(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイオメトリックテンプレートは、1つまたは複数の静電容量プロフィールを備え、前記1つまたは複数の静電容量プロフィールの各々は、前記登録された体の部位と接触している前記静電容量センサシステムによってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される、
請求項1に記載のバイオメトリック認証装置。
前記静電容量センサシステムは、特定の形状での静電容量検知素子の配置を備え、各生静電容量フレーム内に含められた前記複数のキャパシタンスレベルは、前記特定の形状により配置される、
請求項1に記載のバイオメトリック認証装置。
前記静電容量プロフィールは、前記静電容量センサ配列の各それぞれのローに関してキャプチャされた静電容量センサ測定値の和の作図を備える、請求項1に記載のバイオメトリック認証装置。
生静電容量フレームの前記組に基づいて前記静電容量プロフィールを前記作成することは、分布された複数の平均化されたキャパシタンスレベルを備える結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの前記組を結合することを備え、前記平均化された静電容量レベルの各々は、静電容量フレームの前記組内のすべての生静電容量フレームにわたる各々の位置に関するすべてのキャパシタンスレベルの平均である、
請求項10に記載のバイオメトリックセキュリティ方法。
前記静電容量センサ配列の前記ローによってキャプチャされた前記静電容量センサ測定値の前記和は、前記静電容量センサ配列の垂直方向または水平方向のうちの1つに沿って取得された複数の静電容量センサ測定値を備える、
請求項10に記載のバイオメトリックセキュリティ方法。
前記バイオメトリックテンプレートは、1つまたは複数の静電容量プロフィールを備え、前記1つまたは複数の静電容量プロフィールの各々は、前記登録された体の部位と接触している前記静電容量センサシステムによってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される、
請求項10に記載のバイオメトリックセキュリティ方法。
前記静電容量センサシステムは、特定の形状での静電容量検知素子の配置を備え、各生静電容量フレーム内に含められた前記複数のキャパシタンスレベルは、前記特定の形状により配置される、
請求項10に記載のバイオメトリックセキュリティ方法。
前記静電容量センサ配列の前記ローによってキャプチャされた前記静電容量センサ測定値の前記和は、前記静電容量センサ配列の垂直方向または水平方向のうちの1つに沿って取得された複数の静電容量センサ測定値を備える、
請求項18に記載のバイオメトリックセキュリティ装置。
前記バイオメトリックテンプレートは、1つまたは複数の静電容量プロフィールを備え、前記1つまたは複数の静電容量プロフィールの各々は、前記登録された体の部位と接触している前記静電容量センサシステムによってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される、
請求項18に記載のバイオメトリックセキュリティ装置。
前記静電容量センサシステムは、特定の形状での静電容量検知素子の配置を備え、各生静電容量フレーム内に含められた前記複数のキャパシタンスレベルは、前記特定の形状により配置される、
請求項18に記載のバイオメトリックセキュリティ装置。
静電容量センサシステムを介して体の部位に関する生静電容量フレームの組をキャプチャし、ここにおいて、各生静電容量フレームは、前記体の部位から測定された複数のキャパシタンスレベルの分布を含み、
生静電容量フレームの前記組に基づいて時間フィルタリングされた静電容量フレームをローフィルタリングすることによって静電容量プロフィールを作成し、
静電容量センサ配列のローによってキャプチャされた静電容量センサ測定値の和から決定された第1の値を、登録された体の部位から生成されたバイオメトリックテンプレート内の第2の値と比較し、ここにおいて、
前記静電容量センサは、前記体の部位が前記静電容量センサの静電容量検知素子と接触するかまたは非常に近くに接近したときに、キャパシタンスの変化を検出し、それにより前記体の部位が検出され、
前記第1の値は、指の長さおよび幅の測定値を含み、
前記第1の値および前記第2の値は、前記静電容量プロフィールに関して同様の位置に所在され、および
前記第1の値と前記第2の値との間の差に基づいて認証信号を生成する
ためにバイオメトリックセキュリティシステムによって実行可能な命令を備える非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0031] 添付された図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、様々な構成の説明として意図され、本明細書において説明される概念が実行され得る唯一の構成を表すことは意図されない。詳細な説明は、様々な概念の徹底的な理解を提供するための具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念は、これらの具体的な詳細なしで実行され得ることが当業者にとって明らかになるであろう。幾つかの例では、周知の構造およびコンポーネントは、そのような概念を不明瞭にすることを回避するためにブロック図の形で示される。
【0017】
[0032]本明細書において説明される静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティのための方法および装置の様々な態様が、生物体の部位によって影響される静電容量検知システムから受け取られた生(raw)のキャパシタンスセンサデータを解析するバイオメトリックセキュリティシステムにおいて提供される。本明細書において使用される場合、「生物体」は、人間であるかまたはその他であるかにかかわらず、人間に関する体の部位のような、その部位が認証または識別のために使用され得る任意の生物体を意味する。本明細書においてさらに説明されるように、説明を単純化するために、用語「ユーザ」は、生物体に関して使用され得、用語「体の部位」は、認証または識別のために使用されている生物体の部位を意味するために使用され得る。
【0018】
[0033]開示される手法の一態様において、動作の「認証」モードは、本明細書では、ユーザに関連するバイオメトリックテンプレートに関してそのユーザを認証するためのバイオメトリックセキュリティシステムの動作のモードを意味するために使用され得る。用語「検証」およびそれのすべての変形は、用語「認証」と互換可能な形で使用され得ることが注記されるべきである。開示される手法の別の態様において、動作の「識別」モードは、本明細書では、ユーザに関連するバイオメトリックテンプレートの組内の単一のバイオメトリックテンプレートとそのユーザを一致させるためのバイオメトリックセキュリティシステムの動作のモードを意味するために使用され得る。換言すると、本明細書においては「未検証ユーザ」とも呼ばれる、既知の、しかしながら未確認の身元、を有するユーザは、認証モードを使用して検証され得、他方、本明細書においては「未知のユーザ」とも呼ばれる、未知の身元を有するユーザは、識別モードを使用して識別され得る。上述される動作の認証モードと識別モードとの間の区別にかかわらず、認証適用例に関する任意の開示される手法の様々な態様への言及またはそれらの様々な態様の説明は、識別適用例のために開示される手法の適用例に対しても同様に適用し得る。さらに、開示される手法の様々な態様は、認証および識別のうちのいずれかまたは両方がデバイス、データ、またはソフトウェア、等へのアクセスを可能にし得る適用例、または、認証および識別のうちのいずれかまたは両方がセキュリティまたはユーティリティに関して利益を提供し得る他の適用例、において使用され得る。
【0019】
[0034]開示される手法の一態様において、体の部位の生の(raw)キャパシタンスデータが、静電容量センサシステム内での静電容量検知素子の配置から直接獲得され得る。格納されて「生静電容量フレーム」と呼ばれる、静電容量検知素子の配置からの生のキャパシタンスデータの各キャプチャは、体の部位が静電容量センサシステム上にまたはいずれかの静電容量検知素子に対して影響を与えることができるほど近くに置かれたときに静電容量検知素子の配置上で検知された相対的キャパシタンスレベルの分布に関する情報を含む。
【0020】
[0035]開示される手法の一態様において、生静電容量フレームは、静電容量センサ配列内のいずれの静電容量センサ素子が体の部位による影響を受けたかを突き止めることおよびその同じ体の部位に関してそれらの静電容量素子によって測定された相対的キャパシタンスレベルの分布を決定することの両方によって解析され得る。各生静電容量フレームの解析は、解析される体の部位のそのような幾何学的測定値を決定することに限定されない。例えば、各生静電容量フレームの解析はまた、生静電容量フレームの作成中にすべてのセンサ素子によって測定されたキャパシタンス値の相対的分布を提供し得る。従って、開示される手法は、生静電容量フレームにおける幾何学的測定値およびキャパシタンス値の相対的分布の両方の組み合わせを使用し得る。
【0021】
[0036]例えば、体の部位が手である場合は、各生静電容量フレームの解析は、(手の親指部分を含む)指の長さおよび幅の全体的な幾何学的測定値、各指の関節間の分離、および他の解剖学的測定値を提供し得る。解析はまた、手による影響を受ける静電容量センサシステムのすべてのセンサ素子のキャパシタンス値の相対的分布を利用し得る。生静電容量フレーム全体にわたるキャパシタンス値の相対的分布のばらつきを比較することができることは、全体的な幾何学的測定値の使用に限定されないユーザの認証を可能にする。従って、生静電容量フレームは、静電容量センサ配列内のいずれの静電容量センサ素子がユーザの体の部位によって影響を受けるかを突き止めることによってだけでなく、各静電容量検知素子が体の部位によって受ける影響の程度の、静電容量センサ配列上における相対的分布を決定することによって、解析され得る。いずれの静電容量センサ素子が影響を受けるかの解析は、指の長さおよび幅のような単純な測定値をもたらすだけである。本明細書において説明されるように、皮膚の性質および接触の仕方のようなバイオメトリック上の要因に起因して変化する、静電容量センサの配列による体の部位のキャパシタンス測定値およびそれらの相対的分布は、対象物内で高度に一致する(しかしながら、対象物間で高度に独特である)ため使用され得る。
【0022】
[0037]開示される手法の一態様により、ユーザの体の部位に関してキャプチャされた生静電容量フレームの組の解析に基づいて体の部位に関して静電容量プロフィールが作成され得る。生静電容量フレームの組は、連続的な一連の生静電容量フレームとしてキャプチャされ得る。生静電容量フレームの連続的な一続きは、本明細書においてさらに説明されるように、静電容量プロフィールを作成するために処理および組み合わされ得る。
【0023】
[0038]開示される手法の一態様により、バイオメトリック登録プロセス中にユーザの体の部位に関してバイオメトリックテンプレートが作成され得、ここで、バイオメトリックテンプレートは、ユーザを認証するためにのちに使用され得る。開示される手法の一態様において、バイオメトリックテンプレートは、本明細書においてさらに説明されるように、1つまたは複数の静電容量プロフィールから作成され得、それらの各々は、1つまたは複数の生静電容量フレームから生成され得る。一旦作成されると、バイオメトリックテンプレートは、ユーザの認証のためにのちに使用され得る。
【0024】
[0039]静電容量センサシステムにおける静電容量検知素子の配置は、複数の静電容量検知素子を含む静電容量センサ配列として実装され得る。各静電容量検知素子は、伝導性物体の存在および/または不在を検出するために使用され得るが、伝導性物体と静電容量検知素子との間の直接的な接触は必ずしも要求されない。本明細書において使用され場合、用語「静電容量センサ素子」および「静電容量検知素子」は、両方とも、センサ素子の表面上にまたはその近くに置かれている生物体の体の部位に起因するキャパシタンスの変化を検出することが可能なセンサ素子を指すことが意味され、ここで、用語「測定」、「決定」、「値」、および「レベル」は、用語「静電容量の」または「キャパシタンス」とともに使用されるときには、静電容量センサ素子によって検知されるキャパシタンスレベルを意味し、ここで、静電容量レベルは、アナログまたはデジタル形式で提供され得る。さらに、本明細書に含まれる任意の説明の一部分は、用語「触れる」、「接触する」、または任意の他の文法上の形式を使用し得、用語「触れる」または「接触する」は、生物体の体の部位と静電容量センサシステム内の1つまたは複数の静電容量検知素子との実際の、身体的な接触を意味するが、そのような使用は、別の記載がないかぎり、いずれかの静電容量検知素子内でのキャパシタンスレベルに影響を与えるほど接近した近接度内に生物体の体の部位を置くことを包含すると理解されるべきである。換言すると、静電容量検知素子に関して身体的な接触または身体的に触れることが要求されることを説明が特記していないかぎり、本明細書においてはそのような制限はないと読まれるべきである。
【0025】
[0040]本明細書においてさらに説明されるように、静電容量検知素子は、典型的には、伝導性パッド、周囲を取り囲むグランド(surrounding ground)、およびコントローラへの接続によって構成される。ほとんどの適用例では、伝導性パッドは、大きな銅製のフットプリント(footprint) であり、周囲を取り囲むグランドは、注入物(poured fill)である。これらの2つの物体間には生来の(寄生)キャパシタンスが存在する。しかしながら、人間の指のような第3の伝導性物体がセンサの近くに近づけられると、刺激のキャパシタンスによってシステムのキャパシタンスが増大される。例えば、手のような体の部位が静電容量センサシステム内の静電容量検知素子の配置と接触するかまたは近くに接近すると、静電容量検知素子のうちの1つまたは複数におけるキャパシタンスが変化する。本明細書においてさらに説明されるように、1つまたは複数の電気回路は、静電容量検知素子のうちの1つまたは複数の各々におけるキャパシタンスの値を測定し、静電容量検知素子のこれらの測定された値をデジタル値に変換し得る。
【0026】
[0041]開示される手法の様々な態様により、静電容量検知システムは、静電容量タッチ画面を作るために表示デバイスの一部として実装され得、静電容量タッチ画面から出力された生のデータは、静電容量タッチ画面と接触するかまたは静電容量タッチ画面に接近する生物体の体の部位によって生じられる変化するキャパシタンスレベルの分布を報告する生静電容量フレームを生成するために使用され得る。開示される手法の様々な態様に関するより良い理解を提供するために、各生静電容量フレームは、本明細書においては「静電容量ヒートマップ画像」、または、より単純に「静電容量ヒートマップ」と呼ばれる画像として含まれる様々な図で表され得る。各静電容量ヒートマップは、静電容量検知システムの静電容量センサ配列の静電容量検知素子によって測定された生静電容量フレーム内に含められた複数のキャパシタンスレベルの分布を表示することによって対応する生静電容量フレームに格納された情報をビジュアル的に表し得る。図内に含められ得る様々な静電容量ヒートマップにおいて、生静電容量フレームの各静電容量測定値は、静電容量ヒートマップ内では単一のピクセルによって表され得、および、静電容量ヒートマップは灰色の目盛りで表示されるため、各レベルには異なる灰色の陰影が割り当てられる。静電容量ヒートマップはまた、カラー画像としても表示され得る。いずれのヒートマップの使用も、本明細書に含められた説明材料の理解を援助することのみを目的とすると理解されるべきであるため、本明細書に含められた様々な図に関連する説明における静電容量ヒートマップの使用は、開示される手法の様々な態様のうちのいずれかの適用可能性の限定を成すものではないことが注記されるべきである。
