChRの電流に対するα−LvIA/LvD21の異なる用量の影響を示す。図4Cは、マウス筋肉型(Mα1βδε)nAChRの電流に対する10μM α−LvIA/LvD21の影響を示す。図4において、「C」は対照電流を指し、「C」の後に密接に従うのはα−LvIA/LvD21の毒素濃度を指す。矢印は、5分間のインキュベート後に、LvIA/LvD21遮断対応受容体サブタイプとして、最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。図4は、100nMのα−LvIA/LvD21がα3β2 nAChRを特異的に遮断するが、10μMは、α2β2(B)及びMα1βδε(C) nAChRサブタイプを完全には遮断しないことを示す。
図5(A)】図5は、α3β2 nAChRとその7つのβ2変異体に対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を示す。図5A中の変異体は、α3β2[F119Q]、α3β2[V111I]である。
図5(B)】図5は、α3β2 nAChRとその7つのβ2変異体に対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を示す。図5B中の変異体は、α3β2[F119Q]、α3β2[T59K]、α3β2[T59L]である。
図5(C)】図5は、α3β2 nAChRとその7つのβ2変異体に対するα−LvIA/LvD21の用量応答曲線を示す。図5C中の変異体は、α3β2[T59I]、α3β2[K79A]、α3β2[Q34A]である。
図6(A)】図6は、ラットα3β2 nAChR野生型(A)、変異体α3β2[F119Q](B)、α3β2[T59K](C)及びα3β2[V111l](D)の電流に対する10nM α−LvIA/LvD21の影響、並びに遮断後の異なる溶出速度を示す。図6Aは、10nM α−LvIA/LvD21がα3β2 nAChR野生型の約50%の電流を遮断することを示し、ここで、溶出速度は比較的大きく、電流は溶出の2分以内に完全に回復していることを示す。図6において「C」は対照電流を指し、矢印は、10nM α−LvIA/LvD21を用いて5分間インキュベート後に、最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示す。「ウォッシュアウト」は溶出を指し、2つの電流軌道間の時間間隔は1分である。
図6(B)】図6は、ラットα3β2 nAChR野生型(A)、変異体α3β2[F119Q](B)、α3β2[T59K](C)及びα3β2[V111l](D)の電流に対する10nM α−LvIA/LvD21の影響、並びに遮断後の異なる溶出速度を示す。図6Bは、10nM α−LvIA/LvD21が変異体α3β2[F119Q]のすべての電流を遮断することを示し、ここで、溶出速度は小さく、電流は溶出の12分以内に完全に回復していることを示す。図6において「C」は対照電流を指し、矢印は、10nM α−LvIA/LvD21を用いて5分間インキュベート後に、最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示す。「ウォッシュアウト」は溶出を指し、2つの電流軌道間の時間間隔は1分である。
図6(C)】図6は、ラットα3β2 nAChR野生型(A)、変異体α3β2[F119Q](B)、α3β2[T59K](C)及びα3β2[V111l](D)の電流に対する10nM α−LvIA/LvD21の影響、並びに遮断後の異なる溶出速度を示す。図6Cは、10nM α−LvIA/LvD21が変異体α3β2[T59K]のすべての電流を遮断することを示し、ここで、溶出速度は非常に小さく、電流は溶出の20分後に対照電流の27%まで回復していることを示す。図6において「C」は対照電流を指し、矢印は、10nM α−LvIA/LvD21を用いて5分間インキュベート後に、最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示す。「ウォッシュアウト」は溶出を指し、2つの電流軌道間の時間間隔は1分である。
図6(D)】図6は、ラットα3β2 nAChR野生型(A)、変異体α3β2[F119Q](B)、α3β2[T59K](C)及びα3β2[V111l](D)の電流に対する10nM α−LvIA/LvD21の影響、並びに遮断後の異なる溶出速度を示す。図6Dは、10nM α−LvIA/LvD21が変異体α3β2[V111l]ののすべての電流は遮断しないことを示す。図6において「C」は対照電流を指し、矢印は、10nM α−LvIA/LvD21を用いて5分間インキュベート後に、最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示す。「ウォッシュアウト」は溶出を指し、2つの電流軌道間の時間間隔は1分である。
図7図7は、CCIモデルにおいて1〜24時間の腹腔内投与(IP)後のα−LvIA/LvD21の鎮痛作用を示す。この図において、陰性対照である食塩水は生理食塩水(Saline)であり、陽性対照はモルフィン(Morphine)であり、その用量はラット体重1kg当たり1mgである;α−LvIA/LvD21の用量はラット体重1kg当たり1nmolである。この図において、横軸時間(時間)は投与後の時間数であり;縦軸の機械的閾値は、基礎的疼痛閾値(100)に対して観察された疼痛閾値のパーセンテージ(基礎の%)であり、図中の点の縦軸の値は平均値と標準誤差(平均±SD)である。有意差の比較確率は#p<0.05であり、各群のラットの数は8である(n=8)。
図8図8は、CCIモデルにおいて7〜14日間の腹腔内投与(IP)後のα−LvIA/LvD21の鎮痛作用を示す。この図において、陰性対照である食塩水は生理食塩水(Saline)であり、陽性対照はモルフィン(Morphine)であり、その用量はラット体重1kg当たり1mgである;α−LvIA/LvD21の用量はラット体重1kg当たり1nmolである。この図において、横軸の時間(日数)は投与後の時間数であり;縦軸の機械的閾値は、基礎的疼痛閾値(100)に対して観察された疼痛閾値のパーセンテージ(基礎の%)であり、図中の点の縦軸の値は平均値と標準誤差(平均±SD)である。有意差の比較確率は#p<0.05であり、各群のラットの数は8である(n=8)。
図9図9は、マウスホットプレート試験モデルにおいて120分の脳室内投与(ICV)後のα−LvIA/LvD21の鎮痛作用を示す。この図において、陰性対照である食塩水は生理食塩水(Saline)であり、陽性対照はモルフィン(Morphine)であり、その用量はマウス体重1kg当たり100μgである;α−LvIA/LvD21の用量はマウス体重1kg当たり0.1nmolである。この図において、横軸の時間(分)は投与後の時間数であり;縦軸の閾値(秒)は、1単位の秒数で観察された疼痛閾値である。図中の点の縦軸の値は平均値と標準誤差(平均±SD)である。有意差の比較確率は#p<0.05であり、各群のマウスの数は10である(n=10)。
図10図10は、α−コノトキシンTxlB/Txd4(TxlB)プロペプチド遺伝子配列、これをコードすることにより産生されるプロペプチド、及び翻訳後修飾により産生される成熟ペプチドを示す。矢印は、翻訳後修飾のためのプロセッシング部位を示す。推定されるプロテイナーゼ加水分解プロセッシング部位1(プロセッシング部位1)は、アルカリ性アミノ酸であるアルギニン(R)の後であり;C末端アミド化プロセッシング部位は、矢印で示される2つのグリシンの部位でもよく、これは、文字の影つき(すなわちプロセッシング2)又はプロセッシング部位3で示される。システインと密接に隣接している成熟ペプチドのC末端の第1及び第2のグリシン残基は、通常アミド化翻訳後修飾のプロセッシング部位であり、プロセッシング部位2のアミド化により産生される成熟ペプチドは、TxlB/Txd4(又はTxlB)と命名され、この配列は、GCCSDPPCRNKHPDLC#(#はC末端アミド化を示す)である;プロセッシング部位3のアミド化により産生される成熟ペプチドは、TxlB/Txd4(G)(又はTxlB(G))と命名され、この配列は、GCCSDPPCRNKHPDLCG#(#はC末端アミド化を示す)である。TxlB(G)のC末端は、TxlBのそれより1つ多いグリシン(G)を有し、従ってTxlBの類似体である。プロペプチド領域はイタリック体で示され、成熟ペプチドは下線で示され、ここでシステインは太字で示され、終止コドンは*で示される。
図11(A)】図11は、TxlB/Txd4(図11A)及びTxlB(G)(図11B)の成熟ペプチド配列とこれらのジスルフィド結合連結方法I−III、II−IVを示す。
図11(B)】図11は、TxlB/Txd4(図11A)及びTxlB(G)(図11B)の成熟ペプチド配列とこれらのジスルフィド結合連結方法I−III、II−IVを示す。
図12(A)】α−TxlB及びTxlB(G)は、高度選択性α6/α3β2β3 nAChRを有する特異的遮断剤である。図12Aは、α6/α3β2β3 nAChRの電流に対する1μMのα−TxlBの影響を示す。「C」は対照電流を指し、矢印は、1μMのα−TxlBで5分間のインキュベート後に、最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示す。図において、値は3〜5のアフリカツメガエル卵母細胞から得られる電流の平均値である。
図12(B)】α−TxlB及びTxlB(G)は、高度選択性α6/α3β2β3 nAChRを有する特異的遮断剤である。図12Bは、α6/α3β2β3 nAChRに対するα−TxlBとTxlB(G)の用量応答曲線を示し、図において横軸は、使用されたα−TxlBとTxlB(G)のモル濃度(M)の対数値(Log[TxlB及びTxlB(G)]M)であり;縦軸は、用量応答パーセンテージ(%応答)であり、これは、毒素の対応する濃度の作用下の対照電流に対するアセチルコリン受容体電流の比パーセンテージである。図において、値は3〜5のアフリカツメガエル卵母細胞から得られる電流の平均値である。
図12(C)】α−TxlB及びTxlB(G)は、高度選択性α6/α3β2β3 nAChRを有する特異的遮断剤である。図12Cは、種々のnAChRサブタイプに対するα−TxlBの用量応答曲線を示し、α−TxlBはα6/α3β2β3 nAChRを特異的に遮断し、この半遮断用量(IC50)は28nMであり、そして10μMの毒素下で、TxlBは他のサブタイプに対して遮断効果が無く、このIC50>10μMである。図において、値は3〜5のアフリカツメガエル卵母細胞から得られる電流の平均値である。
図13(A)】図13は、α6/α3β2β3 nAChRの電流に対する1μMのα−TxlBの影響(図13A)、及び非常に近いα3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)、α3β4(図13D)nAChRの電流に対する10μMのα−TxlBの影響を示す。図において「C」は対照電流を指し、「C」に密接に従うのはα−TxlBの毒素濃度である。矢印は、5分間のインキュベート後に、対応する受容体サブタイプをTxlBが遮断する最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。1μMのα−TxlBは、α6/α3β2β3 nAChRを特異的に遮断する(図13A)が、10μMは、α3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)及びα3β4(図13D)nAChRサブタイプを完全には遮断しない。
図13(B)】図13は、α6/α3β2β3 nAChRの電流に対する1μMのα−TxlBの影響(図13A)、及び非常に近いα3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)、α3β4(図13D)nAChRの電流に対する10μMのα−TxlBの影響を示す。図において「C」は対照電流を指し、「C」に密接に従うのはα−TxlBの毒素濃度である。矢印は、5分間のインキュベート後に、対応する受容体サブタイプをTxlBが遮断する最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。1μMのα−TxlBは、α6/α3β2β3 nAChRを特異的に遮断する(図13A)が、10μMは、α3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)及びα3β4(図13D)nAChRサブタイプを完全には遮断しない。
