特許第6336994号(P6336994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336994
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】シースルーのニアアイディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20180528BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   G02B27/02 Z
   H04N5/64 511A
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-539803(P2015-539803)
(86)(22)【出願日】2013年10月24日
(65)【公表番号】特表2015-534135(P2015-534135A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013066650
(87)【国際公開番号】WO2014066662
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2016年9月29日
(31)【優先権主張番号】13/662,251
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100194814
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 元宏
(72)【発明者】
【氏名】マ、ジャン・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ジョン・エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】チャン、タリース・ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】リ、チョン・ユー.
(72)【発明者】
【氏名】ダリー、ロバート・シーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、フレデリック・ディー.
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−250478(JP,A)
【文献】 特表2000−506998(JP,A)
【文献】 特開2003−121779(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0085648(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B27/00−27/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニアアイディスプレイであって、
透過型電子ディスプレイと、
前記ニアアイディスプレイがユーザによって装着されたときに、前記透過型電子ディスプレイから発せられた光が、前記ユーザの人間の眼から250mm以上の距離を置いて生じるように前記ユーザに見える仮想画像を形成するように、第1の割合の入射光を回折し、第2の割合の入射光を回折しないように構成された回折マイクロレンズアレイと、
を備え、
ここにおいて、前記透過型電子ディスプレイと前記マイクロレンズアレイの間の距離は、およそ前記マイクロレンズアレイの焦点距離であり、
ここにおいて、前記回折マイクロレンズアレイは、体積ホログラムとして感光性樹脂膜に構築され、
ここにおいて、前記第1の割合の入射光は、前記回折マイクロレンズアレイを通過して前記人間の眼に向かい、前記人間の眼の網膜上のフォーカスから外れ、
ここにおいて、前記第2の割合の入射光は、前記回折マイクロレンズアレイを通過して前記人間の眼に向かい、前記人間の眼の前記網膜上にフォーカスされる、
ニアアイディスプレイ。
【請求項2】
前記回折マイクロレンズアレイは、部分的に回折性でありかつ部分的に透明である、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項3】
前記透過型電子ディスプレイは、複数の画素を含み、前記回折マイクロレンズアレイは、各画素から発せられた光の約50パーセントが回折されて、無限遠にフォーカスされているときの前記人間の眼の前記網膜上にフォーカスするように、前記画素に相対的に位置付けられる、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項4】
前記透過型電子ディスプレイは、複数の透明な部分を含み、前記回折マイクロレンズアレイは、実世界のシーンからの光が前記透過型ディスプレイの前記透明な部分を変化なく通過するように、前記透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられる、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項5】
前記回折マイクロレンズアレイは、前記実世界のシーンからの前記光の約50パーセントが、前記回折マイクロレンズアレイを通過して、前記人間の眼の前記網膜上に画像を形成するように、前記透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられる、請求項4に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項6】
前記回折マイクロレンズアレイは、前記実世界のシーンからの前記光の約50パーセントが、無限遠にフォーカスされているときの前記人間の眼の前記網膜からフォーカスが外れて前記マイクロレンズアレイによって回折されるように、前記透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられる、請求項5に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項7】
前記回折マイクロレンズアレイは、ガラス基板上に構築される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項8】
前記回折マイクロレンズアレイおよび前記透過型電子ディスプレイは、光学レンズに構築される、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項9】
前記透過型電子ディスプレイは、液晶ディスプレイである、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項10】
前記透過型電子ディスプレイは、有機発光ダイオードディスプレイである、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項11】
前記有機発光ダイオードディスプレイは、透明な有機発光ダイオードディスプレイである、請求項10に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項12】
前記透過型電子ディスプレイは、眼鏡に取り付けられる、請求項1に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項13】
ニアアイディスプレイであって、
人間の眼の近くにコンピュータによって生成された画像を表示し、遠くのシーンを見ることを部分的に可能にするための手段と、
前記ニアアイディスプレイがユーザによって装着されたときに、前記コンピュータによって生成された画像からの光が、前記ユーザの前記人間の眼から250mm以上の距離を置いて生じるように前記ユーザに見える仮想画像を形成するように、前記コンピュータによって生成された画像からの第1の割合の光を回折し、前記コンピュータによって生成された画像からの第2の割合の光を回折しないための手段と、
を備え、
ここにおいて、前記コンピュータによって生成された画像からの第1の割合の光を回折し、前記コンピュータによって生成された画像からの第2の割合の光を回折しないための前記手段は、体積ホログラムとして感光性樹脂膜に構築され、
ここにおいて、前記第1の割合の光は、前記第1の割合の光を回折し前記第2の割合の光を回折しないための手段を通過して前記人間の眼に向かい、前記人間の眼の網膜上にフォーカスされ、
ここにおいて、前記第2の割合の光は、前記第1の割合の光を回折し前記第2の割合の光を回折しないための手段を通過して前記人間の眼に向かい、前記人間の眼の前記網膜上のフォーカスから外れる、
ニアアイディスプレイ。
【請求項14】
前記コンピュータによって生成された画像からの前記第1の割合の光を回折し、前記コンピュータによって生成された画像からの第2の割合の光を回折しないための手段は、前記コンピュータによって生成された画像からの光を部分的に回折するための手段と、前記遠くのシーンからの光を部分的に送信するための手段とを備える、請求項13に記載のニアアイディスプレイ。
【請求項15】
コンピュータによって生成された画像を表示するための手段は、複数の画素を生成するための手段を備え、
