特許第6337234号(P6337234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337234
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】振動吸収ボルト
(51)【国際特許分類】
   F16B 35/00 20060101AFI20180528BHJP
   F16B 39/38 20060101ALI20180528BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20180528BHJP
   F16B 41/00 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   F16B35/00 R
   F16B39/38 Z
   F16B35/00 Y
   F16F15/08 E
   F16B41/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2016-171331(P2016-171331)
(22)【出願日】2016年9月1日
(62)【分割の表示】特願2015-232224(P2015-232224)の分割
【原出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-96490(P2017-96490A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2016年9月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】306024805
【氏名又は名称】株式会社 林物産発明研究所
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】林 和志郎
(72)【発明者】
【氏名】林 宏三郎
(72)【発明者】
【氏名】林 加奈子
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−225026(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3141567(JP,U)
【文献】 実開昭58−022508(JP,U)
【文献】 特開2010−101430(JP,A)
【文献】 特開2001−330067(JP,A)
【文献】 特開昭60−081508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 23/00−43/02
F16F 15/00−15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外層のねじ山が切られたねじ山層、中間層の弾性層、及び、最内層のボルト駆体層を有する3層構造の胴部と
前記ボルト駆体層の先端側に固定された先端部材
を有し、
前記先端部材により前記ねじ山層、前記弾性層及び前記ボルト駆体層の3層を固定し、前記ねじ山層と前記弾性層の脱落を防止したことを特徴とするボルト。
【請求項2】
前記弾性層が、前記ねじ山層の先端及び基端を覆うことを特徴とする請求項1に記載のボルト。
【請求項3】
前記先端部材は、前記ボルト駆体層の先端側に、ネジで固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボルト。
【請求項4】
前記胴部の基端側に頭部を更に有し、
前記頭部の外径及び前記先端部材の外径が、前記ねじ山層の内径よりも大きく、
前記先端部材を前記ボルト駆体層の先端に固定する際に、前記弾性層が圧縮されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動のかかる場所に使用される振動吸収ボルト技術に属する。
【背景技術】
【0002】
振動を受ける場所に使用される部材は各種多様に存在している。多くはその振動により誤作動を起こしあるいは所定場所から脱落することもあり、このような事故を防ぐための振動を吸収するボルトナットの組み合わせが広く使用され、且つ提案されている(特開2004-153934、特開H09-177751,特開2005-9545、特開H07-174129)。
これらの多くは一方向からの振動を吸収することで全体の振動からの影響を逃れているが、上下左右からの振動全体を吸収するボルトが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-153934
【特許文献2】特開H09-177751
【特許文献3】特開2005-9545
【特許文献4】特開H07-174129
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上下左右からの振動全体を吸収するボルトの構造を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1の発明は、最外層のねじ山が切られたねじ山層、中間層の弾性層、及び、最内層のボルト駆体層よりなる3層構造の胴部と、前記ボルト駆体層の先端側に固定された先端部材を有し、前記先端部材により前記ねじ山層、前記弾性層及び前記ボルト駆体層の3層を固定し、前記ねじ山層と前記弾性層の脱落を防止したことを特徴とするボルトとした。前記弾性層が、前記ねじ山層の先端及び基端を覆うことが好ましい。前記ボルト駆体層の先端に前記先端部材がネジで固定されていることが好ましい。前記先端部材の外径が、前記ねじ山層の内径よりも大きいことが好ましい。
他の第1の発明は、長さ方向に多重構造を持つボルトであって最外層はねじ山が切られたねじ山層、中間層は弾性層であり、最内層はボルト躯体層であり、かつボルト躯体層の挿入先端側には当該先端側と弾性体を固定するボルト先端部が設けられている振動吸収ボルトである。
他の第2の発明は、長さ方向に多重構造を持つボルトであって最外層はねじ山が切られたねじ山層、中間層は弾性層であり、最内層はボルト躯体層であり、弾性層はねじ山層の上端下端部も覆い、かつボルト躯体層の挿入先端側には当該先端側と弾性体を固定するボルト先端部が設けられている振動吸収ボルトである。
ボルト内部に弾性体を挿入することで左右あるいは上下左右からの振動全体を吸収する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、長さ方向に多重構造を持つボルトであって中間層を弾性層としているため、左右あるいは上下左右から受ける振動全体を吸収することができる。そのためボルトにかかる振動がナットに伝わらず、ボルト・ナットの緩み・脱落が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】は、本第1の発明のボルトの概念図を示す。
図2】は、本第2の発明のボルトの概念図を示す。
図3】は、本第2の発明のボルトの他の概念図を示す。
図4】は、本第2の発明のボルトの別の概念図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1は、本第1の発明のボルトの概念図を示している。
図に示すとおり、本ボルトは頭から先に向かって長さ方向に3層構造となっている。最外層にはネジが切られたねじ山層、中間層は弾性体で構成された弾性体層、最内部はボルト躯体層である。これにより左右からかかる振動を吸収低減させることができる。また上記3層を固定するためボルト先端部が設けられている。図ではボルト先端部とボルト躯体層の先端部はネジで固定されている。強固に固定される手段であれば接着剤その他の固定手段も使用できる。
弾性体層はボルト先端部で固定する際圧縮されるよう長めに設定される。
弾性体はゴムが使用できるが減衰ゴムの使用が好ましい。
【0009】
図2は、本第2の発明のボルトの概念図を示している。
図に示すとおり、本ボルトは頭から先に向かって長さ方向に3層構造となっている。最外層にはネジが切られたねじ山層、中間層は弾性体で構成された弾性体層、最内部はボルト躯体層である。中間層の弾性体はねじ山層の上端下端部の両方を覆うように設けられている。これによりボルトにかかる左右上下からかかる全振動を吸収低減させることができる。なお上記3層を固定するためボルト先端部が設けられている。図ではボルト先端部とボルト躯体層の先端部はネジで固定されている。強固に固定される手段であれば接着剤その他の固定手段も使用できる。
弾性体はゴムが使用できるが減衰ゴムの使用が好ましい。
【0010】
上記3層相互の固定は接着剤、あるいは焼き場目などの方法が使用できる。
ボルト躯体部に弾性体層を挿入し、弾性体層の先部分を外に開く方に形成し、ボルト先端部で固定する際弾性体層を押しつぶすようにして固定することで形成可能である。
【0011】
図3図4は、本第2の発明のボルトの他の例を示している。
図3は、弾性体層に突起を設け、ねじ山層、ボルト躯体層に食い込ませるようにしたものである。これにより3層の固定がより強固になる。
図4は、図2に示すボルトに対しボルト先端部を両端に設けたものである。
【産業上の利用可能性】
【0012】
車のホイールの固定、電気製品の固定など振動のかかる場所あるいは振動を避ける必要のある場所に使用することができる。
【符号の説明】
【0013】
1 ボルト
2 ねじ山層
3 弾性体層
4 ボルト躯体層
5 ボルト先端部
図1
図2
図3
図4