図13(C)】図13は、α6/α3β2β3 nAChRの電流に対する1μMのα−TxlBの影響(図13A)、及び非常に近いα3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)、α3β4(図13D)nAChRの電流に対する10μMのα−TxlBの影響を示す。図において「C」は対照電流を指し、「C」に密接に従うのはα−TxlBの毒素濃度である。矢印は、5分間のインキュベート後に、対応する受容体サブタイプをTxlBが遮断する最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。1μMのα−TxlBは、α6/α3β2β3 nAChRを特異的に遮断する(図13A)が、10μMは、α3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)及びα3β4(図13D)nAChRサブタイプを完全には遮断しない。
図14図14は、α−コノトキシンTxlC/Txd1(TxlC)プロペプチド遺伝子配列、これをコードすることにより産生されるプロペプチド、及び翻訳後修飾により産生される成熟ペプチドを示す。矢印は、翻訳後修飾のためのプロセッシング部位を示す。推定されるプロテイナーゼ加水分解プロセッシング部位1(プロセッシング部位1)は、アルカリ性アミノ酸であるアルギニン(R)の後であり;C末端アミド化プロセッシング部位は、矢印で示されるグリシンの位置であり、これは、文字の影つき(すなわちプロセッシング部位2)で記載されている。システイン(Cys)と密接に隣接している成熟ペプチドのC末端のグリシンは、通常アミド化翻訳後修飾のプロセッシング部位であり、プロセッシング部位2のアミド化により産生される成熟ペプチドは、TxlC/Txd1(又はTxlC)と命名され、この配列は、GCCSHPVCSAMSPIC#(#はC末端アミド化を示す)である。プロペプチド領域はイタリック体で示され、成熟ペプチドは下線で示され、ここでシステイン(C)は太字で示され、終止コドンは*で示される。
図15(A)】図15(A)は、成熟ペプチドα−TxlC/Txd1(配列番号28)配列、及びそのジスルフィド結合連結方法I−III、II−IVを示す。
図15(B)】図15(B)は、ジスルフィド結合連結方法I−III、II−IVを含有するα−TxlC/Txd1のHPLCクロマトグラムを示し、ここで、この毒素ペプチドのクロマトグラフィー分析条件は以下の通りである:Vydac C18 HPLC逆相分析カラムを使用して、40分以内に、B溶液について15%〜50%へ、A溶液について85%〜50%へ線形勾配溶出を行い、ここで、A溶液は0.65%トリフルオロ酢酸(TFA)であり、Bは0.5%TFAと90%アセトニトリルの水溶液である。紫外線分析光学波長は214nmであり、TxlCはピーク時間、すなわち23.366分の保持時間を有する。
図16(A)】図16は、α−TxlCがα3β4 nAChRに対して選択性の強力な遮断剤であることを示す。Aは、α3β4 nAChRの電流に対する1μMのα−TxlCの影響を示す。図Aにおいて「C」は対照電流を指し、矢印は、1μMのα−TxlCで5分間のインキュベート後に、最初のAchパルスにより形成される電流軌道(〜0nA)を示す。図中の値は3〜8のアフリカツメガエル卵母細胞から得られる電流の平均値である。
図16(B)】図16は、α−TxlCがα3β4 nAChRに対して選択性の強力な遮断剤であることを示す。図16(B)は、他の10のnAChRサブタイプに対するα−TxlCの用量応答曲線を示し、ここで横軸は、使用されたα−TxlCのモル濃度(M)の対数値(Log[TxlC]M)であり;縦軸は、用量応答パーセンテージ(%応答)であり、これは、毒素の対応する濃度の作用下の対照電流に対するアセチルコリン受容体電流の比パーセンテージである。α−TxlCはα3β4 nAChRを特異的に遮断し、この半遮断用量(IC50)はわずかに12.5nMであり;α−TxlCはまた、α6/α3β4 nAChRに対してある程度遮断活性を示し、この半遮断用量(IC50)は94nMであり;α−TxlCはα2β4 nAChRに対して非常に弱い遮断活性を示し、この半遮断用量は最大4550nMである。10μMの毒素濃度下では、TxlCは他のサブタイプに対して遮断活性を示さず、これはIC50>10μMである。図中の値は3〜8のアフリカツメガエル卵母細胞から得られる電流の平均値である。
図17(A)】図17は、α3β4 nAChR(A)の電流に対する1μMのα−TxlCの影響、及び非常に近いα4β4(B)、α7(C)nAChRの電流に対する10μMのα−TxlCの影響を示す。図において「C」は、対照電流を指し、「C」に密接に従うのはα−TxlCの毒素濃度である。矢印は、5分間のインキュベート後に、対応する受容体サブタイプをTxlCが遮断する最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。1μMのα−TxlCは、α3β4 nAChRを特異的に遮断するが、10μMは、α4β4(B)及びα7(C)nAChRサブタイプを完全には遮断しない。
図17(B)】図17は、α3β4 nAChR(A)の電流に対する1μMのα−TxlCの影響、及び非常に近いα4β4(B)、α7(C)nAChRの電流に対する10μMのα−TxlCの影響を示す。図において「C」は、対照電流を指し、「C」に密接に従うのはα−TxlCの毒素濃度である。矢印は、5分間のインキュベート後に、対応する受容体サブタイプをTxlCが遮断する最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。1μMのα−TxlCは、α3β4 nAChRを特異的に遮断するが、10μMは、α4β4(B)及びα7(C)nAChRサブタイプを完全には遮断しない。
図17(C)】図17は、α3β4 nAChR(A)の電流に対する1μMのα−TxlCの影響、及び非常に近いα4β4(B)、α7(C)nAChRの電流に対する10μMのα−TxlCの影響を示す。図において「C」は、対照電流を指し、「C」に密接に従うのはα−TxlCの毒素濃度である。矢印は、5分間のインキュベート後に、対応する受容体サブタイプをTxlCが遮断する最初のAchパルスにより形成される電流軌道を示す。1μMのα−TxlCは、α3β4 nAChRを特異的に遮断するが、10μMは、α4β4(B)及びα7(C)nAChRサブタイプを完全には遮断しない。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明を実施するための特定の態様
本発明の実施形態は、以下の実施例と組み合わせて説明される。当業者は、以下の実施例が、本発明の範囲を限定するためというよりはむしろ、単に本発明を説明するために用いられることを理解するであろう。本明細書に与えられない特定の技術又は条件は、参考文献又は明細書に対応する当該技術分野における文献(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Edition 3, J. Sambrook, etc., translated by HUANG Peitang, etc., Science Press)に記載される技術又は条件に従って実施される。製造者が与えない全ての試薬又は装置は、市販されている従来品である。
【実施例】
【0083】
実施例1−(1):α−コノトキシンLvIA/LvD21遺伝子のクローニングと配列解析
1.タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)のゲノムDNAの抽出
タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の生きた身を海南島と西沙諸島の沿岸地域から収集し、スタンバイ使用のために−80℃で保存した。コーンシェルの毒腺を解剖し、秤量した。毒腺のゲノムDNAを海洋動物のゲノムDNA抽出キット(中国北京天根生化学科学技術有限公司から購入)を用いて抽出し、ここで、具体的な工程はキットの仕様を参照して実行され;又は、参考文献、例えばZheng Xiaodong, Gao Bingsen, Li Baozhu, Peng Chao, Wu Aiying, Zhu Xiaopeng, Chen Xin, Zhangsun Dongting, Luo Sulan, Screening primer for novel type α-conotoxin genetic clone, Chinese Journal of Biotechnologies, 2011, 21(4): 40-44を参照して実行された。
【0084】
抽出された毒腺ゲノムの全DNAを100μLのTEに溶解し、5μLを1.0%アガロースゲル電気泳動のために使用し、ここで、λ−EcoT14 I消化物DNAマーカーを標準物質とし、得られたDNAの完全性及びサイズを測定した。OD260、OD280、及びDNA溶液のOD260/OD280比を測定するために、核酸/タンパク質用分析機を使用し、DNAの濃度(μg・ml-1)、純度及びDNA収率(μg・g-1)を計算した。
【0085】
抽出されたDNAを、コノトキシンの遺伝子クローニングと以下のPCR増幅のための鋳型として使用した。
【0086】
2.PCR反応、及びその生成物のクローニング、配列決定及び配列解析
α−CTx前駆体遺伝子のイントロン配列とその3’−末端非翻訳領域(3’−UTR)配列に従って、α−CTx特異的プライマーが設計される。
上流イントロンプライマー配列:
【化2】
下流3’−UTRプライマー配列:
【化3】
各プライマーは、18塩基を有するオリゴヌクレオチド断片であった。
【0087】
抽出されたゲノムDNAの原料溶液を希釈し、PCR増幅の鋳型として使用した。以下のPCR増幅系と反応条件が使用された。
【0088】
【化4】
【0089】
PCR特異的増幅産物を回収し、T−easyベクター(Promega)に連結し、次に大腸菌XL1株(他の市販のコンピタントな大腸菌を使用することもできる)を形質転換するのに使用し、青−白コロニーとアンピシリン耐性を使用して組み換え体を取り上げ、組み換えプラスミドを抽出し、精製し、そして配列解析に使用した。以下の配列決定結果が得られた:
【化5】
【0090】
上記配列において、イタリック体はイントロンであり、プライマーに対応する。
【0091】
得られたPCR特異的増幅産物配列をDNAStarソフトウェアを使用して解析して、これにコードされるタンパク質配列である3’−非翻訳(UTR)領域を得た。配列解析と比較により、本発明の新規α4/7−CTx LvIA/LvD21の前駆体遺伝子(すなわち、配列番号1の下線部分)が得られ、これは、以下のようにLvIA/LvD21コノトキシンプロペプチドをコードするヌクレオチド配列であった(114アミノ酸):
【化6】
【0092】
前駆体遺伝子とコノトキシンの特徴に従って、LvIA/LvD21コノトキシンプロペプチドが配列番号2に示されるアミノ酸配列(37アミノ酸)中にあると推定され、これはまた以下のように、以下の本明細書でα−コノトキシンLvIA/LvD21前駆体、又はα−LvIA/LvD21前駆体、又はLvIA/LvD21前駆体、又はLvIAもしくはLvD21前駆体とも呼ばれた:
【化7】
【0093】
