【実施例】
【0049】
実施例1:組換え大腸菌を得るための、β−カロテン合成遺伝子の大腸菌への導入
【0050】
I.組換え大腸菌ATCC8739(pACYC184−M−crt)を構築するための、プラスミドを介するβ−カロテン合成遺伝子の導入
【0051】
IPP、DMAPP及びFPPは、MEP経路及びFPPシンターゼにより、大腸菌が自ら合成することができる。しかしながら、大腸菌は、自らβ−カロテンを合成することができない。β−カロテン合成遺伝子のクラスターは、Pantoea aggloweransにおいて同一のオペロン下に存在する。β−カロテン合成遺伝子クラスターは、ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)シンターゼ遺伝子(crtE,配列番号:1)、β−カロテンシクラーゼ遺伝子(crtX,配列番号:2)、リコピンβ−シクラーゼ遺伝子(crtY,配列番号:3)、フィトエンデサチュラーゼ遺伝子(crtI,配列番号:4)、及びフィトエンシンターゼ遺伝子(crtB,配列番号:5)で構成されている。
【0052】
1.組換え大腸菌ATCC8739(pACYC184−M−crt)の構築
【0053】
具体的には以下のように、β−カロテン合成遺伝子クラスターを大腸菌ATCC8739(Gunsalus IC,Hand DB.The use of bacteria in the chemical determination of total vitamin C.(総ビタミンCの化学分析における細菌の使用)J Biol Chem.1941,141:853−858;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)に導入し、組換え菌株ATCC8739(pACYC184−M−crt)を得た。
【0054】
1)β−カロテン合成遺伝子クラスターを含むDNA断片crtEXYIBのPCR増幅
【0055】
プライマーの配列は、以下の通りであった。
crt−クラスター−f:CTGT
GAATTCAAGGAGATATACCATGATGACGGTCTGTGCAGAA
crt−クラスター−r:TTGCA
GTCGACGCTGCGAGAACGTCA
【0056】
上記プライマーの下線部は、それぞれEcoRI及びSalIの消化サイトであり、AGGAGATATACCAは、人工RBSであった。
【0057】
crt−クラスター−f及びcrt−クラスター−rをプライマーとし、Pantoea agglomeransのゲノム(CGMCC NO.:1.2244,China General Microbiological Culture Collection Centerから公的に入手可能)をテンプレートとしてPCR増幅を行い、約5800bpのPCR産物、即ちcrtEXYIBのDNA断片を得た。PCR産物は、遺伝子crtE、遺伝子crtX、遺伝子crtY、遺伝子crtI及び遺伝子crtBを含む。
【0058】
2)組換えベクターpACYC184−M−crtの構築
【0059】
A.中間体ベクターpTrc99A−M及びpACYC 184−Mの構築
【0060】
約1700bpのDNA断片1を、プラスミドpTrc99A(Amann,E.,Ochs,B.及びAbel,K.J.Tightly regulated tac promoter vectors useful for the expression of unfused and fused proteins in Escherichia coli.(大腸菌における非融合タンパク質及び融合タンパク質の発現に有用な、密に調節されたtacプロモーターベクター)Gene.1988,69:301−15.;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)のDNAをテンプレートとし、PacI消化サイト、SpeI消化サイト、及びNdeI消化サイトが、プラスミドpTrc99AのlacI遺伝子の前に配置され、PacI消化サイトが、ターミネーターrrnBの後に配置されるように、プライマー99A−F1−PacI−SpeI−NdeI/99A−R1−PacIを用いて増幅した。断片1を更にDpnIで消化し、T4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。約2000bpのDNA断片2を、プラスミドpTrc99AのDNAをテンプレートとし、プライマー99A−F2/99A−R2を用いて増幅し、DpnIで消化し、quick−ligase(クイックリガーゼ)でリン酸化されたDNA断片1に連結し、次いで大腸菌のtrans10コンピテントセルに形質転換した。細胞を、アンピシリンを最終濃度50μg/mLで含有するLB寒天プレートで一晩培養した。5つのクローンを採取し、それらのプラスミドDNAを抽出してPacI及びBamHIの消化を用いて検証した。正しい陽性クローンを、pTrc99A−Mと命名した。
【0061】
約2100bpのDNA断片3を、プラスミドpACYC184(Mok,Y.K.,Clark,D.R.,Kam,K.M.及びShaw,P.C.BsiY I,a novel thermophilic restriction endonuclease that recognizes 5’CCNNNNNNNGG3’ and the discovery of a wrongly sequenced site in pACYC177.(5’CCNNNNNNNGG3’を認識する新規の好熱性制限エンドヌクレアーゼ、及びpACYC177における誤ってシークエンスされたサイトの発見)Nucleic Acids Res.1991,19:2321−2323;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)のDNAをテンプレートとし、プライマー184−F2/184−R2を用いて同一の方法で増幅し、DpnIで消化し、クイックリガーゼでリン酸化されたDNA断片1に連結し、次いでPacI及びBamHIの消化を用いて検証を行った。正しい陽性クローンを、pACYC184−Mと命名した。
【0062】
プライマーの配列は、以下の通りであった。
99A−F1−PacI−SpeI−NdeI:TTAATTAACTAGTCATATGGGCATGCATTTACGTTGACA
99A−R1−PacI:TTAATTAAAGAAACGCAAAAAGGCCATC
99A−F2:CATTCAAATATGTATCCGCTCA
99A−R2:CGCAGGAAAGAACATGTGAG
184−F2:GGGAGAGCCTGAGCAAACT
184−R2:CGATGATAAGCTGTCAAACATGA
【0063】
B.中間体ベクターpTrc99A−M−crtの構築:1で得られた5800bpのDNA断片crtEXYIBを、EcoRI消化サイトとSalI消化サイトとの間でプラスミドpTrc99A−Mに挿入し、中間体ベクターpTrc99A−M−crtを得た。
【0064】
具体的な方法は、以下の通りであった。即ち、DNA断片crtEXYIBを、EcoRI及びSalIで消化し、同様に消化したpTrc99A−Mプラスミド骨格(3716bp)に連結して組換えベクターを取得し、組換えベクターを、配列決定のために送り、その結果、組換えベクターは、遺伝子crtE、遺伝子crtX、遺伝子crtY、遺伝子crtI及び遺伝子crtBがEcoRI及びSalIの間でpTrc99A−Mに挿入されたベクターであることが示され、これをpTrc99A−M−crtと命名した。
【0065】
C.組換えベクターpACYC184−M−crtの構築:DNA断片crtEXYIBを、PacI消化サイトでpACYC184−Mプラスミドに挿入し、組換えベクターpACYC184−M−crtを得た。
【0066】
詳細は以下の通りである。即ち、Bで得られた中間体ベクターpTrc99A−M−crtをPacIで消化し、ゲル抽出により約7.8kbの断片を回収し、回収した断片を、Aから得られた同様に消化したpACYC184−Mベクターに連結して組換えベクターを取得し、組換えベクターを、配列決定のために送り、その結果、DNA断片crtEXYIBが、PacI消化サイトでpACYC184−Mに挿入されていることが示され、これをpACYC184−M−crtと命名した。
【0067】
3)組換え大腸菌ATCC8739(pACYC184−M−crt)の構築
【0068】
Cから得られたpACYC184−M−crtを、大腸菌ATCC8739に電気的に形質転換し、組換え大腸菌ATCC8739(pACYC184−M−crt)を得た。
【0069】
具体的には、大腸菌ATCC8739の電気的に形質転換した50μLのコンピテントセルを氷上に置き、1μLのプラスミドpACYC184−M−crt(約50ng/μL)を添加し、氷上に2分間放置し、次いで0.2cmのBio−Radのキュベットに移し、MicroPulser(Bio−Rad)エレクトロポレーション装置で電圧2.5kVの電気ショック設定値で電気ショックを与えた。ショック後直ちに、1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、それをチューブに移した後、75rpm、30℃で2時間インキュベートした。50μLの菌株溶液を、クロロマイセチンを含むLBプレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートし、その後5つの陽性の単一コロニーを採取し、液体培養を行い、次いで陽性の単一コロニーのプラスミドをPacI消化で抽出し、7.8kbの陽性プラスミドを得た。陽性プラスミドを含む組換え菌株を、ATCC8739(pACYC184−M−crt)と命名した。
【0070】
2.組換え大腸菌ATCC8739(pACYC184−M−crt)によるβ−カロテンの産生
【0071】
組換え大腸菌ATCC8739(pACYC184−M−crt)の単一コロニーを、4mLのLB培地(最終濃度34μg/mLのクロロマイセチンを含む)の入ったチューブに採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%(体積%)の量の菌株溶液、即ちチューブからの100μLの菌株溶液を、100mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の10mLの培地(対応する抗生物質を含む)に接種し、30℃、250rpmで培養し、OD
600=0.1のとき、即ち、約3時間後、最終濃度1mMのIPTGを誘導のために添加し、更に24時間培養し、菌株溶液の色が白色から黄色になった。
【0072】
2mLの菌株溶液を14000rpmで3分間遠心分離し、上清を捨て、菌株細胞を滅菌水で洗浄し、抽出のために1mLのアセトンを暗所にて55℃で15分間添加した。14000rpmで10分間遠心分離後、上清を回収し、紫外分光光度計を用い、453nmでそのβ−カロテンの吸収値を測定した。測定値を対応する細胞の濁度(OD
600nm)と比較し、β−カロテンの相対的な産生量を得た。
【0073】
HPLC(Agilent Technologiesの高速液体クロマトグラフ:1260インフィニティ)を用いて、上清のβ−カロテンの含有量を測定した。
【0074】
標準品のβ−カロテンは、米国のSigmaから購入し(カタログ番号:C4582)、標準品を受領した際に直ちに検量線を求めた。濾過には0.45μmのミリポアフィルター(Millpor)を使用し、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、石油エーテル、及びアセトニトリルは、Merkより供給されるクロマトグラフィー用の純粋な薬剤であった。
【0075】
5mgのβ−カロテン標準品を正確に秤量し、1mLのジクロロメタンに溶解し、アセトンで10mLに希釈し、500μg/mLの標準溶液を得た。使用の際に、それをアセトンで段階的に希釈し(2×、4×、8×、16×、32×)、HPLCバイアル中に濾過し、HPLC検出を行った。対称性のC18カラム(4.6×250mm,5μm)、カラム温度:30℃、移動相:メタノール:アセトニトリル:ジクロロメタン=21:21:8、負荷量:20μL、負荷時間:20分、DAD光検出、及び450nmの検出波長を採用し、標準品のピーク面積と、β−カロテンの濃度との関係からβ−カロテンの検量線を得た。
【0076】
上清からの抽出後直ちに、β−カロテンの含有量をHPLCで測定し、上清は黄色であり、アセトンでの抽出後、菌株は黄色から白色になった。HPLCでの試験では、試料は標準品と同一のβ−カロテンの出現時間(17.2分の出現時間)を有していた。
【0077】
その結果、
図1に示すように、OD
453nmはβ−カロテン濃度と優れた線形相関を示した。24時間の培養後、ATCC8739(pACYC184−M−crt)は、乾燥細胞重量1.55g/L、0.87mg/Lのβ−カロテンの収量、及び乾燥細胞重量で0.56mg/gのβ−カロテン量が得られた。
【0078】
従って、Pantoea agglomeransのβ−カロテンの触媒産生に関連する一連のcrt遺伝子を、プラスミドの形態での大腸菌へ導入することにより、β−カロテン産生能を有する大腸菌が可能となった。
【0079】
II.組換え大腸菌QL002の構築するための、相同組換えによる大腸菌ATCC 8739染色体へのβ−カロテン合成遺伝子の統合
【0080】
1.相同組換えによる組換え大腸菌QL002の構築
【0081】
組換え大腸菌QL002は、β−カロテン合成遺伝子クラスターcrtEXYIB(ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ遺伝子crtE、β−カロテンシクラーゼ遺伝子crtX、リコピンβ−シクラーゼ遺伝子crtY、フィトエンデサチュラーゼ遺伝子crtI、及びフィトエンシンターゼ遺伝子crtBからなる遺伝子クラスター)を相同組換えによって大腸菌ATCC8739の染色体にldhAサイトで統合したものである。
【0082】
この方法は、Jantama et al.(2008年)、及びZhang et al.(2007年)を参照することができ、詳細は以下の通りである。
【0083】
工程1では、テンプレートとして大腸菌ATCC8739のゲノムDNA、プライマーとしてldhA−up/ldhA−downを用いて大腸菌ATCC8739の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(ldhA)を増幅した。プライマーは、以下の配列を有していた。
ldhA−up:GATAACGGAGATCGGGAATG
ldhA−down:CTTTGGCTGTCAGTTCACCA
【0084】
得られた1750bpの増幅産物は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldhAである。PCR増幅産物を次いで、クローニングベクターpEASY−Bluntにクローニングして組換えベクターを取得し、これを配列決定のために送った。その結果、ベクターpEASY−Bluntに乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子ldhAが挿入されたことが示され、プラスミドの構築が正しいことが実証された。得られた組換えプラスミドを、pXZ001と命名した。
【0085】
工程2では、テンプレートとしてpXZ001プラスミドDNA、プライマーとしてldhA−1/ldhA−2を用いてPCR増幅を行った。プライマーは、以下の配列を有していた。
ldhA−1:TCTGGAAAAAGGCGAAACCT
ldhA−2:TTTGTGCTATAAACGGCGAGT
【0086】
得られた約4778bpのPCR増幅産物は、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の上流及び下流の約400塩基の配列、及びpEASY−Bluntベクターの配列を含んでいた。
【0087】
工程3では、テンプレートとしてpLOI4162プラスミド(Jantama K,Zhang X,Moore JC,Shanmugam KT,Svoronos SA,Ingram LO.Eliminating side products and increasing succinate yields in engineered strains of Escherichia coli C.(操作された大腸菌C株における、副生物の除去及びコハク酸収量の増加)Biotechnol Bioeng.2008,101(5):881−893;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)、プライマーとして4162−F/4162−Rを用いてPCR増幅を行い、クロロマイセチン耐性遺伝子(Cam)及びレバンスクローストランスフェラーゼ遺伝子(レバンスクラーゼ,sacB)を含む約3000bpのDNA断片を得た。
【0088】
プライマーは、以下の配列を有していた。
4162−F:GGAGAAAATACCGCATCAGG
4162−R:GCGTTGGCCGATTCATTA
【0089】
