特許第6337246号(P6337246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6337246
(24)【登録日】2018年5月18日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20180528BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   B65B51/10 200
   B65B51/10 220
   B65B51/14
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-126082(P2014-126082)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-3053(P2016-3053A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】勝山 圭
(72)【発明者】
【氏名】国吉 直幸
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−193176(JP,A)
【文献】 特開2002−046713(JP,A)
【文献】 特開平05−139418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10−51/32
B65B 7/00− 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋に被包装物を充填する包装機において、
前記被包装物を充填した前記包装袋の袋口近傍をヒートシールするシール装置であって、
当該シール装置は、
開閉可能に対向配置され、閉鎖したときに前記袋口近傍を挟持してヒートシールする一対のヒータバーと、
正逆方向に回動可能な出力軸を有するサーボモータと、
当該サーボモータの前記出力軸に連結されたリンクユニット、及び先端部に対向配置された一対の前記ヒータバーをクリップ軸を中心に互いに接近又は離反させて開閉するトグルクリップからなり、当該トグルクリップは、前記リンクユニットに連結されたスライダガイドに沿って摺動可能なスライダ、及び当該スライダに連結されて、前記クリップ軸に回動自在に結合された一対のクリップ部を有し、当該クリップ部が備える一対のシールレバーの先端部にそれぞれ固定された前記ヒータバーが動作して、前記出力軸の回動を前記一対のヒータバーの開閉動作に変換するリンク機構と、
前記一対のヒータバーで前記袋口近傍を挟持するとき当該袋口近傍に加わるシール圧と、前記一対のヒータバーが前記袋口近傍を挟持し続ける間のシール時間からなり、前記包装袋の種類毎に前記シール圧と前記シール時間が異なる複数のシールパターンを、記録保存する記録手段と、
当該記録手段に記録保存された複数の前記シールパターンのうち、一の前記シールパターンを選択する選択手段と、
当該選択手段で選択された前記シールパターンの所定の前記シール圧に対応する所定の閉鎖角度まで出力軸を回動させて前記一対のヒータバーを閉鎖し、かつ、選択された前記シールパターンの所定の前記シール時間の間、前記一対のヒータバーの閉鎖状態を維持するように制御する制御手段とからなり
当該制御手段が、前記出力軸の回転動力と前記シールレバーの弾性力を加えた力によって前記ヒータバーが前記袋口近傍を挟持するように、前記サーボモータを制御するようにしたことを特徴とするシール装置。
【請求項2】
前記トグルクリップは、
一の前記ヒータバーを有する第1クリップ部と、他の前記ヒータバーを有する第2クリップ部と、
前記第1クリップ部と前記第2クリップ部を互いに回動自在に結合するクリップ軸と、
前記第1クリップ部と前記第2クリップ部を開閉する前記スライダと、
当該スライダが摺動可能な前記スライダガイドを有し、
前記第1クリップ部は、
一の前記ヒータバーを一端部に固定する第1シールレバーと、当該第1シールレバーと前記スライダとを連結する第1クリップロッドとを有し、
前記第2クリップ部は、
他の前記ヒータバーを一端部に固定する第2シールレバーと、当該第2シールレバーと前記スライダとを連結する第2クリップロッドとを有し、
前記スライダが前記スライダガイドの一端部側にあるとき、
前記スライダが前記第1クリップロッドと前記第2クリップロッドを介して、前記第1シールレバーと前記第2シールレバーを押し開いて、前記トグルクリップを閉鎖し、
前記スライダが前記スライダガイドの他端部側にあるとき、
前記スライダが前記第1クリップロッドと前記第2クリップロッドを介して、前記第1シールレバーと前記第2シールレバーを引っ張って、前記トグルクリップを開放して、
