特許第6337116号(P6337116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337116第5族遷移金属含有膜を蒸着させるための第5族遷移金属含有化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337116
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】第5族遷移金属含有膜を蒸着させるための第5族遷移金属含有化合物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20180528BHJP
   C23C 16/18 20060101ALI20180528BHJP
   C07F 9/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   C23C16/18
   C07F9/00 Z
【請求項の数】11
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-530233(P2016-530233)
(86)(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公表番号】特表2017-505983(P2017-505983A)
(43)【公表日】2017年2月23日
(86)【国際出願番号】KR2013010274
(87)【国際公開番号】WO2015072589
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】クレマン ランサロット−マトラス
(72)【発明者】
【氏名】ノ ウォンテ
(72)【発明者】
【氏名】リ チュホ
【審査官】 桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0224600(US,A1)
【文献】 特表2012−502179(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0141937(US,A1)
【文献】 特表2005−534180(JP,A)
【文献】 特開2004−228560(JP,A)
【文献】 特開2009−081429(JP,A)
【文献】 特開2008−266280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
C07F 9/00
C23C 16/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式の1つを有する第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体:
【化1】
(式中、MはV、Nb、又はTaから選択され、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H;C1〜C5直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基;C1〜C5直鎖、分岐、若しくは環状アルキルシリル基;C1〜C5直鎖、分岐、若しくは環状アルキルアミノ基;又はC1〜C5直鎖、分岐、若しくは環状フルオロアルキル基から選択される)。
【請求項2】
前記第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ) ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、
tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、及び、
tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)、
からなる群から選択される、請求項1に記載の第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体。
【請求項3】
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)又はtert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)である、請求項2に記載の第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体。
【請求項4】
tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)又はtert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)である、請求項2に記載の第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体。
【請求項5】
第5族遷移金属含有膜を基板上に堆積する方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体の蒸気を基板が中に配された反応器に導入する工程と、該第5族遷移金属含有化合物の少なくとも一部を該基板に堆積する工程とを含む、方法。
【請求項6】
少なくとも1つの反応物を前記反応器に導入することを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記反応物が、H、HCO、N、NH、SiH、Si、Si、SiHMe、SiHEt、N(SiH、それらの水素ラジカル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記反応物が、O、O、HO、H、NO、NO、NO、それらの酸素ラジカル、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体と前記反応物とを同時に前記反応器に導入し、
