(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のペンホルダーには、内部に替え芯を収納しなければならないために全高が高くなっており、ペンホルダーとして使用していないときに机の引き出しの中などに収納しておくことが困難という問題があった。
【0008】
したがって、本発明の目的の一つは、内部に替え芯を収納しつつも、低背化を実現できるペンホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明によるペンホルダーは、棒状に形成された芯を有し、該芯が交換可能に構成された電子ペンをホールドするためのペンホルダーであって、前記電子ペンを起立又は載置状態でホールドするホールド部を有する筐体と、前記筐体の内部に設けられ、前記起立状態で前記電子ペンをホールドしたときにおける該電子ペンの長手方向とは異なる方向に前記電子ペン用の替え芯を把持する少なくとも1つの替え芯把持部とを備える。
【0010】
本発明によれば、替え芯把持部が起立状態の電子ペンの長手方向とは異なる方向に替え芯を把持するので、特許文献1に記載のペンホルダーのように起立状態の電子ペンと同じ方向に替え芯を収納する場合に比べ、筐体の低背化を実現することが可能となる。
【0011】
上記ペンホルダーにおいて、前記ホールド部は、前記電子ペンのペン先を挿入して該電子ペンを起立状態でホールドするための開口を含み、前記少なくとも1つの替え芯把持部はそれぞれ、前記起立状態の前記電子ペンの長手方向から見て斜めの方向に前記替え芯を把持することとしてもよい。これによれば、替え芯を水平に把持する場合に比べ、筐体の水平方向の幅を小さくすることが容易になる。
【0012】
上記各ペンホルダーにおいて、前記筐体は、少なくとも上面側に前記ホールド部が形成された蓋部を有し、前記少なくとも1つの替え芯把持部はそれぞれ、前記蓋部の下面側に配置されることとしてもよい。これによれば、ユーザは、蓋部を持ち上げ、自身の手元に近いところで替え芯の脱着を行うことが可能になる。
【0013】
上記ペンホルダーにおいて、前記蓋部は、前記筐体の外表面を構成する外殻部と、該外殻部の前記本体部側の表面を覆うカバー部とを有し、前記少なくとも1つの替え芯把持部はそれぞれ、前記カバー部に設けられた貫通部を含むこととしてもよい。これによれば、替え芯把持部は、貫通部に挿入された替え芯の一端をカバー部と外殻部とで挟み込むことによって、替え芯を把持することが可能になる。
【0014】
上記ペンホルダーにおいて、前記少なくとも1つの替え芯把持部はそれぞれ、前記カバー部に設けられた溝部をさらに含み、前記貫通部は、対応する前記溝部の一端に設けられることとしてもよい。これによれば、溝部がガイドの役割を果たすので、替え芯把持部への替え芯の格納が容易になる。
【0015】
上記各ペンホルダーにおいて、前記開口は、平面的に見て前記筐体の中央に設けられ、前記溝部は、平面的に見て前記開口から前記蓋部の外側に向かう方向に延在するように形成されることとしてもよい。これによれば、溝部が放射状に配置されることになるので、ユーザによる替え芯の脱着が容易になる。
【0016】
上記ペンホルダーにおいて、前記貫通部は、対応する前記溝部の前記開口寄りの一端に設けられることとしてもよい。これによれば、蓋部の外縁部を通って替え芯の脱着が可能になるので、ユーザによる替え芯の脱着がさらに容易になる。
【0017】
上記ペンホルダーにおいて、前記カバー部は、前記開口を中心とするすり鉢の形状に構成されたテーパー部を有し、前記溝部は、前記テーパー部に設けられることとしてもよい。これによれば、斜め方向に替え芯を出し入れすることが可能になるので、ユーザによる替え芯の脱着がさらに容易になる。
【0018】
上記ペンホルダーにおいて、前記貫通部は、前記溝部の前記開口寄りの一端から前記溝部の延伸方向に形成され、前記貫通部を円筒の一部とみなした場合の円筒軸は、前記突起部の頂面と平行であることとしてもよい。これによれば、貫通部に挿入された替え芯の一端をカバー部と外殻部とで挟み込むことが可能になる。