前記スライダの往復運動が、前記トグルクリップの開閉動作に変換されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記リンクユニットは、
前記出力軸に一端部が固定された第1駆動レバーと、
当該第1駆動レバーの他端部と一端部が連結された第1連結ロッドと、
当該第1連結ロッドの他端部と一端部が連結された第2駆動レバーと、
当該第2駆動レバーの他端部と同軸に結合された一端部を有し、当該第2駆動レバーと略L字を成すように固定された第3駆動レバーと、
当該第3駆動レバーの他端部と一端部が連結され、他端部が前記スライダに連結された第2連結ロッドとからなり、
前記出力軸の回動にしたがって回動する前記第1駆動レバーが、前記第1連結ロッド、前記第2駆動レバー、前記第3駆動レバー及び前記第2連結ロッドを介して、前記スライダを前記スライダガイドに沿って摺動させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に被包装物を充填する包装機において、包装袋の袋口近傍をヒートシールするシール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物やペレット状に形成されたドッグフード又はこれらに類する粉粒体を包装袋に充填する包装機は、たとえば、図1に示すように、ロータリー型包装機1が知られている。当該ロータリー型包装機1は、給袋や包装袋の開口、粉粒体の充填、包装袋の整形、包装袋のシールといった各工程を担当する複数の装置からなる。そして、包装袋のシール工程では、包装袋の袋口近傍を溶着して密封するヒートシールを行うシール装置が使用されている。シール装置が包装袋の袋口近傍をヒートシールすることによって、シール装置は、被包装物が充填された包装袋を密封することができる。
従来のシール装置100は、図11に示すような、包装袋の袋口近傍を挟んで互いに対向するヒータバー101,101を有する一対の片持ち梁102,102と、ロータリー2のメイン軸に連結されたカム(図示略)と、当該カムに追従し、スライダガイド104に沿って上下動するスライダ103と、当該スライダ103と片持ち梁102,102とを連結して、スライダ103の上下動を片持ち梁の開閉動作に変換するリンクユニット105,105とからなる。これによって、ヒータバー101,101は、スライダ103が下がった時に閉じて包装袋の袋口近傍を挟持し、ヒートシールするように形成されている。
【0003】
しかしながら、従来のシール装置は、包装機で使用する包装袋を変更したとき、当該包装袋に合わせてシール圧を変更するためには、押しバネの圧力を調整してスライダがスライドする範囲や停止位置、片持ち梁の開閉角度等を微調整しなければならず、組み付け作業やメンテナンスが困難であり手間がかかっていた。また、従来のシール装置は、ロータリーのメイン軸の回動に同期して機械的にヒータバーを開閉させていることから、ヒータバーの噛み込み異常を検出することが困難である。当該噛み込み異常によって、従来のシール装置では、ヒータバーが包装袋に対して付勢するシール圧やシール時間が足らずにシール不良が生じるおそれがあり、その逆に強すぎるシール圧や長時間に亘るシール時間によって包装袋の袋口近傍が焦げてしまうおそれがあった。
【0004】
特開2012−250756号公報に開示されているバーヒータ装置は、一対のヒータバーと、サーボモータ及び当該サーボモータとヒータバーとを連結するリンク機構を有し、サーボモータの回転量又はトルクの変動に基づいて閉じ動作中のヒータバーの噛み込み異常を検出するようにして、センサを使わずに異物検出を可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−250756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のバーヒータ装置は、閉じ動作中にヒータバー間の隙間が拡大してサーボモータの回転量やトルクが変動していることを検出することで噛み込み異常を検知している。すなわち、噛み込み異常を検出する場合には同時に包装袋へヒータバーが強く付勢されることになるので、やはり包装袋が焦げるおそれがある。