コノトキシンプロタンパク質のシグナルペプチド、プロペプチド及び成熟ペプチドの予測を、オンラインProP 1.0サーバーを使用して行った(Duckert, P.; Brunak, S.; Blom, N., Prediction of proprotein convertase cleavage sites. Protein engineering, design & selection : PEDS 2004, 17 (1), 107-12.)。予測のための方法と機序は、Luo S, Zhangsun D, Zhang B, Quan Y, Wu Y. Novel alpha-conotoxins identified by gene sequencing from cone snails native to Hainan, and their sequence diversity. J Pept Sci. 2006,12 (11):693-704に見いだされる。誘導プロセスと結果もまた図1に示される。
【0094】
プロペプチド配列に従って、成熟ペプチドLvIA/LvD21もまた誘導され、これは、配列番号4に示されるアミノ酸配列を有した(16アミノ酸、以後、α−コノトキシンLvIA/LvD21、又はα−LvIA/LvD21、又はLvIA/LvD21、又はLvIA又はLvD21として引用される):
【化8】
【0095】
LvIA/LvD21は、ジスルフィド結合連結方法がI−III、II−IV(図2A〜B)であるα−CTx特異的CC−C−Cを有し、すなわち2つのジスルフィド結合は第1のシステインと第3のシステインとの間、及び第2のシステインと第4のシステインとの間に別々に形成された。LvIA/LvD21は4/7型α−CTxである(図1及び図2A〜B)。
【0096】
実際、本発明の成熟ペプチドLvIA/LvD21はまた、インビボ又はインビトロでプロペプチド(配列番号3又は6)を対応して処理することにより;任意には、アミド化酵素を使用してインビボ又はインビトロのC末端のアミド化により、得られるであろう。
【0097】
LvIA/LvD21をコードするヌクレオチド配列は以下の通りである(48塩基対):
【化9】
【0098】
本発明はさらに、第2のプロセッシング部位(プロセッシング2)に供されていない成熟ペプチドの配列(17アミノ酸):
【化10】
に関し、その対応するヌクレオチド配列は以下の通りである(54塩基対):
【化11】
【0099】
実施例1−(2):α−コノトキシンTxlB/Txd4遺伝子のクローニングと配列解析
1.タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)のゲノムDNAの抽出
海南島と西沙諸島の沿岸地域から収集されたタガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の生きた身を試験材料として使用し、スタンバイ使用のために−80℃で保存した。コーンシェルの毒腺をまず解剖して収集し、秤量した。海洋動物のゲノムDNA抽出キット(中国北京天根生化学科学技術有限公司から購入)を用いてゲノムDNAを抽出し、ここで、具体的な操作はキットの仕様を参照して実行された。コーンシェルの抽出されたゲノムの全DNAを100μLのTEに溶解し、5μLを取って1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、λ−EcoT14 I消化物DNAマーカーを標準物質として使用して、得られたDNAの完全性及びサイズを検出した。核酸/タンパク質用分析機を使用して、OD260、OD280、及びDNA溶液のOD260/OD280比を測定し、DNAの濃度(μg・ml-1)、純度及びDNA収率(μg・g-1)を計算した。抽出された完全なDNAを、コノトキシン遺伝子の次のPCR増幅で鋳型として使用した。
【0100】
2.PCR反応とクローニング、及びその生成物の配列決定と配列解析
PCR反応に使用される方法、システム、条件及びプライマーは実施例1−(1)のものと同じであるが、鋳型は、実施例1で抽出されたゲノムDNAの未加工液体の希釈された液体であった。
【0101】
回収されたPCR特異的増幅産物をT−easyベクター(Promega)に連結し、次に大腸菌XL1株(他の市販のコンピタントな大腸菌を使用することもできる)を形質転換するのに使用し、青−白コロニーとアンピシリン耐性を使用して組み換え体を取り上げ、組換えプラスミドを抽出し、精製し、そして配列解析に使用して、PCR特異的増幅産物の配列を得た。
【0102】
得られたPCR特異的増幅産物配列を、DNAStarソフトウェアを使用して解析して、そのコーディング配列、3’−非翻訳領域(UTR)配列を得た。配列解析により、本発明の新規α−CTx TxlB/Txd4の前駆体遺伝子が得られた(配列番号21)(図10)。
【0103】
コノトキシン前駆体タンパク質のシグナルペプチド、プロペプチド及び成熟ペプチドの予測を、オンラインProP 1.0サーバーを使用して行った(Duckert, P.; Brunak, S.; Blom, N., Prediction of proprotein convertase cleavage sites. Protein engineering, design & selection : PEDS 2004, 17 (1), 107-12.)。
【0104】
前駆体遺伝子とコノトキシンの特徴に従って、TxlB/Txd4コノトキシンプロペプチドが推定され、これは、配列番号15に示されるように41アミノ酸を含むタンパク質配列を有した。
【0105】
プロペプチド配列に従って、成熟ペプチドTxlB/Txd4又はTxlB/Txd4(G)が推定され、これらは、配列番号11又は配列番号12に示されるように別々にアミノ酸配列を有し、ことからなる推定のための方法と原理は、Luo S, Zhangsun D, Zhang B, Quan Y, Wu Y. Novel alpha-conotoxins identified by gene sequencing from cone snails native to Hainan, and their sequence diversity. J Pept Sci. 2006,12 (11):693-704、及びオンラインソフトウェアProP 1.0サーバーに見ることができるであろう。
【0106】
この推定の結果の詳細は、図10に見ることができるであろう。
【0107】
すべての成熟ペプチドはCC−C−Cのシステインパターンを有する。TxlB(G)はC末端にTxlBより1つ多いグリシン(G)を有し、従ってTxlBの類似体である。TxlB/Txd4又はTxlB/Txd4(G)は、ジスルフィド結合連結方法がI−III、II−IV(図11、A〜B)であるα−CTx特異的CC−C−Cの特異的システインパターンを有し、すなわち2つのジスルフィド結合対は、第1のシステインと第3のシステインとの間、及び第2のシステインと第4のシステインとの間に別々に形成されることができる。TxlB/Txd4及びTxlB/Txd4(G)は4/7型α−CTxである(図10及び図11)。
【0108】
(1)配列番号11に示されるアミノ酸配列(成熟ペプチド)(本明細書では、α−コノトキシンTxlB/Txd4又はα−TxlB/Txd4又はTxlB/Txd4又はTxlBとも呼ばれる):
【化12】
好ましくは、C末端システイン(C)はアミド化されており、すなわちGCCSDPPCRNKHPDLC #(ここで、#はC末端アミド化を示す)で表される。
【0109】
(2)配列番号12に示されるアミノ酸配列(成熟ペプチド)(本明細書では、α−コノトキシンTxlB/Txd4(G)、又はα−TxlB/Txd4(G)、又はTxlB/Txd4(G)、又はTxlB(G)とも呼ばれる):
【化13】
好ましくは、C末端グリシン(G)はアミド化されており、すなわちGCCSDPPCRNKHPDLC G #(ここで、#はC末端アミド化を示す)で表される。
【0110】
理論に拘束されないが、グリシンに密接に隣接したシステイン(C、16番目の部位)のアミド化を与えるように、配列番号12の非アミド化C末端グリシン(17番目の部位)はアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号11(GCCSDPPCRNKHPDLC #)が得られるであろう。
【0111】
(3)配列番号13に示されるアミノ酸配列:
【化14】
【0112】
理論に拘束されないが、グリシンに密接に隣接した17番目の部位のグリシン(G)のアミド化を与えるように、配列番号13の18番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号12(GCCSDPPCRNKHPDLC G #)が得られるか、
又は、
グリシンに密接に隣接した16番目の部位のシステイン(C)のアミド化を与えるように、配列番号13の17番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号11(GCCSDPPCRNKHPDLC #)が得られるであろう。
【0113】
(4)配列番号14に示されるアミノ酸配列:
【化15】
【0114】
理論に拘束されないが、グリシンに密接に隣接した17番目の部位のグリシン(G)のアミド化を与えるように、配列番号14の18番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号12(GCCSDPPCRNKHPDLC G #)が得られるか、
又は、
グリシンに密接に隣接した16番目の部位のシステイン(C)のアミド化を与えるように、配列番号14の17番目の部位のグリシンはアミド化酵素(細胞内又は細胞外)の認識部位でもよく、この場合、アミド化された配列番号11(GCCSDPPCRNKHPDLC #)が得られるであろう。
【0115】
(5)配列番号15に示されるアミノ酸配列(本明細書において、α−コノトキシンTxlB/Txd4前駆体又はα−TxlB/Txd4前駆体又はTxlB/Txd4前駆体又はTxlB前駆体とも呼ばれる)(前駆体ペプチド):
【化16】
【0116】
(6)配列番号16に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド):
【化17】
【0117】
(7)配列番号17に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド又はコーディングTxIB(G)成熟ペプチド):
【化18】
【0118】
(8)配列番号18に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド又はコーディングTxIB(G)成熟ペプチド):
【化19】
【0119】
(9)配列番号19に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4成熟ペプチド又はコーディングTxIB(G)成熟ペプチド):
【化20】
【0120】
(10)配列番号20に示されるヌクレオチド配列(コーディングTxIB/Txd4又はTxlB(G)前駆体タンパク質配列):
【化21】
【0121】
(11)配列番号21に示されるヌクレオチド配列:
【化22】
【0122】
実施例1−(3):α−コノトキシンTxlC/Txd1遺伝子のクローニングと配列解析
1.タガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の毒腺のゲノムDNAの抽出
海南島と西沙諸島の沿岸地域から収集されたタガヤサンミナシ(C. textile Linnaeus)の生きた身を試験材料として使用し、スタンバイ使用のために−80℃で保存した。コーンシェルの毒腺をまず解剖して収集し、秤量した。海洋動物のゲノムDNA抽出キット(中国北京天根生化学科学技術有限公司から購入)を用いてゲノムDNAを抽出し、ここで、具体的な操作はキットの仕様を参照して実行し、毒腺のゲノムDNAを得た。
【0123】
抽出された毒腺のゲノムDNAを100μLのTEに溶解し、5μLを取って1.0%アガロースゲル電気泳動を行い、λ−EcoT14 I消化物DNAマーカーを標準物質として使用して、得られたDNAの完全性及びサイズを検出した。核酸/タンパク質用分析機を使用して、OD260、OD280、及びDNA溶液のOD260/OD280比を測定し、DNAの濃度(μg・ml-1)、純度及びDNA収率(μg・g-1)を計算した。抽出されたDNAを、次のPCR増幅でコノトキシン遺伝子をクローニングするための鋳型として使用した。
【0124】
2.PCR反応とクローニング、及びその生成物の配列決定と配列解析
