特許第6337135号(P6337135)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337135フマル酸エステルのスルホンアミドプロドラッグ及びスルフィンアミドプロドラッグ並びに種々の疾患の治療におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337135
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】フマル酸エステルのスルホンアミドプロドラッグ及びスルフィンアミドプロドラッグ並びに種々の疾患の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 311/04 20060101AFI20180528BHJP
   A61K 31/221 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 31/425 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180528BHJP
   C07D 275/02 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C07C311/04CSP
   A61K31/221
   A61K31/425
   A61P25/00
   A61P43/00 123
   C07D275/02
【請求項の数】16
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2016-553405(P2016-553405)
(86)(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公表番号】特表2017-511799(P2017-511799A)
(43)【公表日】2017年4月27日
(86)【国際出願番号】US2015017322
(87)【国際公開番号】WO2015127450
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2016年10月6日
(31)【優先権主張番号】61/943,699
(32)【優先日】2014年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512177263
【氏名又は名称】アルカーメス ファーマ アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ウィン,トーマス,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘンケン,クリストファー,ピー.
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭48−42083(JP,A)
【文献】 特開昭62−199643(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/181451(WO,A1)
【文献】 REGISTRY(STN)[online],2009年 2月24日,[検索日 2017.10.06],CAS登録番号1110882-23-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 311/04
A61K 31/221
A61K 31/425
A61P 25/00
A61P 43/00
C07D 275/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
R1メチルであり;
Laは、C1-C6アルキル、C3-C10炭素環、C6-C10アリール、1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、炭素環基、アリール基、複素環基又はヘテロアリール基は、独立して、ハロゲンで1回以上任意に置換され;
R2は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上任意に置換され;
R3は、H、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、SO2R4又はS(O)R4であり、ここで、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上任意に置換され;
R4は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上任意に置換され;
いは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得;
nは1又は2である)
の化合物、又はその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
R2が、C1-C10アルキル、又はC1-C6アルキル、OH若しくはO(C1-C6アルキル)で1回以上任意に置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R3がH又はC1-C10アルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R2及びR3が、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分がさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環がオキソで任意に置換され得る、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R4が、ハロゲンで任意に置換されるC1-C10アルキル又はC1-C10アルキルで任意に置換されるC6-C10アリールである、請求項1、2又は3に記載の化合物。
【請求項6】
LaがC1-C6アルキルである、請求項1〜のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
LaがC1-C6アルキルであり;
R2、C1-C10アルキル又はC1-C10アルキルで任意に置換されるC6-C10アリールであり;
R3が、H、C1-C10アルキル、SO2R4又はS(O)R4であり;
R4が、ハロゲンで任意に置換されるC1-C10アルキル又はC1-C10アルキルで任意に置換されるC6-C10アリールであり;
いは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得;
nが1又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R2が、C1-C10アルキルであり、R3が、H又はC1-C10アルキルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
【化2】

からなる群より選択されるか、又はその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
構造:
【化3】

を有するか、又はその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
構造:
【化4】

を有するか、又はその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
構造:
【化5】

を有するか、又はその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
(i)式(I):
【化6】

(式中、
R1メチルであり;
Laは、C1-C6アルキル、C3-C10炭素環、C6-C10アリール、1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、炭素環基、アリール基、複素環基又はヘテロアリール基は、独立して、ハロゲンで1回以上任意に置換され;
R2は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上任意に置換され;
R3は、H、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、SO2R4又はS(O)R4であり、ここで、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上任意に置換され;
R4は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環並びにN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上任意に置換され;
いは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得;
nは1又は2である)
の化合物又はその薬学的に許容され得る塩;及び
(ii)薬学的に許容され得る担体又は賦形剤
を含む医薬組成物。
【請求項14】
神経学的疾患の治療における使用のための、請求項13に記載の医薬組成物
【請求項15】
神経学的疾患が多発性硬化症である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
神経学的疾患が再発−寛解型多発性硬化症、続発性進行性多発性硬化症、原発性進行性多発性硬化症、又は進行性再発型多発性硬化症から選択される、請求項14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2014年2月24日に出願された米国仮特許出願第61/943,699号の利益を主張する。前記出願の全教示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本明細書では、フマル酸モノメチルの種々のプロドラッグが提供される。特に、本明細書では、フマル酸モノメチルのスルホンアミド誘導体及びスルフィンアミド誘導体が提供される。発明はまた、種々の疾患の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
【0004】
フマル酸エステル(FAE)は、乾癬の治療のためにドイツ国で認可されており、乾癬及び多発性硬化症の治療のために、米国で評価中であり、広範囲の免疫学的、自己免疫及び炎症性疾患及び症状の治療における使用が提案されてきた。
【0005】
主要な生物活性代謝産物とみなされるフマル酸モノエチル及びフマル酸モノメチルに迅速に加水分解されるフマル酸ジメチル(DMF)の塩混合物を含む腸溶性コーティング錠剤であるFUMADERM(登録商標)は、乾癬の治療のために1994年にドイツ国で認可された。FUMADERM(登録商標)は、乾癬の治療のために、1〜2グラム/日の用量で、TID(1日に3回)で投与される。FUMADERM(登録商標)は、薬物吸収に関して、患者の間で高い程度の変動性を示し、食物は、バイオアベイラビリティーを大きく低減する。吸収は小腸で生じると考えられ、経口投与後5〜6時間でピークレベルに達する。70〜90%の患者で重大な副作用が生じる(Brewer and Rogers, Clin Expt'l Dermatology 2007, 32, 246-49; and Hoefnagel et al., Br J Dermatology 2003, 149, 363-369)。現在のFAE治療の副作用としては、悪心、嘔吐、下痢などの胃腸の不調および/または皮膚の一過的な紅潮が挙げられる。
