特許第6337152号(P6337152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337152バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造に適する触媒およびその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337152
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造に適する触媒およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/48 20060101AFI20180528BHJP
   B01J 35/10 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 37/00 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 37/34 20060101ALI20180528BHJP
   C10G 45/64 20060101ALN20180528BHJP
【FI】
   B01J29/48 M
   B01J35/10 301A
   B01J37/00 D
   B01J37/02 101Z
   B01J37/08
   B01J37/34
   !C10G45/64
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-567239(P2016-567239)
(86)(22)【出願日】2015年2月6日
(65)【公表番号】特表2017-521232(P2017-521232A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】CN2015072403
(87)【国際公開番号】WO2015172592
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2017年1月11日
(31)【優先権主張番号】201410201892.1
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512244657
【氏名又は名称】武▲漢凱▼迪工程技▲術▼研究▲総▼院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】王弯弯
(72)【発明者】
【氏名】宋▲徳▼臣
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼莉
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−539277(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1184843(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102295955(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第100417713(CN,A)
【文献】 特開昭61−111142(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103059901(CN,A)
【文献】 特表2010−504188(JP,A)
【文献】 特開2010−155187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J21/00−38/74
C10G1/00−99/00
C01B33/20−39/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒であって、
20〜50wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、
5〜20wt%の結合剤としての酸化アルミニウムと、
20〜60wt%の脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトと、
0.5〜1.0wt%のセスバニア粉と、
0.5〜5wt%の酸化ニッケルと、
5〜15wt%の酸化モリブデンと
を含む触媒。
【請求項2】
前記触媒は、
30〜45wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、
8〜15wt%の結合剤としての酸化アルミニウムと、
25〜50wt%の脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトと、
0.6〜0.8wt%のセスバニア粉と、
2.5〜4.5wt%の酸化ニッケルと、
8〜12wt%の酸化モリブデンと
を含む請求項1のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒。
【請求項3】
前記触媒の比表面積は200〜300m2/g、細孔容積が0.4〜0.8mL/g、4〜10nmの微細孔の分布が合計孔容積の65〜85%を占め、NH3-TPD法を使用して測定される触媒の合計酸性度は0.4〜1.0mmol/gである、請求項1または2のいずれか一項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒。
【請求項4】
請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法であって、
1)カリウム型ZSM-22ゼオライトを原料としてNH4NO3溶液に加えてイオン交換を行い、得られたゼオライトを濾過、洗浄、乾燥させる工程と、
2)工程1を2〜3回繰り返し、焼成して水素型ZSM-22ゼオライトを生成する工程と、
3)蒸気を前記水素型ZSM-22ゼオライトに導入して熱水処理を行い、脱アルミニウム改質水素型ZSM-22ゼオライトを生成する工程と、
4)前記脱アルミニウム改質水素型ZSM-22ゼオライトを非晶質ケイ酸アルミニウムと混合し、酸化アルミニウムを結合剤として加え、調節のために希釈硝酸溶液を加え、セスバニア粉を抽出助剤として加え、混合し、練り、圧縮させることにより塊を形成し、前記塊を押し出すことにより細片を形成する工程と、
5)前記細片を乾燥、焼成することにより触媒キャリアを生成する工程と、
6)可溶性モリブデン塩及び可溶性ニッケル塩を混合して水溶液を調製し、前記水溶液を超音波により分散させて、活性浸漬溶液を得る工程と、
7)前記触媒キャリアを前記活性浸漬溶液に浸漬させて、活性成分をキャリアに担持させ、熟成、乾燥、焼成させて触媒生成物を得る工程と
を含む方法。
【請求項5】
工程1において、前記カリウム型ZSM-22ゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比が20〜160である、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項6】