【0027】
[0042]生物体のいずれの適切な部分も、認証目的のための体の部位として使用され得ることが注記されるべきである。例えば、指に加えて、ユーザがスタイラスを使用しているときにタッチ画面と接触し得るユーザの手またはユーザの手のひらの一部分のようなユーザの手の一部分もまた体の部位として使用され得る。使用され得る体の部位の別の例は、例えば、ユーザが電話中にタッチ画面に耳を近づけたときに接触し得るユーザの耳または耳の一部分である。指および手に関して上述されるプロセスと同様に、バイオメトリックテンプレートの作成の際に使用される体の同じ部分の全体または一部分を含み得る提示された体の部位に関して生成される1つまたは複数の静電容量プロフィールを比較することによって認証を実行する際にのちに使用されるバイオメトリックテンプレートを作成するためにこれらの体の部位に関して静電容量プロフィールが生成され得る。
【0028】
[0043]
図1は、認証のための体の部位としてユーザの指を利用するバイオメトリックセキュリティシステムにおいて静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成された指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100を示す。本明細書において、提示およびデータキャプチャ部分110と、前処理部分120と、分割部分130と、特徴抽出部分140と、一致動作部分150と、を含む、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の各部分に関する動作の様々な態様が、本明細書においてさらに説明されるように、静電容量センサシステムを静電容量センサ配列と統合したタッチ画面を含むバイオメトリックセキュリティシステムに関連して説明され、その一例は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成され得る静電容量センサ配列1310を含む静電容量センサシステム1300として
図13において示される。
【0029】
[0044]開示される手法の一態様において、提示およびデータキャプチャ部分110と、前処理部分120と、分割部分130と、特徴抽出部分140とを含む「静電容量プロフィール作成セッション」102と呼ばれて
図1において示される指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の第1の部分が、静電容量プロフィールを作成するために使用され得、ここで、静電容量プロフィール作成セッション102の各繰り返しは、単一の静電容量プロフィールを作成するために使用され得る。本明細書においてさらに説明されるように、各静電容量プロフィールは、1つまたは複数のキャプチャされた生静電容量フレームの組から生成され得、および、(1)本明細書において
図3に関連してさらに説明されるように、ユーザの指のような体の部位に関するバイオメトリックテンプレートを構築する、または、(2)本明細書において
図4に関連してさらに説明されるように、バイオメトリックテンプレートを使用した認証を実行する、のような目的のために使用され得る。
【0030】
[0045]指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の静電容量プロフィール作成セッション102の繰り返しの説明は、提示およびデータキャプチャ部分110から開始し、ここで、バイオメトリックセキュリティシステムは、提示動作112中にユーザによる指のような体の部位の提示を要求しおよび受け取る。体の部位が一旦提示された時点で、データキャプチャ動作114中に静電容量検知システム1300内の静電容量センサ配列1310を使用して体の部位の1つまたは複数の生静電容量フレームがキャプチャされ得る。開示される手法の一態様において、ユーザは、特定のフレームレートで動作する静電容量センサ配列1310が生静電容量フレームの組をキャプチャし得るようにするため、ある継続時間の間タッチ画面上に彼の指を置くように促され得、および、彼の指を置くことが期待される。一例として、ユーザは、約3乃至4秒間タッチ画面上に彼の指を置いたままにし得、および、静電容量センサ配列1310が120フレーム/秒で動作し得ると仮定すると、約360乃至480のフレームがキャプチャされ得る。提示およびデータキャプチャ部分110のデータキャプチャ動作114中にフレーム内でキャプチャされ得る指に関して測定されたキャパシタンスの様々なレベルの分布の一例が、静電容量ヒートマップ画像116としてビジュアル的に示される。
【0031】
[0046]提示動作112に関する開示される手法の一態様において、ユーザは、好ましくは手のすべての指が互いに触れている平な状態で、リラックスした状態で画面上に彼の指を置き得る。強制されていない提示方式(unconstrained presentation modality)と概して呼ばれる、手を置くこの方法は、強制された提示方式(constrained presentation modality)と概して呼ばれる手法における硬直した体の部位の位置決め要求の順守性を確保するためのどのようなタイプの誘導ポストまたは他の手段の必要性も排除する。
【0032】
[0047]強制された提示方式は、例えば解析されるべき体の部位が指でありおよび指の所定のアンカーポイントが想定される場合の指の長さの計測の容易さのような利益を提供し得るが、幾つかの欠点も同様に存在する。例えば、解析されるべき体の部位が指である場合の議論を継続すると、硬直した体の部位の位置の要求は、ある人々にとっては満足させるのが困難であり得、および、固定された性質を有するため、他の指を加えるための屈伸性をほとんど排除する。さらに、指の特定の位置が強いられ得るにもかかわらず、指の位置は依然として各々のキャプチャごとに変わり得る。より重要なことに、強制された提示方式は、幾つかのデバイスでは達成するのが非常に困難であり得、特に、それらのデバイスがタッチ画面の周囲に厚いベゼルを有する場合であり、そのことは、部分的な指の測定値をもたらし得る。
【0033】
[0048]対照的に、強制されていない提示方式の下では、ユーザは、手のひら部分も同様にタッチ画面に触れているかどうかを気にする必要なしに、指の全長がタッチ画面内にあるようにするために、タッチ画面の任意の部分上に指を置くことができるように解析されるべき体の部位をより自然に位置決めし得る。これは、指全体の測定を可能にし、そのことは、より一貫した測定値を概してもたらし得る。さらに、本明細書において説明されるように、強制されていない提示方式の使用は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の様々な態様の複数の指への拡張性を提供する。
【0034】
[0049]生静電容量フレームの組が提示およびデータキャプチャ部分110中に一旦獲得された時点で、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の前処理部分120は、あらゆるノイズまたは他の望ましくないデータをフレームから除去する。前処理に関する開示される手法の一態様において、静電容量センサシステム1300内の静電容量センサ配列1310の動作に固有のノイズを除去するために正規化動作122が実行され得る。このノイズは、静電容量センサ配列1310のベースラインノイズレベルとしてすべてのキャプチャされたフレームに影響を与えるため除去されるべきである。正規化プロセスは、ベースラインノイズレベルが確立され得るようにするために、静電容量センサ配列1310上に何の物体も置かれていない短い期間の間に静電容量センサ配列1310からキャプチャされた生静電容量フレーム内のデータを平均化することを含み得る。次に、このベースラインノイズレベルは、すべての後続する生静電容量フレームから減じられ得る。
【0035】
[0050]前処理に関する開示される手法の別の態様において、前処理部分120におけるマスキング動作124は、解析において対象とならないと思われる静電容量測定値をフィルタリングによって除去するためにバイナリマスクを作成することと、各フレームに適用され得る拡張されたマスクを作成するために画像拡張を使用して物体の輪郭を識別することと、を含み得る。例えば、バイナリマスクは、触れられた/触れられてないセンサを分離するための適切なしきい値を使用することによって各フレームに関して作成され得る。次に、周囲のノイズをフィルタリングによって除去するために拡張されたマスクが各フレームに適用される前にマスキングされるべき物体の輪郭を獲得することによってキャプチャされた体の部位の静電容量画像の縁をエンハンスするために画像拡張が使用され得る。本明細書に含められた前処理部分120の後の様々な動作の説明は、生静電容量フレームの組内の特定のフレームからの1つまたは複数の静電容量データポイント、測定値、またはレベルに関連する静電容量情報の処理に言及し得るが、具体的に言及されていないかぎり、この静電容量情報は、好ましくは、前処理部分120が任意のノイズを除去およびフィルタリングした後に残っている静電容量データポイント、測定値、またはレベルのみを含むことが注記されるべきである。従って、例えば、フレームの特定のエリアが、静電容量プロフィールを作成するために開示される手法の様々な態様によりフレームの解析に含められるような十分に高いレベルを有する静電容量測定値を有するにもかかわらず、これらの静電容量測定値は、触れられてない静電容量検知素子に関連するがノイズによって引き起こされるため不適切である。従って、これらの静電容量測定値は、指の解析にとって適切でないため、特定のエリアが拡張されたマスク内の静電容量測定値の一部でない場合は依然として除外されるべきである。
【0036】
[0051]
図1を参照し続け、指先位置決定動作132と、生静電容量フレームフィルタリング動作134と、パルマデジタルクリーズ(PDC:Palmar Digital Crease)識別動作136と、を含む、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の分割部分130が、静電容量プロフィールを作成するために使用され得る。分割部分130中に、指が手のひら部分に出会う手の1つの特徴であるパルマデジタルクリーズ(PDC)が静電容量プロフィールにおいて識別される。本明細書においてのちに説明されるように、PDCの識別は、特徴抽出のための静電容量プロフィールの処理を容易にするために、静電容量プロフィールにおける手のひら部分に関連する任意のデータが無視されるのを可能にし、データに関連するデータのみを静電容量プロフィールに残す。分割部分130における様々な動作の説明および理解を容易にするために、静電容量プロフィールチャート210において作図された指静電容量プロフィール220と静電容量ヒートマップ画像250との比較200を含む
図2への言及が行われる。
【0037】
[0052]分割に関する開示される手法の一態様において、指先位置決定動作132は、前処理部分120におけるマスキング動作124中に上述されるように作成された拡張されたマスクのようなマスクを使用して指の先端の位置を突き止め得る。指先位置決定動作132によって指静電容量プロフィール220上で識別され得る指先位置の一例は、点線222によって示される。
【0038】
[0053]開示される手法の様々な態様により、生静電容量フレームフィルタリング動作134は、指先位置が一旦識別された時点で生静電容量フレームの組をフィルタリング及び処理するために使用され得る。開示される手法の一態様において、本明細書においては時間フィルタリングされた静電容量フレームと呼ばれる単一の時間フィルタリングされた静電容量フレームを生成するために生静電容量フレームの組内のすべてのフレームにわたるタッチセンサデータを平均化することによって時間フィルタが生静電容量フレームの組に適用され得る。このように、時間フィルタリングされた静電容量フレーム内の各静電容量データポイントは、生静電容量フレームの組内の生静電容量フレーム内の対応する静電容量データポイントからのすべての静電容量測定値の平均に基づいて作成される。従って、静電容量センサシステム1300が120フレーム/秒で動作する上例を継続し、各静電容量データポイントの平均は、指の提示が正確に3秒間続いた(従って、360の生静電容量フレームがキャプチャされた)場合は360の静電容量データポイント、または、指の提示が正確に4秒間続いた(従って、480の生静電容量フレームがキャプチャされた)場合は480の静電容量データポイント、のいずれかから決定され得、ここで、特定の生静電容量フレーム内の各静電容量データポイントは、静電容量センサ配列1310内の各々の静電容量検知素子によってキャプチャされた。上例では、データキャプチャの期間が提示の期間と正確に一致すると仮定されるが、データキャプチャの期間は提示の期間と一致しないことがあることが注記されるべきである。さらに、開示される手法の他の態様において、各静電容量データポイントの平均化される生静電容量フレームの数は変化し得、および、実際にキャプチャされた生静電容量フレームの数にかかわらず、処理および組み合わされるべき生静電容量フレームの数に下限および/または上限が設定され得ることは、開示される手法の期待される実装の範囲内である。
【0039】
[0054]上述される時間フィルタに加えて、開示される手法の別の態様において、指静電容量プロフィール220を作成するために、生静電容量フレームフィルタリング動作134におけるローフィルタ(row filter)が、時間フィルタリングされた静電容量フレームの各ロー(row)に沿ったすべてのタッチセンサデータを加算することによって、時間フィルタリングされた静電容量フレームに適用され得る。前記のように、各静電容量ヒートマップ画像は、各々のフレーム内に格納された様々なレベルのキャパシタンス測定値の分布のビジュアル表現である。
図2において、静電容量ヒートマップ画像250は、時間フィルタを使用して生成された時間フィルタリングされた静電容量フレーム内における指に関する様々なレベルのキャパシタンス測定値の分布のビジュアル表現である。開示される手法の一態様において、指静電容量プロフィール220は、時間フィルタリングされた静電容量フレームの各ローに格納された正規化されたセンサ出力データの加算から生成され得、ここで、静電容量ヒートマップ画像250によって表された場合の、時間フィルタリングされた静電容量フレームのすべてのローからのキャパシタンスデータ、が加算され、静電容量プロフィールチャート210において指静電容量プロフィール220として作図される。