【0006】
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)抗原に対する自己免疫活性を伴う自己免疫疾患である。この疾患はCNSの一部の炎症を特徴とし、神経軸索周囲のミエリン鞘の消失(漸進的な脱髄)、軸索消失、並びにニューロン、希突起膠細胞及びグリア細胞の最終的な死を引き起こす。フマル酸ジメチル(DMF)は、再発-寛解型MS(RRMS)の治療について試験される実験治療薬BG-12の活性成分である。フェーズIIb RRMS試験において、BG-12は、ガドリニウム増強脳病変を有意に低減した。前臨床試験において、DMF投与は、マウスおよびラット実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)におけるCNS炎症を阻害することが示された。DMFは、EAEに関する大神経膠症および小グリア活性化を阻害し得ることも見出された。例えば、米国特許出願公開第2012/0165404号を参照。
【0007】
フマル酸モノメチルに迅速に加水分解されるDMFを含む硬質ゼラチン遅延放出カプセルであるTECFIDERA(登録商標)は、再発性多発性硬化症の治療のために2013年に米国で認可された。TECFIDERA(登録商標)は、約240mg〜480mgの合計1日投与量(total daily dose)でBID(1日に2回)で投与される。経口投与から2〜2.5時間後にピークレベルに達する。
【0008】
しかしながら、フマル酸ジメチルはまた、重大な欠点を伴う。例えば、フマル酸ジメチルは、経口投与時に、被験体において、紅潮並びに悪心、下痢及び/又は上部腹痛を含む胃腸事象等の副作用を起こすことが知られている。例えば、Gold et al., N. Eng. J. Med., 2012, 367(12), 1098-1107参照。フマル酸ジメチルは、1日当たり約480mg〜約1グラム以上の総日量で、BID又はTIDで投与される。さらに、長期治療のための薬物の使用において、患者のコンプライアンスを補助するための1日に1回または2回の投与に適するように薬物が製剤化されることが望ましい。1日に1回以下の投与頻度がさらに望ましい。
【0009】
長期治療に伴う別の問題は、患者に許容され得る最適用量を決定する必要があることである。かかる用量が決定されない場合、これは、投与される薬物の有効性の減少をもたらし得る。
【0010】
神経学的疾患の治療のための化合物及び方法の必要性が残っている。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
本明細書に記載される方法及び組成物は、フマル酸モノメチル(MMF)の一以上のプロドラッグ(例えばスルホンアミド含有プロドラッグ又はスルフィンアミド含有プロドラッグ)を含む。発明化合物は、経口投与の際にインビボでフマル酸モノメチルに変換され得る。変換の際に、活性部分(即ちフマル酸モノメチル)は、神経学的疾患に苦しむ被験体の治療に効果的である。
【0012】
本発明は部分的に、式(I):
【化1】
(式中:
R1はC1-C6アルキルであり;
Laは、C1-C6アルキル、C3-C10炭素環、C6-C10アリール、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、炭素環基、アリール基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、ハロゲンで1回以上置換される;
R2は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R3は、H、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、SO2R4又はS(O)R4であり、ここで、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R4は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
あるいは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得る;並びに
nは1又は2である)
の化合物又はその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0013】
さらに本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物の一以上及び一以上の薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物が提供される。
【0014】
一つの局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、神経学的疾患の治療を必要とする被験体に、神経学的疾患が治療されるように投与することによる、神経学的疾患の治療方法が提供される。
【0015】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、多発性硬化症の治療を必要とする被験体に、多発性硬化症が治療されるように投与することによる、多発性硬化症の治療方法が提供される。
【0016】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、再発−寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療を必要とする被験体に、再発−寛解型多発性硬化症が治療されるように投与することによる、再発−寛解型多発性硬化症の治療方法が提供される。
【0017】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、続発性進行性多発性硬化症(SPMS)の治療を必要とする被験体に、続発性進行性多発性硬化症が治療されるように投与することによる、続発性進行性多発性硬化症の治療方法が提供される。
【0018】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、原発性進行性多発性硬化症(PPMS)の治療を必要とする被験体に、原発性進行性多発性硬化症が治療されるように投与することによる、原発性進行性多発性硬化症の治療方法が提供される。
【0019】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、進行性再発型多発性硬化症(PRMS)の治療を必要とする被験体に、進行性再発型多発性硬化症が治療されるように投与することによる、進行性再発型多発性硬化症の治療方法が提供される。
【0020】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、アルツハイマー病の治療を必要とする被験体に、アルツハイマー病が治療されるように投与することによる、アルツハイマー病の治療方法が提供される。
【0021】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、脳性まひの治療を必要とする被験体に、脳性まひが治療されるように投与することによる、脳性まひの治療方法が提供される。
【0022】
別の局面において、本明細書では、本明細書に記載されるいずれかの式の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、乾癬の治療を必要とする被験体に、乾癬が治療されるように投与することによる、乾癬の治療方法が提供される。
【0023】
そうではないと規定されなければ、本明細書において使用される全ての科学技術的用語は、この発明の属する技術分野の通常の技術者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、単数形は、文脈にそうではないことが明確に示されなければ、複数形も含む。本明細書に記載のものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明の実施又は試験に使用し得るが、適切な方法及び材料が以下に記載される。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参照により援用される。本明細書に引用される参照文献は、特許請求される発明に対する先行技術であるとは認められない。矛盾の場合、規定を含む本明細書が支配権を有する。また、材料、方法及び実施例は、例示のみのもであり、限定を意図しない。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明白である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は化合物1の単結晶X線構造を表す。
図2図2は化合物2の単結晶X線構造を表す。
図3図3は化合物6の単結晶X線構造を表す。
図4図4は、化合物1及びDMFについての、時間対重量消失を示すTGAサーモグラムを表す。
図5図5は、化合物2及びDMFについての、時間対重量消失を示すTGAサーモグラムを表す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
発明の詳細な説明
本明細書では、式(I)の化合物を投与することによる神経学的疾患の治療の化合物及び方法、式(I)の化合物を製造するための合成方法、並びに式(I)の化合物を含む医薬組成物が提供される。
【0027】
さらに本明細書では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、乾癬を治療することを必要とする被験体に投与することによる、乾癬を治療するための化合物及び方法が提供される。
【0028】
さらに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、神経学的疾患を治療することを必要とする被験体に投与することによる、神経学的疾患を治療するための方法が提供される。該神経学的疾患は多発性硬化症であり得る。
【0029】
1)完全な回復又は回復の際の続発症及び後遺性の障害で明確に規定された再発を特徴とする再発−寛解型MS(RRMS);疾患再発の間の期間は、疾患の進行がないことを特徴とする;2)最初の再発型寛解の経過後に、時々の再発、わずかな寛解および安定状態あり又はなしの進行が続くことを特徴とする続発性進行性MS(SPMS);3)時々の安定状態及び一時的なわずかな改善が可能になる開始からの疾患進行を特徴とする原発性進行性MS(PPMS);並びに4)明確な急性の再発を有し、完全な回復あり又はなしの進行性疾患の開始を特徴とする進行性再発型MS(PRMS);再発の間の期間は、進行の継続を特徴とする、の4つの主要な臨床型のMSがある。
【0030】