工程2で得られた4778bpのPCR増幅産物を、PCRクリーニングキットで洗浄し、次いでDpnIで処理し、工程3で得られた約3000bpのPCR増幅産物を、PCRクリーニングキットで洗浄し、次いでリン酸化し、2つの断片を連結して連結産物を取得し、これをtransT1に形質転換して形質転換株の溶液を得た。200μLの形質転換株の溶液を、カナマイシン及びクロロマイセチンを含むLBプレートに塗布し、一晩培養し、次いで5つの陽性の単一コロニーを採取し、陽性クローンを液体培養した。次いで、陽性クローン化プラスミドを消化により検証し、クロロマイセチン遺伝子及びレバンスクローストランスフェラーゼ遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子をコードする遺伝子の上流及び下流の400bp以内の相同アーム内でpEASY−Bluntベクターに挿入されたことを証明し、これをpXZ002と命名した。
【0090】
工程4では、テンプレートとしてpXZ002プラスミドDNA、プライマーとしてldhA−up/ldhA−downを用いてPCR増幅を行い、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の上流の約400塩基、Cat−sacBDNA断片、及び乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の下流の約400塩基を含む約3700bpのDNA断片Iを得た。DNA断片Iを、以下のように最初の相同組換えに使用した。即ち、pKD46プラスミド(Datsenko,wanner.One−step inactivation of chromosomal genes in Escherichia coli K−12 using PCR products.(PCR産物を用いた、大腸菌K−12の染色体遺伝子の一段階不活性化)Proc Natl Acad Sci USA.2000.97(12):6640−6645;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)を最初に塩化カルシウム形質転換法で大腸菌ATCC8739に形質転換し、次いでDNA断片Iを、pKD46を有する大腸菌ATCC8739に電気的に形質転換した。電気ショック後直ちに、1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、チューブに移した後、75rpm、30℃で2時間インキュベートした。pKD46プラスミドを除去した。200μLの菌株溶液を、クロロマイセチンを含有するLB寒天プレートに塗布し、一晩培養し、その後PCRでの検証(プライマーldhA−up/ldhA−downを使用し、正しく増幅されるコロニー産物は、約3700bpの断片である)のために5つの単一コロニーを採取した。正しい単一コロニーを採取し、QL001と命名した。
【0091】
工程5では、pTrc99A−M−crtプラスミドをPacIで消化し、約8kbの断片をゲル抽出により回収し、末端を修復してクレノウ断片で平滑化し、次いで工程2で得られた4778bpのPCR増幅産物に連結した。そのライゲーションをtransT1に形質転換し、200μLの形質転換株の溶液を、カナマイシンを含有するLBプレート上に広げ、一晩培養した後、5つの陽性の単一コロニーを採取し、陽性クローンを液体培養した。陽性のクローン化したプラスミドを消化(陽性プラスミドとして約8kbの断片を得るPacIでの消化)のために抽出し、検証のために配列決定した。結果は、rtEXYIB遺伝子が、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子をコードする遺伝子の上流及び下流の400bp以内の相同アーム内でpEASY−Bluntベクターに挿入されたことを示した。これをpXZ003−crtと命名した。
【0092】
工程6では、pXZ003−crtプラスミドのDNAをテンプレートとし、ldhA−up/ldhA−downをプライマーとし、約9000bpのDNA断片II(乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子をコードする遺伝子の上流約400塩基、trcプロモーター、crtEXYIB遺伝子、rrnBのT2転写ターミネーター、及び乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子をコードする遺伝子の下流約400塩基を含む)を増幅した。DNA断片IIを、以下のように第二の相同組換えに使用した。即ち、pKD46プラスミドを最初に塩化カルシウム形質転換法によりQL001に形質転換し、次いでDNA断片IIを、pKD46プラスミドを有するQL001に電気的に形質転換し、ここで、電気的形質転換は、以下の条件で行った。まず、pKD46プラスミドを有するQL001の、電気的形質転換のコンピテントセルを調製し、50μLのコンピテントセルを氷上に置き、50ngのDNA断片IIを添加し、氷上に2分間放置し、次いで0.2cmのBio−Radのキュベットに移した。MicroPulser(Bio−Rad) エレクトロポレーション装置を用い、電圧2.5kVの電気ショック設定値で電気ショックを与えた。その後、直ちに1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、次いでそれをチューブに移した後、75rpm、30℃で4時間インキュベートした。pKD46プラスミドを除去した。菌株溶液を、ショ糖を10%含有し、塩化ナトリウムを含有しないLB液体培地(50mLの培地を充填した250mLのTriフラスコ(Tri Flask))に移し、24時間培養し、次いでスクロースを6%含有し、塩化ナトリウムを含有しないLB固体培地で画線培養した。PCRでの検証(プライマーldhA−up/crtE−rを使用し、正しいコロニーの増幅産物は、約4500bpの断片である)により、正しい単一のコロニーを採取し、QL002と命名した。
【0093】
crtE−rプライマーは、以下の配列を有する。
crtE−r:TTAACTGACGGCAGCGAGTT
【0094】
2.組換え大腸菌QL002によるβ−カロテンの産生
【0095】
組換え大腸菌QL002の単一コロニーを、4mLのLB培地入りのチューブに採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%(体積%)の量の菌株溶液、即ちチューブ内の100μLの菌株溶液を、100mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の10mLの培地に接種し、30℃、250rpmで培養し、OD
600=0.1のとき、即ち、約3時間後、最終濃度1mMのIPTGを誘導のために添加し、更なる24時間の培養後、試料を採取してβ−カロテンの収量を測定した。
【0096】
上記実験Iに示す測定法の結果、QL002は、最大0.59mg/Lのβ−カロテンの収量、及び乾燥細胞重量で最大0.41mg/gのβ−カロテンの含有量であった。
【0097】
実施例2:組換え大腸菌CAR001の構築及び発酵
【0098】
組換え大腸菌CAR001の構築及びそれによる発酵は、以下の8段階に分けられた。
【0099】
1.組換え大腸菌QL002のβ−カロテン合成遺伝子クラスターの発現強度の改善、及び組換え大腸菌QL105の構築
【0100】
組換え大腸菌QL105は、QL002のβ−カロテン合成遺伝子クラスターcrtEXYIBのtrc調節領域(配列表中の配列番号:6)を、二段階の相同組換えにより人工調節領域M1−12(配列表中の配列番号:7)で置換したものであった。
【0101】
二段階の相同組換えにより、調節される遺伝子の前に人工調節領域が挿入され、耐性遺伝子又はFRTマーカーは、操作後に全く残らなかった。第一段階の相同組換えにおいて、遺伝子の本来の調節領域をcat−sacB断片で置換し、第二段階の相同組換えにおいて、cat−sacB断片を種々の強度の人工調節領域で置換した。二段階の相同組換えに使用される断片は、一般的な2対のプライマーを用いてPCR法により増幅した。遺伝子−cat−up(人工調節領域挿入サイトの前の50bpの塩基、及びcat−sacB遺伝子の20bpの相同断片を含む)、及び遺伝子−cat−down(人工調節領域挿入サイトの後の50bpの塩基、及びcat−sacB遺伝子の別の相同断片を含む)を使用し、DNA断片Iを増幅し、第一段階の相同組換えを行った。プライマーとして、遺伝子−up−P(人工調節領域挿入サイトの前の50bpの塩基、及び人工調節領域の20bpの相同断片を含む)、及び遺伝子−RBS−down(人工調節領域挿入サイトの後の50bpの塩基、及び人工調節領域の別の相同断片を含む)を用い、DNA断片IIを増幅し、第二段階の相同組換えを行った。
【0102】
これは、具体的には以下に詳述する。
【0103】
工程1では、出発ベクターはpXZ002プラスミドであり、増幅用プライマーはldhA−cat−up/crtE−cat−downであり、形質転換される菌株は組換え大腸菌QL002であり、同定用プライマーはldhA−up/crtE−340−downであり、具体的には以下の通りであった。
【0104】
増幅用プライマーとしてldhA−cat−up/crtE−cat−down、テンプレートとして出発ベクターのpXZ002プラスミドを用いてPCR増幅を行い、ldhA遺伝子の上流の約50塩基、DNA断片Cat−sacB、及びcrtEの上流の約50塩基を含む、約3800bpのDNA断片I(ldhA−catsacB−crtE)を得た。
【0105】
ldhA−cat−up:ATTAAATTTGAAATTTTGTAAAATATTTTTAGTAGCTTAAATGTGATTCATGTGACGGAAGATCACTTCGCA
crtE−cat−down:GCATCGCTGTGTATGAAATTGACGTGTTGTTCTGCACAGACCGTCATCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCTTG
【0106】
工程1で得られたDNA断片IのPCR増幅産物を、PCRクリーニングキットで洗浄し、DpnIで処理し、次いで以下のように第一の相同組換えに使用した。即ち、pKD46プラスミドを最初に塩化カルシウム形質転換法により組換え大腸菌QL002に形質転換し、次いでpKD46を有する大腸菌QL002にDNA断片Iを電気的に形質転換した。電気ショック後、直ちに1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、次いでそれをチューブに移し、75rpm、30℃で2時間インキュベートした。200μLの菌株溶液を、クロロマイセチンアミノベンジルを含有するLBプレートに塗布し、一晩培養した後、クロロマイセチンアミノベンジルを含有するLBプレート、及びカナマイシンを含有するLBプレートでそれぞれスクリーニングし、カナマイシンでは生育しないがクロロマイセチンアミノベンジルを含有するLBプレートでは生育するクローンを取得し、これをPCR(正しいコロニーの増幅産物が約4000bpの断片となる同定用プライマーのldhA−up/crtE−340−downを使用)で検証し、第二段階の相同組換えのための中間体陽性クローンを得た。
【0107】
crtE−340−down:GCGACATGTTCACCATACTG
【0108】
工程2では、出発菌株は組換え菌株M1−12であり、増幅用プライマーはldhA−up−p及びcrtE−RBS−downであり、形質転換される菌株は中間体陽性クローンであり、同定用プライマーは上記と同一(ldhA−up/crtE−340−down)であり、具体的には以下の通りであった。
【0109】
増幅用プライマーとしてldhA−up−p及びcrtE−RBS−down、テンプレートとして組換え菌株M1−12(Lu J,Tang JL,Liu Y,Zhu X,Zhang T,Zhang X.Combinatorial modulation of galP and glk gene expression for improved alternative glucose utilization.(改善した代替グルコース利用のための、galP遺伝子及びglk遺伝子の発現の組合せ調節)Appl Microbiol Biotechnol.2012,93:2455−2462;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)のゲノムDNAを用いてPCR増幅を行い、ldhA遺伝子の下流の約50塩基、人工調節領域断片M1−12、及びcrtEの上流の約50塩基含む、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0110】
ldhA−up−P:ATTAAATTTGAAATTTTGTAAAATATTTTTAGTAGCTTAAATGTGATTCATTATCTCTGGCGGTGTTGAC
crtE−RBS−down:GCATCGCTGTGTATGAAATTGACGTGTTGTTCTGCACAGACCGTCATCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0111】
DNA断片IIを、工程1から得られた中間体陽性クローンに電気的に形質転換した。電気ショック後、直ちに1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、次いでそれをチューブに移し、75rpm、30℃で4時間培養し、その後、フラスコ内の50mLの塩を含有しないスクロース10%添加LB培地に移した。24時間後、それを、塩を含有しないスクロース6%添加寒天プレート上に画線し、pKD46プラスミドを除去するために41℃で一晩培養した。菌株を、クロロマイセチンを含有するLBプレート、及び抗生物質を含まないLBプレート上でスクリーニングした。クロロマイセチンを含有するLBプレートで成長しなかったクローンを、同定用プライマーldhA−up/crtE−340−downを用いてPCRにより検証した。正しいコロニー増幅産物は、約1000bpの断片であった。正しい配列を有する菌株を、組換え大腸菌QL105と命名した。
【0112】
2.組換え大腸菌QL105によるβ−カロテンの産生
【0113】
組換え大腸菌QL105の単一コロニーを、チューブの内の4mLのLB培地に採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%(体積%)の量の菌株溶液、即ちチューブ内の100μLの菌株溶液を、100mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の10mLの培地に接種し、30℃、250rpmで24時間培養した。その後、β−カロテンの収量を測定するために試料を採取した。その測定法は、実施例1に示す方法であった。
【0114】
その結果、QL105のβ−カロテンの収量は、最大2.17mg/L、β−カロテンの含有量は乾燥細胞重量で最大1.53mg/gであった。
【0115】
3.組換え大腸菌QL105のdxs遺伝子の発現強度の改善、及び組換え大腸菌Dxs64、組換え大腸菌Dxs37、及び組換え大腸菌Dxs93の構築
【0116】
組換え大腸菌Dxs64、組換え大腸菌Dxs37、及び組換え大腸菌Dxs93はそれぞれ、実施例2の二段階の相同組換え法により調製し、ここでは、組換え大腸菌QL105のdxs遺伝子の本来の調節領域(配列番号:8)を、人工調節領域M1−64(配列番号:9)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換した。
【0117】
組換え大腸菌Dxs64の構築(二段階の相同組換え):
【0118】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがdxs−cat−up/dxs−cat−down であり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌QL105である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同一の方法で、中間体陽性クローンを得た。
【0119】
dxs−cat−up:ACTACATCATCCAGCGTAATAAATAAACAATAAGTATTAATAGGCCCCTGGGAGAAAATACCGCATCAGG
dxs−cat−down:GTGGAGTCGACCAGTGCCAGGGTCGGGTATTTGGCAATATCAAAACTCATGCGTTGGCCGATTCATTA
【0120】
工程2:出発菌株が組換え菌株M1−64(Lu J,Tang JL,Liu Y, Zhu X,Zhang T,Zhang X.Combinatorial modulation of galP and glk gene expression for improved alternative glucose utilization.(改善した代替グルコース利用のための、galP遺伝子及びglk遺伝子の発現の組合せ調節)Appl Microbiol Biotechnol.2012,93:2455−2462;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)であり、増幅用プライマーがdxs−up−P及びdxs−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである組換え大腸菌QL105である点以外は、実施例2のパート1の工程2と同一の方法で、組換え大腸菌Dxs64を得た。
