特許第6337050号(P6337050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337050リグノセルロース系材料及びこれから製造した生成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337050
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】リグノセルロース系材料及びこれから製造した生成物
(51)【国際特許分類】
   D21C 9/10 20060101AFI20180528BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20180528BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   D21C9/10
   A61F13/53 300
   A61L15/28 200
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-148722(P2016-148722)
(22)【出願日】2016年7月28日
(62)【分割の表示】特願2014-91109(P2014-91109)の分割
【原出願日】2006年5月2日
(65)【公開番号】特開2017-14679(P2017-14679A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2016年8月26日
(31)【優先権主張番号】60/676,828
(32)【優先日】2005年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】60/760,073
(32)【優先日】2006年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504293447
【氏名又は名称】インターナショナル・ペーパー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】タン,ゼン
(72)【発明者】
【氏名】ロレンゾーニ,ダマリス
(72)【発明者】
【氏名】ゴヤル,ゴパル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,セン
【審査官】 堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−026701(JP,A)
【文献】 特開2001−192991(JP,A)
【文献】 特開平08−000667(JP,A)
【文献】 特開2001−115389(JP,A)
【文献】 特開2001−214399(JP,A)
【文献】 特開2004−353118(JP,A)
【文献】 特開平08−158284(JP,A)
【文献】 特開2004−248859(JP,A)
【文献】 特公昭46−032442(JP,B1)
【文献】 特開2001−303473(JP,A)
【文献】 特開昭51−081492(JP,A)
【文献】 特開平03−241079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00− 1/38
D21C 1/00− 11/14
D21D 1/00− 99/00
D21F 1/00− 13/12
D21G 1/00− 9/00
D21H 11/00− 27/42
D21J 1/00− 7/00
A61F 13/53
A61L 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラフト繊維の製造方法であって、
リグノセルロース系クラフトパルプを漂白工程を使用して漂白すること、及び
リグノセルロース系クラフトパルプの0.5〜5重量%の過酸化水素の存在下に酸性のpHで、リグノセルロース系クラフトパルプの0.01〜0.1重量%の触媒を添加することによってリグノセルロース系クラフトパルプを酸化すること
を含み、
触媒は硫酸第一鉄、硫酸銅及びこれらの組合せよりなる群から選択され、
酸化は、パルプ化工程の後か、又は漂白工程の後に起こり、そして
リグノセルロース系クラフトパルプはリグノセルロース系クラフトパルプの酸化直後にリファイニングされない、
前記の製造方法。
【請求項2】
酸化の酸性pHが2以上7未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸化が2〜6のpHで行われる。請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
触媒が硫酸第一鉄である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
酸化が少なくとも20℃の温度で起こる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
酸化が20℃〜120℃の温度で起こる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
酸化が40℃〜90℃の温度で起こる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
酸化が60℃〜90℃の温度で起こる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
フラッフパルプの製造方法であって、
リグノセルロース系材料を、リグノセルロース系材料の0.5〜5重量%の過酸化水素の存在下に約1〜約9のpHで、リグノセルロース系材料の0.01〜0.1重量%の触媒を添加することによって処理して、約10cps以下の粘度を有する処理済みリグノセルロール材料を形成する工程、及び
処理済みリグノセルロール材料を乾燥してフラップパルプを形成する工程
を含み、
触媒は硫酸第一鉄、硫酸銅及びこれらの組合せよりなる群から選択される、
前記の製造方法。
【請求項10】
前記の方法が、リグノセルロース系材料を処理した直後にリファイニングされることなく、実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
酸化により、2cps〜7cpsの粘度の処理済みリグノセルロース系クラフトパルプが形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
リグノセルロース系材料を処理する工程が20℃〜120℃の温度で起こる。請求項9又は10に記載の方法。
【請求項13】
処理済みリグノセルロース材料が2cps〜7cpsの粘度を有する、請求項9、10又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、2005年5月2日に出願された米国特許出願第60/676,828号;及び2006年1月19日に出願された米国特許出願第60/760,073号の優先権を請求する。
【0002】
セルロースパルプは、様々なパーソナルケアまたは医療用吸収性製品、例えば、おむつフラッフまたは失禁用物品において使用されてきた。こうした用途の1つの重要な問題は、体液によって引き起こされる臭気である。おむつフラッフの場合には、尿からのアンモニア臭気が主要な懸念である。他の用途の場合、悪臭の問題は、他の窒素含有または硫黄含有物質によって引き起こされることがある。
【0003】
文献から、臭気を吸収するために様々な添加剤が使用されてきたことが見い出される。例えば、米国特許第6765042号及び同第6852904号、並びに米国特許出願第00268281Al号を参照されたい。
【発明の開示】
【0004】