臨床的に、疾患(illness)は、最も頻繁に、再発−寛解型疾患として存在し、より低い程度までは神経学的不能(disability)の安定な進行として存在する。再発-寛解型MS(RRMS)は、病巣又は複数病巣の神経学的機能不全の再発性攻撃の形態で存在する。攻撃は、数年にわたり、外見上無作為的に、起こり、寛解し、再発し得る。寛解はしばしば不完全であり、1つの攻撃の後に別の攻撃が続くように、段階的な下方の進行により、永続的な神経学的障害の増加が確実となる。通常のRRMSの経過は、患者の大部分について、疾患進行の最終的な開始を伴う再発の反復を特徴とする。疾患のその後の経過は予測できないものであるが、再発-寛解型の疾患を有するほとんどの患者は、最終的に、続発性の進行性疾患を発症する。再発-寛解期において、再発は、臨床的な不活性の期間を伴って変化し、症状の発現の間の神経学的障害の存在に応じて、続発症を特徴とし得るか又はし得ない。再発-寛解期の間の再発の間の期間は、臨床的に安定である。一方、進行性MSを有する患者は、上述のように、症状の発現の開始から又は症状の発現の期間の後のいずれかに、障害の安定した増加を示すが、この表示は、新規の再発のさらなる発症を妨げない。
【0031】
別の局面において、本明細書では、神経学的疾患の治療のために有用な医薬の調製のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の使用が提供される。
【0032】
本発明によると、神経学的疾患は、被験体における脳、脊髄又は神経の障害である。一態様において、神経学的疾患は、中枢神経系の脱髄又はミエリン鞘の変性を特徴とする。ミエリン鞘は、神経繊維又は軸索を介した神経インパルスの伝達を容易にする。別の態様において、神経学的疾患は、多発性硬化症、アルツハイマー病、脳性まひ、脊髄損傷、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳卒中、ハンティングトン病、パーキンソン病、視神経炎、ドヴィック病、横断脊髄炎、急性播種性脳脊髄炎、副腎脳白質ジストロフィ及び副腎脊髄神経障害、急性炎症性脱髄性多発根神経障害(AIDP)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)、急性横断性脊髄炎、進行性多病巣性白質脳障害(PML)、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、並びに白質萎縮、レーバー視神経萎縮及びシャルコー-マリー-ツース病等の他の遺伝性障害からなる群より選択される。いくつかの態様において、神経学的障害は自己免疫疾患である。一態様において、神経学的疾患は多発性硬化症である。別の態様において、神経学的疾患は脳卒中である。別の態様において、神経学的疾患はアルツハイマー病である。別の態様において、神経学的疾患は、脳性麻痺である。別の態様において、神経学的疾患は脊髄損傷である。別の態様において、神経学的疾患はALSである。別の態様において、神経学的疾患はハンティングトン病である。例えば、その全体において参照により援用される米国特許第8,007,826号、WO2005/099701及びWO2004/082684参照。
【0033】
さらに本明細書では、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の治療有効量を、本明細書に記載される疾患又は疾患の症状の治療を必要とする被験体に投与することによる、本明細書に記載される疾患又は疾患の症状の治療のための方法が提供される。
【0034】
一つの局面において、本明細書では、本明細書に記載される疾患又は疾患の症状の治療のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の使用が提供される。
【0035】
いくつかの局面において、本明細書では、発明化合物(即ち、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩)の治療有効量を、神経学的疾患の治療を必要とする被験体に投与することによる、神経学的疾患の治療のための発明化合物及び方法が提供される。別の局面において、本明細書では、神経学的疾患の治療における使用のための発明化合物(即ち、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩)が提供される。
【0036】
一つの態様において、発明化合物は式(I)の化合物である。別の態様において、発明化合物は式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩である。さらに別の態様において、発明化合物は式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩である。
【0037】
式(I)の化合物は構造:
【化2】
(式中、
R1はC1-C6アルキルであり;
Laは、C1-C6アルキル、C3-C10炭素環、C6-C10アリール、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、炭素環基、アリール基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、ハロゲンで1回以上置換される;
R2は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R3は、H、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、SO2R4又はS(O)R4であり、ここで、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R4は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
あるいは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得る;並びにnは1又は2である)
を有する。
【0038】
式(I)の一つの態様において、Laは、ハロゲンで1回以上置換されるC1-C6アルキルであり、ここで該ハロゲンはフッ素である。別の態様において、Laは、ハロゲンで1又は2回置換されるC1-C6アルキルであり、ここで該ハロゲンはフッ素である。
【0039】
式(I)の別の又はその薬学的に許容され得る塩の態様において、
R1はC1-C6アルキルであり;
Laは、C1-C6アルキル、C3-C10炭素環、C6-C10アリール、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり;
R2は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R3は、H、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、SO2R4又はS(O)R4であり;
R4は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
あるいは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得る;並びにnは1又は2である。
【0040】
式(I)の化合物の一態様において、R1はメチルである。
【0041】
式(I)の化合物の別の態様において、R2は、C1-C10アルキル、ハロゲンで1回以上置換されるC1-C10アルキル、又はC1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)若しくはハロゲンで1回以上任意に置換されるフェニルである。
【0042】
式(I)の化合物のさらに別の態様において、R3はH又はC1-C10アルキルである。
【0043】
式(I)の化合物のさらに別の態様において、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得る。
【0044】
式(I)の化合物の別の態様において、LaはC1-C6アルキルである。特定の態様において、Laは(CH2)2である。
【0045】
式(I)の化合物のさらに別の態様において、R1はC1-C6アルキルであり;LaはC1-C6アルキルであり;R2はハロゲンで任意に置換されるC1-C10アルキル又はC1-C10アルキルで任意に置換されるC6-C10アリールであり;R3はH、C1-C10アルキル、SO2R4又はS(O)R4であり;R4はハロゲンで任意に置換されるC1-C10アルキル又はC1-C10アルキルで任意に置換されるC6-C10アリールであり;あるいは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環がオキソで任意に置換され得る;並びにnは1又は2である。
【0046】
一つの態様において、発明化合物は式(Ia)の化合物である。別の態様において、発明化合物は式(Ia)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩である。さらに別の態様において、発明化合物は式(Ia)の化合物の薬学的に許容され得る塩である。
【0047】
式(Ia)の化合物は構造:
【化3】
(式中、
R1はC1-C6アルキルであり;
Laは、C1-C6アルキル、C3-C10炭素環、C6-C10アリール、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、炭素環基、アリール基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル又はハロゲンで1回以上置換される;
R2は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R3は、H、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、SO2R4又はS(O)R4であり、ここで、アルキル基、アルケニル基又はアルキニル基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
R4は、C1-C10アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、OH、C6-C10アリール、C3-C10炭素環、1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含む複素環、又は1若しくは2個の5-若しくは6-員環とN、O及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子とを含むヘテロアリールであり、ここで、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、炭素環基、複素環基又はヘテロアリール基は、任意に独立して、C1-C6アルキル、OH、O(C1-C6アルキル)、オキソ、ハロゲン、NH2、N(H)(C1-C6アルキル)、N(C1-C6アルキル)2、SO2H、SO2(C1-C6アルキル)、CHO、CO2H、CO2(C1-C6アルキル)又はCNで1回以上置換される;
あるいは、R2及びR3は、それらが結合する原子と一緒になって、1又は2個の5-又は6-員環を含む環状部分を形成し、該環状部分はさらにN、O及びSから選択される1〜5個のさらなるヘテロ原子を任意に含み、ここで、該環はオキソで任意に置換され得る;並びに
