(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337110
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】バスシステムの加入者局、及び、バスシステム内の導線に関係する放射量を低減する方法
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20180528BHJP
H04L 12/40 20060101ALI20180528BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
H04L25/02 V
H04L12/40 Z
H03K19/0175
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-528063(P2016-528063)
(86)(22)【出願日】2014年10月20日
(65)【公表番号】特表2016-540424(P2016-540424A)
(43)【公表日】2016年12月22日
(86)【国際出願番号】EP2014072415
(87)【国際公開番号】WO2015067459
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】102013222786.8
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー、シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】パンヴィッツ、アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ヘーエマン、インゴ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲンベルク、ベルント
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−124796(JP,A)
【文献】
特許第4215134(JP,B2)
【文献】
特表2002−509682(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0124905(US,A1)
【文献】
特開平09−261282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
H03K 19/0175
H04L 12/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスシステム(1)のための加入者局(10;30)であって、
前記バスシステム(1)内で切り替えエッジを平衡化するためのエッジ制御部(120)を備え、
前記エッジ制御部(120)は、
前記バスシステム(1)のバス(40)上で目標電圧推移を生成するための要素(121、122、124、125)と、
前記生成された目標電圧推移を前記バス(40)に伝送するための電流ミラー(130)と、
を備え、
前記目標電圧推移を生成するための前記要素(121、122、124、125)は、ミラーコンデンサ(121)を備え、前記ミラーコンデンサ(121)は、1の側ではPMOSトランジスタ(124)に接続され、他の側では抵抗器(125)に接続される、加入者局(10;30)。
【請求項2】
前記目標電圧推移を生成するための要素(121、122、124、125)は、PMOSトランジスタ(124)に接続された2つの電流源(122)を備える、請求項1に記載の加入者局(10;30)。
【請求項3】
前記エッジ制御部(120)は、2つの電流源(122)と、ミラーコンデンサ(121)と、PMOSトランジスタ(124)と、抵抗器(125)と、を備える、請求項1又は2に記載の加入者局(10;30)。
【請求項4】
前記2つの電流源(122)と前記ミラーコンデンサ(121)とは、前記PMOSトランジスタ(124)のゲートに接続される、請求項3に記載の加入者局(10;30)。
【請求項5】
前記電流ミラー(130)は、同一のレイアウトで構成されたMOS低電圧トランジスタを用いて形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の加入者局(10;30)。
【請求項6】
前記電流ミラー(130)は、MOS高電圧トランジスタ(141、146)を介して前記バス(40)と接続される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の加入者局(10;30)。
【請求項7】
前記加入者局(10;30)は、前記バスシステム(1)内のドミナントレベルの電位から回路を保護するための逆極性保護ダイオード(142)と、信号CAN−Lから回路を保護するための逆極性保護ダイオード(147)と、を更に備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加入者局(10;30)。