PCR反応に使用される方法、システム、条件及びプライマーは実施例1−(1)のものと同じであるが、鋳型は、実施例1で抽出されたゲノムDNAの未加工液体の希釈された液体であり、これは、3μg/mlの最終濃度を有した。
【0125】
8μlの増幅産物を、1.5%アガロースゲル電気泳動(90Vの電圧で20分)に供して、DL2000 DNAマーカーを標準物質として使用して増幅産物のサイズを検出した。
【0126】
PCR増幅産物を回収し、T−easyベクター(Promega)に連結し、次に大腸菌XL1株(他の市販のコンピタントな大腸菌を使用することもできる)を形質転換するのに使用し、青−白コロニーとアンピシリン耐性を使用して組み換え体を取り上げ、組換えプラスミドを抽出し、精製し、そして配列解析した。2つの配列決定結果(すなわち、配列番号22と配列番号23)(図14、168塩基対)が得られ、これらはそれぞれ以下のように示される:
【化23】
【0127】
上記2つの配列は、77番目の部位の塩基のみで異なり、これは枠で印を付けた。
【0128】
得られたPCR特異的増幅産物配列をDNAStarソフトウェアを使用して解析して、これにコードされるタンパク質配列である3’−非翻訳領域(UTR)を得た。配列解析と比較により、本発明の新規α4/6−CTx TvlC/Txd1の前駆体遺伝子(すなわち、配列番号22と配列番号23の下線部分)が得られ、これらは、以下のようにTxlC/Txd1コノトキシンプロペプチドをコードするヌクレオチド配列であった(114アミノ酸):
【化24】
【0129】
前駆体遺伝子とコノトキシンの特徴に従って、TxlC/Txd1コノトキシンプロペプチドが配列番号26又は配列番号27に示されるアミノ酸配列(37アミノ酸)中にあると推定され、これはまた以下のように、以下の本明細書でα−コノトキシンTxlC/Txd1前駆体、又はα−TxlC/Txd1前駆体、又はTxlC/Txd1前駆体、又はTxlC前駆体とも呼ばれた:
【化25】
【0130】
コノトキシン前駆体タンパク質のシグナルペプチド、プロペプチド及び成熟ペプチドの予測を、オンラインProP 1.0サーバーを使用して行った(Duckert, P.; Brunak, S.; Blom, N., Prediction of proprotein convertase cleavage sites. Protein engineering, design & selection : PEDS 2004, 17 (1), 107-12.)。予測のための方法と機序は、Luo S, Zhangsun D, Zhang B, Quan Y, Wu Y. Novel alpha-conotoxins identified by gene sequencing from cone snails native to Hainan, and their sequence diversity. J Pept Sci. 2006,12 (11):693-704に見いだされる。誘導プロセスと結果もまた図14に示される。
【0131】
プロペプチド配列に従って、成熟ペプチドTxlC/Txd1もまた誘導され、これは、配列番号28に示されるアミノ酸配列を有した(以後、α−コノトキシンTxlC/Txd1、又はα−TxlC/Txd1、又はTxlC/Txd1、又はTxlCとして引用される):
【化26】
【0132】
TxlC/Txd1は、ジスルフィド結合連結方法がI−III、II−IV(図15A)であるα−CTx特異的CC−C−Cシステインパターンを有し、すなわち2つのジスルフィド結合は第1のシステインと第3のシステインとの間、及び第2のシステインと第4のシステインとの間に別々に形成された。TxlC/Txd1は4/6型α−CTxである(図14及び図15A)。TxlC/Txd1は新しいα−コノトキシンであり、他のα−CTxとの配列と活性の比較は表6に示される。
【0133】
実際、本発明の成熟ペプチドTxlC/Txd1はまた、インビボ又はインビトロでプロペプチド(配列番号26又は27又は30)を対応して処理することにより得られる(例えば、図14に示されるもの);任意には、アミド化酵素を使用してインビボ又はインビトロのC末端のアミド化により、得られるであろう。
【0134】
TxlC/Txd1をコードするヌクレオチド配列は以下の通りである(45塩基対):
【化27】
【0135】
本発明はさらに、第2のプロセッシング部位(プロセッシング2)に供されていない成熟ペプチドの配列(16アミノ酸):
【化28】
に関し、その対応するヌクレオチド配列は以下の通りである(51塩基対):
【化29】
【0136】
実施例2−(1):α−コノトキシンLvIA/LvD21の人工合成
α−コノトキシンLvIA/LvD21成熟ペプチドのアミノ酸配列(配列番号4、C末端はアミド化されている)に従って、LvIA/LvD21線形ペプチド(図2)をFmoc法により人工的に合成した。具体的な方法は、以下の通りである。
【0137】
レジンペプチドは、Fmoc化学法により人工的に合成され、例えばポリペプチド合成装置又は手動の合成法により合成された。システインを除いて、残るアミノ酸は、標準的な側鎖保護基を用いて保護された。LvIA/LvD21に関して、2つ一組で、その1番目及び3番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Trt(S−トリチル)により保護され、そして2番目及び4番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Acm(S−アセトアミドメチル)により保護された。前記合成工程は、固相合成方法のFmoc及びFastMoc法を用いること、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置により3つの異性体線形ペプチドを合成することを含む。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Pmc(Arg)、Trt(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)、Boc(Lys)である。Fmoc HOBT DCC法、Rinkアミド化レジン及びFmocアミノ酸が用いられ、合成工程は、装置の合成マニュアルに従って行なわれた。合成を完了するために、ピペリジン脱保護時間及びカップリング時間はそれぞれ適切に延長され、二重結合は、結合することが困難なアミノ酸に用いられ、このようにしてレジンペプチドを得た。線形ペプチドを試薬K(トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/フェノール/チオアニソール;90:5:2.5:7.5:5、v/v/v/v/v)を用いてレジンから切断し、そして氷ジエチルエーテル沈殿及び洗浄に供し、そして線形ペプチドの粗生成物を回収し、分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を、精製のために用い、そして溶出線形勾配は0〜40分で0〜40% B90、40〜45分で40〜100% B90であった。溶液B90は90%ACN(アセトニトリル)、10% H20、0.05% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.075% TFA水溶液である。214nmで紫外線吸収分析を行った。精製された線形ペプチドを、HPLC C18カラム(Vydac)での純度検出に供し(図2C)、ここで、HPLC条件は、調製と精製のものと同じであり、流速は0.75ml/分であり、α−コノトキシンLvIA/LvD21線形ペプチドは、27.713分の出現時間を有した。
【0138】
LvIA/LvD21の線形ペプチドを、文献(Dowell, C.; Olivera, B. M.; Garrett, J. E.; Staheli, S. T.; Watkins, M.; Kuryatov, A.; Yoshikami, D.; Lindstrom, J. M.; McIntosh, J. M., Alpha-conotoxin PIA is selective for alpha6 subunit-containing nicotinic acetylcholine receptors. The Journal of neuroscience 2003, 23 (24), 8445-52.)に従って、2工程の酸化フォールディング反応に供し、そしてこれらの方法は手短に、以下のように記載される。
【0139】
まず、Trt保護基を有する2つのシステイン間のジスルフィド結合の一つ目の対をフェリシアン化カリウム法(20mM フェリシアン化カリウム、0.1M Tris、pH7.5、30分)により形成させた。一環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製後、ヨウ素酸化を行い(H2O中10mM ヨウ素:トリフルオロ酢酸:アセトニトリル(容量で78:2:20、10分)、別の2つのシステインのAcmを除去し、そして同時に2つのシステイン間のジスルフィド結合の2つ目の対を形成させた(図2B)。二環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製し、ジスルフィド結合がN末端からC末端の順番に対応するシステイン間で指向的に形成される、α○−コノトキシンを得て、LvIA/LvD21の出現時間が27.947分(図2D)であり、質量分析(MS)により確認した。HPLC分析条件は以下の通りである:Vydac C18分取用逆相HPLCカラムを用い、線形勾配溶出は40分以内に行い、ここで、溶液Bは0〜40%、そして溶液Aは100〜60%であり;溶液Aは0.075% TFA(トリフルオロ酢酸)であり、溶液Bは0.05%TFA及び90%ACN(アセトニトリル)であり、流速は0.75ml/分である。214nmで紫外線吸収分析を行った。
【0140】
酸化フォールディング後のLvIA/LvD21の理論的な分子量(モノアイソトピック質量)は、測定された分子量に一致した:LvIA/LvD21のモノアイソトピック質量は1678.91Daであり、一方LvIA/LvD21の測定された分子量は1678.7977Daであり、これは1678.91Daの線形ペプチド分子量より4Da小さかった。比色分析アッセイを、280nmの波長下でポリペプチド濃度を検出するために用い、そしてポリペプチド濃度及び質量を、ランベルト・ベール(方程式)に従って、計算した。定量され、充分に折り畳まれたこれらの毒素ペプチドは、以後の実施例でその後の活性アッセイに用いた。
【0141】
実施例2−(2):α−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)の人工合成
α○−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)成熟ペプチドのアミノ酸配列(配列番号11及び12、両方C末端はアミド化されている)に従って、TxlB及びTxlB(G)線形ペプチド(図11)をFmoc法により人工的に合成した。具体的な方法は、以下の通りである。
【0142】