また、閉じ動作に対抗してヒータバーを押し広げる力を検出していることから、たとえば、包装機で使用する包装袋を薄いシートから形成されたものから厚みのあるシートで形成されたものに変更したとき、その増加した厚さ分がヒータバーを押し広げているものだと検出され、噛み込み異常だと認識されるおそれがある。そのため、包装袋の変更によって噛み込み異常を誤検出しないようにサーボモータの回転量やトルクの変動量に幅を持たせておく必要がある。しかし、それでもなお厚みが極端に変わる包装袋を使用するときには、幅を持たせて設定した回転量やトルクの変動幅を超えてしまうおそれがあり、当該変動幅を再調整するために従来のシール装置と同様に手間がかかる。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、包装袋の種類に合わせた最適なシール圧とシール時間によって、当該包装袋をヒートシールすることができるシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のシール装置は、包装袋に被包装物を充填する包装機において、
前記被包装物を充填した前記包装袋の袋口近傍をヒートシールするシール装置であって、
当該シール装置は、
開閉可能に対向配置され、閉鎖したときに前記袋口近傍を挟持してヒートシールする一対のヒータバーと、
正逆方向に回動可能な出力軸を有するサーボモータと、
当該サーボモータの前記出力軸に連結されたリンクユニット、及び先端部に対向配置された一対の前記ヒータバーをクリップ軸を中心に互いに接近又は離反させて開閉するトグルクリップからなり、当該トグルクリップは、前記リンクユニットに連結されたスライダガイドに沿って摺動可能なスライダ、及び当該スライダに連結されて、前記クリップ軸に回動自在に結合された一対のクリップ部を有し、当該クリップ部が備える一対のシールレバーの先端部にそれぞれ固定された前記ヒータバーが動作して、前記出力軸の回動を前記一対のヒータバーの開閉動作に変換するリンク機構と、
前記一対のヒータバーで前記袋口近傍を挟持するとき当該袋口近傍に加わるシール圧と、前記一対のヒータバーが前記袋口近傍を挟持し続ける間のシール時間からなり、前記包装袋の種類毎に前記シール圧と前記シール時間が異なる複数のシールパターンを、記録保存する記録手段と、
当該記録手段に記録保存された複数の前記シールパターンのうち、一の前記シールパターンを選択する選択手段と、
当該選択手段で選択された前記シールパターンの所定の前記シール圧に対応する所定の閉鎖角度まで出力軸を回動させて前記一対のヒータバーを閉鎖し、かつ、選択された前記シールパターンの所定の前記シール時間の間、前記一対のヒータバーの閉鎖状態を維持するように制御する制御手段とからなり
当該制御手段が、前記出力軸の回転動力と前記シールレバーの弾性力を加えた力によって前記ヒータバーが前記袋口近傍を挟持するように、前記サーボモータを制御するようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のシール装置は、請求項1に記載の発明において、前記トグルクリップは、
一の前記ヒータバーを有する第1クリップ部と、他の前記ヒータバーを有する第2クリップ部と、
前記第1クリップ部と前記第2クリップ部を互いに回動自在に結合するクリップ軸と、
前記第1クリップ部と前記第2クリップ部を開閉する前記スライダと、
当該スライダが摺動可能な前記スライダガイドを有し、
前記第1クリップ部は、
一の前記ヒータバーを一端部に固定する第1シールレバーと、当該第1シールレバーと前記スライダとを連結する第1クリップロッドとを有し、
前記第2クリップ部は、
他の前記ヒータバーを一端部に固定する第2シールレバーと、当該第2シールレバーと前記スライダとを連結する第2クリップロッドとを有し、
前記スライダが前記スライダガイドの一端部側にあるとき、
前記スライダが前記第1クリップロッドと前記第2クリップロッドを介して、前記第1シールレバーと前記第2シールレバーを押し開いて、前記トグルクリップを閉鎖し、
前記スライダが前記スライダガイドの他端部側にあるとき、
前記スライダが前記第1クリップロッドと前記第2クリップロッドを介して、前記第1シールレバーと前記第2シールレバーを引っ張って、前記トグルクリップを開放して、
前記スライダの往復運動が、前記トグルクリップの開閉動作に変換されるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のシール装置は、請求項1に記載の発明において、前記リンクユニットは、
前記出力軸に一端部が固定された第1駆動レバーと、
当該第1駆動レバーの他端部と一端部が連結された第1連結ロッドと、
当該第1連結ロッドの他端部と一端部が連結された第2駆動レバーと、
当該第2駆動レバーの他端部と同軸に結合された一端部を有し、当該第2駆動レバーと略L字を成すように固定された第3駆動レバーと、
当該第3駆動レバーの他端部と一端部が連結され、他端部が前記スライダに連結された第2連結ロッドとからなり、