該反応器が化学蒸着のために構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体と前記反応物とを連続して前記反応器に導入し、該反応器が原子層堆積のために構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が酸化ジルコニウム(ZrO)である、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が開示されている。開示の前駆体を合成して、蒸着プロセスにより1つ又は複数の基板上に第5族遷移金属含有膜を堆積させるのに開示の前駆体を使用する方法も開示されている。
【背景技術】
【0002】
半導体のコーティング、メモリー及びディスプレイの研究にて、前駆体分子は高品質の薄膜を得るのに重要な役割を果たしている。前駆体分子はコンフォーマル性(conformality)等の多くのパラメータを制御するものであり、薄膜の物理特性及び電気特性に影響を及ぼす。前駆体分子には高純度、高熱安定性、高揮発性、適切な反応性及び低毒性が必要とされる。さらに、薄膜のプロセスにおいて、前駆体分子は化学蒸着(CVD)又は原子層堆積(ALD)のために限られた時間及び再現性のある速度で気化する必要がある。
【0003】
半導体分野では、第5族遷移金属含有膜は長い間、多様な用途に利用されてきた。M薄膜の抵抗スイッチング特性は次世代不揮発性抵抗ランダムアクセスメモリー(ReRAM)デバイス、及びリーク電流を減らし、位相を安定させるためのZrO層間の薄層等の高kコンデンサ用途に対する潜在的な用途を示す。
【0004】
典型的な第5族遷移金属ハロゲン化物はCVD又はALDによるM(M=Nb、Ta;x=1〜2;y=1〜5)の堆積に利用されている。これらの前駆体、主にNbCl又はTaClは、高い堆積温度を必要とし、エッチング効果及び前駆体残渣に起因して前駆体として適切ではないこともある(非特許文献1、非特許文献2)。
【0005】
Nb(OEt)は230℃〜260℃の安定した温度域にてALDにより非晶質Nbを堆積するのに有望な結果を示している(非特許文献3)。加えて、この前駆体はHO又はDOを用いるNb ALD堆積の機構を研究するのに使用されている(非特許文献4)。
【0006】
Ta(OEt)の場合、HOを用いるTaのALDは170℃〜230℃、堆積した場合の600℃の非晶相及び800℃の結晶相を有するプロセスウインドウを示している(非特許文献5)。
【0007】
イミド型前駆体が知られており、第5族遷移金属含有膜を堆積するのに用いられている。イミド型前駆体は大部分が高蒸気圧にて液相にあり、気化及び反応チャンバへの移動において利点をもたらす。多くの誘導体がCVD(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)又はALD(非特許文献9)にて研究されている。しかしながら、これらの前駆体は最大275℃という限られたALD温度域を示すものであった。
【0008】
第5族遷移金属の配位子が混合された他の同様の構造体、例えばV(=NtBu)(NiPr)(OtBu)が記載されているが(非特許文献10)、薄膜用途は考慮されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Chem. Vap. Deposition 2009, 15, 269-273
【非特許文献2】Thin Solid Films, 1999, 111
【非特許文献3】Chem. Vap. Deposition 1998, 4, pp. 29-34
【非特許文献4】Langmuir 2010, 26(2), pp. 848-853
【非特許文献5】Microelec. Eng. 2010, 87, pp. 373-378
【非特許文献6】Chem. Vap. Deposition 2008, 14, pp. 334-338
【非特許文献7】Chem. Vap. Deposition 2000, 6, pp. 223-225
【非特許文献8】ECS Trans. 2008, 16 (5), pp. 243-251
【非特許文献9】Chem. Mater. 2012, 24, pp. 975-980
【非特許文献10】Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie (1997) 623 (8), pp. 1220-1228
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
依然として気相薄膜堆積に適した新規の第5族遷移金属含有化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
下記式の1つを有する第5族遷移金属含有化合物:
【化1】
(式中、MはV、Nb又はTaからなる第5族遷移金属から選択され、R、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、H;C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキル基;C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキルシリル基(モノ、ビス及びトリスアルキル);C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキルアミノ基;又はC1〜C5直鎖、分岐若しくは環状フルオロアルキル基から選択される)が開示される。式I中、RとRとは同一であっても又は異なっていてもよい。式II中、RとRとは同一であっても又は異なっていてもよい。式I中、R、R、R及びRは同一であっても又は異なっていてもよい。
【0012】
開示の第5族遷移金属含有化合物は、以下の態様の1つ又は複数を更に含み得る:
MがVであること;
MがNbであること;
MがTaであること;
がtBu又はtert−アミルであること;
式IのRがiPr又はtBuであること;
式IIのR及びRがiPr又はtBuであること;
式IのR、R、R、及びRがMe又はEtであること;
式IIのR及びRがMe又はEtであること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;及び、
第5族遷移金属含有化合物が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)であること。
【0013】
また、下記式の1つを有する第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体:
