特許第6337245号(P6337245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6337245
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】電源駆動型栽培装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/02 20060101AFI20180528BHJP
【FI】
   A01G25/02 602Z
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-115911(P2017-115911)
(22)【出願日】2017年6月13日
【審査請求日】2017年6月30日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514054937
【氏名又は名称】株式会社テクノスヤシマ
(73)【特許権者】
【識別番号】301049571
【氏名又は名称】八洲電業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 賢治郎
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−005937(JP,U)
【文献】 特開2005−102667(JP,A)
【文献】 実開昭61−053781(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0020111(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02832209(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/00
A01G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場において生育する作物に隣接するように設置される筒状ハウジングと、
液体を個別的に貯留する複数個の液体貯留容器を有する液体貯留ユニットと、
前記複数個の液体貯留容器を個別的に開くことにより前記液体を流出させる液体流出ユニットと、
前記液体流出ユニットの制御を行う制御ユニットと、
前記液体流出ユニットおよび前記制御ユニットに電源を供給する電源供給ユニットと、
を備え
前記複数個の液体貯留容器は、前記筒状ハウジングに収納されている、または前記筒状ハウジングの外壁部に取付けられていることを特徴とする電源駆動型栽培装置。
【請求項2】
前記液体貯留容器は、液体貯留袋であり、
前記液体流出ユニットは、前記複数個の液体貯留容器と個別的に接触するように設けられた複数個の電熱ワイヤーを有することを特徴とする請求項1に記載の電源駆動型栽培装置。
【請求項3】
前記複数個の液体貯留容器は、前記筒状ハウジングに収納されており、
前記筒状ハウジングは、前記圃場へ突刺さるように尖ったハウジングテーパー下端部を有し、
前記ハウジングテーパー下端部には、前記圃場に前記液体を流出させるための液体流出孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電源駆動型栽培装置。
【請求項4】
前記作物の生育状態または生育環境に関するセンシングを行うセンシングユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記センシングユニットによる前記センシングに基づいて前記制御の全部または一部を行うことを特徴とする請求項1に記載の電源駆動型栽培装置。
【請求項5】
外部との通信を行う通信ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記通信ユニットによる前記通信に基づいて前記制御の全部または一部を行うことを特徴とする請求項1に記載の電源駆動型栽培装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、ダイズなどを栽培するための電源駆動型栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイズは、世界中で必要とされる極めて重要な農産物である。
【0003】
そこで、ニーズに応じたさまざまなダイズ栽培方法が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−200155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的に言って、作物の生産性をより向上させることが望まれていることは言うまでもない。
【0007】
そこで、本発明者は、より生産性の高い栽培方法を実現することが望ましいと考えている。
【0008】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、より生産性の高い栽培方法を実現することができる電源駆動型栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、圃場において生育する作物に隣接するように設置される筒状ハウジングと、