前記出力軸の回動にしたがって回動する前記第1駆動レバーが、前記第1連結ロッド、前記第2駆動レバー、前記第3駆動レバー及び前記第2連結ロッドを介して、前記スライダを前記スライダガイドに沿って摺動させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るシール装置によれば、一対のヒータバーで袋口近傍を挟持するとき当該袋口近傍に加わるシール圧と、当該ヒータバーが袋口近傍を挟持し続ける間のシール時間を、包装袋の種類に合わせてそれぞれ組み合わせて形成した複数のシールパターンのうち、一のシールパターンを選択したとき、選択したシールパターンのシール圧に応じてサーボモータの出力軸を所定角度まで回動してヒータバーを閉鎖し、当該閉鎖状態をシールパターンのシール時間中維持するようにした。
これによって、一対のヒータバーは、包装袋の種類に合わせて最適なシール圧とシール時間で包装袋をヒートシールすることができる。
そして、一のシールパターンを選択すると、当該シールパターンの所定のシール圧に応じてサーボモータの出力軸の回動角度が所定角度まで回動されるようにしたので、シール装置の組み付け作業時、又はメンテナンス作業時の作業時間を短縮することができる。
さらに、所定のシール圧に応じて出力軸を所定角度まで回動させるようにしたことによって、組み付けやメンテナンスの際に作業員毎に異なる「コツ」のような個人差の影響を除くことができ、メンテナンス等を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施例に係るシール装置が組み込まれたロータリー包装機の例を示す平面図である。
図2】本実施例に係るシール装置のヒータバーが閉じたときの構成の概略を示す側面図である。
図3】本実施例に係るシール装置のヒータバーが開いたときの構成の概略を示す側面図である。
図4】本実施例に係るシール装置の構成の概略を示す平面図である。
図5図4で示したA−A線に係るシール装置の構成の概略を示す分解側面図である。
図6図4で示したB−B線に係るシール装置の構成の概略を示す分解側面図である。
図7図4で示したC−C線に係るシール装置の構成の概略を示す分解側面図である。
図8】本実施例に係るシール装置の制御部の構成の概略を示すブロック図である。
図9】本実施例に係るシール装置のリンク機構の動作の概略を示す説明図である。
図10】本実施例に係るシール装置のリンク機構の動作の概略を示す説明図である。
図11】従来のシール装置の構成の概略を示す側面図である。
【実施例1】
【0013】
本発明に係るシール装置に係る実施例を、添付した図面にしたがって説明する。図1は本実施例に係るシール装置が組み込まれたロータリー型包装機の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は本実施例に係るシール装置の構成の概略を示す側面図である。
【0014】
本実施例に係るシール装置10は、図1に示すような、ロータリー型包装機1に組み込まれている装置である。ロータリー型包装機1は、所定の速度で回動するロータリー2に包装袋を掴持する複数個のグリップ3が取り付けられている。ロータリー型包装機1は、グリップ3がロータリー2の周方向に沿って略一周する間に、
第1工程:包装袋がグリップに掴持される給袋工程
第2工程:包装袋のチャック部を開くチャック開き工程、及び好ましくは包装袋に製造年月日、製造工場を示す記号、或いはバーコード又はこれらに類する識別記号を印字する印字工程
第3工程:印字された識別記号を検査し、認証する検査認証工程
第4工程:包装袋を開口する開口工程
第5工程:包装袋に被包装物を充填する充填工程
第5工程〜第7工程:包装袋の底部に振動を与える振動工程
第8工程:被包装物を押し込む押込工程と、包装袋の開口部に付着した被包装物を吹き飛ばす吹飛工程
第9工程:包装袋から空気を抜きつつ、開口部をシールするエアー抜き工程とトップシール工程
第10工程:シールされた開口部近傍を冷却する冷却工程と、包装袋をグリップから外して排出する製品排出工程
の各工程が順に行われるように形成されている。
これにより、ロータリー型包装機1は、省スペースで包装袋に被包装物を充填することができる。また、ロータリー型包装機1は、第1工程の給袋工程と第10工程の製品排出工程が隣接していることから、作業員の動線を短くすることができるので、作業効率を上げることができる。
ロータリー型包装機1の上記各工程には、当該各工程をそれぞれ担当する装置が組み込まれており、本実施例に係るシール装置10は、第9工程のトップシール工程及び第10工程の冷却工程を担当する装置である。
【0015】
本実施例に係るシール装置10は、図2及び図3に示すように、ヒータバー11,11と、サーボモータ12と、リンク機構13と、制御部14とからなる。