前記コンピュータによって生成された画像からの前記第1の割合の光を回折し、前記コンピュータによって生成された画像からの第2の割合の光を回折しないための手段は、無限遠にフォーカスされているときの前記人間の眼の前記網膜上にフォーカスするように、各画素から発せられた光の約50パーセントを回折するための手段を備える、請求項13に記載のニアアイディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本願は、一般的には、コンピューティングデバイスのためのディスプレイに関し、より具体的には、人間の眼が、実世界画像と、実世界画像とオーバレイされうるコンピュータによって生成された画像とに同時にフォーカスすることを可能にする、ニアアイディスプレイ(near-eye display)に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] セルラおよびワイヤレス通信技術は、過去数年にわたって爆発的な成長を遂げた。セルラサービスプロバイダは、今や、それらのユーザに、情報、リソース、および通信への前例のないレベルのアクセスを提供する、幅広い機能およびサービスを提供している。これらのサービスの拡張に後れを取らないように、モバイル電子デバイス(例えば、セルラ電話、タブレット、ラップトップなど)は、より機能が豊富になり、今や、一般に、強力なプロセッサ、グラフィックスハードウェア、カメラ、全地球測位システム(GPS)受信機、および、友人、仕事、レジャーアクティビティ、およびエンタテインメントにユーザを接続するための多くの他の構成要素を含む。これらの改善により、モバイルデバイスユーザは、今や、ユーザの物理的な環境からの実世界画像をコンピュータによって生成された画像(imagery)と組み合わせる拡張現実ソフトウェアアプリケーションのような、強力なソフトウェアアプリケーションを彼らのモバイルデバイス上で実行しうる。これらおよびその他の拡張の結果として、モバイルデバイスは、ユビキタスになり、モバイルデバイスユーザは、今や、いつでも、どこでもコンテンツ、データおよび通信へのアクセスを有することを期待する。
【0003】
[0003] モバイルデバイスのユビキタス性、およびそれらが提供するアプリケーションおよび通信へのほぼ連続したアクセスにより、モバイルデバイスユーザは、彼らのモバイルデバイスにより深く没頭し、彼らの物理的な環境(physical surroundings)についての認識が低下する。これらおよびその他の理由から、モバイルデバイスユーザが、彼らの物理的な環境とコンピュータによって生成された画像/コンテンツとに同時にフォーカスすることを可能にする電子ディスプレイが、消費者にとって有益である。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 一実施形態のニアアイディスプレイは、透過型電子ディスプレイ(transmissive electronic display)と、ユーザの眼から250mm以上の距離を置いてディスプレイの仮想画像を形成するために入射光の割合(a percentage)を回折するように構成された回折マイクロレンズアレイとを含むことができ、ここで、透過型電子ディスプレイとマイクロレンズアレイの間の距離は、およそマイクロレンズアレイの焦点距離である。回折マイクロレンズアレイは、部分的に回折性でありかつ部分的に透明でありうる。透過型電子ディスプレイは、複数の画素を含むことができ、回折マイクロレンズアレイは、各画素から発せられた光の約50パーセントが回折されてユーザの眼の網膜上にフォーカスする(diffracted into focus on a retina of a user’s eye)ように、これら画素に相対的に位置付けられることができる。透過型電子ディスプレイは、複数の透明な部分を含むことができ、回折マイクロレンズアレイは、遠くのシーンからの光が透過型ディスプレイの透明な部分を変化なく通過するように、透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられかつ構成されることができる。回折マイクロレンズアレイは、実世界のシーンからの光の約50パーセントが、回折マイクロレンズアレイを通過して、網膜上に画像を形成するように、透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられうる。回折マイクロレンズアレイは、実世界のシーンからの光の約50パーセントが、ユーザの網膜からフォーカスが外れて(out of focus of)マイクロレンズアレイによって回折されるように、透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられうる。回折マイクロレンズアレイは、ガラス基板上に構築される、および/または、体積ホログラムとして感光性樹脂膜に構築されることができる。回折マイクロレンズアレイおよび透過型電子ディスプレイは、光学レンズに構築されることができ、これは、眼鏡の一部である、または眼鏡に取り付けられることができる。透過型電子ディスプレイは、液晶ディスプレイでありうる。透過型電子ディスプレイは、有機発光ダイオードディスプレイであることができ、これは、透明な有機発光ダイオードディスプレイであることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
[0005] 本明細書に組み込まれ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を例示し、以上で与えられた概要と、以下で与えられる詳細な説明とともに、本発明の特徴を説明するのに役立つ。
図1A図1Aは、先行技術の拡張現実眼鏡に一般的に含まれる構成要素の例示である。
図1B図1Bは、先行技術の拡張現実眼鏡に一般的に含まれる構成要素の例示である。
図1C図1Cは、先行技術の拡張現実眼鏡に一般的に含まれる構成要素の例示である。
図2図2は、先行技術のヘッドアップディスプレイシステム上に電子的に生成された画像を表示するのに適したイメージングシステム(imaging system)の例示である。
図3A図3Aは、眼鏡の形状一実施形態のニアアイディスプレイシステムの例示である。
図3B図3Bは、眼鏡における使用に適した一実施形態のニアアイディスプレイシステムの例示である。
図4図4は、人間の網膜上に、実世界のシーンからの光と、電子ディスプレイから生成された光とをフォーカスするように構成された一実施形態のニアアイディスプレイにおける光路を例示する光線追跡図(ray tracing diagram)である。
図5図5は、人間の網膜上に、実世界のシーンからの光と、電子ディスプレイから生成された光とをフォーカスするように構成された一実施形態のニアアイディスプレイにおける光路を例示する光線追跡図である。
図6図6は、人間の網膜上に、実世界のシーンからの光と、電子ディスプレイから生成された光とをフォーカスするように構成された一実施形態のニアアイディスプレイにおける光路を例示する光線追跡図である。
図7図7は、人間の網膜上に、実世界のシーンからの光と、電子ディスプレイから生成された光とをフォーカスするように構成された一実施形態のニアアイディスプレイにおける光路を例示する光線追跡図である。
図8図8は、一実施形態のニアアイディスプレイにおける使用に適した回折パターンを有するホログラフィックマイクロレンズアレイの例示である。
図9図9は、形成された画像が人間の眼からある距離を置いて現れるように、人間の眼に極めて近接して(in close proximity)画像を形成するように構成されたホログラフィックマイクロレンズアレイを有する一実施形態のニアアイディスプレイシステムの例示である。
図10図10は、一実施形態のヘッドマウントディスプレイ(HMD)システムの実例的な構成要素を例示するブロック図である。
図11図11は、様々な実施形態とともに使用するのに適したモバイルコンピューティングデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0015] 様々な実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明される。可能な限り、同一の参照番号は、同一または同様の部分を指すように、図面全体を通して使用される。特定の例およびインプリメンテーションへの参照は、例示を目的としており、本発明または請求項の範囲を限定するようには意図されない。
【0007】
[0016] 「例示的(exemplary)」という用語は、本明細書では、「例、実例、または例示を提供する」という意味で使用される。本明細書で「例示的」なものとして説明される任意のインプリメンテーションは、他のインプリメンテーションに対して、必ずしも好ましいまたは有利であるようには解釈されない。
【0008】
[0017] 本明細書では、「モバイルデバイス」、「ユーザ機器」、および「ハンドヘルドデバイス」という用語は、セルラ電話、スマートフォン、パーソナルまたはモバイルマルチメディアプレーヤ、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートブック、ウルトラブック、パルムトップコンピュータ、ワイヤレス電子メール受信機、マルチメディアインターネット対応セルラ電話、ワイヤレスゲーミングコントローラ、およびワイヤレス通信信号を送るおよび/または受信するための回路、メモリ、およびプログラマブルプロセッサを含む同様のパーソナル電子デバイスのうちの任意の1つまたはすべてを指すために、交換可能に使用される。
【0009】
[0018] 本明細書では、「画素」という用語は、電子ディスプレイデバイスにおける最小のアドレス指定可能な個別要素を指すために使用される。典型的に、単位面積当たりの画素数が多いほど、電子ディスプレイデバイスの解像度もより大きくなる。
【0010】
[0019] 本明細書では、「ヘッドアップディスプレイ(heads-up display)」という語句およびその頭文字「HUD」は、ユーザが彼らの通常の視点から目をそらす必要なく、ユーザに情報を提示する任意の電子ディスプレイシステムを指すために使用される。
