(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6337166
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】調味液充填袋詰め包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/54 20060101AFI20180528BHJP
B65B 43/18 20060101ALI20180528BHJP
B65B 43/36 20060101ALI20180528BHJP
B65B 5/04 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
B65B43/54 A
B65B43/18
B65B43/36 A
B65B5/04
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-29825(P2017-29825)
(22)【出願日】2017年2月21日
【審査請求日】2017年8月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597123870
【氏名又は名称】株式会社トーヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100110537
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 繁
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 均
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−246134(JP,A)
【文献】
特開2007−320610(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3185544(JP,U)
【文献】
特開平06−008915(JP,A)
【文献】
実開昭52−054369(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/54
B65B 5/04
B65B 43/18
B65B 43/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンコンベアの進行方向に対して直交方向に進退可能に所定間隔に係合され、調味液充填物を載せる供給トレーと、直交方向に前進した供給トレーのトレー先端部に向けて斜めに配置されたエアー噴射ノズルと、前記チェーンコンベアの終端より上流側に並列に始端側を配置し、前記チェーンコンベア側のフレーム側板を高くして反対側を低くして傾斜状態で搬送する傾斜ベルトコンベアと、前記チェーンコンベアの終端と前記傾斜ベルトコンベアの始端とを袋詰め位置合わせして配置し、包装袋を複数枚上下に積層させた袋ホッパーと、該袋ホッパーと前記傾斜ベルトコンベアとの上方空間を往復動及び上下動して吸着ホルダーにより包装袋を袋詰め位置へ供給する吸着ブロックとからなることを特徴とする調味液充填袋詰め包装装置。
【請求項2】
前記傾斜ベルトコンベアのフレーム側板に水平に包装袋下端押え板が固定され、該包装袋下端押え板は、各供給トレーに対応する位置に半円弧状の切欠き部又はV字状の切欠き部を形成することを特徴とする請求項1記載の調味液充填袋詰め包装装置。
【請求項3】
前記切欠き部に対応する下方位置には、押上板を設けた袋口開口規制板を設け、該袋口開口規制板を押上シリンダーにより駆動される押上ロッドにより上下動自在とすることを特徴とする請求項2記載の調味液充填袋詰め包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋が開口され、エアーノズルの強風圧送下の包装袋が吸着ホルダーから離脱することなく、調味液充填物の袋詰めができる調味液充填袋詰め包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先行技術としての袋詰め包装装置を開発した(特許文献1を参照)。
この公知技術は、袋ホルダーの上部で昇降する吸着ホルダーによって包装袋の上面を吸着保持し、エアーノズルから弱風を供給して前記包装袋の袋口部より予備開口し、該開口状態の包装袋に袋開きホルダーが挿入され、該袋開きホルダーの底面先端部分に突き当たったエアーノズルのエアーは、前記袋口部から内部に強風状態で吹き込まれ、包装袋全体を開口して袋内部に袋開きホルダーを介して充填物が袋詰めされるものである。
