(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記蒸気逃がし弁の開度を増大していくときよりも前記蒸気逃がし弁の開度を縮小していくときの方が前記蒸気逃がし弁の開度の変化速度が遅くなるように前記蒸気逃がし弁の開度を制御する;
請求項1に記載の吸収ヒートポンプ。
前記制御装置は、前記圧力検知部で検知された圧力が、前記蒸気生成部の目標圧力を超え、前記安全弁が開く圧力未満の第3の所定の圧力以上のときに、前記吸収ヒートポンプの出力を抑制する出力抑制措置を施す;
請求項1又は請求項2に記載の吸収ヒートポンプ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された制御では、出力抑制効果が間接的となって圧力上昇に追いつかず、安全弁が作動する場合があり得る。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、安全弁を作動させることなく蒸気生成部の圧力が過度に上昇することを抑制することができる吸収ヒートポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば
図1に示すように、吸収液と冷媒との吸収ヒートポンプサイクルにより、導入した熱源流体hの熱を汲み上げて、被加熱媒体の蒸気Wvを生成する吸収ヒートポンプ1であって;需要先に供給される被加熱媒体の蒸気Wvを生成する蒸気生成部80と;蒸気生成部80の圧力を検知する圧力検知部93と;蒸気生成部80で生成された被加熱媒体の蒸気Wvを需要先に向けて流出する供給蒸気管89、又は蒸気生成部80に設けられた安全弁88と;供給蒸気管89又は蒸気生成部80に設けられた蒸気逃がし弁95と;圧力検知部93で検知された圧力が、蒸気生成部80の目標圧力を超え、安全弁88が開く圧力未満の第1の所定の圧力以上のときに、蒸気逃がし弁95を開ける制御装置90とを備える。
【0007】
このように構成すると、安全弁を作動させることなく蒸気生成部の圧力が過度に上昇することを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、制御装置90は、圧力検知部93で検知された圧力が第1の所定の圧力以上の圧力を維持しているときは蒸気逃がし弁95の開度を増大していき、目標圧力を超え第1の所定の圧力未満の第2の所定の圧力以下の圧力を維持しているときは蒸気逃がし弁95の開度を縮小していくように蒸気逃がし弁95の開度を制御する。
【0009】
このように構成すると、蒸気の放出量を可変にすることとなって蒸気の放出に伴う騒音や白煙の発生等を抑制することができ、周囲環境への影響を低減することができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第2の態様に係る吸収ヒートポンプ1において、制御装置90は、蒸気逃がし弁95の開度を増大していくときよりも蒸気逃がし弁95の開度を縮小していくときの方が蒸気逃がし弁95の開度の変化速度が遅くなるように蒸気逃がし弁95の開度を制御する。
【0011】
このように構成すると、蒸気逃がし弁の開度を増大していくときは早く圧力の上昇を抑制することができ、蒸気逃がし弁の開度を縮小していくときは蒸気逃がし弁が閉じた通常運転に安定して戻すことができる。
【0012】
また、本発明の第4の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば
図1を参照して示すと、上記本発明の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、制御装置90は、圧力検知部93で検知された圧力が、蒸気生成部80の目標圧力を超え、安全弁88が開く圧力未満の第3の所定の圧力以上のときに、吸収ヒートポンプ1の出力を抑制する出力抑制措置を施す。
【0013】
このように構成すると、蒸気生成部の圧力上昇を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第5の態様に係る吸収ヒートポンプは、例えば
図1に示すように、上記本発明の第1の態様乃至第4の態様のいずれか1つの態様に係る吸収ヒートポンプ1において、蒸気生成部80が、被加熱媒体の蒸気Wvと被加熱媒体の液Wqとを分離する気液分離器80で構成されている。
【0015】
