特許第6337211号(P6337211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6337211エアコン及びその室外ファンの起動制御方法とシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337211
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】エアコン及びその室外ファンの起動制御方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/20 20160101AFI20180528BHJP
   H02P 6/182 20160101ALI20180528BHJP
   H02P 27/08 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H02P6/20
   H02P6/182
   H02P27/08
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-529119(P2017-529119)
(86)(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公表番号】特表2017-530685(P2017-530685A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】CN2014084678
(87)【国際公開番号】WO2016026076
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】517057029
【氏名又は名称】グアンドン ウェリング モーター マニュファクチュアリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】フー,イエンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,シャオアン
(72)【発明者】
【氏名】スン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,リミン
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−259679(JP,A)
【文献】 特開2001−157459(JP,A)
【文献】 特開2003−275494(JP,A)
【文献】 特開2003−348885(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0038259(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/20
H02P 6/182
H02P 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンの室外ファンの起動制御方法であって、室外ファンの電動機は駆動器で駆動され、前記エアコンの室外ファンの起動制御方法は、
前記駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、前記電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出するステップと、
前記ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、検出された初期回転状態に応じて、前記電動機を起動させるよう制御するステップと、を含み、
前記駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、前記電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出するステップは、
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管が、前記下ブリッジアームスイッチ管を制御するパルス変調信号によりオンになる場合、前記ブートストラップコンデンサに対する充電を行うステップと、
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管が、前記下ブリッジアームスイッチ管を制御するパルス変調信号によりオフになる場合、電動機の逆起電力を検出し、前記逆起電力により電動機の初期回転状態を確定するステップと、
を含むことを特徴とする、エアコンの室外ファンの起動制御方法。
【請求項2】
前記電動機の逆起電力を検出し、前記逆起電力により電動機の初期回転状態を確定するステップは、
電動機の逆起電力を検出するステップと、
前記逆起電力により、電動機の回転数を取得するステップと、
回転速度の正負性により、電動機の初期回転状態を確定するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項に記載のエアコンの室外ファンの起動制御方法。
【請求項3】
前記検出された初期回転状態に応じて、前記電動機を起動させるよう制御するステップは、
a.電動機の初期回転状態が風力正方向回転である場合、電動機の回転速度により、電動機の観測器の処理が収束するか否かを判断し、収束する場合、ステップeを実行し、収束しない場合、ステップdを実行するステップと、
b.電動機の初期回転状態が静止である場合、電動機に対する位置決め制御を行い、ステップdを実行するステップと、
c.電動機の初期回転状態が風力逆方向回転である場合、固定の減速度で電動機の回転を停止させるよう制御し、ステップdを実行するステップと、
d.ベクトル制御方式で電動機を加速回転させるよう制御するステップと、
e.ベクトル制御方式で電動機を通常運行状態に移行させるよう制御するステップと、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエアコンの室外ファンの起動制御方法。
