特許第6337158号(P6337158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337158一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337158
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/98 20060101AFI20180528BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 35/618 20150101ALI20180528BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20180528BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   A61K8/98
   A61Q19/00
   A61K35/618
   A61P17/00
   A61K38/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-574318(P2016-574318)
(86)(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公表番号】特表2017-513923(P2017-513923A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(86)【国際出願番号】CN2014093042
(87)【国際公開番号】WO2015135346
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2016年9月9日
(31)【優先権主張番号】201410097089.8
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516272722
【氏名又は名称】欧詩漫生物股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】OSM BIOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】楊 安全
(72)【発明者】
【氏名】王 菁
(72)【発明者】
【氏名】張 麗華
(72)【発明者】
【氏名】駱 建芬
(72)【発明者】
【氏名】謝 敏
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0087623(US,A1)
【文献】 特開2012−036116(JP,A)
【文献】 特開2005−002041(JP,A)
【文献】 特開2010−095464(JP,A)
【文献】 特表2000−504314(JP,A)
【文献】 特開昭54−064692(JP,A)
【文献】 中国特許第103333222(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/98
A61K 35/618
A61K 38/00
A61P 17/00
A61Q 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の手順を含むことを特徴とする一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
1)真珠をナノレベルに粉砕して真珠粉を作製し、前記真珠粉と、当該真珠粉の質量の5〜10倍の質量の脱イオン水とを、圧力0.5〜20MPa及び温度30〜60℃で混合する。
2)前記混合により得られた混合物を電気透析装置の脱塩槽に入れ、脱イオン水を当該電気透析装置の濃縮槽に入れ、前記濃縮槽中の脱イオン水と前記脱塩槽中の混合物との体積比を、1:15〜1:2にする。
3)前記濃縮槽中の脱イオン水及び前記脱塩槽中の混合物に、30〜40Vの電圧を印加し、循環脱カルシウムを1〜3h行った後、分離して、カルシウム含有塩溶液及び真珠タンパク質溶液を取得する。
)取得したカルシウム含有塩溶液を可溶食用カルシウム又は可溶食用カルシウムの原料とする。
)取得した真珠タンパク溶液に、その5〜20倍の質量のpH値6.5〜7.5のリン酸塩緩衝液を入れた後、均一にする。