しかし、エアーノズルからの強風状態の吹き込み時における包装袋下面の垂れ下がりを防止する手段、すなわち、袋口部の開口状態を制限する規制手段がないため、垂れ下がりが増大し、その張力によって吸盤の外方側周縁から剥離が生じ、ついには吸着ホルダーから包装袋が離脱するという不具合があった。
【0003】
また、吸着ホルダーによって保持された包装袋が、エアーノズルから吹き込まれた送風圧によって離脱することなく、かつ包装袋に充填物を供給する袋開きホルダーによる袋詰め不良を事前に検知できる袋詰め包装装置が知られている(特許文献2を参照)。
この公知技術は、供給コンベアで移送される複数個の袋開きホルダーに対向して上下の吸着ホルダーと袋ホルダーとを複数対配設し、前記吸着ホルダーと前記袋ホルダーとの間に袋開きホルダー側に向けて前後進自在な搬出テーブルを設け、該搬出テーブルの前進側端部に一体に袋口開口規制板を設けたものであるから、袋口開口規制板と袋開きホルダーとに弱電流が通電される警報回路により、袋開きホルダーが包装袋に挿入されず、包装袋の底面外に袋開きホルダーが露出状態となった時には、警報回路を閉じて警報を鳴らすことができるものである。
しかし、これら上記の公知技術は、調味液充填物、例えばウナギの蒲焼を充填する調味液入り包装袋では袋口から調味液が溢れ出て不良品の発生が生じるため、調味液充填物の袋詰め包装装置には適しないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−320610号公報
【特許文献2】実用新案登録第3185544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、吸着ホルダーによって吸着保持された包装袋が、その袋口部から吹き込まれた送風圧によって吸着ホルダーから離脱することなく、調味液を溢(こぼ)すことなく調味液充填物を袋詰めできる調味液充填袋詰め包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の調味液充填袋詰め包装装置は、チェーンコンベアの進行方向に対して直交方向に進退可能に所定間隔に係合された供給トレーと、直交方向に前進した供給トレーのトレー先端部に向けて斜めに配置されたエアー噴射ノズルと、前記チェーンコンベアの下流側に並列に配置し、前記チェーンコンベア側のフレーム側板を高くして反対側を低くして傾斜状態で搬送する傾斜ベルトコンベアと、前記チェーンコンベアと前記傾斜ベルトコンベアとの袋詰め位置合わせして配置し、包装袋を複数枚上下に積層させた袋ホッパーと、該袋ホッパーと前記傾斜ベルトコンベアとの上方空間を往復動及び上下動して吸着ホルダーにより包装袋を袋詰め位置へ供給する吸着ブロックとからなる。
前記傾斜ベルトコンベアのフレーム側板に水平に包装袋下端押え板が固定され、該包装袋下端押え板は、各供給トレーに対応する位置に半円弧状の切り欠き部又はV字状の切り欠き部を形成する。
前記切欠き部に対応する下方位置には、押上板を設けた袋口開口規制板を設け、該袋口開口規制板を押上シリンダーにより駆動される押上ロッドにより上下動自在とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の調味液充填袋詰め包装装置は、チェーンコンベアの進行方向に対して直交方向に進退可能に所定間隔に係合された供給トレーと、直交方向に前進した供給トレーのトレー先端部に向けて斜めに配置されたエアー噴射ノズルと、前記チェーンコンベアの下流側に並列に配置し、前記チェーンコンベア側のフレーム側板を高くし反対側を低くして傾斜状態で搬送する傾斜ベルトコンベアと、前記チェーンコンベアと前記傾斜ベルトコンベアとの袋詰め位置合わせして配置し、包装袋を複数枚上下に積層させた袋ホッパーと、該袋ホッパーと前記傾斜ベルトコンベアとの上方空間を往復動及び上下動して吸着ホルダーにより包装袋を袋詰め位置へ供給する吸着ブロックとからなるから、吸着ホルダーに吸着された包装袋は、供給トレーのトレー先端部を介してその内部に強風状態でエアーが吹き込まれた時でも、包装袋口部の下面が包装袋下端押え板及び傾斜ベルトコンベアで支持されるから、吸着ホルダーの吸盤に対して包装袋の吸着面が常に安定して確保されるので、安定的な吸着保持が図られる。