【請求項4】
エアコンの室外ファンの起動制御システムであって、室外ファンの電動機は駆動器で駆動され、前記エアコンの室外ファンの起動制御システムは、
前記駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、前記電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出するための充電と回転検出モジュールと、
前記ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、前記回転状態検出モジュールで検出された初期回転状態に応じて、前記電動機を起動させるよう制御するための電動機起動制御モジュールと、を含み
前記充電と回転検出モジュールは、
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管が、前記下ブリッジアームスイッチ管を制御するパルス変調信号によりオンになる場合、ブートストラップコンデンサを充電するのに用いられる充電ユニットと、
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管が、前記下ブリッジアームスイッチ管を制御するパルス変調信号によりオフになる場合、電動機の逆起電力を検出し、前記逆起電力により、電動機の初期回転状態を確定するのに用いられる回転状態検出ユニットと、
を含むことを特徴とする、エアコンの室外ファンの起動制御システム。
【請求項5】
前記回転状態検出ユニットは、
電動機の逆起電力を検出するのに用いられる逆起電力検出サブユニットと、
前記逆起電力により電動機の回転速度を取得するのに用いられる回転速度取得サブユニットと、
前記回転速度の正負性により電動機の初期回転状態を確定するのに用いられる回転状態確定サブユニットと、
を含むことを特徴とする、請求項に記載のエアコンの室外ファンの起動制御システム。
【請求項6】
前記電動機起動制御モジュールは、観測器判断ユニットと、位置決め制御ユニットと、電動機減速制御ユニットと、電動機加速制御ユニットと、電動機通常制御ユニットと、を備え、
前記観測器判断ユニットは、電動機の初期回転状態が風力正方向回転である場合、電動機回転速度により電動機観測器の処理が収束するか否かを判断し、収束するという判断結果である場合、前記電動機通常制御ユニットを動作させるよう駆動し、収束しないという判断結果である場合、前記電動機加速制御ユニットを動作させるよう駆動するのに用いられ、
前記位置決め制御ユニットは、電動機の初期回転状態が静止である場合、電動機に対する位置決め制御を行い、前記電動機加速制御ユニットを動作させるよう駆動するのに用いられ、
前記電動機減速制御ユニットは、電動機の初期回転状態が風力逆方向回転である場合、固定の減速度で電動機の回転を停止させるよう制御し、前記電動機加速制御ユニットを動作させるよう駆動するのに用いられ、
前記電動機加速制御ユニットは、ベクトル制御方式で電動機を加速回転させるよう制御するのに用いられ、
前記電動機通常制御ユニットは、ベクトル制御方式で電動機を通常運行状態に移行させるよう制御するのに用いられる、
ことを特徴とする、請求項に記載のエアコンの室外ファンの起動制御システム。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか一項に記載のエアコンの室外ファンの起動制御システムを備えることを特徴とする、エアコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の起動制御の技術分野に属し、特に、エアコン及びその室外ファンの起動制御方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、省エネルギー、動作ノイズとコストを減少させるという目的から、Sensorless FOC (Sensorless Field Oriented Control、センサレス磁界方向制御)制御策略を採用した永久磁石同期電動機は、エアコンの室外ファンに大量に応用されている。エアコンの室外ファンの起動初期動作状態に風力正方向回転(即ち、外部の風力作用下で正方向回転する)、風力逆方向回転(即ち、外部の風力作用下で逆方向回転する)及び静止等の場合が含まれているため、室外ファンの電動機の起動の信頼性を向上させるために、電動機が一定の外部の風力作用を克服する起動能力を有することを必要とする。Sensorless FOC制御策略に適応された三相永久磁石同期電動機として、その逆起電力は正弦波であって、電動機の回転子位置情報を含んでいるので、逆起電力を検出することにより、回転子の位置角及び回転速度信号を取得し、回転速度信号の正負から、電動機の起動初期動作状態が風力正方向回転であるか又は風力逆方向回転であるかを確定し、これにより異なる起動模式を確定することができる。電動機の起動の実現プロセスは、図1に示すようであって、従来の電動機の起動制御技術では、図1から分かるように、どのような動作状態(風力正方向、静止、風力逆方向)で電動機を起動させても、いずれも「電動機に対する位置決め制御を行う」、「ベクトル制御方式で電動機を加速回転させるよう制御する」及び「ベクトル制御方式で電動機を通常運行状態に移行させるよう制御する」等のステップを実行する前に、電動機駆動器におけるブートストラップコンデンサに対する充電を完成する必要があり、具体的な原因は以下の通りである。
【0003】