【0121】
上記2つの工程の両方において、同定用プライマーは、dxs−up−480F及びdxs−down−381Rであった(正しいPCR断片は、約900bpであった)。
【0122】
dxs−up−480F:AGTGGTATTGCCGGAATG
dxs−down−381R:GATGGAGGTTGATGAATGC
【0123】
組換え大腸菌Dxs37の構築(二段階の相同組換え):工程2における出発菌株が組換え菌株M1−37(Lu J,Tang JL,Liu Y,Zhu X,Zhang T,Zhang X.Combinatorial modulation of galP and glk gene expression for improved alternative glucose utilization.(改善した代替グルコース利用のための、galP遺伝子及びglk遺伝子の発現の組合せ調節)Appl Microbiol Biotechnol.2012,93:2455−2462;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)である点以外は、組換え大腸菌Dxs64と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0124】
組換え大腸菌Dxs93の調製(二段階の相同組換え):工程2における出発菌株が組換え菌株M1−93(Lu J,Tang JL,Liu Y,Zhu X,Zhang T,Zhang X.Combinatorial modulation of galP and glk gene expression for improved alternative glucose utilization.(改善した代替グルコース利用のための、galP遺伝子及びglk遺伝子の発現の組合せ調節)Appl Microbiol Biotechnol.2012,93:2455−2462;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)である点以外は、組換え大腸菌Dxs64と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0125】
配列が正しいことを検証の上、QL105のdxs遺伝子の調節領域が人工調節領域M1−64、人工調節領域M1−37、及び人工調節領域M1−93でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌Dxs64、組換え大腸菌Dxs37、及び組換え大腸菌Dxs93とそれぞれ命名した。
【0126】
4.組換え大腸菌Dxs64、組換え大腸菌Dxs37、及び組換え大腸菌Dxs93によるβ−カロテンの産生
【0127】
実施例1と同一の方法で組換え大腸菌QL105、組換え大腸菌Dxs64、組換え大腸菌Dxs37、組換え大腸菌Dxs93の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0128】
表1に示す結果から分かるように、dxsの調節により、β−カロテンの収量が1.8倍〜2.3倍に改善し、最大のβ−カロテン収量はM1−37調節領域由来であり、最小はM1−93調節領域由来であった。
【0129】
【表1】
(表1:遺伝子dxs、遺伝子idi、及び遺伝子crtの調節によるβ−カロテン産生量の改善)
【0130】
5.組換え大腸菌Dxs37のidi遺伝子の発現強度の調節、及び組換え大腸菌Dxs37−Idi30、組換え大腸菌Dxs37−Idi46、及び組換え大腸菌Dxs37−Idi37の構築
【0131】
組換え大腸菌Dxs37−Idi30、組換え大腸菌Dxs37−Idi46、及び組換え大腸菌Dxs37−Idi37はそれぞれ、実施例2、パート1の二段階の相同組換え法により調製し、ここでは、上記パート3で調製したDxs37のidi遺伝子の本来の調節領域(配列番号:12)を、人工調節領域M1−30(配列番号:13)、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、及び人工調節領域M1−37(配列番号:10)でそれぞれ置換した。
【0132】
組換え大腸菌Dxs37−Idi30の構築(二段階の相同組換え):
【0133】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがidi−cat−up/idi−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌Dxs37である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0134】
idi−cat−up:TCACTTGGTTAATCATTTCACTCTTCAATTATCTATAATGATGAGTGATCTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
idi−cat−down:CCCGTGGGAACTCCCTGTGCATTCAATAAAATGACGTGTTCCGTTTGCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCTTG
【0135】
工程2:出発菌株が組換え菌株M1−30(Lu J,Tang JL,Liu Y,Zhu X,Zhang T,Zhang X.Combinatorial modulation of galP and glk gene expression for improved alternative glucose utilization.(改善した代替グルコース利用のための、galP遺伝子及びglk遺伝子の発現の組合せ調節)Appl Microbiol Biotechnol.2012,93:2455−2462;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)であり、増幅用プライマーがidi−up−p及びidi−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌Dxs37−Idi30を得た。
【0136】
idi−up−p:TCACTTGGTTAATCATTTCACTCTTCAATTATCTATAATGATGAGTGATCTTATCTCTGGCGGTGTTGAC
idi−RBS−down:CCCGTGGGAACTCCCTGTGCATTCAATAAAATGACGTGTTCCGTTTGCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0137】
上記2つの工程の両方において、同定用プライマーは、Idi−up及びidi−downであった(正しいPCR断片は、約900bpであった)。
【0138】
Idi−up:ATGACTCCGACGCTCTCTCA
idi−down:CGTGGCATCAATACCGTGTA
【0139】
組換え大腸菌Dxs37−Idi46の構築方法(二段階の相同組換え):工程2における出発菌株が組換え菌株M1−46(Lu J,Tang JL,Liu Y,Zhu X,Zhang T,Zhang X.Combinatorial modulation of galP and glk gene expression for improved alternative glucose utilization.(改善した代替グルコース利用のための、galP遺伝子及びglk遺伝子の発現の組合せ調節)Appl Microbiol Biotechnol.2012,93:2455−2462;天津工業生物技術研究所から公的に入手可能)である点以外は、組換え大腸菌Dxs37−Idi30と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0140】
組換え大腸菌Dxs37−Idi37の構築方法(二段階の相同組換え):工程2における出発菌株が組換え菌株M1−37である点以外は、組換え大腸菌Dxs37−Idi30と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0141】
配列が正しいことを検証した後、Dxs37のidi遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−30、人工調節領域M1−46、及び人工調節領域M1−37でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌Dxs37−Idi30、組換え大腸菌Dxs37−Idi46、及び組換え大腸菌Dxs37−Idi37とそれぞれ命名した。
【0142】
6.組換え大腸菌Dxs37−Idi30、組換え大腸菌Dxs37−Idi46、及び組換え大腸菌Dxs37−Idi37によるβ−カロテンの産生
【0143】
実施例1における方法と同様の方法で、組換え大腸菌Dxs37−Idi30、組換え大腸菌Dxs37−Idi46、及び組換え大腸菌Dxs37−Idi37の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0144】
結果を、表1に示す。dxs及びidiの組合せの調節により、β−カロテンの収量は2.7倍〜3.5倍改善し、β−カロテンの収量の最大値はDxs37−Idi46株由来であった。
【0145】
7.組換え大腸菌Dxs37−Idi46のβ−カロテン合成遺伝子クラスターの発現が改善した組換え菌株CAR001の構築
【0146】
組換え菌株CAR001は、β−カロテン合成遺伝子クラスターcrtEXYIBの調節領域M1−12(配列番号:7)が人工調節領域M1−93(配列番号:11)で置換された組換え大腸菌Dxs37−Idi46から構築したものであり、具体的な方法は以下の通りである。
【0147】
組換え大腸菌CAR001の構築(二段階の相同組換え):
【0148】
工程1:出発ベクターがpXZ002プラスミドであり、増幅用プライマーがldhA−cat−up/crtE−cat−downであり、約3800bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌Dxs37−Idi46であり、同定用プライマーがldhA−up/crtE−340−downである点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0149】
ldhA−cat−up:ATTAAATTTGAAATTTTGTAAAATATTTTTAGTAGCTTAAATGTGATTCATGTGACGGAAGATCACTTCGCA
crtE−cat−down:GCATCGCTGTGTATGAAATTGACGTGTTGTTCTGCACAGACCGTCATCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCTTG
【0150】
工程2:出発菌株がM1−93であり、増幅用プライマーが増幅用プライマーldhA−up−p及びcrtE−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌CAR001を得た。
【0151】
ldhA−up−P:ATTAAATTTGAAATTTTGTAAAATATTTTTAGTAGCTTAAATGTGATTCATTATCTCTGGCGGTGTTGAC
crtE−RBS−down:GCATCGCTGTGTATGAAATTGACGTGTTGTTCTGCACAGACCGTCATCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0152】
上記2つの工程において、同定用プライマーは、ldhA−up/crtE−340−downであり、正しい増幅バンドは、約900bpであった。
【0153】
ldhA−up:GATAACGGAGATCGGGAATG
crtE−340−down:GCGACATGTTCACCATACTG
【0154】
8.組換え菌株CAR001によるβ−カロテンの産生
【0155】
実施例1と同様の方法で、組換え大腸菌CAR001の発行培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0156】
表1に示す結果から分かるように、組換え大腸菌QL105と比較して、crt遺伝子を調節して得られた菌株CAR001は、β−カロテンの含有量が12倍増加した。β−カロテンの収量は最大25.67mg/Lであり、β−カロテンの含有量は乾燥細胞重量で最大18.4mg/gであった。
【0157】
実施例3:組換え大腸菌CAR001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0158】
1.組換え大腸菌CAR001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善、及び組換え菌株SucAB46−FKF、組換え菌株SucAB37−FKF、及び組換え菌株SucAB93−FKFの構築
【0159】
組換え大腸菌SucAB46−FKF、組換え大腸菌SucAB37−FKF、及び組換え大腸菌SucAB93−FKFはそれぞれ、組換え大腸菌CAR001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(sucAB)の本来の調節領域(配列番号:15)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換したものであった。
【0160】
大腸菌の染色体上の遺伝子の本来の調節領域を、一段階の相同組換えを用いた一般的な一対のプライマーにより、種々の強度を有する人工調節領域で置換した。上流プライマーは、調節される遺伝子の本来の調節領域外の50塩基、及びFRT配列との相同20塩基を含むgene−up−FRTであった。下流プライマーは、大腸菌lacZ遺伝子のリボソーム結合部位との相同15塩基、及び調節される遺伝子の開始コドンの後の50塩基を含む、gene−RBS−downであった。
【0161】
sucAB−up−FRT及びsucAB−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、M1−37、及びM1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片sucAB−M1−46、sucAB−M1−37、及びsucAB−M1−93を増幅し、sucAB−M1−46及び大腸菌CAR001の一段階の相同組換えの後、組換え大腸菌SucAB46−FKFを取得した。具体的には以下の通りであった。
【0162】
まず、pKD46を、塩化カルシウム形質転換法により大腸菌CAR001に形質転換した。次に、DNA断片sucAB−M1−46を、pKD46を有する大腸菌CAR001に電気的に形質転換した。電気的形質転換は、以下の条件で行った。まず、電気的に形質転換されるpKD46プラスミドを有する大腸菌CAR001のコンピテント細胞を調製し、50μLのコンピテントセルを氷上に置き、50ngのDNA断片を添加し、氷上に2分間放置し、次いで0.2cmのBio−Radのキュベットに移した。MicroPulser(Bio−Rad)エレクトロポレーション装置を用い、電圧2.5kVの電気ショック設定値で電気ショックを行った後、直ちに1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、次いでそれをチューブに移し、75rpm、30℃で2時間培養した。100μLの菌株溶液を、カナマイシンを含有するLBプレートにそれぞれ塗布し、41℃で一晩培養した。pKD46プラスミドを除去した。組換え菌株SucAB46−FKFを得た。
【0163】
一段階の相同組換えと同一の方法で、sucAB−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えにより、組換え大腸菌SucAB37−FKFを取得し、sucAB−M1−93及び大腸菌CAR001の相同組換えにより、組換え大腸菌SucAB93−FKFを得た。
【0164】
上記の組換え大腸菌株を、kan−f及びsucAB−rを用いて直ちにPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0165】
プライマーは、以下の配列を有していた。
sucAB−up−FRT:CAGTGTATGTCCGAAGGGGCTGAACCCGACGCGCGCCATCGGCCATATCAGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
sucAB−RBS−down:CCAGAGAGGTAAGAAGAGTCCAACCAGGCTTTCAAAGCGCTGTTCTGCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0166】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
sucAB−r:GAAATATTCACGCGTTTGAG
【0167】