ヒータバー11,11は、開閉可能に対向配置され、閉鎖したときに包装袋を挟持可能な一対の棒体から形成されている。棒体内には、電気によって加熱されるヒータが内蔵されており、図7に示すように、電線11aが各ヒータバー11,11のそれぞれに接続されている。また、ヒータバー11,11は包装袋の種類に合わせて最適な温度が設定可能に形成されている。そして、グリップ3に掴持された包装袋がヒータバー11,11の間に位置したとき、ヒータバー11,11は包装袋の袋口近傍の所定の位置に所定の圧力を加わえて挟持してヒートシールすることができる。当該圧力をシール圧とし、ヒートシールの開始から終了までの時間をシール時間とする。包装袋の種類に合わせて所定の温度まで温められた一対のヒータバーが、最適なシール圧とシール時間で包装袋の袋口近傍を挟持することによって、包装袋の袋口近傍が焦げ付くといったヒートシール不良を防止することができる。
【0016】
サーボモータ12は、正逆方向に回動可能な出力軸12aと、減速機12bを有している。減速機12bは、少なくともサーボモータ12の回動軸12cと噛合する第1ギヤと、出力軸12aと噛合する最終ギヤからなる。これにより、サーボモータ12は、回動軸12cが正逆方向に回動する速度を、所定の減速比で減速して、出力軸12aを回動させることができ、回動軸12cの回転動力を、出力軸12aから出力することができる。
【0017】
ここで、ヒータバー11,11が閉鎖したとき、これに応じた出力軸12aの角度を閉鎖角度とし、またヒータバー11,11が開放したとき、これに応じた出力軸12aの角度を開放角度とする。
閉鎖角度は、ヒータバー11,11の互いに対向する側面が包装袋を挟まずに当接したときが0度となるように設定されている。ヒータバー11,11間に包装袋を挟んでヒートシールするとき、包装袋の厚みの分だけ閉鎖角度は0度にはならないが、出力軸12aが0度の閉鎖角度に近づくように当該出力軸12aを回動させることによって、ヒータバー11,11間にある包装袋に圧力を加えることができる。
また、ヒータバー11,11間に包装袋を挟んだときが0度となるように、包装袋の厚みに合わせてその都度調整するようにしても良い。この場合は、閉鎖角度は、たとえば−1度、−2度といったように負の値となるように設定される。これにより、上記と同様に、所定の閉鎖角度に近づくように当該出力軸12aを回動させることによって、ヒータバー11,11間にある包装袋に圧力を加えることができる。
このように、出力軸12aが所定の閉鎖角度まで回動することを制御することによって、ヒータバー11,11が包装袋を挟持するときのシール圧を制御することができる。
【0018】
一方、図3に示すように、後述する第3駆動レバー38の側面部38cがストッパー15に当接したとき、ヒータバー11,11が最大限に開放されるように形成されている。ヒータバー11,11が最大開放状態のとき、これに応じた出力軸12aの角度を最大開放角度とする。当該最大開放角度は、誤動作又は事故によってヒータバー11,11が開放されたとき、ストッパー15でヒータバー11,11の開放を制限するときの角度である。本実施例において、最大開放角度は10度となるように設定されている。
開放角度は、上記の最大開放角度未満の角度となるように設定される。これにより、ストッパー15に第3駆動レバー38の側面部38cが衝突することを防止することができる。開放角度は、最大開放角度未満であれば任意に設定可能であるが、本実施例では9度となるように設定されている。
このように、所定の開放角度と所定のシール圧に応じた所定の閉鎖角度との間を出力軸12aが正逆方向に間欠的に回動することで、サーボモータ12は、リンク機構13を介して、ヒータバー11,11を周期的に開閉することができる。
【0019】
リンク機構13は、ヒータバー11,11とサーボモータ12を連結し、出力軸12aの回動をヒータバー11,11の開閉動作に変換するように形成されている。リンク機構13は、トグルクリップ20とリンクユニット21からなり、当該リンクユニット21は、出力軸12aとトグルクリップ20とを連結している。
【0020】
トグルクリップ20は、一のヒータバー11を有する第1クリップ部22と、他のヒータバー11を有する第2クリップ部23と、第1クリップ部22と第2クリップ部23を互いに回動自在に結合するクリップ軸24と、第1クリップ部22と第2クリップ部23に連結されてトグルクリップ20を開閉するスライダ25及びスライダガイド26を有している。
【0021】
第1クリップ部22は、第1シールレバー27と第1クリップロッド28からなる。第1シールレバーは、一端部27aに一のヒータバー11が固定され、中間部にはクリップ軸24が挿嵌可能な第1クリップ軸孔27cが形成され、他端部27bは第1クリップロッド28の一端部28aが回動自在に連結されている。そして、第1クリップロッド28の他端部には、スライダ25と係合する第1スライダ軸孔28bが形成されている。