典型的な三相永久磁石同期電動機(PMSM、Permanent Magnet Synchronous Motor)の駆動器の位相構造は、図2に示すようであって、実際の応用において、図2における6個のスイッチ管と6個のフライホイールダイオードは、一般的にIPM (Intelligent Power Module、インテリジェントパワーモジュール)に集積されている。設計を簡略化するために、エアコンの室外ファンに応用される時に、IPM内部の駆動回路は一般単一な電源制御方案を採用するが、単一な電源給電方案を用いると、制御電源が上ブリッジアームスイッチ管に正確なゲートバイアス電圧を確実に提供でき、また直流母線上の高電圧が制御電源回路に移行してコンポーネントを燃やすことがないよう保証する必要がある。従来の技術において、ブートストラップ回路をサンプリングすることは、上記の単一な電源給電方案を実現する方法の一つであって、図3に示すように、サンプリングされるブートストラップ回路は、ブートストラップ抵抗RBSと、ブートストラップダイオードDBSと、ブートストラップコンデンサCBSとを備え,下ブリッジアームスイッチ管Kdがオンになると、電源VCCがブートストラップ抵抗RBS、ブートストラップダイオードDBSを介して、ブートストラップコンデンサCBSを充電するようにし、充電回路は図3における点線回路で示すようであって、充電過程において制御電源VCCの負荷を減少させるために、下ブリッジアームスイッチ管Kdのオンは連続的ではなく、一定のデューティ比でオンされ、かつ上ブリッジアームスイッチ管Kuは全過程にわたってオフされている。上ブリッジアームスイッチ管Kuがオンになると、ブートストラップダイオードDBSは反方向にオフされて、直流母線電圧と電源VCCとを互いに分離させ、直流母線電圧が制御電源回路に移行してコンポーネントを燃やすことを防止する。
【0004】
以上から分かるように、電動機駆動器におけるブートストラップコンデンサに対する充電を完成してから電動機に対して相応の起動操作を行う必要があり、この時の電動機の起動初期動作状態は、ブートストラップコンデンサの充電を完成する前に検出した動作状態と相違する可能性があるため、電動機の起動失敗を引き起こし易く、電動機の起動成功率を減少させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、エアコンの室外ファンの起動制御方法を提供することを目的とし、従来技術に存在する室外ファンの電動機の起動成功率が低い課題を解決することを旨とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のように実現される。エアコンの室外ファンの起動制御方法であって、室外ファンの電動機は駆動器で駆動され、前記エアコンの室外ファンの起動制御方法は、
【0007】
前記駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、前記電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出するステップと、
【0008】
前記ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、検出された初期回転状態に応じて、前記電動機を起動させるよう制御するステップと、を含む。
【0009】
本発明の他の目的は、エアコンの室外ファンの起動制御システムを提供することであり、室外ファンの電動機は駆動器で駆動され、前記エアコンの室外ファンの起動制御システムは、
【0010】
前記駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、前記電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出するための充電と回転検出モジュールと、
【0011】
前記ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、前記回転状態検出モジュールで検出された初期回転状態に応じて、前記電動機を起動をさせるよう制御するための電動機起動制御モジュールと、を含む。
【0012】
本発明のまた他の目的は、上記のエアコンの室外ファンの起動制御システムを備えるエアコンを提供することである。
【発明の効果】
【0013】
本発明において、エアコンの室外ファンの起動制御とは、室外ファンの電動機駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する過程に、同時に電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出し、ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、検出された初期回転状態に応じて、電動機を起動させるよう制御することであり、これによりブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後にリアルタイムの起動初期動作状態を取得でき、さらに電動機を順調に起動させ、電動機の起動成功率を向上させており、従来技術に存在する室外ファンの電動機の起動成功率が低い課題を解決した。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】背景技術に係る従来の電動機の起動制御技術の実現フローチャートである。
図2】背景技術に係る三相永久磁石同期電動機駆動器の位相構造図である。
図3】背景技術に係る電動機駆動器におけるサンプリングされるブートストラップ回路の回路模式図である。
図4】本発明の実施例で提供するエアコンの室外ファンの起動制御方法の実現フローチャートである。
図5図4で示すエアコンの室外ファンの起動制御方法に係る電動機駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの上下ブリッジアームスイッチ管のパルス幅変調信号波形図である。
図6図4で示すエアコンの室外ファンの起動制御方法における詳細なフローチャートである。
図7】本発明の実施例で提供するエアコンの室外ファンの起動制御システムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、図面及び実施例に合わせて本発明をより詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0016】