【化2】
(式中、MはV、Nb又はTaからなる第5族遷移金属から選択され、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H;C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキル基;C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキルシリル基(モノ、ビス及びトリスアルキル);C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキルアミノ基;又はC1〜C5直鎖、分岐若しくは環状フルオロアルキル基から選択される)も開示される。式I中、RとRとは同一であっても又は異なっていてもよい。式II中、RとRとは同一であっても又は異なっていてもよい。式I中、R、R、R、及びRは同一であっても又は異なっていてもよい。
【0014】
開示の第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体は、以下の態様の1つ又は複数を更に含み得る:
MがVであること;
MがNbであること;
MがTaであること;
が、tBu又はtert−アミルであること;
式IのRが、iPr又はtBuであること;
式IIのR及びRが、iPr又はtBuであること;
式IのR、R、R、及びRが、Me又はEtであること;
式IIのR及びRが、Me又はEtであること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド
)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド
)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)であること;及び、
第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体が、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)であること。
【0015】
第5族遷移金属含有膜を1つ又は複数の基板上に堆積する方法も開示されている。上記で開示された少なくとも1つの第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体を少なくとも1つの基板が中に配された反応器に導入する。第5族遷移金属含有薄膜形成前駆体の少なくとも一部を少なくとも1つの基板上に堆積して、第5族遷移金属含有膜を形成する。
【0016】
開示の方法は下記態様の1つ又は複数を更に含み得る:
少なくとも1つの反応物を反応器に導入すること;
反応物をプラズマ処理すること;
反応物をリモートプラズマ処理すること;
反応物をプラズマ処理しないこと;
反応物が、H、HCO、N、NH、SiH、Si、Si、SiHMe、SiHEt、N(SiH、それらの水素ラジカル、及びそれらの混合物からなる群から選択されること;
反応物がHであること;
反応物がNHであること;
反応物が、O、O、HO、H、NO、NO、NO、それらの酸素ラジカル、及びそれらの混合物からなる群から選択されること;
反応物がHOであること;
反応物がプラズマ処理されたOであること;
反応物がOであること;
第5族遷移金属含有化合物と反応物とを反応器に同時に導入すること;
反応器が化学蒸着のために構成されていること;
反応器がプラズマ化学蒸着のために構成されていること;
第5族遷移金属含有化合物と反応物とをチャンバに連続して導入すること;
反応器が原子層堆積のために構成されていること;
反応器がプラズマ原子層堆積のために構成されていること;
反応器が空間的原子層堆積のために構成されていること;
第5族遷移金属含有膜が純粋な第5族遷移金属薄膜であること;
第5族遷移金属含有膜が第5族遷移金属ケイ化物(MSi、ここでMは第5族遷移金属であり、k及びlはそれぞれ1から6までの包括的範囲の整数である)であること;
第5族遷移金属含有膜が第5族遷移金属酸化物(M、ここでMは第5族遷移金属であり、n及びmはそれぞれ1から6までの包括的範囲の整数である)であること;
第5族遷移金属含有膜がNbであること;
第5族遷移金属含有膜がTaであること;
第5族遷移金属含有膜が第5族遷移金属窒化物(M、ここでMは第5族遷移金属であり、o及びpはそれぞれ1から6までの包括的範囲の整数である)であること;
基板が酸化ジルコニウム(ZrO)であること;及び、
基板が窒化チタン(TiN)であること。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】tert−BuN=Nb(NEt(OtBu)の温度の上昇に伴う重量損失百分率(TGA)又は示差温度(DTA)を示す熱重量分析(TGA)/示差熱分析(DTA)のグラフである。
図2】tert−BuN=Nb(NEt)(OtBu)の温度の上昇に伴う重量損失百分率(TGA)又は示差温度(DTA)を示すTGA/DTAのグラフである。
図3】tert−BuN=Nb(NEt(OtBu)のHNMRスペクトルを示す図である。
図4】tert−BuN=Nb(NEt)(OtBu)HNMRスペクトルを示す図である。
図5】200℃及び225℃での膜源の導入時間に対する実施例3におけるNb膜の1堆積サイクル当たりの成長速度(オングストローム単位)を示す原子層堆積飽和曲線を表すグラフである。
図6】エッチング時間(秒単位)に対する実施例3において堆積されたNb膜に含まれるSi、C、N、O及びNbの原子百分率を示すX線光電子分光法(XPS)のグラフである。
図7】アスペクト比が10:1のトレンチを有するパターニングウエハ上に堆積されたNb膜の走査型電子顕微鏡写真を示す図である。
【0018】
表記法及び命名法
或る特定の略語、記号及び用語を以下の明細書及び特許請求の範囲全体を通して使用する。
【0019】
本明細書で使用される不定冠詞「a」又は「an」は、1つ又は複数を意味する。
【0020】
