(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337041
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】フレキシブルコンテナ用防塵装置
(51)【国際特許分類】
B65D 90/00 20060101AFI20180528BHJP
B65D 88/22 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
B65D90/00 J
B65D88/22 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-108099(P2016-108099)
(22)【出願日】2016年5月31日
(65)【公開番号】特開2017-214085(P2017-214085A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2017年6月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591173855
【氏名又は名称】杉山重工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 大介
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−085882(JP,A)
【文献】
特開2007−137458(JP,A)
【文献】
特開2009−143627(JP,A)
【文献】
特開2005−307639(JP,A)
【文献】
実開昭62−069490(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3091990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00 − 90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルコンテナを吊り下げるフレキシブルコンテナ吊り下げ体と、
粉粒体タンクの投入口に着脱可能に接続されるタンク投入管と、
タンク投入管に気密に接続する接続具を底面開口に設け、フレキシブルコンテナ吊り下げ体から吊り下げたフレキシブルコンテナを覆うように、フレキシブルコンテナ吊り下げ体に上面開口の周縁部を着脱可能に装着できる透明シート材から成るフレキシブルコンテナカバーを備えたことを特徴とするフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項2】
フレキシブルコンテナ吊り下げ体が、底面開口を有する筒構造を有し、
上面に吸気口を設けるとともにホイストが連結される連結バーを設け、
内部にフレキシブルコンテナを掛止して吊り下げるフレキシブルコンテナ用フックを設け、
外面にフレキシブルコンテナカバーの上面開口端側を掛止するフレキシブルコンテナカバー用フックを設けたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項3】
フレキシブルコンテナカバーにカバー内部に突出する作業用グローブを一体に設けたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項4】
フレキシブルコンテナカバーの底部が中空錐体構造を有し、底部中心部に底面開口を形成したことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項5】
フレキシブルコンテナカバーの底部に複数本の張枠を上下方向に列設して蛇腹構造にしたことを特徴とする請求項4に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項6】
フレキシブルコンテナカバーの上面開口の周縁部に、同周縁部をフレキシブルコンテナ吊り下げ体に密着させる密着手段を設けたことを特徴と請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項7】
密着手段が絞り紐又は面ファスナーであることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【請求項8】
接続具がリング形状を有し、
タンク投入管が、外周部に接続具が嵌合する外筒と、外筒の内側に設けられ、タンクの投入口に接続される内筒からなる2重管構造を有し、外筒にフレキシブルコンテナカバー用集塵口を設けるとともに、外筒に嵌合した接続具を解除可能に固定する固定具を設けたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナカバー用防塵装置。
【請求項9】