工程1において、前記カリウム型ZSM-22ゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比が30〜100である、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項7】
工程1において、前記NH4NO3溶液の濃度は1.0〜2.0mol/Lであり、前記カリウム型ZSM-22ゼオライトはイオン交換のためにNH4NO3溶液に加えられ、前記イオン交換は、60〜110℃の水槽で1〜4時間行われる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項8】
工程1において、前記NH4NO3溶液の濃度は1.0〜1.5mol/Lであり、前記カリウム型ZSM-22ゼオライトはイオン交換のためにNH4NO3溶液に加えられ、前記イオン交換は、80〜100℃の水槽で2〜4時間行われる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項9】
工程3において、前記蒸気による水素型ZSM-22ゼオライトの熱水処理は、温度300〜900℃、圧力0.1〜2.0MPaで、2〜4時間行われる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項10】
工程3において、前記蒸気による水素型ZSM-22ゼオライトの熱水処理は、温度500〜800℃、圧力0.1〜0.5MPaで、2〜3.5時間行われる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項11】
工程4において、前記非晶質ケイ酸アルミニウムは250〜400m2/gの比表面積を有し、SiO2は非晶質ケイ酸アルミニウムの総重量の20〜50wt%を占める、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項12】
工程4において、前記非晶質ケイ酸アルミニウムは250〜300m2/gの比表面積を有し、SiO2は非晶質ケイ酸アルミニウムの総重量の30〜50wt%を占める、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項13】
工程4において、前記希釈硝酸溶液の濃度は、3〜8wt%である、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項14】
工程5において、前記細片は80〜120℃で6〜24時間乾燥させられる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項15】
工程5において、前記細片は100〜120℃で6〜12時間乾燥させられる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項16】
工程5において、前記細片は500〜600℃で4〜8時間焼成させられる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項17】
工程5において、前記触媒キャリアは円柱形、三つ葉形、又は四つ葉形を採用する、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項18】
工程6において、前記可溶性モリブデン塩は、モリブデン酸アンモニウム又はモリブデン酸ナトリウムであり、前記可溶性ニッケル塩は硝酸ニッケルである、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項19】
工程6において、超音波処理の時間は0.5〜1.5時間である、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項20】
工程7において、熟成処理は室温で12〜24時間行われ、前記乾燥は100〜120℃で10〜14時間行われ、前記焼成は500〜600℃で4〜8時間行われる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【請求項21】
工程7において、熟成処理は室温で16〜20時間行われ、前記乾燥は110〜120℃で10〜12時間行われ、前記焼成は550〜600℃で4〜6時間行われる、請求項のバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機用ケロシン製造用水素化異性化触媒に関し、特に、バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られる合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒、及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、中国における原油の合計輸入量は連続して増加しており、また、石油の消費量も増加していることから、エネルギ不足は益々深刻になっている。航空機産業の発展に伴い、航空機用ケロシンの需要は増加している。データによれば、中国での航空機用ケロシンの消費量は、約13%の割合で成長している。現在、石炭、天然ガス、バイオマスを原料として使用するフィッシャートロプシュ合成および価値付加工程を利用して、高品質で超クリーンな液体燃料、例えばガソリン、ディーゼル、航空機用ケロシン、及びその他の付加価値の高い化学物質を調製することが注目されている。特に、豊富な資源、広範な供給源、環境保護、再生を特徴とするバイオマス原料は、液体燃料に変換され得るとともに、有害物質や温室効果ガスの放出を減らし、炭素源の利用を改善する。加えて、得られる液体燃料は、硫黄、窒素、アレーンを含まないことから、クリーン燃料や環境規制の要件を満たすとともに、クリーン燃料の低炭素政策に合致し、従って、バイオマス原料は多くの注目を集めている。
【0003】
フィッシャートロプシュ油は90wt%を超えるn-アルカンを含むことから、凝固点が高く、低温での流動性が乏しく、また、航空機用ケロシンとして直接使用することができない。それ故、航空機用ケロシンを製造するためにバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油を使用するための重要な点としては、水素化異性化によりn-アルカンをイソパラフィンに変換することであり、一方、この問題を解決するためのカギは、長鎖アルカンの水素化異性化用触媒についての研究である。
【0004】
水素化異性化用触媒は、酸性キャリアに水素化−脱水素化金属を担持させることにより形成される二つの機能を持つ触媒である。活性金属はPtやPd等の貴金属と、Ni、Co、Mo、W等の非貴金属を含む一方、酸性キャリアは一般的に、USY、MOR、SAPOシリーズやβ分子ふるいを採用する。キャリアとしての分子ふるいは強酸性であり、分解反応を加速させて、異性化の選択性を低下させてしまう。それ故、水素化異性化用触媒を調製するために、弱酸性を備えるとともに適切な細孔組織を備えたキャリアを探すことが非常に重要である。