配列決定により正しいクローンを検証した後、CAR001のsucAB遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46、人工調節領域M1−37、及び人工調節領域M1−93でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌SucAB46−FKF、組換え大腸菌SucAB37−FKF、及び組換え大腸菌SucAB93−FKFとそれぞれ命名した。
【0168】
2.β−カロテンの産生
【0169】
実施例1と同様の方法で組換え大腸菌SucAB46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌SucAB37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌SucAB93−FKF(M1−93)の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0170】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌SucAB46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌SucAB37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌SucAB93−FKF(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、24.47mg/g、25.58mg/g、及び23.92mg/gであり、sucABの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−37がβ−カロテンの収量を39%改善した。
【0171】
実施例4:組換え大腸菌CAR001のコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0172】
1.組換え大腸菌CAR001のコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善、及び組換え菌株の構築
【0173】
組換え大腸菌Sdh46−FKF、組換え大腸菌Sdh37−FKF、及び組換え大腸菌Sdh93−FKFは、組換え大腸菌CAR001のコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(sdhABCD)の本来の調節領域(配列番号:16)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換したものであった。
【0174】
sdhABCD−up−FRT及びsdhABCD−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片sdhABCD−M1−46、DNA断片sdhABCD−M1−37、及びDNA断片sdhABCD−M1−93を、実施例3、パート1の一段階の相同組換え法でそれぞれ増幅し、sdhABCD−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌Sdh46−FKFを取得し、sdhABCD−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌Sdh37−FKFを取得し、sdhABCD−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌Sdh46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びsdhABCD−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0175】
sdhABCD−up−FRT:ACTTTGTTGAATGATTGTCAAATTAGATGATTAAAAATTAAATAAATGTTGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
sdhABCD−RBS−down:TTAACAGGTCTTTGTTTTTTCACATTTCTTATCATGAATAACGCCCACATAGCTGTTTCCTGGTT
【0176】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
sdhABCD−r:AATTTGACGAAGAAGCTGC
【0177】
配列決定により正しいクローンを検証した後、CAR001のsdhABCD遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46、人工調節領域M1−37、及び人工調節領域M1−93でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌Sdh46−FKF、組換え大腸菌Sdh37−FKF、及び組換え大腸菌Sdh93−FKFとそれぞれ命名した。
【0178】
2.組換え大腸菌Sdh46−FKF、組換え大腸菌Sdh37−FKF、及び組換え大腸菌Sdh93−FKFによるβ−カロテンの産生
【0179】
実施例1と同様の方法で組換え大腸菌Sdh46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌Sdh37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌Sdh93−FKF(M1−93)の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0180】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌Sdh46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌Sdh37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌Sdh93−FKF(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、23mg/g、20.06mg/g、及び17.48mg/gであり、sdhABCDの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−46がβ−カロテンの収量を25%改善した。
【0181】
実施例5:組換え大腸菌CAR001のトランスアルドラーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0182】
1.組換え大腸菌CAR001のトランスアルドラーゼ遺伝子(talB)の発現強度の改善、及び組換え菌株talB46、talB37、及びtalB93の構築
【0183】
組換え菌株talB46、組換え菌株talB37、及び組換え菌株talB93は、組換え大腸菌CAR001のトランスアルドラーゼ遺伝子(talB)の本来の調節領域(配列番号:17)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換したものであった。
【0184】
組換え菌株talB46の構築(二段階の相同組換え):
【0185】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがtalB−cat−up及びtalB−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌CAR001である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0186】
工程2:出発菌株がM1−46であり、増幅用プライマーがtalB−up−P及びtalB−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌talB46を得た。
【0187】
工程1における増幅用プライマーは、以下の配列を有していた。
talB−cat−up:AGTCTCGCCTGGCGATAACCGTCTTGTCGGCGGTTGCGCTGACGTTGCGTCGTGTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
talB−cat−down:TCATGATAGTATTTCTCTTTAAACAGCTTGTTAGGGGGATGTAACCGGTCTGCTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
工程2における増幅用プライマーtalB−up−P/talB−RBS−downは、以下の配列を有していた。
talB−up−P:AGTCTCGCCTGGCGATAACCGTCTTGTCGGCGGTTGCGCTGACGTTGCGTCGTGTTATCTCTGGCGGTGTTGAC
talB−RBS−down:AGTGTCGGCCACTACGGTGGTGTACTGACGAAGGGAGGTCAATTTGTCCGTCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0188】
上記2つの工程において、同定用プライマーは、以下の配列を有するtalB−up/talB−downであった(正しいPCR断片は、約900bpであった)。
talB−up:CGGATGTAGCGAAACTGCAC
talB−down:GACGCTTCGGTGTCATAGGAAAG
【0189】
組換え大腸菌talB37の構築:工程2における出発菌株を組換え菌株M1−37で置き換えた点以外は、組換え大腸菌talB46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0190】
組換え大腸菌talB93の構築:工程2における出発菌株を組換え菌株M1−93で置き換えた点以外は、組換え大腸菌talB46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0191】
配列決定により正しいクローンを検証した後、CAR001のtalB遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46、人工調節領域M1−37、及び人工調節領域M1−93でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌talB46、組換え大腸菌talB37、及び組換え大腸菌talB93とそれぞれ命名した。
【0192】
2.組換え大腸菌talB46、組換え大腸菌talB37、及び組換え大腸菌talB93によるβ−カロテンの産生
【0193】
実施例1と同様の方法で組換え大腸菌talB46(M1−46)、組換え大腸菌talB37(M1−37)、及び組換え大腸菌talB93(M1−93)の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0194】
結果を、
図3に示した。組換え大腸菌talB46(M1−46)、組換え大腸菌talB37(M1−37)、及び組換え大腸菌talB93(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、21.53mg/g、18.22mg/g、及び18.58mg/gであり、talBの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−46がβ−カロテンの収量を17%改善した。
【0195】
実施例6:組換え大腸菌CAR001のクエン酸シンターゼ遺伝子、アコニターゼ遺伝子、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、スクシニルCoAシンテターゼ遺伝子、フマラーゼ遺伝子、及びリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0196】
1.組換え大腸菌CAR001のクエン酸シンターゼ遺伝子の発現強度の改善
【0197】
実施例3のパート1における一段階の相同組換え法と同様に、組換え大腸菌CAR001のクエン酸シンターゼ遺伝子(gltA)の本来の調節領域(配列番号:18)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)で置換し、組換え体GltA46−FKF、組換え体GltA37−FKF、及び組換え体GltA93−FKFをそれぞれ得た。
【0198】
具体的には、以下の通りであった。glta−up−FRT及びglta−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片gltA−M1−46、DNA断片gltA−M1−37、及びDNA断片gltA−M1−93をそれぞれ増幅し、gltA−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌gltA46−FKFを取得し、gltA−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌gltA37−FKFを取得し、gltA−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌gltA46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びgltA−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0199】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
glta−up−FRT:TGTTCCGGAGACCTGGCGGCAGTATAGGCCGTTCACAAAATCATTACAATGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
glta−RBS−down:TCAACAGCTGTGTCCCCGTTGAGGGTGAGTTTTGCTTTTGTATCAGCCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0200】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
gltA−r:TCCAGGTAGTTAGAATCGGTC
【0201】
実施例1の方法で組換え大腸菌GltA46−FKF、組換え大腸菌GltA37−FKF、及び組換え大腸菌GltA93−FKFの発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0202】
結果を、
図2に示す。gltAの調節後、組換え大腸菌GltA46−FKF、組換え大腸菌GltA37−FKF、及び組換え大腸菌GltA93−FKFのβ−カロテンの収量は、それぞれ、23.74mg/g、24.66mg/g、及び24.84mg/gであり、CAR001と比較して、最大でM1−93がβ−カロテンの収量を35%改善した。
【0203】
2.組換え大腸菌CAR001のアコニターゼ遺伝子(アコニット酸ヒドラターゼ)の発現強度の改善
【0204】
実施例3のパート1における一段階の相同組換えの工程と同様に、組換え大腸菌CAR001のアコニターゼ遺伝子(acnA)の本来の調節領域(配列番号:19)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、AcnA46−FKF、AcnA37−FKF、及びAcnA93−FKFを得た。
【0205】
具体的には、以下の通りであった。acnA−up−FRT及びacnA−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片acnA−M1−46、acnA−M1−37、及びacnA−M1−93をそれぞれ増幅し、acnA−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌acnA46−FKFを取得し、acnA−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌acnA37−FKFを取得し、acnA−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌acnA46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びacnA−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0206】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
acnA−up−FRT:TAGAACTGTTTGCTGAAGATGATCAGCCGAAACAATAATTATCATCATTCGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
acnA−RBS−down:TCTTTGGCCTGCAACGTGTCCTTACTGGCTTCTCGTAGGGTTGACGACATAGCTGTTTCCTGGTT
【0207】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