このように構成すると、蒸気生成部から流出する被加熱媒体の蒸気に液が混じることを抑制することができると共に、蒸気逃がし弁の開度を変化させたときに、気液分離器内の液位を安定させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、安全弁を作動させることなく蒸気生成部の圧力が過度に上昇することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0019】
まず
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1を説明する。
図1は、吸収ヒートポンプ1の模式的系統図である。吸収ヒートポンプ1は、吸収液S(Sa、Sw)と冷媒V(Ve、Vg、Vf)との吸収ヒートポンプサイクルが行われる主要機器を構成する吸収器10、蒸発器20、再生器30、及び凝縮器40を備え、さらに、気液分離器80と、制御装置90とを備えている。
【0020】
本明細書においては、吸収液に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「希溶液Sw」や「濃溶液Sa」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「吸収液S」ということとする。同様に、冷媒に関し、ヒートポンプサイクル上における区別を容易にするために、性状やヒートポンプサイクル上の位置に応じて「蒸発器冷媒蒸気Ve」、「再生器冷媒蒸気Vg」、「冷媒液Vf」等と呼称するが、性状等を不問にするときは総称して「冷媒V」ということとする。本実施の形態では、吸収液S(吸収剤と冷媒Vとの混合物)としてLiBr水溶液が用いられており、冷媒Vとして水(H
2O)が用いられている。また、被加熱媒体Wは、吸収器10に供給される液体の被加熱媒体Wである被加熱媒体液Wq、気体の被加熱媒体Wである被加熱媒体蒸気Wv、液体と気体とが混合した状態の被加熱媒体Wである混合被加熱媒体Wm、吸収ヒートポンプ1外から補充された被加熱媒体Wである補給液体としての補給水Wsの総称である。本実施の形態では、被加熱媒体Wとして水(H
2O)が用いられている。
【0021】
吸収器10は、被加熱媒体Wの流路を構成する伝熱管12と、濃溶液Saを散布する濃溶液散布ノズル13とを内部に有している。吸収器10は、濃溶液散布ノズル13から濃溶液Saが散布され、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱を発生させる。この吸収熱を、伝熱管12を流れる被加熱媒体Wが受熱して、被加熱媒体Wが加熱されるように構成されている。
【0022】
蒸発器20は、熱源流体としての熱源温水hの流路を構成する熱源管22を、蒸発器缶胴21の内部に有している。蒸発器20は、蒸発器缶胴21の内部に冷媒液Vfを散布するノズルを有していない。このため、熱源管22は、蒸発器缶胴21内に貯留された冷媒液Vfに浸かるように配設されている(満液式蒸発器)。吸収ヒートポンプでは、吸収冷凍機よりも蒸発器内の圧力が高いので、熱源管が冷媒液に浸かる構成でも所望の冷媒蒸気を得ることが可能となる。蒸発器20は、熱源管22周辺の冷媒液Vfが熱源管22内を流れる熱源温水hの熱で蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veが発生するように構成されている。蒸発器缶胴21の下部には、蒸発器缶胴21内に冷媒液Vfを供給する冷媒液管45が接続されている。
【0023】
吸収器10と蒸発器20とは、相互に連通している。吸収器10と蒸発器20とが連通することにより、蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veを吸収器10に供給することができるように構成されている。
【0024】
再生器30は、希溶液Swを加熱する熱源流体としての熱源温水hを内部に流す熱源管32と、希溶液Swを散布する希溶液散布ノズル33とを有している。熱源管32内を流れる熱源温水hは、本実施の形態では熱源管22内を流れる熱源温水hと同じ流体となっているが、異なる流体であってもよい。再生器30は、希溶液散布ノズル33から散布された希溶液Swが熱源温水hに加熱されることにより、希溶液Swから冷媒Vが蒸発して濃度が上昇した濃溶液Saが生成されるように構成されている。希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40に移動するように構成されている。
【0025】