液体を個別的に貯留する複数個の液体貯留容器を有する液体貯留ユニットと、
前記複数個の液体貯留容器を個別的に開くことにより前記液体を流出させる液体流出ユニットと、
前記液体流出ユニットの制御を行う制御ユニットと、
前記液体流出ユニットおよび前記制御ユニットに電源を供給する電源供給ユニットと、
を備え
前記複数個の液体貯留容器は、前記筒状ハウジングに収納されている、または前記筒状ハウジングの外壁部に取付けられていることを特徴とする電源駆動型栽培装置である。
【0010】
第2の本発明は、前記液体貯留容器は、液体貯留袋であり、
前記液体流出ユニットは、前記複数個の液体貯留容器と個別的に接触するように設けられた複数個の電熱ワイヤーを有することを特徴とする第1の本発明の電源駆動型栽培装置である。
【0011】
第3の本発明は、前記複数個の液体貯留容器は、前記筒状ハウジングに収納されており、
前記筒状ハウジングは、前記圃場へ突刺さるように尖ったハウジングテーパー下端部を有し、
前記ハウジングテーパー下端部には、前記圃場に前記液体を流出させるための液体流出孔が形成されていることを特徴とする第1の本発明の電源駆動型栽培装置である。
【0012】
第4の本発明は、前記作物の生育状態または生育環境に関するセンシングを行うセンシングユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記センシングユニットによる前記センシングに基づいて前記制御の全部または一部を行うことを特徴とする第1の本発明の電源駆動型栽培装置である。
【0013】
第5の本発明は、外部との通信を行う通信ユニットを備え、
前記制御ユニットは、前記通信ユニットによる前記通信に基づいて前記制御の全部または一部を行うことを特徴とする第1の本発明の電源駆動型栽培装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、より生産性の高い栽培方法を実現することが可能な電源駆動型栽培装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における実施の形態のダイズ栽培システムの模式的な斜視図
図2】本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置のブロック図
図3】本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置の模式的な正面図
図4】本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置の模式的な左側面図
図5】本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置の模式的な上面図
図6】(a)本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置の模式的な端面図(その一)、(b)本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置の模式的な端面図(その二)
図7】本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置の液体貯留袋近傍の模式的な斜視図
図8】本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置の液体貯留袋近傍の模式的な斜視図(その一)
図9】本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置のブロック図(その一)
図10】本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置のブロック図(その二)
図11】本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置の模式的な正面図
図12】(a)本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置の液体貯留袋近傍の模式的な斜視図(その二)、(b)本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置の液体貯留袋近傍の模式的な下面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
はじめに、図1および2を参照しながら、本実施の形態のダイズ栽培システムの構成および動作について具体的に説明する。
【0018】
ここに、図1は本発明における実施の形態のダイズ栽培システムの模式的な斜視図であり、図2は本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置300のブロック図である。
【0019】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし省略的に示されていることもある。
【0020】
本実施の形態のダイズ栽培システムは、マルチコプター100、地上局サーバー200、および多数の電源駆動型栽培装置300を含む。
【0021】