【0019】
上記ペンホルダーにおいて、前記外殻部は、前記突起部の頂面から連続する内表面を有する凹部をさらに有することとしてもよい。これによれば、貫通部内における替え芯とカバー部の接触面積をより大きくすることが可能になる。
【0020】
上記各ペンホルダーにおいて、前記テーパー部と前記蓋部の外縁部との間に設けられる平坦部をさらに有し、前記溝部の他端は、前記平坦部に開口することとしてもよい。これによれば、替え芯の端部を容易につかめるようになるので、ユーザによる替え芯の脱着がさらに容易になる。
【0021】
上記各ペンホルダーにおいて、前記外殻部は、前記溝部に沿って延在する突起部を有し、前記突起部の頂面は、前記溝部の底面を構成することとしてもよい。これによれば、溝部の深さを一定にすることが可能になる。
【0022】
上記各ペンホルダーにおいて、複数の前記替え芯把持部を備え、前記複数の替え芯把持部は、平面的に見て前記開口を取り囲むように配置されることとしてもよい。これによれば、開口の周囲に複数の替え芯把持部を配置することが可能になる。
【0023】
上記ペンホルダーにおいて、前記複数の替え芯把持部はそれぞれ、前記替え芯を収納可能に構成された溝部を有し、前記複数の替え芯把持部それぞれの前記溝部は、平面的に見て前記開口を中心とする放射状に配置されることとしてもよい。これによれば、ユーザによる替え芯の脱着が容易になる。
【0024】
上記ペンホルダーにおいて、前記筐体は、本体部と、前記本体部に対して脱着可能に構成され、かつ、前記開口が形成される蓋部とを有し、前記蓋部は、前記開口を中心とするすり鉢の形状に構成されたテーパー部を有し、前記複数の替え芯把持部それぞれの前記溝部は、前記テーパー部に設けられることとしてもよい。これによれば、斜め方向に替え芯を出し入れすることが可能になるので、ユーザによる替え芯の脱着がさらに容易になる。
【0025】
上記ペンホルダーにおいて、前記少なくとも1つの替え芯把持部はそれぞれ、前記ペンホルダーを水平面に載置した場合に前記替え芯の長手方向が水平方向に平行となるように、前記替え芯を把持することとしてもよい。これによれば、垂直方向に替え芯を収納する場合に比べ、筐体の低背化を実現することが可能となる。
【0026】
上記ペンホルダーにおいて、前記筐体は、少なくとも上面側に前記ホールド部が形成された蓋部を有し、前記蓋部は、前記筐体の外表面を構成する外殻部と、該外殻部の前記本体部側の表面を覆うカバー部とを有し、前記カバー部には、該カバー部の外縁に沿って下向きに立設された外縁部と、該カバー部の中央部分から下向きに突出する突出部とを有し、
前記外縁部には、複数の第1の切り欠きが形成され、前記突出部には、前記複数の第1の切り欠きと一対一に対応する複数の第2の切り欠きが形成され、前記複数の替え芯把持部はそれぞれ、対応する1組の前記第1及び第2の切り欠きによって構成されることとしてもよい。これによれば、第1及び第2の切り欠きがガイドの役割を果たすので、替え芯把持部への替え芯の格納が容易になる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、替え芯把持部が起立状態の電子ペンの長手方向とは異なる方向に替え芯を把持するので、特許文献1に記載のペンホルダーのように起立状態の電子ペンと同じ方向に替え芯を収納する場合に比べ、筐体の低背化を実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態によるペンホルダー1の使用状態を示す斜視図である。同図に示すように、ペンホルダー1は、本体部4と、この本体部4に対して脱着可能に構成された蓋部3とからなる筐体2を備えて構成される。蓋部3は、厚み方向に扁平する半球の形状を有しており、その上面には、電子ペンをホールドするホールド部としての開口3a及び凹部3bが形成される。