本発明の1態様は、リグノセルロース系材料、好ましくは繊維質または微粒子形態、より好ましくは広葉樹材、針葉樹材パルプまたはこれらの組合せを、遷移金属触媒の存在下で、過酸化水素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素、次亜塩素酸及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される酸化剤を用いて処理して、粘度約17cps以下を有し、好ましくは、C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基の例えばヘミアセタールからなる群から選択される還元性官能基を有する処理済みリグノセルロース系材料を形成することを含む方法に関する。本明細書において使用する“リグノセルロース系材料”という用語は、置換したかまたは未置換の炭水化物(例えばグルコース、マンノース、キシロース、アラビノース、ガラクトース及びその他同様なもの)単位を有する有機ポリマーまたはオリゴマー材料の例えばセルロース、ヘミセルロース及び多糖を意味する。本明細書において使用する“優勢である”という用語は、還元性官能基の総重量を基準として50%を超えることを意味する。本発明の好適な具体例においては、処理済みリグノセルロース系材料は、好ましくは、約0.5を超える銅価及び/または約3.5meq/100グラムを超えるカルボキシル含有量を有する。
【0005】
本発明の別の態様は、粘度約17cps以下を有する処理済みリグノセルロース系材料に関する。材料は、好ましくは、C1位で優勢である、すなわち、処理済みリグノセルロース系材料中に含まれるアルデヒド及びアルデヒド型官能基の総数を基準として少なくとも約50%であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基の例えばヘミアセタールからなる群から選択される還元性末端基を有する。C1位でのアルデヒド及びアルデヒド型官能基の量は、処理済みリグノセルロース系材料中に含まれるアルデヒド及びアルデヒド型官能基の総量を基準として好ましくは約75%を超え、より好ましくは約80%以上、最も好ましくは約90%以上である。一般に選ばれる具体例においては、アルデヒド及びアルデヒド型官能基の量は、C1位で約95%に等しい。本発明の好適な具体例においては、処理済みリグノセルロース系材料は、好ましくは、約4を超える銅価及び/または約4.5meq/100グラムを超えるカルボキシル含有量を有する。
【0006】
本発明の処理済みリグノセルロース系材料は、1つ以上の有益な特性を示す。例えば、材料は、臭気制御特性を示してよい。本願発明者らは何らかの理論に束縛されることを望むわけではないが、悪臭のある材料の例えば尿からのアンモニアと錯体を形成することによって及び/または尿素をアンモニアに転換する細菌の増殖を阻害することによって、幾
つかの材料は臭気を制御すると考えられている。こうしたリグノセルロース系材料、特にパルプの臭気制御特性は、これを、吸収性パーソナル衛生物品の例えばおむつ、女性用衛生物品、成人用失禁用製品及びその他同様なものの構成において特に有用にし、SAPはあってもなくてもよい。本発明の処理済みリグノセルロース系材料の特定の具体例は、良好な湿潤強さ及び/または水切れ特性を示す。リグノセルロース系材料がパルプである本発明の特定の他の具体例は、驚くべきことに、未処理のパルプと比較して、引裂強さの可能な例外を除いて、紙の機械的性質の大部分を依然として変化させずに維持する。
【0007】
本発明のさらに別の態様は、流体を吸収するためのパーソナル衛生物品であって:
少なくとも1つの流体浸透性の最上部シート層及び少なくとも1つの実質的に流体不浸透性の背面シート層;並びに
最上部シート層と背面シート層との間に挿入された吸収性下位層材料を含み、下位層材料は、本発明の処理済みリグノセルロース系材料を含む、物品に関する。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、パーソナル衛生物品のために有用な吸収性複合体の製造方法であって:
本発明の処理済みリグノセルロース系材料を乾式粉砕して、フラッフ化塩基処理済み木材パルプで構成される吸収性下位層材料を形成することと;
少なくとも1つの流体浸透性の最上部シート層及び少なくとも1つの実質的に流体不浸透性の背面シート層を提供することと;
下位層材料を、最上部シート層と背面シート層との間に挿入することと;を含む方法に関する。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、紙または板紙製造方法であって:
(a)粘度約17cp以下を有し、C6及びC1位でしかしC1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性末端基を有するパルプを含む水性製紙紙料完成紙料を形成する工程と;
(b)前記完成紙料を製紙装置のフォーミングワイヤの表面に堆積して、湿った紙ウェブを形成する工程と;
(c)前記湿った紙または板紙ウェブを乾燥して、乾燥した紙または板紙を形成する工程と;を含む方法に関する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、粘度約17cp以下を有し、C6及びC1位でしかしC1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性末端基を有するパルプを含む紙または板紙に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の1態様は、リグノセルロース系材料、好ましくは木材パルプを、遷移金属触媒の存在下で、過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸塩、次亜塩素酸及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される酸化剤を用いて処理することを含む方法に関する。
【0012】
リグノセルロース系材料は、繊維質または微粒子形態の例えばパルプ繊維、微細繊維及び他のパルプ断片;ヘミセルロース、デンプン及び多糖粒子及び粉末とすることができる。リグノセルロース系材料はまた、溶液の例えばセルロース誘導体の例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びその他同様なものの溶液とすることができる。
【0013】
本発明の方法において使用するリグノセルロース系材料のタイプは必要要件ではなく、任意のこのような材料を使用できる。例えば、有用なリグノセルロース系材料は、このような材料の周知の源の例えば植物から誘導したものを含む。有用なリグノセルロース系材