電源駆動型栽培装置300は、アクティブに動作するのみならず、マルチコプター100が送信した制御信号などを利用してパッシブに動作するロボット型のダイズ栽培支援装置である。
【0022】
電源駆動型栽培装置300は、IT(Information Technology)ポストとも呼ばれる、圃場1に設置された通信ポストがマルチコプター100から受信し送信した制御信号などを利用してパッシブに動作してもよい。
【0023】
制御ユニット350、電源供給ユニット360、センシングユニット370および通信ユニット380は、屋外防滴構造のみならず、通信機能、外部I/O(Input/Output)制御機能および個体識別機能を有するチップ内蔵電池である、いわゆる防水インテリジェント二次電池として実装されることが望ましい。
【0024】
このような次世代の電池はIoT(Internet of Things)に対応した仕様を有し、制御ユニット350の機能を与える、マイクロSD(Secure Digital)メモリーカードなどが搭載される小型プリント基板が電源供給ユニット360の機能を与える特殊セルとともに内蔵される。
【0025】
PCM(Pulse Code Modulation)制御チップ通信IC(Integrated Circuit)はA/D(Analog/Digital)信号処理が効率的に行われるように基板に配置され、センシングユニット370の機能を与えるIoTセンサーなどのような内蔵機器を5か月にわたって駆動するために十分である電池容量が確保される。
【0026】
給電なしの6か月のストレージにおけるロストパワーは20パーセント以下であり、5〜10年の再利用を目指した耐久性テストの結果も良好であると期待される。たとえば、直径が26ミリメートルであり、長さが65ミリメートルである、5か月にわたって使用可能な26650リチウムイオン電池の性能については、電圧が3.7ボルトであり、放電容量が4500ミリアンペア時であり、最大放電レートが2Cである。
【0027】
電池保存温度は、自然放電が抑えられるように一定に保たれる。
【0028】
農家において使用される二次電池充電装置および液体貯留袋封入装置などの関連装置の予想価格は、4500万米国ドル以下である。
【0029】
電源駆動型栽培装置300のロボットハードウェア予想単価は、500個の生産の場合においては3米国ドルであり、1万個の生産の場合においては1米国ドルであり、10万個の生産の場合においては0.8米国ドルであるが、100万個の生産の場合においては0.5米国ドルであり、1000万個の生産の場合においては0.3米国ドルである。
【0030】
したがって、10万〜20万個のロット生産ラインにおける電池予想価格は3米国ドル以下であり、電池小型化のみならず電池低価格化が促進され、電源駆動型栽培装置300のロボットハードウェア予想単価は、100万個〜1000万個の大量生産を前提とすれば、ほぼ0.4米国ドル以下であるので、黒千石などのような高級ダイズの低価格ロボット栽培が実現される。
【0031】
そして、電源駆動型栽培装置300は、電源駆動型栽培装置300に隣接するダイズ10の個別的な栽培管理に対応した仕様を有し、人的なまたは機械的な圃場1への配置によって設置される。
【0032】
電源駆動型栽培装置300にはダイズ10の個別的な生育環境に関するセンシングを行う機能も実装されており、無駄のない肥料および薬剤の供給などの科学的な精密管理がダイズ10ごとのデータに応じて行われる。
【0033】
電源駆動型栽培装置300の外壁部には、マルチコプター100による空中撮影がダイズ10の個別的な栽培記録画像を与えるように、栽培装置個体識別のための発色LED(Light Emitting Diode)などが取付けられていてもよい。
【0034】
センシングユニット370により自動的に検出されてマイクロSDメモリーカードなどに記録された、地上環境/地中温度、日射量および降雨量などのような、キングデータとも呼ばれるIoTビッグデータは、栽培記録画像とともに、無線LAN(Local Area Network)に接続されたマルチコプター100を介する遠隔監視データ収集により地上局サーバー200に収集される。
【0035】
データ収集期間が4か月であるIoTビッグデータは、試作段階においては500台の電源駆動型栽培装置300に関するデータであり、実用化テスト段階においては10万台以上の電源駆動型栽培装置300に関するデータである。
【0036】
AI(Artificial Intelligence)多重解析ソフトウェアによる栽培管理定量分析がこのようなIoTビッグデータを利用して行われ、ロボット栽培技術のパラメーター化およびビジュアル化が実現される。
【0037】
屋外露地栽培におけるダイズ10に供給された、肥料のみならず、農薬および害虫忌避剤などのような薬剤の95%は無駄になっていたが、多数の電源駆動型栽培装置300を利用する栽培管理が個別的に行われるので、90%以上の肥料および薬剤の削減率が期待される。
【0038】
かくして、従来のダイズ栽培方法とは大きく異なったダイズ栽培方法が、電源駆動型栽培装置300を利用して効率的に実現される。
【0039】
つぎに、図1〜6を主として参照しながら、電源駆動型栽培装置300の構成および動作について具体的に説明する。