図2における静電容量ヒートマップ画像250の方位は、タッチ画面表示高さを表す軸が
図2の底部に対して水平に変位されるように回転されている。従って、時間フィルタリングされた静電容量フレームの各「ロー」内のキャパシタンス値の加算への任意の言及は、実際には、
図2において静電容量ヒートマップ画像250によって示される垂直方位におけるキャパシタンス値の加算への言及である。
[0055]PDC識別動作136は、ローフィルタ動作が一旦完了された時点で指静電容量プロフィール220内のPDCを識別するために使用され得る。開示される手法の一態様において、約8.5センチメートル(cm)である、少なくとも人間の人差し指の最長の以前に記録された測定値である所定の長さを有する指静電容量プロフィール220の一部分が解析される。この所定の長さは、PDC探索範囲252と呼ばれて
図2において示され、既知である静電容量検知素子の幾何学が、フレーム内のデータのどれだけの数のローが解析されるべきであるかを決定するために使用され得る。例えば、静電容量検知素子間のピッチが0.24cmである場合は、長さが36個のセンサに対応する時間フィルタリングされた静電容量フレーム内のデータの36のローが解析され、ここで、
36個のセンサ×0.24cm/1個のセンサ=8.64cm (1)
が、8.5cmの最小の要求される長さを満たすために解析され得る。手のひら部分の境界の位置が予想される指静電容量プロフィール220の底部部分内のPDCを識別するために谷(valley)検出器をPDC探索範囲252にわたって動作させ得る。指静電容量プロフィール220を再度参照し、指に関するPDCが点線224によって示される。
【0040】
[0056]静電容量プロフィールの手のひら部分が分割部分130によって一旦識別された時点で、指に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス100の特徴抽出部分140が、指静電容量プロフィール220のような静電容量プロフィールを指先の位置からPDCまでのzスコアに変換するために使用され得る。本明細書において使用される場合の用語「zスコア」は、観測値またはデータが平均を上回る標準偏差の符号付きの数である標準スコアである。開示される手法の一態様において、所定の長さが静電容量プロフィール比較のために使用され、長さが36のローの上例を継続すると、すべての指先静電容量プロフィールが指先位置において整合される。次に、PDCの位置から原点までの値をゼロにするためにゼロ値のパッド(すなわち、z=0)が使用される。
【0041】
[0057]開示される手法の様々な態様により、zスコア値は、各ロー内の触れられたセンサの数、例えば長さ、幅、面積、等のような体の部位(例えば、指)の幾何、ユーザの提示の圧力、各々の触れられたセンサのキャパシタンスレベル、および、皮膚の水分に起因する場合と起因しない場合がある皮膚全体にわたる伝導性の変化のような要因に依存する。
【0042】
[0058]開示される手法の一態様において、本明細書でさらに説明されるように、登録プロセス中に、ユーザを認証するために作成される登録テンプレートが幾つかの静電容量プロフィールから生成され得る。例えば、本明細書において使用される登録テンプレートを作成するために平均化され得る例示的な数の静電容量プロフィールは、3つの静電容量プロフィールである。しかしながら、任意の数の静電容量プロフィールが組み合わされ得、それらの各々は、上述されるように、提示およびデータキャプチャ部分110と、前処理部分120と、分割部分130と、特徴抽出部分140と、を含む指に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス100の第1の部分である静電容量プロフィール作成セッション102の動作を通じて作成される。従って、登録静電容量プロフィールと呼ばれる、1つまたは複数の静電容量プロフィールが、ユーザの指に関するバイオメトリックテンプレートを構築するために使用され得る。
【0043】
[0059]さらに、認証プロセス中に、1つまたは複数の静電容量プロフィールはまた、登録プロセス中にバイオメトリックテンプレートを生成するために使用される登録静電容量プロフィールをキャプチャするために以前に使用された静電容量プロフィール作成セッション102を利用してキャプチャされ得る。指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の第2の部分における検証セッション104中に、本明細書においてさらに説明されるように、開示される手法の様々な他の態様により一致動作部分150を利用してユーザの認証を実行するために認証静電容量プロフィールがバイオメトリックテンプレートと比較され得る。換言すると、バイオメトリックテンプレートを構築するための登録静電容量プロフィールの組を作成するために使用された指に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス100の第1の部分はまた、認証静電容量プロフィールと呼ばれる静電容量プロフィールを作成するために使用され得る。認証静電容量プロフィールは、本明細書において説明されるように、指に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス100の一致動作部分150での一致動作152を使用してバイオメトリックテンプレートと比較され得る。
【0044】
[0060]開示される手法の様々な態様により、一致動作152に基づく認証動作中に、検証データが所定のしきい値においてバイオメトリックテンプレートと一致するかどうかを評価するために、認証静電容量プロフィールの各ポイントが、ユークリッド距離、ハミング距離、等のような標準的な一致動作アルゴリズムを使用してバイオメトリックテンプレート内の各々のポイントと比較され得る。従って、本明細書において使用される場合、用語「一致された」または「一致する」は、バイオメトリックテンプレートと同一である必要がない静電容量測定値分布を有する認証静電容量プロフィールを意味し得る。認証静電容量プロフィールがバイオメトリックテンプレートと一致する場合は、ユーザが認証され、一致が存在しない場合は、認証が拒否される。
【0045】
[0061]
図3は、ユーザの体の部位に関するバイオメトリックテンプレートを作成するためにバイオメトリックセキュリティシステムにおいて静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成されたバイオメトリック登録プロセス300を示す。バイオメトリックテンプレートは、本明細書において説明されるように、開示される手法の様々な他の態様によりユーザの認証を実行するためにのちに利用され得る。本明細書において説明される例では、認証を実行するためにのちに利用される体の部位は、ユーザの指であり、
図1において示される指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100に対する言及が行われる。バイオメトリック認証システムは、静電容量センサシステムを静電容量センサ配列と統合したタッチ画面を含み得、それの一例が、
図13において、本明細書においてさらに説明されるように、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の様々な態様により構成され得る静電容量センサ配列1310を含む静電容量センサシステム1300として示される。
【0046】
[0062]バイオメトリック登録プロセス300は、302において開始し、ここで、ユーザが体の部位の提示を通じてバイオメトリックテンプレートの作成を開始するようにとの要求が行われる。開示される手法の一態様において、例内のユーザは、指を体の部位として登録することになるため、提示のための動作は、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の提示およびデータキャプチャ部分110において説明される提示方式に従い得る。
【0047】
[0063]304において、1つまたは複数の登録静電容量プロフィールがキャプチャされる。開示される手法の一態様において、各登録静電容量プロフィールは、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100において説明される生静電容量フレームの各々の組から生成され得、ここで、静電容量登録プロフィールを生成するために使用される生静電容量フレームの各々の組は、提示およびデータキャプチャ部分110のデータキャプチャ動作において論じられる約360乃至480のフレームのような複数の生静電容量フレームのデータキャプチャを含む。次に、生静電容量フレームの組は、前処理部分120、分割部分130、および特徴抽出部分140によって説明される動作を利用して静電容量登録プロフィールを作成するために処理される。次に、動作は、306において継続する。
【0048】
[0064]306において、304によって生成された静電容量登録プロフィールがバイオメトリックテンプレートに加えられる。開示される手法の一態様において、2つ以上の静電容量登録プロフィールがバイオメトリックテンプレートに加えられるべきである場合は、検証プロセス中に比較のためにのちに使用されるバイオメトリックテンプレートを作成するためにすべての静電容量プロフィールは平均化される。
【0049】
[0065]310において、バイオメトリックテンプレートが完成されているかどうかが決定される。開示される手法の一態様において、バイオメトリックテンプレートは、十分な数の登録静電容量プロフィールが処理された場合に完成されたとみなされ得る。
【0050】
[0066]開示される手法の一態様において、バイオメトリック登録プロセス300は、検証プロセスと実装の点で同様であり得、例外は、バイオメトリック登録プロセス300中に、ユーザは、バイオメトリックテンプレートを形成するための静電容量プロフィールの平均を求める動作のために必要な登録静電容量プロフィールの組を作成するための回数だけ彼の指(または手)を提示する。
【0051】
開示される手法の別の態様において、バイオメトリックテンプレートは、体の部位(例えば、指)または体の部位の全部分(例えば、手のすべての指およびそれらに関連する様々な幾何形状)に関する適切なプロフィールを抽出することに関連するすべての適切な情報が一旦抽出された時点で完成されたとみなされ得る。
【0052】
[0067]開示される手法の一態様において、提示およびデータキャプチャ部分110、前処理部分120、分割部分130、および特徴抽出部分140に含められた動作を含む静電容量プロフィール作成セッション102において説明される動作は、複数の登録静電容量プロフィールを作成するために繰り返され得る。一例として、バイオメトリックテンプレートの作成の際に3つの登録静電容量プロフィールが使用され得、バイオメトリックテンプレートを作成するために登録静電容量プロフィールが平均化されるが、他の例ではそれよりも多いまたは少ない数の登録静電容量プロフィールが使用されることができる。
図3に戻り、より多くの登録静電容量プロフィールがキャプチャされる必要がある場合は、動作は304に戻る。そうでない場合は、バイオメトリックテンプレートは312において格納される。換言すると、バイオメトリックテンプレートが完成されたと一旦決定された時点で、動作は312において継続する。そうでない場合は、動作は304に戻り、ここで、別の登録静電容量プロフィールを作成するために生静電容量フレームの別の組がキャプチャされ得る。
【0053】
[0068]312において、新しく作成されたバイオメトリックテンプレートは、格納され得る。静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の一態様において、新しく作成されたバイオメトリックテンプレートは、バイオメトリックシステムの記憶デバイスに格納され得る。開示される手法の別の態様において、新しく作成されたバイオメトリックテンプレートは、タッチ画面静電容量センサ配列が実装されるのと同じ集積回路に格納され得、それは、第三者がバイオメトリックテンプレートへの許可されないアクセスを有し得る可能性を低下させることによってセキュリティを増大させる。新しく作成されたバイオメトリックテンプレートが一旦格納された時点で、動作は320において継続する。
【0054】
[0069]320において、登録プロセス300が完了したかどうかが決定される。例えば、ユーザが別の指または他方の手のような別の体の部位を登録することを希望する場合は、登録プロセス300が繰り返され得る。別の例として、登録プロセス300の複数の繰り返しを通じて数人のユーザを登録することが可能であり、各ユーザは、異なるユーザIDおよびバイオメトリックテンプレートを有する。ユーザが、例えば、別の指または別の手のような他の体の部位に関してより多くのバイオメトリックテンプレートを追加することを希望するため登録プロセス300が完了していない場合は、動作は302に戻り、ここで、追加のバイオメトリックテンプレートが上述されるように作成され得る。そうでない場合は、登録プロセス300の動作は終了する。
【0055】
[0070]
図4は、認証されていないユーザを認証するために使用され得る静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成されたバイオメトリックセキュリティシステム内のバイオメトリック検証プロセス400を示し、402において、認証されていないユーザは、認証のために体の部位を提示するように要求され得る。開示される手法の一態様において、バイオメトリック認証プロセス400は、バイオメトリックテンプレートを作成するために登録プロセス300中に使用された指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100からの動作を利用する。例えば、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の提示およびデータキャプチャ部分110における提示動作112での説明が402に適用可能である。前述されるように、認証のために使用されるべき体の部位は、バイオメトリックセキュリティシステムにおいて登録されたのと同じ体の部位であるべきである。例えば、登録プロセス300の繰り返し中に指が登録された場合は、認証されていないユーザの同じ指が提示されるようにとの要求が行われるべきである。
【0056】
[0071]404において、1つまたは複数の生静電容量フレームを含む生の認証静電容量フレームの組が、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の提示およびデータキャプチャ部分110におけるデータキャプチャ動作114によりキャプチャされ得る。生の認証静電容量フレームの組は、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の前処理部分120、分割部分130、および特徴抽出部分140において説明される動作を利用して認証静電容量プロフィールを作成するために処理され得る。
【0057】