第2クリップ部23は、第2シールレバー29と第2クリップロッド30からなる。第2シールレバー29は、一端部29aに他のヒータバー11が固定され、他端部にクリップ軸24が挿嵌可能な第2クリップ軸孔29bが形成され、中間部29cに第2クリップロッド30の一端部30aが回動自在に連結されている。そして、第2クリップロッド30の他端部には、スライダ25と係合する第2スライダ軸孔30bが形成されている。
【0022】
クリップ軸24は、第1クリップ軸孔27cと第2クリップ軸孔29bとを重ね合わせて形成された貫通孔に挿嵌され、第1シールレバー27と第2シールレバー29を互いに回動自在に結合している。これにより、第1シールレバー22と第2シールレバー23は、クリップ軸24を中心に回動することができる。
【0023】
スライダ25は、第1スライダ軸孔28bと第2スライダ軸孔30bとを重ね合わせて形成された貫通孔に挿嵌され、第1クリップロッド28と第2クリップロッド30を結合している。また、スライダ25は、リンクユニット21に連結されている。
スライダガイド26,26は、スライダ25を挟んで対向配置されている。これにより、スライダ25は、スライダガイド26,26に沿って摺動することができる。
【0024】
スライダ25が、図2に示すように、スライダガイド26の一端側26aにあるとき、トグルクリップ20は閉鎖してヒータバー11,11が包装袋を挟持するように形成されている。
詳しくは、スライダ25がスライダガイド26の一端側26aへスライドすると、スライダ25は第1・第2クリップロッド28,30を押し出し、第1クリップロッド28と第2クリップロッド30は、それぞれ第1スライダ軸孔28bと第2スライダ軸孔30bを中心に回動する。これによって、第1クリップロッド28は、連結されている第1シールレバー27の他端部27bを押し上げ、第2クリップロッド30は、連結されている第2シールレバー29の中間部29cを押し下げる。そして、第1シールレバー27の一端部27aと、第2シールレバーの一端部29aは、互いに接近して、ヒータバー11,11が閉鎖される。
【0025】
一方、スライダ25が、図3に示すように、スライダガイド26の他端側26bにあるとき、トグルクリップ20は開放してヒータバー11,11が開くように形成されている。
詳しくは、スライダ25がスライダガイド26の他端側26bへスライドすると、スライダ25は第1・第2クリップロッド28,30を引っ張り、第1クリップロッド28と第2クリップロッド30は、それぞれ第1スライダ軸孔28bと第2スライダ軸孔30bを中心に回動する。これによって、第1クリップロッド28は、連結されている第1シールレバー27の他端部27bを引き下げ、第2クリップロッド30は、連結されている第2シールレバー29の中間部29cを引き上げる。そして、第1シールレバー27の一端部27aと、第2シールレバー29の一端部29aは、互いに離間して、ヒータバー11,11が開放される。
【0026】
このように、スライダ25がスライダガイド26に沿って往復運動したとき、トグルクリップ20は開閉動作をするように形成されている。
ここで、スライダ25と、第1シールレバー27及び第1クリップロッド28、またスライダ25と第2シールレバー29及び第2クリップロッド30は、スライダ25の移動に対して第1シールレバー27と第2シールレバー29に加わる力が増大するトグル機構を形成している。これにより、スライダ25を移動させる力が小さくても大きな力でヒータバー11,11を閉じることができる。
さらに、出力軸12aが設定された所定の閉鎖角度に近づくように回動されたとき、トグル機構によって、ヒータバー11,11間のみならず、ヒータバー11,11間が包装袋の袋口近傍を挟み込んで完全に閉じない分、トグルクリップ20全体に反発力が生じる。当該反発力は、トグルクリップ20、特に第1シールレバー27と第2シールレバー29を撓ませる。当該撓みは弾性力によって復原され、ヒータバー11,11にはさらに弾性力による力が加えられる。
【0027】
リンクユニット21は、トグルクリップ20のスライダ25とサーボモータ12の出力軸12aとを連結し、出力軸12aの回動をスライダ25の往復運動に変換するように形成されている。
リンクユニット21は、サーボモータ12の出力軸12a側から、第1駆動レバー35と、第1連結ロッド36と、第2駆動レバー37と、第3駆動レバー38と、第2連結ロッド39とからなる。
【0028】