【0011】
[0020] 本明細書では、「ニアアイディスプレイ(near-eye display)」という用語は、ユーザの片眼または両眼に極めて近接して装着されうる光学ディスプレイシステムを指すために使用される。ニアアイディスプレイは、コンタクトレンズ、眼鏡、(例えば、個人の顔面上またはヘルメットの一部としての)ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、仮想現実眼鏡、拡張現実眼鏡、電子ゴーグル、および他の同様の技術/デバイス中に含まれうる。
【0012】
[0021] 近年のモバイルデバイス技術における進歩により、モバイルデバイスユーザは、今や、ユーザの物理的な環境からの実世界画像を、コンピュータによって生成された画像と組み合わせる拡張現実ソフトウェアアプリケーションのような、強力なソフトウェアアプリケーションを彼らのモバイルデバイス上で実行しうる。拡張現実アプリケーションは、アプリケーションのユーザを取り囲む自然界に、グラフィックス、サウンド、および/または触覚フィードバックを加えうる。ユーザの物理的な環境に存在する人間および/またはオブジェクトに関する情報は、ユーザが実世界の人間/オブジェクトの表現を見るおよび/またはそれらと対話することができるように、データベースから取り出されて電子ディスプレイ上でユーザに提示されうる。一例として、モバイルデバイス拡張現実アプリケーションは、モバイルデバイスユーザの視野内の建物の画像をキャプチャし、この建物を識別するために画像マッチングまたは他の動作を実行し、データベースから識別された建物に関連する情報を取り出し、ユーザが建物のコンテクスト内でこの情報を見ることができるように、取り出された情報を建物の画像上にオーバレイしうる。別の例として、モバイルデバイス拡張現実アプリケーションは、ユーザの近くにある人間の顔の存在を識別し、顔が検出された個人を識別するために顔認識動作を実行し、データベース(例えば、ローカルデータベース、インターネットなど)から識別された個人に関連付けられたアバター、ウェブサイト、または情報を取り出し、取り出された情報を検出された人間の顔に近接して表示しうる。これらの新しいモバイルデバイスの機能、能力、およびアプリケーション(例えば、拡張現実アプリケーション)は、消費者にとって有益でありうる一方で、それらはまた、ユーザを彼らのモバイルデバイスにより深く没頭させ、彼らの物理的な環境から彼らの注意をそらし、および/または彼らを実世界から隔離する潜在能力を有する。
【0013】
[0022] 様々な実施形態は、それらが実世界のシーン(すなわち、ユーザが眼鏡なしで見えるもの)に重ね合わさって見えるように、電子的またはコンピュータによって生成された画像を眼鏡上に表示することが可能なニアアイディスプレイを提供する。これは、ユーザが彼/彼女の通常の視点から目をそらす必要なく、ユーザが実世界のシーンのコンテクストにおいて生成された画像を見ることを可能にする。一実施形態では、ニアアイディスプレイは、著しい眼の疲れを引き起こすまたはユーザの周辺視野を遮ることなく、長時間の間、人間の眼の非常に近くに装着されうる軽量で目立たない眼鏡の光学レンズまたはコンタクトレンズに埋め込まれうる。眼鏡にニアアイディスプレイを埋め込むことは、従来のニアアイディスプレイおよびヘッドアップディスプレイにおいて使用される投影式および焦点距離の長いディスプレイの容積と重量を除去する。
【0014】
[0023] 一実施形態では、ニアアイディスプレイは、透過型ディスプレイおよび回折マイクロレンズアレイを含みうる。透過型ディスプレイは、透過型ディスプレイと回折マイクロレンズアレイの間の距離が、回折マイクロレンズアレイの焦点距離におよそ等しくなるように、回折マイクロレンズアレイの非常に近くに位置付けられうる。一実施形態では、透過型ディスプレイは、光がユーザから約250mmまたはそれ以上の距離を置いて生じるように見えるように、装着時に、表示画像がユーザの眼の網膜上にフォーカスするように、透過型ディスプレイから発せられた光の割合が、マイクロレンズアレイによって回折されて、平行にされる(collimated)ように、回折マイクロレンズアレイに相対的に位置付けられうる。また、透過型ディスプレイは、実世界のシーンからの光が、ユーザによってそれが見えるように、マイクロレンズアレイによる回折なしに、透過型ディスプレイの透明な部分を通過するように、回折マイクロレンズアレイに相対的に位置付けられうる。マイクロレンズアレイによって回折された実世界のシーンからの任意の光は、回折光がユーザの脳によって無視されるように、人間の眼の上でフォーカスが外れるようになる(rendered out of focus)。
【0015】
[0024] 一般に、人間の眼は、レンズ(lens)を通して人間の網膜における光受容細胞の集まり上に光線をフォーカスすることによって機能する。光をフォーカスすることは、眼の物理的な形状、したがって、レンズと網膜の間の距離を変化させる一連の筋肉を収縮または弛緩させることによって達成される。近くのオブジェクトにフォーカスするために、通常の人間の眼は、眼のレンズを膨らませるために様々な筋肉を収縮し、レンズと網膜の間の距離を低減させる。人間の眼がフォーカスすることができる最も近い距離は、10cm(若者)から50cm(高齢者)である。筋肉が弛緩されると、眼は引き伸ばされて(elongates)、眼は「無限遠にフォーカスされる(focused at infinity)」。人間の眼は、典型的に、光パブリケーション距離(light publication distance)(すなわち、生成された画像とユーザの眼の間の距離)が約2フィートである場合、無限遠にフォーカスされている。平均的な人間の眼は、近くのオブジェクトにフォーカスした場合よりも、無限遠にフォーカスした場合のほうが、はるかに快適であり、近くのオブジェクトに長時間フォーカスすることは、典型的に、眼の疲れを引き起こす。これらおよびその他の理由から、従来のディスプレイ技術および画像生成技法は、眼に極めて近接して(例えば、数インチ未満で)装着される、眼鏡のようなニアアイディスプレイにおける使用に適していない。
【0016】
[0025] 図1A図1Cは、人間の眼に極めて近接して電子画像を生成するように構成された先行技術の拡張現実眼鏡100の様々な構成要素を例示する。図1Aは、拡張現実眼鏡100が、フレーム102、2つの光学レンズ106、プロセッサ114、メモリ116およびプロジェクタ108を含みうること例示する。プロジェクタ108は、フレーム102のアーム部104に埋め込まれ、光学レンズ106上に画像を投影するように構成されうる。
【0017】
[0026] 図1Bは、拡張現実眼鏡100のアーム部104に埋め込まれうる典型的なプロジェクタ108の実例的な構成要素を例示する。プロジェクタ108は、プロセッサ114に情報を送るおよび/またはプロセッサ114から情報を受信するための通信回路130、発光ダイオード(LED)モジュール132、光トンネル134、均質化レンズ(homogenizing lens)136、光学ディスプレイ138、折り返しミラー(fold mirror)140、および先行技術のプロジェクタに一般的に含まれるその他の周知の構成要素を含みうる。簡潔に言うと、LEDモジュール132は、光学ディスプレイ138に向かって偏向される前に、光トンネル134および均質化レンズ136を通って進む光ビームを生成する。光学ディスプレイ138は、画像を生成するために、受信された光ビームを他の光ビーム(例えば、他の色)と組み合わせる。生成された画像は、折り返しミラー140で反射され、コリメータおよび/またはリレーイメージングシステム(relay imaging system)を通って、拡張現実眼鏡100の光学レンズ106上に至る。
【0018】
[0027] 光学レンズ106とユーザの眼のレンズの間の比較的短い距離により、リレーイメージングシステムは、あらゆる年齢のユーザが生成された画像にフォーカスすることができるように、生成された画像とユーザの眼の間の距離(すなわち、光パブリケーション距離)を50cmよりも大きな距離に拡張しなければならない。
【0019】
[0028] 図1Cは、先行技術の拡張現実眼鏡100の光学レンズ106上に画像を表示するのに適したリレーイメージングシステム160の構成要素を例示する。リレーイメージングシステム160は、ユーザが生成された画像にフォーカスすることができるように、生成された画像とユーザの眼の間の距離を拡張する。図1Cに例示される例において、リレーイメージングシステム160は、第1のレンズ164と、第2のレンズ166と、導波管(waveguide)168とを有する複合光学レンズ162を含む。導波管168は、複数の反射部170および透明部172を含む。光学ディスプレイ138からの光ビームは、導波管168の反射部170上に光ビームの幅を狭めてフォーカスするコリメータ174を介して、複合レンズ162に入る。これら光ビームは、それらが導波管168の透明部172に到達するまで、反射部170に反射する(bounce off)。これら光ビームは、透明部172を通過し、第1のレンズ164を通って、眼のレンズ180上に至り、拡張現実眼鏡100のユーザの網膜182上にフォーカスされる。
【0020】