[0072]406において、認証静電容量プロフィールは、バイオメトリックテンプレートと比較され得る。開示される手法の一態様において、認証静電容量プロフィールは、検証セッション104の繰り返しからの一致動作部分150の一致動作152のような動作を利用してバイオメトリックテンプレートと比較され得る。例えば、認証静電容量プロフィールの各位置に関する静電容量値が、バイオメトリックテンプレートの各々の位置における静電容量値と一致され得る。認証静電容量プロフィールおよびバイオメトリックテンプレートからの各々の静電容量値の各対間の差が決定および追跡され得る。
【0058】
[0073]408において、バイオメトリックテンプレートと比較された認証静電容量プロフィールとの差が認証しきい値と呼ばれる所定のしきい値を上回り、その差が大きすぎることを示し、および、認証静電容量プロフィールがバイオメトリックテンプレートと一致しなかったことを一致動作152が示した場合は、動作は420において継続する。そうでない場合、バイオメトリックテンプレートと比較された認証静電容量プロフィールとの差が認証しきい値を下回る場合は、動作は410において継続する。開示される手法の様々な態様により、認証静電容量プロフィールにおける特定の静電容量値とバイオメトリックテンプレート内の各々の静電容量値との間の差が決定されて認証しきい値と比較され得る。開示される手法の一態様において、すべての差が認証しきい値を下回る場合は、一致がシグナリングされる。開示される手法の別の態様において、十分な数の差が認証しきい値を下回る場合は、一致がシグナリングされる。
【0059】
[0074]410において、現在認証されているユーザにアクセスが許可される。開示される手法の様々な態様により、ユーザにアクセスを許可することは、バイオメトリックセキュリティシステムによって保護された任意のシステム、データ、またはリソースへのアクセスをユーザに提供することを含み得る。例えば、バイオメトリックセキュリティシステムが携帯電話のようなモバイルデバイスのタッチ画面の一部として実装される場合、ユーザは、認証された後に電話の「ロックを解除する」。別の例において、モバイルデバイスが1つまたは複数のアカウントを有するテーブルまたはポータブルコンピュータである場合、ユーザは、認証された後に彼のアカウントにアクセスすることができる。上述されるように、ユーザは、バイオメトリックセキュリティシステムを使用して識別および認証され得る。従って、バイオメトリックセキュリティシステムが複数のユーザアカウントおよびユーザのための1つを含む少なくとも2人のユーザの各々に関して登録されたバイオメトリックテンプレートを有するコンピューティングデバイス内に組み込まれるさらに別の例において、バイオメトリックセキュリティシステムは、認証静電容量プロフィールとバイオメトリックセキュリティシステムによって格納されたバイオメトリックテンプレートのうちの1つとの間の適切な一致を決定することによってユーザを認証しおよび彼のアカウントにログインし得る。さらに別の例において、コンピューティングデバイスは、各々がタブレットへの自分自身のアクセスを有する限定された数のユーザ間で共有される静電容量タッチ画面ディスプレイを有するタブレットであり得、バイオメトリックセキュリティシステムは、これらのユーザの指または手の特有の態様を測定することによってこれらのユーザが認証および/または識別されるのを可能にするために実装され得る。
【0060】
[0075]420において、開示される手法の一態様において、認証静電容量プロフィールとバイオメトリックテンプレートとの間で一致が存在しない場合、バイオメトリック認証プロセス400の動作は終了する。一致は、認証されていないユーザが体の部位を使用してバイオメトリックテンプレートを作成したのと同じユーザでないこと以外の理由で生じないことがあることが注記されるべきである。例えば、ユーザは、データキャプチャ中に体の部位を動かすかまたは静電容量センサシステム1300に関して体の部位を適切に置かないことによって体の部位を適切に提示しないことがある。開示される手法の別の態様において、バイオメトリック認証プロセス400の動作は、任意選択で402に戻り得、ここで、認証されていないユーザは、認証のために体の部位を再度提示するように要求される。
【0061】
[0076]認証静電容量プロフィールとバイオメトリックテンプレートとの間で一致が存在するかどうかが一旦決定され、410または420においてそれぞれアクセスが許可または拒否された時点で、バイオメトリック認証プロセス400の動作は終了する。
【0062】
[0077]静電容量プロフィールの生成は、検証プロセス中であるかまたはバイオメトリック登録プロセス中であるかにかかわらず、静電容量プロフィール作成セッション102に関して説明されるのと同じ動作を利用することが注記されるべきである。検証プロセスとバイオメトリック登録プロセスとの間の差は、ユーザが、彼の指または手のような体の部位を検証プロセス中に1回のみ、およびバイオメトリック登録プロセス中に2回以上提示することを含む。
図300の登録プロセス300において説明される動作例に関して論じられるように、ユーザは等しい数の登録静電容量プロフィールを生成するために少なくとも3回体の部位を提示することが望ましい。これらの3つの登録静電容量プロフィールは、検証プロセス中に作成された認証静電容量プロフィールとののちの比較のために格納されたバイオメトリックテンプレートを作成するために平均化される。当業者は、検証プロセスまたはバイオメトリック登録プロセス中に体の部位をより少ない回数またはより多い回数だけ提示するようにユーザに要求可能であること、および、ユーザが体の部位を提示する必要がある回数に基づいてまたはそれから生成された静電容量プロフィールの数に基づいて説明が限定されると読まれるべきでないことを知るであろう。
【0063】
[0078]
図5は、ある期間にわたって収集された、ユーザの指に関して生成されたユーザに関する指静電容量プロフィール510の集合に関する指静電容量プロフィールチャート500を示す。指静電容量プロフィール500の集合は、
図1における静電容量プロフィール作成セッション102のような静電容量プロフィール作成セッションの異なる繰り返し中に生成された指静電容量プロフィールを含み、第1の実行(run)512から生成された指静電容量プロフィールと、第2の実行514から生成された指静電容量プロフィールと、第3の実行516から生成された指静電容量プロフィールと、を含む。静電容量プロフィールは経時での優れた安定性を有することを示すために、指静電容量プロフィール510の集合の作成は、異なる環境内で使用される異なるデバイス上で2カ月の期間にわたって発生した。しかしながら、これらの3回の実行で作成された指静電容量プロフィールは同様であることがわかる。
【0064】
[0079]
図6は、認証のための体の部位としてユーザの手を利用するバイオメトリックセキュリティシステムにおいて静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成された手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600を示す。本明細書においてさらに説明されるように、提示およびデータキャプチャ部分610と、前処理部分620と、分割部分630と、特徴抽出部分640と、一致動作部分650と、を含む、手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600の各部分に関する動作の様々な態様が、本明細書において、静電容量センサシステムを静電容量センサ配列と統合したタッチ画面を含むバイオメトリックセキュリティシステムに関連して説明され、その一例が、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成され得る静電容量センサ配列1310を含む静電容量センサシステム1300として
図1において示される。
【0065】
[0080]開示される手法の一態様において、指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100と同様に、提示およびデータキャプチャ部分610と、前処理部分620と、分割部分630と、特徴抽出部分640と、を含む「静電容量プロフィール作成セッション」602と呼ばれて
図6において示される手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600が、静電容量プロフィールを作成するために使用され得、ここで、静電容量プロフィール作成セッション602の各繰り返しは、単一の静電容量プロフィールを作成するために使用され得る。本明細書においてさらに説明されるように、各静電容量プロフィールは、1つまたは複数のキャプチャされた生静電容量フレームの組から生成され得、および、(1)図に関連して前述されるように、ユーザの手のような体の部位に関するバイオメトリックテンプレートを構築する、または(2)
図4に関連して前述されるように、バイオメトリックテンプレートを使用して認証を実行する、のような目的のために使用され得る。
【0066】
[0081]手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600の静電容量プロフィール作成セッション602の繰り返しの説明は、提示およびデータキャプチャ部分610において開始し、ここで、バイオメトリックセキュリティシステムは、提示動作612中にユーザによる手のような体の部位の提示を要求しおよび受け取る。体の部位が一旦提示された時点で、データキャプチャ動作614中に静電容量センサシステム1300内の静電容量センサ配列1310を使用して体の部位の1つまたは複数の生静電容量フレームがキャプチャされ得る。開示される手法の一態様において、ユーザは、特定のフレームレートで動作する静電容量センサ配列1310が生静電容量フレームの組をキャプチャし得るようにするため、ある継続時間の間タッチ画面上に彼の手を置くように促され得および手を置くことが期待される。一例として、ユーザは、約3乃至4秒間タッチ画面上に彼の指を置いたままにし得、および、静電容量センサ配列1310が120フレーム/秒で動作し得ると仮定すると、約360乃至480のフレームがキャプチャされ得る。提示およびデータキャプチャ部分610のデータキャプチャ動作614中にフレーム内でキャプチャされ得る手に関して測定されたキャパシタンスの様々なレベルの分布の一例が、静電容量ヒートマップ画像616としてビジュアル的に示される。
【0067】
[0082]提示動作612に関する開示される手法の一態様において、ユーザは、
好ましくは手のすべての手が互いに触れている平な状態で、リラックスした状態で画面上に彼の指を置き得る。強制されていない提示方式と概して呼ばれる、手を置くこの方法は、強制された提示方式と概して呼ばれる手法における硬直した体の部位の位置決め要求の順守性を確保するためのどのようなタイプの誘導ポストまたは他の手段の必要性も排除する。
【0068】
[0083]強制された提示方式は、例えば解析されるべき体の部位が手でありおよび手の所定のアンカーポイントが想定される場合の手の長さの計測の容易さのような利益を提供し得るが、幾つかの欠点も同様に存在する。例えば、解析されるべき体の部位が手である場合の議論を継続すると、硬直した体の部位の位置要求は、ある人々にとっては満足させるのが困難であり得、および、固定された性質を有するため、他の手を加えるための屈伸性をほとんど排除する。さらに、手の特定の位置が強いられ得るにもかかわらず、手の位置は依然として各々のキャプチャごとに変わり得る。より重要なことに、強制された提示方式は、幾つかのデバイスでは達成するのが非常に困難であり得、特に、それらのデバイスがタッチ画面の周囲に厚いベゼルを有する場合であり、そのことは、部分的な指の測定値をもたらし得る。
【0069】
[0084]対照的に、強制されていない提示方式の下では、ユーザは、手のひら部分も同様にタッチ画面に触れているかどうかを気にする必要なしに手の全長がタッチ画面内にあるようにするために、タッチ画面の任意の部分上に手を置くことができるように解析されるべき体の部位をより自然に位置決めし得る。これは、手全体の測定を可能にし、そのことは、より一貫した測定値を概してもたらし得る。さらに、本明細書において説明されるように、強制されていない提示方式の使用は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の様々な態様の複数の指への拡張性を提供する。
【0070】
[0085]提示およびデータキャプチャ部分610中に生静電容量フレームの組が一旦獲得された時点で、手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600の前処理部分620は、あらゆるノイズまたは他の望ましくないデータをフレームから除去する。前処理に関する開示される手法の一態様において、静電容量センサシステム1300内の静電容量センサ配列1310の動作に固有のノイズを除去するために正規化動作622が実行され得る。このノイズは、静電容量センサ配列1310のベースラインノイズレベルとしてすべてのキャプチャされたフレームに影響を与えるため除去されるべきである。正規化プロセスは、ベースラインノイズレベルが確立され得るようにするために、静電容量センサ配列1310上に何の物体も置かれていない短い期間の間に静電容量センサ配列1310からキャプチャされた生静電容量フレーム内のデータを平均化することを含み得る。次に、このベースラインノイズレベルは、すべての後続する生静電容量フレームから減じられ得る。
【0071】
[0086]前処理に関する開示される手法の別の態様において、前処理部分620におけるマスキング動作624は、解析において対象とならないと思われる静電容量測定値をフィルタリングによって除去するためにバイナリマスクを作成することと、各フレームに適用され得る拡張されたマスクを作成するために画像拡張を使用して物体の輪郭を識別することと、を含み得る。例えば、バイナリマスクは、触れられた/触れられてないセンサを分離するための適切なしきい値を使用することによって各フレームに関して作成され得る。次に、周囲のノイズをフィルタリングによって除去するために拡張されたマスクが各フレームに適用される前にマスキングされるべき物体の輪郭を獲得することによってキャプチャされた体の部位の静電容量画像の縁をエンハンスするために画像拡張が使用され得る。本明細書に含められた前処理部分620の後の様々な動作の説明は、生静電容量フレームの組内の特定のフレームからの1つまたは複数の静電容量データポイント、測定値、またはレベルに関連する静電容量情報の処理に言及し得るが、具体的に言及されていないかぎり、この静電容量情報は、好ましくは、前処理部分620が任意のノイズを除去およびフィルタリングした後に残っている静電容量データポイント、測定値、またはレベルのみを含むことが注記されるべきである。従って、例えば、フレームの特定のエリアが、静電容量プロフィールを作成するために開示される手法の様々な態様によりフレームの解析に含められるような十分に高いレベルを有する静電容量測定値を有するにもかかわらず、これらの静電容量測定値は、触れられてない静電容量検知素子に関連するがノイズによって引き起こされるため不適切である。従って、これらの静電容量測定値は、手の解析にとって適切でないため、特定のエリアが拡張されたマスク内の静電容量測定値の一部でない場合は依然として除外されるべきである。