接続具に嵌合してフレキシブルコンテナカバーの底面開口を閉じる蓋体を備えたことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルコンテナから粉粒体をホッパー等の粉粒体タンクに投入する際、粉粒体がタンクの投入口の周囲に飛散するのを防止し、あるいは、粉粒体を排出した後にフレキシブルコンテナを移動するとき、同コンテナの表面に付着した粉粒体が飛散するのを防止するフレキシブルコンテナ用防塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルコンテナの一形式として、ポリエチレンやポリプロピレン等の丈夫なシート材を袋状に成型したコンテナが粉粒体の運搬、貯蔵に使用される。この種のコンテナにはクレーンやフォークリフトで持ちあげるときフックを掛止する吊りベルトと、粉粒体をコンテナ内に装入するための上部開口と、粉粒体をコンテナから排出する袋状の排出口が設けられ、排出口は閉じ紐で閉じられ、閉じ紐を解いて開くことができるように構成されている。
【0003】
この種のフレキシブルコンテナをクレーンで持ち上げてタンクの投入口の真上まで移送し、閉じ紐を解いて粉粒体を排出口からタンク内に投入するとき、投入した粉粒体の一部がタンク内から逆流して投入口の周囲に飛散する。また、粉粒体を排出した後にフレキシブルコンテナを移動するとき、同コンテナの表面に付着した粉粒体が飛散する。
【0004】
粉粒体の飛散を防止する手段として、特開2007−137458号公報にはフレキシブルコンテナに被せて使用する防塵カバーが開示されている。 この防塵カバーは底面が開口した筒状の胴部と、胴部の上端部を覆う蓋板部を備え、蓋板部の中央部にフレキシブルコンテナの吊りベルトを挿通する通孔が設けられ、その周囲に上方へ突出するカラーが設けられている。このカラーの周囲に巻回した紐を引き締めると通孔を閉じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−137458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の防塵カバーでフレキシブルコンテナを覆うことにより、粉粒体のタンク投入時に防塵カバーの周囲に粉粒体が飛散するのをある程度防止できる。しかしながら、粉粒体をタンクに投入した後、防塵カバーとともにフレキシブルコンテナをクレーンで持ち上げると、防塵カバーの底面開口から粉粒体がカバー外部に拡散し、周囲の環境が粉粒体で汚染される。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、フレキシブルコンテナから粉粒体をホッパー等の粉粒体タンクに投入する際、粉粒体がタンクの周囲に拡散するのをより確実に防止できるフレキシブルコンテナ用防塵装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、フレキシブルコンテナ用防塵装置であって、
フレキシブルコンテナを吊り下げるフレキシブルコンテナ吊り下げ体と、
粉粒体タンクの投入口に着脱可能に接続されるタンク投入管と、
タンク投入管に気密に接続する接続具を底面開口に設け、フレキシブルコンテナ吊り下げ体から吊り下げたフレキシブルコンテナを覆うように、フレキシブルコンテナ吊り下げ体に上面開口の周縁部を着脱可能に装着できる透明シート材から成るフレキシブルコンテナカバーを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置において、
フレキシブルコンテナ吊り下げ体が、底面開口を有する筒構造を有し、
上面に吸気口を設けるとともにホイストが連結される連結バーを設け、
内部にフレキシブルコンテナを掛止して吊り下げるフレキシブルコンテナ用フックを設け、
外面にフレキシブルコンテナカバーの上面開口端側を掛止するフレキシブルコンテナカバー用フックを設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置において、
フレキシブルコンテナカバーにカバー内部に突出する作業用グローブを一体に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置において、
フレキシブルコンテナカバーの底部が中空錐体構造を有し、底部中心部に底面開口を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置において、
フレキシブルコンテナカバーの底部に複数本の張枠を上下方向に列設して蛇腹構造にしたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置において、
フレキシブルコンテナカバーの上面開口の周縁部に、同周縁部をフレキシブルコンテナ吊り下げ体に密着させる密着手段を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のフレキシブルコンテナ用
防塵装置において、
密着手段が絞り紐又は面ファスナーであることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルコンテナカバー用
防塵装置において、
接続具がリング形状を有し、
タンク投入管が、外周部に接続具が嵌合する外筒と、外筒の内側に設けられ、タンクの投入口に接続される内筒からなる2重管構造を有し、外筒にフレキシブルコンテナカバー用集塵口を設けるとともに、外筒に嵌合した接続具を解除可能に固定する固定具を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルコンテナ用防塵装置において、