凝縮器40は、冷却媒体としての冷却水cが流れる冷却水管42を凝縮器缶胴41の内部に有している。凝縮器40は、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを導入し、これを冷却水cで冷却して凝縮させるように構成されている。再生器30と凝縮器40とは、相互に連通するように、再生器の缶胴と凝縮器缶胴41とが一体に形成されている。再生器30と凝縮器40とが連通することにより、再生器30で発生した再生器冷媒蒸気Vgを凝縮器40に供給することができるように構成されている。
【0026】
再生器30の濃溶液Saが貯留される部分と吸収器10の濃溶液散布ノズル13とは、濃溶液Saを流す濃溶液管35で接続されている。濃溶液管35には、濃溶液Saを圧送する溶液ポンプ35pが配設されている。吸収器10の希溶液Swが貯留される部分と希溶液散布ノズル33とは、希溶液Swを流す希溶液管36で接続されている。濃溶液管35及び希溶液管36には、濃溶液Saと希溶液Swとの間で熱交換を行わせる溶液熱交換器38が配設されている。凝縮器40の冷媒液Vfが貯留される部分と蒸発器缶胴21の下部(典型的には底部)とは、冷媒液Vfを流す冷媒液管45で接続されている。冷媒液管45には、冷媒液Vfを圧送する冷媒ポンプ46が配設されている。
【0027】
蒸発器20の熱源管22の一端には、熱源温水hを熱源管22に導入する熱源温水導入管51が接続されている。熱源管22の他端と再生器の熱源管32の一端とは、熱源温水連絡管52で接続されている。熱源管32の他端には、熱源温水hを吸収ヒートポンプ1の外に導く熱源温水流出管53が接続されている。熱源温水流出管53には、内部を流れる熱源温水hの流量を調節可能な熱源温水切替弁53vが配設されている。熱源温水切替弁53vよりも下流側の熱源温水流出管53と熱源温水導入管51との間には、熱源温水バイパス管55が設けられている。熱源温水バイパス管55には、流路を開閉可能なバイパス弁55vが配設されている。
【0028】
気液分離器80は、吸収器10の伝熱管12を流れて加熱された被加熱媒体Wを導入し、被加熱媒体蒸気Wvと被加熱媒体液Wqとを分離する機器である。気液分離器80は、加熱された被加熱媒体Wから被加熱媒体液Wqを分離することによって被加熱媒体蒸気Wvを生成することができ、蒸気生成部に相当する。気液分離器80には、分離された被加熱媒体液Wqを気液分離器80から流出する分離液管81が下部(典型的には底部)に接続されている。分離液管81の他端には、被加熱媒体液Wqを伝熱管12に導く被加熱媒体液管82が接続されている。伝熱管12の他端と気液分離器80の気相部とは、加熱された被加熱媒体Wを気液分離器80に導く加熱後被加熱媒体管84で接続されている。また、気液分離器80には、分離された被加熱媒体蒸気Wvを需要先に向けて吸収ヒートポンプ1の外に導く供給蒸気管としての被加熱媒体蒸気管89が上部(典型的には頂部)に接続されている。また、主に蒸気として吸収ヒートポンプ1の外に供給された分の被加熱媒体Wを補うための補給水Wsを吸収ヒートポンプ1の外から導入する補給水管85が設けられている。補給水管85は、分離液管81と被加熱媒体液管82との接続部に接続されており、分離液管81を流れてきた被加熱媒体液Wqに補給水Wsを合流させるように構成されている。補給水管85には、吸収器10に向けて補給水Wsを圧送する補給水ポンプ86が配設されている。
【0029】
気液分離器80の近傍の被加熱媒体蒸気管89には、気液分離器80の内部の圧力を検知する圧力検知部としての圧力計93が設けられている。また、圧力計93よりも下流側の被加熱媒体蒸気管89には、吸収ヒートポンプ1の外に供給する被加熱媒体蒸気Wvの圧力を調節する圧力制御弁99が設けられている。圧力計93と圧力制御弁99との間の被加熱媒体蒸気管89には、安全弁88と、蒸気逃がし弁95とが設けられている。安全弁88は、気液分離器80の内部が目標運転圧力を超えて高すぎる圧力(例えば、気液分離器80の最高使用圧力)になったときに機械的に弁を開放して圧力の上昇を抑制するものである。蒸気逃がし弁95は、安全弁88とは別に、気液分離器80の内部の圧力の上昇を抑制するために、被加熱媒体蒸気管89内の流体を放出するものである。蒸気逃がし弁95は、開度を調節することができるように構成されている。
【0030】