)まず100〜120℃、0.15〜0.2MPaの環境に入れて前処理を20〜60分間実施してから、混合液を反応鍋に置き、システム質量0.5%〜2%の中性プロテアーゼを入れ、40〜70℃の温度の下で酵素触媒反応を4〜8時間行い、反応終了後、沸騰水浴で酵素を5〜15分間不活性化し、遠心を行って上澄み液を除去することによって、真珠ホワイトニング因子溶液を取得する。
【請求項2】
真珠粉の粒度が10〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
【請求項3】
脱イオン水と前記混合物との体積比が1:10〜1:2であることを特徴とする請求項1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
【請求項4】
前記取得したカルシウム含有塩溶液を濾過することによって、透き通っている液を取得し、これから滅菌処理と無菌充填を行った後、真珠可溶性液体カルシウムを得ることを特徴とする請求項1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
【請求項5】
取得するカルシウム含有溶液に対して、真空乾燥を行うことによって、粉状真珠タンパク質保健品及び化粧品原料に調製することを特徴とする請求項1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
【請求項6】
珠ホワイトニング因子溶液に対して滅菌処理と無菌充填を行ことを特徴とする請求項1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真珠加工方法に係り、特に一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法に係る。
【背景技術】
【0002】
現在、真珠粉の応用プロセスにおいて、過去に顆粒寸法関連の潜在的な安全上の問題、悪い流動性、水における不溶性及び効き目成分釈放困難等の多くの問題が発生しており、これらの問題点は、真珠粉の応用分野に直接影響を与える。以上の問題を解決する為に、業界内において、水溶性真珠粉及び真珠加水分解液へ発展している。但し、このプロセスにおいて、我々は、簡単に元々の成分の複合又は粗い加水分解のみ実施し、その中の各成分の効き目を研究しておらず、精細な分離・純化を稀に実施している。
【0003】
中国発明特許(特許出願番号:93117551.8、出願日:1993-09-18)は、一種の真珠及び真珠層粉を原料として有機酸と反応し、水酸化ナトリウムによる中和、濾過、濃縮、結晶、乾燥と粉砕を行い、粉末にすることで真珠カルシウムを調製する方法及び得られる真珠カルシウムを公開した。当製品は、20%wt位のカルシウム及び多種のアミノ酸を含有し、水に溶けやすく、人体により容易に吸収されるので、人体のカルシウム補足の為の理想的なカルシウム源である。
【0004】
中国発明特許(特許出願番号:200710035508.5、出願日:2007-08-03)は、一種の水溶性混合活性真珠カルシウム及びその調製方法を公開した。その方法は、下記の手順を含む。1)真珠とカラスガイのむき身を粉砕して挽きつぶしてから混合すること。2)ハイドロゲルを入れて混合スラリーに研磨すること。3)生体酵素を入れて酵素的分解を行うこと 。4)陰圧濾過を実施して濾液1を得ること。5)濾過滓を酸分解缶に入れ、適量の乳酸を加えてから、加熱し、それに加えて、0.5〜1時間攪拌すること。6)陰圧濾過を行うことによって濾液2を得ること。7)手順6)で得られた濾過滓を酸分解缶に入れ、適量のリン酸を加えてから、攪拌、加水分解と濾過を行った後加水分解液3を得ること。8)濾液1、濾液2及び加水分解液3を混合し、かき混ぜてからPH値を5〜6に調節した後、本発明における水溶性混合活性真珠カルシウム液を得ること。9)手順8)で得られたカルシウム液を濃縮・乾燥してから粉砕した後、粉末剤に調製すると、水溶性混合活性真珠カルシウム粉が製作される。
【0005】
中国発明特許(特許出願番号:200910186567.1、出願日:2009-11-27)は、一種の高品質水溶真珠カルシウム粉の調製方法及びその応用製品を公開した。前記の水溶真珠カルシウム粉の調製方法は、下記の手順を含む。川真珠貝を使用して粗い粉を作り、それに加えて、濾過ケーキを製作する。重量比0.05-2.95:2.95-0.05(真珠:真珠層粉末)によって、飲料水を入れてから、混合してかき混ぜた後、研磨する。それから、少しの飲料水で研磨盤を洗い流した後パルプ材に加える。この後、酵素的分解タンクに入れ、加熱した後、食用レベルの枯草菌中性プロテアーゼを入れて酵素加水分解を行った後、濾液は、複合アミノ酸液(A液と称される)である。濾過ケーキを酸分解タンクに置き、乳酸を入れ、加熱し、攪拌しながら加水分解を行う。固形物が基本的に溶けた後、操作を終止することができる。これからpH6.3-6.6になるよう調節し、濾過した後、濾液は、水溶性真珠カルシウム液(B液と称される)である。120℃の条件の下で結晶水を取り去る。A、B液を混合した後、噴霧乾燥を行うことによって、水溶性真珠粉が製作される。