料の例示は、多糖の例えばデンプンである。本発明の実施のための有用なデンプンは、トウモロコシ、タピオカ、じゃがいも及び他の植物においてデキストロース単位の重合によって合成された天然に存在する炭水化物である。全てのこのようなデンプン並びにデンプンを適切な化学的または酵素試薬と反応させることによって誘導できる修正形態の例えばデンプンアセテート、デンプンエステル、デンプンエーテル、デンプンホスフェート、デンプンキサントテート、陰イオン性デンプン、陽イオン性デンプン及びその他同様なものを本発明の実施において使用できる。有用な多糖は、パルプ化の前に木材から抽出したかまたはパルプ化の後にパルプ繊維から抽出したヘミセロース(hemicellose)とすることができ、キシラン、セルロース、デンプンまたはこれらの任意の2つ以上の組合せが豊富であり得るトウモロコシ繊維核(corn fiber kernel)とすることができる。また、本発明の方法の実施において使用するためのリグノセルロース系材料の例示は、ティッシュ、タオル、おむつ、女性用衛生及び成人用失禁用製品の形成において使用する並びに他のタイプのパルプ製品、紙及び板紙を製造するために使用するパルプ繊維である。このようなパルプ繊維は、製紙用完成紙料において使用するために任意の周知の適切な蒸解、リファイニング、及び漂白操作の例えば周知の機械、サーモメカニカル、化学及びセミケミカル等のパルプ化及び他の周知のパルプ化方法によって製造した、広葉樹材の樹木、針葉樹材の樹木、または広葉樹材及び針葉樹材の樹木の組合せから誘導したものを含む。本明細書において使用する“広葉樹材パルプ”という用語は、落葉樹(被子植物)の木質物質から誘導した繊維質パルプを指すが、“針葉樹材パルプ”は、針葉樹(裸子植物)の木質物質から誘導した繊維質パルプである。有用なパルプ繊維を、ケナフ、大麻、ジュート、亜麻、シザル麻、またはアバカが挙げられるがこれらに限定されるものではない非木質の草本植物から提供してよいが、法律上の制限及び他の考慮すべき事柄は、大麻及び他の繊維源の利用を非実用的または不可能にするかもしれない。漂白済みまたは未漂白のパルプ繊維の例えば未漂白のクラフト及び漂白クラフトパルプ、またはリサイクルパルプを本発明の方法において利用してよい。パルプを、パルプ化及び漂白において通常の任意の処理履歴にさらしてよく、または、クラフトパルプ化の前のチップの制御された前加水分解若しくはカセイ抽出、クラフトパルプの酸若しくは酵素(セルラーゼまたはヘミセルラーゼ)加水分解、パルプの“コールドソーダ”処理(最高マーセル化強度まで)によって意図して修正してよい。
【0014】
好ましいリグノセルロース系材料は、広葉樹材パルプ、針葉樹材パルプまたはこれらの組合せである。より好ましいリグノセルロース系材料は、クラフト広葉樹材パルプ、針葉樹材パルプまたはこれらの組合せである。最も好ましいリグノセルロース系材料は、漂白済みクラフト広葉樹材パルプ、針葉樹材パルプまたはこれらの組合せ、特に漂白済みクラフト針葉樹材パルプである。
【0015】
本発明の実施において使用する遷移金属触媒は大きく変化することがあり、任意の遷移金属を使用できる。このような金属の例示は、Cu、Fe、Zn、Co、Ni、Mn、V、Mo、W、Zr、Ce、Cr及びこれらの任意の組合せである。金属を、好ましくは塩、好ましくは水溶性金属塩の形態で使用する。好ましい金属塩は、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩及び炭酸塩金属塩並びにこれらの組合せを含む。最も好ましい金属塩は、Cu(Cu+及びCu2+、Fe(Fe3+、Fe2+)及びZn(Zn2+)金属塩であり、Cu及びFe金属塩は一般に選ばれるものである。
【0016】
本発明の方法において使用する金属触媒の量は大きく変化することがあり、所望の処理済みリグノセルロース系生成物を形成するのに十分な任意の量を使用できる。金属触媒の量は通常、たとえより高いまたはより低い量を使用してよくても、乾燥したリグノセルロース系材料の少なくとも約0.005重量%(% by wgt)である。金属触媒の量は、好ましくは、乾燥したリグノセルロース系材料の約0.005〜約1重量%、より好ましくは、乾燥したリグノセルロース系材料の約0.01〜約0.5重量%、最も好ましくは、乾燥したリグノセルロース系材料の約0.01〜約0.1重量%である。
【0017】
方法において使用するための酸化剤は、過酸化水素、二酸化塩素、次亜塩素酸塩、次亜塩素酸及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。好ましい酸化剤は過酸化水素及び次亜塩素酸塩であり、最も好ましい酸化剤は過酸化水素である。
【0018】
酸化剤の量は大きく変化することがあり、所望の処理済みリグノセルロース系生成物を形成するのに十分な任意の量を使用できる。酸化剤の量は通常、乾燥したリグノセルロース系材料の少なくとも約0.1重量%であるが、所望のリグノセルロース系材料を提供するのに有効な場合、より低い量を使用してよい。酸化剤の量は、好ましくは、乾燥したリグノセルロース系材料の約0.1〜約10重量%、より好ましくは、乾燥したリグノセルロース系材料の約0.1〜約5重量%、最も好ましくは、乾燥したリグノセルロース系材料の約0.5〜約5重量%である。
【0019】
処理温度は大きく変化することがあり、所望の処理済みリグノセルロース系生成物を形成するのに十分な任意の温度を使用できる。処理温度は通常、少なくとも約20℃であるが、所望のリグノセルロース系材料を提供するのに有用な場合、より低い温度を使用してよい。処理温度は、好ましくは、約20℃〜約120℃、より好ましくは、約40℃〜約120℃、最も好ましくは、約40℃〜約90℃であり、処理温度約60℃〜約90℃は、一般に選ばれる具体例における処理温度である。
【0020】
処理pHは大きく変化することがあり、所望の処理済みリグノセルロース系生成物を形成するのに十分な任意の温度を使用できる。処理pHは通常、約1と約9との間であるが、所望のリグノセルロース系材料を提供するのに有効な場合、より低いまたはより高いpHを使用してよい。処理pHは、好ましくは、約2〜約8、より好ましくは、約2〜約7、最も好ましくは、約2〜約6である。
【0021】
処理時間は大きく変化することがあり、所望の処理済みリグノセルロース系生成物を形成するのに十分な任意の時間を使用できる。処理時間は通常、少なくとも約5分であるが、所望のリグノセルロース系材料を提供するのに有効な場合、より低い処理時間を使用してよい。処理時間は、好ましくは、約5分〜約20時間、より好ましくは、15分〜約10時間、最も好ましくは、約30分〜約4時間である。
【0022】
好ましくは過酸化物を酸化剤として使用する場合、所望により本発明の方法をUV放射の存在下で実行できる。UV処理は、加熱装置の必要無しにより低い温度の例えば室温(または雰囲気温度)でより有効であるという利点を有し、pH有効範囲を広げるために使用できる。例えば、方法を、UV放射の存在下で雰囲気温度で(または加熱無しに)、中性pHで、UVランプ出力及び繊維混合条件に依存して数秒〜1時間の非常に短い時間で有効に進めることがきる。方法において使用するUVランプは、好ましくは、高強度ランプ、例えば中圧水銀灯またはその変形、パルス化キセノンフラッシュランプ、またはエキシマーランプである。低コストであり、市販源から容易に入手可能である中圧水銀灯を使用することが最も好ましい。石英スリーブ中に挿入したUVランプを、照射のためにパルプ懸濁液中に挿入する(沈める)ことができる。時々、UVランプをリグノセルロース系材料の混合懸濁液よりも上に置くことがより有利なことがある。このタイプのUV照射の場合、水銀灯及び無電極で発電機を備えたランプ(electrode-less powered lamp)(例えばフュージョン・UV・カンパニー(Fusion UV company)から)の両方を使用できる。反応の最中にパルプ繊維を十分に混合し、十分に撹拌することは好ましく、というのは、水中のUV透過は非常に低く、大部分の化学作用は、水溶液中の過酸化物を分解するUVから生じなければならないからである。触媒をUV−過酸化物系に加えることによって、UV処理を同様に行うことができる。有用な触媒は大きく変化することがあり、任意の従来のUV触媒を使用でき、これは例えば、水溶性金属塩の例えば方法において使用する鉄塩または銅塩;ミクロ−またはナノ−微粒子二酸化チタンまたは酸化亜鉛光触媒;アゾに基づく有機触媒、例えば水溶性4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジンジヒドロクロリド、AIBNまたはデュポン・バゾ触媒88(DuPont Vazo catalyst 88);及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)である。