レジンペプチドは、Fmoc化学法により人工的に合成され、例えばポリペプチド合成装置又は手動の合成法により合成された。システインを除いて、残るアミノ酸は、標準的な側鎖保護基を用いて保護された。TxlB及びTxlB(G)に関して、2つ一組で、その1番目及び3番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Trt(S−トリチル)により保護され、そして2番目及び4番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Acm(S−アセトアミドメチル)により保護された。前記合成工程は、固相合成方法のFmoc及びFastMoc法を用いること、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置により3つの異性体線形ペプチドを合成することを含む。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Pmc(Arg)、Trt(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)、Boc(Lys)である。Fmoc HOBT DCC法、Rinkアミド化レジン及びFmocアミノ酸が用いられ、合成工程は、装置の合成マニュアルに従って行なわれた。合成を完了するために、ピペリジン脱保護時間及びカップリング時間はそれぞれ適切に延長され、二重結合は、結合することが困難なアミノ酸に用いられ、このようにしてレジンペプチドを得た。線形ペプチドを試薬K(トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/フェノール/チオアニソール;90:5:2.5:7.5:5、v/v/v/v/v)を用いてレジンから切断し、そして氷ジエチルエーテル沈殿及び洗浄に供し、線形ペプチドの粗生成物を回収し、分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を、精製のために用い、そして溶出線形勾配は0〜40分で2〜42% B60、42〜47分で42〜100% B60であった。溶液B60は60%ACN(アセトニトリル)、40% H20、0.05% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.075% TFA水溶液である。
【0143】
精製された線形ペプチドを、HPLC C18カラム(Vydac)での純度検出に供し、ここで、溶出勾配は0〜40分で2〜42% B60、42〜47分で42〜100% B60であり、流速は1ml/分であった。これは、最大95%以上の純度を有し、酸化フォールディングのために使用した。
【0144】
TxlB及びTxlB(G)の線形ペプチドを、文献(Dowell, C.; Olivera, B. M.; Garrett, J. E.; Staheli, S. T.; Watkins, M.; Kuryatov, A.; Yoshikami, D.; Lindstrom, J. M.; McIntosh, J. M., Alpha-conotoxin PIA is selective for alpha6 subunit-containing nicotinic acetylcholine receptors. The Journal of neuroscience 2003, 23 (24), 8445-52.)に従って、2工程の酸化フォールディング反応に供し、そしてこれらの方法は手短に、以下のように記載される。
【0145】
まず、Trt保護基を有する2つのシステイン間のジスルフィド結合の一つ目の対をフェリシアン化カリウム法(20mM フェリシアン化カリウム、0.1M Tris、pH7.5、30分)により形成させた。一環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製後、ヨウ素酸化を行い(H2O中10mM ヨウ素:トリフルオロ酢酸:アセトニトリル(容量で78:2:20、10分))、別の2つのシステインのAcmを除去し、そして同時に2つのシステイン間のジスルフィド結合の2つ目の対を形成させた。二環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製し、ジスルフィド結合がN末端からC末端の順番に対応するシステイン間で指向的に形成される、α○−コノトキシンを得て、質量分析(MS)により確認した。
【0146】
酸化フォールディング後のTxlB及びTxlB(G)の理論的な分子量(モノアイソトピック質量)は、測定された分子量に一致した:TxlBのモノアイソトピック質量は1738.7Daであり、一方TxlBの測定された分子量は1738.6Daであった;TxlB(G)のモノアイソトピック質量は1795.7Daであり、一方TxlB(G)の測定された分子量は1795.6Daであった。比色分析アッセイを、280nmの波長下でポリペプチド濃度を検出するために用い、そしてポリペプチド濃度及び質量を、ランベルト・ベール方程式に従って、計算した。定量され、充分な折り畳まれたこれらの毒素ペプチドは、以後の実施例でその後の活性アッセイに用いた。
【0147】
実施例2−(3):α−コノトキシンTxlCの人工合成
α○−コノトキシンTxlC成熟ペプチドのアミノ酸配列(配列番号28、C末端はアミド化されている)に従って、TxlC線形ペプチド(図15A)をFmoc法により人工的に合成した。具体的な方法は、以下の通りである。
【0148】
レジンペプチドは、Fmoc化学法により人工的に合成され、例えばポリペプチド合成装置又は手動の合成法により合成された。システインを除いて、残るアミノ酸は、標準的な側鎖保護基を用いて保護された。TxlCに関して、2つ一組で、その1番目及び3番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Trt(S−トリチル)により保護され、そして2番目及び4番目のシステイン(Cys)の−SH基は、Acm(S−アセトアミドメチル)により保護された。前記合成工程は、固相合成方法のFmoc及びFastMoc法を用いること、ABI Prism 433aポリペプチド合成装置により3つの異性体線形ペプチドを合成することを含む。Fmocアミノ酸の側鎖保護基は、Pmc(Arg)、Trt(Cys)、But(Thr、Ser、Tyr)、OBut(Asp)、Boc(Lys)である。Fmoc HOBT DCC法、Rinkアミド化レジン及びFmocアミノ酸が用いられ、合成工程は、装置の合成マニュアルに従って行なわれた。合成を完了するために、ピペリジン脱保護時間及びカップリング時間はそれぞれ適切に延長され、二重結合は、結合することが困難なアミノ酸に用いられ、このようにしてレジンペプチドを得た。線形ペプチドを試薬K(トリフルオロ酢酸/水/エタンジチオール/フェノール/チオアニソール;90:5:2.5:7.5:5、v/v/v/v/v)を用いてレジンから切断し、そして氷ジエチルエーテル沈殿及び洗浄に供し、そして線形ペプチドの粗生成物を回収し、分取用逆相HPLC C18カラム(Vydac)を、精製のために用い、そして溶出線形勾配は0〜40分で15〜50% B90、40〜45分で50〜100% B90であった。溶液B90は90%ACN(アセトニトリル)、10% H20、0.5% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.65% TFA水溶液である。
【0149】
214nmで紫外線吸収分析を行った。精製された線形ペプチドを、HPLC C18カラム(Vydac)での純度検出に供し、ここで、溶出勾配は0〜40分で2〜42% B60、42〜47分で42〜100% B60であり、流速は1ml/分であった。これは、最大95%以上の純度を有し、酸化フォールディングのために使用した。
【0150】
TxlCの線形ペプチドを、文献(Dowell, C.; Olivera, B. M.; Garrett, J. E.; Staheli, S. T.; Watkins, M.; Kuryatov, A.; Yoshikami, D.; Lindstrom, J. M.; McIntosh, J. M., Alpha-conotoxin PIA is selective for alpha6 subunit-containing nicotinic acetylcholine receptors. The Journal of neuroscience 2003, 23 (24), 8445-52.)に従って、2工程の酸化フォールディング反応に供し、そしてこれらの方法は手短に、以下のように記載される。
【0151】
まず、Trt保護基を有する2つのシステイン間のジスルフィド結合の一つ目の対をフェリシアン化カリウム法(20mM フェリシアン化カリウム、0.1M Tris、pH7.5、30分)により形成させた。一環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製後、ヨウ素酸化を行い(H2O中10mM ヨウ素:トリフルオロ酢酸:アセトニトリル(容量で78:2:20、10分)、別の2つのシステインのAcmを除去し、そして同時に2つのシステイン間のジスルフィド結合の2つ目の対を形成させた。二環式ペプチドを逆相HPLC C18カラム(Vydac)で精製し、ここで、線形勾配は0〜40分で15〜50% B90、40〜45分で50〜100% B90であり、溶媒B90は90%ACN(アセトニトリル)、10% H20、0.05% TFA(トリフルオロ酢酸);溶液Aは0.65% TFA水溶液である。214nmで紫外線吸収分析を行った。ジスルフィド結合がN末端からC末端の順番に対応するシステイン間で指向的に形成される、αO−コノトキシンを得て、TxlCの出現時間は23.366分(図15B)であり、質量分析(MS)により確認した。
【0152】
酸化フォールディング後のTxlCの理論的な分子量(モノアイソトピック質量)は、測定された分子量に一致した:TxlCのモノアイソトピック質量は1488.81Daであり、一方TxlCの測定された分子量は1488.4266Daであり、これは、線形ペプチド分子量の1492.815Daより4Da小さかった。比色分析アッセイを、280nmの波長下でポリペプチド濃度を検出するために用い、そしてポリペプチド濃度及び質量を、ランベルト・ベール方程式に従って、計算した。定量され、充分に折り畳まれたこれらの毒素ペプチドを、以後の実施例でその後の活性アッセイに用いた。
【0153】
実施例3−(1):α−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)の実験
文献(Azam L, Yoshikami D, McIntosh JM. Amino resudues that confer high selectivity of the alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunit to alpha-conotoxin MII[S4A,E11A,L15A]. J Biol Chem. 2008;283(17):11625-32.)の方法、インビトロ転写キット(mMessage mMachine in vitro transcription kit (Ambion, Austin, TX))の取扱説明書は、様々なラット神経型nAChRサブタイプ(α3β2、α6/α3β2β3、α6/α3β4、α9α10、α4β2、α4β4、α3β4、α2β2、α2β4、α7)、ヒトα3β2、α6/α3β2β3、α3β4、及びマウス筋肉型nAChR(α1β1δε)のcRNAを調製するために参照され、これらの濃度は、UV 260nmにおいてOD値により測定及び計算された。カエル(Xenopus)(アフリカツメガエル(Xenopus laveis))の卵母細胞(カエルの卵)を回収及び解剖し、cRNAをカエルの卵に注入し、各サブタイプについての注入容量は5ng cRNAであった。筋肉型nAChRについて、各サブタイプを、0.5〜2.5ng DNA注入した。カエルの卵を、ND−96中で培養した。回収されたカエルの卵に、1〜2日間、cRNAを注入し、そしてnAChR電圧クランプを用い、注入後1〜4日間記録した。
【0154】