【0031】
ペンホルダー1は、通常、
図1に示すように、本体部4が下側となり蓋部3が上側となるように水平面に設置された状態で使用される。この通常の使用状態で、矢印Aで示す方向に電子ペンPを移動することによって開口3a内に電子ペンPのペン先が挿入されると、ペンホルダー1は、開口3aに連通する後述の貫通部13a,4a(
図5(b)参照)の内側面によって電子ペンPを支持する。これにより、電子ペンPは起立状態となる。
【0032】
また、ペンホルダー1は、起立状態だけでなく横向きの状態(載置状態)でも電子ペンPを支持可能に構成される。そのための構造が、凹部3bである。凹部3bは、後述する
図2(a)に示すように、蓋部3の上面中央に設けられた楕円形の凹部である。凹部3bの底面は電子ペンPの側面形状に適合する曲面の形状とされており、それによって、凹部3bには電子ペンPを横向きに載置可能となっている。なお、開口3aは凹部3bの中央に設けられる。
【0033】
電子ペンPのペン先は、図示した替え芯SLによって構成され、取り替え可能とされている。替え芯SLは、
図1に示すように、棒状部材SLaの一方端部にペン先部SLbが形成された構成を有している。ペン先部SLbは、半球形状を有しており、電子ペンPのペン先として機能する。電子ペンPへの替え芯SLの装着は、電子ペンPの先端に棒状部材SLaを他方端部から挿入することによって行う。また、替え芯SLの電子ペンPからの取り外しは、専用工具又はピンセット等により電子ペンPの先端に露出しているペン先部SLbを把持し、替え芯SLを引き抜くことによって行う。
図1には示していないが、ペンホルダー1は内部に複数の替え芯SLを格納できるように構成されており、本発明は、この格納を実現するためのペンホルダー1の構成に主たる特徴を有する。以下、ペンホルダー1の構成について、
図2〜
図7を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で「上」「下」という場合、特に断らない限り、
図1に示した通常の使用状態での「上」「下」を意味する。
【0034】
図2(a)はペンホルダー1の上面図であり、
図2(b)はペンホルダー1の下面図である。また、
図2(c)は、
図2(a)の下側から見たペンホルダー1の側面図であり、
図2(d)は、
図2(a)の右側から見たペンホルダー1の側面図である。なお、図示していないが、
図2(a)の上側から見たペンホルダー1の側面図は
図2(c)と同様であり、
図2(a)の左側から見たペンホルダー1の側面図は
図2(d)と同様である。
図3(a)は、本体部4から取り外した状態の蓋部3を下側から見た場合の斜視図であり、
図3(b)は、蓋部3を取り外した状態の本体部4の斜視図である。
図4(a)は、蓋部3を構成する外殻部10を下側から見た場合の斜視図であり、
図4(b)は、蓋部3を構成するカバー部20を上側から見た場合の斜視図である。
図5(a)は、
図2(a)のA−A線に対応するペンホルダー1の断面図であり、
図5(b)は、
図2(a)のB−B線に対応するペンホルダー1の断面図である。
図6は、
図5(b)に示した領域Dの拡大図である。
図7は、替え芯SLを装着した状態の蓋部3を下側から見た場合の斜視図である。
【0035】
初めに
図3(a)を参照すると、蓋部3は、筐体2の外表面を構成する外殻部10と、外殻部10の下面(本体部4側の表面)を覆うカバー部20とを有して構成される。
【0036】
外殻部10は、軽いが容易に変形しない材料、例えば、硬質プラスチック等で形成された部材である。外殻部10は、
図4(a)に示すように、上述した厚み方向に扁平する半球形状を構成する曲面部11と、曲面部11の外縁に沿って下向きに立設された外縁部12と、曲面部11の中央部に設けられた突出部13と、突出部13の周囲に設けられた複数の突起部14とを有して構成される。
【0037】
曲面部11は、上述の半球形状を扁平させて形成した蓋部3の内壁部分である。曲面部11は、