本明細書で使用される「独立して」という用語は、R基の説明との関連で使用される場合、対象のR基が同じ又は異なる下付き文字又は上付き文字を有する他のR基に対して独立して選択されるだけでなく、同じR基の任意の付加的な種に対しても独立して選択されることを意味するものと理解されたい。例えば式MR(NR(4−x)(式中、xは2又は3である)において、2つ又は3つのR基は互いに同一であるか、又はR若しくはRと同一であってもよいが、そうである必要はない。さらに、特に指定のない限り、異なる式に使用される場合のR基の価数は互いに独立することを理解されたい。
【0021】
本明細書で使用される「アルキル基」という用語は、炭素原子及び水素原子のみを含有する飽和官能基を指す。さらに、「アルキル基」という用語は直鎖、分岐又は環状アルキル基を指す。直鎖アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられるが、これらに限定されない。分岐アルキル基の例としては、t−ブチルが挙げられるが、これに限定されない。環状アルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用される「Me」という略語はメチル基を指し、「Et」という略語はエチル基を指し、「Pr」という略語は任意のプロピル基を指し、「iPr」という略語はイソプロピル基を指し、「Bu」という略語はブチルを指し、「tBu」という略語はtert−ブチルを指し、「sBu」という略語はsec−ブチルを指し、「Cp」という略語はシクロペンタジエニルを指し、「Cp」という略語はペンタメチルシクロペンタジエニルを指し、「op」は(開放)ペンタジエニルを指す。
【0023】
元素周期表による元素の一般的な略語が本明細書中で使用される。元素がこれらの略語によって言及される場合もあることを理解されたい(例えば、Mnはマンガンを指し、Siはシリコンを指し、Cは炭素を指す等)。
【0024】
本発明の性質及び課題の更なる理解のために、添付の図面と併せて以下の詳細な説明について参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記式の1つを有する第5族遷移金属含有化合物:
【化3】
(式中、MはV、Nb、又はTaからなる第5族遷移金属から選択され、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、H;C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキル基;C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキルシリル基(モノ、ビス及びトリ
スアルキル);C1〜C5直鎖、分岐若しくは環状アルキルアミノ基;又はC1〜C5直鎖、分岐若しくは環状フルオロアルキル基から選択される)が開示されている。式I中、RとRとは同一であっても又は異なっていてもよい。式II中、RとRとは同一であっても又は異なっていてもよい。式I中、R、R、R、及びRは同一であっても又は異なっていてもよい。
【0026】
は嵩高い第三級アルキル基がイミド基を安定させるのを助けることができることから、tBu又はtert−アミルであるのが好ましい。式I中のR、並びに式II中のR及びRは、嵩高いアルキル基が構造体の二量体化を防ぐことができることから、iPr又はtBuであるのが好ましい。式I中のR、R、R、及びR、又は式II中のR及びRは、アルキル基が小さければ金属含有化合物の蒸気圧を下げることができることから、Me又はEtであるのが好ましい。
【0027】
例示的な第5族遷移金属含有化合物としては、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドビス(tert−ブチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)
、tert−ブチルイミドビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドビス(ジメチルアミド)モノ(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)バナジウム(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)ニオブ(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(イソプロピルアルコキソ)タンタル(V)、tert−アミルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドモノ(tert−ブチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、tert−ブチルイミドモノ(ジ(トリメチルシリル)アミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)、及びtert−ブチルイミドモノ(ジメチルアミド)ビス(ジエチルヒドロキシルアミノ)タンタル(V)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0028】
第5族遷移金属含有化合物は、残る最終残渣が少量であるという大気熱重量分析におけるその優れた気化結果に起因して、tert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)又はtert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)のいずれかであるのが好ましい。
【0029】
開示の第5族遷移金属含有化合物は、対応するアルコールと、対応するイミドトリスアミドの第5族遷移金属とを、THF及びエーテル等の好適な溶媒中にて低温で反応させることにより合成することができる。更なる詳細を含む例示的な合成法は下記の実施例にて提示する。
【0030】