cRNAが注入されたカエルの卵の1つは、30uLのSylgardレコードタンク(直径4mm×深さ2mm)中に置かれ、0.1mg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するND96潅流液(96.0mM NaCl、2.0mM KCl、1.8mM CaCl2、1.0mM MgCl2、5mM HEPES、pH7.1〜7.5)、又は1mMアトロピンを含有するND96(ND96A)で重力潅流し、流速は1ml/分であった。全てのコノトキシン溶液は、毒素の非特異的吸着を減少させるために0.1mg/ml BSAを含み、切換弁(SmartValve, Cavro Scientific Instruments, Sunnyvale, CA)を、毒素及びアセチルコリン(ACh)の潅流の間に自由に切り替えるために用いることができ、一組みの三方電磁弁(solenoid valves, model 161TO31, Neptune Research, Northboro, MA)を、ND96及びAChの潅流の間に、自由に切り替えるために用いた。二電極式電圧クランプ増幅器(model OC-725B, Warner Instrument Corp., Hamden, CT)を用いて、Ach依存性電流(Ach gating current)を「slow」クランプに設定し、最大値(×2000)配置(position)においてクランプ上昇(clamp gain)のオンライン記録を行った。ガラス電極を、外径1mmx内径0.75mmのガラスキャピラリー(fiber-filled borosilicate capillaries, WPI Inc., Sarasota, FL)から引き出し、電圧及び電流電極において3M KClを充填した。膜電圧を、−70mVにおいて保った。全システム及びデータ記録の制御を、コンピューターで行った。AChパルスを5分間隔で1秒間、自動的にAChを潅流した。AChは筋肉型nAChR及び神経型α9α10 nAChRの卵母細胞に対して10μM;神経型のnAChRのα7に対して200μM、及び他のサブタイプに対して100μMの濃度を有した。少なくとも4つの卵母細胞を、様々な毒素濃度下において、サブタイプの電流応答及び電流軌道の刺激を記録するために用いた。
【0155】
測定された電流データを、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いて統計的解析に供し、用量反応曲線はプロットし、コノトキシンの半数遮断濃度(IC50)及び毒素が遮断するnAChRに関連する多くの他のパラメーターを計算した。
【0156】
結果は、LvIA/LvD21(実施例2−(1)において調製される)が、ラットα3β2 nAChRに対して遮断効果を示し、そして早い溶出の特徴を有したことを示す(図3)。LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRに対して最も強力な作用を示し、その半数遮断用量IC50はわずかに8.69nMであり、誤差範囲は6.9−11.0nであった(表1)。100nM α−LvIA/LvD21は、Ach依存性のラットα3β2 nAChRオープンにより発生する電流を完全に遮断し、2分以内に完全に溶出され、この遮断は可逆的であった(図3A)。α6/α3β4 nAChRに対するLvIA/LvD21の遮断活性は2位を占め、半数遮断用量(IC50)と誤差範囲は120.9(86.1−169.8)nMであり;3位はα3β4であり、半数遮断用量IC50と誤差範囲は148.4(103.2−213.2)nMを示した。α6/α3β2β3 nAChRに対するLvIA/LvD21の遮断活性は非常に弱く、半数遮断用量IC50と誤差範囲は852(590−1230)nMを示し;α7、α2β4に対する極度に弱い遮断活性が観察され、その半数遮断用量(IC50)と誤差範囲は、それぞれ最大3000(1797−4997)nMと15520(11600−20770)nMであった。これは、他のサブタイプ(α9α10、α2β2、α4β2、α4β4及びMα1β1δε)に対して遮断活性を示さず、そのIC50>10μMであった(表1)。種々のnAChRサブタイプに対するLvIA/LvD21の用量応答曲線は、図3B、3C、3Dに示される。
【0157】
比較して、α3β2に対するα−LvIA/LvD21の遮断活性は、α6/α3β2β3に対するそれより100倍以上高く、すなわち、ラットで約100倍、ヒトで約305倍高かった(図3B、3D、及び表1)。すなわち、α−LvIA/LvD21は、α3β2対α6/α3β2β3について最適の選択性と識別能を有する最初のリガンドであった。当該分野で開示されているすべてのコノトキシンはほとんど同時にα6/α3β2β3 nAChRを遮断する。従って、α−LvIA/LvD21は、α3β2対α6β2* nAChRについて高い選択性を有する最初の真の新規遮断剤であり、従って、正常状態及び疾患状態において前記サブタイプの機能と意味を研究し理解するための非常に重要な価値を有する。
【0158】
α−LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRの遮断において、より高い選択性を示した。
【0159】
α3β2 nAChRの電流に対する100nM α−LvIA/LvD21の影響(図4A)、及び同様のα2β2(図4B)とMα1βδεα7(図4C)nAChRの電流に対する10μM α−LvIA/LvD21の影響(図4)から、100nM α−LvIA/LvD21はα3β2 nAChR(図4A)を完全に遮断し、一方、100倍高い濃度を有する毒素は、α2β2及びMα1βδε nAChRサブタイプに対して遮断活性を示さないことがわかる(図4B−C)。
【0160】
従って、α−LvIA/LvD21は本発明者らにより開示された神経α−コノトキシンであり、これは、α3β2 nAChRに対して非常に強い活性を示し、α3β2対α6/α3β2β3について最適の選択性と識別能を有する最初のリガンドである。
【0161】
【表1】
【0162】
α3β2、α6/α3β4及びα3β4 nAChRが、神経心理学的疾患、例えば神経痛、依存症、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病、不安などの治療の薬物作用標的であることが、いくつかの研究で示された(背景技術中の関連文献を参照)。従って、本発明の新規α−コノトキシンLvIA/LvD21は、上記疾患の機序の研究、診断及び治療の分野で極めて有望である。
【0163】
実施例3−(2):α6/α3β2β3 nAChRの特異的遮断におけるα−コノトキシンTxlB及びTxlB(G)の実験
文献(Azam L, Yoshikami D, McIntosh JM. Amino resudues that confer high selectivity of the alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunit to alpha-conotoxin MII[S4A,E11A,L15A]. J Biol Chem. 2008;283(17):11625-32.)の方法、インビトロ転写キット(mMessage mMachine in vitro transcription kit (Ambion, Austin, TX))の取扱説明書は、様々なラット神経型nAChRサブタイプ(α3β2、α6/α3β2β3(すなわち、α6β2*−nAChR)、α6/α3β4、α9α10、α4β2、α4β4、α3β4、α2β2、α2β4、α7)、ヒトα6/α3β2β3、及びマウス筋肉型nAChR(α1β1δε)のcRNAを調製するために参照され、これらの濃度は、UV 260nmにおいてOD値により測定及び計算された。カエル(Xenopus)(アフリカツメガエル(Xenopus laveis))の卵母細胞(カエルの卵)を回収及び解剖し、cRNAをカエルの卵に注入し、各サブタイプについての注入容量は5ng cRNAであった。筋肉型nAChRについて、各サブタイプを、0.5〜2.5ng DNA注入した。カエルの卵を、ND−96中で培養した。回収されたカエルの卵に、1〜2日間、cRNAを注入し、そしてnAChR電圧クランプを用い、注入後1〜4日間記録した。
【0164】
cRNAが注入されたカエルの卵の1つは、30uLのSylgardレコードタンク(直径4mm×深さ2mm)中に置かれ、0.1mg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するND96潅流液(96.0mM NaCl、2.0mM KCl、1.8mM CaCl2、1.0mM MgCl2、5mM HEPES、pH7.1〜7.5)、又は1mMアトロピンを含有するND96(ND96A)で重力潅流し、流速は1ml/分であった。全てのコノトキシン溶液は、毒素の非特異的吸着を減少させるために0.1mg/ml BSAを含み、切換弁(SmartValve, Cavro Scientific Instruments, Sunnyvale, CA)を、毒素及びアセチルコリン(ACh)の潅流の間に自由に切り替えるために用いることができ、一組みの三方電磁弁(solenoid valves, model 161TO31, Neptune Research, Northboro, MA)を、ND96及びAChの潅流の間に、自由に切り替えるために用いた。二電極式電圧クランプ増幅器(model OC-725B, Warner Instrument Corp., Hamden, CT)を用いて、Ach依存性電流(Ach gating current)を「slow」クランプに設定し、最大値(×2000)配置(position)においてクランプ上昇(clamp gain)のオンライン記録を行った。ガラス電極を、外径1mmx内径0.75mmのガラスキャピラリー(fiber-filled borosilicate capillaries, WPI Inc., Sarasota, FL)から引き出し、電圧及び電流電極において3M KClを充填した。膜電圧を、−70mVにおいて保った。全システム及びデータ記録の制御を、コンピューターで行った。AChパルスを5分間隔で1秒間、自動的にAChを潅流した。AChは筋肉型nAChR及び神経型α9α10 nAChRの卵母細胞に対して10μM;神経型のnAChRのα7に対して200μM、及び他のサブタイプに対して100μMの濃度を有した。少なくとも4つの卵母細胞を、様々な毒素濃度下において、サブタイプの電流応答及び電流軌道の刺激を記録するために用いた。
【0165】
測定された電流データを、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いて統計的解析に供し、用量反応曲線はプロットし、コノトキシンの半数遮断濃度(IC50)及び毒素が遮断するnAChRに関連する多くの他のパラメーターを計算した。
【0166】
結果は、α−TxlB及びTxlB(G)(実施例2−(2)において調製される)が、ラットα6/α3β2β3 nAChRに対して遮断効果を示し、そして早い溶出の特徴を有したことを示す(図12)。1μM α−TxlB/Txd4は、Ach依存性のラットα6/α3β2β3 nAChRオープンにより発生する電流をほとんど完全に遮断し、迅速に溶出され、この遮断は可逆的であった(図12A)。比較して、α−TxlBの活性はTxlB(G)の活性より8.7倍高く(図12B)、α6/α3β2β3 nAChRについてその半数遮断用量(IC50)及び誤差範囲は、それぞれ:α−TxlB、28.4(18.6−43.4)nM;α−TxlB(G)、247.4(186.2−328.8)nMであった。用量反応曲線の傾き及び誤差範囲は、それぞれ、α−TxlB、0.51(0.41−0.60)nM及びα−TxlB(G)、0.78(0.63−0.93)nMであった。従って、α−TxlB及びTxlB(G)は、他のnAChRサブタイプに対して遮断活性を示さず、そのIC50>10μMであった(図12C、表2)。
【0167】
【表2】
【0168】
表2において、aは、信頼度95%の信頼限界である。bは、TxlB(G)及びTxlBの間の半数遮断用量(IC50)の比を指す。cは、10μM下で遮断活性が無いことを示す。
【0169】
α−TxlB/Txd4は、α6/α3β2β3 nAChRの遮断において高い選択性を示す。α6/α3β2β3 nAChRの電流に対する1μM α−TxlB/Txd4の作用、及び非常によく似たα3β2(B)、α6/α3β4(C)、α3β4(D) nAChR(図13)の電流に対する10μM α−TxlB/Txd4の作用から、1μM α−TxlB/Txd4がα6/α3β2β3 nAChRを特異的に遮断し(図13A)、一方、10倍高い濃度を有する毒素は、α3β2(図13B)、α6/α3β4(図13C)及びα3β4(図13D) nAChRサブタイプに対する遮断活性を示さなかった。ヒトα6/α3β2β3 nAChRについて、α−TxlB及びTxlB(G)は、ラットα6/α3β2β3 nAChRの遮断活性と似た遮断活性を有した。従って、α−TxlBはα6/α3β2β3 nAChRに対して最適な選択性を有するα−コノトキシンであり、活性の比較は表3に示される。