従来のエアコンにおいて、室外ファンの電動機は駆動器で駆動され、当該駆動器はインテリジェントパワーモジュールとブートストラップ回路とを備え、ブートストラップ回路にはブートストラップコンデンサが含まれており、ブートストラップコンデンサが充電状態にあるときに、インテリジェントパワーモジュールにおける下ブリッジアームスイッチ管は、受信されたパルス幅変調信号によりこれに応じるデューティ比のオンを実現し、下ブリッジアームスイッチ管は、パルス幅変調信号の高レベル部分でオンになり、且つパルス幅変調信号の低レベル部分でオフになり、上ブリッジアームスイッチ管は、常時にオフ状態を維持している。これにより分かるように、ブートストラップコンデンサの充電は持続的に行われるものではなく、下ブリッジアームスイッチ管のスイッチ動作に応じて断続的な充電を実現するので、ブートストラップコンデンサの充電模式は、断続的な充電模式と見なされてもよい。
【0017】
図4は、本発明の実施例で提供するエアコンの室外ファンの起動制御方法の実現プロセスを示し、説明し易くするために、本発明の実施例に関連する部分のみを示し、具体的に以下の通りである。
【0018】
ステップS1において、電動機駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出する。
【0019】
具体的に、ステップS1は、以下のステップを含む。
【0020】
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管がオンになる場合、ブートストラップコンデンサを充電するステップ;
【0021】
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管がオフになる場合、電動機の逆起電力を検出し、当該逆起電力により電動機の初期回転状態を確定するステップ。
【0022】
ただし、下ブリッジアームスイッチ管がオフになる場合に電動機の逆起電力を検出する原因が以下の通りであることは、説明すべきである。上下ブリッジアームスイッチ管のスイッチ動作は、高周波ノイズを引き込み,高周波ノイズは、逆起電力の検出効果へ深刻な影響を与えるため、本発明の実施例において、上ブリッジアームスイッチ管がブートストラップコンデンサを充電する過程において常時にオフ状態を維持する(図5に示すように、上ブリッジアームスイッチ管を制御するパルス幅変調信号Suが常時に低レベルを維持する)ことに鑑みて、電動機の逆起電力を正確に検出しようとすると、下ブリッジアームスイッチ管がオフになる(即ち、図5に示すように、下ブリッジアームスイッチ管を制御するパルス幅変調信号Sdの低レベル部分)時に検出を行う必要があり、更に逆起電力により電動機の初期回転状態を正確に確定することできる。背景技術に係る内容によって、上記の電動機の逆起電力を検出し、当該逆起電力により電動機の初期回転状態を確定するステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0023】
電動機の逆起電力を検出するステップ;
【0024】
逆起電力により、電動機の回転速度を取得するステップ;
【0025】
回転速度の正負性により、電動機の初期回転状態を確定するステップ。
【0026】
その中、回転速度が正である場合、電動機の初期回転状態が風力正方向回転であることを表し、回転速度が負である場合、電動機の初期回転状態が風力逆方向回転であることを表し、回転速度がゼロである場合、電動機の初期回転状態が静止であることを表す。
【0027】
ステップS2において、ブートストラップコンデンサの充電を完成した後に、検出された初期回転状態により、電動機を起動させるよう制御する。
【0028】
具体的に、図6に示すように、ステップS2における検出された初期回転状態により、電動機を起動させるよう制御するステップは、具体的に、以下のステップを含む。
【0029】
S21:電動機の初期回転状態が風力正方向回転である場合、電動機の回転速度により、電動機の観測器の処理が収束するか否かを判断し、収束する場合、ステップS25を実行し、収束しない場合、ステップS24を実行するステップ;
【0030】
S22:電動機の初期回転状態が静止である場合、電動機に対する位置決め制御を行い、ステップS24を実行するステップ;
【0031】
S23:電動機の初期回転状態が風力逆方向回転である場合、固定の減速度で電動機の回転を停止させるよう制御し、ステップS24を実行するステップ;
【0032】
S24:ベクトル制御方式で電動機を加速回転させるよう制御するステップ;
【0033】
S25:ベクトル制御方式で電動機を通常運行状態に移行させるよう制御するステップ。
【0034】
ステップS21において、電動機の回転速度により、電動機の観測器の処理が収束するか否かを判断すること、ステップS22において、電動機に対する位置決め制御を行うこと、ステップS23において、固定の減速度で電動機の回転を停止させるよう制御すること、ステップS24及びステップS25はいずれも、背景技術で説明した内容と同じく、三相永久磁石同期電動機(Sensorless FOC制御策略適用)の通常起動模式における常用のステップであるため、詳細な説明を省略することは、説明すべきである。
【0035】
以上から分かるように、エアコンの室外ファンに対する起動制御とは、室外ファンの電動機駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する過程に、同時に電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出し、ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、検出された初期回転状態に応じて、電動機を起動させるよう制御することであり、これによりブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後にリアルタイムの起動初期動作状態を取得し、さらに電動機を順調に起動させ、電動機の起動成功率を向上できる。また、電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出する過程と、ブートストラップコンデンサの充電過程とが同時に行われるため、電動機の初期回転状態に対する検出開始から電動機起動までに必要な時間が短縮され、電動機の起動プロセス全体に必要な時間を効果的に短縮する効果に達することができる。