【0005】
特許文献1は、長鎖n-アルカンの形状選択性異性化用触媒と、その調製方法と、その利用方法を開示している。触媒はEUO型分子ふるいを採用し、分子ふるいを無機耐火性酸化物と混合してキャリアを形成し、キャリアにPtやPd等の貴金属を含侵により担持させている。この発明の特徴としては、EUO型分子ふるいがランタンやセリウム等のレアアース元素により、より弱酸性の中心を形成するように改質されている。触媒には、潤滑油留分の水素化法が利用され、目標生成物は生成率が高く、流動点が低く、粘性が良好であることを特徴とする。しかし、この触媒は潤滑油留分、ホワイトオイル、パラフィンワックスの水素化工程でのみ利用される。
【0006】
特許文献2は、動植物油脂を使用するディーゼル成分又はジェット燃料の調製方法を開示している。この方法では、2段階反応器を採用している。8〜24個の炭素原子を含むn-アルカンが第1段階で得られ、第2段階では、ジェット燃料が水素化から生成される。採用される触媒は2つの機能を備えた触媒であり、SAPO-11、SAPO-31、SAPO-41、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-48等の分子ふるいをキャリアとして、Pt、Pd、Rh、Ru、Ag等の貴金属を金属成分として採用している。触媒は異性化の選択性が約80%と相対的に高いが、ジェット燃料の生成率が約45%でしかない。
【0007】
特許文献3は、バイオマス燃料を含む混合ジェット燃料と、その調製方法を開示している。混合ジェット燃料は、原料としてピネンを、触媒としてNi/SiO2、Pd/Al2O3、Pd/Cを採用して、バイオマス燃料を合成しており、このバイオマス燃料は変換率が高く、凝固点が極めて低い。しかし、バイオマス燃料は、密度が高いことから、ジェット燃料として単独で使用することはできず、そのため、ジェット燃料の国内基準を満たすために、既存のジェット燃料と混合させる必要がある。
【0008】
上記の課題を解決するために、研究者達は、航空機用ケロシンを製造するための触媒として、Pt/ZSM-22又はPt/SAPO-11の使用を試みてきたが、調製される航空機用ケロシンは、細孔が小さく、キャリアが強酸性であることから、その選択性が未だ低い。フィッシャートロプシュ法により得られた合成油におけるn-アルカンの含有率が90wt%を超え、従来の石油よりもずっと高くなると、触媒の酸性度が高すぎることにより、分解反応が激し過ぎて、より多くの小分子が生成される。それ故、航空機用ケロシンの選択性並びに生成物の異性化度が低減する。
【0009】
要するに、生成率が高い航空機用ケロシンを得るために、研究者達は高活性で高選択性の水素化異性化用触媒を求め、バイオマスによるフィッシャートロプシュ法により得られた合成油の水素化異性化を実現し、航空機用ケロシンの異性化度を改善し、航空機用ケロシンの凝固点を低下させることにより、航空機用ケロシンがジェット燃料の国内基準を満たすとともに、既存の化石燃料を代替することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】中国特許公開第101722031号公報
【特許文献2】中国特許公開第103059901号公報
【特許文献3】中国特許公開第103013589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、活性が高く、選択性が高いバイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油から航空機用ケロシンを製造するための触媒を提供することにある。本発明の別の目的は、生成率が高い触媒の調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係り、バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒を提供する。この触媒は、20〜50wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、5〜20wt%の結合剤としての酸化アルミニウムと、20〜60wt%の脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトと、0.5〜1.0wt%のセスバニア粉と、0.5〜5wt%の酸化ニッケルと、5〜15wt%の酸化モリブデンを含む。
【0013】
本発明の一態様において、触媒は、30〜45wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、8〜15wt%の結合剤としての酸化アルミニウムと、25〜50wt%の脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトと、0.6〜0.8wt%のセスバニア粉と、2.5〜4.5wt%の酸化ニッケルと、8〜12wt%の酸化モリブデンを含む。
【0016】
本発明の一態様において、触媒の比表面積は200〜300m2/g、細孔容積が0.4〜0.8mL/g、4〜10nmの微細孔分布は合計孔容積の65〜85%を占める。NH3-TPD法を使用して測定される触媒の合計酸性度は0.4〜1.0mmol/gである。
【0017】
本発明の別の実施形態に係り、バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油からの航空機用ケロシン製造用触媒の調製方法が提供される。本方法は、以下の工程を含む。
【0018】
1)カリウム型ZSM-22ゼオライトを原料としてNH4NO3溶液に加えてイオン交換を
行い、濾過、洗浄、乾燥させる工程。
【0019】
2)工程1を2〜3回繰り返し、焼成して水素型ZSM-22ゼオライトを生成する工程。
【0020】
3)蒸気を水素型ZSM-22ゼオライトに導入して熱水処理を行い、脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトを生成する工程。
【0021】
4)脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトを非晶質ケイ酸アルミニウムと混合し、酸化アルミニウムを結合剤として加え、調節のために希釈硝酸溶液を加え、セスバニア粉を抽出助剤として加え、混合し、練り、圧縮させることにより塊を形成し、塊を押し出すことにより細片を形成する工程。
【0022】
5)細片を乾燥、焼成することにより触媒キャリアを生成する工程。
【0023】
6)可溶性モリブデン塩及び可溶性ニッケル塩を混合して水溶液を調製し、水溶液を超音波により分散させて、活性浸漬溶液を得る工程。
【0024】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて、活性成分をキャリアに担持させ、熟成、乾燥、焼成させて触媒生成物を得る工程。
【0025】
本発明の一態様において、工程1では、カリウム型ZSM-22ゼオライトは、SiO2/Al2O3のモル比が20〜160である。好適には、工程1では、カリウム型ZSM-22ゼオライトのSiO2/Al2O3のモル比は30〜100である。