nは1又は2である)
を有する。
【0048】
式(Ia)の化合物の一つの態様において、Laは、C1-C6アルキルで1回以上任意に置換されるC1-C6アルキルである。
【0049】
発明の多数の態様を次の例で示す。
例えば、神経学的疾患は多発性硬化症である。
例えば、神経学的疾患は再発−寛解型多発性硬化症(RRMS)である。
例えば、神経学的疾患は続発性進行性多発性硬化症である。
例えば、神経学的疾患は原発性進行性多発性硬化症である。
例えば、神経学的疾患は進行性再発型多発性硬化症である。
例えば、式(I)の化合物は本明細書の表1に列挙された化合物である。
例えば、式(I)の化合物において、R1はメチルである。
例えば、式(I)の化合物において、R1はエチルである。
例えば、式(I)の化合物において、LaはC1-C6アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、LaはC1-C3アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、LaはC2アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、Laは非置換のC2アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、Laはメチルで置換されたC2アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、Laはジ−メチルで置換されたC2アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、Laはメチル又はジ−メチルで置換されたC2アルキルリンカーである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はC1-C10アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はC1-C6アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2は非置換のC1-C6アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はC1-C3アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2は非置換のC1-C3アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はC1-C2アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2は非置換のC1-C2アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R3はHである。
例えば、式(I)の化合物において、R3はC1-C6アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R3は非置換のC1-C6アルキルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はC6-C10アリールである。
例えば、式(I)の化合物において、R2は非置換のC6-C10アリールである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はフェニルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2は非置換のフェニルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2はベンジルである。
例えば、式(I)の化合物において、R2は非置換のベンジルである。
【0050】
例えば、化合物は本明細書の表1に列挙される化合物又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0051】
本発明の代表的な化合物としては、表1に列挙される化合物が挙げられる。
【表1-1】
【0052】
【表1-2】
【0053】
さらに本明細書では、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る担体又は賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。一つの態様において、治療有効量とは神経学的障害の治療に十分な量である。特定の態様において、神経学的障害は続発性進行性多発性硬化症である。特定の態様において、神経学的障害は原発性進行性多発性硬化症である。特定の態様において、神経学的障害は進行性再発型多発性硬化症である。別の特定の態様において、神経学的障害は再発−寛解型多発性硬化症である。別の特定の態様において、神経学的障害はアルツハイマー病である。
【0054】
一つの態様において、医薬組成物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩、及び一以上の薬学的に許容され得る担体を含む制御放出組成物であり、該制御放出組成物は治療有効量のフマル酸モノメチルを被験体に提供する。別の態様において、医薬組成物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩、及び一以上の薬学的に許容され得る担体を含む制御放出組成物であり、該制御放出組成物は治療有効量のフマル酸モノメチルを少なくとも約8時間〜少なくとも約24時間、被験体に提供する。別の態様において、医薬組成物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩、及び一以上の薬学的に許容され得る担体を含む制御放出組成物であり、該制御放出組成物は、治療有効量のフマル酸モノメチルを少なくとも約8時間、少なくとも約10時間、少なくとも約12時間、少なくとも約13時間、少なくとも約14時間、少なくとも約15時間、少なくとも約16時間、少なくとも約17時間、少なくとも約18時間、少なくとも約19時間、少なくとも約20時間、少なくとも約21時間、少なくとも約22時間、少なくとも約23時間又は少なくとも約24時間以上、被験体に提供する。例えば、少なくとも約18時間。例えば、少なくとも約12時間。例えば、12時間より長い。例えば、少なくとも約16時間。例えば、少なくとも約20時間。例えば、少なくとも約24時間。
【0055】
別の態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、経口投与時に、活性種、即ちフマル酸モノメチルに効率的に変換される。例えば、投与される式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩の総用量の約50モル%、約55モル%、約60モル%、約65モル%、約70モル%、約75モル%、約80モル%、約85モル%、約90モル%、又は90モル%より多くが、経口投与時にフマル酸モノメチルに変換される。別の態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、フマル酸ジメチルよりも効率的に、経口投与時に活性種、即ちフマル酸モノメチルに変換される。別の態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、US 8,148,414に記載される化合物の1つ以上よりも効率的に、経口投与時に活性種、即ちフマル酸モノメチルに変換される。US 8,148,414は、参照により明白に明細書に援用される。例えば、式(I)の化合物は本質的に完全に、経口投与時に、活性種、即ちフマル酸モノメチルに変換される。
【0056】
別の態様において、化合物1〜10又はその薬学的に許容され得る塩のいずれか一つは、経口投与時に、活性種、即ちフマル酸モノメチルに効率的に変換される。例えば、投与される化合物1〜10又はその薬学的に許容され得る塩のいずれか1つの総用量の約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または90%より多くが、経口投与時に、フマル酸モノメチルに変換される。別の態様において、化合物1〜10又はその薬学的に許容され得る塩のいずれか1つは、フマル酸ジメチルよりも効率的に、経口投与時に、活性種、即ちフマル酸モノメチルに変換される。別の態様において、化合物1〜10又はその薬学的に許容され得る塩のいずれか1つは、US 8,148,414に記載される1つ以上の化合物よりも効率的に、経口投与時に、活性種、すなわちフマル酸モノメチルに変換される。例えば、化合物1〜10又はその薬学的に許容され得る塩のいずれか1つは、経口投与時に、完全に、活性種、即ちフマル酸モノメチルに変換される。
【0057】
治療効果を達成するための薬物について、血液又は血漿濃度の必要なレベルを維持することが必要である。フマル酸ジメチルを含む多くの薬物は、必要とされる濃度を維持するために、1日に複数回投与されなければならない。さらに、かかる薬物を1日当たり複数回投与したとしても、有効成分の血液又は血漿濃度は、依然として時間に応じて変化し得、即ち、投与の間のある時点で、他の時点よりも高い濃度の有効成分が存在する。従って、24時間のうちのある時点で、患者は、治療有効量の有効成分を受け得るが、他の時点では、血液中の有効成分の濃度は、治療レベル未満に落ち込み得る。かかる薬物によるさらなる問題は、1日当たり複数回の投与はしばしば、治療での患者コンプライアンスに有害な影響を及ぼすことがあることを含む。そのため、有効成分の一定または実質的に一定レベルの血液または血漿濃度が、1日当たり1回又は最大で2回の投与により達成され得るような制御様式で、有効成分が送達される薬物剤型を有することが望ましい。よって、本発明は、下記の制御放出製剤を提供する。一般的に、かかる製剤は当業者に公知であるかまたは従来の方法を使用して利用可能である。
【0058】
本明細書で使用する場合、「制御放出」は、活性剤の放出が、ある期間を通じて制御されるか又は変更される剤型を意味する。例えば、制御(controlled)は、特定の時間で持続性、遅延又はパルス(pulsed)放出を意味し得る。例えば、制御放出は、有効成分の放出が、即時放出剤型におけるものよりも長く、即ち少なくとも数時間にわたり延長されることを意味し得る。
【0059】
明細書で使用する場合、「即時放出」は、有効成分の約75%以上が、投与の2時間以内、又はより具体的には1時間以内に放出される剤型を意味する。即時放出又は制御放出は、それらの溶解プロフィールによっても特徴付けられ得る。
【0060】
製剤はそれらの薬物動態パラメーターによっても特徴付けられ得る。本明細書で使用する場合、「薬物動態パラメーター」は、経時的な有効成分のインビボ特徴、例えば有効成分の血漿濃度を説明する。本明細書で使用する場合、「Cmax」は、最大濃度の時点での血漿中の有効成分の測定された濃度を意味する。「Tmax」は、血漿中の有効成分の濃度が最大である時間をいう。「AUC」は、ある時間から別の時間で測定される有効成分の濃度(通常、血漿濃度)対時間のグラフの曲線下面積である。