【請求項8】
バス(40)と、
互いに通信できるように前記バス(40)を介して相互接続された少なくとも2つの加入者局(10、20、30)と、
を備えるバスシステム(1)であって、
前記少なくとも2つの加入者局(10、20、30)のうちの少なくとも1つは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の加入者局(10;30)である、バスシステム(1)。
【請求項9】
バスシステム(1)内の導線に関係する放射量を低減する方法であって、前記バスシステム(1)内で切り替えエッジを平衡化するためのエッジ制御部(120)は、前記バスシステム(1)のバス(40)上での目標電圧推移を、当該目標電圧推移を生成するための要素(121、122、124、125)を用いて生成し、電流ミラー(130)を介して前記バス(40)へと伝送し、前記目標電圧推移を生成するための前記要素(121、122、124、125)は、ミラーコンデンサ(121)を備え、前記ミラーコンデンサ(121)は、1の側ではPMOSトランジスタ(124)に接続され、他の側では抵抗器(125)に接続される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号平衡化に対するバスシステムの要求を満たすために、バスシステムの加入者局と、バスシステム内の導線に関係する放射量を低減する方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
CANは、信号平衡化(Signalsymmetrierung)に対する要求が高い差動式バスシステムである。このようなシステムでは、信号平衡化が良好であるほど、干渉放射や、例えば自動車のラジオのような加入者局でのノイズが小さくなる。逆位相の信号CAN_Hと信号CAN_Lとは、その平均値が平均電圧VCC5/2=2.5Vから可能な限り僅かにしか外れないように、制御される必要がある。
【0003】
現状では、信号平衡化は、信号CAN_H−信号CAN_Lの差動電圧が約2Vであるバスのドミナント状態において平均電圧が2.5Vであるように、グランドGNDへのスイッチの抵抗と電源電圧VCC5へのスイッチの抵抗とを平衡化させることによって達成される。スイッチ抵抗のこの平衡化は、例えば、上手な設計によって、トリム(Abgleich)によって、又は、例えば独国特許出願公開第10250576号明細書に記載される制御回路によって行われる。
【0004】
しかしながら、VCC5へのスイッチ(プルアップ(Pull−Up)スイッチ)と、GNDへのスイッチ(プルダウン(Pull−Down)スイッチ、GND=Ground=グランド)と、は異なる特性を有するため、切り替え過程の間の平衡化では十分ではないという問題がある。切り替えの瞬間に、和電圧はピーク電圧(スパイク)を示し、このピーク電圧によって、高周波範囲、即ち1MHzを超える範囲での放射特性が悪化する。従来技術では、この妨害する電圧ピークは、コモンモードチョーク(common mode choke)によって抑制される。しかしながら、このようなコモンモードチョークは、コストが掛かる上、大抵は非常に限られた範囲で提供されるスペースをさらに必要とする追加的な構成要素である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、先に挙げた問題を解決するバスシステムの加入者局及び方法を提供することである。特に、切り替え過程における平衡化と、放射ノイズの大幅な低減と、コモンモードチョークを使用しない稼働と、ドミナント‐バス状態の平衡化と、を可能とするバスシステムの加入者局及び方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本課題は、請求項1に係るバスシステムの加入者局によって解決される。加入者局は、バスシステム内で切り替えエッジを平衡化するためのエッジ制御部を備え、その際に、エッジ制御部は、バスシステムのバス上で目標電圧推移を生成するための要素と、バスでの生成された目標電圧推移をバスへと伝送するための電流ミラーと、を有する。
【0007】
上記の加入者局によって、バスシステムのCAN_H内及びCAN_L内の電流の良好な制御が、静的に(statisch)、及び、ドミナント状態からリセッシブ状態へのエッジの切り替え及びリセッシブ状態からドミナント状態へのエッジの切り替えの際に可能である。
【0008】
さらに、加入者局は、放射ノイズに対して高い耐性(イミュニティ)を有し、このことは、DPI試験(DPI=Direct Power Injection(直接電力注入)=直接的なエネルギー放射)、BCI試験(BCl=Bulk Current Injection(妨害波電流注入)=ハーネスへの電力の印加)により証明される。公知の整流効果及び積分効果は、過去の話である。
【0009】