【0026】
本発明の一態様において、工程1では、NH4NO3溶液の濃度は1.0〜2.0mol/Lであり、カリウム型ZSM-22ゼオライトはイオン交換のためにNH4NO3溶液に加えられ、イオン交換は、60〜110℃の水槽で1〜4時間行われる。好適には、工程1では、NH4NO3溶液の濃度は1.0〜1.5mol/Lであり、カリウム型ZSM-22ゼオライトはイオン交換のためにNH4NO3溶液に加えられ、イオン交換は、80〜100℃の水槽で2〜4時間行われる。
【0027】
本発明の一態様において、工程3では、蒸気による水素型ZSM-22ゼオライトの熱水処理は、温度300〜900℃、圧力0.1〜2.0MPaで、2〜4時間行われる。好適には、工程3では、蒸気による水素型ZSM-22ゼオライトの熱水処理は、温度500〜800℃、圧力0.1〜0.5MPaで、2〜3.5時間行われる。
【0028】
本発明の一態様において、工程4では、非晶質ケイ酸アルミニウムは250〜400m2/gの比表面積を有し、SiO2は非晶質ケイ酸アルミニウムの総重量の20〜50wt%を占める。好適には、工程4では、非晶質ケイ酸アルミニウムは250〜300m2/gの比表面積を有し、SiO2は非晶質ケイ酸アルミニウムの総重量の30〜50wt%を占める。
【0029】
本発明の一態様において、工程4では、希釈硝酸溶液の質量パーセント濃度は、3〜8wt%である。
【0030】
本発明の一態様において、工程5では、細片は80〜120℃で6〜24時間乾燥させられる。好適には、工程5では、細片は100〜120℃で6〜12時間乾燥させられる。
【0031】
本発明の一態様において、工程5では、細片は500〜600℃で4〜8時間焼成させられる。
【0032】
本発明の一態様において、工程5では、触媒キャリアは円柱形、三つ葉形、又は四つ葉形を採用する。好適には、三つ葉形又は四つ葉形とすると、反応液中の拡散が良好になる。
【0033】
本発明の一態様において、工程6では、可溶性モリブデン塩は、モリブデン酸アンモニウム又はモリブデン酸ナトリウムであり、可溶性ニッケル塩は硝酸ニッケルである。
【0034】
本発明の一態様において、工程6では、超音波処理の時間は0.5〜1.5時間である。
【0035】
本発明の一態様において、工程7では、熟成処理は室温で12〜24時間行われ、乾燥は100〜120℃で10〜14時間行われ、焼成は500〜600℃で4〜8時間行われる。好適には、工程7では、熟成処理は室温で16〜20時間行われ、乾燥は110〜120℃で10〜12時間行われ、焼成は550〜600℃で4〜6時間行われる。
【0036】
ZSM-22ゼオライトは、大きさが0.45mm×0.55mmの円柱状一次元Oリング細孔を有し、交差細孔は存在しないので、小分子アルカンの異性化にのみ適する。長鎖アルカンの異性化に使用するときには、その孔径を更に拡大させるようにゼオライトを改質する必要がある。
【0037】
本発明の触媒および方法は、フィッシャートロプシュ法により得られた合成油の長鎖n-アルカンの特性に基づく。カリウム型ZSM-22ゼオライトが原料として採用され、イオン交換により水素型ZSM-22ゼオライトが得られる。水素型ZSM-22ゼオライトは熱水処理により脱アルミニウム化されて、酸性度が低下させられ、非晶質ケイ酸アルミニウムは弱酸性であり、一定の比率に従い、脱アルミニウム水素型ZSM-22ゼオライトと混合されてキャリアが形成されることにより、キャリアは適当な弱酸性と細孔組織を有する。その後、活性成分のNiとMoがキャリアに担持されて、細孔分散が4〜10nmの触媒が調製されるので、長鎖アルカンの異性化に都合がよい。
【0038】
本発明の効果は、次のとおりである。調製された触媒は、活性が高く、選択性が高い。バイオマスフィッシャートロプシュ法により得られた合成油に、水素化異性化が行われることにより、選択性が高い航空機用ケロシンが生成され、その間、長鎖アルカンの異性化度は増加し、航空機用ケロシンの留分の凝固点は低下し、航空機用ケロシンの選択性は改善する。一方、触媒は活性が高く、従って、航空機用ケロシンの生成率が改善する。本発明の触媒を使用して調製される航空機用ケロシンは、ジェット燃料の国内基準を満たすことから、既存の化石燃料から置き換えられるのに適している。
【0039】
本発明を更に詳細に例証するために、本発明の実施例を以下に説明する。当然のことながら、以下の実施例は本発明の説明を目的としており、限定を意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の実施例において、原料としてバイオマスにより調製されるフィッシャートロプシュ法により得られた合成油の特性は、表1に示すとおりである。
【0041】
【表1】
【実施例1】
【0042】
1)SiO2/Al2O3のモル比が40であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が1.5mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22とNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を2時間、水槽温度100℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0043】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0044】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、500℃、0.2MPaで4時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0045】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、125.0gの非晶質ケイ酸アルミニウム、37.5gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。2.0gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、三つ葉形状の細片を形成した。
【0046】
5)三つ葉形状の細片をオーブンに置き、120℃で6時間乾燥させ、500℃で8時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0047】
6)42.0gのモリブデン酸ナトリウムと40.8gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0048】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で24時間熟成させ、100℃のオーブンで14時間乾燥させ、500℃で8時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Aを生成した。
【0049】
