特許第6337097号(P6337097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337097
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】アキシャルピストンポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 1/22 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   F04B1/22
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-514294(P2016-514294)
(86)(22)【出願日】2014年5月15日
(65)【公表番号】特表2016-522345(P2016-522345A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2014001322
(87)【国際公開番号】WO2014187545
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2016年10月20日
(31)【優先権主張番号】102013008679.5
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008681.7
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008676.0
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008629.9
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008678.7
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013008677.9
(32)【優先日】2013年5月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515183399
【氏名又は名称】ハイダック ドライブ センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ボッシュ
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−123375(JP,U)
【文献】 特開昭52−011407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に油圧システム用の斜板式アキシャルピストンポンプであって、ポンプハウジング(7)内で軸線(15)を中心に回転駆動可能なシリンダドラム(1)を有しており、前記シリンダドラム(1)内にピストン(21)が軸方向可動に配置されており、前記ピストン(21)はシリンダドラム(1)の外部で到達可能な操作端部(31)で少なくとも間接的に斜板(3)に支持されており、前記斜板(3)はピストン(21)の行程、ひいては前記ピストンによって発生される流体システム圧を調節するために軸線(15)に対して相対的に所望の傾斜角に揺動可能であり、さらに、前記斜板(3)はその揺動運動のために斜板支承体(39、41)を介してポンプハウジング(7)に支承されており、
ステム圧下にある流体が少なくとも斜板支承体(39、41)に到達するようにする供給装置(5)が設けられてり、
斜板(3)を斜板支承体(39、41)に当接して保持する押圧装置(5)が設けられており、
前記供給装置は押圧装置の構成部分をなし、ポンプハウジング(7)のシステム圧を送る流体経路(57)と斜板(3)との間の流体接続を形成する管(5)を具えており、前記管(5)は斜板(3)を斜板支承体(39、41)に保持する当接力を斜板(3)に伝え、
管(5)はシリンダドラム(1)の横で軸線(15)に対して平行に延びていること、及び球状頭部(59)を受容する球状凹部(61)を有する接続部材(58)は、斜板(3)の滑り面(33)の側方に位置する部分に配置されている、特に油圧システム用の斜板式アキシャルピストンポンプにおいて、
揺動軸線(37)を中心とした斜板(3)の揺動運動のために斜板(3)の一方の側が揺動レバー(47)と接続されており、前記揺動レバー(47)は、前記揺動軸線(37)を中心とした斜板(3)の相応の揺動運動をさせるように、シリンダドラム(1)の軸線(15)に対して平行に延びており、その一方の端部(49)で軸線(15)に対して垂直に延びる方向に可動であることを特徴とする斜板式アキシャルピストンポンプ。