【0006】
中国発明特許(特許出願番号:201310383763.4、出願日:2013-08-29)は、川真珠貝を利用して可溶性真珠カルシウムを調製する方法を公開した。川真珠貝を懸濁液に調製してから、ソーダ及びタウリンをそれぞれ溶液に調製し、ソーダ溶液を55-85℃に加熱し、懸濁液とソーダ溶液との体積比が1:3-6である条件の下で、懸濁液をソーダ溶液に入れて均一に混ぜ、55-85℃の定温で60-72時間保持した後、懸濁液とタウリン溶液との体積比が1:3-6である条件の下で、タウリン溶液を入れて均一に混ぜ、川真珠貝細粉が完全に溶けるまで操作し、カルシウム化(石灰化)液を得る。この後、濃縮・乾燥した後可溶性真珠カルシウムを得る。
【0007】
中国発明特許(特許出願番号:01139157.X、出願日:2001-12-19)は、一種の真珠粉の生体酵素による分解調製方法を公開した。肝心な点としては、乳酸水溶性を溶媒とし、真珠を溶解し、それに加えて、溶液のpH値を中性位に調整する。それから、酸で酸性に改めて調整した後、適量の生物活性酵素を入れて触媒作用の下でタンパク質を分解し、酵素的分解後の真珠膠状液を得る。噴霧乾燥法で酵素的分解後の真珠膠状液を速く乾燥させ、固化・造粒を行った後、非常に細かい酵素的分解真珠粉を得る。製作された真珠粉に真珠の中の多種のアミノ酸と微量元素等の有効成分を保留し、それに加えて、真珠の中の炭酸カルシウムを人体が吸収し易い活性カルシウムに転換し、酵素で胃酸に溶けないケラチンを吸収し易いフリーアミノ酸に分解する。
【0008】
中国発明特許(特許出願番号:200710141569.X、出願日:2007-08-07)は、一種の真珠活性ペプチドの調製方法を公開した。新しくて生きている川真珠貝から真珠粒を取り出した後、洗浄し、真珠粒を脱イオン水と混ぜた後、リン酸塩緩衝液で混合液のPH値を中性からやや酸性にするよう調整してから、セラペプターゼで真珠粒と酵素加水分解反応を行う。それから、ストレーナーで濾過・分離を行った後、真珠粒と澄みきっている液を得る。この後、反応液を水と一緒に煮ることによって酵素を不活性化する。得る溶液に対して、噴霧乾燥を実施することによって、真珠活性ペプチドを得る。
【0009】
中国発明特許(特許出願番号:200910114409.5、出願日:2009-09-18)は、真珠加水分解液の調製方法を公開した。そのステップは、次のとおりである。1)真珠粉を取って塩酸水溶性真珠液に置き、反応が完全に行うまでかき混ぜる。アンモニア水で当混合物のpH値を中性まで調節した後、遠心することよって、沈殿物Aを得る。2)沈殿物Aを浄化水で溶解してから、アンモニア水でそのpH値を7.5〜8.5に調節した後、遠心することによって沈殿物Bを得る。3)沈殿物Bを浄化水で溶解してから、酵素を入れて酵素的分解を行い、酵素的分解液に対して遠心処理を行った結果、上澄み液と沈殿Cを得る。前記の酵素は、カタツムリプロテアーゼとパパインとの混合物であり、添加量が沈殿物Bの重量の0.3〜1.05%である。4)沈殿物Cを浄化水で溶解してから酵素を入れ、二次酵素的分解を行い、遠心した後、上澄み液を収集する。酵素が膵プロテアーゼ、パパインと中性プロテアーゼの混合物であり、添加量が沈殿物Bの重量の0.2〜0.45%である。5)二回の上澄み液を混合し、沸騰させた後、穴径が1〜3nmであるナノ濾過膜で濾過することで真珠加水分解液を得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の技術問題を解決する為に、本発明の目的として、一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法を提供することである。当方法は、機械・化学原理を利用して真珠粉に対して事前処理を行うことによって、真珠粉の反応表面積及び結晶体構造を改善し、速くて破損無しで真珠の効き目成分を分離し、真珠液体カルシウム及び真珠複合ホワイトニング因子溶液を取得し、真珠スキンケア製品及び保健品に原料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を実現する為に、本発明は下記の技術案を採用する。