【0061】
本明細書に提供される制御放出製剤は、所望の特性および利点をもたらす。例えば、該製剤は、1日に1回投与され得、これは明細書に記載される被験体に対して特に望ましい。該製剤は、対応する短い作用、または即時放出製剤では達成されない多くの治療的な利点をもたらし得る。例えば、該製剤は、起こり得る副作用の罹病率および重症度を低減するように、より低く、より安定な血漿ピーク値、例えばCmaxを維持し得る。
【0062】
持続放出剤型は、該剤型を患者に投与後、持続された期間にわたり、患者の胃腸管内に有効成分を放出する。特定の剤型としては、(a)拡散または浸食により有効成分が放出されるマトリクス中に有効成分が埋めこまれたもの;(b)放出速度制御膜で被覆されたコア中に有効成分が存在するもの;(c)有効成分不透過性の外部コーティングを施されたコア中に有効成分が存在するもの、ここで外部コーティングは、有効成分の放出のための開口を有する(穴が開けられ得る);(d)半透過性膜を通って有効成分が放出され、該膜を通過してまたは該膜内の穴に充填された液体を介して薬物が拡散されるもの;および(e)有効成分がイオン交換複合体として存在するものが挙げられる。
【0063】
持続放出を達成する上述の手段のいくつかを組み合わせてもよく、例えば、活性化合物を含むマトリクスを複数粒子(multiparticle)に形成し得るかおよび/または開口が設けられた不透過性コーティングで被覆し得ることが当業者には明らかである。
【0064】
パルス放出製剤は、患者への剤型の投与後の時間の持続された期間の後に活性化合物を放出する。次いで、該放出は、即時放出または持続放出の形態になり得る。この遅延は、薬物を胃腸管の特定の点に放出することまたは、所定の時間後に薬物を放出することにより達成され得る。パルス放出製剤は、錠剤もしくは複数粒子またはその両方の組合せの形状であり得る。特定の剤型としては、(a)浸透圧ポテンシャル誘導放出(osmotic potential triggered release)(米国特許第3,952,741参照);(b)圧縮被覆二層錠剤(米国特許第5,464,633参照);(c)腐食性プラグを含むカプセル(米国特許第5,474,784参照);S字状放出ペレット(米国特許第5,112,621を参照);および(d)セラック、フタル酸誘導体、ポリアクリル酸誘導体およびクロトン酸コポリマーなどのpH依存性ポリマーで被覆されるか又は該ポリマーを含む製剤が挙げられる。
【0065】
二重放出製剤(dual release formulation)は、即時放出形態の有効成分と制御放出形態のさらなる有効成分を合わせ得る。例えば、1つの層が即時放出有効成分を含み、他方の層が拡散または腐食により有効成分が放出されるマトリクス中に埋めこまれた有効成分を含む二層錠剤を形成し得る。代替的に、1つ以上の即時放出ビーズを、カプセル内で放出速度制御膜に被覆された1つ以上のビーズと合わせ、二重放出製剤を生じ得る。有効成分不透過性の外部コーティングを施されたコア内に有効成分が存在する持続放出製剤を、即時放出形態の薬物で覆い、二重放出製剤を生じ得、ここで、該外部コーティングは、有効成分を放出するための開口を有する(穴が開けられ得る)。二重放出製剤はまた、即時放出形態の薬物と、パルス放出形態のさらなる薬物を組み合わせ得る。例えば、腐食性プラグを含むカプセルは、最初に薬物を遊離させ、所定の時間後、即時放出または持続放出形態のさらなる薬物を放出する。
【0066】
いくつかの態様において、使用される剤型は、1つ以上の有効成分に関して、制御放出として提供され得、その中で、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過性膜、浸透性システム、多層コーティング、微粒子、リポソームもしくは微小球、またはそれらの組合せを使用して、種々の割合の所望の放出プロフィールを提供し得る。明細書に記載されるものなどの当業者に公知の適切な制御放出製剤は、発明の医薬組成物を用いた使用のために容易に選択され得る。したがって、経口投与に適した一単位剤型、例えば制御放出に適用される錠剤、カプセル、ゲルキャップおよびキャプレッツが本発明に包含される。
【0067】
最も制御された放出製剤は、最初に所望の治療効果を適切に生じる量の薬物を放出し、延長された期間にわたり治療効果のレベルを維持するようなさらなる量の薬物を段階的かつ継続的に放出するように設計される。体内でこの一定レベルの薬物を維持するために代謝されかつ体内から排出される薬物の量を補充する(replace)速度で剤型から薬物が放出されなければならない。
【0068】
有効成分の制御放出は、種々の誘導因子、例えばpH、温度、酵素、濃度または他の生理学的条件もしくは化合物により刺激され得る。
【0069】
発明の医薬製剤の粉末製剤および顆粒製剤は、公知の方法を使用して調製され得る。かかる製剤は、被験体に直接投与され得、例えば錠剤を形成するため、カプセルを充填するためまたは水性もしくは油性のビヒクルを添加して水性もしくは油性の懸濁液もしくは溶液を調製するために使用され得る。これらの製剤のそれぞれは、分散剤、湿潤剤、懸濁剤および保存剤の1つ以上をさらに含み得る。さらなる賦形剤、例えば結合剤、甘味料、香味料または着色剤もこれらの製剤に含まれてよい。
【0070】
経口投与に適した発明の医薬組成物の製剤は、限定されないが、それぞれが所定の量の有効成分を含む錠剤、硬質もしくは軟質カプセル、カシェ剤、トローチまたはトローチ剤(lozenge)などの別々の固形投薬単位の形態で調製または封入され得る。一態様において、経口投与に適した発明の医薬組成物の製剤は、腸溶性コートで被覆される。
【0071】
有効成分を含む錠剤は、例えば有効成分と一緒に任意に1つ以上のさらなる成分を圧縮または成形することにより作製され得る。圧縮された錠剤は、任意に1つ以上の結合剤、滑沢化剤、賦形剤、界面活性剤および分散剤と混合した粉末または顆粒調製物などの流動形態の有効成分を、適切なデバイス中で圧縮することにより調製され得る。成形された錠剤は、有効成分、薬学的に許容され得る担体、および少なくとも混合物を湿らすのに十分な液体の混合物を適切なデバイス中で成形することにより作製され得る。錠剤の製造に使用される薬学的に許容され得る賦形剤としては、限定されないが、不活性希釈剤、顆粒化および崩壊剤、結合剤ならびに滑沢化剤が挙げられる。公知の崩壊剤としては限定されないが、ジャガイモデンプンおよびグリコール酸ナトリウムデンプンが挙げられる。公知の界面活性剤としては、限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポロキサマーが挙げられる。公知の希釈剤としては、限定されないが、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、およびリン酸ナトリウムが挙げられる。公知の顆粒化および崩壊剤としては、限定されないが、トウモロコシデンプン、およびアルギン酸が挙げられる。公知の結合剤としては、限定されないが、ゼラチン、アラビアゴム、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。公知の滑沢化剤としては限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリカおよびタルクが挙げられる。
【0072】
錠剤は被覆され得ないか、または被験体の胃腸管内で遅延崩壊を達成するための公知の方法を使用して被覆され得、それにより有効成分の持続性放出および吸収がもたらされる。例示により、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料を使用して錠剤を被覆し得る。さらなる例示により、錠剤は、米国特許第4,256,108号、第4,160,452号および第4,265,874号に記載される方法を使用して被覆されて、任意にレーザーで穴を開けられた浸透圧制御放出錠剤が形成される。錠剤はさらに、薬学的に上質でかつ味のよい製剤を提供するために、甘味料、香料剤、着色剤、保存剤またはこれらのいくつかの組合せを含み得る。
【0073】
有効成分を含む硬質カプセルは、ゼラチンまたはHPMCなどの生理学的に分解可能な組成物を使用して作製され得る。かかる硬質カプセルは有効成分を含み、さらに、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性固形希釈剤を含むさらなる成分を含み得る。
【0074】
有効成分を含む軟質ゼラチンカプセルは、ゼラチンなどの生理学的に分解可能な組成物を使用して作製され得る。かかる軟質カプセルは有効成分を含み、水またはラッカセイ油、液体パラフィンもしくはオリーブ油などの油性媒体と混合され得る。
【0075】
本明細書で使用する場合、「アルキル」、「C1、C2、C3、C4、C5又はC6アルキル」又は「C1-C6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5又はC6の直鎖(直鎖)飽和脂肪族炭化水素基及びC3、C4、C5又はC6の分岐飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。例えば、C1-C6アルキルは、C1、C2、C3、C4、C5及びC6のアルキル基を含むことを意図する。同様に、「C1-C10アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9又はC10の直鎖(直鎖)飽和脂肪族炭化水素基及びC3、C4、C5、C6、C7、C8、C9又はC10の分岐飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。アルキルの例としては、特に限定されないが、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチル-ヘキシル、n-ノニル及びn-デシルが挙げられる。
【0076】
特定の態様において、直鎖または分岐のアルキルは、6個以下の炭素原子(例えば、直鎖についてC1-C6、分岐鎖についてC3-C6)を有し、別の態様において、直鎖または分岐のアルキルは、4個以下の炭素原子を有する。
【0077】
明細書で使用する場合、「アルキルリンカー」は、C1、C2、C3、C4、C5またはC6の直鎖(直鎖)飽和脂肪族炭化水素基およびC3、C4、C5またはC6の分岐飽和脂肪族炭化水素基を含むことを意図する。例えば、C1-C6アルキルリンカーは、C1、C2、C3、C4、C5およびC6アルキルリンカー基を含むことを意図する。アルキルリンカーの例としては、限定されないが、メチル(-CH2-)、エチル(-CH2CH2-)、n-プロピル(-CH2CH2CH2-)、i-プロピル(-CHCH3CH2-)、n-ブチル(-CH2CH2CH2CH2-)、s-ブチル(-CHCH3CH2CH2-)、i-ブチル(-C(CH3)2CH2-)、n-ペンチル(-CH2CH2CH2CH2CH2-)、s-ペンチル(-CHCH3CH2CH2CH2-)またはn-ヘキシル(-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-)などの1〜6個の炭素原子を有する部分が挙げられる。