[0029] 上述されたように、人間の眼は、典型的に、光パブリケーション距離が約2フィートである場合、無限遠にフォーカスされている。リレー光学系(relay optics)を使用してこの距離を達成することは、しばしば、眼鏡が、装着するのに快適でない、目立つ、恰好が悪い、重い、およびその他の点で消費者にとって魅力がないようにする、かさばるレンズ(bulky lens)を必要とする。さらに、リレー光学系は、典型的に、実世界のシーンからの著しい量の入射光を遮り、これは、ユーザの周辺視野を低減させる、および/または、ユーザを彼/彼女の自然環境から隔離しうる。加えて、実世界のシーンからの著しい量の入射光を遮ることによって、既存の拡張現実解決策は、生成された画像と実世界のシーンとの間のシームレス統合(seamless integration)を提供しない。
【0021】
[0030] 投影された画像を実世界のシーンと統合するための別の既知の技術が、ヘッドアップディスプレイである。図2は、ユーザが彼または彼女の通常の視点から目をそらす必要なくユーザに情報を提示するように構成された従来のヘッドアップディスプレイ上に電子的に生成された画像を表示するための実例的なイメージングシステム200を例示する。図2は、プロジェクタ108から発せられた光202が、光学レンズまたはウインドシールド206の1つまたは複数の鏡面加工されたまたは半透明な部分204に反射されて、ユーザ/ユーザの眼のレンズ180上に至りうることを例示する。実世界のシーンからの光210は、光学レンズ/ウインドシールド206の鏡面加工されていない部分を通過して、ユーザの眼のレンズ180に到達しうる。
【0022】
[0031] イメージングシステム200が、自動車および航空機において使用されるもののような、従来のヘッドアップディスプレイシステムにおいてインプリメントされる場合、プロジェクタ108上に表示される画像は、ユーザが、生成された画像にフォーカスすることができる(例えば、ユーザの眼が無限遠にフォーカスしたままであることができる)ように、ユーザの眼から著しい距離(例えば、2フィート以上)を置いて位置しなければならない。したがって、既存のヘッドアップディスプレイ解決策および技術は、ユーザの眼に極めて近接して装着される眼鏡およびコンタクトレンズなどのニアアイディスプレイにおけるインプリメンテーションに適していない。
【0023】
[0032] 拡張現実眼鏡のケースでは、生成された画像を光学レンズのガラス表面上に直接投影することは、網膜上に画像を形成せず、再イメージングレンズ(re-imaging lenses)の使用は、実世界のシーンがこのレンズによって歪められることを引き起こす。生成された画像が眼鏡のサイド(side)に投影される場合、実世界のシーンからの光210とプロジェクタからの光202は、ユーザの網膜上で重なり合わない。さらに、プロジェクタからの画像は、彼/彼女の眼が実世界のシーンにフォーカスしている場合、ユーザの眼の視野内にないことがありうる(その逆も同様)。これらおよびその他の理由から、ニアアイディスプレイにおいてイメージングシステム200をインプリメントすることは、実世界のシーンと生成された画像との間のシームレス統合を提供しない。
【0024】
[0033] 上述された既存の解決策の制限に加えて、上記に説明されたリレーイメージングシステムは、プロジェクタ108から発せられた光202が光学レンズ/ウインドシールド162、206の反射部分170、204に反射されうるように、プロジェクタ108が光学レンズ/ウインドシールド162、206の内部またはその内に位置付けられることを必要とする。拡張現実眼鏡のケースでは、これは、典型的には、フレーム102内にプロジェクタ180を位置付けることによって達成され、これは、フレーム102が、快適でない、目立つ、恰好が悪い、重い、およびその他の点で魅力がないと消費者が認めうる、厚い、重い、および/またはかさばる材料で作られることを必要とする。これらおよびその他の理由から、既存の仮想/拡張現実システムおよびニアアイディスプレイ解決策は、ニアアイディスプレイにおける使用に適していない、および/または、消費者にとって魅力がない。
【0025】
[0034] 様々な実施形態は、著しい眼の疲れを引き起こすまたは周辺視野を遮ることなく、ユーザが実世界のシーンのコンテクストにおいて生成された画像を見るように、実世界のシーン(すなわち、ユーザがディスプレイなしで見えるもの)を、電子的またはコンピュータによって生成された画像と組み合わせることが可能なニアアイディスプレイを提供する。様々な実施形態は、先行技術の解決策で必要とされるかさばるリレー光学系なしに、生成された画像を無限遠にリレー(relaying)することによって、人間の眼が、実世界画像と生成された画像の両方に同時にフォーカスすることを可能にするニアアイディスプレイシステムを提供する。様々な実施形態は、眼の疲れの一因となることのない、またはユーザの注意をそらす/隔離を引き起こすことのない方法において、実世界のシーンと生成された画像とをシームレスに統合する。
【0026】
[0035] 図3Aは、眼鏡306の形状をした一実施形態のニアアイディスプレイシステム300の構成要素を例示する。眼鏡306は、縁なし、ワイヤフレーム、プラスチックフレーム、角縁、ブロウライン(browline)、鼻眼鏡(pince-nez)、安全眼鏡、サングラス、または、現在利用可能であるまたは将来において開発されうるその他任意のタイプのアイウェアまたは眼鏡でありうる。図3Aに例示される例では、眼鏡306は、ユーザの眼の前方において光学レンズ304をサポートするためのフレーム306を含む。フレーム306は、ユーザの眼の前方において光学レンズ304をサポートするのに適した軽量な材料(例えば、ポリマ、合金、金属、木材など)から構成されうる。光学レンズ304は、処方レンズ、非処方レンズ、視力矯正レンズ、拡大レンズ、偏光レンズ、暗いレンズ(darkened lenses)、フォトクロミックレンズ、または単なる一片の透明なガラスまたはプラスチック基板、または、現在利用可能であるまたは将来において開発されうるその他任意のタイプの眼鏡レンズでありうる。
【0027】
[0036] 光学レンズ304は、ニアアイディスプレイ302を含みうる。ニアアイディスプレイ302は、透過型ディスプレイ308および回折マイクロレンズアレイ310を含みうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、実世界のシーンからの入射光が、ユーザの眼のレンズ180に到達する前に、透過型ディスプレイ308とマイクロレンズアレイ310とを通過するように、光学レンズ304に埋め込まれるまたはそれに取り付けられうる。
【0028】
[0037] 様々な実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、2つの基板層314および/または透過型ディスプレイ308と回折マイクロレンズアレイ310の間に位置付けられたスペーサ(spacer)312を含みうる。基板層314は、ガラス、プラスチック、または当該技術分野において既知であるその他任意の適切な透明または半透明な基板でありうる。スペーサ312は、個体スペーサ(例えば、ガラス、プラスチックなど)、液体スペーサ(例えば、液晶など)、または気体スペーサ(例えば、空気、酸化チタンなど)でありうる。
【0029】
[0038] 様々な実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、スペーサ312が、二百(200)マイクロメータ、百(100)マイクロメータ、十(10)マイクロメータなどの厚みを有するように構築されうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、約1ミリメータ以下の総厚みを有するように構築されうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、透過型ディスプレイ308と回折マイクロレンズアレイ310の間の距離が、回折マイクロレンズアレイ310の焦点距離におよそ等しくなるように構築されうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、マイクロレンズアレイ310における各マイクロレンズが、1画素とおよそ同じサイズになるように構築されうる。
【0030】
[0039] マイクロレンズアレイ310は、位相プロファイルおよび回折効率を有する、部分的に回折性でありかつ部分的に透明な回折光学素子(DOE)でありうる。一実施形態では、マイクロレンズアレイ310は、約50%の回折効率を有するように構築されうる。一実施形態では、マイクロレンズアレイ310は、実世界のシーンからの光のおよそ50%が、マイクロレンズの影響を受けず、他のおよそ50%の光がフォーカスされて、ユーザの眼のレンズから約250mmまたはそれ以上の距離を置いて透過型ディスプレイ308の仮想画像を形成するように、構築されうる。一実施形態では、マイクロレンズアレイ310の回折効率は、マイクロレンズアレイ310の位相プロファイルに比例しうる。
【0031】
[0040] 透過型ディスプレイ308は、透明または半透明であるおよび/または照明源として周辺光(ambient light)を使用する任意の電子視覚ディスプレイでありうる。透過型ディスプレイ308は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED:surface-conduction electron-emitter displays)、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ、光ルミネセンスディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)、ナノチューブ電界効果ディスプレイ、マイクロミラーディスプレイ、微小電気機械(MEM)ディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、電気泳動ディスプレイに関連する技術、および/または、現在利用可能であるまたは将来において開発されうる他の同様のディスプレイ技術を含む、任意またはすべての様々な商業的に利用可能なディスプレイまたはディスプレイ技術を含むまたは利用しうる。