【0170】
α6/α3β2β3 nAChRが、神経心理学的疾患、例えばニコチン、モルフィン及びコカインに対する依存症、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病などの治療の薬物作用標的であることが、いくつかの研究で示された(背景技術中の関連文献を参照)。従って、本発明の新規α−コノトキシンTxlB/Txd4及びTxlB(G)は、上記疾患の機序の研究、診断及び治療の分野で極めて有望である。
【0171】
TxlB/Txd4及びTxlB/Txd4(G)と他のα−CTxの配列と活性の比較は、表3に示される。
【0172】
【表3】
【0173】
実施例3−(3):α−コノトキシンTxlCを用いてα3β4及びα6/α3β4 nAChRを特異的に遮断する実験
文献(Azam L, Yoshikami D, McIntosh JM. Amino resudues that confer high selectivity of the alpha6 nicotinic acetylcholine receptor subunit to alpha-conotoxin MII[S4A,E11A,L15A]. J Biol Chem. 2008;283(17):11625-32.)の方法、インビトロ転写キット(mMessage mMachine in vitro transcription kit (Ambion, Austin, TX))の取扱説明書は、様々なラット神経型nAChRサブタイプ(α3β4、α6/α3β4、α9α10、α4β2、α4β4、α3β4、α2β2、α2β4、α7)、ヒトα3β4、及びマウス筋肉型nAChR(α1β1δε)のcRNAを調製するために参照され、これらの濃度は、UV 260nmにおいてOD値により測定及び計算された。カエル(Xenopus)(アフリカツメガエル(Xenopus laveis))の卵母細胞(カエルの卵)を回収及び解剖し、cRNAをカエルの卵に注入し、各サブタイプについての注入容量は5ng cRNAであった。筋肉型nAChRについて、各サブタイプを、0.5〜2.5ng DNA注入した。カエルの卵を、ND−96中で培養した。回収されたカエルの卵に、1〜2日間、cRNAを注入し、そしてnAChR電圧クランプを用い、注入後1〜4日間記録した。
【0174】
cRNAが注入されたカエルの卵の1つは、30uLのSylgardレコードタンク(直径4mm×深さ2mm)中に置かれ、0.1mg/ml BSA(ウシ血清アルブミン)を含有するND96潅流液(96.0mM NaCl、2.0mM KCl、1.8mM CaCl2、1.0mM MgCl2、5mM HEPES、pH7.1〜7.5)、又は1mMアトロピンを含有するND96(ND96A)で重力潅流し、流速は1ml/分であった。全てのコノトキシン溶液は、毒素の非特異的吸着を減少させるために0.1mg/ml BSAを含み、切換弁(SmartValve, Cavro Scientific Instruments, Sunnyvale, CA)を、毒素及びアセチルコリン(ACh)の潅流の間に自由に切り替えるために用いることができ、一組みの三方電磁弁(solenoid valves, model 161TO31, Neptune Research, Northboro, MA)を、ND96及びAChの潅流の間に、自由に切り替えるために用いた。二電極式電圧クランプ増幅器(model OC-725B, Warner Instrument Corp., Hamden, CT)を用いて、Ach依存性電流(Ach gating current)を「slow」クランプに設定し、最大値(×2000)配置(position)においてクランプ上昇(clamp gain)のオンライン記録を行った。ガラス電極を、外径1mmx内径0.75mmのガラスキャピラリー(fiber-filled borosilicate capillaries, WPI Inc., Sarasota, FL)から引き出し、電圧及び電流電極において3M KClを充填した。膜電圧を、−70mVにおいて保った。全システム及びデータ記録の制御を、コンピューターで行った。AChパルスを5分間隔で1秒間、自動的にAChを潅流した。AChは筋肉型nAChR及び神経型α9α10 nAChRの卵母細胞に対して10μM;神経型のnAChRのα7に対して200μM、及び他のサブタイプに対して100μMの濃度を有した。少なくとも4つの卵母細胞を、様々な毒素濃度下において、サブタイプの電流応答及び電流軌道の刺激を記録するために用いた。
【0175】
測定された電流データを、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego, CA)を用いて統計的解析に供し、用量反応曲線はプロットし、コノトキシンの半数遮断濃度(IC50)及び毒素が遮断するnAChRに関連する多くの他のパラメーターを計算した。
【0176】
結果は、TxlC(実施例2−(3)において調製される)が、α3β4 nAChRに対して遮断効果を示し、そして迅速に溶出された(図16)。TxlCは、α3β4 nAChRに対して最も強力な遮断剤であり、その半数遮断用量IC50はわずかに12.5nMであり、他の既知のコノトキシンとの活性の比較は表4に示した。
【0177】
1μM α−TxlC/Txd1は、Ach依存性のラットα3β2 nAChRオープンにより発生する電流を完全に遮断し、迅速に溶出され、この遮断は可逆的であった(図16A)。TxlCは、α3β4 nAChRに対して最も強い遮断活性を示し、その半数遮断用量と誤差範囲は12.5(9.4−16.5nM)を示し、α6/α3β4 nAChRに対するTxlCの遮断活性は2位を占め、半数遮断用量(IC50)と誤差範囲は94.1(73−121nM)であり;α2β4 nAChRに対するTxlCの遮断活性は非常に弱く、半数遮断用量IC50と誤差範囲は4550(3950−5230nM)を示した。TxlCの用量応答曲線の傾き及び誤差範囲のそれぞれ:α3β4 nAChR、0.19(0.66−1.44);α6/α3β4 nAChR 0.26(0.73−1.87);α2β4 nAChR、0.20(1.48−2.42)であった。α−TxlCは、他のnAChRサブタイプ(α4β4、α4β2、α6/α3β2β3、α2β2、α9α10、α7、α1β1δε)に対して遮断活性を示さず、そのIC50>10μMであった(図16B、表5)であり、比較して、α−TxlCは、α3β4に対して、α6/α3β4 nAChRに対する遮断活性より7.5倍高い活性、及びα2β4に対する活性より524倍高い活性を示した(図16B、表5)。
【0178】
α−TxlC/Txd1は、α3β4 nAChRの遮断において高い選択性を示した。α3β4 nAChRの電流に対する1μM α−TxlC/Txd1の影響、及び非常によく似たα4β4(B)、α7(C)nAChRの電流に対する10μM α−TxlC/Txd1の影響から、1μM α−TxlC/Txd1はα3β4 nAChR(図17A)を完全に遮断し、一方、10倍高い濃度を有する毒素は、α4β4(図17B)及びα7(図17C)nAChRサブタイプに対して遮断活性を示さないことがわかる。ヒトα3β4 nAChRについては、α−TxlCは、ラットα3β4 nAChRについての遮断活性と同様の遮断活性を示した。
【0179】
従って、α−TxlCは、これまで発見されているようにα3β4 nAChRに対して最も強い活性を有するα−コノトキシンであり、α6/α3β4 nAChRに対して比較的強い遮断活性を示し、これらの活性の比較を表4に示した。
【0180】
【表4】
【0181】
【表5】
【0182】
α3β4、α6/α3β4 nAChRが、神経心理学的疾患、例えばニコチン、モルフィン及びコカインに対する依存症、神経痛、パーキンソン病、認知症、統合失調症、うつ病、不安などの治療の薬物作用標的であることが、いくつかの研究で示された(背景技術中の関連文献を参照)。従って、本発明の新規α−コノトキシンTxlC/Txd1は、上記疾患の機序の研究、診断及び治療の分野で極めて有望である。
【0183】
実施例4:α−コノトキシンLvIA/LvD21を用いてα3β2 nAChR変異体を遮断する実験
α−CTx LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRの7つのβ2変異体:α3β2[T59K]、α3β2[T59L]、α3β2[T59I]、α3β2[V111I]、α3β2[F119Q]、α3β2[Q34A]、α3β2[K79A](図6−7;図5−6)に対する遮断活性において大きな多様性を示し、これらの7つの変異体において、主要なアミノ酸残基は、nAChRのβ2サブユニットと、β4サブユニット(α−CTx MIIを含む)中の対応するアミノ酸残基中へ変異されるリガンドを結合する部位にある。変異体を調製するための方法は、文献(Shiembob DL, Roberts RL, Luetje CW, McIntosh JM. Determinants of alpha-conotoxin BuIA selectivity on the nicotinic acetylcholine receptor beta subunit. Biochemistry. 2006 Sep 19;45(37):11200-7.)に従って行われた。
【0184】
前の5つのα3β2 nAChR変異体の詳細は、文献(Shiembob DL, Roberts RL, Luetje CW, McIntosh JM. Determinants of alpha-conotoxin BuIA selectivity on the nicotinic acetylcholine receptor beta subunit. Biochemistry. 2006 Sep 19;45(37):11200-7; and Dutertre S, Nicke A, Lewis RJ. β2 subunit contribution to 4/7 α-conotoxin binding to the nicotinic acetylcholine receptor. J Biol Chem 2005;280:30460-8.)中に見いだされるであろう。
【0185】
α3β2受容体へのα−CTx LtlA結合の主要なアミノ酸に関連する、後の2つのα3β2 nAChR変異体(α3β2 Q34A、α3β2 K79A)(Luo, S., Akondi, K. B., Zhangsun, D., Wu, Y., Zhu, X., Hu, Y., Christensen, S., Dowell, C., Daly, N. L., Craik, D. J., Wang, C. I., Lewis, R. J., Alewood, P. F., and Michael McIntosh, J. (2010) Atypical alpha-conotoxin LtIA from Conus litteratus targets a novel microsite of the alpha3beta2 nicotinic receptor.Biol. Chem.285, 12355-12366)。
【0186】
具体的な実験方法は実施例3−(1)と同じであり、結果は表6〜7及び図5〜6に示した。
【0187】