acnA−r:GTAAAGTCCTGCATCAGCAC
【0208】
実施例1の方法で組換え大腸菌AcnA46−FKF、AcnA37−FKF、及びAcnA93−FKFの発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0209】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌AcnA46−FKF、組換え大腸菌AcnA37−FKF、及び組換え大腸菌AcnA93−FKFのβ−カロテンの収量は、それぞれ、20.61mg/g、19.87mg/g、及び18.95mg/gであり、acnAの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−46がβ−カロテンの収量を12%改善した。
【0210】
3.組換え大腸菌CAR001のイソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0211】
実施例3のパート1の方法で、組換え大腸菌CAR001のイソクエン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(icd)の本来の調節領域(配列番号:20)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、Icd46−FKF、Icd37−FKF、及びIcd93−FKFを得た。
【0212】
具体的には、以下の通りであった。icd−up−FRT及びicd−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片icd−M1−46、DNA断片icd−M1−37、及びDNA断片icd−M1−93をそれぞれ増幅し、icd−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌icd46−FKFを取得し、icd−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌icd37−FKFを取得し、icd−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌icd46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びicd−rを用いてPCRにより同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0213】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
icd−up−FRT:ATAGCCTAATAACGCGCATCTTTCATGACGGCAAACAATAGGGTAGTATTGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
icd−RBS−down:TGCAGGGTGACTTCTTGCCTTGTGCCGGAACAACTACTTTACTTTCCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0214】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
icd−r:ACCGGTGTAAATTTCCATCC
【0215】
実施例1の方法で組換え大腸菌Icd46−FKF、組換え大腸菌Icd37−FKF、及び組換え大腸菌Icd93−FKFの発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0216】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌Icd46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌Icd37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌Icd93−FKF(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、21.16mg/g、16.93mg/g、及び19.87mg/gであり、icdの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−46がβ−カロテンの収量を15%改善した。
【0217】
4.組換え大腸菌CAR001のスクシニルCoAシンテターゼ遺伝子の発現強度の改善
【0218】
実施例3のパート1における一段階の相同組換えの工程と同様に、組換え大腸菌CAR001のスクシニルCoAシンテターゼ遺伝子(SucCD)の本来の調節領域(配列番号:21)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、SucCD46−FKF、SucCD37−FKF、及びSucCD93−FKFを得た。
【0219】
具体的には、以下の通りであった。sucC−up−FRT及びsucC−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片sucC−M1−46、DNA断片sucC−M1−37、及びDNA断片sucC−M1−93をそれぞれ増幅し、sucC−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌sucC46−FKFを取得し、sucC−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌sucC37−FKFを取得し、sucC−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌sucC46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びsucC−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0220】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
sucC−up−FRT:a
TTCGGTCTACGGTTTAAAAGATAACGATTACTGAAGGATGGACAGAACACGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
sucC−RBS−down:AAGCCATAGCGGGCAAAAAGTTGTTTTGCCTGATATTCATGTAAGTTCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0221】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
sucC−r:TGATACGTTACCAGACGCTT
【0222】
実施例1の方法で組換え大腸菌SucCD46−FKF、組換え大腸菌SucCD37−FKF、及び組換え大腸菌SucCD93−FKFの発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0223】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌SucCD46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌SucCD37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌SucCD93−FKF(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、19.32mg/g、20.42mg/g、及び20.06mg/gであり、sucCDの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−37がβ−カロテンの収量を11%改善した。
【0224】
5.組換え大腸菌CAR001のフマラーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0225】
実施例3のパート1における一段階の相同組換えの工程と同様に、組換え大腸菌CAR001のフマラーゼA遺伝子(フマラーゼA,fumA)の本来の調節領域(配列番号:22)、及びフマラーゼC遺伝子(フマラーゼC,fumC)の本来の調節領域(配列番号:23)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、FumA46−FKF、FumA37−FKF、FumA93−FKF、FumC46−FKF、FumC37−FKF、及びFumC93−FKFを得た。
【0226】
具体的には、以下の通りであった。即ち、fumA−up−FRT及びfumA−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片fumA−M1−46、DNA断片fumA−M1−37、及びDNA断片fumA−M1−93をそれぞれ増幅し、fumA−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌fumA46−FKFを取得し、fumA−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌fumA37−FKFを取得し、fumA−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌fumA46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びfumA−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0227】
fumC−up−FRT及びfumC−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片fumC−M1−46、DNA断片fumC−M1−37、及びDNA断片fumC−M1−93をそれぞれ増幅し、fumC−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌fumC46−FKFを取得し、fumC−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌fumC37−FKFを取得し、fumC−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌fumC46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びfumC−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0228】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
fumA−up−FRT:GGAGCCGCAAAAAGTCGTACTAGTCTCAGTTTTTGTTAAAAAAGTGTGTAGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
fumA−RBS−down:TCTTTTTTGAGTGGAAAAGGAGCCTGATAATGAAAGGGTTTGTTTGACATAGCTGTTTCCTGGTT
fumC−up−FRT:CTCACACAGTGCACTCGCTGTGTGAAATAAACAGAGCCGCCCTTCGGGGCGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
fumC−RBS−down:GGGACATCAATCGCCCCCATCGAATCTTTTTCGCTGCGTACTGTATTCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0229】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
fumA−r:CGAGTAGCGCAAATTATCTT
fumC−r:ATTCGTCGTCATGCTGTC
【0230】
実施例1の方法で組換え大腸菌FumA46−FKF、組換え大腸菌FumA37−FKF、組換え大腸菌FumA93−FKF、組換え大腸菌FumC46−FKF、組換え大腸菌FumC37−FKF、及び組換え大腸菌FumC93−FKFの発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0231】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌FumA46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌FumA37−FKF(M1−37)、組換え大腸菌FumA93−FKF(M1−93)、組換え大腸菌FumC46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌FumC37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌FumC93−FKF(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、18.95mg/g、20.24mg/g、16.01mg/g、19.50mg/g、18.4mg/g、及び19.87mg/gであり、fumAの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−37がβ−カロテンの収量を10%改善し、fumCの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−93がβ−カロテンの収量を8%改善した。
【0232】
6.組換え大腸菌CAR001のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0233】
実施例3のパート1における一段階の相同組換えの工程と同様に、組換え大腸菌CAR001のリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(mdh)の本来の調節領域(配列番号:24)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、Mdh46−FKF、Mdh37−FKF、及びMdh93−FKFを得た。
【0234】
具体的には、以下の通りであった。即ち、mdh−up−FRT及びmdh−RBS−downをプライマーとし、組換え菌株M1−46、組換え菌株M1−37、及び組換え菌株M1−93をテンプレートとして、1800bpのDNA断片mdh−M1−46、DNA断片mdh−M1−37、及びDNA断片mdh−M1−93をそれぞれ増幅し、mdh−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌mdh46−FKFを取得し、mdh−M1−37及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌mdh37−FKFを取得し、mdh−M1−46及び大腸菌CAR001の相同組換えの後、組換え大腸菌mdh46−FKFを取得し、これらを、kan−f及びmdh−rを用いてPCRで同定し、正しいPCR断片は約900bpであった。
【0235】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
mdh−up−FRT:AGAAACATGCCTGCGTCACGGCATGCAAATTCTGCTTAAAAGTAAATTGTGTAGGCTGGAGCTGCTTC
mdh−RBS−down:GCAAGCGCCTGGCCAATACCGCCAGCAGCGCCGAGGACTGCGACTTTCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0236】
PCRでの検証用のプライマーは、以下の配列を有していた。
kan−f:CCGTGATATTGCTGAAGAG
mdh−r:CCTGAAGAAGGCTGAAATA
【0237】
実施例1の方法で組換え大腸菌Mdh46−FKF、組換え大腸菌Mdh37−FKF、及び組換え大腸菌Mdh93−FKFの発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0238】
結果を、
図2に示す。組換え大腸菌Mdh46−FKF(M1−46)、組換え大腸菌Mdh37−FKF(M1−37)、及び組換え大腸菌Mdh93−FK(M1−93)Fのβ−カロテンの収量は、それぞれ、18.77mg/g、18.95mg/g、及び18.77mg/gであり、mdhの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−37がβ−カロテンの収量を3%改善した。
【0239】
実施例7:組換え大腸菌CAR001のグルコース−6−リン酸1−デヒドロゲナーゼ遺伝子及びトランスケトラーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0240】