【0036】
本発明の実施例は、上記のエアコンの室外ファンの起動制御方法を基に、エアコンの室外ファンの起動制御システムを更に提供しており、従来のエアコンにおいて、室外ファンの電動機は駆動器で駆動される。図7に示すように、エアコンの室外ファンの起動制御システムは、
【0037】
駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する時に、電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出するための充電と回転検出モジュール100と、
【0038】
ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、回転状態検出モジュール100により検出された初期回転状態に応じて、前記電動機を起動させるよう制御するための電動機起動制御モジュール200と、を含む。
【0039】
更に、充電と回転検出モジュール100は、
【0040】
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管がオンになる場合、ブートストラップコンデンサを充電するのに用いられる充電ユニット101と、
【0041】
駆動器におけるインテリジェントパワーモジュールの下ブリッジアームスイッチ管がオフになる場合、電動機の逆起電力を検出し、当該逆起電力により、電動機の初期回転状態を確定するのに用いられる回転状態検出ユニット102と、を含む。
【0042】
回転状態検出ユニット102は、
【0043】
電動機の逆起電力を検出するのに用いられる逆起電力検出サブユニット1021と、
【0044】
逆起電力により電動機の回転速度を取得するのに用いられる回転速度取得サブユニット1022と、
【0045】
回転速度の正負性により電動機の初期回転状態を確定するのに用いられる回転状態確定サブユニット1023と、を含む。
【0046】
更に、電動機起動制御モジュール200は、
【0047】
観測器判断ユニット201と、位置決め制御ユニット202と、電動機減速制御ユニット203と、電動機加速制御ユニット204と、電動機通常制御ユニット205と、を備える。
【0048】
観測器判断ユニット201は、電動機の初期回転状態が風力正方向回転である場合、電動機回転速度により電動機観測器の処理が収束するか否かを判断し、収束するという判断結果である場合、電動機通常制御ユニット205を動作させるよう駆動し、収束しないという判断結果である場合、電動機加速制御ユニット204を動作させるよう駆動するのに用いられる。
【0049】
位置決め制御ユニット202は、電動機の初期回転状態が静止である場合、電動機に対する位置決め制御を行い、電動機加速制御ユニット204を動作させるよう駆動するのに用いられる。
【0050】
電動機減速制御ユニット203は、電動機の初期回転状態が風力逆方向回転である場合、固定の減速度で電動機の回転を停止させるよう制御し、電動機加速制御ユニット204を動作させるよう駆動するのに用いられる。
【0051】
電動機加速制御ユニット204は、ベクトル制御方式で電動機を加速回転させるよう制御するのに用いられる。
【0052】
電動機通常制御ユニット205は、ベクトル制御方式で電動機を通常運行状態に移行させるよう制御するのに用いられる。
【0053】
電動機減速制御ユニット203と、電動機加速制御ユニット204と、電動機通常制御ユニット205とはいずれも、電動機を運行させるよう制御するものであるため、実際の応用において、これら三つは一つの電動機駆動回路に一体化されて、電動機の運行に対する制御を実現されても良い。
【0054】
以上から分かるように、エアコンの室外ファンの起動制御とは、充電と回転検出モジュール100が室外ファンの電動機駆動器におけるブートストラップコンデンサを充電する過程に、同時に電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出し、ブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後に、電動機起動制御モジュール200が検出された初期回転状態に応じて電動機を起動させるよう制御することであり、これによりブートストラップコンデンサに対する充電を完成した後にリアルタイムの起動初期動作状態を取得でき、さらに電動機を順調に起動させ、電動機の起動成功率を向上させる。また、電動機の初期回転状態をリアルタイムで検出する過程と、ブートストラップコンデンサの充電過程とを同時に行うため、電動機の初期回転状態をに対する検出開始から電動機起動までに必要な時間が短縮され、電動機の起動プロセス全体に必要な時間を効果的に短縮する効果に達することができる。
【0055】
本発明の実施例では、上記のエアコンの室外ファンの起動制御システムによるエアコンの室外ファンの電動機に対する起動制御作用を基に、更に上記のエアコンの室外ファンの起動制御システムを備えるエアコンを提供している。
【0056】
上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではなく、本発明の精神及び原則においてなされたあらゆる変更、等価取替及び改良等は、本発明の保護範囲に含まれるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7