また、包装袋下端押え板と袋口開口規制板の押上板とを設けたから、供給トレーが包装袋に挿入されず、包装袋の底面外に前記供給トレーが露出状態の場合でも、警報回路が閉じて警報を鳴らし、袋詰め不良となることを事前に確認でき、経済的な損失を最小限に食い止めることができるし、また包装袋口部の下部を押上板で押し上げるので、調味液を充填する際に包装袋の口部から調味液が溢れ出ることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の調味液充填袋詰め包装装置の斜視図である。
【
図3】本発明における包装袋下端押え板の(a)半円弧状の切り欠き部、(b)V字状の切り欠き部の斜視図である。
【
図6】押出プッシャー及び調味液充填ノズル挿入時の一部省略側面図である。
【
図7】押出プッシャー及び調味液充填ノズル挿入時の一部省略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の調味液充填袋詰め包装装置の一実施例を添付図面に基づいて、以下に詳細に説明する。
図1の斜視図に示すように、本発明の調味液充填袋詰め包装装置は、チェーンコンベア(図示省略)の進行方向に対して直交方向に進退可能に所定間隔に係合された供給トレー1と、直交方向に前進した供給トレー1のトレー先端部8に向けて斜めに配置されたエアー噴射ノズル2と、前記チェーンコンベアの下流側に並列に配置し、前記チェーンコンベア側のフレーム側板3を高くし反対側を低くして傾斜状態で搬送する傾斜ベルトコンベア4と、前記チェーンコンベアと前記傾斜ベルトコンベア4と並列状に袋詰め位置合わせして配置し、包装袋5を複数枚上下に積層させた袋ホッパー(図示省略)と、該袋ホッパーと前記傾斜ベルトコンベア4との上方空間を往復動及び上下動して吸着ホルダー6により包装袋5を袋詰め位置へ供給する吸着ブロック7とからなる。
【0010】
前記供給トレー1は、架台上に軸支されたエンドレスチェーンに所定間隔で接合されたベースプレートを設け、該ベースプレートに直交方向に進退可能に係合された案内ブロック上に係合される。
調味液充填物、例えばウナギの蒲焼(図示省略)が供給トレー1に載せられて移動し、袋詰め位置で供給トレー1が直交方向に前進して包装袋5口部に挿入される。そして押出プッシャー20(
図6を参照)により供給トレー1から調味液充填物が押し出されて包装袋5内に充填される。
前記エアー噴射ノズル2は、直交方向に前進した供給トレー1のトレー先端部8に向けて斜めにエアーを噴射するように配置される。前記トレー先端部8に当たったエアーは向きを変えて包装袋5の口部に向かい、包装袋5の口部を開口する。
前記フレーム側板3は、傾斜ベルトコンベア4の架台に設けた両側の側面板である。
【0011】
前記傾斜ベルトコンベア4は、チェーンコンベア側を高くし袋ホッパー側を低くした傾斜状態で袋詰め位置から、袋詰めされた包装袋5を真空包装装置(図示省略)へ搬送する。
前記包装袋5は、袋ホッパーに積重ねられ、最上部から吸着ホルダー6により吸着されて袋詰め位置へ移送される。袋詰め位置で調味液充填物が挿入されると、袋口部を高くした傾斜状態で傾斜ベルトコンベア4により真空包装装置へ搬送される。
前記吸着ホルダー6は、袋ホッパーと前記傾斜ベルトコンベア4との上方空間を往復動及び上下動して袋詰め位置へ包装袋5を供給する。
前記吸着ブロック7は、本実施例では3基設け、下面に設けた吸着ホルダー6により包装袋5を吸着し、往復移送装置9により袋詰め位置へ供給する。
【0012】
図2の一部省略正面図に示すように、往復移送装置9に固定された吸着ブロック7の吸着ホルダー6により包装袋5を吸着し、開口された包装袋5の口部に供給トレー1が挿入される。傾斜ベルトコンベア4のフレーム側板3に取付部10により包装袋下端押え板11が水平に固定される。前記包装袋下端押え板11は、
図3の斜視図に示すように、各供給トレー1に対応する位置に(a)半円弧状の切り欠き部12、(b)V字状の切り欠き部13をそれぞれ形成する。
図2に示すように、前記切欠き部12,13に対応する下部位置には、絶縁材14及び押上板15を設けた袋口開口規制板16を設け、押上シリンダー17により駆動される押上ロッド18により袋口開口規制板16を固定する。前記押上板15は、包装袋5の有無を検知するため、リード線19により弱電流を流し、供給トレー1と直接接触することで包装袋5の無を検知する。また、前記押上板15は、包装袋5の口部下部を持ち上げ、包装袋5に充填噴射された調味液が溢れ出ないようにする。