蒸着プロセスを用いて第5族遷移金属含有層を基板上に形成する方法も開示されている。本方法は半導体、光起電素子、LCD−TFT又はフラットパネル型デバイスの製造に有用であり得る。開示の第5族遷移金属含有化合物は、当業者に既知の任意の堆積法を用いて第5族遷移金属含有薄膜を堆積するのに使用することができる。好適な堆積法の例としては、限定されるものではないが、従来の化学蒸着(CVD)、原子層堆積(ALD)、又は蒸気コーティング(vapor coating)に関連した他の種類の堆積、例えば、プラズマCVD(PECVD)、プラズマALD(PEALD)、パルスCVD(PCVD)、低圧CVD(LPCVD)、減圧CVD(SACVD)若しくは常圧CVD(APCVD)、ホットワイヤCVD(HWCVD、cat−CVDとしても知られ、ホットワイヤが堆積プロセスのエネルギー源として働く)、空間的ALD、ホットワイヤALD(HWALD)、ラジカル支援堆積、及び超臨界流体堆積又はそれらの組合せが挙げられる。堆積法は、好適な段差被覆及び膜厚制御をもたらすためにALD、PE−ALD又は空間的ALDであるのが好ましい。
【0031】
開示の第5族遷移金属含有化合物は純粋な(neat)形態で、又はエチルベンゼン、キシレン、メシチレン、デカン、ドデカン等の好適な溶媒とブレンドして供給することができる。開示の化合物は溶媒中に様々な濃度で存在し得る。
【0032】
純又はブレンドした第5族遷移金属含有化合物の1つ又は複数をチュービング及び/又は流量計等の従来手段により蒸気形態にて反応器に導入する。蒸気形態の化合物は、直接気化、蒸留等の従来の気化工程を用いて又はバブリングにより、純又はブレンドした化合物溶液を気化することにより生成することができる。純又はブレンドした化合物を液体形態にて気化器に送り、そこで反応器へと導入する前に化合物を気化してもよい。代替的には、純又はブレンドした化合物は、キャリアガスを化合物の入った容器に通すか、又はキャリアガスを化合物にてバブリングすることにより気化してもよい。キャリアガスとしては、Ar、He、N及びそれらの混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。キャリアガスを用いたバブリングによって、純又はブレンドした化合物溶液中に存在する全ての溶存酸素を取り除くこともできる。次いでキャリアガス及び化合物を蒸気として反応器に導入する。
【0033】
必要に応じて、開示の化合物の容器を、化合物がその液相に存在し、十分な蒸気圧を有するようになる温度まで加熱してもよい。容器を例えばおよそ0℃〜およそ150℃の範囲の温度で維持してもよい。蒸発する化合物の量を制御する既知の方法で容器の温度を調節することができることが当業者には認識される。
【0034】
反応器は、堆積法を行うデバイス内の任意のエンクロージャ又はチャンバ、例えば、限定されるものではないが、平行板型反応器、低温壁型反応器、高温壁型反応器、単一ウエハ反応器、マルチウエハ反応器、又は化合物を反応させ、層を形成するのに好適な条件下の他のタイプの堆積システムであり得る。
【0035】
反応器は概して、薄膜を上に堆積させる1つ又は複数の基板を含有する。基板は、半導体デバイス、光起電デバイス、フラットパネルデバイス又はLCD−TFTデバイスの製造に使用される任意の好適な基板であり得る。好適な基板の例としては、シリコン基板、シリカ基板、シリコン窒化物基板、シリコンオキシ窒化物基板、タングステン基板又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。プラスチック基板、例えばポリ(
3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート(sulfonate))[PEDOT:PSS]も使用することができる。さらに、タングステン又は貴金属(例えば白金、パラジウム、ロジウム又は金)を含む基板を使用することができる。基板は、先の製造工程によって異なる材料の1つ又は複数の層が既に上に堆積していてもよい。例えば、Nb膜をZrO基板上に堆積することができる。続く処理において、ZrO層をNb層上に堆積して、ZrO/Nb/ZrO DRAMコンデンサを形成することができる。別の例では、Ta層を2つのTiN層の間に堆積して、BEOL(back end of the line) TiN/Ta/TiN MIMコンデンサを形成することができる。
【0036】
反応器内の温度及び圧力をALD又はCVD堆積に適した条件にて保持する。言い換えると、蒸発した化合物をチャンバに導入した後、チャンバ内の条件を蒸発した化合物の少なくとも一部が基板上に堆積し、第5族遷移金属含有膜を形成するものとする。例えば、反応器内の圧力を堆積パラメータによって要求されるように約1Pa〜約10Pa、より好ましくは約25Pa〜約10Paに保持することができる。同様に、反応器内の温度を約100℃〜約500℃、好ましくは約150℃〜約350℃に保持することができる。当業者であれば、「気化化合物の少なくとも一部を堆積する」は化合物の一部又は全てが基板と反応するか又は基板に接着することを意味することが認識される。
【0037】
反応器の温度は、基板ホルダーの温度の制御及び/又は反応器壁の温度の制御によって制御することができる。基板の加熱に使用されるデバイスは当該技術分野で既知である。反応器壁は、所望の膜を十分な成長速度並びに所望の物理的状態及び組成で得るのに十分な温度に加熱される。反応器壁を加熱することができる非限定的な例示的温度範囲としては、およそ100℃〜およそ500℃が挙げられる。プラズマ堆積プロセスを利用する場合、堆積温度はおよそ150℃〜およそ350℃の範囲であり得る。代替的には、熱プロセスを行う場合、堆積温度はおよそ200℃〜およそ500℃の範囲であり得る。
【0038】
開示の化合物に加えて、反応物を反応器に導入してもよい。反応物は酸化性ガス、例えばO;O;HO;H;NO;NO;NO;O又はOH等の酸素含有ラジカル;NO;NO;カルボン酸;ギ酸;酢酸;プロピオン酸;及びそれらの混合物の1つであり得る。酸化性ガスはO、O、HO、H、O又はOH等のその酸素含有ラジカル及びそれらの混合物からなる群から選択されるのが好ましい。
【0039】
代替的には、反応物は還元性ガス、例えばH、HCO、NH、SiH、Si、Si、(CHSiH、(CSiH、(CH)SiH、(C)SiH、フェニルシラン、N、N(SiH、N(CH)H、N(C)H、N(CHH、N(CH、N(CH、N(C、(SiMeNH、(CH)HNNH、(CHNNH、フェニルヒドラジン、N含有分子、B、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン、ジヒドロベンゾフラン、ピラゾリン、トリメチルアルミニウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、そのラジカル種及びそれらの混合物の1つであり得る。還元性ガスはH、NH、SiH、Si、Si、SiHMe、SiHEt、N(SiH、その水素ラジカル又はそれらの混合物であるのが好ましい。