【0040】
ここに、図3は本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置300の模式的な正面図であり、図4は本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置300の模式的な左側面図であり、図5は本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置300の模式的な上面図であり、図6(a)および6(b)は本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置300の模式的な端面図(その一および二)である。
【0041】
図6(a)はA−A端面図であり、図6(b)はB−B端面図である。図6(b)においては、液体流出ユニット340は示されていない。
【0042】
電源駆動型栽培装置300の動作について説明しながら、本発明に関連した発明の電源駆動型栽培方法についても説明する。
【0043】
電源駆動型栽培装置300は、筒状ハウジング310、液体貯留ユニット320、液体流出ユニット340、制御ユニット350、電源供給ユニット360、センシングユニット370、および通信ユニット380を含む。
【0044】
筒状ハウジング310は、圃場1において生育するダイズ10に隣接するように設置されるハウジングである。
【0045】
筒状ハウジング310は、紙製であり、一体的に成型された、または複数の部材を利用して組立てられた、害虫忌避剤を有するハウジングである。
【0046】
筒状ハウジング310は、たとえば、樹脂製であり、ブロー成型方法などを利用して一体的に成型された、または複数の部材を利用して組立てられた、害虫忌避剤を有するハウジングであってもよい。
【0047】
筒状ハウジング310は、長さ
(数1)
λ=1000[mm]
および直径
(数2)
δ=60[mm]
を有する。
【0048】
地上における筒状ハウジング310の上端面は、開放されていてもよいし、封止されていてもよい。
【0049】
地中における筒状ハウジング310の下端面は、開放されていてもよいし、封止されていてもよい。
【0050】
ハウジング本体部311は、重さが大きくなりすぎないが、風雨に対する強度が保証されるようなほぼ一定の厚みを有する、ほぼ真っ直ぐな筒状部材である。
【0051】
ハウジング本体部311は、長さ
(数3)
λ1=600[mm]
を有する。
【0052】
ハウジングテーパー下端部312は、重さが大きくなりすぎないが、風雨に対する強度が保証されるようなほぼ一定の厚みを有する、下方ですぼまった筒状部材である。
【0053】
ハウジングテーパー下端部312は、長さ
(数4)
λ2=λ−λ1=400[mm]
を有する。
【0054】
より具体的に説明すると、つぎの通りである。
【0055】
筒状ハウジング310は、圃場1へ突刺さるように尖ったハウジングテーパー下端部312を有する。
【0056】
ハウジングテーパー下端部312には、圃場1に液体330を流出させるための液体流出孔312aが形成されている。
【0057】
もちろん、液体流出孔312aの個数などは、任意である。
【0058】
ハウジング本体部311には、液体流出孔312aの位置を示す液体流出孔位置マーカー311aが形成されている。
【0059】
筒状ハウジング310は、液体流出孔位置マーカー311aを利用して、液体流出孔312aがダイズ10に近接するように設置されるので、液体330は無駄なくダイズ10へ向かって流出する。
【0060】
そして、ハウジングテーパー下端部312が過度に深く圃場1へ突刺さらないように、ハウジングテーパー下端部312の上部には接地リングが取付けられていてもよい。
【0061】
筒状ハウジング310の外壁部には、圃場1への投下による設置の際に装置姿勢を安定させるためのウイングが取付けられていてもよい。ウイングが筒状ハウジング310の外壁部に取付けられていると、電源駆動型栽培装置300の空中落下曲線がヘリコプターからの散布などによる設置の際にも制御されるので、ハウジングテーパー下端部312が圃場1へほぼ垂直に突刺さる。
【0062】
液体貯留ユニット320は、液体330を個別的に貯留する六個の液体貯留袋321を有するユニットである。
【0063】
六個の液体貯留袋321は、筒状ハウジング310に収納されている。
【0064】
ストリング321aは、液体貯留袋321を筒状ハウジング310から吊下げる。
【0065】
電熱ワイヤーを利用して形成されたストリング321aが、液体貯留袋321を筒状ハウジング310から吊下げるのみならず、液体流出ユニット340の役割を演じてもよい。
【0066】
液体貯留袋321は、筒状ハウジング310の外壁部に取付けられていてもよい。もちろん、液体貯留袋321の個数は、任意である。
【0067】
液体貯留袋321に貯留されている液体330は、液体流出孔312aを通ってダイズ10に供給される。
【0068】
液体330は、粒状、液状、またはゼリー状である有機または無機化合物であり、成長促進栄養素などのような肥料である。
【0069】
液体330は、たとえば、農薬または水などのような薬剤であってもよい。