【0023】
方法を、連続的にまたは半連続的にバッチ式で行うことができる。本発明の方法をまた、機械、セミケミカル若しくは化学パルプ化方法の終りに方法工程としてパルプ化方法の一部として、または、漂白方法の終りに方法工程として漂白方法の一部として実施することができる。例えば、市販の製紙パルプまたはフラッフパルプをハイドロパルパーまたは同様な装置中で再スラッシュすることによって、方法をまた、市販の製紙パルプまたはフラッフパルプを処理するために使用できる。ハイドロパルパーまたは同様な装置中での処理は、条件を調節するという柔軟性を有する。例えば、処理を酸性pHで開始し、ある適切な時間の後にカセイを加えることによってアルカリ性pHに調節し、反応をより高いpHで続けた。この組み合わせた酸性−アルカリ性処理を使用して、処理済みリグノセルロース系材料におけるカルボキシル対カルボニル基の比を変えることができる。
【0024】
本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、TAPPI T−230の手順によって測定して、粘度17cps未満を有する。これは、通常約17cpsを超える未処理のパルプの粘度とは異なる。処理済みリグノセルロース系材料は、好ましくは粘度約15cps以下、より好ましくは約12以下または約10cps以下、最も好ましくは約1〜約10cpsを有する。一般に選ばれる具体例においては、本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、粘度約2〜約7cpsを有する。より低いパルプ粘度は、処理済みリグノセルロース系材料を形成する分子またはオリゴマー鎖の端部にC1位でより大きな量の還元性官能基を示すと考えられている。本願発明者らは何らかの理論に束縛されることを望むわけではないが、これは、幾つかの暫定的な金属、例えば銅及び幾つかの他のもののためにより多くの結合部位を提供すると思われ、末端還元性官能基は、多糖単位表面の他の酸化された基に加えて、他の官能部位として働くと考えられている。処理済みリグノセルロース系材料の臭気制御特性をさらに増大させるだろうと考えられている酸加水分解または酵素加水分解工程において処理済みリグノセルロース系材料をさらに処理する本発明によって提供される末端還元性官能基末端の量を増大させることは時々有利なことがある。
【0025】
本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、好ましくは重合度約1200未満を有する。本発明のこうした好適な具体例においては、処理済みリグノセルロース系材料は、より好ましくは重合度約1000以下、最も好ましくは約900以下を有する。本発明のこうした好適な具体例の一般に選ばれる具体例においては、本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、重合度約100〜約800または約200〜約600を有する。本発明の好適な具体例においては、本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、処理済みパルプの重合度及び粘度を低減する方法の最中にリグノセルロース系鎖を酸化的に切断する際に生じる、C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基の例えばヘミアセタールからなる群から選択される還元性基を有する。このような末端基の量は、米国特許第6,635,755号及びその中において引用する参考文献において述べる手順及び当業者には周知の他の方法によって決定できる。本発明によれば、還元性官能基を異性化してアルデヒド及びアルデヒド型官能基以外の基にすることが可能である。酸化方法の無秩序さが理由となって、アルデヒドまたはアルデヒド型機能基はC6位で存在することがある及び/またはケトン機能はC3及び/またはC4位で存在することがあるが全てより少ない程度であることも可能である。好ましくはC1位で存在するアルデヒド及びアルデヒド型官能基還元性基の量は、アルデヒド及びアルデヒド型官能基の総量を基準として約75%を超える。C1位で存在するアルデヒド及びアルデヒド型還元性官能基の量は、前述に基づいてより好ましくは約80%以上、最も好ましくは約90%以上である。一般に選ばれる具体例においては、C1位でのアルデヒド及びアルデヒド型還元性官能基の量は、アルデヒド及びアルデヒド型還元性官能基の総量を基準として約95%に等しい。
【0026】
本発明の好適な具体例においては、本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、銅価約3以上を有する。銅価を、Tappi T−430 cm−99の以下の手順によって測定する。処理済みリグノセルロース系材料は、好ましくは銅価約4.4以上、より好ましくは約5以上、最も好ましくは約5.5以上を有する。
【0027】
本発明の好適な具体例においては、本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、約3.5meq/100グラムのオーブン乾燥した処理済み材料以上のカルボキシ価(carboxy number)を有する。カルボキシ価を、Tappi T−237 cm−98の以下の手順によって測定する。処理済みリグノセルロース系材料は、好ましくは4を超え、より好ましくは5を超え、最も好ましくは5.5meq/100gを超えるカルボキシル価(carboxyl number)を有する。
【0028】
本発明の好適な具体例においては、本発明の方法によって形成した処理済みリグノセルロース系材料は、アンモニアと結合するかまたは錯体を形成する能力によって及びその細菌阻害活性によって測定して、臭気制御特性を有する。材料がアンモニアと錯体を形成する能力を以下の試験によって決定する:形成漏斗を備えたカマス(Kamas)実験室ハンマミルを使用して、繊維化パルプを、リグノセルロース系材料から形成した50cm2、3.00グラムのパッドに形成した。パッドを、隔壁をサンプリング口として含む蓋で密封されたジャー内部に置いた。500マイクロリットルの0.6%アンモニア溶液を、パッド表面に接触するのに十分な長さの針を有する気密シリンジによってパッドに投与した。45分の平衡化時間の後に、1qtのヘッドスペースガスを、口を通して、校正した手動ポンプ及びアンモニア検知管(すなわち、ドレーガー管(Drager tube)サンプリング系)を使用してサンプリングし、試料を、管に取り付けた針アダプタを通して引き出した。本発明の好適な具体例においては、処理済みリグノセルロース系材料によって吸着するアンモニアの量は、本発明の方法における処理の前に同じまたは実質的に同じリグノセルロース系材料によって吸着されるアンモニアの量よりも50%高く、好ましくは60%高く、より好ましくは80%高い。一般に選ばれる具体例においては、吸収されるアンモニアの量は、未処理のパルプよりも90%を超えて高い。
【0029】
処理済みリグノセルロース系物質(lignocellulosic)の細菌阻害特性を、試験生物である、尿素培地(I−144C)中で繁殖させ、37±2℃で2〜3日振とう機フラスコ中で増殖させたCorynebacterium ammoniagenes、ATCC 6871及びトリプシンソイブロス(I−053B)中で繁殖させ、37±2℃で18〜24時間振とう機フラスコ中で増殖させた大腸菌ATCC 11229を使用して決定する。生物に唯一のコードを割り当てて、データの正しい生成に対処した。ASTM方法E 2180−01を使用して、試験物質対修正した単数または複数の試験生物に関して、微生物負荷及び数の%低減、Log10低減またはLog10増大を次の通り決定した:
試料([50mm]2”直径)を含む15×100mmの無菌のペトリ皿を、10mLの水を含むより大きなペトリ皿の内部に置いて、湿度を増大させ、暴露時間の最中の乾燥を防ぐ。
1)0.5mLの試験培養菌を用いて接種する前に試料を水和させる。
2)“寒天スラリー”を使用しない。
3)試料を2回重複して評価する。
4)試料を、35±2℃で、増湿チャンバ中に、3及び8時間の暴露時間(±10分)保
持する。
5)中和剤は、無菌の2oz.ジャー中の、10%のトゥイーン80、3%のレシチン及び0.5%のチオ硫酸ナトリウム、及び0.1%のヒスチジンを有し、pH7.2±0.1の50mL体積のトリプシンソイブロス(I−148)である。
6)中和剤中の試料を1分間音波処理し、続いて、希釈の前に1分間撹拌する。
7)連続希釈物を、9mL体積の2×ディフコ中和緩衝剤(Difco Neutralizing Buffer)によって10−5に作製する。希釈物を、尿素寒天(I−145C)及びマッコンキー寒天(I−090B)を使用してスプレッドプレート方法によって、2回重複して平板培養を用いて、対照のために、10−6に作製する。中和剤中の未希釈の試料(100希釈[50mL])を、1mLを3つのプレートにわたって広げることによって平板培養する。
8)インキュベーションは、尿素寒天の場合に35±2℃で3日間であり、マッコンキー寒天の場合に35±2℃で18〜24時間である。
9)試験生物として大腸菌を使用して、中和剤有効性を試験と同時に行う。
【0030】
上記の手順によって得られた結果の妥当性は、単数または複数の試験物質は、試験の条件下で、存在するかもしれない生存しうる生物の増殖を阻害しないという;及び、研究を行うために使用する培地は、適切な中和及び増殖促進特性を証明するという証明に依拠する。細菌回収のための中和剤有効性試験を行うために、試験物質の2”直径の試料を50mlの中和剤(上記の#6))中に置き、音波処理し、続いて撹拌する。試験生物の希釈物を、最終濃度の中和剤中に約10〜100コロニー形成単位(CFU)/mLを供給するために、ジャーに加え、十分混合する。試験物質の無い中和剤のジャーは、同様に接種され、正の対照として役立つ。ジャーからの二重の0.5mLのアリコートを、試験物質及び正の対照のためにマッコンキー寒天表面にスプレッドプレートする。試験物質を含むプレート表面の試験生物の増殖及び正の対照からの増殖が数及びコロニー発達の両方において同等である場合、中和剤系は適切であるとみなされる。インキュベーションに続いて、プレートを計数し、CFU/mLとして記録する。CFU/試料を次にこの数字から計算する。微生物(両方のタイプ)の数の%低減及びLog10低減または増大/試料を、“対照”と比較して、各暴露時間当り計算する。細菌阻害特性は、未処理のパルプよりも好ましくは40%高く、より好ましくは50%高く、最も好ましくは60%高い。
【0031】
リグノセルロース系材料がパルプ、好ましくは木材パルプである特定の好適な具体例においては、本発明の処理済みリグノセルロース系材料は、良好な湿潤引張強さの改良を示す。改良の正確なレベルは大きく変化することがあり、処理のレベルによって影響されることに加えて、使用する繊維完成紙料のタイプ及び評価のために製造したシートのタイプにも依存する。非リファイニングパルプ完成紙料の場合、Tappi T−456 om−03の手順によって測定して、対照の湿潤引張は極めて低いが、改良は、対照よりも少なくとも約1.5または2倍高くなり得、好ましくは少なくとも3〜5倍高くなり得る。非タッピ手すき紙の場合、例えばティッシュ及び他の用途の場合、改良のレベルは、リファイニング及びウェットプレスレベルに依存して変化し得る。
【0032】
特定の好適な具体例においては、本発明の処理済みリグノセルロース系材料は、T 221 cm−99の手順によって測定して、良好な水切れを示す。
特定の好適な具体例においては、本発明の処理済みリグノセルロース系材料は、触媒から得られた結合した金属を含む。結合した金属は、処理済みリグノセルロース系材料の殺菌活性に有益な影響を及ぼすと考えられている。本明細書において使用する“結合した”は、パルプと共に留まり、パルプ洗浄操作によって洗い流されない金属元素を意味する。パルプに結合する金属の性質は、本発明によって向上するイオン相互作用及びパルプ官能基の例えばカルボニルまたはカルボキシル基との錯体形成に関連していることが周知である。結合した金属の量は、一般的な分析方法、例えばICP−原子吸光方法によって決定され、好ましくは少なくとも10ppm、好ましくは約20ppm〜約700ppm、より好ましくは約20ppm〜約150ppm、最も好ましくは約20ppm〜約100ppmである。
【0033】
本発明の処理済みリグノセルロース系材料を、多数の後続の方法にさらして、材料の特性をさらに修正することができる。例えば、処理済みリグノセルロース系材料を、それに続いて、処理済み材料の還元性官能基に結合すると考えられている陽イオン性試剤を用いて処理することができる。有用な陽イオン性材料は大きく変化し得、陽イオン性窒素含有ポリマーのこのようなポリアミン、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル−カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)、ヘキサジメスリンブロミド、ポリエチレンイミン(線状及び枝分れの両方)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)のコポリマー、ビニルピロリドン(VP)と四級化ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAMEMA)とのコポリマー、ポリアミド、陽イオン性ポリウレタンラテックス、陽イオン性ポリビニルアルコール、ポリアルキルアミン、ジシアンジアミドコポリマー、アミングリシジル(glycigyl)付加ポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミノ)エチレン(ジメチルイミノ)エチレン]ジクロリド、高電荷密度ポリビニルアミン、ポリアリルアミン(PAH)、ポリ(ヘキサメチレンビグアニドヒドロクロリド)(すなわちPHMB)、ポリアミドアミン(またはポリエチレンイミン);陽イオン性金属イオン、例えば水溶性アルミニウム塩、カルシウム塩、及びジルコニウム塩を含み;こうした結合したイオンは、サイジング及び他の製紙化学薬品のための活性錯体形成部位として働くことができ;陽イオン性デントリマー(dendrimer)、例えばアミノ表面基を有するPAMAM(ポリアミドアミン)デントリマー、及びアミノ表面基を有するポリプロピレンイミンデントリマーを含む。このような陽イオン性材料を用いた処理は、上級紙、板紙、ティッシュ、タオル、及び吸収性製品のために望ましい紙バルクの増大のような特性を修正することがあり、同時に良好な強度を維持し、減少した保水度(WRV)及び増大したろ水度を有すると考えられている。
【0034】
また、処理済みリグノセルロース系材料をそれに続いてミクロ−またはナノ−微粒子金属酸化物の例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、またはシリカを用いて処理することができ、処理済みリグノセルロース系材料によって保持されて、処理済みリグノセルロース系材料の特性の例えば着色剤、染料または蛍光増白剤(optical brightener)固定、印刷適性及び/または臭気制御特性を修正する。処理済みリグノセルロース系材料をそれに続いて、架橋材料の例えば水分散可能なまたは水溶性の二−、多官能カルボジイミド及び/またはポリカルボジイミドの例えば1,6−ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,8−オクタメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,10デカメチレンビス(エチルカルボジイミド);1,12ドデカメチレンビス(エチルカルボジイミド);PEG−ビス(プロピル(エチルカルボジイミド));2,2’−ジチオエチルビス(エチルカルボジイムド);1,1’−ジチオ−p−フェニレンビス(エチルカルボジイミド);及び1,1’−ジチオ−m−フェニレンビス(エチルカルボジイミド)を用いて、製紙または繊維質網目構造形成の最中に処理することができる。二−または多官能カルボジイミド基は、材料の還元性官能基と反応し、紙または繊維網目構造の内部で材料の繊維を架橋し、固定する。