表2と図5から、α−CTx LvIA/LvD21は変異体α3β2[V111l]に対して最小の遮断活性(IC50は126nMであった)を有し、その活性は野生型α3β2 nAChRに対する活性(IC50は14.5nMであった)より8.7倍低かった。変異体α3β2[F119Q]、α3β2[T59K]、α3β2[T59L]に対するその遮断活性は非常に強く、そのIC50値はそれぞれ0.58、0.96及び2.03であり、その活性は、野生型α3β2 nAChRに対する活性より、それぞれ25倍、15倍及び7倍高かった。α−CTx LvIA/LvD21は、変異体α3β2[Q34A]、α3β2[T79K]及び[T59l]に対して8.64、10.8及び15.2nMのIC50を示し、その遮断活性は、野生型α3β2 nAChRに対する遮断活性の0.6〜1.05倍であり、これは、野生型α3β2 nAChRの遮断活性からの有意差を示さなかった。α−CTx LvIA/LvD21は、変異体α3β2[F119Q]に対して、α3β2[V111l]に対する活性の217倍の活性を示した。これは、β2サブユニットの111番目の部位のバリン、119番目の部位のフェニルアラニン、及び59番目の部位のスレオニンが、LvlAをα3β2に結合させるのに重要な役割を果たすことを意味し、ここで、活性の変化は2つの傾向(上昇と下降)を含み、これは、すでに開示された、α3β2 nAChRにα−CTxを結合させたMII、LtlA及び他の部位とは異なっていた。
【0188】
【表6】
【0189】
α−CTx LvIA/LvD21は、α3β2 nAChRのいくつかの変異体の遮断活性(IC50)に大きな影響を有するのみでなく、その溶出速度に顕著な影響を有した(図6及び表7)。研究結果は、10nM α−LvIA/LvD21がα3β2 nAChRの野生型の電流の約50%を遮断し、溶出が迅速に行われ、電流が2分以内に完全に回復され(図6A);一方、10nM α−LvIA/LvD21は変異体α3β2[F119Q]のすべての電流を遮断し、溶出はゆっくり行われ、電流は12分溶出後に回復され(図6B);より有意な差は、10nM α−LvIA/LvD21が変異体α3β2[T59K]のすべての電流を遮断し、溶出は非常にゆっくり行われ、電流は20分溶出後に対照電流の27%まで回復(図6C)することにあったが;しかし、10nM α−LvIA/LvD21は変異体α3β2[V111l]の電流を完全には遮断しなかった(図6D)。種々の変異体受容体の溶出速度に対するα−LvIA/LvD21の影響を表7に示した。α−LvIA/LvD21で遮断された後の4つの変異体、α3β2[K79A]、α3β2[V111l]、α3β2[Q34A]及びα3β2[T59l]では、溶出速度に対する影響は小さく、すなわち、10〜10000nMのような非常に広範囲の濃度では、その溶出はいつも迅速に行われ、その電流はすべて、1〜3分以内に対照レベル(すなわち100%)まで回復した。変異体α3β2[T59L]については、その溶出は比較的ゆっくり行われ、その電流は5〜8分後に対照レベルまで回復した。変異体α3β2[F119Q]について、その溶出はさらにゆっくり行われ、その電流は10〜12分後に対照レベルまで回復した。変異体α3β2[T59K]については、その溶出は最もゆっくり行われ、10nM LvIA/LvD21はその電流を完全に遮断し、これは20分溶出後に、対照電流の28±3.5%まで回復し、100nM LvIA/LvD21で遮断された後は、その電流は20分溶出後に、対照電流の13±2%まで回復した。変異体α3β2[T59K]がLvIA/LvD21の結合方法に対して最も大きな影響を示したことがわかる。従って、α−CTx LvIA/LvD21の構造と機能は、α−CTxとnAChRとの相互作用の機序を研究するための重要な基礎を与え、そのための優れたツールとモデルとを与える。
【0190】
【表7】
【0191】
実施例5:α−LvIA/LvD21の鎮痛活性の実験
1.LvIA/LvD21の鎮痛活性を試験するためにラットCCIモデルを使用
(1)試験動物と試験材料
SD(スプラーグドーレイ)ラットを使用して、虚血神経の慢性狭窄損傷モデル(慢性狭窄損傷モデル、CCIモデル)を調製し、試験したコノトキシンの鎮痛活性を圧痛テスター(Rat 800G, このモデルはUS IITC 2391である)を用いて測定した。SD(スプラーグドーレイ)ラットは、広東省の医療実験動物センター(Medical Experimental Animal Center of Guangdong Province)から購入した。Bennett et al.の方法(Bennett G J, Xie Y K. A peripheral mononeuropathy in rat that produces disorders of pain sensation like those seen in man [J]. Pain, 1988, 33(1): 87)を使用して、CCIモデルを調製した。
【0192】
(2)実験方法
ペントバルビタールナトリウム80mg/kgの腹腔内注射により麻酔した後、右下肢に無菌条件下で切開して坐骨神経の幹を露出させ、これを1mm間隔で4−0クロム縫合糸を使用して緩く結合させ、縫合糸は神経上膜の血液供給に影響を与えない気密性を有し、次にステッチを層ごとに行った。左下肢を切開して坐骨神経の幹を露出させたが、これは結紮せず、従って偽手術側として使用した。ペニシリン粉末を局所的に両側創傷に塗布した。ペニシリンの腹腔内注射は、1日に1回、80,000単位/時間で連続3日間行った。カテーテル挿入前に5匹のラットを1つのケージで飼育し、カテーテル挿入後に1匹のラットを1つのケージで飼育した。予備選抜後の有資格ラットを無作為に5群、すなわち、生理食塩水陰性対照群、モルフィン陽性対照群、及び毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群、モルフィン陽性対照群、及び毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群(ここで、毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群は2回繰り返した)(すなわち、毒素ペプチドα−LvIA/LvD21試験群は3回行われた)、に分けた。ラットの影響を受けた足と偽手術足の機械的疼痛刺激値を、手術前、手術の3日後、1週間後と2週間後に、測定した。有資格慢性狭窄損傷モデル(CCIモデル)を、神経痛に対するLvIA/LvD21の治療効果を試験するための全体の動物モデルとして使用した。
【0193】
CCIモデルにおけるLvIA/LvD21の鎮痛作用を腹腔内注射により試験した。生理食塩水(Saline)をブランク対照、すなわち陰性対照として使用し;モルフィンを陽性対照として、ラット体重1kg当たり1mgの用量で使用した。試験群は毒素ペプチドα−LvIA/LvD21を1nmol/kg(約1.7μg/kg)ラット体重の用量で使用し、各群は8匹を有した(n=8)。鎮痛活性は機械的閾値で示され、これは、基礎的疼痛閾値(100)に対して観察された疼痛閾値の比パーセンテージ(基礎の%)であり、この比が大きいほど、鎮痛作用が良好である。
【0194】
(3)試験結果
結果は図7〜8に示される。
図7は、α−LvIA/LvD21を1〜24時間腹腔内注射(IP)後の、CCIモデルにおける鎮痛作用を示す。LvIA/LvD21は1時間投与後に、神経痛に対して強力な鎮痛作用を示し、一方モルフィンの陽性対照は1時間の投与後に鎮痛作用を示さなかった;LvIA/LvD21は、3時間投与後に神経痛に対して最大の鎮痛作用を示し、平均鎮痛値は160%であり、ある場合には最大200%であり、一方モルフィンの陽性対照は3時間の投与後に120%の平均鎮痛値を示し;そして、24時間後でさえ、LvIA/LvD21はモルフィンよりはるかに高い鎮痛値を示した(図7)。
【0195】
連続7日間投与後に、1週間の休薬(7日目〜14日目)後に鎮痛値を試験し、結果を図8に示す。7日目〜14日目には、LvIA/LvD21はモルフィン群より有意に高い機械的閾値を示し、12日目に最大の鎮痛作用が観察され、平均鎮痛値は最大200%であり、モルフィン群は、生理食塩水対照群と比較して、鎮痛値の有意差を示さなかった。これは、モルフィンの鎮痛作用が休薬後に消失し、一方LvIA/LvD21は休薬後も鎮痛作用を保持したこと(図8)を示し、これは、LvIA/LvD21が鎮痛作用を有するのみでなく、神経痛に対して治療効果も有することを示唆する。
【0196】
上記結果は、LvIA/LvD21がモルフィンより強力な鎮痛作用を有することを示し、同じ重量と用量で表すと、CCIモデルにおけるLvIA/LvD21の鎮痛作用はモルフィンの作用より823〜1176倍高い。LvIA/LvD21の腹腔内注射は、ラットCCIモデルにおいて強力な鎮痛作用と良好な持続性を示し、コノトキシン自体は依存症を誘導しない。
【0197】
2.マウスホットプレートsknを使用するLvIA/LvD21の鎮痛活性
(1)試験動物
5秒未満または30秒超の応答潜伏期を有するマウスを除去し、18±2gの体重を有する50匹のメスの昆明マウスを使用した。投与前に、マウスを55±0.5℃のホットプレート痛覚閾値検出器(タイプはUS IITC 39であった)の金属板上に乗せ、後肢をなめるか又はジャンプする応答の潜伏期(秒)を算出した。
【0198】
(2)試験方法
マウスを、ランダム割り当て記数テーブルに従って3群、すなわち、陰性対照生理食塩水(Saline)、陽性対照モルフィン群(モルフィン)、及びαコノトキシンLvIA/LvD21に、1群10匹で分けた。各群について、1匹のマウスあたり10μLの注入容量で脳室内注入を行った。陽性対照モルフィンの投与量は、100μg/kgマウス体重であった;α−LvIA/LvD21の投与量は、0.1nmol/kg(約0.17μg/kg)マウス体重であった。同じ重量と用量で表すと、陽性対照モルフィンの投与量は、LvIA/LvD21よりも588倍高かった。投与前に、マウスを55±0.5℃のホットプレート疼痛閾値検出器(タイプはUS IITC 39であった)の金属板上に乗せ、マウスの後肢をなめるか又はジャンプする(秒)単位の応答の潜伏期を疼痛閾値とした。各マウスを2回測定し、その平均値を基礎疼痛閾値として使用し、2回の測定間の間隔を5分とした。足の火傷を避けるために、終了時間を60秒とし、60秒超の疼痛閾値は60秒として記録した。投与後、疼痛閾値を、別々に15、30、45、60、90、120分に測定し、結果をx±sとして表した。
【0199】
(3)試験結果
結果を図9に示す。
【0200】
α−CTx LvIA/LvD21は、ホットプレート試験モデルで非常に強力な鎮痛作用を示した(図9)。投与前に、3群のマウスはすべて約14秒〜約17秒の基礎疼痛閾値を有した。投与後、全ての時点で、陽性対照の生理食塩水(Saline)の疼痛閾値は約14〜17秒で維持され、LvIA/LvD21の疼痛閾値は、投与後15分で30秒に急速に上昇し、モルフィンの疼痛閾値も急速に32秒(図9)に上昇し、その間、LvIA/LvD21は強力な鎮痛活性を示し、これは、LvIA/LvD21LvlAが鎮痛活性の非常に急速な出現を示すことを示した。投与後30〜90分以内に、LvIA/LvD21の疼痛閾値はわずかに低下し、次に連続的に上昇し、一方モルフィンの疼痛閾値は連続して低下し、LvIA/LvD21の疼痛閾値は、モルフィンの疼痛閾値と比較して1.3〜1.5倍上昇した。投与後120分に、LvIA/LvD21の疼痛閾値はわずかに低下したが、それでもモルフィンの疼痛閾値より1.3倍高かった。同じ重量と用量で表されると、ホットプレートモデルにおけるLvIA/LvD21の鎮痛作用は、モルフィンの作用より764〜882倍高かった。
【0201】
本発明の実施形態は詳細に記載されるが、当業者は、これらの詳細が、開示される教示に従って、改変及び変更され得ることを理解し、これらの全ての変更は、本発明の保護範囲内である。本発明の全体の範囲は、添付の特許請求の範囲及びこれらの任意の等価物により与えられる。
図1
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図2(D)】
図3(A)】
図3(B)】
図3(C)】
図3(D)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図5(A)】
図5(B)】
図5(C)】
図6(A)】
図6(B)】
図6(C)】
図6(D)】
図7
図8
図9
図10
図11(A)】
図11(B)】
図12(A)】
図12(B)】
図12(C)】
図13(A)】
図13(B)】
図13(C)】
図13(D)】
図14
図15(A)】
図15(B)】
図16(A)】
図16(B)】
図17(A)】
図17(B)】
図17(C)】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]