1.組換え大腸菌CAR001のグルコース−6−リン酸1−デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0241】
実施例5と同様の方法で、組換え大腸菌CAR001のグルコース−6−リン酸1−デヒドロゲナーゼ遺伝子(zwf)の本来の調節領域(配列番号:25)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、組換え大腸菌zwf46、zwf37、及びzwf93を得た。
【0242】
組換え大腸菌zwf46の構築(二段階の相同組換え):
【0243】
工程1:出発ベクターがpXZ002プラスミドであり、増幅用プライマーがzwf−cat−up及びzwf−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌CAR001である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0244】
工程2:出発菌株がM1−46であり、増幅用プライマーがzwf−up−P及びzwf−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌zwf46を得た。
【0245】
組換え大腸菌zwf37の構築:工程2における出発菌株を組換え菌株M1−37で置き換えた点以外は、組換え大腸菌zwf46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。組換え大腸菌zwf93の構築:工程2における出発菌株を組換え菌株M1−93で置き換えた点以外は、組換え大腸菌zwf46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0246】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
zwf−cat−up:ATCAGTTTTGCCGCACTTTGCGCGCTTTTCCCGTAATCGCACGGGTGGATAAGTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
zwf−cat−down:CCAGGGTATACTTGTAATTTTCTTACGGTGCACTGTACTGCTTTTACGAGCTTGTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
zwf−up−P:ATCAGTTTTGCCGCACTTTGCGCGCTTTTCCCGTAATCGCACGGGTGGATAAGTTATCTCTGGCGGTGTTGAC
zwf−RBS−down:GCGCCGAAAATGACCAGGTCACAGGCCTGGGCTGTTTGCGTTACCGCCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0247】
上記2つの工程において、同定用プライマーは、以下の配列を有するzwf−up及びzwf−downであった(正しいPCR断片は、約900bpであった)。
【0248】
ApI−up:TTATCTCTGGCGGTGTTGAC
zwf−down:CGGTTTAGCATTCAGTTTTGCC
【0249】
実施例1の方法で組換え大腸菌zwf46、組換え大腸菌zwf37、及び組換え大腸菌zwf93の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0250】
結果を、
図3に示した。組換え大腸菌zwf46(M1−46)、組換え大腸菌zwf37(M1−37)、及び組換え大腸菌zwf93(M1−93)のβ−カロテンの収量は、それぞれ、19.32mg/g、18.4mg/g、及び19.14mg/gであり、zwfの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−46がβ−カロテンの収量を5%改善した。
【0251】
2.組換え大腸菌CAR001のトランスケトラーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0252】
実施例5と同様の方法で、組換え大腸菌CAR001のトランスケトラーゼ遺伝子(tktA)の本来の調節領域(配列番号:26)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)、人工調節領域M1−37(配列番号:10)、及び人工調節領域M1−93(配列番号:11)でそれぞれ置換し、組換え菌株tktA46、組換え菌株tktA37、及び組換え菌株tktA93を得た。
【0253】
組換え大腸菌tktA46の構築(二段階の相同組換え):
【0254】
工程1:出発ベクターがpXZ002プラスミドであり、増幅用プライマーがtktA−cat−up及びtktA−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌CAR001である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0255】
工程2:出発菌株がM1−46であり、増幅用プライマーがtktA−up−P及びtktA−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得た中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌zwf46を得た。
【0256】
上記2つの工程において、同定用プライマーは、以下の配列を有するtktA−up及びtktA−downであった(正しいPCR断片は、約900bpであった)。
【0257】
tktA−up:TCAGGAAATCACGCCACA
tktA−down:ATCCGTCATCATATCCATCA
【0258】
組換え大腸菌tktA37の構築:工程2における出発菌株を組換え菌株M1−37で置き換えた点以外は、組換え大腸菌tktA46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0259】
組換え大腸菌tktA93の構築:工程2における出発菌株を組換え菌株M1−93で置き換えた点以外は、組換え大腸菌tktA46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0260】
使用したプライマーは、以下の通りであった。
tktA−cat−up:AAATGCGCCGTTTGCAGGTGAATCGACGCTCAGTCTCAGTATAAGGAAGCGTTGGCCGATTCATTA
tktA−cat−down:TCCATGCTCAGCGCACGAATAGCATTGGCAAGCTCTTTACGTGAGGACATGGAGAAAATACCGCATCAGG
tktA−up−P:AAATGCGCCGTTTGCAGGTGAATCGACGCTCAGTCTCAGTATAAGGAATTATCTCTGGCGGTGTTGAC
tktA−RBS−down:TCCATGCTCAGCGCACGAATAGCATTGGCAAGCTCTTTACGTGAGGACATAGCTGTTTCCTGGTT
【0261】
実施例1の方法で組換え大腸菌tktA46、組換え大腸菌tktA37、及び組換え大腸菌tktA93の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0262】
結果を、
図3に示した。組換え大腸菌tktA46、組換え大腸菌tktA37、及び組換え大腸菌tktA93のβ−カロテンの収量は、それぞれ、20.98mg/g、20.24mg/g、及び21.34mg/gであり、tktAの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−93がβ−カロテンの収量を16%改善した。
【0263】
実施例8:組換え大腸菌CAR001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子及びコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の組合せの発現強度の改善
【0264】
組換え大腸菌SucAB46及び組換え大腸菌SucAB37は、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(sucAB)の本来の調節領域(配列番号:15)が人工調節領域M1−46(配列番号:14)及び人工調節領域M1−37(配列番号:10)でそれぞれ置換された組換え大腸菌CAR001に由来したものである。
【0265】
組換え大腸菌SucAB46の構築(二段階の相同組換え):
【0266】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがSucAB−cat−up及びSucAB−cat−downであり、形質転換される菌株が組換え大腸菌CAR001であり、約3400bpのDNA断片Iが得られる点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0267】
工程2:出発菌株がM1−46であり、増幅用プライマーがSucAB−up−P及びSucAB−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌SucAB46を得た。
【0268】
工程1における増幅用プライマーは、以下の通りであった。
SucAB−cat−up:GGTAGTATCCACGGCGAAGTAAGCATAAAAAAGATGCTTAAGGGATCACGTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
SucAB−cat−down:CCAGAGAGGTAAGAAGAGTCCAACCAGGCTTTCAAAGCGCTGTTCTGCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0269】
工程2における増幅用プライマーは、以下の配列を有するSucAB−up−P/SucAB−RBS−downであった。
SucAB−up−P:GGTAGTATCCACGGCGAAGTAAGCATAAAA
【0270】
上記2つの工程において、同定用プライマーは、以下の通りであった(約400bpの増幅断片が陽性であった)。
ApI−up:TTATCTCTGGCGGTGTTGAC
sucAB−r:GAAATATTCACGCGTTTGAG
【0271】
組換え大腸菌SucAB37の構築:工程2における出発菌株がM1−37であった点以外は、組換え大腸菌SucAB46と実質的に同一の方法で、約200bpのDNA断片IIを得た。
【0272】
配列決定により正しいクローンを検証した後、CAR001のsucAB遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46及び人工調節領域M1−37でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌SucAB46及び組換え大腸菌SucAB37と命名した。組換え菌株sdhABCD46及び組換え菌株sdhABCD37は、組換え大腸菌CAR001のコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(sdhABCD)の本来の調節領域(配列番号:16)を、人工調節領域M1−46及び人工調節領域M1−37でそれぞれ置換したものであった。
【0273】
同様の方法で工程1における増幅に用いたプライマーは以下の通りであり、約3400bpのDNA断片Iが得られた。
SdhABCD−cat−up:ACTTTGTTGAATGATTGTCAAATTAGATGATTAAAAATTAAATAAATGTTTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
SdhABCD−cat−down:TTAACAGGTCTTTGTTTTTTCACATTTCTTATCATGAATAACGCCCACATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0274】
工程2における増幅用プライマーは、以下の配列を有するSdhABCD−up−P/SdhABCD−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られた。
SdhABCD−up−P:ACTTTGTTGAATGATTGTCAAATTAGATGATTAAAAATTAAATAAATGTTTTATCTCTGGCGGTGTTGAC
SdhABCD−RBS−down:TTAACAGGTCTTTGTTTTTTCACATTTCTTATCATGAATAACGCCCACATAGCTGTTTCCTGGTT
【0275】
PCRでの検証用プライマーは、以下の配列を有していた(約400bpの増幅断片が陽性であった)。
ApI−up:TTATCTCTGGCGGTGTTGAC
sdhABCD−r:AATTTGACGAAGAAGCTGC
【0276】
配列決定により正しいクローンを検証した後、CAR001のsdhABCD遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46及び人工調節領域M1−37でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌sdhABCD46及び組換え大腸菌sdhABCD37と命名した。
【0277】
工程1で形質転換される菌株がSucAB46又はSucAB37である以外は、組換え大腸菌sdhABCD46及び組換え大腸菌sdhABCD37と実質的に同一の方法で、SucAB46及びSucAB37のsdhABCD遺伝子の発現を、人工調節領域M1−46及び人工調節領域M1−37でそれぞれ調節した。配列決定により正しいクローンを検証した後、SucAB46及びSucAB37のsdhABCD遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46及び人工調節領域M1−37でそれぞれ置換された菌株を、組換え大腸菌SucAB46−sdhABCD46、組換え大腸菌SucAB46−sdhABCD37、組換え大腸菌SucAB37−sdhABCD46、及び組換え大腸菌SucAB37−sdhABCD37と命名した。
【0278】
2.β−カロテンの産生
【0279】
実施例1の方法で組換え大腸菌SucAB46、組換え大腸菌SucAB37、組換え大腸菌sdhABCD46、組換え大腸菌sdhABCD37、組換え大腸菌SucAB46−sdhABCD46、組換え大腸菌SucAB46−sdhABCD37、組換え大腸菌SucAB37−sdhABCD46、及び組換え大腸菌SucAB37−sdhABCD37の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0280】
結果を、
図4に示した。組換え大腸菌SucAB46、組換え大腸菌SucAB37、組換え大腸菌sdhABCD46、組換え大腸菌sdhABCD37、組換え大腸菌SucAB46−sdhABCD46、組換え大腸菌SucAB46−sdhABCD37、組換え大腸菌SucAB37−sdhABCD46、及び組換え大腸菌SucAB37−sdhABCD37のβ−カロテンの収量は、それぞれ、23.77mg/g、22.59mg/g、22.76mg/g、20.72mg/g、27.78mg/g、22.45mg/g、24.47mg/g、及び11.96mg/gであり、分かるように、sucABの調節後、CAR001と比較して、最大でM1−46がβ−カロテンの収量を29%改善し、これをCAR002(SucAB46)と再命名し、sucAB及びsdhABCDの組合せの調節後、CAR001と比較して、最大でSucAB46−sdhABCD46がβ−カロテンの収量を51%改善し、これをCAR004と再命名した。
【0281】
実施例9:β−カロテンの産生量を改善するための、組換え大腸菌CAR001のTCA機能モジュール及びPPP機能モジュールの組合せの組換え
【0282】
1.組換え大腸菌CAR001のTCA機能モジュール及びPPP機能モジュールの組合せの組換え
【0283】
組換え大腸菌CAR003は、組換え大腸菌SucAB46(実施例8から得られた)のtalB遺伝子の本来の調節領域(配列番号:17)を、人工調節領域M1−46で置換したものであった。
【0284】
具体的には、以下の通りであった。
【0285】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがtalB−cat−up及びtalB−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌SucAB46である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0286】
工程2:出発菌株がM1−46であり、増幅用プライマーがtalB−up−p及びtalB−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌CAR003を得た。
【0287】