【0035】
本発明の処理済みリグノセルロース系材料を、インシトゥでまたは従来の生成物分離技術を使用して分離した後に、従来の目的で使用できる。例えば、本発明の処理済みリグノセルロース系材料を使用して、紙または板紙基体またはウェブを製造できる。リグノセルロース系繊維で形成される基体を製造する方法及び装置は、紙及び板紙の分野において周知である。例えば、"Handbook For Pulp & Paper Technologies", 2nd Edition, G.A. Smook, Angus Wilde Publications (1992)及びその中において引用する参考文献を参照されたい。任意の従来の方法及び装置を使用できる。好ましくは、方法は:a)リグノセルロース系繊維の水性懸濁液を提供することと;b)完成紙料を製紙装置のフォーミングワイヤの表面に堆積して、湿った紙または板紙ウェブを形成することと;c)湿った紙また
は板紙ウェブを乾燥して、乾燥した紙または板紙ウェブを得ることと;d)乾燥した紙または板紙ウェブにカレンダー掛けすることと;を含む。こうした方法工程に加えて、当業者には周知の追加の方法工程を用いてよく、例えば、乾燥した紙若しくは板紙ウェブの1つ以上の表面を、分散剤顔料を含むバインダーを含むコーティングでコーティングするコーティング工程か、または、乾燥した紙若しくは板紙を、サイズ剤の例えばデンプンを用いてサイズ・プレスで処理することである。
【0036】
例えば、従来の方法を使用して、材料を、製造された吸収性物品の例えばおむつ、ティッシュ、タオル、パーソナル衛生製品に使用することができる。このような製品及びその製造方法は当業者には周知であり、詳細に説明しない。例えば、米国特許第6,063,982号及び同第5,766,159号並びにその中において説明する参考文献を参照されたい。本発明の処理済みクラフトパルプ繊維を使用して、含浸クラフト紙(saturating kraft paper)を製造できる。含浸クラフト紙は、樹脂ポリマーを用いた含浸及び硬化のための基体として使用される未漂白のクラフトパルプ(主として広葉樹材及び若干の針葉樹材の例えばサザンパインの混合物)から製造された紙シートである。含浸クラフト紙は、家庭用及び事務所用建築材料、例えば台所の調理台として使用される。含浸クラフト紙の有用な特性は、シート中への液体(ポリマー樹脂溶液)浸透率を制御し、同時に紙有孔度及び密度を維持することである。含浸シート中の広葉樹材クラフト繊維の全てを、針葉樹材の例えば良好な液体輸送特性を有する含浸クラフト紙を提供するために本発明の方法によって処理されたサザンパインクラフト(ライナーボード等級パインクラフト)で置き換えることができる。本願発明者らは何らかの理論に束縛されることを望むわけではないが、クラフト繊維表面及び内部にトポ化学的に位置するヘミセルロース炭水化物層は、本発明の方法において酸化されて、シート中への樹脂液体吸収を増大させると考えられている。
【0037】
本発明を、以下の実施例に関連して説明する。実施例は例示であると意図されており、本発明は、実施例において述べる材料、条件または方法パラメータに限定されない。
【実施例】
【0038】
実施例1
漂白済みサザンパインクラフトパルプを、パルプ表面に適用した1%の過酸化水素及び0.03%の硫酸第一鉄を用いて、pH4及び温度75℃で1時間処理した。処理済みパルプを次に脱イオン水を用いて洗浄し、紙シートにし、乾燥した。処理済みパルプの粘度、銅価及びカルボキシル価を前述の手順を使用して決定した。パルプの粘度は6.2cpだった。パルプの銅価は4.5だった。パルプのカルボキシル価は5.5meq/100gだった。パルプをまた評価して、結合した金属の量を決定した。試料は、パルプ表面に結合した、水によって洗い流されない43.4ppmのFeを含む。パルプの細菌阻害特性を、本明細書において上記に述べた手順を使用して評価した。細菌阻害試験結果を下記の表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
実施例2
漂白済みサザンパインクラフトパルプを、パルプ表面に適用した1%の過酸化水素及び0.03%の硫酸銅を用いて、pH4及び温度80℃で1時間処理した。パルプの粘度は5.7だった。パルプの銅価は4.6だった。パルプのカルボキシル価は4.1meq/100gだった。処理済みパルプを脱イオン水を用いて洗浄し、紙シートにし、乾燥した。試料は、パルプ表面に結合した90.8ppmのCuを含む。
【0041】
パルプを、アンモニア臭気制御及び細菌制御機能対対照としての未処理のパルプに関して、上記に説明した手順を使用して試験した。結果を下記の表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
実施例3
漂白済みサザンパインパルプを、銅または鉄触媒過酸化水素酸化を用いて、pH4及び80℃で1時間処理した。処理済みパルプを次に脱イオン水を用いて洗浄し、実験室規模のカマスミルによって繊維化するために乾燥パルプシートにした。この実施例においては、1%及び2%の過酸化物を使用し、触媒量も変化させた。パルプを、アンモニア臭気制御に関して、上記に説明した手順を使用して試験した。結果を下記の表2に示す。
【0044】
アンモニア臭気制御の結果を下記の表3に列記した。
【0045】
【表3】
【0046】
実施例4
酸化剤の無い状態で適用した低い用量(実施例3におけるように)及び非常に高い用量の両方の金属を用いて、金属を80℃、pH4で1時間適用して実験を行った。パルプを、アンモニア臭気制御対対照としての未処理のパルプに関して、上記に説明した手順を使用して試験した。結果を下記の表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
実施例5
金属を80℃、pH4で1時間適用して実験を行った。パルプの粘度を決定し、パルプを、アンモニア臭気制御対対照としての未処理のパルプに関して、上記に説明した手順を使用して試験した。結果を下記の表5に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
実施例6
この実施例は、特に本発明の好ましいpH範囲内での金属触媒過酸化物処理の湿潤強さの利益を証明するためのものである。漂白済みサザンパインクラフトパルプを、2%及び3%の過酸化水素と0.03%の硫酸第一鉄を用いて80℃で1時間処理した。pH範囲を反応の終りにpH4からpH10に変化させた。標準的な1.2グラムのタッピ手すき紙をTappi T 205 sp−02の手順を使用して製造し、乾燥引張強さ、乾燥引裂強さ及び湿潤引張強さをそれぞれTappi T 494 om−01、Tappi T414 om−01及びTappi T 456 om−03の手順を使用して決定した。引張湿潤/乾燥強度値を、決定した乾燥引張強さ、乾燥引裂強さ及び湿潤引張強さ値から計算した。結果を下記の表6に示した。
【0051】
【表6】
【0052】
実施例7