【0032】
[0041] 一実施形態では、透過型ディスプレイ308は、透過型または部分透過型の液晶ディスプレイでありうる。簡潔に言うと、液晶ディスプレイ(LCD)は、電界が印可された場合に、その光の反射率および/または透過率が変化する、液晶の光変調特性を使用する電子ディスプレイである。液晶は、透明または半透明な液晶ディスプレイデバイス内で画素を形成するように配列(arranged)されうる。液晶ディスプレイは、一般に、光を生成せず、可視画像を生成するために周辺光または光源からの照明を必要とする。一実施形態では、透過型ディスプレイ308は、周辺光から可視画像を生成する液晶ディスプレイでありうる。
【0033】
[0042] 図3Bは、眼鏡中に含めるのに適した一実施形態のニアアイディスプレイシステム350の構成要素を例示する。ニアアイディスプレイシステム350は、透過型ディスプレイ308、回折マイクロレンズアレイ310、2つの基板層314、およびスペーサ312を含みうる。透過型ディスプレイ308は、基板のサイドから基板314に結合された光源(例えば、LED)を含むフロントライト照明器352によって照明されうる。光は、全反射(total internal reflection)を通じて基板314の内部を伝搬することができ、基板314の表面のうちの1つの上に分布された小さな反射器を通じてLCDに向かって反射されることができる。小さな反射器の分布は、LCD上に均一および効率的な照明を提供するように設計されうる。
【0034】
[0043] 様々な実施形態では、透過型ディスプレイ308は、フロントライトを含まない液晶ディスプレイ、部分的なフロントライトを含む液晶ディスプレイ、または前面基板から液晶ディスプレイを照明するフロントライトを含む液晶ディスプレイでありうる。
【0035】
[0044] 一実施形態では、透過型ディスプレイ308は、液晶ディスプレイ上に可視画像を生成するためなどに、照明源として発光ダイオード(LED)を使用する電子ディスプレイでありうる。実施形態では、透過型ディスプレイ308は、部分透過型LEDディスプレイでありうる。
【0036】
[0045] 発光ダイオードは、可視画像を生成するために、および/またはディスプレイデバイス上のフロントライトとして使用されうる半導体光源である。発光ダイオードは、典型的に、p−n接合を作成するために、不純物を添加された半導体材料を含む。電子および正孔(すなわち、電荷担体)は、電圧または電流が発光ダイオードに印可された場合、電極(すなわち、陽極および陰極)からp−n接合へと流れる。電子が正孔を満たす(meets a hole)と、それは、光子の放出を通じてエネルギを解放し、可視光を生成する。
【0037】
[0046] 一実施形態では、透過型ディスプレイ308は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイでありうる。従来の発光ダイオードでは、半導体材料は、典型的に、様々な無機材料(例えば、InGaN、GaP、GaN、リン光体など)から形成される。有機発光ダイオード(OLED)は、有機半導体材料が2つの電極(すなわち、陽極および陰極)の間に位置する発光ダイオードであり、これらのすべては、基板(例えば、ガラス、プラスチック、金属の薄片など)の上に配置されうる。OLEDディスプレイは、バックライトを必要とせず、可視画像を生成していないとき(例えば、オフにされたとき)は、完全に透明である、または半透明であることができ、著しい量の電力を消費しない。OLEDは、様々な基板でプリントされることができ、液晶ディスプレイ技術と併せて、またはそれとは独立して使用されることができる。
【0038】
[0047] 参照しやすいように、本願の全体を通して、液晶ディスプレイ(LCD)は、透過型ディスプレイ408によって使用される例示的な技術として使用される。しかしながら、本願におけるLCD用語の使用は、例示目的のみのためのものであり、請求項によって明記されていない限り、特許請求の範囲を特定の技術に限定するようには解釈されるべきでないことに留意されたい。
【0039】
[0048] 図4図7は、人間の網膜上に、実世界のシーンからの光と、電子ディスプレイから生成された光とを同時にフォーカスするように構成された一実施形態のニアアイディスプレイ400における光路を例示する。図4図7に例示される例では、ニアアイディスプレイ400は、透過型ディスプレイ308、スペーサ312、および回折マイクロレンズアレイ310を含む。マイクロレンズアレイ310は、レンズ効果光線路(lensing ray path)への入射光の割合(例えば、約50%など)を回折するように構築された、部分的に回折性でありかつ部分的に透明な回折光学素子(DOE)でありうる。
【0040】
[0049] 一実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、透過型ディスプレイ308と回折マイクロレンズアレイ310の間の距離が、回折マイクロレンズアレイ310の焦点距離におよそ等しくなるように形成されうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ400は、各画素(または画素のグループ)410から発せられた光のおよそ五十(50)パーセントが、回折および平行にされて、網膜182上にフォーカスするように構築されうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ302は、網膜182上にフォーカスされる光の割合が、マイクロレンズアレイ310の回折効率に比例するように構築されうる。
【0041】
[0050] 図4は、実世界のシーンからの光412が、マイクロレンズアレイ310へと、透過型ディスプレイ308の透明な部分を変化なく通過することを例示する。透過型ディスプレイ308の透明な部分を変化なく通過する実世界のシーンからの光412の第1の割合(例えば、50%)は、マイクロレンズアレイ310によって回折され、実世界のシーンからの光412の第2の割合(例えば、50%)は、マイクロレンズアレイ310によって回折されない。ニアアイディスプレイ400は、回折光416が、網膜上からフォーカスが外れ、人間の網膜182によって散乱光または背景ノイズとして無視されるように構築されうる。マイクロレンズアレイ310によって回折されていない実世界のシーンからの光412(すなわち、非回折光406)は、通常の方法で網膜182上に眼のレンズによってフォーカスされる。
【0042】
[0051] LCDが透過型ディスプレイ308として使用され、周辺光が照明源として使用される場合、オフ状態の画素は、透明であることができ、一方、オン状態の画素は、ディスプレイを通過する周辺光を遮る、または部分的に遮ることができる。この配列では、情報を表示しないLCD画素の大部分は、透明であり、実世界のシーンが装着者に見えることを可能にし、一方、少量の画素は、シーンについての情報(例えば、地図の方向(map direction)など)を提供するために、実世界のシーンにマージ(merged)されているように見える画像(例えば、テキストなど)を表示する。
【0043】
[0052] 図5は、透過型ディスプレイ308の照明源(例えば、LEDなど)に電力が供給される、および/または、画素410がオンにされたとき、光がLEDから発せられる、またはLCDを通じて低減された光(reduced light through LCD)が、透過型ディスプレイ308における画素410を通ってマイクロレンズアレイ310へと進むことを例示する。透過型ディスプレイ308から発せられた光408の第1の割合(例えば、約50%)は、マイクロレンズアレイ310によって回折され(すなわち、回折光404)、透過型ディスプレイ308から発せられた光408の第2の割合(例えば、約50%)は、マイクロレンズアレイ310によって回折されない(すなわち、非回折光405)。ニアアイディスプレイ400は、回折光404が平行にされて、その後、眼のレンズ180によって網膜182上にフォーカスされ、また、非回折光405が、フォーカスを外れて通過し、その結果、それが人間の網膜182によって散乱光または背景ノイズとして無視されるように構築されうる。これは、透過型ディスプレイ308と回折マイクロレンズアレイ310の間の距離が、回折マイクロレンズアレイ310の焦点距離におよそ等しくなるように、ニアアイディスプレイ302を形成することによって達成されうる。
【0044】
[0053] 図6は、実世界のシーンからの非回折光406と透過型ディスプレイ308からの回折光404が、人間の網膜182上に同時にフォーカスされうることを例示する。上述されたように、透過型ディスプレイ308の透明な部分を変化なく通過し、かつマイクロレンズアレイ310によって回折されていない実世界のシーンからの光412(すなわち、非回折光406)は、光源が無限遠にあるので、自然に平行にされ、その後、それは、通常の方法で目のレンズ180によって網膜182上にフォーカスされる。上述されたように、ニアアイディスプレイ400は、透過型ディスプレイ308から発せられ、かつマイクロレンズアレイ310によって回折された光408(すなわち、回折光404)が、マイクロレンズ310によって平行にされ、その後、眼のレンズ180によって網膜182上にフォーカスされるように構築されうる。一実施形態では、ニアアイディスプレイ400は、表示画素が眼から約250mmまたはそれ以上の距離を置いて仮想画像を形成することを可能にする方法で、透過型ディスプレイ308から発せられ、かつマイクロレンズアレイ310によって回折された光408が、網膜182上にフォーカスされるように構築されうる。