図4(a)に示すように、中心部分から外縁部12へ向かってテーパー状に形成される。
【0038】
外縁部12は、内側の表面にねじ山を有して構成される。このねじ山は、後述する本体部4の外縁部41の外側表面に設けられるねじ山と螺合するもので、この螺合により、蓋部3は、本体部4と脱着可能に構成される。
【0039】
突出部13は、曲面部11の中心部分から下向きに突出しており、内部に貫通部13aを有して構成される。貫通部13aは、
図5(b)に示すように、上端(
図5(b)では下端となる)から下端にかけて次第に直径が小さくなる逆錐台形状に形成された貫通孔によって構成される。上述した開口3aは、貫通部13aの上端により構成される。貫通部13aが逆錐台形状であることに伴い、
図4(a)及び
図5(b)に示すように、突出部13も逆錐台形状を有している。突出部13の高さは、
図5(b)に示すように、突出部13の頂面が本体部4と接触しない程度の高さに設定される。
【0040】
複数の突起部14は、
図4(a)に示すように、平面的に見て、突出部13(すなわち、開口3a)を取り囲むように配置される。より具体的に言えば、各突起部14は、下側から見て突出部13から外殻部10へ向かう方向に延在するように形成されており、突出部13を中心とする放射状に一定の間隔で配置される。各突起部14の突出量は、突出部13に最も近い位置では曲面部11と同じ高さであり、そこから外殻部10の外側に向かうに従って一定の割合で増加する。つまり、
図6に示す各突起部14の頂面14aは、突出部13に近づくほど曲面部11に近づく斜面を構成している。
【0041】
曲面部11には、
図4(a)に示すように、複数の突起部14と一対一に対応する複数の凹部11aが形成される。各凹部11aは、対応する突起部14の突出部13側の端部近傍に配置される。凹部11aの内表面は、
図6に示すように、突起部14の頂面14aから連続する斜面11aaと、この斜面11aaと直交する斜面11abとを含んで構成される。
【0042】
次に、カバー部20は、エラストマーなどの弾性を有する材料で形成された部材であり、
図3(a)に示すように、その下面(
図3(a)では上面となる)に第1の平坦部21、テーパー部22、第2の平坦部23、突出部24、及び複数の替え芯把持部25を有して構成される。カバー部20の上面は、
図4(b)に示すように外殻部10の曲面部11に整合する曲面形状に形成されており、例えば、外殻部10の曲面部11と図示しない接着剤により接着される。
【0043】
図3(a)に示すように、突出部24は、第2の平坦部23から下向きに突出して形成されている。この突出部24の内部には、
図5(b)に示すように、貫通部24aが設けられる。この貫通部24aは、突出部13を通すための貫通孔であり、突出部13の外形に整合する形状を有している。突出部24の突出量は、突出部13の上端が突出部24の上端から突出する高さに設定される。
【0044】
テーパー部22は、突出部24(すなわち、開口3a)を中心とするすり鉢の形状に構成されており、その高さは、突出部24の高さと同じ値に設定される。したがって、第1の平坦部21と突出部24の下面とは同一平面を構成する。
【0045】
複数の替え芯把持部25は、上述した起立状態の電子ペンPの長手方向とは異なる方向に替え芯SLを把持可能に構成された機能部であり、外殻部10の突起部14と一対一に設けられる。具体的には、各替え芯把持部25は、
図3(a)に示すように、第2の平坦部23を貫通する貫通部26と、テーパー部22に設けられ、一端が貫通部26に連通し、他端が第1の平坦部21に開口する溝部27とを有して構成される。替え芯把持部25の構造の詳細については、後ほどまとめて説明する。
【0046】