接続具に嵌合してフレキシブルコンテナカバーの底面開口を閉じる蓋体を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明に係るフレキシブルコンテナ用防塵装置では、フレキシブルコンテナ吊り下げ体からフレキシブルコンテナを吊り下げ、フレキシブルコンテナカバーで覆う。そして、吊り下げたフレキシブルコンテナをタンクの投入口の真上まで移送し、タンクの投入口に接続したタンク投入管にフレキシブルコンテナカバーの底面開口の接続具を接続する。ついで、透明なフレキシブルコンテナカバーの上からフレキシブルコンテナカバーの排出口を閉じている紐を手で解いて排出口を開き、フレキシブルコンテナカバーの粉粒体をタンクに投入する。
しかして、本発明によれば、フレキシブルコンテナをフレキシブルコンテナカバーで覆うとともに、フレキシブルコンテナカバーの底面開口をタンク投入管に気密に接続するので、粉粒体のタンク投入時、タンク投入口から粉粒体が逆流して投入口の周囲に飛散してもフレキシブルコンテナカバーの外部には拡散しないので、粉粒体でタンク周囲の環境が害されるのを防止できる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、フレキシブルコンテナ用フックにフレキシブルコンテナを掛止して吊り下げ、フレキシブルコンテンカバー用フックにフレキシブルコンテンカバーを掛止することによりフレキシブルコンテナをフレキシブルコンテナカバーで覆うことができ、フレキシブルコンテナとフレキシブルコンテナカバーをフレキシブルコンテナ吊り下げ体に装着する作業を容易、迅速に行える。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、フレキシブルコンテナカバーで覆われているフレキシブルコンテナの排出口を閉じている紐を、作業用グローブに通した手で解くことができるので、紐解き作業を迅速に行える。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、フレキシブルコンテンカバーの底部を錐体構造にしたので、タンク投入時にフレキシブルコンテナカバー内に落下、若しくは飛散した粉粒体あるいはフレキシブルコンテナカバー内で発生した塵埃が、フレキシブルコンテナカバーの底部の下降傾斜に沿って底面開口へと流入し、底面開口からタンク投入管を通ってタンクに流入する。そのため、フレキシブルコンテナ内の粉粒体を迅速にタンクに投入できる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、フレキシブルコンテナカバーの底部を蛇腹構造にしたので、同カバーを折り畳むとき、皺や弛みが生じ難くなり、畳易い。
【0022】
請求項6又は請求項7に記載の発明によれば、フレキシブルコンテナカバーの上面開口の周縁部をフレキシブルコンテナ吊り下げ体に密着することができ、フレキシブルコンテナカバーとフレキシブルコンテナ吊り下げ体との隙間から粉粒体が同カバーの外部に飛散するのを防止できる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、フレキシブルコンテナカバーの底部開口に設けた接続具を外筒に嵌合して固定具で固定することにより、フレキシブルコンテナカバーの底部開口とタンクの投入口が内筒を介して連通されるので、フレキシブルコンテナから粉粒体をタンクに投入できる。また、外筒に集塵口を設けたので、集塵口に集塵機を接続し、フレキシブルコンテナの排出口からフレキシブルコンテナ内部に飛散した粉粒体を吸引でき、フレキシブルコンテナカバーの内部から外部へ粉粒体が拡散するのを防止できる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、使用しないときフレキシブルコンテナカバーの底面開口を蓋体で閉じることにより同カバー内に残留する粉粒体がカバー外部に拡散するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例に係るフレキシブルコンテナ用防塵装置の概略構造を示す説明図である。
【
図2】同防塵装置のフレキシブルコンテナ吊り下げ体と、フレキシブルコンテナ及びフレキシブルコンテナカバーを示す斜視図である。
【
図3】同防塵装置のフレキシブルコンテナカバーの底部を示す部分図である。
【
図4】同防塵装置のフレキシブルコンテナカバーの底部とタンク投入管を示す斜視図である。
【実施例】
【0026】
以下に本発明を図面に基づき説明する。
図1には本発明の一実施例に係るフレキシブルコンテナ用防塵装置が示されている。当該防塵装置10は、フレキシブルコンテナ11を吊り下げるフレキシブルコンテナ吊り下げ体12と、フレキシブルコンテナカバー13と、粉粒体タンク14の投入口に着脱可能に接続されるタンク投入管15及び張枠受けリング16を備えている。
【0027】
図2に示すように、フレキシブルコンテナ11はポリエチレンやポリプロピレン等の丈夫なシート材から成る袋構造を有し、クレーンやフォークリフトで持ちあげるときフックを掛止する吊りベルト11aと、粉粒体をコンテナ11内に装入するための袋状の上部開口11bと、粉粒体をコンテナ11から排出する袋状の排出口11cが設けられ、上部開口11bと排出口11cは閉じ紐で閉じられ、閉じ紐を解いて開くことができるように構成されている。
【0028】