【0040】
反応物は、反応物をそのラジカル形態へと分解するためにプラズマによって処理することができる。プラズマによる処理の際にNを還元性ガスとして利用してもよい。例えば、プラズマは約50W〜約500W、好ましくは約100W〜約200Wの範囲の電力で発生させることができる。プラズマは発生させてもよく、又は反応器自体に存在していてもよい。代替的には、プラズマは概して反応器から離れて、例えば遠隔設置されたプラズマシステム内に位置し得る。かかるプラズマ処理に好適な方法及び装置が当業者には認識
されるであろう。
【0041】
例えば、反応物を直接プラズマ反応器に導入し、反応チャンバ内にてプラズマを発生させることで、反応チャンバ内にプラズマ処理された反応物を生成することができる。例示的な直接プラズマ反応器としては、Trion Technologies製のTitan(商標) PECVDシステムが挙げられる。反応物をプラズマ処理前に反応チャンバに導入し、保持していてもよい。代替的には、プラズマ処理は反応物の導入と同時に行うことができる。in
situプラズマは通例、シャワーヘッドと基板ホルダーとの間に発生する13.56MHzのRF誘導結合プラズマである。基板又はシャワーヘッドは陽イオン衝突が起こるか否かに応じて電力供給電極(powered electrode)となる場合がある。in situプラズマ発生器において通例印加される電力はおよそ30W〜およそ1000Wである。およそ30W〜およそ600Wの電力を開示の方法に用いるのが好ましい。電力はおよそ100W〜およそ500Wの範囲であるのがより好ましい。in situプラズマを用いた反応物の解離は通例、同じ入力電力にてリモートプラズマ源を用いて達成されるよりも小さく、そのため反応物の解離においてリモートプラズマシステムほど効率的ではなく、該リモートプラズマシステムがプラズマにより容易に損傷される基板上の第5族遷移金属含有膜の堆積に有益であり得る。
【0042】
代替的には、プラズマ処理された反応物を反応チャンバの外に生成することができる。MKS InstrumentsのASTRONi(商標)反応ガス発生器を用いて、反応チャンバに通す前に反応物を処理することができる。2.45GHz、7kWのプラズマ電力及びおよそ3Torr〜およそ10Torrの範囲の圧力にて稼働させると、反応物Oが2つのOラジカルへと分解し得る。好ましくは、リモートプラズマは約1kW〜約10kW、より好ましくは約2.5kW〜約7.5kWの範囲の電力を用いて発生させることができる。
【0043】
チャンバ内の蒸着条件によって、開示の化合物と反応物とを反応させ、基板上に第5族遷移金属含有膜を形成することが可能である。いくつかの実施形態では、出願人らは反応物をプラズマ処理することで、開示の化合物との反応に必要なエネルギーを反応物に与えることができると考えている。
【0044】
どの種類の膜が堆積されるのが望まれるかに応じて、更なる前駆体化合物を反応器に導入してもよい。前駆体を用いて、第5族遷移金属含有膜に更なる元素を与えることができる。更なる元素としては、銅、プラセオジム、マンガン、ルテニウム、チタン、タンタル、ビスマス、ジルコニウム、ハフニウム、鉛、バナジウム、ニオブ、タンタル、マグネシウム、アルミニウム、ランタン、又はこれらの混合物が挙げられ得る。更なる前駆体化合物を利用する場合、その結果として生じる基板上に堆積される膜は少なくとも1つの更なる元素とともに第5族遷移金属を含有し得る。
【0045】
第5族遷移金属含有化合物及び反応物は反応器に同時に(化学蒸着)、順次に(原子層堆積)又はこれらの異なる組合せで導入することができる。化合物の導入と反応物の導入との間に反応器を不活性ガスでパージしてもよい。代替的には、反応物及び化合物を混合して反応物/化合物混合物を形成した後、反応器に混合物形態で導入することができる。別の例は、反応物を連続的に導入し、少なくとも1つの第5族遷移金属含有化合物前駆体をパルス状に導入することである(パルス化化学蒸着)。
【0046】
蒸発した化合物及び反応物は、反応器へと順次に又は同時に(例えばパルス化CVD)パルス化することができる。各々の化合物パルスは約0.01秒〜約10秒、代替的には約0.3秒〜約3秒、代替的には約0.5秒〜約2秒の範囲の期間にわたって持続し得る。別の実施形態では、反応物を反応器へとパルス化してもよい。かかる実施形態では、各
々のガスのパルスは約0.01秒〜約10秒、代替的には約0.3秒〜約3秒、代替的には約0.5秒〜約2秒の範囲の期間にわたって持続し得る。別の代替形態では、気化化合物と1つ又は複数の反応物とを、下にあるいくつかのウエハを保持するサセプタを回転させて、シャワーヘッドから同時に噴霧させることができる(空間的ALD)。
【0047】
特定のプロセスパラメータに応じて、堆積を様々な時間で行うことができる。概して、所要の特性を有する膜を生成するために、堆積を所望される又は必要な期間継続することができる。典型的な膜厚は、特定の堆積プロセスに応じて数オングストロームから数百ミクロンまで様々であり得る。堆積プロセスは、所望の膜を得るため必要に応じて何度行ってもよい。
【0048】
非限定的な一例示的CVD式プロセスでは、開示の第5族遷移金属含有化合物及び反応物の気相及び反応物を同時に反応器に導入する。これら2つが反応し、結果として第5族遷移金属含有薄膜が形成される。この例示的CVDプロセスにおいて反応物をプラズマで処理する場合、例示的CVDプロセスは例示的PECVDプロセスとなる。反応物をチャンバへ導入する前又は導入した後にプラズマで処理することができる。
【0049】
非限定的な一例示的ALD式プロセスでは、開示の第5族遷移金属含有化合物の気相を反応器に導入し、そこで好適な基板と接触させる。次いで、反応器のパージ及び/又は排気によって過剰な化合物を反応器から除去することができる。所望のガス(例えばH)を反応器に導入し、そこで吸着した化合物と自己制御式に反応させる。反応器のパージ及び/又は排気によって過剰な還元性ガスを全て反応器から除去する。所望の膜が第5族遷移金属膜である場合、この二段階プロセスによって所望の膜厚を得ることができ、又は所要の厚さの膜が得られるまでこれを繰り返すことができる。