【請求項2】
前記押圧装置(5)は、斜板(3)を斜板支承体(39、41)に保持する当接力を発生するための、好ましくはばね構成(63)として形成されたエネルギー蓄積器を具えていることを特徴とする、請求項に記載のアキシャルピストンポンプ。
【請求項3】
前記管(5)は、管(5)に対して相対的に斜板(3)の揺動運動を可能にして流体接続を形成する継手装置(59、61)を介して斜板(3)と接続されていることを特徴とする、請求項に記載のアキシャルピストンポンプ。
【請求項4】
管(5)の斜板(3)とは反対側の端部と、ポンプハウジング(7)のシステム圧を送る部材(55)との間に重ね皿ばね(63)が配置されており、前記重ね皿ばね(63)は斜板(3)とこれに付属する管(5)の他方の端部との間の移行部に設けられている継手装置(59、61)に当接力を伝達するために管(5)に予圧を掛けることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のアキシャルピストンポンプ。
【請求項5】
前記継手装置は玉継手の形態で形成されて、管(5)の端部にある球状頭部(59)と、斜板(3)にある接続部材(58)とを具えており、前記接続部材(58)内に球状頭部(59)を受容する球状凹部(61)が形成されており、前記球状凹部(61)内には管(5)の流体路を継続する流体貫通路(67)が設けられていることを特徴とする、請求項3又は4に記載のアキシャルピストンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に油圧システム用の斜板式アキシャルピストンポンプであって、ポンプハウジング内で軸線を中心に回転駆動可能なシリンダドラムを有しており、シリンダドラム内にピストンが軸方向可動に配置されており、ピストンはシリンダドラムの外部で到達可能な操作端部で少なくとも間接的に斜板に支持されており、斜板はピストンの行程、ひいてはピストンによって発生される流体システム圧を調節するために軸線に対して相対的に所望の傾斜角に揺動可能であり、さらに斜板はその揺動運動のために斜板支承体を介してポンプハウジングに支承されているものに関する。
【背景技術】
【0002】
斜板式アキシャルピストンポンプは公知の技術である。斜板式アキシャルピストンポンプはエネルギー消費機器、例えば作業シリンダ、流体モータ及び同種のものに圧力媒体を供給するために広く使用されている。軸線に対する斜板の傾きが調節可能である、冒頭に記載した種類のアキシャルピストンポンプは、同様に公知の固定した斜板を有するアキシャルピストンポンプに対して運転時のエネルギー収支がより良好であることを特徴とする。固定した斜板を有するポンプは定量ポンプとして、圧力媒体で操作される機器によってエネルギーが要求されなくても所定の駆動回転数で常に一定の容積流の流体を吐き出し、それゆえ無負荷運転時でも油圧回路内の流動抵抗を克服しなければならず、そのために有効エネルギーを供給しない駆動エネルギーが消費されるのに対し、斜板の傾きを調節できることによって吐出し量をゼロに調節でき、駆動エネルギーの需要を最小限にすることが可能である。冒頭に記載した種類のアキシャルピストンポンプが、ある特許文献において開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、ある特許文献に記載された軸方向ピストン機械では、ハウジング内に被動シャフトが支承され、シリンダドラムと一緒に回転するように接続されている(例えば、特許文献2参照。)。シリンダドラム内ではピストンが軸方向可動に配置されており、ピストンはそれぞれ一方の操作端部に配置された滑りシューで斜板に支持されている。押さえ板は滑りシューが常に斜板に当接しているように働く。平坦な斜板は、軸受ブッシュに揺動可能に当接しているクレードルの一部である。クレードルは圧力媒体圧を制御することにより、クレードルの下方に配置された互いに向き合う2個の圧力チャンバ内で揺動し、それによってピストンの行程の調節が可能にされている。ハウジング内部の周縁部で軸方向に互いに向き合って配置された2本の支持管は、圧力媒体をクレードルの下にある圧力室に案内するための内部管路を具えており、各々の支持管はクレードルの支持部でボールソケットによって形成された座部に重ね皿ばねによって押し付けられる。これにより流体を確実に圧力室に供給し若しくは圧力室から排出することが保証されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第4415510号