次に、本体部4は、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、円盤状の基底部40と、基底部40の外縁に沿って上向きに立設された外縁部41と、基底部40の下面に形成された弾性部42とを有して構成される。基底部40及び外縁部41は、外殻部10やカバー部20の材料に比して比重の大きい金属材料で形成される。これは、電子ペンPの重さによって筐体2が転倒することを防止するためである。一方、弾性部42は、ゴムなどの弾性部材によって形成される。弾性部42は滑り止めとしての役割を担う部材であり、
図2(b)に示すように、以下で説明する貫通部4aを中心とするドーナツの形状で形成される。
【0047】
基底部40の中央部には、貫通部4aが形成されている。
図5(b)に示すように、貫通部4aの上半分(
図5(b)では下半分となる)は上端から下端にかけて一定の直径を有する円筒形状に形成され、下半分は上端から下端にかけて次第に直径が小さくなる逆円錐台形に形成される。貫通部4aは、
図5(b)に示すように貫通部13aと中心軸を共有しており、開口3aから挿入された電子ペンPのペン先は、貫通部13aを通って、貫通部4aの下半分の逆円錐台形部分に嵌合する。
【0048】
外縁部41は、外側の表面にねじ山を有して構成される。このねじ山は、外殻部10の外縁部12の内側表面に設けられるねじ山と螺合するもので、上述したように、蓋部3を本体部4と脱着可能に構成する役割を果たす。
【0049】
以上が、ペンホルダー1の構成の全体的な概要である。続いて、替え芯把持部25の構造について、詳しく説明する。
【0050】
各替え芯把持部25の溝部27は、
図3(a)に示すように、平面的に見て突出部24(すなわち、開口3a)を取り囲むように配置される。より具体的に言えば、各溝部27は、平面的に見て突出部24からカバー部20の外側に向かう方向に延在するように形成されており、突出部24を中心とする放射状に一定の間隔で配置される。この配置は外殻部10の各突起部14の配置と同じであり、各突起部14は、対応する溝部27に沿って延在している。
【0051】
各溝部27は、
図4(b)に示すように、テーパー部22を貫通するように形成されており、その内部には、
図5(a)に示すように、対応する突起部14が嵌め込まれている。各突起部14の曲面部11からの突出高さの具体的な値は、突起部14が溝部27内に嵌め込まれた場合に、この嵌め込んだ突起部14の頂面からテーパー部22の表面までの距離(すなわち、突起部14の頂面を底面とみなした場合の溝部27の深さ)が溝部27の全長にわたって一定値となるように設定される。また、各溝部27の幅は、替え芯SLの棒状部材SLaの直径よりもわずかに大きい値に設定される。
【0052】
各替え芯把持部25の貫通部26は、対応する溝部27の突出部24(すなわち、開口3a)寄りの一端からカバー部20を斜めに貫くように形成された貫通孔である。
図6に示すように、貫通部26を円筒の一部とみなした場合、この円筒の軸は、対応する突起部14の頂面14a及び斜面11aaと平行となっている。また、この円筒の直径は、棒状部材SLaの直径よりもわずかに大きい値に設定される。
【0053】
ここで、替え芯把持部25内への替え芯SLの収納方法について、
図7を参照して説明する。替え芯把持部25内に替え芯SLを収納しようとするユーザは、
図7に示すように、替え芯SLのペン先部SLbを持ち、
図7の矢印方向Dに沿って、溝部27の他端(第1の平坦部21に開口する端部)から溝部27内に棒状部材SLaを滑り込ませる。そして、貫通部26内を経由して、凹部11aまで棒状部材SLaの他方端部(ペン先部SLbと反対側の端部)を移動させ、最終的に、
図6に示した凹部11a内の斜面11abに当接させる。このとき、替え芯SLの長手方向は、起立状態の電子ペンPの長手方向(垂直方向)から見て斜めの方向と平行になっている。したがって、長手方向が垂直方向と平行になっている状態で替え芯SLを格納する場合に比べて筐体2の低背化が実現され、また、長手方向が水平方向と平行になっている状態で替え芯SLを格納する場合に比べて筐体2の水平方向の幅の低減が可能となっている。