【0050】
代替的には、所望の膜が第5族遷移金属及び第2元素を含有する場合、上記の二段階プロセスに続いて更なる前駆体の蒸気を反応器に導入することができる。更なる前駆化合物は、堆積させる第5族遷移金属膜に基づいて選択される。反応器への導入の後、更なる前駆化合物と基板とを接触させる。反応器のパージ及び/又は排気によって過剰な更なる前駆化合物を全て反応器から除去する。反応器のパージ及び/又は排気によって過剰なガスを反応器から除去する。所望の膜厚が達成された場合、プロセスを終わらせることができる。しかしながら、より厚い膜が所望される場合、四段階プロセス全体を繰り返してもよい。第5族遷移金属含有化合物、更なる前駆体及び反応物の供給を交互に行うことによって、所望の組成及び厚さの膜を堆積させることができる。
【0051】
この例示的なALDプロセスにおける反応物をプラズマにて処理する場合、例示的なALDプロセスは例示的なPEALDプロセスとなる。反応物をチャンバに導入する前又は導入したのに続いてプラズマにて処理することができる。
【0052】
別の非限定的で例示的なALDタイプのプロセスでは、国際公開第2007/141059に開示される、Zr含有前駆体、例えばZrCp(NR前駆体の一つ、好ましくはZrCp(NMeの気相を反応器に導入し、そこで好適な基板と接触させる。次いで余分なZr含有前駆体を、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から取り除くことができる。所望のガス(例えばO)を反応器に導入し、そこで吸収されたZr含有前駆体と自己制御的に反応させて、ZrO膜を形成する。全ての余分な酸化性ガスを、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から取り除く。これら2つの工程を所望の厚さのZrO膜が得られるまで繰り返すことができる。
【0053】
開示のNb含有前駆体の一つ、例えばtert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)又はtert−ブチルイミドモノ(ジ
エチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)の気相を反応器に導入し、そこでZrO基板に接触させる。次いで余分なNb含有前駆体を、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から取り除くことができる。所望のガス(例えばO)を反応器に導入し、そこで吸収されたNb含有前駆体と自己制御的に反応させて、Nb膜を形成する。全ての余分な酸化性ガスを、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から取り除く。これら2つの工程を所望の厚さのNb膜が得られるまで繰り返すことができる。
【0054】
最後に、これまでのZr含有前駆体と同じであっても又は異なっていてもよいZr含有前駆体の気相を反応器に導入し、そこでNb/ZrO基板に接触させる。次いで余分なZr含有前駆体を、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から取り除くことができる。所望のガス(例えばO)を反応器に導入し、そこで吸収されたZr含有前駆体と自己制御的に反応させて、ZrO膜を形成する。全ての余分な酸化性ガスを、反応器のパージ及び/又は排気によって反応器から取り除く。これら2つの工程を所望の厚さのZrO膜が得られるまで繰り返すことができる。
【0055】
その結果として生じるZrO/Nb/ZrO層をDRAMコンデンサに使用することができる。
【0056】
別の非限定的で例示的なALDタイプのプロセスでは、酸化タンタル又は酸化ニオブの薄膜を、温度バジェット(temperature budget)が制限されるBEOLレベルの金属−絶縁体−金属コンデンサ(MIM cap)の作製のための絶縁体として使用することができる。熱バジェットを低く維持するために、プラズマプロセスが通例用いられる。このようなMIM cap構造体では、基板は限定されるものではないが、窒化チタン(TiN)とすることができる。典型例では、酸化タンタル又は酸化ニオブの薄膜をTiN又は部分酸化したTiN(TiON)上に堆積させる。典型プロセスでは、酸素等の酸化剤ガスを継続的に反応器に流入させる。開示のNb又はTa含有前駆体の一つ、例えばtert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)又はtert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)ニオブ(V)又はtert−ブチルイミドビス(ジエチルアミド)モノ(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)又はtert−ブチルイミドモノ(ジエチルアミド)ビス(tert−ブチルアルコキソ)タンタル(V)の気相を反応器にパルスする。プラズマ活性化は前駆体パルスサイクルと交互に行う。換言すると、サイクルは前駆体とプラズマとのパルスを交互に行う連続的な酸化剤導入となる。このプロセスには、サイクル時間を短縮するのを助ける典型的なALDパージサイクルは含まれない。その結果として生じるTiN−Ta(Nb)−TiN積層体をBEOL MIMコンデンサに使用することができる。
【0057】
上述のプロセスより生じる第5族遷移金属含有膜としては、純粋な第5族遷移金属(M=V、Nb、Ta)、第5族遷移金属ケイ化物(MSi)、第5族遷移金属酸化物(M)、又は第5族遷移金属窒化物(M)の膜(ここでk、l、m、n、o、及びpは1から6までの包括的範囲の整数である)が挙げられ得る。当業者であれば、適切な開示の化合物、任意の前駆体化合物及び反応物種を良識的に選択することで、所望の膜組成を得ることができることが認識される。
【0058】