制御装置90は、吸収ヒートポンプ1の動作を制御する装置である。制御装置90は、溶液ポンプ35p、冷媒ポンプ46、補給水ポンプ86とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、各ポンプ35p、46、86の発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置90は、熱源温水切替弁53v及びバイパス弁55vと信号ケーブルで接続されており、各弁53v、55vの開度を調節することができるように構成されている。また、制御装置90は、圧力計93と信号ケーブルで接続されており、圧力計93が検知した圧力を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置90は、蒸気逃がし弁95及び圧力制御弁99とそれぞれ信号ケーブルで接続されており、蒸気逃がし弁95及び圧力制御弁99の開度をそれぞれ調節することができるように構成されている。
【0031】
引き続き
図1を参照して、吸収ヒートポンプ1の作用を説明する。吸収ヒートポンプ1の定常運転時は、熱源温水切替弁53v及び圧力制御弁99が開、バイパス弁55v及び蒸気逃がし弁95が閉となっている。まず、冷媒側のサイクルを説明する。凝縮器40では、再生器30で蒸発した再生器冷媒蒸気Vgを受け入れて、冷却水管42を流れる冷却水cで冷却して凝縮し、冷媒液Vfとする。凝縮した冷媒液Vfは、冷媒ポンプ46で蒸発器缶胴21に送られる。蒸発器缶胴21に送られた冷媒液Vfは、熱源管22内を流れる熱源温水hによって加熱され、蒸発して蒸発器冷媒蒸気Veとなる。蒸発器20で発生した蒸発器冷媒蒸気Veは、蒸発器20と連通する吸収器10へと移動する。
【0032】
次に溶液側のサイクルを説明する。吸収器10では、濃溶液Saが濃溶液散布ノズル13から散布され、この散布された濃溶液Saが蒸発器20から移動してきた蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する。蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなる。吸収器10では、濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に吸収熱が発生する。この吸収熱により、伝熱管12を流れる被加熱媒体Wが加熱される。吸収器10で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収した濃溶液Saは、濃度が低下して希溶液Swとなり、吸収器10の下部に貯留される。貯留された希溶液Swは、吸収器10と再生器30との内圧の差により再生器30に向かって希溶液管36を流れ、溶液熱交換器38で濃溶液Saと熱交換して温度が低下して、再生器30に至る。
【0033】
再生器30に送られた希溶液Swは、希溶液散布ノズル33から散布され、熱源管32を流れる熱源温水h(本実施の形態では約80℃前後)によって加熱され、散布された希溶液Sw中の冷媒が蒸発して濃溶液Saとなり、再生器30の下部に貯留される。他方、希溶液Swから蒸発した冷媒Vは再生器冷媒蒸気Vgとして凝縮器40へと移動する。再生器30の下部に貯留された濃溶液Saは、溶液ポンプ35pにより、濃溶液管35を介して吸収器10の濃溶液散布ノズル13に圧送される。濃溶液管35を流れる濃溶液Saは、溶液熱交換器38で希溶液Swと熱交換して温度が上昇してから吸収器10に流入し、濃溶液散布ノズル13から散布される。濃溶液Saは、溶液ポンプ35pで昇圧されて吸収器10に入り、吸収器10内で蒸発器冷媒蒸気Veを吸収することに伴い温度が上昇する。吸収器10に戻った濃溶液Saは蒸発器冷媒蒸気Veを吸収し、以降、同様のサイクルを繰り返す。
【0034】
吸収液S及び冷媒Vが上記のような吸収ヒートポンプサイクルを行う過程で、吸収器10において濃溶液Saが蒸発器冷媒蒸気Veを吸収する際に発生する吸収熱で被加熱媒体液Wqが加熱されて湿り蒸気(混合被加熱媒体Wm)となり、気液分離器80に導かれる。気液分離器80に流入した混合被加熱媒体Wmは、被加熱媒体蒸気Wvと被加熱媒体液Wqとに分離される。気液分離器80で分離された被加熱媒体蒸気Wvは、被加熱媒体蒸気管89に流出し、吸収ヒートポンプ1の外部の蒸気利用場所(需要先)に供給される。つまり、吸収ヒートポンプから被加熱媒体蒸気Wvが取り出される。このように、吸収ヒートポンプ1は、駆動熱源の温度以上の被加熱媒体Wを取り出すことができる第2種の吸収ヒートポンプとして構成されている。外部に供給された分の被加熱媒体Wは、補給水Wsとして吸収ヒートポンプ1の外部から供給される。他方、気液分離器80で分離された被加熱媒体液Wqは、分離液管81に流出し、補給水管85を流れてきた補給水Wsと合流して、被加熱媒体液Wqとして被加熱媒体液管82を流れ、伝熱管12内に供給される。なお、上述した吸収ヒートポンプ1を構成する各機器は、制御装置90で制御される。
【0035】