【0012】
一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法であり、当該方法は、下記の手順を含む。
【0013】
1)真珠をナノレベルに粉砕してから、その5〜10倍の質量の脱イオン水を入れた後、圧力0.5〜20MPaと温度30〜60℃との相乗効果を通じて、真珠粉に対してマイクロエマルション処理を行う。
【0014】
2)それから真珠粉乳液に対して電気透析を行う。電気透析の選択圧力が30〜40Vであり、流速が60〜80L/hであり、塩水池に脱イオン水を入れ、淡水池に真珠粉乳液を入れ、脱イオン水と真珠粉乳液との体積比が1:15〜1:2であり、循環脱カルシウムを1〜3h行った後、分離して、カルシウム含有塩溶液及び真珠タンパク質溶液を取得する。
【0015】
3)取得したカルシウム含有塩溶液を可溶食用カルシウム又は可溶食用カルシウムの原料とする。
【0016】
4)取得した真珠タンパク溶液に、その5〜20倍の質量のpH値6.5〜7.5のリン酸塩緩衝液を入れた後、均一にする。
【0017】
5)まず100〜120℃、0.15〜0.2MPaの環境に入って前処理を20〜60分間実施してから、混合液を反応鍋に置き、システム質量0.5%〜2%の中性プロテアーゼを入れ、40〜70℃温度の下で酵素触媒反応を4-8時間行い、反応終了後、沸騰水浴で酵素を5〜15分間不活性化し、遠心を行って上澄み液を除去することによって、真珠複合ホワイトニング因子溶液を取得する。
【0018】
好ましくは、前記真珠粉の粒度が10〜100nmである。
【0019】
好ましくは、前記の脱イオン水と真珠粉乳液との体積比が1:10〜1:2である。
【0020】
好ましくは、前記取得したカルシウム含有塩溶液を濾過することによって、透き通っている液を取得し、これから滅菌処理と無菌充填を行った後、真珠可溶性液体カルシウムを得ること。
【0021】
好ましくは、前記取得したカルシウム含有塩溶液に対して、真空乾燥研磨を行うことによって、粉状真珠タンパク質保健品及び化粧品原料に調製すること。
【0022】
好ましくは、前記真珠複合ホワイトニング因子溶液に対して滅菌処理と無菌充填を行い、カバーを圧着した後、真珠複合ホワイトニング因子溶液に調製すること。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記の技術案を採用するので、真珠粉の中の効き目成分を分離し、それに加えて、機械・化学原理を調製方法に応用する。機械的方法は、真珠粉成分活性の基礎の下で、真珠粉の重要な成分の分離・抽出を行い、真珠粉の中のタンパク質を取得し、それに加えて、純化してから酵素的分解を行うことによって、真珠粉のホワイトニングの役割を一層有効に発揮できる。この方法を応用することによって、真珠粉の応用分野を大幅に拡大し、それに加えて、真珠粉の高度加工応用を精細化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態1の方法において、15minおきに、真珠粉乳液の中の導電率を抜き取り検査で測定する曲線図である。
図2】実施形態1の方法において、15minおきに、真珠粉乳液の中のカルシウム塩含有量を抜き取り検査で測定する曲線図である。
図3】実施形態1において、圧力温度処理後の真珠タンパク質と未処理の真珠のタンパク質とを比較すると、酵素的分解効果に明らかな改善作用を表すことである。
図4】実施形態1で調製した真珠複合ホワイトニング因子の溶液成分分析図である。
図5】実施形態1で調製した真珠複合ホワイトニング因子のチロシン酵素活性に対する影響図である。
図6】実施形態1で調製した真珠複合ホワイトニング因子溶液の細胞の成長に対する影響図である。
図7】実施形態1で調製した真珠複合ホワイトニング因子の細胞内メラニン含有量に対する影響図である。
図8】顕微鏡で観察した真珠複合ホワイトニング因子の細胞に対する影響であり、aとcは、それぞれ真珠複合ホワイトニング因子を添加した後24hと48hの細胞成長状況を表す。bとdは、それぞれ真珠複合ホワイトニング因子を添加しない状況の下で、24hと48h内の細胞成長状況を表す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、具体的な実施形態と結びづけて、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、下記の実施形態に限らない。