【0045】
[0054] 図7は、実世界のシーンからの回折光416および透過型ディスプレイ308からの非回折光405が、網膜182上にフォーカスされない、および/または、散乱光または背景ノイズとして人間の脳によって無視されることを例示する。すなわち、透過型ディスプレイ308と回折マイクロレンズアレイ310の間の距離(例えば、回折マイクロレンズアレイ310の焦点距離におよそ等しい)により、回折光416は、それが背景ノイズとして網膜によって無視されうるように、回折されてフォーカスが外れる(diffracted out of focus)。同様に、透過型ディスプレイ308が眼のレンズ180に極めて近接していることにより、透過型ディスプレイ308から生じる非回折光405もまた、フォーカスが外れ、および/または、背景ノイズとして網膜182によって無視される。
【0046】
[0055] 様々な実施形態では、マイクロレンズアレイ310の回折効率は、特定の位相プロファイルおよび/または様々な深度を有する複数の偏差(deviation)を有するようにマイクロレンズアレイ310を形成することによって制御されることができ、その周波数およびサイズは、回折されるおよび/または網膜182上にフォーカスされる光の割合を制御することができる。一実施形態では、マイクロレンズアレイ410は、表示画素が眼から約250mmまたはそれ以上の距離を置いて仮想画像を形成することを可能にする方法で、表示画素からの光の他の約50パーセントが、ほぼ平行にされるように形づくれられうる。
【0047】
[0056] 一実施形態では、マイクロレンズアレイ310は、シリコンチップ製造において使用されるのと同様の、リソグラフィック法(lithographic methods)を使用して、ガラス基板上に構築されうる。この実施形態では、非常に小さなレンズが、ガラスの表面上に位相プロファイルを転写(transfer)するために、エッチングのような、サブトラクティブプロセスによって後続されるフォトリソグラフィを使用した選択エッチングによって、ガラス基板において形成されうる。フォトリソグラフィック技法は、マイクロレンズアレイ310のごく小さなレンズ構造を形成するために使用されうる。レンズ構造は、各レンズの表面積のおよそ50%をカバーする複数の小さなレンズを含むことができ、一方、表面積の残りは、光が回折されずにレンズを通過することを可能するように形成されることができる。
【0048】
[0057] 一実施形態では、フォトリソグラフィック技法によって構築されたマイクロレンズアレイのマイクロ構造は、各レンズの表面積のおよそ100%をカバーすることができ、一方、各レンズの回折効率は、約50%である。この配列では、入射光の50%が回折され、また、入射光の50%が回折されない。このように、表示画素からの光の50%と実世界のシーンからの光の50%とが、同時に網膜上にフォーカスされる。
【0049】
[0058] 一実施形態では、マイクロレンズおよび/またはマイクロレンズアレイ310は、ホログラフィック法を使用して構築されうる。マイクロレンズおよび/またはマイクロレンズアレイ310は、隣接するレンズ間の画像クロストークを除去しながら、網膜上に電子画像をフォーカスするように構築された体積ホログラフィックマイクロレンズ(volume holographic micro-lenses)を含みうる。例えば、体積ホログラフィックマイクロレンズは、マイクロマイクロレンズアレイにおけるそれらの対をなすレンズ素子(companion lens element)に関連付けられた画素からの光のみが回折されるように、および、近隣の画素からの光が、ブラッグ条件を満たさず、回折されないように、構築されうる。
【0050】
[0059] 一実施形態では、マイクロレンズアレイ310は、2つの波のコヒーレント干渉を通じてホログラフィック記録方法を介して構築されるホログラフィックマイクロレンズアレイでありうる。一実施形態では、ホログラフィックマイクロレンズアレイ310は、ホログラフィック媒体、例えば、光学式回折性光学素子(optic diffractive optical element)を生成するための感光性樹脂膜上にホログラムを記録することによって構築されうる。ホログラフィックマイクロレンズアレイ310の回折効率は、精密な屈折率変調を達成するために、感光性樹脂の露光時間を変化させることによって制御されうる。ホログラフィックマイクロレンズは、透過型ディスプレイ308の背面(back)に適用されうる感光性樹脂膜上に構築されうる。一実施形態では、感光性樹脂膜は、厚さにおいて約10マイクロメートルと約30マイクロメートルの間になりうる。一実施形態では、感光性樹脂膜は、厚さにおいて約10マイクロメートル未満になりうる。
【0051】
[0060] 図8は、一実施形態のニアアイディスプレイにおける使用に適した回折パターンを有するホログラフィック記録マイクロレンズアレイ(recording holographic micro-lens array)802の例示である。ホログラフィックマイクロレンズアレイ802は、2つの経路をたどるレーザーからの光を用いて写真フィルム804を露光することによって構築されることができ、一方の経路は、透過型ディスプレイが写真フィルム804に相対するであろう所に位置付けられたポイントから発せられ、他方の経路は、ホログラフィックマイクロレンズアレイから距離において250mmを超えるソース(例えば、実世界のシーン)からのものである。ホログラフィックマイクロレンズアレイ802は、これらの2つのソース(すなわち、透過型ディスプレイとソース)からの光波が、回折パターンを形成するように構築されることができ、それは、写真フィルムに記録されるとき、ホログラフィックマイクロレンズアレイ802の形においてホログラフィック光学素子を生成する。
【0052】
[0061] 一実施形態では、マイクロレンズアレイ310は、ホログラフィックプリント技法を用いて構築されうる。ホログラフィックプリンタは、図8に図示される2つの波の干渉に対応する干渉縞パターンを計算することができ、露光後に屈折率を変化させる感光材料にフォーカスされたビーム(または、複数のビーム)を用いて縞を書き込む。
【0053】
[0062] 図9は、ホログラム802の近くの記録波のフォーカスまたは焦点において位置する表示画素410からの光が、写真フィルム802に当たった場合、ホログラフィックマイクロレンズアレイ802は、画像が眼のレンズ180から250mmを超えてように見えるように、および/または、眼が無限遠にフォーカスしながら画像を見ることができるように、画素410の仮想画像を形成することができることを例示する。
【0054】
[0063] マイクロレンズアレイとして体積ホログラムを含むことの1つの利点は、近隣の画素からの光がブラッグミスマッチにより仮想画像波を再構成することができないので、画素クロストークを除去するその能力である。回折光学レンズは、網膜上の画像品質に影響を及ぼす色収差に関連付けられうる。収差は、(固定されたFナンバーで)レンズ焦点距離に線形的に比例する(linearly proportional)ので、レンズサイズが小さい場合、収差は著しく低減されうる。
【0055】
[0064] 様々な実施形態では、ホログラフィックマイクロレンズアレイ802は、狭帯域応答を有する回折光学レンズであることができ、これは、色修正を除去することができる。一実施形態では、マイクロレンズアレイは、狭スペクトル帯域からの光が、ホログラムを「見て(sees)」、網膜上にシャープな画像を形成するために回折され、一方で、スペクトル帯域外の光は、ホログラムを「見る」ことなく、影響を受けないように、十分に狭い帯域の回折レンズを含むように構築されうる。このような回折レンズは、体積ホログラムとして作られうる。
【0056】
[0065] 様々な実施形態では、ニアアイディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)システム(例えば、ヘルメット、眼鏡など)の一部として含まれることができ、これは、単一のデバイス(例えば、眼鏡)内にプロセッサ、メモリ、ディスプレイおよび/またはカメラを含むことができ、または、モバイルデバイスプロセッサ(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、スマートフォンなどのプロセッサ)への付属品として動作するように構成されることができる。
【0057】
[0066] 図10は、一実施形態のヘッドマウントディスプレイ(HMD)システム1000の実例的な構成要素を例示する。ヘッドマウントディスプレイシステム1000は、モバイルデバイス1020の付属品として動作するように構成された眼鏡1010を含む。眼鏡1010は、ニアアイディスプレイ302を有する光学レンズ1002と、モバイルデバイス1020へ情報を送るおよび/またはモバイルデバイス1020から情報を受信するための、ワイヤレス無線機1004および/またはワイヤレスインタフェースおよび/または回路とを含みうる。ニアアイディスプレイシステム1000はまた、カメラ、マイクロフォン、視標追跡構成要素、加速度計、ジャイロスコープ、磁気センサ、光学センサ、機械または電子レベルのセンサ、慣性センサ、電子コンパス、および最近のモバイル電子デバイスに含まれうるその他の既知のセンサなどの、1つまたは複数のセンサ1006を含みうる。センサ1006から収集された情報は、ワイヤレス無線機1004を介して眼鏡1010に結合されたモバイルデバイス1020に送信されうる。