さらに、上記の加入者局によって、ICエンド試験(Endtest)(IC=Integrated Circuit=集積回路)において平衡化を調整できることが実現され、このことは、OTPプログラミング(OTP=One Time Programmable(Memory)=OTP(一度だけ書込み可能な(メモリ))に関している。OTPプログラミングは、ICのパラメータ調整及び機能調整の際に利用される。
【0010】
加入者局の更なる利点は、コモンモードチョークを使用しない稼働が可能なことである。
【0011】
加入者局の好適な更なる構成は、従属請求項で示されている。
【0012】
例えば、目標電圧推移を生成するための要素は、ミラーコンデンサを備えてもよく、このミラーコンデンサは、1の側ではPMOSトランジスタに接続され、他の側では抵抗器に接続される。
【0013】
目標電圧推移を生成するための要素が、PMOSトランジスタに接続された2つの電流源を備えるということも可能である。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、エッジ制御部は、2つの電流源と、ミラーコンデンサと、PMOSトランジスタと、抵抗器と、を備える。その際に、2つの電流源とミラーコンデンサとは、PMOSトランジスタのゲートに接続されうる。
【0015】
電流ミラーは、同一のレイアウト(Layout)で構成されたMOS低電圧トランジスタを用いて形成されてもよい。
【0016】
更なる別の代替例によれば、電流ミラーは、MOS高電圧トランジスタを介してバスと接続される。MOS高電圧トランジスタは、カスケード・トランジスタ(Kaskaden−Transistor)であり、当該トランジスタによって、エッジ制御部の回路をバスから遥か遠くに離すことが達成される。
【0017】
加入者局は、バスシステム内のドミナントレベルの電位から回路を保護するための逆極性保護ダイオードと、信号CAN−Lから回路を保護するための逆極性保護ダイオードと、を更に備えてもよい。
【0018】
先に記載された加入局は、バスと、互いに通信できるように当該バスを介して相互接続された少なくとも2つの加入者局と、を有するバスシステムの一部であってもよく、その際に、少なくとも2つの加入者局のうちの少なくとも1つは、先に記載された加入者局のうちの1つである。
【0019】
先に挙げた課題は、請求項10に係るバスシステム内の導線に関係する(leitungsgebunden)放射量を低減する方法によって解決される。本方法では、バスシステム内で切り替えエッジを平衡化するためのエッジ制御部は、バス上での目標電圧推移を、当該目標電圧推移を生成するための要素を用いて生成し、電流ミラーを介してバスへと伝送する。
【0020】
本方法は、加入者局について以前に挙げたのと同一の効果を奏する。
【0021】
本発明の更なる別の可能な実現は、先に又は以下に実施例に関して記載した特徴又は実施形態の明示的には挙げられていない組み合わせも含む。その際に、当業者は、個々の観点も、本発明の各基本形態の改善案又は補足として付け加えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下では、本発明が、添付の図面を参照しながら、実施例を用いてより詳細に記載される。
【
図1】第1の実施例に係るバスシステムの簡略化されたブロック図を示す。
【
図2】第1の実施例に係るバスシステム内での経時的なバス信号の目標電圧推移を示す。
【
図3】第1の実施例に係るバスシステムの加入者局の信号平衡化装置の電気回路図を示す。
【0023】
図では、特に断りが無い限り、同一又は機能が同一の構成要素には同一の符号が付される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、バスシステム1を示しており、このバスシステム1は、例えばCANバスシステム、CAN FDシステム等であってもよい。バスシステム1は車両内、特に原動機付きの車両内、飛行機内など、又は病院内などで利用されうる。
【0025】
図1では、バスシステム1は複数の加入者局10、20、30を有し、この複数の加入者局10、20、30は各々、第1のバス線41及び第2のバス線42によってバス40に接続されている。バス線41、42は、CAN_H、CAN_Lとも呼ばれ、送信状態におけるドミナントなレベルの導入(Einkopplung)のために用いられる。バス40を介して、メッセージ45、46、47が、信号の形態により個々の加入者局10、20、30間で伝送されうる。加入者局10、20、30は、例えば、車両の制御装置又は表示装置であってもよい。
【0026】
図1に示されるように、加入者局10、30はそれぞれ、通信制御装置11と、送信装置12と、受信装置13と、を有する。これに対して、加入者局20は、通信制御装置11と、送信/受信装置14と、を有する。加入者局10、30の送信装置12及び受信装置13と、加入者局20の送信/受信装置14は、
図1には示されていないが、各々がバス40に直接的に接続されている。
【0027】