【特許文献2】独国特許出願第2531616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、公知の技術から出発して、長期運転においても特別高い運転安定性を特徴とする、所望の傾斜角に調節可能な斜板を有するアキシャルピストンポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、請求項1による、本発明の1つの特徴により、システム圧下にある流体が少なくとも斜板支承体に到達するようにした供給装置が設けられていることによって解決される。そうすることにより斜板支承体に対して油圧システムで利用される油圧油などの流体による圧力潤滑が提供される。流体は斜板内に形成された孔と管路を通って、運転時に負荷される支承体の相応の領域に供給可能である。それゆえ多数の調節サイクル及び/又は高い頻度で起こる斜板の揺動運動を伴う長期運転でも、申し分のない支承と相応に高い運転安定性が保証されている。
【0007】
上記の本発明の課題は、請求項2による、本発明の別の特徴により、斜板を斜板支承体に当接して保持する押圧装置が設けられていることによって解決される。斜板が所定の容積流と相応のシステム圧が発生される揺動位置に調節されている間にポンプが運転されると、システム圧がピストンを介して斜板に作用して、斜板はそれらの支承体に固定されている。ポンプが運転されていないか、又は斜板軸線に対して揺動していない、即ちゼロ位置にあってシステム圧が存在しない無圧システムにおいては、圧力に基づく力がピストンを介して斜板に作用しない。本発明によって設けられている押圧装置によりこれらの運転状況においても斜板が支承体から脱落することは防がれているため、ポンプはゼロ吐出しに調節した場合でも確実に運転可能である。
【0008】
特に有利な実施形態において、供給装置は押圧装置の構成部分をなし、ポンプハウジングのシステム圧を送る流体経路と斜板との間の流体接続を形成する管を具えている。このようにすることにより斜板内に形成された適当な潤滑剤管路によって考慮される支承箇所への所望された潤滑剤供給が実現可能である。
【0009】
押圧装置は、斜板を斜板支承体に保持する当接力を発生するための、好ましくはばね構成として形成されたエネルギー蓄積器を具えてよいことが特に有利である。
【0010】
特に有利な実施形態において、管は、当該管に対して相対的に斜板の揺動運動を可能にして流体接続を形成する継手装置を介して斜板と接続されている。このようにすると管はポンプハウジングと揺動運動可能に接続される必要がないため、ハウジングにおける管の接続は構造的に単純に形成される。
【0011】
特に有利には、管の斜板とは反対側の端部と、ポンプハウジングのシステム圧を送る部材との間に重ね皿ばねが配置されてよく、この重ね皿ばねはエネルギー蓄積器として働いて、斜板とこれに付属する管の他方の端部との間の移行部に設けられている継手装置に当接力を伝達するために管に予圧を掛ける。
【0012】
継手装置は玉継手の形態で形成されてよく、管の端部にある球状頭部と、斜板にある接続部材とを具えており、接続部材内に球状頭部を受容する球状凹部が形成されており、球状凹部内には管の流体路を継続する流体貫通路が設けられている。
【0013】
特別有利には、管はシリンダドラムの横で軸線に対して平行に延びており、球状頭部を受容する球状凹部を有する接続部材は、斜板の側方突出部に配置されているように構成できる。
【0014】
以下に本発明を図面に示した実施形態に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるアキシャルピストンポンプの実施形態のうちシリンダドラムと、斜板と、供給・押圧装置として働く連結管のみが示されている図式的に簡略化した側面図である。
図2】アキシャルピストンポンプの実施形態の縦断面図である。
図3】供給・押圧装置として働く連結管の拡大した分解斜視図である。
図4】実施形態の斜板を別個に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、説明する実施形態のうち回転するシリンダドラム1と、これに付属する揺動可能な斜板3と、シリンダドラム1の横に配置されて供給・押圧装置を形成している連結管5のみを簡略化して示す。図2に参照符号7で示すポンプハウジングは図1で省略されている。この図1では斜板3は、相応に高いシステム圧による最大吐出し量に対応する揺動角において示されている。図2に図示されているように、ポンプハウジング7は図面では上に位置する上部部分9と下部部分11を具えている。シリンダドラム1に対する駆動軸13は、参照符号15で示す軸線を中心に回転運動するために上部部分9では円筒ころ軸受16で支承され、下部部分11では滑り軸受17によって支承されている。シリンダドラム1のシリンダ室19と、その中に案内されているピストン21(図2の断面ではシリンダ室19しか見えない)は、図面で下側のシリンダ端部で制御リング23と接触している。制御リング23はハウジング下部部分11に当接しており、吸込み側27からの流体入口と吐出し側29に向かう出口を形成する制御開口部25を具えている。