【0072】
[0087]
図6を参照することを継続し、手長さプロフィール決定動作632と手幅プロフィール決定動作634とを含む、手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600の分割部分630は、静電容量プロフィールを作成するために使用され得る。手長さプロフィール決定動作632中に、前述されるように、手が手のひら部分と出会う手の特徴であるPDCの位置が、手長さプロフィールにおいて識別される。本明細書においてのちに説明されるように、PDCの識別は、特徴抽出のために静電容量プロフィールの処理を容易にするために静電容量プロフィールにおける手のひら部分に関連する任意のデータが無視されるのを可能にし、指に関連するデータのみを静電容量プロフィールに残す。分割部分630における様々な動作の説明および理解を容易にするために、静電容量プロフィールチャート710において作図された手長さプロフィール720と静電容量ヒートマップ画像750との比較700を含む
図7への言及が行われる。言及はまた、静電容量プロフィールチャート810において作図された手幅プロフィール820と静電容量ヒートマップ画像850との比較800を含む
図8に対して行われる。
【0073】
[0088]分割に関する開示される手法の一態様において、手長さプロフィール決定動作632は、前処理部分620におけるマスキング動作624中に上述されるように作成された拡張されたマスクのようなマスクを使用して手の先の位置を突き止め得る。手長さプロフィール決定動作632によって手静電容量プロフィール720上で識別され得る手長さプロフィールの一例は、点線722によって示される。
【0074】
[0089]開示される手法の様々な態様により、手の先端の位置が一旦突き止められた時点で生静電容量フレームの組をフィルタリングおよび処理するために生静電容量フレームフィルタリングが使用され得る。開示される手法の一態様において、本明細書においては時間フィルタリングされた静電容量フレームと呼ばれる単一の時間フィルタリングされた静電容量フレームを生成するために生静電容量フレームの組内の全フレームにわたるタッチセンサデータを平均化することによって生静電容量フレームに時間フィルタが適用され得る。このように、時間フィルタリングされた静電容量フレーム内の各静電容量データポイントは、生静電容量フレームの組内の生静電容量フレーム内の対応する静電容量データポイントからのすべての静電容量測定値の平均に基づいて作成される。従って、静電容量センサシステム1300が120フレーム/秒で動作する上例を継続し、各静電容量データポイントの平均は、手の提示が正確に3秒間続いた(従って、360の生静電容量フレームがキャプチャされた)場合は360の静電容量データポイント、または、手の提示が正確に4秒間続いた(従って、480の生静電容量フレームがキャプチャされた)場合は480の静電容量データポイント、のいずれかから決定され得、ここで、特定の生静電容量フレーム内の各静電容量データポイントは、静電容量センサ配列1310内の各々の静電容量検知素子によってキャプチャされた。上例では、データキャプチャの期間は提示の期間と正確に一致すると仮定されるが、データキャプチャの期間は提示の期間と一致しない得ることが注記されるべきである。さらに、開示される手法の他の態様において、各静電容量データポイントが平均化される生静電容量フレームの数は変化し得、および、実際にキャプチャされた生静電容量フレームの数にかかわらず、処理および組み合わされるべき生静電容量フレームの数に下限および/または上限が設定され得ることは、開示される手法の期待される実装の範囲内である。
【0075】
[0090]上述される時間フィルタに加えて、開示される手法の別の態様において、手長さプロフィール720を作成するために時間フィルタリングされた静電容量フレームの各ロー(row)に沿ったすべてのタッチセンサデータを加算することによって、時間フィルタリングされた静電容量フレームにローフィルタ(row filter)が適用され得る。前記のように、各静電容量ヒートマップ画像は、各々のフレーム内に格納された様々なレベルのキャパシタンス測定値の分布のビジュアル表現である。
図7において、静電容量ヒートマップ画像750は、時間フィルタを使用して生成された時間フィルタリングされた静電容量フレーム内における手に関する様々なレベルのキャパシタンス測定値の分布のビジュアル表現である。開示される手法の一態様において、手静電容量プロフィール720は、時間フィルタリングされた静電容量フレームの各ローに格納された正規化されたセンサ出力データの加算から生成され得、ここで、静電容量ヒートマップ画像750によって表された場合の、時間フィルタリングされた静電容量フレームのすべてのローからのキャパシタンスデータが加算され、静電容量プロフィールチャート710において指静電容量プロフィール720として作図される。
図7における静電容量ヒートマップ画像750の方位は、タッチ画面表示高さを表す軸が
図7の底部に対して水平に変位されるように回転されていることが注記されるべきである。従って、時間フィルタリングされた静電容量フレームの各「ロー」内のキャパシタンス値の加算への任意の言及は、実際には、
図7において静電容量ヒートマップ画像750によって示される垂直方位におけるキャパシタンス値の加算への言及である。
【0076】
[0091]PDC識別動作は、ローフィルタ動作が一旦完了された時点で手長さプロフィール720内のPDCを識別するために使用され得る。開示される手法の一態様において、約8.5cmである、少なくとも人間の人差し指の最長の以前に記録された測定値である所定の長さを有する手長さプロフィール720の一部分が解析される。この所定の長さは、PDC探索範囲752と呼ばれて
図7において示され、既知である静電容量検知素子の幾何学が、フレーム内のデータのどれだけの数のローが解析されるべきであるかを決定するために使用され得る。例えば、静電容量検知素子間のピッチが0.24cmである場合は、長さが36個のセンサに対応する時間フィルタリングされた静電容量フレーム内のデータの36のローが解析され、ここで、
36個のセンサ×0.24cm/1個のセンサ=8.64cm (2)
が、8.5cmの最小の要求される長さを満たすために解析され得る。手のひら部分の境界の位置が予想される手静電容量プロフィール720の底部部分内のPDCを識別するために谷(valley)検出器をPDC探索範囲752にわたって動作させ得る。手静電容量プロフィール720を再度参照し、手に関するPDCが点線724によって示される。
【0077】
[0092]PDCの位置が手長さプロフィール決定動作632によって一旦識別されて手のひら部分が取り除かれた時点で、手幅プロフィール決定動作634は、手の幅を決定しおよび各指に関連する手幅プロフィール820における部分を識別するために動作し得る。静電容量センサシステム1300内の静電容量センサ配列1310によってキャプチャされたキャパシタンス値を含む静電容量データは、静電容量ヒートマップ850によって表され、手の幅、個々の指の幅、および各指先の相対強度を表す1次元の水平な手幅プロフィールを作成するためにカラム(column)に沿って加算される。従って、手の幅852が決定され得、次に、人差し指部分812、中指部分814、薬指部分816、および小指部分818のような各指に関連する部分が識別され得る。換言すると、手幅プロフィール820は、各指に関連する静電容量ヒートマップ内の部分の位置を突き止めるために細分され得る。
【0078】
[0093]手に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス600の特徴抽出部分640は、人差し指部分812、中指部分814、薬指部分816、および小指部分818のような手幅プロフィール820静電容量プロフィールの各部分を、指先の位置からPDCまでのzスコアに変換するために使用され得る。開示される手法の一態様において複数の指静電容量プロフィール910を複数の静電容量ヒートマップ950と比較する
図9を参照し、zスコア値は、各ロー内の触れられたセンサの数、例えば長さ、幅、面積、等のような体の部位(例えば、手)の幾何、ユーザの提示の圧力、各々の触れられたセンサのキャパシタンスレベル、および、皮膚の水分に起因する場合と起因しない場合がある皮膚全体にわたる伝導性の変化のような要因に依存する。開示される手法の一態様において、複数の指静電容量プロフィール910は、各指のみを考慮するために分割された手幅プロフィール820を有することから決定される。
【0079】
[0094]例えば、
図9において示されるように、人差し指静電容量プロフィール912、中指静電容量プロフィール914、薬指静電容量プロフィール916、および小指静電容量プロフィール918は、各々、指先の位置からPDCまでのzスコアに変換され得る。指先の位置からPDCまでのzスコアに各々変換され得る人差し指静電容量ヒートマップ912、中指静電容量ヒートマップ914、薬指静電容量ヒートマップ916、および小指静電容量ヒートマップ918よってビジュアルで表される、各指に関する静電容量フレームの触れられたローに沿って加算することによって、各指に関する1次元の垂直プロフィールが作成され得る。
【0080】
[0095]個々の指に関連するローおよびカラムのみを加算することによって、ユーザの指の寸法および静電容量シグネチャを表す長さプロフィールが生成される。指のこの1次元の表現は、静電容量タッチ画面によって測定された指の分節(segment)の長さおよび幅の累積である。幾つかのユーザの指の1次元の静電容量プロフィールは、2つの非常に異なる関節を提供し、他方、多くのその他は提供しない。1次元静電容量プロフィールを使用することによって、(グラフ内のx軸上において示されるように)各分節内の触れられた静電容量センサの数を使用することによって、指の分節の長さの単純な測定に加えて、(ヒートマップ内においておよびグラフのy軸において示されるように)手全体にわたって分布されたキャパシタンスの相対レベルのようなデータ内のすべての指の非類似性が決定され得る。従って、ユーザは、指の第1関節の単純な長さと幅の数に基づいてだけで、おそらくより強力に、プロフィールにおける各ポイントの独自のキャパシタンスレベルに基づいて区別される。
【0081】
[0096]認証動作中の第2の部分において、静電容量プロフィールの各ポイントは、検証データが所定のしきい値においてバイオメトリックテンプレートに格納された静電容量プロフィールに一致するかどうかを評価するために、ユークリッド距離、ハミング距離、等のような一致動作によって使用され得る。バイオメトリックテンプレートが一致する場合は、ユーザは認証され、一致が存在しない場合は、認証は拒否される。
【0082】
[0097]開示される手法の一態様において、本明細書で説明されるように、登録プロセス中に、ユーザを認証するために作成される登録テンプレートが、幾つかの静電容量プロフィールから生成され得る。例えば、本明細書において使用される登録テンプレートを作成するために平均化され得る例示的な数の静電容量プロフィールは、3つの静電容量プロフィールである。しかしながら、任意の数の静電容量プロフィールが組み合わされ得、それらの各々は、上述されるように、提示およびデータキャプチャ部分610と、前処理部分620と、分割部分630と、特徴抽出部分640と、を含む手に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス600の第1の部分である静電容量プロフィール作成セッション602の動作を通じて作成される。従って、登録静電容量プロフィールと呼ばれる、1つまたは複数の静電容量プロフィールが、ユーザの手に関するバイオメトリックテンプレートを構築するために使用され得る。
【0083】
[0098]さらに、認証プロセス中に、1つまたは複数の静電容量プロフィールはまた、登録プロセス中にバイオメトリックテンプレートを生成するために使用される登録静電容量プロフィールをキャプチャするために以前に使用された静電容量プロフィール作成セッション602を利用してキャプチャされ得る。本明細書においてさらに説明されるように、手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600の第2の部分における検証セッション604中に、開示される手法の様々な他の態様により一致動作部分650を利用してユーザの認証を実行するために認証静電容量プロフィールがバイオメトリックテンプレートと比較され得る。換言すると、バイオメトリックテンプレートを構築するための登録静電容量プロフィールの組を作成するために使用された手に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス100の第1の部分はまた、認証静電容量プロフィールと呼ばれる静電容量プロフィールを作成するために使用され得る。本明細書において説明されるように、認証静電容量プロフィールは、手に関するバイオメトリックをベースしたセキュリティプロセス600の一致動作部分650での一致動作652を使用してバイオメトリックテンプレートと比較され得る。
【0084】
[0099]開示される手法の様々な態様により、一致動作652に基づく認証動作中に、検証データが所定のしきい値においてバイオメトリックテンプレートと一致するかどうかを評価するために、認証静電容量プロフィールの各ポイントが、ユークリッド距離、ハミング距離、等のような標準的な一致動作アルゴリズムを使用してバイオメトリックテンプレート内の各々のポイントと比較され得る。従って、本明細書において使用される場合、用語「一致された」または「一致する」は、バイオメトリックテンプレートと同一である必要がない静電容量測定値分布を有する認証静電容量プロフィールを意味し得る。認証静電容量プロフィールがバイオメトリックテンプレートと一致する場合は、ユーザは
認証され、一致が存在しない場合は、認証が拒否される。
【0085】
[00100]本明細書において論じられるように、手幅プロフィールおよび指長さプロフィールは、デバイスに格納され得、および、それらは、ユーザの手の静電容量シグネチャとして共に使用され得る。
【0086】
[00101]手、および指のような、本明細書において提供された例に加えて、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の様々な態様は、他の体の部位および認証方式に対して適用され得る。例えば、認証は、ユーザがスタイラスを使用して表示デバイス内に組み込まれた静電容量検知システムとインタフェースしている間にタッチ画面を実装するために静電容量検知システムを使用してキャプチャされた静電容量プロフィールに基づいて実行され得る。