【0054】
また、替え芯把持部25内に格納された替え芯SLのうち貫通部26及び凹部11a内にある部分は、カバー部20と外殻部10とによって挟み込まれ、一定の力で把持された状態となる。この力の主な成分は、替え芯SLとカバー部20との間の摩擦力であり、特にカバー部20が下側となるように蓋部3を設置した場合に効力を有する。替え芯SLが自身の重みによってカバー部20と接触するからである。したがって、仮にカバー部20を下側にした状態で蓋部3が持ち上げられたとしても、替え芯SLが滑り落ちることがなくなり、替え芯把持部25内に把持された状態が維持される。つまり、替え芯把持部25の構造によれば、替え芯SLの脱落が防止されている。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態によるペンホルダー1によれば、替え芯把持部25が起立状態の電子ペンPの長手方向(垂直方向)とは異なる方向に替え芯SLを把持するので、特許文献1に記載のペンホルダーのように起立状態の電子ペンと同じ方向に替え芯SLを収納する場合に比べ、筐体2の低背化を実現することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態によるペンホルダー1によれば、起立状態の電子ペンPの長手方向から見て斜めの方向に替え芯SLが把持されるので、水平方向に替え芯SLを把持する場合に比べ、筐体2の水平方向の幅を小さくすることが容易になる。
【0057】
さらに、本実施の形態によるペンホルダー1によれば、替え芯把持部25が本体部4ではなく蓋部3の下面側に配置されるので、ユーザは、蓋部3を本体部4から外して持ち上げ、自身の手元に近いところで替え芯SLの脱着を行うことが可能になる。なお、このように蓋部3の下面側に替え芯把持部25を配置する場合、蓋部3から替え芯SLが滑り落ちてしまうおそれが生ずるが、本実施の形態によるペンホルダー1によれば、替え芯把持部25の構造によって替え芯SLが把持されるので、替え芯SLの滑り落ちが防止される。
【0058】
具体的には、溝部27の開口3a寄りの一端からカバー部20を斜めに貫き、かつ、貫通部26を円筒の一部とみなした場合の円筒軸が突起部14の頂面14aと平行となるように貫通部26を形成しているので、貫通部26に挿入された替え芯SLの一端を、カバー部20と外殻部10とで挟み込み、カバー部20と替え芯SLの間の摩擦力により替え芯SLを把持することが可能になる。さらに、突起部14の頂面14aから連続する内表面(斜面11aa)を有する凹部11aを外殻部10に設けているので、貫通部26内における替え芯SLとカバー部20の接触面積をより大きくすることが可能になる。
【0059】
また、本実施の形態によるペンホルダー1によれば、複数の替え芯把持部25を放射状に配置していること、各貫通部26を対応する溝部27の開口3a寄りの一端に設けていること、カバー部20にテーパー部22を設け、このテーパー部22に沿って替え芯SLを把持するようにしていること、及び、溝部27の他端が第1の平坦部21に開口していることの少なくとも1つにより、ユーザによる替え芯SLの脱着が容易なものとなっている。
【0060】
また、本実施の形態によるペンホルダー1によれば、外殻部10に突起部14を設け、この突起部14の頂面14aにより溝部27の底面を構成しているので、溝部27の深さを一定にすることが可能になる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明が、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施され得ることは勿論である。
【0062】