上述のように吸収ヒートポンプ1の運転が行われている際、制御装置90は、随時、圧力計93から圧力信号を受信している。そして、需要先への被加熱媒体蒸気Wvの安定した供給を実現するため、制御装置90は、圧力計93で検知した圧力が、あらかじめ決定した被加熱媒体蒸気Wvの供給圧力(以下「目標圧力P1」という。)となるように、圧力制御弁99の開度を調節する。しかし、このような制御を行っていても、気液分離器80内の圧力が上昇してしまう場合があり、安全弁88が開放する圧力(以下「開放圧力PS」といい、例えば気液分離器80の最高使用圧力。)まで上昇する場合もあり得る。安全弁88の放出先は大気開放が原則であるので、安全弁88が開放すると、大きな騒音が発生したり、被加熱媒体蒸気Wvを放出した周囲に白煙や濃霧を伴う場合があり、環境への影響が大きい。また、安全弁88からの蒸気放出は事故扱いとしている事業者もあり、これらの事情を勘案すると、安全弁88の作動は好ましくない。そのため、安全弁88が開放する圧力に達するほどに圧力を上昇させない方が好ましい。そこで、本実施の形態では、安全弁88が開放する圧力に達するほどに気液分離器80内の圧力が上昇することを抑制するため、以下のような制御を行うこととしている。
【0036】
図2は、気液分離器80内圧力の過上昇を抑制する制御のフローチャートである。以下の制御の説明において、吸収ヒートポンプ1の構成に言及しているときは、適宜
図1を参照することとする。この制御では、まず、制御装置90は、圧力計93で検知した値が出力抑制圧力P2以上か否かを判断する(S1)。出力抑制圧力P2は、目標圧力P1を超え、開放圧力PS未満の任意の圧力であり、気液分離器80内のさらなる圧力上昇を回避したい圧力を勘案して決定するとよい。出力抑制圧力P2は、第3の所定の圧力に相当する。圧力計93で検知した値が出力抑制圧力P2以上か否かを判断する工程(S1)において、出力抑制圧力P2以上でない場合は、再び圧力計93で検知した値が出力抑制圧力P2以上か否かを判断する工程(S1)に戻る。他方、出力抑制圧力P2以上の場合、制御装置90は、出力抑制措置を施す(S2)。本実施の形態では、出力抑制措置として、熱源温水切替弁53v及び/又はバイパス弁55vの開度を調節して、蒸発器20及び再生器30に導入していた熱源温水hの一部又は全部を蒸発器20及び再生器30に導入させないことで、吸収器10における吸収熱の発生を抑制することとしている。
【0037】
出力抑制措置を施したら、制御装置90は、圧力計93で検知した値が出力抑制措置解除圧力P2’以下になったか否かを判断する(S3)。出力抑制措置解除圧力P2’は、出力抑制圧力P2からあらかじめ定めた差分だけ低い圧力である。出力抑制措置解除圧力P2’以下になった場合は、出力抑制措置を解除して(S4)、圧力計93で検知した値が出力抑制圧力P2以上か否かを判断する工程(S1)に戻る。他方、出力抑制措置解除圧力P2’以下になっていない場合、制御装置90は、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する(S5)。蒸気逃がし増大圧力P3は、出力抑制圧力P2を超え、開放圧力PS未満の任意の圧力であり、安全弁88が開く前に自らのコントロール下で蒸気逃がし弁95の開度を増大(閉状態から開けることも含む)させて蒸気逃がし弁95からの被加熱媒体蒸気Wvの放出量を増大させる契機とすることを意図するものであり、第1の所定の圧力に相当する。蒸気逃がし増大圧力P3は、被加熱媒体蒸気Wvの放出を抑制する観点から極力高い圧力に設定するのが好ましい。また、蒸気逃がし弁95は、全開の状態で、出力抑制措置を施した場合の被加熱媒体蒸気Wvの生成流量以上の流量の被加熱媒体蒸気Wvを放出することができる蒸気吹き出し容量を備えているとよい。すなわち、蒸気逃がし弁95は、安全弁88(典型的には通常運転における被加熱媒体蒸気Wvの生成流量以上の流量の被加熱媒体蒸気Wvを放出することができる蒸気吹きだし容量を備える)と同程度の蒸気吹きだし容量を備えなくてよく、換言すれば安全弁88よりも小容量の蒸気吹き出し容量でよく、蒸気逃がし弁95を安全弁88よりも小型又は小径にすることができる。
【0038】
圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)において、蒸気逃がし増大圧力P3以上の場合、制御装置90は、蒸気逃がし弁95を開作動させて被加熱媒体蒸気Wvを放出する(S6)。本実施の形態では、1回の蒸気逃がし弁95の開作動で全開にするのではなく、あらかじめ決めておいた開度だけ開くこととしている。蒸気逃がし弁95を開作動させたら(S6)、再び圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)に戻り、蒸気逃がし弁95はその開度を維持する。蒸気逃がし弁95が全部又は部分的に開いている状態で開度を維持している間、被加熱媒体蒸気Wvの放出が続くので、圧力計93で検知した圧力は典型的には低下し続ける。そして、再び行う圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)において、未だに蒸気逃がし増大圧力P3以上の場合、さらに蒸気逃がし弁95をあらかじめ決めておいた開度だけ開く(S6)。このようにして蒸気逃がし弁95の開度を増大させていって全開状態に達した後であっても、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上である場合は、蒸気逃がし弁95を開作動させる工程(S6)が行われるが、蒸気逃がし弁95の開度は物理的に増大しないので、実質的に全開状態が維持されて、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)に戻ることとなる。
【0039】
圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)において、蒸気逃がし増大圧力P3以上でない場合、制御装置90は、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし減少圧力P3’以下か否かを判断する(S7)。蒸気逃がし減少圧力P3’は、蒸気逃がし増大圧力P3からあらかじめ定めた差分ΔPだけ低い圧力であり、第2の所定の圧力に相当する。蒸気逃がし減少圧力P3’は、典型的には目標圧力P1を超えた圧力である。圧力計93で検知した値が蒸気逃がし減少圧力P3’以下か否かを判断する工程(S7)において、蒸気逃がし減少圧力P3’以下でない場合は、再び圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)に戻り、蒸気逃がし弁95はその開度を維持する。他方、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし減少圧力P3’以下か否かを判断する工程(S7)において、蒸気逃がし減少圧力P3’以下の場合、制御装置90は、蒸気逃がし弁95が閉の状態か否かを判断する(S8)。
【0040】
蒸気逃がし弁95が閉の状態か否かを判断する工程(S8)において、蒸気逃がし弁95が閉の状態でない場合、制御装置90は、蒸気逃がし弁95を閉作動させて、被加熱媒体蒸気Wvの放出量を減少させる(S9)。本実施の形態では、1回の蒸気逃がし弁95の閉作動で全閉にするのではなく、あらかじめ決めておいた開度だけ閉じることとしている。蒸気逃がし弁95を閉作動させたら(S9)、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)に戻り、蒸気逃がし弁95はその開度を維持する。他方、蒸気逃がし弁95が閉の状態か否かを判断する工程(S8)において、蒸気逃がし弁95が閉の状態である場合、圧力計93で検知した値が出力抑制措置解除圧力P2’以下になったか否かを判断する工程(S3)に戻り、以降、上述のフローを繰り返す。
【0041】
上述のように、本実施の形態では、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上を維持しているときは、所定の間隔(工程(S5)の判断が行われるごと)で蒸気逃がし弁95をあらかじめ決めておいた開度だけ段階的に開いて行き、蒸気逃がし増大圧力P3未満で蒸気逃がし減少圧力P3’を超えているときは、蒸気逃がし弁95はその開度を維持し、蒸気逃がし減少圧力P3’以下を維持しているときは、所定の間隔(工程(S7)の判断が行われるごと)で蒸気逃がし弁95をあらかじめ決めておいた開度だけ段階的に閉じて行くこととしている。吸収ヒートポンプ1は、蒸気逃がし弁95の一部又は全部を開いて被加熱媒体蒸気Wvの放出を行うことで、出力抑制措置(S2)による減圧効果が現れるまでの間にさらに気液分離器80の内圧が上昇して蒸気逃がし増大圧力P3に到達した場合であっても、さらなる圧力上昇を抑制することができる。蒸気逃がし弁95を介した被加熱媒体蒸気Wvの放出において、蒸気逃がし弁95を段階的に開にすることで、無駄な被加熱媒体蒸気Wvの放出を避けながら、最小の被加熱媒体蒸気Wvの放出量で、圧力計93で検知した圧力を低下させることができて、安全弁88の作動を回避することができる。