図10は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の他の様々な態様により構成されたバイオメトリック認証システム内の手のひらプロフィールに基づいてバイオメトリック認証を説明するために使用され得るユーザ1、ユーザ2のそれぞれに関する静電容量ヒートマップの2つの組および関連する静電容量手のひらプロフィール1010、1050の比較1000を示す。比較1000を参照し、ユーザ2に関する静電容量ヒートマップ1052と比較した場合のユーザ1に関する静電容量プロフィールチャート1012、および、ユーザ2に関する静電容量プロフィールチャート1054と比較した場合のユーザ1に関する静電容量プロフィールチャート1014は、収集された静電容量プロフィールと静電容量ヒートマップとの間の差を明確に示すことがわかる。ユーザ1に関する静電容量プロフィール作
図1016およびユーザ2に関する静電容量プロフィール作図
1056を参照し、これらの静電容量長さプロフィールグラフでは各ユーザの握りの独自性が明確である。静電容量プロフィール幅グラフはまた、ユーザを認証または識別するためにタッチセンサカラムを介して作成されて長さグラフと組み合わせられ得る。ユーザが書いている間の連続的な認証もこの同じ方法を使用して可能である。
【0087】
[00102]バイオメトリック認証のために使用され得る体の部位の別の例として、
図11は、開示される手法の別の態様における静電容量ヒートマップ1150および関連する静電容量手のひらプロフィール1110を示し、ここで、タッチ画面デバイス上の耳紋(earprint)が対応する静電容量長さプロフィール1112とともに示される。幅プロフィールも作成されることができる。耳紋は、認証のために上において概説されるフローを使用することができる別のバイオメトリック方式である。
【0088】
[00103]静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の他の態様において、本明細書において説明されるバイオメトリック認証手法は、指紋、顔に関するバイオメトリクス、声に関するバイオメトリクス、虹彩走査、または他の方法のような他の実行可能なバイオメトリック方法と並行して使用され得る。従って、より正確なおよびより高度なセキュリティシステムのための多方式結合アルゴリズムを介して任意の数のバイオメトリック方式がまとめて結合され得る。さらに、本明細書において説明されるバイオメトリック認証手法は、ユーザを認証するおよび低電力状態のようにロックされてスリープ状態にされ得るデバイスをウェイクアップさせる、の両方のために有利に使用され得る。
【0089】
[00104]認証に関する既存のマルチタッチ手法は、典型的には、タッチコントローラのマルチタッチ出力を要求する。開示される手法の様々な態様が、タッチコントローラ内に組み込まれるかまたは未処理のタッチ画面データを使用し得、多大に向上された性能をもたらす。
【0090】
[00105]開示される手法の様々な態様により、バイオメトリックテンプレートは体の部位の特定の部分に限定されず、体の部位の他の部分を含み得る(例えば、手に関する登録プロセスは、手に関するバイオメトリックテンプレートの諸部分が各指に関する静電容量プロフィールを含み得るようにするためにすべての指に関する静電容量プロフィールのキャプチャを含み得る)ため、本明細書において説明される概念は、様々な方法で拡大され得る。手形の手のひら部分も使用され得、それは、バイオメトリックテンプレートが手の1本または複数本の指および手のひらの組み合わせを含み得ることを意味する。開示される手法は、認証目的のために使用される生物体の特定の部位の任意の利用可能な部分を使用して認証することができることさえも企図する。例えば、生物学的認証プロセス中にキャプチャされた静電容量ヒートマップ内で識別された指の一部分さえも、バイオメトリックテンプレートに一致され得る。
【0091】
[00106]
図12は、静電容量センサ配列1210として示される静電容量タッチセンサ配列が、静電容量センサ配列1210内の各静電容量検知素子のキャパシタンスを測定しおよび伝導性物体のタッチまたは存在を示すキャパシタンスの変化を探すことによってどのように動作するかを示す。静電容量センサ配列1210は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成されたバイオメトリックセキュリティシステムとともに使用され得る様々な静電容量タッチセンサ配列の動作を説明するために使用され得る。静電容量タッチセンサ配列1210の隣に置かれた、各々のY軸およびX軸1220、1230における検出されたセンサ信号1222、1232の作
図1200は、指1250として示される、例えば指、手、または他の物体のような伝導性物体が静電容量センサ素子1250のグループのような静電容量検知素子と接触するかまたは非常に近くに接近したときに、キャパシタンスが変化し、それにより伝導性物体が検出されることを示す。本明細書においてさらに説明されるように、静電容量センサ素子1250のグループのキャパシタンスの変化を測定して測定されたキャパシタンスをデジタル値に変換するために電気回路が構成され得る。
【0092】
[00107]
図13は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により生静電容量フレームをキャプチするように構成された静電容量センサ配列1310を含み得る静電容量センサシステム1300を示す。開示される手法の一態様において、静電容量センサ配列1310は、複数の静電容量センサ素子を含み得、ここで、キャパシタンス検知回路1312は、静電容量センサ配列1310における代表的な静電容量センサ素子として示される。一対の静電容量検知素子接続バス1322、1324は、各コンデンサ検知素子によって測定されたキャパシタンス値のデジタル表現を提供するための、アナログ−デジタル(A/D)変換器1330のような処理回路への静電容量センサ配列1310の各静電容量検知素子の結合を容易にする。開示される手法の一態様において、A/D変換器モジュール1330は、120フレーム/秒のサンプルレートで14ビットの分解能を有する複数の静電容量検知素子によって測定されたキャパシタンス値の直接的な報告を可能にする。換言すると、生静電容量フレームは、1秒の120分の1という短い時間でキャプチャされ得、静電容量検知素子の各々によって測定されたキャパシタンスの16,384のレベルは、各キャパシタンスレベルを量子化するために14ビットが使用されているため区別可能である。本明細書において説明されるように、キャプチャの高レートは、センサシステム1300が提示された体の部位の複数のサンプルをキャプチャするのを可能にし、および、ベースラインノイズフィルタリングを容易にする。
【0093】
[00108]好ましくは、生静電容量フレーム、および究極的には静電容量プロフィール、は、A/D変換器モジュール1330によって受け取られた「生の」データがデジタル表現に変換され、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により構成されたバイオメトリック認証システム内の処理システムに送られた後に、上において提供された様々な例に関連して説明されるように生成され得る。前述されるように、バイオメトリック認証システム内の検出および処理回路の複数の静電容量検知素子によって測定されたキャパシタンスレベルへの直接的なアクセスを提供することは、タッチ画面コントローラによって既に処理されており従って本明細書において注記される様々な利益を提供することができないデータを使用する手法によって引き起こされる機能および効率の低下を回避する。
【0094】
[00109]本明細書において含まれるセンサシステム1300の説明は、センサシステム1300がタッチ画面内に組み込まれていることに基づいているが、センサシステム1300は、タッチパッドと、トラックパッドと、同様の物とを含むがそれらに限定されない様々なユーザインタフェースを実装する際に使用され得ることが理解されるべきである。これらのユーザインタフェースは、コンピュータサーバと、デスクトップコンピュータと、ラップトップと、タブレットコンピューティングデバイスと、モバイルデバイスと、音楽デバイスと、ビデオデバイスと、携帯電話と、スマートフォンとを含むがそれらに限定されない様々なデバイス内に組み込まれ得る。さらに、静電容量センサ配列1310は、正方形、長方形、円、または輪を含むがそれらに限定されない様々な幾何形状で構成され得ることが注記されるべきである。さらに、静電容量センサ配列1310は、2つの次元に限定されない形状として配置され得る。例えば、静電容量センサ配列1310は、球体と、円筒と、他の正規のまたは不定の形状を含む他の3次元(3D)形状とを含むがそれらに限定されない3次元形状で配置され得る。
【0095】
[00110]
図14は、静電容量センサ配列1310のキャパシタンス検知回路1312の一部として使用され得る例示的なキャパシタンス検知構造1400を示す。静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の一態様において、キャパシタンス検知構造1400は、体の部位の表面がキャパシタンス検知構造1400に近づけられるかまたは接触されたときにキャパシタンス素子が形成されるのを可能にするように構成され得る。例えば、キャパシタンス素子は、コンデンサ構造の第1のプレートとして働く体の部位の表面によって作成されたコンデンサ構造およびコンデンサ構造の第2のプレートとしてのキャパシタンス検知構造1400内の電極であり得る。体の部位の表面および電極は、電極を被覆する任意の材料を含む距離および体の部位の表面が電極を被覆する材料と直接接触していない場合は体の部位の表面と電極を被覆する材料との間のスペースだけ分離され得る。距離は、キャパシタンス素子内で作成されたキャパシタンスのレベルを決定する。
【0096】
[00111]
図14において示されるように、キャパシタンス検知構造1400は、レベル間絶縁体1408上に形成される複数のセンサ電極1406を含み得る。複数のセンサ電極1406の各々は、レベル間絶縁体1408内に形成された貫通孔内のプラグ1410によってセンサ電極相互接続1412に接続され得る。センサ電極相互接続1412は、半導体基板1402上の下部絶縁膜1404上に形成される。パッシベーション膜(paasivation film)1422がレベル間絶縁体1408上に形成され、複数のセンサ電極1406を被覆する。
【0097】
[00112]キャパシタンス検知回路1400の動作中に、体の部位の皮膚表面のような体の部位の表面がパッシベーション膜1422に接触するかまたはキャパシタンス検知回路1400に影響を与えるような十分に近くに存在するときには、体の部位の表面および複数のセンサ電極1406の各々の影響を受けるセンサ電極によってコンデンサ構造が形成され、ここで、体の部位の表面および各々の影響を受けるセンサ電極は、各々のコンデンサ構造の第1のプレートおよび第2のプレートをそれぞれ形成する。このコンデンサ構造の第1のプレートおよび第2のプレートは、パッシベーション膜1422の最小の厚さである距離に基づいてキャパシタンスレベルを生成するためにその距離だけ離れて配置される。体の部位の表面とセンサ電極1406との間で生成されるキャパシタンスは、センサ電極相互接続1412を通じて検出され得る。
【0098】
[00113]実際には、キャパシタンス検知回路1400に関する検知は、1つのプレートとしての皮膚の表面と別のプレートとしてのセンサ電極との間の距離差の基礎として達成され、それによって、これらの2つのプレートに基づいてキャパシタンスレベルを検出する。キャパシタンス検知回路1400の別の可能な構成において、第2のセンサ電極(示されていない)がキャパシタンス検知回路1400のセンサ電極1406の近くに含められ得、基準プレートとして働くこの第2のセンサ電極からの差が実際の検知のために使用され得る。
【0099】
[00114]静電容量プロフィールを使用するバイオメトリック認証に関する開示される手法の様々な態様により、キャパシタンス検知構造1400に類似する複数のキャパシタンス検知構造が、センサ電極1406の各々のキャパシタンスレベルを検出するためのキャパシタンス検出回路とキャパシタンス検出回路からの出力を受け取って処理するためのA/D変換器モジュール1330のような処理回路とも含み得る集積回路(IC)チップ上に取り付けられ得る。ICチップはまた、本明細書においてさらに説明されるように、開示される手法の動作のために必要な任意のデータを格納する格納回路と、格納回路に格納された生の静電容量プロフィールを認証テンプレートと比較するための比較回路と、を含み得る。
【0100】
[00115]長さおよび幅のような手の該当する特徴が、4.5mmという遠い間隔で配置されたタッチセンサによって抽出され得るが、静電容量センサ配列1310内の静電容量センサ素子のより高い密度の配置は、概して、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様を利用してより多くの特徴が抽出されることをもたらし得る。換言すると、静電容量センサ配列1310におけるキャパシタンス検知回路1312の各々の間のより小さい距離は、概して、より高い精細度およびより低い可変度を有する生静電容量フレームのキャプチャを可能にし得、それは、究極的には、より多くの情報を有する静電容量プロフィールおよび登録テンプレートをもたらしおよびよりロバストでより大きな実行システムをもたらし得る。キャパシタンス検知回路1312のような例示的な回路を使用することで、タッチセンサの中心間には約0.85mm以下の分離が存在し、約30DPIを提供することが好ましい。概して、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様により、静電容量センサ配列1310は、好ましくは、向上された生理学上の特徴の抽出を可能にするために可能な限り高いキャパシタンス検知回路1312の密度を含む。
【0101】
[00116]ほとんどの現在の消費者製品内のタッチ画面は、ピクセル当たり約5ミリメートル(mm/ピクセル)のタッチ分解能を有し、業界はより密度が高いタッチ分解能に向かう傾向がある。例えば、2.4mm/ピクセル乃至1mm以下/ピクセルのより密度が高いタッチ分解能を有するタッチ画面の開発および配備が予想される。より高い密度のタッチ分解能は、キャプチャされるべき生の静電容量プロフィールのばらつきのより微細な分解能を考慮し、それは、生物体を認証するために使用される静電容量特性をより正確に反映する生の静電容量プロフィールが作成され得ることを意味する。認証テンプレートの作成のための生の静電容量プロフィールをキャプチャするために使用されるタッチ分解能は、認証テンプレートとの比較のための生の静電容量プロフィールをキャプチするために使用されるタッチ分解能と等しくないことができることが注記されるべきである。
【0102】
[00117]
図15は、静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティに関する開示される手法の様々な態様を利用し得る処理システム1510を使用する装置1500に関するハードウェア実装の例を示す概念図である。従って、本開示の様々な態様により、モバイルデバイスを含む任意のデバイスを実装するために使用され得る装置1500内の素子、素子のいずれかの部分、または素子の組み合わせは、本明細書において説明される静電容量プロフィールを使用するバイオメトリックをベースにしたセキュリティを利用し得る。
【0103】