所望の膜厚を得るには、膜を熱アニーリング、炉アニーリング、高速熱アニーリング、UV硬化若しくは電子ビーム硬化及び/又はプラズマガス曝露等の更なる処理に供することができる。これらの付加的な処理工程を行うために利用するシステム及び方法が当業者には認識される。例えば、第5族遷移金属含有膜を不活性雰囲気、H含有雰囲気、N含有雰囲気、O含有雰囲気、又はこれらの組合せの下で、およそ200℃〜およそ1000℃
の範囲の温度に、およそ0.1秒〜およそ7200秒の範囲の時間にわたって曝露することができる。最も好ましくは、温度はH含有雰囲気下又はO含有雰囲気下3600秒間では400℃である。得られる膜が、含有する不純物がより少ないことから、密度が改善され、結果としてリーク電流が改善され得る。アニーリング工程は、堆積プロセスを行うのと同じ反応チャンバ内で行うことができる。代替的には、基板を反応チャンバから取り出し、アニーリング/フラッシュアニーリングプロセスを別の装置で行ってもよい。上記の後処理方法のいずれも、とりわけ熱アニーリングは、第5族遷移金属含有膜の炭素汚染及び窒素汚染の低減に効果的であることが見出されている。これにより膜の抵抗率が改善される傾向がある。
【0059】
別の代替形態では、開示の第5族遷移金属含有化合物をドープ剤又は注入剤として使用することができる。開示の第5族遷移金属含有化合物の一部を、ドープする膜、例えば酸化インジウム(In)膜、二酸化バナジウム(VO)膜、酸化チタン膜、酸化銅膜、又は二酸化スズ(SnO)膜の上部に堆積させることができる。次いで、第5族遷移金属をアニーリング工程中に膜へと拡散させて、第5族遷移金属ドープ膜{(V)In、(Nb)VO、(Ta)TiO、(V)CuO、又は(Nb)SnO}を形成する。例えばLavoie et al.に対する米国特許出願公開第2008/0241575号を参照されたい。そのドープ方法はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。代替的には、可変エネルギー高周波四重極注入装置を用いた高エネルギーイオン注入を用いて、開示の化合物の第5族遷移金属を膜にドープすることができる。例えばKensuke et al., JVSTA 16(2) Mar/Apr 1998を参照されたい。その注入方法はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。別の代替形態では、プラズマドープ、パルスプラズマドープ又はプラズマ浸漬イオン注入を、開示の第5族遷移金属含有化合物を用いて行うことができる。例えば、Felch et al., Plasma doping for the fabrication of ultra-shallow junctions Surface Coatings Technology, 156 (1-3) 2002, pp. 229-236を参照されたい。そのドープ方法はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【実施例】
【0060】
実施例
下記実施例は本明細書の開示とともに行われる実験を説明するものである。実施例は全てを包含するものとは意図されず、本明細書に記載の開示の範囲を限定するものとは意図されない。
【0061】
実施例1:tert−BuN=Nb(NEt(OtBu)の合成
−78℃のtert−BuN=Nb(NEt(2g、5.26mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液およそ20mLに、tBuOH(0.38g、5.26mmol)のTHF溶液を滴加した。混合物をゆっくりと室温まで加温し、一晩撹拌した。次いで溶媒を真空除去して、黄色液体を得た。この材料を120℃、100mTorr(bp 約55℃〜65℃)での蒸留により精製して、1.12g(56%)の無色の油を得た。
【0062】
この油には、10℃/分の温度上昇速度にて、200mL/分で窒素を流す雰囲気において測定されたTGA分析中、1%未満の残渣塊が残った。これらの結果を、温度変化とともに重量損失百分率を表すTGAグラフである図1に示す。NMR1Hスペクトルを図3に示す。
NMR1H(δ,ppm,C6D6):3.52(m,8H)、1.40(s,9H)、1.38(s,9H)、1.18(m,12H)
【0063】
実施例2:tert−BuN=Nb(NEt)(OtBu)の合成
−78℃のtert−BuN=Nb(NEt(2g、5.26mmol)のTH
F溶液およそ20mLに、tBuOH(0.78g、10.52mmol)の溶液を滴加した。混合物をゆっくりと室温まで加温し、一晩撹拌した。次いで溶媒を真空除去して、黄色液体を得た。この材料を150℃、100mTorr(bp 約70℃〜80℃)での蒸留により精製して、1.43g(71%)の無色の油を得た。
【0064】
この油には、10℃/分の温度上昇速度にて、200mL/分で窒素を流す雰囲気において測定されたTGA分析中、1%未満の残渣塊が残った。これらの結果を、温度変化とともに重量損失百分率を表すTGAグラフである図2に示す。NMR1Hスペクトルを図4に示す。
NMR1H(δ,ppm,C6D6):3.52(m,4H)、1.40(s,18H)、1.39(s,9H),1.20(m,6H)
【0065】
実施例3:第5族遷移金属のALD
ALD試験を、80℃に加熱した容器に入れた実施例1にて調製したtert−BuN=Nb(NEt(OtBu)を用いて行った。典型的なALD条件を0.5Torrに固定した反応器の圧力とともに用いた。図5に示されるように、完全な表面飽和及び反応を伴うALD挙動が、成長速度がおよそ0.7Å/サイクルの純シリコンウエハ上において200℃及び225℃にて観察された。図6に提示されるように、炭素及び窒素の混入は検出限界未満(すなわち1原子%未満)であった。図7に示されるように、優れた段差被覆が10:1のアスペクト比のパターニングウエハ上において得られた(最適化せずに93%)。
【0066】
本発明の性質を説明するために本明細書中に記載及び例示されている詳細、材料、工程及び部材の配列の多くの更なる変更は、添付の特許請求の範囲に表される本発明の原理及び範囲内で当業者が行うことができることが理解され得る。よって、本発明は、上記に挙げられる実施例及び/又は添付の図面における具体的な実施形態に限定されることが意図されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7