【0026】
(実施形態1)
一種の真珠からの可溶食用カルシウムを分離して取得する方法であり、下記の原料及び手順を含む。真珠をナノレベル10〜100nmに粉砕してから、その6倍の質量の脱イオン水を入れた後、圧力1MPaと温度50℃との相乗効果を通じて、真珠粉に対してマイクロエマルション処理を行う。これから真珠粉乳液に対して電気透析を行う。電気透析の選択圧力が30〜40Vであり、流速が60〜80L/hであり、塩水池に5Lの脱イオン水を入れ、淡水池に15Lの真珠粉乳液を入れ、循環脱カルシウムを1〜3h行った後、15minおきに、真珠粉乳液の中の導電率及びカルシウム塩含有量を抜き取り検査した結果を、図1及び図2に示す。前記取得したカルシウム含有塩溶液を濾過することによって、透き通っている液を取得し、滅菌処理と無菌充填を行うことによって、真珠可溶性液体カルシウムを得る。
【0027】
取得した真珠タンパク溶液に、その10倍の質量のpH値7.0のリン酸塩緩衝液を入れた後、均一にする。まず120℃、0.15MPaの環境に入って前処理を40分間実施してから、混合液を反応鍋に置き、システム質量1.0%の中性プロテアーゼを入れ、40℃の温度の下で酵素触媒反応を6時間行い、反応終了後、沸騰水浴で酵素を5〜15分間不活性化し、遠心を行って上澄み液を除去することによって、真珠複合ホワイトニング因子溶液を取得する。
【0028】
(実施形態2)
一種の真珠からの可溶食用カルシウムを分離して取得する方法であり、下記の原料及び手順を含む。真珠をナノレベル10〜100nmに粉砕してから、その10倍の質量の脱イオン水を入れた後、圧力10MPaと温度40℃との相乗効果を通じて、真珠粉に対してマイクロエマルション処理を行う。これから真珠粉乳液に対して電気透析を行う。電気透析の選択圧力が30〜40Vであり、流速が60〜80L/hであり、塩水池に5Lの脱イオン水を入れ、淡水池に10Lの真珠粉乳液を入れ、循環脱カルシウムを2h行う。取得するカルシウム含有溶液に対して、真空乾燥研磨を行うことによって、粉状真珠タンパク質保健品及び化粧品原料に調製する。
【0029】
取得した真珠タンパク溶液に、その15倍の質量のpH値6.5のリン酸塩緩衝液を入れた後、均一にする。まず100℃、0.2MPaの環境に入れて前処理を40分間実施してから、混合液を反応鍋に置き、システム質量1.0%の中性プロテアーゼを入れ、40℃の温度の下で酵素触媒反応を6時間行い、反応終了後、沸騰水浴で酵素を5〜15分間不活性化し、遠心を行って上澄み液を除去することによって、真珠複合ホワイトニング因子溶液を取得する。
【0030】
(実施形態3)
一種の真珠からの可溶食用カルシウムを分離して取得する方法であり、下記の原料及び手順を含む。真珠をナノレベル10〜100nmに粉砕してから、その10倍の質量の脱イオン水を入れた後、圧力15MPaと温度30℃との相乗効果を通じて、真珠粉に対してマイクロエマルション処理を行う。これから真珠粉乳液に対して電気透析を行う。電気透析の選択圧力が30〜40Vであり、流速が60〜80L/hであり、塩水池に2Lの脱イオン水を入れ、淡水池に10Lの真珠粉乳液を入れ、循環脱カルシウムを2h行う。取得するカルシウム含有溶液に対して、真空乾燥研磨を行うことによって、粉状真珠タンパク質保健品及び化粧品原料に調製する。
【0031】
取得した真珠タンパク溶液に、その8倍の質量のpH値7.5のリン酸塩緩衝液を入れた後、均一にする。まず120℃、0.15MPaの環境に入れて前処理を60分間実施してから、混合液を反応鍋に置き、システム質量1.0%の中性プロテアーゼを入れ、50℃の温度の下で酵素触媒反応を5時間行い、反応終了後、沸騰水浴で酵素を5〜15分間不活性化し、遠心を行って上澄み液を除去することによって、真珠複合ホワイトニング因子溶液を取得する。
【0032】
(試験例1)
1、実施形態1で調製した真珠複合ホワイトニング因子溶液の成分分析。
【0033】
アミノ酸分析装置、ケルダール装置及び原子吸光光度計等の計測器で精密に検出を行った結果、下記のデータを取得した。これらのデータから見ると、昔の加水分解真珠液のタンパク質含有量>0.15%と比べて、真珠複合ホワイトニング因子溶液のタンパク質含有量が1.58%であり、タンパク質含有量が明らかに向上した。それに加えて、カルシウムイオンを検出していないので、溶液にカルシウム元素がないことを説明する。
【0034】
真珠複合ホワイトニング因子溶液成分分析表