【0070】
六個の液体貯留袋321は、複数種類の液体330を個別的に貯留してもよい。
【0071】
液体流出ユニット340は、六個の液体貯留袋321と個別的に接触するように設けられた六個の電熱ワイヤー341を有する、六個の液体貯留袋321を個別的に開くことにより液体330を流出させるユニットである。
【0072】
図7に示されているように、電熱ワイヤー341は、熱に弱い液体貯留袋321のワイヤー通電による穿孔が行われるように、液体貯留袋321の下先端部に接触する。
【0073】
ここに、図7は、本発明における実施の形態の電源駆動型栽培装置300の液体貯留袋321近傍の模式的な斜視図である。
【0074】
図8に示されているように、電熱ワイヤー341は、熱に弱い液体貯留袋321のワイヤー通電による切開が行われるように、液体貯留袋321の中央部に接触してもよい。
【0075】
ここに、図8は、本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置300の液体貯留袋321近傍の模式的な斜視図(その一)である。
【0076】
電熱ワイヤー341の一部Pは、液体貯留袋321の切開が行われても液体貯留袋321の下部が上部から切離されて落下しないように、液体貯留袋321に接触していなくてもよい。
【0077】
制御ユニット350は、液体流出ユニット340の制御を行うユニットである。
【0078】
制御ユニット350は、たとえば、PCB(Poly Chlorinated Biphenyl)製であるセンサー内臓の制御基板によって構成されたユニットである。制御ユニット350は、筒状ハウジング310に収容されるようにハウジング本体部311またはハウジングテーパー下端部312に取付けられていてもよいし、筒状ハウジング310の外壁部に取付けられていてもよい。
【0079】
制御ユニット350は、たとえば、液体流出ユニット340を利用して貯留されている液体330の流出量および流出タイミングに関する制御を行う。
【0080】
電源供給ユニット360は、液体流出ユニット340および制御ユニット350に電源を供給するユニットである。
【0081】
電源供給ユニット360は、化学反応エネルギーを利用する人工的なマンガン乾電池などのような化学電池、または風、地熱、太陽光、または振動などのような自然界の物理エネルギーを利用する物理電池などのような電池によって構成されたユニットである。電源供給ユニット360は、筒状ハウジング310に収容されるようにハウジング本体部311またはハウジングテーパー下端部312に取付けられていてもよいし、筒状ハウジング310の外壁部に取付けられていてもよい。電源供給ユニット360の取付け位置は電池の種類などを考慮して決定されていることが、望ましい。
【0082】
センシングユニット370は、ダイズ10の生育状態または生育環境に関するセンシングを行うユニットである。
【0083】
センシングユニット370は、(1)植物体の成長度、または(2)空気または土壌の、温度、湿度、CO2(二酸化炭素)濃度、またはpH(potential Hydrogen)などを計測するセンシングデバイスによって構成されたユニットである。センシングユニット370は、筒状ハウジング310に収容されるようにハウジング本体部311またはハウジングテーパー下端部312に取付けられていてもよいし、筒状ハウジング310の外壁部に取付けられていてもよい。センシングユニット370の取付け位置はセンシングデバイスの種類などを考慮して決定されていることが、望ましい。
【0084】
制御ユニット350は、センシングユニット370によるセンシングに基づいて制御の全部または一部を行う。
【0085】
このように、センシングユニット370は、特に電源駆動型栽培装置300のアクティブな動作において重要な役割を演じる。
【0086】
通信ユニット380は、外部との通信を行うユニットである。
【0087】
通信ユニット380は、マルチキャスト送信による通信のみならず個別的な通信をリアルタイムで行うためのIoTに対応した仕様を有し、RF(Radio Frequency)通信などのような電波通信、またはIR(infrared)通信などのような光通信を利用する非接触式または接触式の通信デバイスによって構成されたユニットである。通信ユニット380、筒状ハウジング310に収容されるようにハウジング本体部311またはハウジングテーパー下端部312に取付けられていてもよいし、筒状ハウジング310の外壁部に取付けられていてもよい。通信ユニット380の取付け位置は通信デバイスの種類などを考慮して決定されていることが、望ましい。
【0088】
制御ユニット350は、通信ユニット380による通信に基づいて制御の全部または一部を行う。
【0089】
このように、通信ユニット380は、特に電源駆動型栽培装置300のパッシブな動作において重要な役割を演じる。
【0090】