触媒Aは、20.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、50.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、15.0wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、4.2wt%の酸化ニッケルと、10.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0050】
触媒Aの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Aの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例2】
【0051】
1)SiO2/Al2O3のモル比が50であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が1.0mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を4時間、水槽温度80℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0052】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0053】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、650℃、0.1MPaで3時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0054】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、20.0gの非晶質ケイ酸アルミニウム、19.2gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。0.8gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、三つ葉形状の細片を形成した。
【0055】
5)三つ葉形状の細片をオーブンに置き、100℃で12時間乾燥させ、550℃で6時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0056】
6)6.8gのモリブデン酸アンモニウムと19.5gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0057】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で18時間熟成させ、120℃のオーブンで10時間乾燥させ、550℃で6時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Bを生成した。
【0058】
触媒Bは、50.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、20.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、19.2wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、5.0wt%の酸化ニッケルと、5.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0059】
触媒Bの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Bの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例3】
【0060】
1)SiO2/Al2O3のモル比が60であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が2.0mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を3時間、水槽温度90℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0061】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0062】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、800℃、0.5MPaで2時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0063】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、16.7gの非晶質ケイ酸アルミニウム、7.7gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。0.7gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、三つ葉形状の細片を形成した。
【0064】
5)三つ葉形状の細片をオーブンに置き、110℃で10時間乾燥させ、600℃で4時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0065】
6)5.7gのモリブデン酸アンモニウムと16.2gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0066】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で12時間熟成させ、110℃のオーブンで12時間乾燥させ、600℃で4時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Cを生成した。
【0067】
触媒Cは、60.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、20.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、9.2wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、5.0wt%の酸化ニッケルと、5.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0068】
触媒Cの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Cの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例4】
【0069】