【0078】
炭素の数がそうではないと指定されなければ、「低級アルキル」としては、主鎖構造中に1〜6個、別の態様においては1〜4個の炭素原子を有する上述のアルキル基が挙げられる。「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、例えば2〜6または2〜4個の炭素原子の鎖の長さを有する。
【0079】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を有する「コンジュゲートされた」又は多環式の系を含む芳香族性を有する基を包含する。例としては、フェニル、ベンジル、ナフチル等が挙げられる。「ヘテロアリール」基は、環構造中に1〜4個のヘテロ原子を有する上述のアリール基であり、「アリール複素環」又は「ヘテロ芳香族」とも称され得る。本明細書で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、炭素原子と、1つ以上のヘテロ原子、例えば窒素、酸素及び硫黄からなる群より独立して選択される1又は1〜2又は1〜3又は1〜4又は1〜5又は1〜6個のヘテロ原子とからなる、安定な5-、6-若しくは7員の単環式又は7-、8-、9-、10-、11-若しくは12員の二環式芳香複素環を包含することを意図する。窒素原子は、置換又は非置換であり得る(即ち、N又はNR、ここでRはH又は他の定義される置換基である)。窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化され得る(即ち、N→O及びS(O)p、ここでp=1又は2)。ヘテロアリール中のS及びO原子の総数は1より多くないことに注意すべきである。
【0080】
ヘテロアリール基の例としては、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン等が挙げられる。
【0081】
さらに、用語「アリール」および「ヘテロアリール」としては、多環式のアリールおよびヘテロアリール基、例えば三環式、二環式、例えばナフタレン、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチオフェン、メチレンジオキシフェニル、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、インドール、ベンゾフラン、プリン、ベンゾフラン、デアザプリンまたはインドリジンが挙げられる。
【0082】
多環式芳香族環の場合、環の1つのみが芳香族であることを必要とするが(例えば、2,3-ジヒドロインドール)、環の全てが芳香族であってもよい(例えば、キノリン)。第2の環も縮合または架橋され得る。
【0083】
明細書で使用する場合、「炭素環」または「炭素環式環」は、そのいずれかが飽和、不飽和または芳香族であり得る特定の数の炭素を有する任意の安定な単環式、二環式または三環式の環を含むことを意図する。例えば、C3-C14炭素環は3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13もしくは14個の炭素原子を有する単環式、二環式または三環式の環を含むことを意図する。炭素環の例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチルおよびテトラヒドロナフチルが挙げられる。例えば、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカンおよび[2.2.2]ビシクロオクタンを含む架橋された環も炭素環の定義に含まれる。架橋された環は、1つ以上の炭素原子が2つの隣接しない炭素原子と結合する場合に生じる。一態様において、架橋環は、1つまたは2つの炭素原子である。環が架橋される場合、環について記載された置換基は、架橋上にも存在し得る。縮合された環(例えば、ナフチル、テトラヒドロナフチル)およびスピロ環も含まれる。
【0084】
明細書で使用する場合、「複素環」としては、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えば、N、OまたはS)を含む任意の環構造(飽和または部分不飽和)が挙げられる。複素環の例として限定されないが、モルホリン、ピロリジン、テトラヒドロチオフェン、ピペリジン、ピペラジンおよびテトラヒドロフランが挙げられる。
【0085】
複素環式環基の例としては、限定されないが、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドルニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾル5(4H)-オン、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリルおよびキサンテニルが挙げられる。
【0086】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有用な純度まで単離が存続し、有効な治療剤を形成するのに十分に強度のある化合物を示すことを意図する。
【0087】
用語「薬学的に許容され得る塩」は、本発明の方法によって形成される該化合物の塩であって、正常な医学的判断の範囲内において、過度な毒性、刺激、アレルギー性応答などがなくヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適しており、ほどよい利益/リスク比と釣り合った塩をいう。さらに、「薬学的に許容され得る塩」とは、開示された化合物の誘導体をいい、ここで親化合物は既存の酸部分又は塩基部分を塩の形に変換することによって修飾される。薬学的に許容され得る塩の例としては、限定されないが、例えばアミン等の塩基性残基の無機酸又は有機酸の塩;例えばカルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩等が挙げられる。本発明の薬学的に許容され得る塩としては、親化合物が例えば非毒性の無機酸又は有機酸から形成される従来の非毒性の塩が挙げられる。本発明の薬学的に許容され得る塩は、従来の化学的方法によって、塩基部分又は酸部分を含む親化合物から合成され得る。一般的に、このような塩は、水中若しくは有機溶媒中又は二つの混合物中で、遊離の酸又は塩基の形態のこれらの化合物と、適切な塩基又は酸の化学量論量との反応によって調製され得、有機溶媒は、一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリル等の非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences,第17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p. 1418及びJournal of Pharmaceutical Science, 66, 2 (1977)に見いだされ、これらのそれぞれは参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0088】
明細書の開示の記載は、化学結合の法則および原理と一致するように解釈されるべきである。例えば、任意の所定の位置の置換基を収容するために、水素原子を除去する必要があり得る。さらに、変形の定義(すなわち、「R基」)、ならびに発明の一般式(例えば、式(I))の結合の位置は、当該技術分野で公知の化学結合の法則と矛盾しないことが理解されるであろう。上述の発明の化合物の全てはさらに、それぞれの原子価を満足するために必要な場合、隣接する原子の間の結合および/または水素を含むことも理解される。すなわち、結合および/または水素原子は、以下の種類の原子のそれぞれに対して以下の総結合数:炭素:4結合、窒素:3結合、酸素:2結合、および硫黄:2〜6結合を提供するように追加される。
【0089】
明細書で使用する場合、「必要とする被験体」は、神経学的疾患を有する被験体である。一態様において、必要とする被験体は多発性硬化症を有する。「被験体」は哺乳動物を含む。哺乳動物は、任意の哺乳動物、例えばヒト、霊長類、鳥類、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタであり得る。一態様において、哺乳動物はヒトである。
【0090】
本発明は、明細書に記載される式のそれぞれの化合物の合成のための方法を提供する。本発明はまた、以下のスキームに従った、および実施例に示されるような、本発明の開示される種々の化合物の合成のための詳細な方法を提供する。
【0091】
発明の合成方法は、広範囲の官能基を許容し得るので、種々の置換された開始材料を使用し得る。該方法は一般的に、方法全体の終わりまたはその周辺で所望の最終化合物を提供するが、特定の例において、化合物を、その薬学的に許容され得る塩、多形体、水和物、溶媒和物または共結晶にさらに変換することが望ましくあり得る。
【0092】
本発明の化合物は、市販の開始材料を使用して、文献において公知の化合物または容易に調製される中間体から、当業者に公知であるかまたは明細書の教示を参照した当業者に明らかであるかいずれかの標準的な合成方法および手順を使用して、種々の方法で調製し得る。有機分子の調製および官能基変換および取扱いのための標準的な合成方法ならびに操作は、関連のある科学文献または当該分野の標準的な教科書から入手し得る。いずれか1つまたはいくつかの供給源に限定されないが、Smith, M. B., March, J., March's Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms, and Structure, 第5版、John Wiley & Sons: New York, 2001、およびGreene, T. W., Wuts, P. G. M., Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版、John Wiley & Sons: New York, 1999などの明細書に参照により援用される古典的な教科書は、当業者に公知の有機合成の有用かつ理解される参照教科書である。合成方法の以下の記載は、限定されないが、本発明の化合物の調製のための一般的な手順を説明するために示される。
【0093】
本発明の化合物は、当業者に周知の種々の方法により都合よく調製され得る。明細書に記載される式のそれぞれを有するこの発明の化合物は、市販の開始材料または文献の手法を使用して調製され得る開始材料から、以下の手順に従って調製され得る。これらの手順は、この発明の例示的な化合物の調製を示す。
【実施例】
【0094】
実施例
一般手順1
ジメチルホルムアミド(MMF 1g当たり25ml)中フマル酸モノメチル(MMF)(1.0当量)およびHBTU(1.5当量)の混合物にHuenigs塩基(2.0当量)を添加した。暗褐色溶液を10分間撹拌して、茶色の懸濁液に変わった後、アルコール(1.0〜1.5当量)を添加した。反応を室温で18時間撹拌した。水を添加して生成物を3回、酢酸エチルに抽出した。合わせた有機層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過して真空下、45℃で濃縮し、粗生成物を得た。粗生成物を、シリカクロマトグラフィーで精製し、いくつかの場合は、ジエチルエーテルを用いた粉砕によりさらに精製し、所望のきれいなエステル生成物を得た。全てのアルコールは市販品であったかまたは公知の文献の手法に従って作製した。