また、蒸気逃がし弁95を介した被加熱媒体蒸気Wvの放出量が、安全弁88による蒸気放出のような大容量蒸気を急放出するものではなく、少量から段階的に増やして行くので、被加熱媒体蒸気Wvの放出に伴う気液分離器80内の被加熱媒体液Wqの液位及び圧力の変動に与える影響を小さくして運転を継続することができ、被加熱媒体蒸気Wvの放出に伴う騒音を減じることができる。なお、蒸気逃がし弁95の放出先に消音器を取り付けて被加熱媒体蒸気Wvの放出時の騒音を減音又は消音させてもよい。あるいは、放出した被加熱媒体蒸気Wvを、補給水Wsを貯留した貯水槽内に導いて、被加熱媒体蒸気Wvの放出時の騒音を減音又は消音させると同時に、放出した被加熱媒体蒸気Wvで補給水Wsを予熱して熱回収してもよい。このようにすると、放出した被加熱媒体蒸気Wvを有効活用することができる。あるいは、放出した被加熱媒体蒸気Wvを他の貯水槽内に導いて被加熱媒体蒸気Wvの放出時の騒音を減音又は消音させてもよい。
【0042】
図3(A)に、被加熱媒体蒸気Wvの放出時の状況の一例を示す。
図3(A)のグラフは、縦軸に、上から、蒸気逃がし弁95からの被加熱媒体蒸気Wvの放出量、圧力計93で検知した圧力、蒸気逃がし弁95の開閉状態をとり、横軸に時間をとっている。
図3(A)に示す例では、時刻t1で、圧力計93が検知した圧力が蒸気逃がし増大圧力P3に到達したため、圧力計93が検知した圧力が蒸気逃がし増大圧力P3以上の間だけ蒸気逃がし弁95の段階的な開操作が行われている(S6)。このとき、蒸気逃がし弁95は、所定の間隔TLで所定の開度Aずつその開度の増大が行われている。そして、典型的には、蒸気逃がし弁95が開いている間は圧力計93で検知した圧力が徐々に低下していく。圧力計93が検知した圧力が蒸気逃がし増大圧力P3未満で蒸気逃がし減少圧力P3’を超えている場合(時刻t2−t3間)、蒸気逃がし弁95はその開度を維持している。そして、圧力計93が検知した圧力が蒸気逃がし減少圧力P3’以下に低下した場合、低下している間に所定の間隔TLで所定の開度Aずつその開度の減少が行われ(S9)、時刻t4で蒸気逃がし弁95が全閉となっている。
【0043】
以上で説明したように、本実施の形態に係る吸収ヒートポンプ1によれば、圧力計93で検知した値が、安全弁88の開放圧力PSよりも低い蒸気逃がし増大圧力P3以上のときに、蒸気逃がし弁95の開度を段階的に少しずつ増大させて被加熱媒体蒸気Wvの放出量を段階的に増加するので、最小の被加熱媒体蒸気Wvの放出量で気液分離器80の内部圧力を下げることができ、安全弁88を作動させることなく、被加熱媒体蒸気Wvが最小放出量であることから騒音や白煙あるいは濃霧の発生を抑制しつつ、気液分離器80の内部圧力が過度に上昇することを抑制することができる。
【0044】
以上の説明では、蒸気逃がし弁95を開にしたときにおける開弁時間間隔及び開いていく開度幅、並びに蒸気逃がし弁95を閉じるときにおける閉弁時間間隔及び閉じていく開度幅を同じにしたが、これを変えてもよい。例えば、開弁時には、開弁時間間隔を短くし、開いていく開度を大きくし、閉弁時には、閉弁時間間隔を長くし、閉じていく開度を小さくしてもよい。
図3(A)を参照して説明すると、開弁時には時刻t1から時刻t2に至る間で所定の時間間隔TLを短くし及び/又は所定の開度Aを大きくし、閉弁時には時刻t3から時刻t4に至る間で所定の時間間隔TLを長くし及び/又は所定の開度Aを小さくするとよい。このようにすると、開弁時には気液分離器80(蒸気生成部)の内部圧力の急上昇を防いで早く圧力の上昇を抑制でき、閉弁時には被加熱媒体蒸気Wvの放出に伴う気液分離器80内の被加熱媒体液Wqの液位及び圧力の変動を小さくできて安定して通常運転に戻すことができる。
【0045】
以上の説明では、蒸気逃がし弁95は、所定の時間間隔TLで所定の開度Aずつ弁開度を増大し、所定の時間間隔TLで所定の開度Aずつ弁開度を減少していくとしたが、
図3(B)に示すように、所定の開閉速度で連続的に弁開度を変えることとしてもよい。このようにすると、被加熱媒体蒸気Wvの放出に伴う気液分離器80内の被加熱媒体液Wqの液位及び圧力の変動をさらに小さくすることができ、安定した運転を行うことができる。この場合も、開弁時と閉弁時とで弁の開閉速度を変えることとしてもよく、例えば、開弁時には弁を急に(速い速度で)開き、閉弁時には弁を緩慢(遅い速度で)に閉じることとしてもよい。
図3(B)を参照して説明すると、開弁時には時刻t1から時刻t2に至る間で傾きを大きくした開度とし、閉弁時には時刻t3から時刻t4に至る間で傾きを小さくした開度とするとよい。