[00118]例えば、処理システム1510は、プロセッサ1514として示される1つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサ1514の例は、マイクロプロセッサと、マイクロコントローラと、デジタル信号プロセッサ(DSP)と、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、プログラマブル論理デバイス(PLD)と、ステートマシンと、ゲーテッド論理(gated logic)と、ディスクリートハードウェア回路と、この開示全体を通じて説明される様々な機能を実行するように構成された他の適切なハードウェアと、を含む。プロセッサ1514は、装置1500に関するプロセッサ機能を提供するために使用され得る。例えば、装置1500がタブレットまたは携帯電話のようなモバイルデバイスである場合、プロセッサ1514は、タブレットまたはモバイルデバイスのオペレーティングシステムおよび様々なアプリケーションのような、装置1500を動作させるために必要なコードおよびアルゴリズムを実行するために使用され得る。さらに、プロセッサ1514は、例えば、
図1の指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100、
図3のバイオメトリック登録プロセス300、
図4のバイオメトリック検証プロセス400、および
図6の手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600において説明される動作を実装するために使用され得る。
【0104】
[00119]処理システム1510は、概してバス1512によって表されるバスアーキテクチャを有するとして実装され得る。バス1512は、処理システム1510の特定の適用例および全体的な設計制約に依存して任意の数の相互接続バスおよびブリッジを含み得る。バス1512は、(概してプロセッサ1514によって表される)1つまたは複数のプロセッサと、メモリ1518と、(概してコンピュータ可読媒体1516によって表される)コンピュータ可読媒体と、を含む様々な回路を結集する。バス1512はまた、当業界においてよく知られており従ってこれ以上は説明されないタイミングソース、周辺機器、電圧調整器、および電力管理回路のような様々な他の回路を結集する。バスインタフェース1520は、バス1512とトランシーバ1550との間のインタフェースを提供する。トランシーバ1550は、送信媒体を通じて様々な他の装置と通信するための手段を提供する。装置の性質に依存して、ユーザインタフェース1530(例えば、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイク、ジョイスティック)も提供され得る。
【0105】
[00120]プロセッサ1514は、バス1512およびコンピュータ可読媒体1516またはメモリ1518上に格納され得るソフトウェアの実行を含む一般的処理を管理することを担う。ソフトウェアは、プロセッサ1514によって実行されると、任意の特定の装置に関して本明細書において説明される様々な機能を実行することを処理システム1510に行わせる。ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語、またはその他と呼ばれるかにかかわらず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、エキュセキュターブル(executable)、実行スレッド、プロシージャ、関数、等を意味するために広義で解釈される。
【0106】
[00121]コンピュータ可読媒体1516またはメモリ1518はまた、ソフトウェアを実行するときにプロセッサ1514によって処理されるデータ、本明細書において含められる様々な動作によって生成された静電容量プロフィールおよびバイオメトリックテンプレート、および任意の他の適切なデータを格納するために使用され得る。コンピュータ可読媒体1516は、コンピュータ可読記憶媒体のような非一時的なコンピュータ可読媒体であり得る。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例として、磁気記憶デバイス(例えば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップ)と、光ディスク(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタルバーサタイルディスク(DVD))と、スマートカードと、フラッシュメモリデバイス(例えば、カード、スティック、またはキードライブ)と、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読み取り専用メモリ(ROM)と、プログラマブルROM(PROM)と、消去可能PROM(EPROM)と、電気的消去可能PROM(EEPROM(登録商標))と、レジスタと、取り外し可能ディスクと、コンピュータによってアクセスされおよび読み取られ得るソフトウェアおよび/または命令を格納するための任意の他の適切な媒体と、を含む。コンピュータ可読媒体はまた、例として、キャリア波と、送信ラインと、コンピュータによってアクセスされおよび読み取られ得るソフトウェアおよび/または命令を送信するための任意の他の適切な媒体と、を含み得る。処理システム1510内に常駐するとして示されるが、コンピュータ可読媒体1516は、処理システム1510の外部に常駐し得るか、または、処理システム1510を含む複数のエンティティにわたって分散させ得る。コンピュータ可読媒体1516は、コンピュータプログラム製品内において具現化され得る。例として、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料内のコンピュータ可読媒体を含み得る。当業者は、特定の適用例および全体的システムに対して課せられた全体的な設計制約に依存してこの開示全体を通じて提示される説明される機能を実装するための最良の方法を認識するであろう。
【0107】
[00122]開示される手法の一態様において、処理システム1510は、静電容量検知配列1504とコントローラ1506とを含む静電容量センサシステム1502を含み得る。コントローラ1506は、静電容量検知配列1504によって検知された提示された体の部位の1つまたは複数の生静電容量フレームをキャプチャすることを含む、静電容量センサシステム1502の動作の様々な態様を制御するために使用され得る。静電容量検知配列1504は、
図13において静電容量センサ配列1310として説明される静電容量センサ配列のような静電容量センサ配列を使用して実装され得る。
【0108】
[00123]セキュリティモジュール1520は、静電容量検知配列1504を使用してキャプチャされおよびコントローラ1506によって提供された生静電容量フレームを受け取りおよび処理するために静電容量センサシステム1502に結合され得る。セキュリティモジュール1520はまた、
図1の指に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス100の静電容量プロフィール作成セッション102、または、
図6の手に関するバイオメトリックをベースにしたセキュリティプロセス600の静電容量プロフィール作成セッション602のいずれかにおいて説明される静電容量プロフィール作成プロセスのような静電容量プロフィール作成プロセスを実装する静電容量プロフィール生成器1522を介して1つまたは複数の静電容量プロフィールを生成し得る。セキュリティモジュール1520はまた、バイオメトリック登録プロセス300において説明される登録プロセスのような登録プロセスを使用して作成される任意の数のバイオメトリックテンプレート1524を生成および格納し得る。さらに、セキュリティモジュール1520はまた、
図4のバイオメトリック検証プロセス400において説明される検証プロセスのような検証プロセスを使用して認証を実行するために登録プロセス中に以前に格納されたバイオメトリックテンプレートと静電容量プロフィールを比較し得る。比較に基づいて、セキュリティモジュール1520は、バス1512で認証信号を提供し得る。従って、開示される手法の様々な態様において、セキュリティモジュール1520は、セキュリティ固有の特徴を提供するために、プロセッサ1514に加えて、またはプロセッサ1514の代わりに、使用され得る。従って、プロセッサ1514に関して説明される特徴は、セキュリティモジュール152に対して等しく適用し得る。注記されるように、セキュリティモジュール1520および静電容量センサシステム1502が集積回路のような単一のデバイスにおいて統合された場合は勝手に変更されるリスクが軽減されてセキュリティが向上される。
【0109】
[00124]例えば、セキュリティモジュール1520は、静電容量センサシステム1502を介して体の部位に関する生静電容量フレームの組をキャプチャすること、ここにおいて、各生静電容量フレームは、体の部位から測定された複数のキャパシタンスレベルの分布を含む、と、生静電容量フレームの組に基づいて静電容量プロフィールを作成することと、静電容量プロフィールにおける第1の値を登録された体の部位から作成されたバイオメトリックテンプレート内の第2の値と比較すること、ここにおいて、第1の値および第2の値は、静電容量プロフィールに関して同様の位置に所在される、と、第1の値と第2の値との間の差に基づいて認証信号を生成することと、を含む静電容量センサシステム1502のような静電容量センサシステムに関するバイオメトリックセキュリティプロシージャを実装し得る。
【0110】
[00125]開示される手法の一態様において、生静電容量フレームの組に基づいて静電容量プロフィールを作成することは、結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの組を結合することを含み得る。結合された静電容量フレームは、分布された(distributed)複数の平均化されたキャパシタンスレベルを含み得、それらの各々は、静電容量フレームの組内のすべての生静電容量フレームにわたる各々の位置に関するすべてのキャパシタンスレベルの平均であり得る。開示される手法の別の態様において、認証信号は、静電容量プロフィールとバイオメトリックテンプレートとの間で合理的な一致(reasonable match)が決定されたことを示し得る。開示される手法のさらに別の態様において、認証信号は、体の部位を登録された体の部位として識別する。
【0111】
[00126]コンデンサプロフィールおよびバイオメトリックテンプレートのそれぞれからの第1の値および第2の値は、各々、キャパシタンス検知配列1504のような静電容量センサ配列の一部分によってキャプチャされた静電容量センサ測定値から決定された静電容量値を含み得る。開示される手法の一態様において、静電容量値は、静電容量センサ測定値の和を含み得る。開示される手法の別の態様において、静電容量センサ配列の一部分からの静電容量センサ測定値は、静電容量センサ配列に対する垂直または水平方向のうちの1つに沿って取得された複数の静電容量センサ測定値を含み得る。
【0112】
[00127]上述されるように、バイオメトリックテンプレート1524は、1つまたは複数の静電容量プロフィールから生成され得、各静電容量プロフィールは、登録された体の部位と接触している静電容量センサシステム1502によってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される。複数のキャパシタンスレベルの各キャパシタンスレベルは、静電容量センサシステム1504内の静電容量検知素子によって検知されたキャパシタンスレベルを含み得る。静電容量センサシステムは、特定の形状の静電容量検知素子の配置を含み得、各生静電容量フレームに含められた複数のキャパシタンスレベルは、特定の形状により配置され得る。
【0113】
[00128]開示される手法の様々な態様は、生静電容量フレームの組に基づいて静電容量プロフィールを作成するための手段のような幾つかの機能を実行するための手段を要求し得、分布された複数の平均化されたキャパシタンスレベルを含む結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの組を結合するための手段を含み、それらのキャパシタンスレベルの各々は、静電容量フレームの組内のすべての生静電容量フレームにわたる各々の位置に関するすべてのキャパシタンスレベルの平均である。これらのおよび他の手段は、本明細書において開示されるモジュールのうちの1つまたは複数を使用して実装され得る。例えば、セキュリティモジュール1520は、結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの組を結合するための手段および生の結合されたフレームの組に基づいて静電容量プロフィールを作成するための手段を実装するために使用され得る。しかしながら、手段はまた、プロセッサ1514、メモリ1518、およびコンピュータ可読媒体1516の様々な組み合わせを使用して実装され得ることが注記されるべきである。従って、本明細書において提供される説明で使用される様々なハードウェアは、限定する開示ではなく、単に、いずれの要素が使用され得るかの例であるとみなされるべきである。
【0114】
[00129]本明細書において開示される態様に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、プロセッサ、手段、回路、およびアルゴリズムステップのいずれも、電子ハードウェア(例えば、ソースコーディングまたは何らかの他の技法を使用して設計され得る、デジタル実装、アナログ実装、またはそれらの2つの組み合わせ)、(本明細書においては、便宜上、「ソフトウェア」または「ソフトウェアモジュール」と呼ばれ得る)命令を組み込んだ様々な形態のプログラムまたは設計コード、または、両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者はさらに認識するであろう。ハードウェアとソフトウェアのこの互換性を明示するために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、およびステップは、概してそれらの機能の点で上述された。そのような機能がハードウェアとしてまたはソフトウェアとして実装されるかは、特定の適用例および全体的システムに対して課せられた設計制約に依存する。当業者は、各適用例に関して様々な方法で説明される機能を実装し得るが、そのような実装決定は、本開示の適用範囲からの逸脱を生じさせるものであるとは解釈されるべきでない。
【0115】