1)SiO2/Al2O3のモル比が80であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が1.0mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を4時間、水槽温度80℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0070】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0071】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、650℃、0.1MPaで3時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0072】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、42.8gの非晶質ケイ酸アルミニウム、28.6gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。1.2gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、三つ葉形状の細片を形成した。
【0073】
5)三つ葉形状の細片をオーブンに置き、120℃で6時間乾燥させ、600℃で4時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0074】
6)23.7gのモリブデン酸アンモニウムと11.1gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0075】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で24時間熟成させ、110℃のオーブンで12時間乾燥させ、600℃で4時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Dを生成した。
【0076】
触媒Dは、35.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、30.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、20wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、2.0wt%の酸化ニッケルと、12.2wt%の酸化モリブデンを含む。
【0077】
触媒Dの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Dの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例5】
【0078】
1)SiO2/Al2O3のモル比が90であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が1.0mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を4時間、水槽温度80℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0079】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0080】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、650℃、0.1MPaで3時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0081】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、100gの非晶質ケイ酸アルミニウム、60.5gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。2.0gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、円柱形状の細片を形成した。
【0082】
5)円柱形状の細片をオーブンに置き、110℃で10時間乾燥させ、500℃で8時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0083】
6)34.0gのモリブデン酸アンモニウムと7.8gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0084】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で12時間熟成させ、100℃のオーブンで14時間乾燥させ、500℃で8時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Eを生成した。
【0085】
触媒Eは、20.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、40.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、24.2wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、5.0wt%の酸化ニッケルと、10.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0086】
触媒Eの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Eの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例6】
【0087】
1)SiO2/Al2O3のモル比が100であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が2.0mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を3時間、水槽温度90℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0088】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0089】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、800℃、0.5MPaで2時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0090】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、100.0gの非晶質ケイ酸アルミニウム、48.0gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。2.0gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、四つ葉形状の細片を形成した。
【0091】
5)四つ葉形状の細片をオーブンに置き、120℃で6時間乾燥させ、500℃で6時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0092】