【0058】
[0067] 様々な実施形態では、センサ1006は、ユーザの環境(例えば、部屋など)からの情報(例えば、光、オブジェクトのロケーションなど)をスキャンするまたは収集するための1つまたは複数のセンサ、ユーザの環境に存在する様々なオブジェクトまでの距離を測定するように構成された距離測定センサ(例えば、レーザーまたは音波距離計)、ユーザ入力を検出するためのセンサ、(例えば、重力の向きを感知することによって)ニアアイディスプレイ302の上/下/水平の向き(the up/down/level orientation)に関する情報、ユーザの頭の位置/向き(およびその視視点(viewing perspective)からのもの)、および/または、左/右の向きおよび動きに関する情報を収集するように構成されたセンサを含みうる。一実施形態では、センサ1006は、モバイルデバイス1020によって認識されたときに、デバイスに特定のまたは対応するコマンドまたは動作を実行させうる、発話音声コマンド、ジェスチャ(例えば、手の動き)、眼の動き、およびその他の形態の入力などの、ユーザ入力を検出するように構成された1つまたは複数のセンサを含みうる。
【0059】
[0068] 一実施形態では、センサ1006は、ニアアイディスプレイ302に相対するユーザの眼のロケーションを追跡するように構成された視標追跡構成要素を含みうる。視標追跡構成要素は、モバイルデバイスプロセッサ1012が、ユーザの眼のポジションに相対して、および/または、ユーザの視線において存在する実世界画像に基づいて、ニアアイディスプレイ302上に表示するための画像を生成しうるように、モバイルデバイス1020と通信しうる。視標追跡構成要素はまた、ユーザ入力のソースとして、眼の動き(まばたき、左の動き、右の動き、上の動き、下の動きなど)を検出することができ、モバイルデバイス1020に検出されたユーザ入力を通信する。一実施形態では、視標追跡構成要素は、ユーザの眼の画像を取得し、眼窩内の瞳孔のロケーションを決定するように構成されうる。
【0060】
[0069] 一実施形態では、センサ1006は、音声ユーザ入力またはコマンドをキャプチャするためのマイクロフォンを含むことができ、それは、ワイヤレス無線機1004を介してモバイルデバイス1020に通信されることができる。プロセッサ1012は、マイクロフォンからオーディオ信号を受信して、音声認識プロセス/技法を使用して、受信されたオーディオ信号を処理しうる。一実施形態では、プロセッサ1012は、発話コマンドを認識するために、メモリに記憶された1つまたは複数のコマンドのオーディオパターンと、受信されたオーディオ信号を比較するように構成されうる。例えば、プロセッサ1012は、少数の所定のコマンドワードについてオーディオ入力を監視するように構成されうる。プロセッサ1012は、それが所定の注意コマンド(attention command)(例えば、「コンピュータ」または「実行」など)によって進められるコマンド、または特定の所定のオーディオコマンドのみに応答するように、受信されたオーディオに検出されたアルゴリズムを適用するように構成されうる。プロセッサ1012は、コマンド入力としてこれらの発話ワードを認識し、ニアアイディスプレイ302上に表示される画像を更新するために対応する動作をインプリメントするように構成されうる。
【0061】
[0070] 一実施形態では、ヘッドマウントディスプレイシステム1000の主処理は、モバイルデバイス1020のプロセッサ1012上で実行されうる。一実施形態では、プロセッサ1012は、(例えば、立体画像の三角法分析(trigonometric analysis)を介して)オブジェクトまでの距離を推定するためにセンサ1006(例えば、カメラ)によってキャプチャされた画像を分析する、顔認識動作を実行する、ロゴを識別する、キーワードまたはピクチャサーチを実行するなど、様々な画像処理およびデータ分析動作を実行するように構成されうる。
【0062】
[0071] 一実施形態では、プロセッサ1012は、ニアアイディスプレイ302上に表示するための仮想オブジェクトを生成するように構成されうる。プロセッサ1012は、仮想オブジェクトの表示ロケーションに対応する、センサ1006についての距離および向きを含む、ディスプレイ関連パラメータを計算するように構成されうる。仮想オブジェクトは、例えば、テキスト、グラフィックス、画像および3D形状を含む、任意の仮想オブジェクトでありうる。ニアアイディスプレイ302上に提示されるとき、仮想オブジェクトは、拡張現実の体験を作り出す、および/または、仮想オブジェクトとのユーザの対話を可能にするために、周辺環境内の指定されたロケーションにおいて/指定されたロケーション上に位置付けられうる。センサ1006は、ジェスチャ制御、タッチ操作、仮想オブジェクトの部分をハイライトすることなどを介して、仮想オブジェクトおよびデジタル資産(例えば、文書、写真、ビデオなど)との自然な対話を可能にしうる。認識可能なジェスチャは、ジェスチャを認識するために動きデータまたはパターンを記憶するジェスチャ辞書の形で記憶または編成されることができ、突く、軽くたたく(pat)、タップする(tap)、押す、ガイドする、フリックする、回る、回転する、つかむおよび引っぱる、画像をパンするための手のひらが開いた2つの手(two hands with palms open for panning images)、描く(例えば、フィンガーペインティング)、指で形を形成する(例えば、「OK」サイン)、およびスワイプすることを含み、これらのすべては、生成されたディスプレイにおける仮想オブジェクトの外見上のロケーション(apparent location)の(ユーザに関する)方向をアドレッシング(addressing)して、その極めて近接において、またはその上で達成されうる。
【0063】
[0072] 図11は、任意の実施形態とともに使用するのに適したモバイルデバイスのシステムブロック図である。典型的なモバイルデバイス1100は、内部メモリ1102と、ディスプレイ1103と、スピーカ1154とに結合されたプロセッサ1101を含みうる。さらに、モバイルデバイス1100は、ワイヤレスデータリンクに接続されうる電磁放射を送受信するためのアンテナ1104、および/またはプロセッサ1101に結合されたセルラ電話トランシーバ1105、およびプロセッサ1101に結合されたモバイルマルチメディアブロードキャスト受信機1106を含みうる。モバイルデバイス1100は、典型的に、ユーザ入力を受信するためのメニュー選択ボタンまたはロッカースイッチ1108も含む。
【0064】
[0073] プロセッサ1101は、上記に説明された様々な実施形態の機能を含む、様々な機能を実行するようにソフトウェア命令(アプリケーション)によって構成されうる、任意のプログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータまたはマルチプルプロセッサのチップまたは複数のチップでありうる。いくつかのデバイスでは、ワイヤレス通信機能専用の1つのプロセッサおよび他のアプリケーションを走らせること専用の1つのプロセッサのような、複数のプロセッサ1101が提供されうる。典型的に、ソフトウェアアプリケーションは、それらがアクセスされて、プロセッサ1101へロードされる前に、内部メモリ1102に記憶されうる。プロセッサ1101は、アプリケーションソフトウェア命令を記憶するのに十分な内部メモリを含みうる。多くのデバイスにおいて、内部メモリは、揮発性メモリ、またはフラッシュメモリのような不揮発性メモリ、または両方の混合でありうる。この説明の目的として、メモリへの一般的な参照は、内部メモリまたはデバイスに差し込まれたリムーバブルメモリおよびプロセッサ1101自体の内部のメモリを含む、プロセッサ1101によってアクセス可能なメモリを指す。
【0065】
[0074] 前述の方法の説明およびプロセスフロー図は、単に、例示的な例として提供されており、様々な実施形態のステップが提示された順序で実行されなければならないことを必要とするまたは暗示することを意図したものではない。当業者によって理解されるように、前述の実施形態におけるステップの順序は、任意の順序で実行されうる。「その後(thereafter)」、「次いで(then)」「次に(next)」などの用語は、ステップの順序を限定することを意図したものではなく、これらの用語は、単に、方法の説明を通じて読者を導くために使用される。さらに、例えば、「a」、「an」、または「the」という冠詞を使用した単数形の請求項の要素への任意の参照は、その要素を単数形に限定するものとして解釈されるべきではない。
【0066】
[0075] 本明細書で開示された実施形態に関連して説明された様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとしてインプリメントされうる。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に例示するために、様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、概してそれらの機能の観点から上記に説明された。このような機能が、ハードウェアとしてインプリメントされるか、あるいはソフトウェアとしてインプリメントされるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられる設計制約に依存する。当業者は、説明された機能を特定のアプリケーションごとに様々な方法でインプリメントしうるが、このようなインプリメンテーションの決定は、本発明の範囲からの逸脱を生じるものと解釈されるべきではない。