[00130]本明細書において開示される態様に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、および回路は、集積回路(「IC」)、アクセス端末、またはアクセスポイント内に実装されるかまたはそれらによって実行され得る。ICは、本明細書において説明される機能を実行するために設計された汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理、ディスクリートハードウェアコンポーネント、電気的コンポーネント、光学的コンポーネント、機械的コンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせを備え得、および、IC内またはIC外に常駐するかまたはその両方であるコードまたは命令を実行し得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替においては、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPと、1つのマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサとの組合せ、DSPコアと関連する1つ以上のマイクロプロセッサとの組合せ、または任意の他の構成、として実装され得る。
【0116】
[00131]任意の開示されるプロセスにおけるステップの任意の特定の順序または階層は、見本としての手法の例であることが理解される。設計上の選好に基づき、プロセスにおけるステップの特定の順序または階層は、本開示の適用範囲内にとどまりつつ再アレンジされ得ることが理解される。添付される方法請求項は、様々なステップの要素を見本の順序で提示するものであり、提示される特定の順序又は階層に限定されることは意味されない。
【0117】
[00132] 本明細書において開示される態様に関連して説明される方法又はアルゴリズムのステップは、直接ハードウェア内において、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール内において、またはそれらの2つの組み合わせ内において具現化され得る。(例えば、実行可能な命令と関連するデータとを含む)ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取り外し可能ディスク、CD−ROM、または当業において知られる任意の他のあらゆる形態のコンピュータ可読媒体記憶媒体において常駐し得る。見本の記憶媒体は、例えば、(本明細書においては、便宜上、「プロセッサ」と呼ばれ得る)コンピュータ/プロセッサのような機械に結合され得、従って、プロセッサは、記憶媒体から情報(例えば、コード)を読み出すことおよび記憶媒体に情報を書き込むことができる。見本の記憶媒体は、プロセッサと一体化し得る。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に常駐し得る。ASICは、ユーザ機器内に常駐し得る。代替において、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ機器内において個別コンポーネントとして常駐し得る。さらに、幾つかの態様において、任意の適切なコンピュータプログラム製品は、本開示の態様のうちの1つまたは複数に関連する(例えば、少なくとも1つのコンピュータによって実行可能な)コードを備えるコンピュータ可読媒体を備え得る。幾つかの態様において、コンピュータプログラム製品は、パッケージング材料を備え得る。
【0118】
[00133]前の説明は、任意の当業者が本明細書において説明される様々な態様を実行することを可能にするために提供される。これらの態様の様々な変更は、当業者にとって容易に明確になるであろう、および本明細書において定められる一般原理は、他の態様に対して適用され得る。以上のように、請求項は、本明細書において示される態様に限定されることは意図されず、請求項の言葉(language)に一致する限りにおいて最も広範な適用範囲が認められるべきであり、ここにおいて、単数形の要素への言及は、その旨の特記がないかぎり「1つおよび1つのみ」を意味することは意図されず、むしろ「1つまたは複数」であることを意味することが意図される。別の特記がないかぎり、用語「幾つか」は、1つまたは複数を意味する。項目のリストのうちの「少なくとも1つ」を意味する句は、単一のメンバーを含むそれらの項目の任意の組み合わせを意味する。例として、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、a、b、c、aとc、bとc、およびaとbとcを網羅することが意図される。この開示全体を通じて説明され、当業者に知られているまたはのちに知られることになる様々な態様の要素のすべての構造上のおよび機能上の同等物は、引用によって本明細書に明示で組み入れられており、請求項によって包含されることが意図される。さらに、本明細書において開示されるいずれのものも、そのような開示が請求項において明示で記述されているかどうかにかかわらず、公衆を対象にすることは意図されない。いずれの請求項要素も、その要素が句“〜のための手段”を使用して明示されないかぎり、または、方法請求項の場合は句「〜のためのステップ」を使用して記述されていないかぎり、35U.S.C.§112の第6段落の規定に基づいて解釈されるべきでない。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
バイオメトリックセキュリティ装置であって、
体の部位に関する生静電容量フレームの組をキャプチャするように構成された静電容量センサシステム、ここにおいて、各生静電容量フレームは、前記体の部位から測定された複数のキャパシタンスレベルの分布を含む、と、
生静電容量フレームの前記組に基づいて静電容量プロフィールを作成するための手段と、
前記静電容量プロフィールにおける第1の値を登録された体の部位から生成されたバイオメトリックテンプレート内の第2の値と比較し、ここにおいて、前記第1の値および前記第2の値は、前記静電容量プロフィールに関して同様の位置に所在され、および
前記第1の値と前記第2の値との間の差に基づいて認証信号を生成するように構成された処理システムと、を備える、バイオメトリックセキュリティ装置。
[C2]
生静電容量フレームの前記組に基づいて前記静電容量プロフィールを作成するための前記手段は、
分布された複数の平均化されたキャパシタンスレベルを備える結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの前記組を結合するための手段を備え、それらの各々は、静電容量フレームの前記組内のすべての生静電容量フレームにわたる各々の位置に関するすべてのキャパシタンスレベルの平均である、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C3]
前記認証信号は、前記静電容量プロフィールと前記バイオメトリックテンプレートとの間で合理的な一致が決定されたことを示す、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C4]
前記認証信号は、前記体の部位を前記登録された体の部位として識別する、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C5]
前記第1の値および前記第2の値は、各々、静電容量センサ配列の一部分によってキャプチャされた静電容量センサ測定値から決定された静電容量値を備える、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C6]
前記静電容量値は、前記静電容量センサ測定値の和を備える、
C5に記載のバイオメトリック認証装置。
[C7]
前記静電容量センサ配列の前記一部分からの前記静電容量センサ測定値は、前記静電容量センサ配列に対する垂直または水平方向のうちの1つに沿って取得された複数の静電容量センサ測定値を備える、
C5に記載のバイオメトリック認証装置。
[C8]
前記バイオメトリックテンプレートは、1つまたは複数の静電容量プロフィールを備え、各静電容量プロフィールは、前記登録された体の部位と接触している前記静電容量センサシステムによってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C9]
前記複数のキャパシタンスレベルの各キャパシタンスレベルは、前記静電容量センサシステム内の静電容量検知素子によって検知されたキャパシタンスレベルを備える、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C10]
前記静電容量センサシステムは、特定の形状での静電容量検知素子の配置を備え、各生静電容量フレーム内に含められた前記複数のキャパシタンスレベルは、前記特定の形状により配置される、
C1に記載のバイオメトリック認証装置。
[C11]
静電容量センサシステムに関するバイオメトリックセキュリティ方法であって、
前記静電容量センサシステムを介して体の部位に関する生静電容量フレームの組をキャプチャすること、ここにおいて、各生静電容量フレームは、前記体の部位から測定された複数のキャパシタンスレベルの分布を含む、と、
生静電容量フレームの前記組に基づいて静電容量プロフィールを作成することと、
前記静電容量プロフィールにおける第1の値を登録された体の部位から生成されたバイオメトリックテンプレート内の第2の値と比較すること、ここにおいて、前記第1の値および前記第2の値は、前記静電容量プロフィールに関して同様の位置に所在される、と
前記第1の値と前記第2の値との間の差に基づいて認証信号を生成することと、を備える、静電容量センサシステムに関するバイオメトリックセキュリティ方法。
[C12]
生静電容量フレームの前記組に基づいて前記静電容量プロフィールを前記作成することは、分布された複数の平均化されたキャパシタンスレベルを備える結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの前記組を結合することを備え、それらの各々は、静電容量フレームの前記組内のすべての生静電容量フレームにわたる各々の位置に関するすべてのキャパシタンスレベルの平均である、
C11に記載の方法。
[C13]
前記認証信号は、前記静電容量プロフィールと前記バイオメトリックテンプレートとの間で合理的な一致が決定されたことを示す、
C11に記載の方法。
[C14]
前記認証信号は、前記体の部位を前記登録された体の部位として識別する、
C11に記載の方法。
[C15]
前記第1の値および前記第2の値は、各々、静電容量センサ配列の一部分によってキャプチャされた静電容量センサ測定値から決定された静電容量値を備える、
C11に記載の方法。
[C16]
前記静電容量値は、前記静電容量センサ測定値の和を備える、
C15に記載の方法。
[C17]
前記静電容量センサ配列の前記一部分からの前記静電容量センサ測定値は、前記静電容量センサ配列に対する垂直または水平方向のうちの1つに沿って取得された複数の静電容量センサ測定値を備える、
C15に記載の方法。
[C18]
前記バイオメトリックテンプレートは、1つまたは複数の静電容量プロフィールを備え、各静電容量プロフィールは、前記登録された体の部位と接触している前記静電容量センサシステムによってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される、
C11に記載の方法。
[C19]
前記複数のキャパシタンスレベルの各キャパシタンスレベルは、前記静電容量センサシステム内の静電容量検知素子によって検知されたキャパシタンスレベルを備える、
C11に記載の方法。
[C20]
前記静電容量センサシステムは、特定の形状での静電容量検知素子の配置を備え、各生静電容量フレーム内に含められた前記複数のキャパシタンスレベルは、前記特定の形状により配置される、
C11に記載の方法。
[C21]
バイオメトリックセキュリティ装置であって、
体の部位に関する生静電容量フレームの組をキャプチャするように構成された静電容量センサシステム、ここにおいて、各生静電容量フレームは、前記体の部位から測定された複数のキャパシタンスレベルの分布を含む、と、
生静電容量フレームの前記組を受け取るために前記静電容量センサシステムに結合されたプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、
生静電容量フレームの前記組に基づいて静電容量プロフィールを作成し、
前記静電容量プロフィールにおける第1の値を登録された体の部位から生成されたバイオメトリックテンプレート内の第2の値と比較し、ここにおいて、前記第1の値および前記第2の値は、前記静電容量プロフィールに関して同様の位置に所在され、および
前記第1の値および前記第2の値との間の差に基づいて認証信号を生成するように構成される、バイオメトリックセキュリティ装置。
[C22]
前記プロセッサは、
分布された複数の平均化されたキャパシタンスレベルを備える結合された静電容量フレームを作成するために生静電容量フレームの前記組を結合するようにさらに構成され、それらの各々は、静電容量フレームの前記組内のすべての生静電容量フレームにわたる各々の位置に関するすべてのキャパシタンスレベルの平均である、
C21に記載の装置。
[C23]
前記認証信号は、前記静電容量プロフィールと前記バイオメトリックテンプレートとの間で合理的な一致が決定されたことを示す、
C21に記載の装置。
[C24]
前記認証信号は、前記体の部位を前記登録された体の部位として識別する、
C21に記載の装置。
[C25]
前記第1の値および前記第2の値は、各々、静電容量センサ配列の一部分によってキャプチャされた静電容量センサ測定値から決定された静電容量値を備える、
C21に記載の装置。
[C26]
前記静電容量値は、前記静電容量センサ測定値の和を備える、
C25に記載の装置。
[C27]
前記静電容量センサ配列の前記一部分からの前記静電容量センサ測定値は、前記静電容量センサ配列に対する垂直または水平方向のうちの1つに沿って取得された複数の静電容量センサ測定値を備える、
C25に記載の装置。
[C28]
前記バイオメトリックテンプレートは、1つまたは複数の静電容量プロフィールを備え、各静電容量プロフィールは、前記登録された体の部位と接触している前記静電容量センサシステムによってキャプチャされた1つまたは複数の生静電容量フレームから生成される、
C21に記載の装置。
[C29]
前記複数のキャパシタンスレベルの各キャパシタンスレベルは、前記静電容量センサシステム内の静電容量検知素子によって検知されたキャパシタンスレベルを備える、
C21に記載の装置。
[C30]
前記静電容量センサシステムは、特定の形状での静電容量検知素子の配置を備え、各生静電容量フレーム内に含められた前記複数のキャパシタンスレベルは、前記特定の形状により配置される、
C21に記載の装置。
[C31]
コンピュータプログラム製品であって、
静電容量センサシステムを介して体の部位に関する生静電容量フレームの組をキャプチャし、ここにおいて、各生静電容量フレームは、前記体の部位から測定された複数のキャパシタンスレベルの分布を含み、
生静電容量フレームの前記組に基づいて静電容量プロフィールを作成し、
前記静電容量プロフィールにおける第1の値を登録された体の部位から生成されたバイオメトリックテンプレート内の第2の値と比較し、ここにおいて、前記第1の値および前記第2の値は、前記静電容量プロフィールに関して同様の位置に所在され、および
前記第1の値と前記第2の値との間の差に基づいて認証信号を生成するためにバイオメトリックセキュリティシステムによって実行可能な命令を備える非一時的なコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータプログラム製品。