液体330の流出は、たとえば、圃場1への定植が行われたときからほぼ二週間後に行われる。制御ユニット350は、センシングユニット370によるセンシングに基づいて液体330を流出させるための制御を行ってもよいし、通信ユニット380による通信に基づいて液体330を流出させるための制御を行ってもよい。より具体的には、電源駆動型栽培装置300は、(1)光学センサーなどを利用して検出された植物体の成長度に関するセンシングを認識し、液体330を流出させるためのアクティブな動作を自律的に行ってもよいし、(2)液体330を流出させるための制御信号をマルチコプター100の側から受信し、パッシブな動作を行ってもよい。もちろん、植物体の成長度に関するセンシングがマルチコプター100の側に送信され、液体330を流出させるための制御信号がセンシングに基づいて生成され電源駆動型栽培装置300に送信されてもよい。
【0091】
本実施の形態におけるダイズの収穫量は従来のダイズ栽培方法によるダイズの収穫量のほぼ三四倍であり、生産性の高いダイズ栽培方法が半導体工程の応用によって実現される。
【0092】
なお、本発明の作物は、上述された本実施の形態においては、ダイズ10であるが、たとえば、トウモロコシ、露地栽培メロンまたは露地栽培イチゴであってもよい。
【0093】
また、本発明の液体貯留容器は、上述された本実施の形態においては、液体貯留袋321であるが、たとえば、アンプルまたはシリンジであってもよい。
【0094】
また、本発明の電源駆動型栽培装置は、上述された本実施の形態においては、センシングユニット370を含む電源駆動型栽培装置300であるが、たとえば、図9に示されているように、センシングユニットを含まない電源駆動型栽培装置であってもよい。
【0095】
ここに、図9は、本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置300のブロック図(その一)である。
【0096】
たとえば、制御ユニット350が通信に基づいて制御を行うパッシブ動作モードが実装されている場合には、装置のコストパフォーマンスなどが重視されるのであれば、センシングユニットは不要である。
【0097】
また、本発明の電源駆動型栽培装置は、上述された本実施の形態においては、通信ユニット380を含む電源駆動型栽培装置300であるが、たとえば、図10に示されているように、通信ユニットを含まない電源駆動型栽培装置であってもよい。
【0098】
ここに、図10は、本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置300のブロック図(その二)である。
【0099】
たとえば、制御ユニット350がセンシングに基づいて制御を行うアクティブ動作モードが実装されている場合には、装置のコストパフォーマンスなどが重視されるのであれば、通信ユニットは不要である。
【0100】
また、筒状ハウジング310の形状および寸法などが任意であることは、言うまでもない。
【0101】
筒状ハウジング310は、ハウジングテーパー下端部312を有しなくてもよいし、たとえば、図11に示されているように、直径(φ)60ミリメートルおよび長さ800ミリメートルのカラム形状のハウジング本体部311と、長さ400ミリメートルのペンシル形状のハウジングテーパー下端部312と、を有してもよい。
【0102】
ここに、図11は、本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置300の模式的な正面図である。
【0103】
地上における筒状ハウジング310の上端部には、三枚のビニール製のカラー絶縁テープが長さ50ミリメートルを有する圃場識別コード部311bとして貼付されている。絶縁テープのカラー数が10であるときには、1000(=103)の圃場識別コードが生成可能である。
【0104】
筒状ハウジング310の外壁部には、ダイズ10の植物体高さの推定などのためのスケール模様が印刷されている。スケール模様は、長さ10ミリメートルの無色部分と、長さ10ミリメートルの有色部分と、が交互に現れる縞状模様である。
【0105】
そして、筒状ハウジング310の外壁部には、栽培装置個体識別のための1次元および2次元バーコードに対応した色情報を与えるラベルなどが貼付されていてもよい。
【0106】
画像識別のための要素技術である圃場識別コード部311bなどは、実際の生産段階においてではなく、液体330の流出量および流出タイミングなどが最適なロボット栽培パラメーターを決定するために個別的に変更される実験段階においては、実験者がデジタルカメラなどでダイズ10の個別的な栽培記録画像をデジタル画像データとして記録する。
【0107】
実験段階においては、たとえば、550個の電源駆動型栽培装置によるダイズ10の個別的な栽培管理が行われ、栽培期間の4か月間において撮影された20枚のデジタル写真は、センシングユニット370により自動的に検出された地上環境/地中積算温度、および積算日射量などの検出気象データ、および気象庁またはJAXA(Japan Aerospace eXploration Agency)などの統計気象データとともに、AI多重解析ソフトウェアによる機械学習および統計解析に利用される。
【0108】