【0067】
[0076] 本明細書で開示された実施形態に関して説明された様々な例示的な論理、論理ブロック、モジュール、および回路をインプリメントするために使用されるハードウェアは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタロジック、個別ハードウェア構成要素、あるいは本明細書で説明された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを用いてインプリメントまたは実行されうる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサでありうるが、代替として、このプロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシン(state machine)でありうる。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいはその他任意のこのような構成として実装されうる。代替として、いくつかのステップまたは方法は、所与の機能に特有の回路によって実行されうる。
【0068】
[0077] 1つまたは複数の典型的な態様では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの任意の組み合わせでインプリメントされうる。ソフトウェアでインプリメントされる場合、これら機能は、非一時的なコンピュータ可読媒体または非一時的なプロセッサ可読媒体上で、1つまたは複数の命令またはコードとして記憶されうる。本明細書で開示される方法またはアルゴリズムのステップは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体またはプロセッサ可読記憶媒体上に存在しうるプロセッサ実行可能なソフトウェアモジュールで具現化されうる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体またはプロセッサ可読記憶媒体は、コンピュータまたはプロセッサによってアクセスされうる任意の記憶媒体でありうる。限定ではなく例として、このような非一時的なコンピュータ可読媒体またはプロセッサ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、フラッシュメモリ、CD−ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは、命令またはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを記憶するために使用されることができ、かつコンピュータによってアクセスされることができる任意の他の媒体を含むことができる。ここで使用される場合、ディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多目的ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイ(登録商標)ディスクを含み、ここで、ディスク(disks)は、通常磁気的にデータを再生し、一方ディスク(discs)は、レーザーを用いて光学的にデータを再生する。上記の組み合わせもまた、非一時的なコンピュータ可読媒体およびプロセッサ可読媒体の範囲内に含まれる。さらに、方法またはアルゴリズムの動作は、コンピュータプログラム製品に組み込まれうる、非一時的なプロセッサ可読媒体および/またはコンピュータ可読媒体上のコードおよび/または命令の1つ、または任意の組み合わせ、またはそのセットとして存在しうる。
【0069】
[0078] 開示された実施形態の上記説明は、いかなる当業者であっても、本発明の製造または使用を可能にするように提供される。これら実施形態への様々な修正は、当業者にとって容易に明らかとなり、本明細書で定義された一般的な原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されうる。したがって、本発明は、本明細書に示された実施形態に限定されるようには意図されず、以下の特許請求の範囲および本明細書に開示された原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられることとなる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1] ニアアイディスプレイであって、
透過型電子ディスプレイと、
人間の眼から250mm以上の距離を置いて前記ディスプレイの仮想画像を形成するために入射光の割合を回折するように構成された回折マイクロレンズアレイと、
を備え、
ここにおいて、前記透過型電子ディスプレイと前記マイクロレンズアレイの間の距離は、およそ前記マイクロレンズアレイの焦点距離である、ニアアイディスプレイ。
[C2] 前記回折マイクロレンズアレイは、部分的に回折性でありかつ部分的に透明である、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C3] 前記透過型電子ディスプレイは、複数の画素を含み、前記回折マイクロレンズアレイは、各画素から発せられた光の約50パーセントが回折されて前記人間の眼の網膜上にフォーカスするように、前記画素に相対的に位置付けられる、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C4] 前記透過型電子ディスプレイは、複数の透明な部分を含み、前記回折マイクロレンズアレイは、実世界のシーンからの光が前記透過型ディスプレイの前記透明な部分を変化なく通過するように、前記透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられる、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C5] 前記回折マイクロレンズアレイは、前記実世界のシーンからの前記光の約50パーセントが、前記回折マイクロレンズアレイを通過して、前記人間の眼の網膜上に画像を形成するように、前記透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられる、C4に記載の電子ディスプレイ。
[C6] 前記回折マイクロレンズアレイは、前記実世界のシーンからの前記光の約50パーセントが、前記人間の眼の前記網膜からフォーカスが外れて前記マイクロレンズアレイによって回折されるように、前記透過型電子ディスプレイに相対的に位置付けられる、C5に記載の電子ディスプレイ。
[C7] 前記回折マイクロレンズアレイは、ガラス基板上に形成される、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C8] 前記回折マイクロレンズアレイは、体積ホログラムとして感光性樹脂膜に形成される、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C9] 前記回折マイクロレンズアレイおよび前記透過型電子ディスプレイは、光学レンズに形成される、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C10] 前記透過型電子ディスプレイは、液晶ディスプレイである、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C11] 前記透過型電子ディスプレイは、有機発光ダイオードディスプレイである、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C12] 前記有機発光ダイオードディスプレイは、透明な有機発光ダイオードディスプレイである、C11に記載の電子ディスプレイ。
[C13] 前記透過型電子ディスプレイは、眼鏡に取り付けられる、C1に記載の電子ディスプレイ。
[C14] ニアアイディスプレイであって、
人間の眼の近くにコンピュータによって生成された画像を表示し、遠くのシーンを見ることを部分的に可能にするための手段と、
前記人間の眼から250mm以上の距離を置いて仮想画像を形成するために、前記コンピュータによって生成された画像からの光の割合を回折するための手段と、
を備えるニアアイディスプレイ。
[C15] 仮想画像を形成するために、前記コンピュータによって生成された画像からの光の割合を回折するための手段は、前記コンピュータによって生成された画像からの光を部分的に回折するための手段と、前記遠くのシーンからの光を部分的に送信するための手段とを備える、C14に記載の電子ディスプレイ。
[C16] コンピュータによって生成された画像を表示するための手段は、複数の画素を生成するための手段を備え、
仮想画像を形成するために、前記コンピュータによって生成された画像からの光の割合を回折するための手段は、前記人間の眼の網膜上にフォーカスするように、各画素から発せられた光の約50パーセントを回折するための手段を備える、C14に記載の電子ディスプレイ。
[C17] コンピュータによって生成された画像を表示するための手段は、複数の透明な部分を備え、
仮想画像を形成するために、前記コンピュータによって生成された画像からの光の割合を回折するための手段は、前記遠くのシーンからの光が、変化なく前記複数の透明な部分を通過することを可能にするための手段を備える、
C14に記載の電子ディスプレイ。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11