【0013】
次に、本発明の調味液充填袋詰め包装装置の操作動作を添付図面より、以下に具体的に説明する。
このように構成して成る調味液充填袋詰め包装装置は、
図1に示す状態では、吸着ブロック7の下面に設けた吸着ホルダー6により袋ホッパー(図示省略)から包装袋5を吸着し、往復移送装置9により袋詰め位置(供給トレー1と傾斜ベルトコンベア4とが並列に重なり合っている場所)へ供給し、前記吸着ホルダー6が吸盤によって包装袋5の上面を吸着して傾斜ベルトコンベア4の上方に待機している。
また、供給トレー1がやや前進しエアー噴射ノズル2からエアーが噴出し、包装袋5の口部下部が包装袋下端押え板11の切り欠き部12によりエアー下降気流により下方に広がり、包装袋5が大きく開口状態に置かれている。
なお、袋口開口規制板16は、下降位置にあり、包装袋5に調味液充填物はまだ挿入されていない。
【0014】
図4の側面図及び
図5の正面図に示すように、次に、包装袋5に供給トレー1のトレー先端部8が挿入され、袋口開口規制板16が上昇して押上板15が供給トレー1の下部に接触する。
図4及び
図5に示すように包装袋5が存在するときには、押上板15が通電しないので包装袋5の「有」を検知して袋詰め動作が継続するが、包装袋5が存在しないときには、供給トレー1と押上板15が直接接触し、通電して包装袋5の「無」を検知する。
包装袋5の「無」を検知すると袋詰め動作を中断し、それぞれの動作を初期位置に戻す。
【0015】
図4及び
図5の吸着ホルダー6の吸着状態を保持した状態で、袋口開口規制板16が下降し、供給トレー1がさらに前進して包装袋5内に挿入され、
図6及び
図7に示す押出プッシャー20により調味液充填物、例えばウナギの蒲焼22を押し出して包装袋5内に充填する。
図6の側面図及び
図7の正面図に示すように、そして、供給トレー1が後退した後、吸着ホルダー6の吸着を解除した状態で、前記調味液充填ノズル21で包装袋5を支えながら、調味液充填ノズル21から調味液、例えば鰻タレを充填する。
その際、再度前記袋口開口規制板16が上昇して押上板15により包装袋5の口部下部を押し上げて調味液が溢れ出ないようにする。
そして、調味液充填ノズル21が後退して引き続いて押出プッシャー20が後退し、包装袋5の口部が上位となった斜めの状態で傾斜ベルトコンベア4の上面に載り、次工程の真空包装装置(図示省略)へ移送される。
【0016】
このように本発明では、吸着ホルダー6に吸着された包装袋5は、供給トレー1のトレー先端部8を介してその内部に強風状態でエアーが吹き込まれた時でも、包装袋5口部の下面が包装袋下端押え板11及び傾斜ベルトコンベア4で支持されるから、吸着ホルダー6の吸盤に対して包装袋5の吸着面が常に安定して確保される。
供給トレー1のトレー先端部8が包装袋5に挿入されず、包装袋5の底面外に前記供給トレー1が露出状態の場合でも、前記警報回路が閉じて警報を鳴らし、袋詰め不良となることを事前に確認でき、また包装袋5口部の下部を押上板15で押し上げるので、調味液を充填する際に包装袋5の口部から調味液が溢れ出ることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0017】
1 供給トレー
2 エアー噴射ノズル
3 フレーム側板
4 傾斜ベルトコンベア
5 包装袋
6 吸着ホルダー
7 吸着ブロック
8 トレー先端部
9 往復移送装置
10 取付部
11 包装袋下端押え板
12 切り欠き部
13 切り欠き部
14 絶縁材
15 押上板
16 袋口開口規制板
17 押上シリンダー
18 押上ロッド
19 リード線
20 押出プッシャー
21 調味液充填ノズル
22 ウナギの蒲焼
【要約】
【課題】本発明は、吸着ホルダーによって吸着保持された包装袋が、その袋口部から吹き込まれた送風圧によって吸着ホルダーから離脱することなく、調味液を溢すことなく調味液充填物を袋詰めできる調味液充填袋詰め包装装置を提供する。
【解決手段】包装袋5に供給トレー1のトレー先端部8が挿入され、袋口開口規制板16が上昇して押上板15が供給トレー1の下部に接触する。包装袋5が存在するときには、押上板15が通電しないので包装袋5の「有」を検知して袋詰め動作が継続する。調味液充填ノズル21から調味液を充填する際、前記袋口開口規制板16が再度上昇して押上板15により包装袋5口部の下部を押し上げて調味液が溢れ出ないようにする。
【選択図】
図1