6)51.1gのモリブデン酸アンモニウムと7.8gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0093】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で20時間熟成させ、120℃のオーブンで10時間乾燥させ、550℃で6時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Fを生成した。
【0094】
触媒Fは、20.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、40.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、19.2wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、5.0wt%の酸化ニッケルと、15.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0095】
触媒Fの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Fの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例7】
【0096】
1)SiO2/Al2O3のモル比が30であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が2.0mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を3時間、水槽温度90℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0097】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0098】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、800℃、0.5MPaで2時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0099】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、41.3gの非晶質ケイ酸アルミニウム、18.8gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。1.0gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、四つ葉形状の細片を形成した。
【0100】
5)四つ葉形状の細片をオーブンに置き、100℃で10時間乾燥させ、500℃で8時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0101】
6)17.0gのモリブデン酸アンモニウムと5.8gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0102】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で24時間熟成させ、100℃のオーブンで14時間乾燥させ、500℃で8時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Gを生成した。
【0103】
触媒Gは、40.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、33.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、15wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、1.2wt%の酸化ニッケルと、10.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0104】
触媒Gの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Gの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【実施例8】
【0105】
1)SiO2/Al2O3のモル比が30であるK-ZSM-22ゼオライト200gを、濃度が1.5mol/LのNH4NO3溶液に、K-ZSM-22ゼオライトとNH4NO3溶液の重量比1:10に従い加え、イオン交換を行った。得られた混合物を2時間、水槽温度100℃の条件で攪拌した。次に、処理後の混合物を濾過し、洗浄し、120℃で4時間乾燥させた。
【0106】
2)工程1を3回繰り返し、その後に、550℃で6時間焼成して、H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0107】
3)H-ZSM-22ゼオライトを焼成炉に置いた。焼成炉に蒸気を導入し、500℃、0.2MPaで4時間、熱水処理を行い、脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライトを生成した。
【0108】
4)50.0gの脱アルミニウム改質H-ZSM-22ゼオライト、18.2gの非晶質ケイ酸アルミニウム、7.5gの結合剤としての酸化アルミニウムを、調節のために、質量パーセント濃度5.0%の希釈硝酸溶液に加えた。0.7gのセスバニア粉を抽出助剤として加えた。得られた混合物を均一に混合し、練り、圧縮して塊にし、次に塊を押し出して、三つ葉形状の細片を形成した。
【0109】
5)三つ葉形状の細片をオーブンに置き、100℃で12時間乾燥させ、600℃で4時間焼成させ、次に、室温で冷却して触媒キャリアを生成した。
【0110】
6)18.6gのモリブデン酸アンモニウムと4.3gの硝酸ニッケルを混合して水溶液を形成し、超音波分散を1時間行い、活性浸漬溶液を得た。
【0111】
7)触媒キャリアを活性浸漬溶液に浸漬させて活性成分をキャリアに担持させた。次に、活性成分担持キャリアを室温で12時間熟成させ、120℃のオーブンで10時間乾燥させ、600℃で4時間焼成し、室温で冷却させて、触媒Hを生成した。
【0112】
触媒Hは、55.0wt%の改質H-ZSM-22ゼオライトと、20.0wt%の非晶質ケイ酸アルミニウムと、8.2wt%の酸化アルミニウムと、0.8wt%のセスバニア粉と、1.0wt%の酸化ニッケルと、15.0wt%の酸化モリブデンを含む。
【0113】
触媒Hの生理化学的性質を、表2に挙げる。また、触媒Hの評価結果と生成物の性質を、表3に挙げる。
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
表3から、本発明の触媒を採用すれば、航空機用ケロシンは選択性と変換率が高く、凝固点が低くなるので、No.3 ジェット燃料(GB 6537-2006)の要件を満たす。