例えば、上記実施の形態では、ペンホルダー1内に複数の替え芯把持部25を設けたが、1つだけ替え芯把持部25を設けることとしてもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、起立状態の電子ペンPの長手方向から見て斜めの方向に替え芯SLを把持することとしたが、水平方向に把持することとしても、筐体2の低背化という効果を得ることは可能である。
【0064】
図8(a)は、本発明の実施の形態の変形例によるペンホルダー1aの分解斜視図であり、
図8(b)は、ペンホルダー1aの蓋部3の斜視図(電子ペンP用の替え芯SLを装着した状態)である。ペンホルダー1aは、替え芯SLを水平方向に把持できるように、ペンホルダー1の構造を改変した例である。
【0065】
ペンホルダー1aとペンホルダー1の構造上の違いは、主として外縁部12及びカバー部20に現れている。具体的に説明すると、ペンホルダー1aの外縁部12は、突起部14及び凹部11aを有しない点で、ペンホルダー1の外縁部12と相違している。ペンホルダー1aの外縁部12のその他の形状は、ペンホルダー1の外縁部12と同様である。また、ペンホルダー1aのカバー部20は、下面側に現れる形状の点で、ペンホルダー1のカバー部20と相違している。以下、ペンホルダー1aのカバー部20の構造について、詳しく説明する。
【0066】
ペンホルダー1aのカバー部20の下面には、平面状に形成された平坦部28と、カバー部20の外縁(平坦部28の外縁)に沿って下向きに立設された外縁部29と、カバー部20の中央部分(平坦部28の中央部分)から下向きに突出する突出部24とが形成される。突出部24には、ペンホルダー1の突出部24と同様に貫通部24aが設けられるが、本変形例による貫通部24aは、外殻部10の突出部13ではなく電子ペンPのペン先のみが通過できる小サイズの貫通孔となっている。
【0067】
外縁部29及び突出部24には、それぞれ等間隔に複数の切り欠き29a(第1の切り欠き)及び複数の切り欠き24b(第2の切り欠き)が設けられる。各切り欠き29aは、外縁部29の下面と内側表面(突出部24との対向面)の2方向に開口するように形成される。また、各切り欠き24bは、突出部24の下面と外側表面(外縁部29との対向面)の2方向に開口するように形成される。
【0068】
各切り欠き29aと各切り欠き24bとは一対一に対応しており、対応する1組の切り欠き29a,24bにより、本変形例による替え芯把持部25が構成される。替え芯STは、切り欠き29a,24bの一方に一端が、他方に他端がそれぞれ収納された状態で、替え芯把持部25内に格納される。各切り欠き29a,24bの高さ方向の位置(平坦部28からの距離)は、こうして替え芯把持部25に替え芯STを格納した場合に、替え芯STの長手方向が水平方向と平行になるように設定される。
【0069】
替え芯把持部25を構成する1組の切り欠き29a,24bは、平面的に見てカバー部20の半径方向に沿って配置される。したがって、本変形例においても、各替え芯把持部25は放射状に配置されている。
【0070】
以上説明したように、ペンホルダー1aの構造によれば、替え芯SLを水平方向に把持することが可能になる。その結果、垂直方向に替え芯SLを収納する場合に比べ、筐体2の低背化を実現することが可能となっている。また、切り欠き29a,24bがガイドの役割を果たすので、替え芯把持部25への替え芯STの格納が容易になり、さらに、各替え芯把持部25を放射状に配置していることにより、ユーザによる替え芯SLの脱着が容易なものとなっている。
【解決手段】本発明によるペンホルダーは、電子ペンのペン先を挿入可能に構成された開口3aを有し、該開口3aに挿入された電子ペンを起立状態に支持する筐体と、この筐体の内部に設けられ、それぞれ起立状態の電子ペンの長手方向とは異なる方向に電子ペン用の替え芯SLを把持する少なくとも1つの替え芯把持部25とを備える。これにより、替え芯把持部25が起立状態の電子ペンの長手方向とは異なる方向に替え芯SLを把持するので、起立状態の電子ペンと同じ方向に替え芯SLを収納する場合に比べ、筐体の低背化を実現することが可能となる。