処理済みパルプの乾燥は、繊維表面に生成したカルボキシル基を減少しよう。これは、処理済みパルプは1回乾燥されるのみであると思われる統合された紙/板紙の場合または乾燥フラッフパルプ及び乾燥形成の場合には関連がないと思われる。しかしながら、これは、乾燥した処理済みパルプを購入し、次に再スラッシュし、湿式方法によって再度紙製品にし、再度乾燥する紙またはティッシュ/タオルケースに影響を及ぼすと思われる。パルプカルボキシル含有量に関する乾燥の結果を下記の表7に示す。
【0053】
【表7】
【0054】
実施例8
未漂白のクラフトパルプを使用して、褐色パルプに関する湿潤強さの改良を同様に証明した。褐色高カッパーパルプを、2%の過酸化物、0.04%の硫酸第一鉄を用いてpH4及び80℃で1時間処理した。処理済みパルプ及び未処理のパルプ対照をヴァレービーターによってリファイニングし、300gsmの正方形の手すき紙にし、ウェットプレスし、フラットベッド乾燥機表面で乾燥した。シート湿潤強さに及ぼす影響を下記の表8に示す。
【0055】
【表8】
【0056】
実施例9
湿ったサザンパインクラフトパルプを、1%の過酸化水素を用い、pH4で、パルプ表面に適用した0.02%の硫酸第一鉄を用いて処理した。処理を、ミル規模で漂白プラントにおいて80℃で1時間行った。実験室において行った別の処理においては、3%の過酸化物を0.04%の硫酸第一鉄と共に80℃で2時間使用した。処理済みパルプ及び対照(製造)パルプを、リファイニング無しで、カルボニル及びカルボキシル基に関して試験した。結果を以下の表9に示した。
【0057】
【表9】
【0058】
表9に示すように、1%過酸化物処理済みパルプは、銅価(30倍高い)及びカルボキシル基(12%高い)の増大を有する。3%活性化過酸化物強烈処理は、52倍高い銅価及びカルボキシルの55%増大をもたらした。
実施例10
ミル乾燥した市販のサザンパインクラフトパルプを再パルプ化してパルプスラリーにした。このパルプを、2%の過酸化水素を用い、pH4で、0.04%の硫酸第一鉄を用いて温度80℃で1時間処理した。処理済み及び未処理のパルプの銅価を決定した。結果を以下の表10に述べる。
【0059】
【表10】
【0060】
表10に述べる結果は、処理済みパルプは、未処理のパルプ対照と比較して、23倍高い銅価、及び32%のカルボキシルの増大を有することを示す。
実施例11
実施例11におけるように、パルプスラリーを、1%の過酸化水素と0.02%の硫酸第一鉄を用いてpH4、80℃で1時間処理した。銅価は0.23から5.3に増大した。処理済みパルプ及び対照パルプの両方を高電荷密度ポリビニルアミンでさらに処理し、Tappi T 205 sp−02の手順を使用して製造したタッピ手すき紙に形成した。手すき紙の坪量及び厚さを、それぞれTappi T 410 om−02及びTappi T 411 om−05の手順によって決定し、対照及び処理済みパルプの嵩を、坪量及びカリファー(calipher)から計算した。結果を以下の表11に述べる。
【0061】
【表11】
【0062】
実施例12
湿った漂白済みサザンパインクラフトパルプを、1%の過酸化水素及び0.02%の硫酸第一鉄を用いてpH4で1時間80℃で処理した。処理済みパルプ及び対照パルプの両方を、ウイリアムス手すき紙(Williams hand sheet)にした。乾燥した手すき紙を次に、実験室規模のカマスミルによってフラッフ化した。液体吸収容量を試験した(SCAN方法)。結果を以下の表12に述べる。
【0063】
【表12】
【0064】
表12に示す結果から、処理済みパルプは、対照パルプよりも良好な液体吸収容量を有することが明らかである。実際に、この向上した液体吸収容量は、本願発明者らの活性化過酸化物処理が理由となる向上したサザンパイン繊維(southern pine fiber)崩壊性と組み合わせられて、高吸収性粒子(SAP)を使用しない幾つかの衛生製品においてこの処理済みサザンパインパルプをかなり役に立つものにする。
実施例13
“マーセル化クラフトパルプ”を、サザンパインクラフトパルプをカセイ溶液(10%濃度)を用いて5分温度40℃で処理することによって形成した。“マーセル化パルプ”は、0.02%の硫酸第一鉄の存在下でpH4及び80℃で1時間、1%の過酸化水素を用いた。ろ水度処理済み及び未処理のマーセル化パルプを、Tappi T 227 om−99の手順によって評価し、処理済み及び未処理のマーセル化パルプの平均繊維長をカジャンニ(Kajanni)によって決定した。処理済み及び未処理のマーセル化パルプを、Tappi T 205 sp−02の手順を使用してタッピ手すき紙に形成し、手すき紙の坪量及び内部結合を、それぞれTappi T 410 om−02及びTappi T 569 om−00の手順によって決定した。嵩を、上記に説明したように、厚さ及び坪量から計算した。結果を以下の表13に述べる。
【0065】
【表13】
【0066】
実施例14
酸素脱リグニン済みサザンパインクラフトパルプを、セルロース酵素(ジェネンコル(Genencor)からのマルチフェクトA40(Multifect A40))を用いて、パルプ表面の用量0.2%で処理した。この酵素処理済みパルプをさらに、1.5%の過酸化水素と0.02%の硫酸第一鉄を用いてpH4及び温度80℃で1時間処理した。処理済み及び未処理のマーセル化パルプのろ水度及び平均繊維長を、実施例において上記で使用した手順によって決定した。処理済み及び未処理のパルプを繊維質ウェブに形成し、ウェブフラッフを、カマス実験室規模ハンマミルを使用して粉砕した。フラッフ粉砕エネルギーを決定した。結果を表14に示す。
【0067】
【表14】
【0068】
実施例15
0.04%の硫酸第一鉄を用いてpH4で1時間温度80℃で低コストの2%活性化過酸化物処理をされたライナーボード等級サザンパインクラフト(カッパー110)。処理済みパルプのろ水度を、上記の実施例において説明した手順を使用して決定した。比較のために、80%の未処理の広葉樹材/20%の未処理のサザンパインの混合物のろ水度も評価した。100%の処理済みサザンパインから形成した、及び、80%の未処理の広葉樹材/20%の未処理のサザンパインの混合物から形成したタッピ手すき紙を評価して、それぞれガーレー有孔度(Tappi T 536 om−02)及び平均PHST(フェノール樹脂液体を用いたTappi T 530 om−02)を決定した。結果を以下の表15に述べる。
【0069】
【表15】
【0070】
表15におけるデータは、処理済みサザンパインパルプを使用して、含浸クラフト紙中の全ての低収率広葉樹材に取って代わることができることを示す。
実施例16
漂白済みサザンパインクラフトパルプを、2%の過酸化水素と0.02%の硫酸第一鉄とそれぞれpH4、pH7、及びpH12で混合した。1%濃度でパルプは室温で一定の撹拌下にあった。石英プレートをパルプスラリーの上に置いた。ベンチトップPS2紫外装置(中圧水銀灯)を使用して、パルプスラリーに石英プレートを通して照射した。15分のUV照射をこうした処理において使用した。UV照射の後に、過酸化物残留分は検出されなかった。パルプ温度は処理によって上昇しなかった。パルプ粘度は、pH4の場合に3.2cp、pH7の場合に3.9cp、及びpH10の場合に10.6cpだった。pH7で処理したパルプは、6.2の銅価を有する。
実施例18
漂白済みサザンパインクラフトパルプを、鉄、銅、または組み合わせたFe/Cu触媒と過酸化水素を用いてpH4及び80℃で1.5時間処理した。処理済みパルプ及び対照パルプをpH6に洗浄し、乾燥シートにした。乾燥シートを次に、先に説明したようにハンマミルによってフラッフ化し、アンモニア吸着に関して試験した。アンモニア吸収の結果を以下の表17に下記に示した。
【0071】
【表16】
【0072】
【表17】
【0073】