鉄板製のフレキシブルコンテナ吊り下げ体12は底面開口を有する浅い筒構造を有し、上面中央部に吸気口12aが設けられ、吸気口12aにクレーンのホイスト17が連結される連結バー12bが設けられている。好ましくは、吸気口12にフィルターを着脱可能に被せ、吸気口12から粉粒体が外部へ拡散するのを防止する。フレキシブルコンテナ吊り下げ体12の内周面にはフレキシブルコンテナ11の吊りベルト11aを掛止してフレキシブルコンテナ11を吊り下げるフレキシブルコンテナ用フック12cが設けられている。また、フレキシブルコンテナ吊り下げ体12の上面には、フレキシブルコンテナカバー13の上面開口端側を掛止するフレキシブルコンテナカバー用フック12dが設けられている。
【0029】
フレキシブルコンテナカバー13は塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の軟質透明プラスチックシート材で成形され、
図3に示すように、上端面開口を有する直胴部13aと、直胴部13aの下端部から連続する中空錐体構造の底部13bを備えている。フレキシブルコンテナカバー13の底部13bには複数本の張枠13cが上下方向に等間隔で設けられ、これに張枠13cによって底部13bが蛇腹構造に構成されている。
【0030】
底部13bの中心部に底面開口13dが形成され、底面開口13dに金属製の接続リング13eが固着され、接続リング13eにパッキン13fが貼り付けられている。また、底部13bの中間部に軟質プラスチック製のグローブが一体的に設けられ、底部13bの内側に突出している。フレキシブルコンテナカバー13の直胴部13aの上端面開口の縁部には掛紐13hが設けられている。
この掛紐13hをフレキシブルコンテナ吊り下げ体12のフレキシブルコンテナカバー用フック12dに掛止することにより、フレキシブルコンテナ吊り下げ体12から吊り下げたフレキシブルコンテナ11を覆うように、フレキシブルコンテナ吊り下げ体12にフレキシブルコンテナカバー13の直胴部13aの上面開口の周縁部を着脱可能に装着できる。また、直胴部13aの上面開口の周縁部には、
同周縁部をフレキシブルコンテナ吊り下げ体12の外周部に密着させる密着手段として、絞り紐13kと面ファスナー13mが取り付けられている。
【0031】
図4に示すように、タンク投入管15は、フレキシブルコンテナカバー13の接続リング13eが外周部に嵌合する外筒15aと、外筒15aの内側に同心状に設けられた内筒15bを備えた2重管構造を有する。外筒15aの外周部には接続リング13eが嵌合したとき当接するフランジ部15cと、フランジ部15cに当接した接続リング13eを解除可能に固定するトグルクランプ15dが設けられている。また、外筒15aにはフレキシブルコンテナカバー用集塵口15eが設けられている。
なお、
図4中、符号18で示す部材は接続リング13eに着脱可能に嵌合し、フレキシブルコンテナカバー13の底面開口13dを塞ぐ蓋体である。
【0032】
図1に示すように、張枠受けリング16は内外2本のリングフレーム16a,16bを同心状に設けて連結フレーム16cで連結し、外側リングフレーム16aから脚片16dを垂設した構造を有する。
【0033】
本実施例に係るフレキシブルコンテナ用防塵装置の構成は以上の通りであって、以下にその使用方法を
図5〜
図8に従って説明する。
フレキシブルコンテナ11を吊り下げたフレキシブルコンテナ吊り下げ体12をホイスト17のフックに掛け、底部13bを折り畳んだ状態で床に載置したフレキシブルコンテナカバー13の真上まで移送する(
図5A)。
【0034】
フレキシブルコンテナカバー吊り下げ体12を下降し、フレキシブルコンテナカバー13の底部13bを着地させる(
図5B)。
【0035】
フレキシブルコンテナカバー13の掛紐13hを引き上げて、フレキシブルコンテナカバー用フック12dに掛止し、フレキシブルコンテナ11をフレキシブルコンテナカバー13で覆う(
図5C)。
【0036】
ホイスト17でフレキシブルコンテナ吊り下げ体12を吊り上げる。フレキシブルコンテナカバー13の底部13bが自重で錐体形状に拡開する(
図6D)。
【0037】
タンク14のタンク投入口には事前にタンク投入管15と張枠受けリング16を設置しておく。フレキシブルコンテナ吊り下げ体12をタンク14の投入口の真上まで移送して下降させる。このときフレキシブルコンテナカバー13の底部13bは張枠13cが張枠受けリング16に載置されて、折り畳まれる。フレキシブルコンテナカバー13の接続リング13eをタンク投入管15の外筒15aに嵌合し、トグルクランプ15dで接続リング13eを外筒15aに固定する(
図6E)。その後、集塵口15eに集塵機を接続して作動させる。
【0038】
フレキシブルコンテナカバー13のグローブ13gに手を入れて、フレキシブルコンテナ11の排出口11cをタンク投入管15の内筒15bに挿入し、絞り紐を解いて排出口11cを開く(
図6F)。
【0039】
フレキシブルコンテナ11の排出口11cから粉粒体がタンク投入管15の内筒15bを通ってタンク14に投入される(
図7G)。
【0040】
フレキシブルコンテナ11から粉粒体が排出されるに伴い、フレキシブルコンテナ11の底部がタンク投入管15に被さるので、定期的にフレキシブルコンテナ吊り下げ体12を上昇させてフレキシブルコンテナ11を吊り上げる(
図7H)。