【0095】
HBTU(N,N,N',N'-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート)の代替物として、以下の架橋剤:EDCI/HOBt(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロライド/ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物);COMU((1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート);TBTU(O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート);TATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート);Oxyma(エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート);PyBOP((ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート);HOTT(S-(1-オキシド-2-ピリジル)-N,N,N',N'-テトラメチルチオウロニウム(thiuronium)ヘキサフルオロホスフェート);FDPP(ペンタフルオロフェニルジフェニルホスフィネート);T3P(プロピル無水ホスホン酸);DMTMM(4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムテトラフルオロボレート);PyOxim([エチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセタート-O2]トリ-1-ピロリジニルホスホニウムヘキサフルオロホスフェート);TSTU(N,N,N',N'-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート);TDBTU(O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート);TPTU(O-(2-オキソ-1(2H)ピリジル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート);TOTU(O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート);IIDQ(イソブチル1,2-ジヒドロ-2-イソブトキシ-1-キノリンカルボキシレート);またはPyCIU(クロロジピロリジノカルベニウムヘキサフルオロホスフェート)のいずれか1つを使用し得る。
【0096】
Huenig塩基(ジイソプロピルエチルアミン)の代替物として、以下のアミン塩基:トリエチルアミン;トリブチルアミン;トリフェニルアミン;ピリジン;ルチジン(2,6-ジメチルピリジン);コリジン(2,4,6-トリメチルピリジン);イミダゾール;DMAP(4-(ジメチルアミノ)ピリジン);DABCO(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン);DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン);DBN(1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン);またはプロトンスポンジ(登録商標)(N,N,N',N'-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン)のいずれか1つを使用し得る。
【0097】
一般手順2
フマル酸モノメチル(MMF)(1.3当量)、アルキルメシレート(1当量)および炭酸カリウム(1.5当量)のアセトニトリル(MMF 1g当たり50ml)中の混合物を還流で一晩加熱した。混合物を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム飽和水溶液の間で分離して、有機相を乾燥させた(MgSO4)。濾過および減圧下での溶媒の除去により粗生成物を得て、これをそれぞれの場合にシリカクロマトグラフィーで精製した。
【0098】
化学分析/手順
明細書に記載されるNMRスペクトルは、当該技術分野に公知の標準的な技術を使用して、Varian 400MHz NMR分光器により得た。
【0099】
実施例1
化合物1:メチル(2-(N-メチルメチルスルホンアミド)エチル)フマレート
【化4】
氷/メタノールで冷却された、ジクロロメタン(200mL)中の2-(メチルアミノ)エタノール(10.0g,133mmol)とトリエチルアミン(37.2mL,266.4mmol)との混合物に、塩化メタンスルホニル(20.64mL,266.4mmol)を滴下した。反応物(reaction)を室温で2時間撹拌し、次いで、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(300mL)とジクロロメタン(300mL)との間に分離させた。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。ろ過と減圧下での溶媒の除去により、2-(N-メチルメチルスルホンアミド)エチルメタンスルホネート(22.64g,収率74%)を得た。1H NMR(300 MHz,CDCl3); 4.37 (2H, t), 3.52 (2H, t), 3.07 (s, 3H), 2.97 (s, 3H), 2.87 (s, 3H)。
【0100】
【化5】
一般手順2に従って、2-(N-メチルメチルスルホンアミド)エチルメタンスルホネートからメチル(2-(N-メチルメチルスルホンアミド)エチル)フマレートを合成した(557 mg, 59 %)。1H NMR (300 MHz, CDCl3); 6.87 (2H, d), 4.37 (2H, t), 3.80 (3H, s), 3.48 (2H, t), 2.95 (3H, s), 2.83 (3H, s). m/z [M+H]+ = 266.13。
【0101】
化合物2:メチル(2-(メチルスルホンアミド)エチル)フマレート
【化6】
一般手順1に従って、N-(2-ヒドロキシエチル)メタンスルホンアミドからメチル(2-(メチルスルホンアミド)エチル)フマレートを合成した(319 mg, 39 %)。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 6.88 (2H, d), 4.69 (1H, br t), 4.34 (2H, t), 3.82 (3H, s), 3.47 (2H, q), 2.99 (3H, s). m/z [M+H]+= 258.11。
【0102】
化合物6:2-(1,1-ジオキシドイソチアゾリン-2-イル)エチルメチルフマレート
【化7】
氷/メタノールで冷却された、ジクロロメタン(200 mL)中の2,2'-アザンジイルジエタノール(4.0g, 38 mmol)とトリエチルアミン(18.5 mL, 122 mmol)との混合物に、塩化メタンスルホニル(9.4 mL, 133 mmol)を滴下した。反応物を室温で2時間撹拌し、次いで、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(300 mL)とジクロロメタン(300 mL)との間に分離させた。有機相をブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO4)。ろ過と減圧下での溶媒の除去により、粗生成物を得た。このものをジエチルエーテルと共に粉砕して、((メチルスルホニル)アザンジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジメタンスルホネート(7.1 g, 収率55%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3); 4.40 (4H, t), 3.65 (4H, t), 3.08 (s, 6H), 2.98 (3H, s)。
【0103】
【化8】
5℃のテトラヒドロフラン(100 mL)中の((メチルスルホニル)アザンジイル)ビス(エタン-2,1-ジイル)ジメタンスルホネート(7.1 g, 20.9 mmol)の懸濁液に、n-BuLi(ヘキサン中で1.6N)(16 mL, 25.6 mmol)を添加した。2時間後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100 mL)と酢酸エチル(300 mL)との間に反応物を分離させた。有機相を乾燥させた(MgSO4)。ろ過と減圧下での溶媒の除去により未精製物質を得、これをシリカクロマトグラフィー(ヘプタン中80%の酢酸エチル)で精製して、2-(1,1-ジオキシドイソチアゾリン-2-イル)エチルメタンスルホネート(1.90 g,収率 37%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3); 4.38 (2H, t), 3.43-3.37 (4H, m), 3.16 (2H, t), 3.07 (3H, s), 2.39 (2H, quin)。
【0104】
【化9】
一般手順2に従って、2-(1,1-ジオキシドイソチアゾリジン-2-イル)エチルメタンスルホネートから2-(1,1-ジオキシドイソチアゾリジン-2-イル)エチルメチルフマレートを合成した(367 mg, 31 %)。1H NMR (300 MHz, CDCl3); 6.88 (2H, d), 4.38 (2H, t), 3.80 (3H, s), 3.36 (4H, t), 3.14 (2H, t), 2.37 (2H, quin). m/z [M+H]+ = 278.16。
【0105】
実施例2
MMFプロドラッグの化学的安定性
アセトニトリルまたはアセトニトリル/MeOH中の化合物のストック溶液を0.05Mで調製した。0.010mLアリコートのストックを、1mLの50mMリン酸バッファpH8にスパイクし、37℃でインキュベートした。典型的に、異なる時点でアリコート(0.010mL)をサンプリングし、すぐにUV検出(211nm)を伴うHPLCに注入した。化合物に対応するピーク面積を時間に対してプロットし、一次単一指数関数(mono-exponential)的減衰にデータを適合させ、傾斜から速度定数および半減期を決定した(表2)。
【0106】
【表2】
【0107】
実施例3
I. 化合物1についての単結晶X線データ(図1):
0.44x0.20x0.12mmの大きさの無色の針状結晶を、極少量のパラトンオイル(paratone oil)を用いてナイロンループ上に設置した。
【0108】