【表1】
【0035】
2、分子量分析
【0036】
液相タンデム質量スペクトル分析を行った結果、真珠複合ホワイトニング因子における有効成分分子量が皆1000Da以内であるのを見つけたので、タンパク質の酵素的分解が完全であることを説明する。ポリペプチドは、オリゴ・ペプチド、トリペプチド、ジペプチド及び各種類のアミノ酸である。皮膚の吸収に有利で、それに加えて、ポリペプチド及びアミノ酸の活性機能の十分な発揮を促すことができる。
【0037】
3、メラニンの抑制
【0038】
1)真珠複合ホワイトニング因子溶液によるチロシン酵素に対する影響。
【0039】
真珠複合ホワイトニング因子は、チロシン酵素の活性を明らかに抑制できる。8%濃度の時に、真珠複合ホワイトニング因子の細胞内チロシン酵素の活性に対する抑制は、半抑制用量に達する。
【0040】
2)真珠複合ホワイトニング因子溶液によるB16黒色腫細胞に対する影響。
【0041】
A、細胞成長に対する影響
【0042】
B16細胞成長の結果によって、サンプル濃度が10%である場合、細胞生存率に殆ど影響を与えず、それに加えて、対照組と比べて、真珠複合ホワイトニング因子は、細胞成長を促進できる。
【0043】
B、細胞内のメラニンに対する影響
【0044】
結果によって、4%濃度の時に、真珠複合ホワイトニング因子溶液は、メラニンの相対的な含有量を明らかに低減できる。
(付記)
(付記1)
下記の手順を含むことを特徴とする一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
1)真珠をナノレベルに粉砕してから、その5〜10倍の質量の脱イオン水を入れた後、圧力0.5〜20MPaと温度30〜60℃との相乗効果を通じて、真珠粉に対してマイクロエマルション処理を行う。
2)それから真珠粉乳液に対して電気透析を行う。電気透析の選択圧力が30〜40Vであり、流速が60〜80L/hであり、塩水池に脱イオン水を入れ、淡水池に真珠粉乳液を入れ、脱イオン水と真珠粉乳液との体積比が1:15〜1:2であり、循環脱カルシウムを1〜3h行う。分離して、カルシウム含有塩溶液及び真珠タンパク質溶液を取得する。
3)取得したカルシウム含有塩溶液を可溶食用カルシウム又は可溶食用カルシウムの原料とする。
4)取得した真珠タンパク溶液に、その5〜20倍の質量のpH値6.5〜7.5のリン酸塩緩衝液を入れた後、均一にする。
5)まず100〜120℃、0.15〜0.2MPaの環境に入れて前処理を20〜60分間実施してから、混合液を反応鍋に置き、システム質量0.5%〜2%の中性プロテアーゼを入れ、40〜70℃の温度の下で酵素触媒反応を4〜8時間行い、反応終了後、沸騰水浴で酵素を5〜15分間不活性化し、遠心を行って上澄み液を除去することによって、真珠複合ホワイトニング因子溶液を取得する。
(付記2)
真珠粉の粒度が10〜100nmであることを特徴とする付記1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
(付記3)
脱イオン水と真珠粉乳液との体積比が1:10〜1:2であることを特徴とする付記1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
(付記4)
前記取得したカルシウム含有塩溶液を濾過することによって、透き通っている液を取得し、これから滅菌処理と無菌充填を行った後、真珠可溶性液体カルシウムを得ることを特徴とする付記1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
(付記5)
取得するカルシウム含有溶液に対して、真空乾燥研磨を行うことによって、粉状真珠タンパク質保健品及び化粧品原料に調製することを特徴とする付記1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
(付記6)
真珠複合ホワイトニング因子溶液に対して滅菌処理と無菌充填を行い、カバーを圧着した後、真珠複合ホワイトニング因子溶液に調製することを特徴とする付記1に記載の一種の真珠からの真珠抽出物分離・製造方法。
図1
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図3
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図5
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図7
図8