通信制御装置11は、各加入者局10、20、30と、バス40に接続された加入者局10、20、30のうちの他の加入者局と、のバス40を介した通信を制御するために用いられる。送信装置12は、信号の形態によるメッセージ45、47を送信するために用いられ、さらに、信号平衡化に対するバスシステム1の要求を満たすために、バスシステム1内での導線に関係する放射量を低減するために用いられるが、このことについては後に改めてより詳細に記載する。導線に関係する放射量(Emissionen)は、バス40上で発生しうる。通信制御装置11は、従来のCANコントローラのように実現されてもよい。受信装置13は、その受信機能については、従来のCANトランシーバのように実現されてもよい。送信/受信装置14は、従来のCANトランシーバ(Transceiver)のように実現されてもよい。
【0028】
図2は、送信装置12によって生成されるような、切り替えエッジ51、52が存在する電圧推移Uを、時間tに渡り示している。送信装置12については、
図3でより詳細に示される。切り替えエッジ51は、ドミナントな状態53からリセッシがブな状態54への信号の遷移に相当する。切り替えエッジ52は、リセッシブな状態54からドミナントな状態53への信号の遷移に相当する。示される電圧推移には、送信装置12が生成すべき目標電圧推移のような、切り替えエッジ51、52が存在する。
【0029】
エッジ制御部120は、ミラーコンデンサ121及び電流源122に加えてさらに、切り替え要素123と、PMOSトランジスタ124と、を備える。PMOSトランジスタ124のゲートには、ミラーコンデンサが接続されている。さらに、PMOSトランジスタ124のゲートには、切り替え要素123を介して電流源122が接続されている。ミラーコンデンサ121の他方の側は、PMOSトランジスタ124のドレインと接続されている。抵抗器125は、PMOSトランジスタ124のドレインでの生成された電圧ランプ(Spannungsrampe)を、電流ミラー131への入力のための電流信号に変換する。その際に、抵抗器12
5は、バス線41(CAN_H)及びバス線42(CAN_L)内で最大短絡電流を設定する。
【0030】
エッジ制御部120は、ミラーコンデンサ121及び電流源122に加えてさらに、切り替え要素123と、PMOSトランジスタ124と、を備える。PMOSトランジスタ124のゲートには、ミラーコンデンサが接続されている。さらに、PMOSトランジスタ124のゲートには、切り替え要素123を介して電流源122が接続されている。ミラーコンデンサ121の他方の側は、PMOSトランジスタ124のドレインと接続されている。抵抗器125は、PMOSトランジスタ124のドレインでの生成された電圧ランプ(Spannungsrampe)を、電流ミラー131への入力のための電流信号に変換する。その際に、抵抗器124は、バス線41(CAN_H)及びバス線42(CAN_L)内で最大短絡電流を設定する。
【0031】
電流ミラー130は、NMOS電流バンク131に加えてさらに、以下でNMOS−HVカスケード132とも称されるNMOS高電圧カスケード132と、低電圧(low voltage)のためのPMOS電流ミラー133と、を備える。NMOS−HVカスケード132は、出力電流ミラー140と接続されている。PMOS電流ミラー133は、出力電流ミラー145と接続されている。出力電流ミラーCAN_H140は、CAN_H出力電流生成のための低電圧(low voltage)のためのPMOS電流ミラーである。出力電流ミラーCAN_L145は、CAN_L出力電流生成のための低電圧(low voltage)のためのNMOS電流ミラーである。
【0032】
出力電流ミラーCAN_H140には、以下でPMOS−HVカスケード141とも称されるPMOS高電圧カスケード141が接続されている。PMOS−HVカスケード141は、「−27VへのCAN_Hの短絡」というエラーの場合に必要となる。さらに、出力電流ミラーCAN_H140には、CAN_Hの正の過電流から回路を保護するための逆極性保護ダイオード142が接続されている。PMOS−HVカスケード141には、逆極性保護ダイオード142の後ろでの正の供給電圧を基準として、負の電位Φch_nが印加される。
【0033】
出力電流ミラーCAN_L145には、以下でNMOS−HVカスケード146とも称されるNMOS高電圧カスケード146が接続されている。NMOS−HVカスケード146は、「40VへのCAN_Lの短絡」というエラー場合のために必要となる。さらに、出力電流ミラーCAN_L145には、逆極性保護ダイオード147が接続されている。逆極性保護ダイオード147は、「−27VへのCAN_Lの短絡」というエラーの場合のために必要となる。NMOS−HVカスケード146には、グランドを基準として正の電位Φch_pが印加される。
【0034】
PMOS−HVカスケード141と逆極性保護ダイオード147との間には、バス線41、42を備えるバス40が接続されており、バス線41、42は抵抗器143と接続されている。従って、抵抗器143は、バス40の波動インピーダンスと同じ抵抗を有しており、バス40上では反射が起らない。その際に、バス線41は、信号CAN_Hの伝送のために存在し、バス線42は、信号CAN_Lの伝送のために存在する。