実際の生産段階において採用される最適なロボット栽培パラメーターは、地中温度が低い場合には霜対策に利用されてもよいし、生育状態に応じた追加的なダイズ10への肥料供給に利用されてもよい。生育状態はマルチコプター100による空中撮影が利用されるリモートセンシング画像解析などで蛋白質分析の結果としても得られるが、追加的な肥料供給を必要とするダイズ10を作業者に教えるための目印は電源駆動型栽培装置300の外壁部に取付けられている栽培装置個体識別のための発色LEDなどで与えられてもよい。このような発色LEDなどの夜間発色は、マルチコプター100からのみならず人工衛星などからも撮影可能である。
【0109】
また、液体貯留ユニット320および液体流出ユニット340の形状および寸法などが任意であることも、言うまでもない。
【0110】
液体貯留ユニット320は、たとえば、図12(a)および12(b)に示されているように、圃場1の表面に平行に横架される電熱ワイヤー341に横折り目321bで懸架される液体貯留袋321を有してもよい。
【0111】
ここに、図12(a)は本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置300の液体貯留袋321近傍の模式的な斜視図(その二)であり、図12(b)は本発明における別の実施の形態の電源駆動型栽培装置300の液体貯留袋321近傍の模式的な下面図である。
【0112】
液体貯留袋321の切断が行われ、液体貯留袋321の下部が上部から切離されて落下すると、ほぼ100ミリリットルの液体330は、液体貯留袋321から流出してハウジングテーパー下端部312の内部に撒布され、開放された筒状ハウジング310の下端面を通って、または液体流出孔312aを通ってダイズ10に供給される。
【0113】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の電源駆動型栽培方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピューターに実行させるためのプログラムであって、コンピューターと協働して動作するプログラムである。
【0114】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の電源駆動型栽培方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピューターに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られた上述されたプログラムが上述されたコンピューターと協働して利用されるコンピューター読取り可能な記録媒体である。
【0115】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」とは、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0116】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」とは、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0117】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピューターにより読取られ、コンピューターと協働して動作するという形態であってもよい。
【0118】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0119】
また、上述された本発明のコンピューターは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0120】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明における電源駆動型栽培装置は、より生産性の高い栽培方法を実現することができ、たとえば、ダイズなどを栽培するための電源駆動型栽培装置に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 圃場
10 ダイズ
100 マルチコプター
200 地上局サーバー
300 電源駆動型栽培装置
310 筒状ハウジング
311 ハウジング本体部
311a 液体流出孔位置マーカー
311b 圃場識別コード部
312 ハウジングテーパー下端部
312a 液体流出孔
320 液体貯留ユニット
321 液体貯留袋
321a ストリング
321b 横折り目
330 液体
340 液体流出ユニット
341 電熱ワイヤー
350 制御ユニット
360 電源供給ユニット
370 センシングユニット
380 通信ユニット
【要約】
【課題】 従来のダイズ栽培方法によるダイズの収穫量は必ずしも十分ではない。
【解決手段】 圃場1において生育するダイズ10に隣接するように設置される筒状ハウジング310と、液体330を個別的に貯留する六個の液体貯留袋321を有する液体貯留ユニット320と、六個の液体貯留袋321を個別的に開くことにより液体330を流出させる液体流出ユニット340と、液体流出ユニット340の制御を行う制御ユニット350と、液体流出ユニット340および制御ユニット350に電源を供給する電源供給ユニット360と、を備える電源駆動型栽培装置300である。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12