173Kで操作するOxford Cryostream低温装置を供えたBruker CCD(電荷結合素子)系の回折計を用いてデータを集めた。フレームあたり0.5°のオメガスキャン及びファイスキャンを用いて、20秒間データを測定した。画像の総数はプログラムCOSMOからの結果に基づくものであり、ここで多重度(redundancy)は4.0であることが予想され、完全性は0.83Åまで100%である(completeness to 100% out to 0.83 Å)と予想された。APEX IIソフトウェアを用いてセルのパラメータを引出し、SAINTを用いて、観察された全ての反射に対して精密化した(refined)。Lpを補正するSAINTソフトウェアを用いてデータ整理を行った。George Sheldrickから提供されるSADABS多重スキャン技術を用いてスケーリング補正及び吸収補正(scaling and absorption corrections)を適用した。SHELXS-97プログラムを用いた直接法によって構造が解決され(solved)、最小二乗法によってF2に対して精密化され、SHELXL-97はSHELXTL-PC V 6.10に組み込まれている。
【0109】
空間群P-1(#2)における構造が解決された。全ての非水素原子は異方的に精密化される(refined anisotropically)。幾何学的方法によって水素を計算し、ライディングモデル(riding model)として精密化された。回折試験のために用いられた結晶は、データ収集の間、分解を示さなかった。全ての描写は50%の楕円においてなされる。
【0110】
実施例1に記載された方法によって製造された化合物1を解析した。図1は単位セルを表す。単結晶X線データは以下に含まれる。
【0111】
単結晶データ:
実験式:C9 H15 N O6 S
式重量:265.28
温度:173(2)K
波長:1.54178Å
空間群:P-1
単位セル寸法:a=5.41860(10)Å α=103.3520(10)°。
:b=7.49550(10)Å β=90.2790(10)°。
:c=15.4618(3)Å γ=100.1950(10)°。
容積:600.674(18)Å3
Z:2
密度(計算):1.467mg/m3
吸収係数:2.592mm-1
F(000):280
結晶サイズ:0.44x0.20x0.12mm3
集められた反射(Reflections collected):9112
独立反射(Independent reflections):2283[R(int)=0.0214]
精密化方法(Refinement method):F2に対する完全マトリクス最小二乗法(Full-matrix least-squares on F2)
F2に対する適合度:1.077
最終R指数[I>2シグマ(I)]R1=0.0306、wR2=0.0808
R指数(全データ):R1=0.0312、wR2=0.0812
【0112】
II. 化合物2についての単結晶X線データ(図2):
0.51x0.17x0.06mmの大きさの無色の板状結晶を、極少量のパラトンオイルを用いてナイロンループ上に設置した。
【0113】
173Kで操作するOxford Cryostream低温装置を供えたBruker CCD(電荷結合素子)系の回折計を用いてデータを集めた。フレームあたり0.5°のオメガスキャン及びファイスキャンを用いて、20秒間データを測定した。画像の総数はプログラムCOSMOからの結果に基づくものであり、ここで多重度は4.0であることが予想され、完全性は0.83Åまで100%であると予想された。APEX IIソフトウェアを用いてセルのパラメータを引出し、SAINTを用いて、観察された全ての反射に対して精密化した。Lpを補正するSAINTソフトウェアを用いてデータ整理を行った。George Sheldrickから提供されるSADABS多重スキャン技術を用いてスケーリング補正及び吸収補正を適用した。SHELXS-97プログラムを用いた直接法によって構造が解決され、最小二乗法によってF2に対して精密化され、SHELXL-97はSHELXTL-PC V 6.10に組み込まれている。
【0114】
空間群P21/c(#14)における構造が解決された。全ての非水素原子は異方的に精密化される。幾何学的方法によって水素を計算し、ライディングモデルとして精密化された。回折試験のために用いられた結晶は、データ収集の間、分解を示さなかった。全ての描写は50%の楕円においてなされる。
【0115】
実施例1に記載された方法によって製造された化合物2を解析した。図2は単位セルを表す。単結晶X線データは以下に含まれる。
【0116】
単結晶データ:
実験式:C8 H12 N O6 S
式重量:250.25
温度:173(2)K
波長:0.71073Å
空間群:P 21/c
単位セル寸法:a =11.9021(16)Å α=90°。
b=5.4515(7)Å β=95.554(2)°。
c=17.404(2)Å γ=90°。
容積:1123.9(3)Å3
Z:4
密度(計算):1.479mg/m3
吸収係数:0.301mm-1
F(000):524
結晶サイズ:0.51x0.17x0.06mm3
集められた反射:8775
独立反射:2063[R(int)=0.0368]
精密化方法:F2に対する完全マトリクス最小二乗法
F2に対する適合度:1.053
最終R指数[I>2シグマ(I)]R1=0.0356、wR2=0.0959
R指数(全データ):R1=0.0419、wR2=0.1015
【0117】
III. 化合物6についての単結晶X線データ(図3):
0.29x0.18x0.08mmの大きさの無色の板状結晶を、極少量のパラトンオイルを用いてナイロンループ上に設置した。
【0118】
173Kで操作するOxford Cryostream低温装置を供えたBruker CCD(電荷結合素子)系の回折計を用いてデータを集めた。フレームあたり0.5°のオメガスキャン及びファイスキャンを用いて、20秒間データを測定した。画像の総数はプログラムCOSMOからの結果に基づくものであり、ここで多重度は4.0であることが予想され、完全性は0.83Åまで100%であると予想された。APEX IIソフトウェアを用いてセルのパラメータを引出し、SAINTを用いて、観察された全ての反射に対して精密化した。Lpを補正するSAINTソフトウェアを用いてデータ整理を行った。George Sheldrickから提供されるSADABS多重スキャン技術を用いてスケーリング補正及び吸収補正を適用した。SHELXS-97プログラムを用いた直接法によって構造を解決し、最小二乗法によってF2に対して精密化され、SHELXL-97はSHELXTL-PC V 6.10に組み込まれている。
【0119】
空間群P-1 (#2)における構造が解決された。全ての非水素原子は異方的に精密化される。幾何学的方法によって水素を計算し、ライディングモデルとして精密化された。回折試験のために用いられた結晶は、データ収集の間、分解を示さなかった。全ての描写は50%の楕円においてなされる。
【0120】
実施例1に記載された方法によって製造された化合物6を解析した。図3は単位セルを表す。単結晶X線データは以下に含まれる。
【0121】
単結晶データ:
実験式:C10 H15 N O6 S
式重量:277.29
温度:173(2)K
波長:0.71073Å
空間群:P-1
単位セル寸法:a=6.0125(10)Å α=102.435(2)°。
b=9.1418(15)Å β=99.174(2)°。
c=12.006(2)Å γ=105.445(2)°。
容積:604.45(17)Å3
Z:2
密度(計算):1.524mg/m3
吸収係数:0.288mm-1
F(000):292
結晶サイズ:0.29x0.19x0.08mm3
集められた反射:9989
独立反射:2216[R(int)=0.0389]
精密化方法:F2に対する完全マトリクス最小二乗法
F2に対する適合度:1.087
最終R指数[I>2シグマ(I)]R1=0.0379、wR2=0.0983
R指数(全データ)R1=0.0485、wR2=0.1062
【0122】
実施例4
プロドラッグの経口投与時のラットにおけるMMFの送達
ラットを購入し、頸静脈内に前もってカニューレ挿入した。実験の時点で動物は意識があった。全ての動物を一晩絶食させ、4時間後に開示のプロドラッグを投与した。
【0123】
血液試料(0.25mL/試料)を、投与後24時間までの異なる時点で全ての動物から、フッ化ナトリウム/ナトリウムEDTAを含むチューブに回収した。試料を遠心分離して、血漿を得た。血漿試料を簡易チューブに移し、分析まで-70℃以下で保存した。
【0124】
分析標準を調製するために、20μLのラット血漿標準を60μLの内部標準でクエンチした。少なくとも1分間サンプルチューブをボルテックスにかけ、3000rpmで10分間遠心分離した。次いで、LC-MS-MSによる分析のために50μLの上清を100μLの水を含む96ウェルプレートに移した。
【0125】
HPLCおよび自動サンプラーを備えたAPI 4000を使用してLC-MS/MS分析を行った。以下のHPLCカラム条件を使用した:HPLCカラム:Waters Atlantis T3、流速0.5mL/分、試行時間5分、移動相A:水中0.1%蟻酸、移動相B:アセトニトリル(ACN)中0.1%蟻酸、勾配:0.0分で98% A/2% B、1分で98% A/2% B、3分で5% A/95% B、3.75分で5% A/95% B、4分で97% A/3% Bおよび5.0分で98% A/2% B。MMFは陽イオンモードでモニタリングした。
【0126】
MMF、DMFまたはMMFプロドラッグは2〜6匹の成体雄Sprague-Dawleyラット(約250g)の群に経口胃管栄養法により投与した。実験の時点で動物は意識があった。MMF、DMFまたはMMFプロドラッグは、0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、0.02%ポリソルベート80および20mMクエン酸バッファ(pH 5)の水溶液中、体重1kgあたり10mg当量MMFの用量で経口投与した。
【0127】
MMF、DMFまたはMMFプロドラッグの経口投与後のMMF濃度対時間の曲線下面積(AUC)と、MMFの静脈内投与後のMMF濃度対時間曲線のAUCとを用量標準化基準で比較することにより、MMFのパーセント絶対バイオアベイラビリティー(F%)を決定した。
【0128】
水性ビヒクル中10mg/kg MMF当量の用量でラットに経口投与した場合のMMFプロドラッグは、(IVに対して)約3%〜約96%の範囲の絶対経口バイオアベイラビリティーを示した(表3参照)。
【0129】
【表3】
【0130】
実施例5
結晶形態の本プロドラッグ及びDMFの物理的安定性
熱重量分析(TGA)により、本発明の化合物及びフマル酸ジメチル(DMF)の物理的安定性を測定した。図4は、化合物1(10.53 mg)について変化なし、及びDMF(4.97 mg)について2時間未満で約100%の重量消失の、55℃での重量消失対時間のプロットを示す。図5は、化合物2(9.20 mg)について変化なし、及びDMF(4.97mg)について2時間未満で約100%の重量消失の、55℃での重量消失対時間のプロットを示す。これらのデータは、化合物1及び2が同様の条件下で物理的に安定であるのに対して、DMFは昇華することを示す。
図1
図2
図3
図4
図5