【0035】
先に記載した回路は、抵抗器143に関しては非常に簡素化されている。実際には、バス線41、42の各末端には、直列に接続された2個の60Ωの終端抵抗が存在する。各中間点は、2.5Vに設定される。
【0036】
図3の送信装置12では内部で、バス40上での目標電圧推移が、ミラーコンデンサ121と、電流源122と、PMOSトランジスタ124と、抵抗器125と、を含む複製要素(Replikaelement)を用いて生成され、その後で、電流ミラー140、145を介してバス40へと伝送される。エッジ制御は、ミラーコンデンサ121と、電流源122と、PMOSトランジスタ124と、抵抗器125と、を用いて達成される。
図3に示される回路のCAN_H枝線及びCAN_L枝線内での同一の信号遅延及び同一の飽和挙動を獲得するために、電流ミラー133、140、145は、設計(Layout)が同一に構成されたMOS低電圧トランジスタを用いて形成される。
【0037】
即ち、エッジ制御部120によって、バスシステム1内での導線に関係する放射量を低減する方法が実現される。その際に、エッジ制御部120は、バスシステム1内での切り替えエッジの平衡化のために、バス40上での目標電圧推移を、当該目標電圧推移を生成するための要素を用いて生成して、電流ミラー130を介してバス40へと伝送する。
【0038】
必要な絶縁耐力は、MOS高電圧トランジスタで構成されるカスケード段によって、即ち、カスケード132、141、146によって実現される。
【0039】
図3から分かるように、エッジ制御部120の回路は、バス線41、42及び抵抗器143により表されるバス40から遥か遠くに離れている。この利点は、カスケード・トランジスタによって、即ちカスケード132、141、146によって達成される。従って、例えばDPI、BCI等による放射ノイズが、エッジ制御部120のような影響を受けやすいブロックから遠ざけられる。公知の整流効果及び積分効果は過去の話である。
【0040】
従って、エッジ制御部120によって、バス40での切り替え過程の間、即ちレセッシブからドミナント又はドミナントからリセッシブへの切り替え過程の間、CAN_H及びCAN_Lには同一の電流が存在する。これにより、CAN_H、即ちバス線41と、CAN_L、即ちバス42と、での内部抵抗が同一の、理想的又はほぼ理想的な切り替え過程が獲得される。コモンモードノイズが僅かにしか発生しないように、電流源122と、PMOSトランジスタ124上のミラーコンデンサ121と、抵抗器125とが、バス40と組み合わせた切り替え挙動に対して調整される。
【0041】
第2の実施例によれば、ドミナントな状態53に相当するドミナントなバスレベルが平衡化される。より詳細に言えば、出力電流ミラーCAN_H140の方向の電流と、出力電流ミラーCAN_L145の方向の電流と、の割合が調整される。これにより、構成要素の調整不良(構成要素のミスマッチ(Mismatch))によって発生しうる、様々な信号経路内での電流誤差が防止される。有利に、NMOS電流バンク131は、調整可能であるように形成される。それ以外では、バスシステム1は第1の実施例で記載したように構成される。
【0042】
バスシステム1、加入者局10、30、送信装置12、及び方法の、先に記載した全ての構成は、個別に又はあらゆる可能な組み合わせにおいて利用される。特に、実施例の特徴を任意に組み合わせることが可能である。さらに、特に以下の変更が構想されうる。
【0043】
上記実施例に係るバスシステム1は、特に、CANネットワーク、又はCAN FDネットワーク、又はFlexRayネットワークである。
【0044】
上記実施例に係るバスシステム1内の加入者局10、20、30の数及び配置は任意である。特に、加入者局10のみ、又は加入者局30のみ、又は加入者局10、30のみが上記実施例のバスシステム1内に存在してもよい。
【0045】
先に記載した加入者局10、30、及び、加入者局10、30により実行される方法は、特に有利に、2011年5月2日にインターネットサイトhttp://www.semiconductors.bosch.de/で公開された文書「CAN With Flexible Data−Rate、White Paper、Version1.0」で公開された変更されたプロトコルであって、特にデータフィールドの拡大と、CANメッセージの一部について調停が行われた後のビット長の短縮と、を可能にする上記プロトコルにおいて適用されうる。
【0046】
先に記載された実施例の機能は、トランシーバ又は送信/受信装置1
4、又は、通信制御装置11等にも実装される。追加的又は代替的に、送信装置12は、既存の製品に組み込まれてもよい。
【0047】
先に記載された実施例の機能は、トランシーバ又は送信/受信装置13、又は、通信制御装置11等にも実装される。追加的又は代替的に、送信装置12は、既存の製品に組み込まれてもよい。