2つの工程において、同定用プライマーは、talB−up及びtalB−downであった(得られる約900bpの断片が陽性であった)。
【0288】
配列決定により正しいクローンを検証した後、SucAB46のtalB遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46で置換された菌株を、組換え大腸菌CAR003と命名した。
【0289】
組換え大腸菌CAR005は、工程1における出発菌株をCAR004で置換した以外は、組換え大腸菌CAR003と実質的に同一に方法で、組換え大腸菌CAR004(実施例8から得られた)のtalB遺伝子の本来の調節領域(配列番号:17)を、人工調節領域M1−46で置換したものであった。
【0290】
2.β−カロテンの産生
【0291】
実施例1の方法で組換え大腸菌CAR005の発酵培養を行い、β−カロテンの収量を測定した。
【0292】
結果を、表2に示す。CAR001と比較して、CAR005のβ−カロテンの収量は、64%改善した。
【0293】
【表2】
(表2:組換え大腸菌CAR001のTCA機能モジュール及びPPP機能モジュールの組合せの組換え、及びβ−カロテンの産生量の改善)
【0294】
実施例10:組換え大腸菌CAR005の高密度発酵
【0295】
組換え大腸菌CAR005の高密度発酵を、7Lの発酵タンク(Labfors 4;Infors Biotechnoligy Co. Ltd.)中で、以下の方法により行った。即ち、単一コロニーをチューブ内の4mLのLB培地に採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、菌株溶液の1%の量、即ち、チューブからの300μLの菌株溶液を、250mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の50mLの培地に接種し、37℃、250rpmで24時間培養した後、その菌株容器を、即ち高密度発酵用のシードとした。その高密度発酵は、合成培地を用いて行った。7Lの発酵タンクを、3Lの発酵培地、及び300mLのシード溶液で充填した。
【0296】
発酵培地の成分(g/L)は、10gのグリセロール、1.7gのクエン酸、10.5gのKH
2PO
4・3H
2O、6gの(NH
4)
2HPO
4、3.44gのMgSO
4・7H
2O、及び10mLの微量元素溶液であった。微量元素溶液の成分(g/L)は、10gのFeSO
4・7H
2O、5.25gのZnSO
4・7H
2O、3.0gのCuSO
4・5H
2O、0.5g のMnSO
4・4H
2O、0.23gのNa
2B
4O
7・10H
2O、2.0gのCaCl
2、及び0.1gの(NH
4)
6Mo
7O
24であった。
【0297】
発酵は、37℃で、空気流量5L/分間、溶存酸素を30%に制御し、溶存酸素との関連で回転速度600rpm〜1200rpmで行った。pHは、5Mのアンモニアで7.0に調整した。補充培地の成分(g/L)は、500gのグリセロール、15gのペプトン、30gの酵母エキス、及び30gのMgSO
4・7H
2Oであった。
【0298】
発酵は、シミュレートされた指数的流加モードで行い、発酵を通して、グリセロールの濃度を0.5g/L未満に維持し、酢酸の収量を0.2g/L未満に維持し、平均供給速度を20mL/hとした。
【0299】
9時間の発酵後、2mLの菌株溶液を4時間毎に採取し、14000rpmで3分間遠心分離し、滅菌水で洗浄し、上清を廃棄し、−20℃の冷凍庫に保存した。使用前に、試料にアセトンを1mL加え、55℃で暗所にて15分間抽出し、14000rpmで10分間遠心分離した。HPLC(Agilent Technologiesの高速液体クロマトグラフ:1260インフィニティ)によりβ−カロテンの含有量を測定するために、その上清を使用した。
【0300】
標準品のβ−カロテン(米国のSigma(カタログ番号:C4582))を−80℃で維持し、受領後直ちに検量線を求めるために使用し、β−カロテンを上清から抽出したときに、その含有量を直ちにHPLCで(上記の方法で)測定し、β−カロテンの含有を実証した(上清は黄色を示したが、菌株はアセトンで抽出後に黄色から白色となり、HPLCアッセイでは、試料は標準品と同一のβ−カロテンの出現時間を有しており(出現時間17.2分)、β−カロテンの含有を確認した)。
【0301】
発酵の結果を、
図5に示した。高密度発酵は100時間であり、70時間で細胞が安定期に入り、最終的なOD
600は146であり、乾燥細胞重量で47.16g/Lの乾燥重量であった。β−カロテンの収量は、最初の56時間は増加し続け、最大収量2.16g/L、細胞当たりの乾燥細胞重量で最大収量60mg/gであった。
【0302】
実施例11:組換え大腸菌CAR001のcrtXY遺伝子の欠失、及びリコピンの産生
【0303】
1.組換え大腸菌CAR001のcrtXY遺伝子の欠失、及び組換え菌株LYC001の構築
【0304】
組換え菌株LYC001は、具体的には以下のようにして、相同組換えにより、組換え大腸菌CAR001のβ−カロテン合成遺伝子クラスターからのβ−カロテンシクラーゼ遺伝子crtX及びリコピンβ−シクラーゼ遺伝子crtYの欠失により得た。
【0305】
実施例1のパートIIと同様の手順:
【0306】
工程1:pLOI4162のプラスミドDNAをテンプレートとし、プライマーCrtE−taa−cat−f/CrtI−atg−cat−rを用い、クロロマイセチン遺伝子及びレバンスクローストランスフェラーゼ遺伝子を含む断片である4000bpのDNA断片Iを増幅した。
【0307】
CrtE−taa−cat−f:ACCATTTTGTTCAGGCCTGGTTTGAGAAAAAACTCGCTGCCGTCAGTTAATGTGACGGAAGATCACTTCGCA
CrtI−atg−cat−r:GCCAGAGCCAGACCACCAAAGCCTGCGCCAATTACTGTAGTTCTATTCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0308】
工程2:工程1で得られたDNA断片Iを、pKD46を有する大腸菌CAR001に電気的に形質転換し、菌株JZ001を得た。
【0309】
工程3:pTrc99A−M−crtのプラスミドDNAをテンプレートとし、プライマーcrtE−r/crtI−RBS−Fを用いて増幅し、約7000bpのPCR産物を得た。
【0310】
CrtE−r:TTAACTGACGGCAGCGAGTT
CrtI−RBS−F:CTAAGGAGATATACCATGAATAGAACTACAGTAATTGGCGC
【0311】
工程4:工程3の増幅で得られた約7000bpのPCR産物を、リン酸化及び自己連結し、第二の相同組換えにおいて用いるためのプラスミドpTrc99A−M−crtEIBを得た。このプラスミドは、ゲラニルゲラニル二リン酸シンターゼ遺伝子crtE、フィトエンデサチュラーゼ遺伝子crtI、及びフィトエンシンターゼ遺伝子crtBからなる遺伝子クラスターであるリコピン合成遺伝子クラスターを含む組換えベクターである。
【0312】
工程5:pTrc99A−M−crtEIBのプラスミドDNAをテンプレートとし、プライマーcrtE−f/crtI−484−rを用いて増幅し、約1500bpのDNA断片IIを得た。
【0313】
CrtE−f:atgatgacggtctgtgcagaa
crtI−484−r:TTAACTGACGGCAGCGAGTT
【0314】
工程6:工程5で得られた約1500bpのDNA断片IIを、pKD46プラスミドを有するJZ001に電気的に形質転換し、crtXY遺伝子を欠失した菌株を取得し、これをLYC001と命名した。
【0315】
2.組換え大腸菌LYC001の発酵によるリコピンの産生
【0316】
組換え大腸菌LYC001の単一コロニーを、チューブ内の4mLのLB培地に採取し、37℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%の量の一晩培養したシード溶液を、100mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の10mLのLB培地に接種し、37℃、250rpmで暗所にて24時間培養後、リコピンの収量を測定するために、各試料につき3つずつ試料を採取した。
【0317】
リコピンの検量線の決定:リコピンの標準品(P/N:L9879)はSigmaにより供給され、これを受領後直ちに、検量線を決意するために使用し、濾過に使用したフィルターは、0.45μmのミリポアフィルター(Millpor)であり、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、石油エーテル、及びアセトニトリルは、Merkにより供給されるクロマトグラフィー用の純粋な薬剤であった。
【0318】
50mgのリコピン標準品を正確に秤量し、1mLのジクロロメタンに溶解し、次いで250mLの褐色メスフラスコに移し、石油エーテルで250mLにメスアップして200μg/mLのストック溶液を調製した(−80℃の冷凍庫に保存した)。使用の際に、それをアセトンで段階的に希釈し(2×、4×、8×、16×、32×)、HPLCバイアル中に濾過してHPLC検出を行い(対称性のC18カラム(4.6×250mm、5μm)を用い、カラム温度:30℃、移動相:メタノール:アセトニトリル:ジクロロメタン=21:21:8、負荷量:20μL、負荷時間:20分、DAD光検出、検出波長480nmで行った)、標準品のピーク面積と、リコピンの濃度との関係から、リコピンの検量線を得た。
【0319】
工程2:組換え大腸菌LYC001の単一コロニーを、チューブ内の4mLのLB培地に採取し、37℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%の量の一晩培養したシード溶液を、100mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の10mLのLB培地に接種し、37℃、250rpmで暗所にて24時間培養後、リコピンの収量を測定するために、各試料につき3つずつ試料を採取した。
【0320】
リコピンを上清から抽出後、その含有量を直ちにHPLCで測定し、上清は赤色を示したが、菌株はアセトンで抽出後に赤色から白色となった。HPLCアッセイでは、試料は標準品と同一のリコピンの出現時間を有していた(出現時間11.3分)。
【0321】
結果を、表4に示す。LYC001のリコピンの収量は最大10.49mg/Lであり、LYC001のリコピンの含有量は乾燥細胞重量で最大6.52mg/gであった。
【0322】
実施例12:組換え大腸菌LYC001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善
【0323】
1.組換え大腸菌LYC001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の改善、及び組換え菌株LYC002の構築
【0324】
組換え菌株LYC002は、LYC001から、sucAB遺伝子の本来の調節領域(配列番号:15)を、人工調節領域M1−46(配列番号:14)で置換することにより得られた。
【0325】
具体的な方法は、以下の通りである(二段階の相同組換え):
【0326】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがSucAB−cat−up/SucAB−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌LYC001である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0327】
工程2:出発菌株が組換え菌株M1−46であり、増幅用プライマーがSucAB−up−P/SucAB−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌LYC002を得た。
【0328】
工程1における増幅用プライマーは、以下の通りであった。
SucAB−cat−up:GGTAGTATCCACGGCGAAGTAAGCATAAAAAAGATGCTTAAGGGATCACGTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
SucAB−cat−down:CCAGAGAGGTAAGAAGAGTCCAACCAGGCTTTCAAAGCGCTGTTCTGCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0329】
工程2における増幅用プライマーは、以下の配列を有するSucAB−up−P/SucAB−RBS−downであった。
SucAB−up−P:GGTAGTATCCACGGCGAAGTAAGCATAAAA
【0330】
上記2つの工程において、PCRの同定用プライマーは、以下の通りであった(約400bpの増幅断片が陽性である)。
ApI−up:TTATCTCTGGCGGTGTTGAC
sucAB−r:GAAATATTCACGCGTTTGAG
【0331】
配列決定により正しいクローンを検証した後、LYC001のsucAB遺伝子の調節領域が人工調節領域M1−46で置換された菌株を、組換え大腸菌LYC002と命名した。
【0332】
2.組換え大腸菌LYC002によるリコピンの産生
【0333】
実施例11の方法で組換え大腸菌LYC002の発酵培養を行い、リコピンの収量を測定した。結果を、表4に示す。組換え大腸菌LYC002により10.67mg/gのリコピンが産生され、sucABの調節後、リコピンの収量はLYC001に対して64%改善した。
【0334】
実施例13:組換え大腸菌LYC001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子及びトランスアルドラーゼ遺伝子の発現強度の組合せの調節
【0335】
1.組換え大腸菌LYC001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子及びトランスアルドラーゼ遺伝子の発現強度の組合せの調節
【0336】
組換え大腸菌LYC003は、LYC002のtalB遺伝子の本来の調節領域(配列番号:17)が人工調節領域M1−46で置換されたものである。
【0337】
詳細な方法は、以下の通りであった(二段階の相同組換え):
【0338】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがtalB−cat−up/talB−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌LYC002である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0339】
工程2:出発菌株が組換え菌株M1−46であり、増幅用プライマーがtalB−up−P/talB−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌LYC003を得た。
【0340】
工程1における増幅用プライマーは、以下の通りであった。
talB−cat−up:AGTCTCGCCTGGCGATAACCGTCTTGTCGGCGGTTGCGCTGACGTTGCGTCGTGTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
talB−cat−down:TCATGATAGTATTTCTCTTTAAACAGCTTGTTAGGGGGATGTAACCGGTCTGCTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0341】
工程2における増幅用プライマーは、以下の配列を有するtalB−up−P/talB−RBS−downであった。
talB−up−P:AGTCTCGCCTGGCGATAACCGTCTTGTCGGCGGTTGCGCTGACGTTGCGTCGTGTTATCTCTGGCGGTGTTGAC
talB−RBS−down:AGTGTCGGCCACTACGGTGGTGTACTGACGAAGGGAGGTCAATTTGTCCGTCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0342】
上記2つの工程において、同定用プライマーは、以下の配列を有するtalB−up/talB−downであった(正しいPCR断片は、約900bpであった)。
talB−up:CGGATGTAGCGAAACTGCAC
talB−down:GACGCTTCGGTGTCATAGGAAAG
【0343】
配列決定により正しいクローンを検証した後、LYC002のtalB遺伝子の本来の調節領域が人工調節領域M1−46で置換された菌株を、組換え大腸菌LYC003と命名した。
【0344】
2.組換え大腸菌LYC003によるリコピンの産生
【0345】
実施例11の方法で組換え大腸菌LYC003の発酵培養を行い、リコピンの収量を測定した。
【0346】
結果を、表4に示す。組換え大腸菌LYC003により11.03mg/gのリコピンが産生され、sucAB及びtalBの組合せの調節後、リコピンの収量はLYC001に対して70%改善した。
【0347】