【0017】
シリンダドラム1が回転運動すると、ピストン21は滑りシュー31を介して斜板3の下側にある滑り面33を滑動する。滑りシュー31はピストンの上側と玉継手状に接続されており、各々のシリンダ室19から滑り面33に向って貫通している油孔35により、油圧油などの流体が滑り面33の潤滑のために到達できる。
【0018】
吐出し量を調節するために、斜板3は斜板3の滑り面33の平面上に位置する揺動軸線37を中心に調節可能である。この揺動軸線37は斜板3と上部部分9との間に形成された斜板支承体によって定義されている。この斜板支承体は上部部分9にプラスチック製軸受ブッシュ39を具えており、これに球冠状滑り面41を有する斜板3が案内されている。滑り面41には駆動軸13が貫通するために上方に円錐状に拡大している貫通口43が斜板3に形成されている(特に図4参照)。貫通口43の両側の横に滑り面41から突き出ているガイドレール45が斜板支承体の部分として設けられている。斜板3が揺動軸線37を中心に揺動運動するために、斜板3の図2で左に位置する側が揺動レバー47とねじ止めされている。揺動レバー47はシリンダドラム1の横で軸線15に対して平行に延びており、その図2で下側の端部49が図示の平面に対して直角に延びる方向で可動であり、それにより揺動軸線37を中心に斜板3に相応の揺動運動をさせることができる。揺動レバー47は斜板3の付属する側で孔51内にある雌ねじによりねじ止めされている。
【0019】
図3に別個に付属の部材と共に示されている連結管5は、供給・押圧装置の構成部分をなしており、図1図2に示すように、シリンダドラム1の側方で軸線15に対して平行に延びる方向に配置されている。連結管5は図1図2で下側の端部でハウジング下部部分11に設けられた接続ブロック55内の受容部53(図1参照)内に支持されており、受容部53は連結管5の軸方向移動を可能にする。ブロック55は吐出し側29に続く接続管路57(図1)を含んでおり、接続管路57は連結管5の受容部53に開口している。連結管5の上側端部は、斜板3の下側の滑り面33の外部で側方に配置された接続部材58を介して斜板3と継手により接続されている。継手接続は一種の玉継手によって実現されており、連結管5の上側端部に球状頭部59を具えており、この球状頭部59は接続部材58の球状凹部61に受容されている。連結管5は接続部材58を介して斜板3に向って予圧を掛けられている。この目的のために連結管5の下側端部と受容部53の底部との間に重ね皿ばね63が配置されている。シールリング65(図3参照)は、連結管5の外側と受容部53との間のシーリングを形成する。接続部材58内の流体貫通路67は吐出し側29への流体接続を球状頭部59における管開口部を超えて斜板3につなげている。接続部材58と斜板3とのねじ止めはシールリング69(図3)によってシールされている。接続部材58の貫通路67には斜板3の内部に形成された潤滑管路71、73、75が接続しており、そのうち垂直管路75(図2及び図4参照)は、滑り面41で揺動板支承体への潤滑剤供給のために考慮される箇所に開口している。潤滑剤として働く流体を揺動板支承体に供給することによって生じる漏れ容積流は、ポンプハウジング7から慣用的な方法で漏れ油導管を介して、例えばタンクに排出される。
【0020】
斜板の揺動位置でポンプが運転されて容積流が吐き出されシステム圧が発生されると、斜板3はピストン21を介して斜板3に作用するシステム圧により斜板支承体に固定されている。
【0021】
斜板3がゼロ吐出し位置に揺動して戻ってポンプが無負荷運転で作動してシステム圧が発生されないか、又はポンプが停止されないと、圧力に基づく力は斜板3に作用しない。そのためポンプが垂直姿勢で取り付けられると、斜板3が斜板支承体から脱落する危険がある。本発明ではこの危険は、連結管5が、斜板支承体への潤滑剤供給の機能に加えて、重ね皿ばね63によって発生される予圧により押圧装置を形成して、斜板3を当接力により揺動支承体に固定することによって回避されている。
図1
図2
図3
図4