最後に、本明細書において与えた実施例からの変形例が、上記の開示を考慮して可能である。従って、本発明を特定の好適な具体例に関して説明してきたが、それにもかかわらず本明細書に添付の請求の範囲において定義する本発明の範囲及び精神の範囲内にある他の組成物を考案できることは了解できよう。本発明の様々な及び好適な具体例の前述の説明を説明のためにのみ提供し、請求の範囲において述べる本発明の精神または範囲から逸脱することなく多数の修正、変形及び変更を本発明に対して行うことができることは理解される。
[発明の態様]
[1]
リグノセルロース系材料、好ましくはパルプを、遷移金属触媒の存在下で、過酸化水素、次亜塩素酸塩、次亜塩素酸及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される酸化剤を用いて処理して、粘度約17cp以下を有し、C6及びC1位でしかし該C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性官能基を有する処理済みリグノセルロース系材料を形成することを含む方法。
[2]
前記C1位でのアルデヒド及びアルデヒド型官能基の量は約75%を超える、1に記載の方法。
[3]
前記C1位でのアルデヒド及びアルデヒド型官能基の量は約80%を超える、2に記載の方法。
[4]
前記C1位でのアルデヒド及びアルデヒド型官能基の量は約90%を超える、3に記載の方法。
[5]
前記C1位でのアルデヒド及びアルデヒド型官能基の量は約95%を超える、4に記載の方法。
[6]
前記リグノセルロース系材料は木材パルプである、1に記載の方法。
[7]
前記粘度は約17cp以下の粘度である、1に記載の方法。
[8]
前記官能基は、アルデヒド官能基、ヘミアセタール官能基またはこれらの組合せからなる群から選択される、1に記載の方法。
[9]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、銅価約3以上を有する、1に記載の方法。
[10]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、銅価約4.4以上を有する、1に記載の方法。
[11]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、銅価約5以上を有する、10に記載の方法。
[12]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、銅価約5.5以上を有する、11に記載の方法。
[13]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、約3.5meq/100グラムのオーブン乾燥した処理済み材料以上のカルボキシ価を有する、1に記載の方法。
[14]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、約4meq/100グラムのオーブン乾燥した処理済み材料以上のカルボキシ価を有する、13に記載の方法。
[15]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、約5meq/100グラムのオーブン乾燥した処理済み材料以上のカルボキシ価を有する、14に記載の方法。
[16]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、約5.5meq/100グラムのオーブン乾燥した処理済み材料以上のカルボキシ価を有する、15に記載の方法。
[17]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、粘度約15cps以下を有する、1に記載の方法。
[18]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、粘度約12cps以下を有する、17に記載の方法。
[19]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、粘度約10cps以下を有する、18に記載の方法。
[20]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、粘度約1〜約10cpsを有する、19に記載の方法。
[21]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、粘度約2〜約7cpsを有する、19に記載の方法。
[22]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、等しい量の未処理のリグノセルロース系材料と比較して、50%多いアンモニアを吸収するか、吸収するかまたは吸収し及び吸収する、1に記載の方法。
[23]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、等しい量の未処理のリグノセルロース系材料と比較して、60%多いアンモニアを吸収するか、吸収するかまたは吸収し及び吸収する、1に記載の方法。
[24]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、等しい量の未処理のリグノセルロース系材料と比較して、80%多いアンモニアを吸収するか、吸収するかまたは吸収し及び吸収する、1に記載の方法。
[25]
前記処理済みリグノセルロース系材料は、等しい量の未処理のリグノセルロース系材料と比較して、90%多いアンモニアを吸収するか、吸収するかまたは吸収し及び吸収する、1に記載の方法。
[26]
粘度約17cp以下を有し、前記C6及びC1位でしかし前記C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性官能基を有する処理済みリグノセルロース系材料。
[27]
流体を吸収するためのパーソナル衛生物品であって:
少なくとも1つの流体浸透性の最上部シート層及び少なくとも1つの実質的に流体不浸透性の背面シート層;並びに
前記最上部シート層と前記背面シート層との間に挿入された吸収性下位層材料を含み、該下位層材料は、粘度約17cp未満を有し、C6及びC1位でしかし該C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性官能基を有する処理済みリグノセルロース系材料を含む、物品。
[28]
パーソナル衛生物品のために有用な吸収性複合体の製造方法であって:
粘度約17cp未満を有し、C6及びC1位でしかし該C1位で優勢であるかまたはC!位でアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性官能基を有する処理済みリグノセルロース系材料を乾式粉砕して、フラッフ化塩基処理済み木材パルプで構成される吸収性下位層材料を形成することと;少なくとも1つの流体浸透性の最上部シート層及び少なくとも1つの実質的に流体不浸透性の背面シート層を提供することと;前記下位層材料を、前記最上部シート層と背面シート層との間に挿入することと;を含む方法。
[29]
紙または板紙製造方法であって:
(a)粘度17cp未満を有し、C6及びC1位でしかし該C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性官能基を有するパルプを含む水性製紙紙料完成紙料を形成する工程と;
(b)前記完成紙料を製紙装置のフォーミングワイヤの表面に堆積して、湿った紙ウェブを形成する工程と;
(c)前記湿った紙または板紙ウェブを乾燥して、乾燥した紙または板紙を形成する工程と;を含む方法。
[30]
粘度約17cp未満を有し、C6及びC1位でしかし該C1位で優勢であるアルデヒド及びアルデヒド型官能基からなる群から選択される還元性官能基を有するパルプを含む紙または板紙。