実施例14:組換え大腸菌LYC001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、トランスアルドラーゼ遺伝子、及びコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の組合せの調節
【0348】
I.組換え大腸菌LYC001のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、トランスアルドラーゼ遺伝子、及びコハク酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の発現強度の組合せの調節
【0349】
1.組換え大腸菌LYC005の構築
【0350】
組換え大腸菌LYC005は、組換え大腸菌LYC003のsdhABCD遺伝子の本来の調節領域(配列番号:16)が人工調節領域M1−46で置換されたものであった。
【0351】
詳細な方法は、以下の通りであった(二段階の相同組換え):
【0352】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがSdhABCD−cat−up/SdhABCD−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株が組換え大腸菌LYC002である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様にして、中間体陽性クローンを得た。
【0353】
工程2:出発菌株が組換え菌株M1−46であり、増幅用プライマーがSdhABCD−up−P/SdhABCD−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌LYC005を得た。
【0354】
工程1の増幅用プライマーは、以下の通りであった。
SdhABCD−cat−up:ACTTTGTTGAATGATTGTCAAATTAGATGATTAAAAATTAAATAAATGTTTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
SdhABCD−cat−down:TTAACAGGTCTTTGTTTTTTCACATTTCTTATCATGAATAACGCCCACATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0355】
工程2における増幅用プライマーは、以下の配列を有するSdhABCD−up−P/SdhABCD−RBSであった。
SdhABCD−up−P:ACTTTGTTGAATGATTGTCAAATTAGATGATTAAAAATTAAATAAATGTTTTATCTCTGGCGGTGTTGAC
SdhABCD−RBS−down:TTAACAGGTCTTTGTTTTTTCACATTTCTTATCATGAATAACGCCCACATAGCTGTTTCCTGGTT
【0356】
上記2つの工程における同定用プライマーApI−up及びsdhABCD−rは、以下の通りであった(得られる約400bpの断片が陽性であった)。
ApI−up:TTATCTCTGGCGGTGTTGAC
sdhABCD−r:AATTTGACGAAGAAGCTGC
【0357】
配列決定により正しいクローンを検証した後、LYC003のsdhABCD遺伝子の調節領域が人工調節領域M1−46で置換された菌株を、組換え大腸菌LYC005と命名した。
【0358】
2.組換え大腸菌LYC005による産生
【0359】
実施例11の方法で組換え大腸菌LYC005の発酵培養を行い、リコピンの収量を測定した。
【0360】
結果を、表3に示す。組換え大腸菌LYC005により11.53mg/gのリコピンが産生され、遺伝子sucAB、遺伝子talB、及び遺伝子sdhABCDの調節後、リコピンの収量はLYC001に対して76%改善した。
【0361】
【表3】
(表3:組換え大腸菌LYC001のTCA機能モジュール及びPPP機能モジュールの組合せの組換え、及びβ−カロテンの産生量の改善)
【0362】
実施例15:組換え大腸菌LYC005の高密度発酵
【0363】
組換え大腸菌LYC005の高密度発酵を、7Lの発酵タンク(Labfors 4;Infors Biotechnoligy Co. Ltd.)中で、以下の方法により行った。即ち、単一コロニーをチューブ内の4mLのLB培地に採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、菌株溶液の1%の量、即ち、チューブ内の300μLの菌株溶液を、250mLのTriフラスコ(Tri Flask)内の50mLのLB培地に接種し、37℃、250rpmで12時間培養し、得られた菌株溶液を、高密度発酵用のシードとした。その高密度発酵は、合成培地を用いて行った。7Lの発酵タンクを、3Lの発酵培地、及び300mLのシード溶液で充填した。
【0364】
発酵培地の成分(g/L)は、10gのグリセロール、1.7gのクエン酸、10.5gのKH
2PO
4・3H
2O、6gの(NH
4)
2HPO
4、3.44gのMgSO
4・7H
2O、及び10mLの微量元素溶液であった。微量元素溶液の成分(g/L)は、10gのFeSO
4・7H
2O、5.25gのZnSO
4・7H
2O、3.0gのCuSO
4・5H
2O、0.5gのMnSO
4・4H
2O、0.23gのNa
2B
4O
7・10H
2O、2.0gのCaCl
2、及び0.1gの(NH
4)
6Mo
7O
24であった。
【0365】
発酵は、温度30℃、空気流量4L/分間、溶存酸素を30%に制御して行った。溶存酸素を30%に制御するためには、回転速度を400rpm〜1200rpmで維持して、回転速度を溶存酸素と関連させる必要があり、溶存酸素が回復した(当初の炭素源が枯渇した)後は、常に1200rpmで維持した。pHは、5Mのアンモニアで7.0に調整した。補充培地の成分(g/L)は、500gのグリセロール、15gのペプトン、30gの酵母エキス、及び30gのMgSO
4・7H
2Oであった。
【0366】
発酵は、シミュレートされた指数的流加モード行い、発酵を通して、グリセロールの濃度を0.5g/L未満に維持し、酢酸の収量を0.2g/L未満に維持し、平均供給速度を18mL/hとした。10時間の発酵後、2mLの菌株溶液をを6時間毎に採取し、14000rpmで3分間遠心分離し、滅菌水で洗浄し、上清を廃棄し、−20℃の冷凍庫に保存した。含有量の測定前に、試料にアセトンを1mL加え、55℃で暗所にて15分間抽出し、14000rpmで10分間遠心分離し、その上清を採取してHPLC(Agilent Technologiesの高速液体クロマトグラフ:1260インフィニティ)を用いてリコピンの含有量を測定した。
【0367】
発酵の結果を、
図6に示した。高密度発酵は88時間であり、72時間で細胞が安定期に入り、最終的なOD
600は149であり、乾燥細胞重量で56.55g/Lの重量であった。β−カロテンの収量は、最初の82時間は増加し続け、最大収量0.95g/Lであった。
【0368】
実施例16:大腸菌ATCC8739のsucAB遺伝子の発現強度の改善、及びβ−カロテン及びリコピンの改善
【0369】
I.組換え菌株の大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crt)、大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crt)、大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crtEIB)、及び大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crtEIB)の構築
【0370】
1.組換え菌株8739−SucAB46の構築
【0371】
1)組換え菌株8739−SucAB46の構築
【0372】
組換え大腸菌8739−SucAB46は、ATCC8739のsucAB遺伝子の本来の調節領域(配列番号:15)が人工調節領域M1−46(配列番号:14)で置換された菌株である。
【0373】
詳細な方法は、以下の通りである(二段階の相同組換え):
【0374】
工程1:出発ベクターがpLOI4162プラスミドであり、増幅用プライマーがSucAB−cat−up/SucAB−cat−downであり、約3400bpのDNA断片Iが得られ、形質転換される菌株がATCC8739である点以外は、実施例2のパート1の工程1と同様であった。
【0375】
工程2:出発菌株が組換え菌株M1−46であり、増幅用プライマーがSucAB−up−P/SucAB−RBS−downであり、約200bpのDNA断片IIが得られ、形質転換される菌株が工程1で得られた中間体陽性クローンである点以外は、実施例2のパート1の工程2と同様にして、組換え大腸菌8739−SucAB46を得た。
【0376】
工程1における増幅用プライマーは、以下の通りであった。
SucAB−cat−up:GGTAGTATCCACGGCGAAGTAAGCATAAAAAAGATGCTTAAGGGATCACGTGTGACGGAAGATCACTTCGCA
SucAB−cat−down:CCAGAGAGGTAAGAAGAGTCCAACCAGGCTTTCAAAGCGCTGTTCTGCATTTATTTGTTAACTGTTAATTGTCCT
【0377】
工程2における増幅用プライマーは、以下の配列を有するSucAB−up−P/SucAB−RBS−downであった。
SucAB−up−P:GGTAGTATCCACGGCGAAGTAAGCATAAAA
sucAB−RBS−down:CCAGAGAGGTAAGAAGAGTCCAACCAGGCTTTCAAAGCGCTGTTCTGCATAGCTGTTTCCTGGTT
【0378】
上記2つの工程における同定用プライマーは、以下の通りであった(約400bpの増幅断片が陽性であった)。
ApI−up:TTATCTCTGGCGGTGTTGAC
sucAB−r:GAAATATTCACGCGTTTGAG
【0379】
配列決定により正しいクローンを検証した後、ATCC8739のsucAB遺伝子のプロモーターが人工調節領域M1−46で置換された菌株を、組換え大腸菌8739−SucAB46と命名した。
【0380】
2)α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ(SucAB)の酵素活性アッセイ
【0381】
ATCC8739及び組換え大腸菌8739−SucAB46の単一コロニーを、それぞれ、チューブ内の4mLのLB培地(アンピシリンの最終濃度100μg/mL)に採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%の量の菌株溶液、即ちチューブ内の100μLの菌株溶液を、100mLの小型振とうフラスコ内の10mLの培地に接種し、30℃、250rpmで培養した。対数増殖の中期後期における発酵溶液30mLを50mLの遠心管に入れ、4℃、10000rpmで10分間遠心分離し、上清を廃棄した。100mmol/LのTris−HCl溶液5mLで2回洗浄した後、細胞を100mmol/LのTris−HCl溶液3mLに懸濁し、氷タンク内に配置して20分間超音波処理した。4℃、10000rpmで20分間遠心分離した後、上清を酵素活性アッセイに使用した。α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの酵素活性アッセイ用の反応溶液は、表4に示す組成を有していた。
【0382】
【表4】
(表4:α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの酵素活性アッセイ用の反応溶液の組成)
【0383】
超音波処理し、遠心分離した10μLの上記の上清を添加し、よく混合し、比色計セルに入れ、A
340の変化を記録した。10μLのddH
2Oを添加した反応バッファー溶液を、対照とした。
【0384】
酵素活性単位は、1分間にタンパク質1mg当たりで消費されるNADHのμmolと定義した。
【0385】
大腸菌ATCC8739のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの酵素活性は、0.057U/mgタンパク質であり、組換え大腸菌8739−SucAB46のα−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの酵素活性は、0.12U/mgタンパク質であった。sucAB遺伝子の本来の調節領域を人工調節領域M1−46で置換することで、α−ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼの酵素活性が111%改善した。
【0386】
2.大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crt)、大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crt)、大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crtEIB)、大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crtEIB)
【0387】
プラスミドpTrc99A−M−crt(プラスミドがβ−カロテン合成遺伝子クラスターcrtEXYIBを含む)、及びプラスミドpTrc99A−M−crtEIB(実施例11の工程により構築されたように、プラスミドがリコピン合成遺伝子クラスターcrtEIBを含む)を、ATCC8739及び8739−SucAB46にそれぞれ電気的に形質転換した。電気的形質転換は、以下の条件で行った。まず、電気的に形質転換される大腸菌ATCC8739及び8739−SucAB46のコンピテントセルを調製し、50μLのコンピテントセルを氷上に置き、1μLの対応するプラスミド(約50ng/μL)を添加し、氷上に2分間維持し、次いで0.2cmのBio−Radのキュベットに移し、MicroPulser(Bio−Rad)エレクトロポレーション装置を用い、電圧2.5kVの電気ショック設定値で電気ショックを与えた。電気ショックの後、直ちに1mLのLB培地をキュベットに移し、5回振り、次いでそれをチューブに移し、75rpm、30℃で2時間インキュベートした。50μLの菌株溶液を、アンピシリンを含有するLBプレートに塗布し、37℃で一晩インキュベートした。次いで、液体培養のために5つの陽性の単一コロニーを採取し、消化による検証のために陽性のクローン化されたプラスミドを抽出した。結果から、各々のプラスミドが正常に対応する菌株に形質転換され、大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crt)、大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crt)、大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crtEIB)、及び大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crtEIB)を得たことが示された。
【0388】
II.β−カロテン及びリコピンの産生
【0389】
組換え大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crt)、組換え大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crt)、組換え大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crtEIB)、及び組換え大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crtEIB)の単一コロニーを、それぞれ、チューブ内の4mLのLB培地(アンピシリンの最終濃度100μg/mL)に採取し、30℃、250rpmで一晩培養し、次いで、1%の量の菌株溶液、即ちチューブ内の100μLの菌株溶液を、それぞれ、100mLの小型振とうフラスコ内の10mLの培地に接種し、30℃、250rpmで24時間培養した。次いで、試料を採取してβ−カロテン及びリコピンの収量を測定した。β−カロテンの収量は、実施例1に示す方法で測定し、リコピンの収量は、実施例11に示す方法で測定した。
【0390】
組換え大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crt)のβ−カロテンの収量は0.58mg/gであり、組換え大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crt)のβ−カロテンの収量は0.75mg/gであった。sucABの調節後、β−カロテンの収量は29%改善した。
【0391】
組換え大腸菌ATCC8739(pTrc99A−M−crtEIB)のリコピンの収量は0.12mg/gであり、組換え大腸菌8739−SucAB46(pTrc99A−M−crtEIB)のリコピンの収量は0.38mg/gであった。sucABの調節後、リコピンの収量は217%改善した。