【0041】
フレキシブルコンテナ11から粉粒体の排出が完了したら、グローブ13gに手を入れてフレキシブルコンテナ11の排出口11cを紐で縛って閉じる。その後、フレキシブルコンテナカバー13を外から叩いて同カバー13の内面に付着している粉粒体を落とす。落とされた粉粒体はフレキシブルコンテナカバー13の底部13bの下降傾斜に沿ってタンク投入管15の内筒15bに落ち込み、タンク14へと投入される(
図7I)。また、フレキシブルコンテナカバー13の内部に飛散した粉粒体は、外筒15aと内筒15bの間から集塵機で吸引され集塵口15eから外部へ排出されるので、フレキシブルコンテナカバー13の内部に粉粒体が残留するのを防止できる。
【0042】
トグルクランプ15dを操作して接続リング13eを外筒15aから離し、フレキシブルコンテナ吊り下げ体12を上昇させてフレキシブルコンテナカバー13をタンク投入管15から分離し、接続リング13eに蓋体18を被せてフレキシブルコンテナカバー13の底面開口13dを塞ぐ(
図7J)。
【0043】
フレキシブルコンテナ吊り下げ体12を下降させて、フレキシブルコンテナカバー13の底部13bを着地させ(
図8K)、同カバー13をフレキシブルコンテナ吊り下げ体12から取り外し(図(L)、次いで、フレキシブルコンテナ11をフレキシブルコンテナ吊り下げ体12から取り外す(
図8M)。
【0044】
本実施例に係るフレキシブルコンテナ用防塵装置10によれば、フレキシブルコンテナ11をフレキシブルコンテナカバー13で覆うとともに、フレキシブルコンテナカバー13の底面開口13dをタンク投入管15に気密に接続するので、粉粒体のタンク投入時、タンク投入口から粉粒体が逆流して投入口の周囲に飛散してもフレキシブルコンテナカバー13の外部には拡散しないので、粉粒体でタンク周囲の環境が害されるのを防止できる。
【0045】
フレキシブルコンテナ用フック12cにフレキシブルコンテナ11を掛止して吊り下げ、フレキシブルコンテンカバー用フック12dにフレキシブルコンテンカバー13を掛止することによりフレキシブルコンテナ11をフレキシブルコンテナカバー13で覆うことができ、フレキシブルコンテナ11とフレキシブルコンテナカバー13をフレキシブルコンテナ吊り下げ体12に装着する作業を容易、迅速に行える。
【0046】
フレキシブルコンテナカバー13で覆われているフレキシブルコンテナ11の排出口11cを閉じている紐を、作業用グローブ13gに通した手で解くことができるので、紐解き作業を迅速に行える。
【0047】
フレキシブルコンテンカバー13の底部13bを錐体構造にしたので、タンク投入時にフレキシブルコンテナカバー13内に落下し、若しくは飛散した粉粒体、あるいはフレキシブルコンテナカバー13内で発生した塵埃が、フレキシブルコンテナカバー13の底部13bの下降傾斜に沿って底面開口13dへと流入し、底面開口13dからタンク投入管15の内筒15bを通ってタンク14に流入する。そのため、フレキシブルコンテナ11内の粉粒体を迅速にタンク14に投入できる。
【0048】
フレキシブルコンテナカバー13の底部13bを蛇腹構造にしたので、同カバー13を折り畳むとき、皺や弛みが生じ難くなり、畳易い。
【0049】
絞り紐13kと面ファスナー13mでフレキシブルコンテナカバー13の上面開口の周縁部をフレキシブルコンテナ吊り下げ体12の外周部に密着することができ、フレキシブルコンテナカバー13とフレキシブルコンテナ吊り下げ体12の外周部との隙間から粉粒体が同カバー13の外部に飛散するのを防止できる。
【0050】
フレキシブルコンテナカバー13の底面開口13dに設けた接続リング13eを外筒15aに嵌合してトグルクランプ15dで固定することにより、フレキシブルコンテナカバー13の底部開口13dとタンク14の投入口が内筒15bを介して連通されるので、フレキシブルコンテナ11から粉粒体をタンク14に投入できる。また、外筒15aに集塵口15eを設けたので、集塵口15eに集塵機を接続し、フレキシブルコンテナ11の排出口11cからフレキシブルコンテナカバー13の内部に飛散した粉粒体を吸引でき、フレキシブルコンテナカバー13の内部に粉粒体が残留するのを防止できる。
【0051】
装置10を使用しないときフレキシブルコンテナカバー13の底面開口13dを蓋体18で閉じることにより同カバー13内に残留する粉粒体がカバー13の外部に拡散するのを防止できる。
【0052】
なお、本実施例ではフレキシブルコンテナカバー13の底部13bに張枠13cを設けて蛇腹構造にしたが、大小、径の異なる円錐台形のシート材を径の大きいものから順に繋げて縫着することにより蛇腹構造にするもことできる。
【符号の説明】
【0053】
10…フレキシブルコンテナ用防塵装置
11…フレキシブルコンテナ
11c…排出口
12…フレキシブルコンテナ吊り下げ体
12a…吸気口
12b…連結バー
12c…フレキシブルコンテナ用フック
12d…フレキシブルコンテナカバー用フック
13…フレキシブルコンテナカバー
13b…底部
13c…張枠
13d…底面開口
13e…接続リング
13g…グローブ
13k…絞り紐
13m…面ファスナー
14…タンク
15…タンク投入管
15a…外筒
15b…内筒
15…トグルクランプ
15e…集塵口
16…張枠受けリング
17…ホイスト
18…蓋体