【0046】
以上の説明では、出力抑制措置として、蒸発器20及び再生器30に導入していた熱源温水hの一部又は全部を蒸発器20及び再生器30に導入させないこととしたが、これに代えて又はこれと共に、凝縮器40へ導入していた冷却水cの一部又は全部を凝縮器40へ導入させないようにしてもよい。つまり、蒸発器20及び再生器30への熱源温水hの一部又は全部を導入させない措置、及び凝縮器40への冷却水cの一部又は全部を導入させない措置のいずれか1つを単独で行ってもよく、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0047】
以上の説明では、圧力計93で検知した値が出力抑制圧力P2以上の場合に、出力抑制措置を施すこととしたが、出力抑制措置を省略してもよい。その場合、
図2に示すフローにおいて、圧力計93で検知した値が出力抑制圧力P2以上か否かを判断する工程(S1)、出力抑制措置を施す工程(S2)、圧力計93で検知した値が出力抑制措置解除圧力P2’以下になったか否かを判断する工程(S3)、出力抑制措置を解除する工程(S4)を省略し、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)から開始して、蒸気逃がし弁95が閉か否かを判断する工程(S8)において閉である場合に、圧力計93で検知した値が蒸気逃がし増大圧力P3以上か否かを判断する工程(S5)に戻るようにすればよい。このように、出力抑制措置を省略する場合、蒸気逃がし弁95は、通常運転時において、全開の状態で、被加熱媒体蒸気Wvの生成流量以上の流量の被加熱媒体蒸気Wvを放出することができる蒸気吹き出し容量を備えているとよい。
【0048】
以上の説明では、安全弁88が被加熱媒体蒸気管89に設けられているとしたが、気液分離器80に設けられていてもよい。同様に、蒸気逃がし弁95も被加熱媒体蒸気管89に代えて気液分離器80に設けられていてもよい。また、圧力計93も被加熱媒体蒸気管89に設けられていることとしたが、気液分離器80に設けられていてもよい。安全弁88、蒸気逃がし弁95、あるいは圧力計93が気液分離器80に設けられる場合は、気相部の部分の気液分離器80に設けるとよい。
【0049】
以上の説明では、蒸気生成部が気液分離器80で構成されていることとしたが、吸収器10の伝熱管12内で被加熱媒体蒸気Wvを発生させることとして伝熱管12を蒸気生成部としてもよく、この場合は加熱後被加熱媒体管84に被加熱媒体蒸気管89を接続するとよい。しかしながら、蒸気逃がし弁95を開けたときに蒸気生成部の内部圧力が変動するため、内部圧力の変動に伴う液位の変動を吸収して液位を安定させることができる気液分離器80を蒸気発生部とすることが好ましい。
【0050】
以上の説明では、蒸発器20が満液式であるとしたが、散布式であってもよい。蒸発器を散布式とする場合は、蒸発器缶胴の上部に冷媒液Vfを散布する冷媒液散布ノズルを設け、満液式の場合に蒸発器缶胴21の下部に接続することとしていた冷媒液管45の端部を、冷媒液散布ノズルに接続すればよい。また、蒸発器缶胴の下部の冷媒液Vfを冷媒液散布ノズルに供給する配管及びポンプを設けてもよい。
【0051】
以上の説明では、吸収ヒートポンプ1が単段であるとして説明したが、多段でもよい。
図4に、二段昇温型の吸収ヒートポンプ1Aの構成を例示する。吸収ヒートポンプ1Aは、
図1に示されている吸収ヒートポンプ1における吸収器10及び蒸発器20が、高温側の高温吸収器10H及び高温蒸発器20Hと、低温側の低温吸収器10L及び低温蒸発器20Lとに分かれている。高温吸収器10Hは低温吸収器10Lよりも内圧が高く、高温蒸発器20Hは低温蒸発器20Lよりも内圧が高い。高温吸収器10Hと高温蒸発器20Hとは、高温蒸発器20Hの冷媒Vの蒸気を高温吸収器10Hに移動させることができるように上部で連通している。低温吸収器10Lと低温蒸発器20Lとは、低温蒸発器20Lの冷媒Vの蒸気を低温吸収器10Lに移動させることができるように上部で連通している。被加熱媒体液Wqは、高温吸収器10Hで加熱される。熱源温水hは、低温蒸発器20Lに導入される。低温吸収器10Lは低温蒸発器20Lから移動してきた冷媒Vの蒸気を吸収液Sが吸収する際の吸収熱で高温蒸発器20H内の冷媒液Vfを加熱して高温蒸発器20H内に冷媒Vの蒸気を発生させ、発生した高温蒸発器20H内の冷媒Vの蒸気は高温吸収器10Hに移動して高温吸収器10H内の吸収液Sに吸収される際の吸収熱で被加熱媒体液Wqを加熱するように構成されている。