第1駆動レバー35は、図4及び図5に示すように、一端部35aが出力軸12aに固定され、他端部35bが第1連結ロッド36に回動自在に連結されている。これにより、出力軸12aの回動にしたがって他端部35bが回動するように形成されている。
第1連結ロッド36は、一端部36aが第1駆動レバー35の他端部35bに回動自在に連結され、他端部36bが第2駆動レバー37に連結されている。これにより、第1駆動レバー35の回動にしたがって、第2駆動レバー37を動作させることができる。
第2駆動レバー37は、一端部37aが第1連結ロッド36の他端部36bに回動自在に連結され、他端部37bが回動可能な駆動軸40に固定されている。これにより、第2駆動レバー37は、一端部37aが第1連結ロッド36の上下動にしたがって回動されたとき、駆動軸40を回動させることができる。
第3駆動レバー38は、一端部38aが駆動軸40に固定され、他端部38bが第2連結ロッド39に回動自在に連結されている。また第3駆動レバー38は、図2及び図3に示すように、第2駆動レバー37と略L字をなすように駆動軸40に固定されている。これにより、第1駆動レバー35の回動にしたがって上下動する第2駆動レバー37の一端部37aの動作は、第3駆動レバー38の他端部38bの左右方向の動作に変換することができる。
第3駆動レバー38の側面部38cと対向するようにストッパー15が配置されている。当該ストッパー15に側面部38が当接することにより、第3駆動レバー38の過回転を防止することができ、ひいては、サーボモータ12の出力軸12aが最大開放角度以上に過回転することを防止することができる。
第2連結ロッド39は、一端部39aが第3駆動レバー38の他端部38bに回動自在に連結され、他端部39bがスライダ25に連結されている。
これにより、第3駆動レバー38の他端部38bの左右方向の動作を、スライダガイド26,26に沿ったスライダ25の往復運動に変換することができる。
以上のようにして、リンクユニット21は、出力軸12aとスライダ25を連結し、出力軸12aの回動をスライダ25の往復運動に変換するように形成されている。また、リンクユニット21とトグルクリップ20からなるリンク機構13は、サーボモータ12の出力軸12aから出力される回転動力をトグル機構で増大させてヒータバー11,11へ伝達することができ、これによりヒータバー11,11が包装袋を挟持するときに袋口近傍へ加わるシール圧を増幅することができる。
【0029】
また、ロータリー型包装機1は、図1に示すように、作業員Pの手元に制御盤4が配され、作業員Pに対向して操作しやすい位置に操作部5が設けられている。
制御盤4は、制御部14を有している。制御部4は、図8に示すように、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ又はこれらに類する記憶媒体45aを有する記録手段45と、当該記録手段45に記録されているデータのうち、所定のデータを選択する選択手段46と、選択手段46で選択した記録手段45に記録されているデータにしたがってサーボモータ12を制御する制御手段47を有している。
操作部5は、タッチパネルからなる入力装置46aを有するモニタ画面(図示略)を有している。なお、タッチパネルに替えて、キーボード、押釦、ダイヤル又はこれらに類する入力装置を設けても良い。入力装置46aを介して、選択手段46で所定のデータを選択可能に形成されている。
【0030】
記録手段45は、包装袋の種類毎に設定された複数のシールパターンを記憶媒体45aに記録保存するように形成されている。シールパターンは、ヒータバー11,11が包装袋の袋口近傍を挟持するとき、当該袋口近傍に加わるシール圧に係るデータと、ヒートシール工程の開始から終了までヒータバー11,11が袋口近傍を挟持し続ける間のシール時間に係るデータから形成されている。
包装袋の種類とは、包装袋を形成するシートの素材や、当該シートの厚みをいう。そして、薄く溶けやすいシートの場合には、シール圧を低くしてシール時間を短くし、厚く溶けにくいシートの場合には、シール圧を高くしてシール時間を長くするといったように、シール圧とシール時間は、包装袋の種類に合わせて最適な圧力と時間が有り、それぞれの値を組み合わせてシールパターンが形成されている。
【0031】
選択手段46は、記憶手段45に記憶保存されている複数のシールパターンのうち、一のシールパターンを入力装置46aによって選択可能に形成されている。また選択手段46は、選択したシールパターンのシール圧に係るデータとシール時間に係るデータを制御手段47へ出力するように形成されている。複数のシールパターンのうち、一のシールパターンを選択するようにしたことで、包装袋の種類に合わせて素早くシール装置をセッティングすることができる。また、包装袋の種類に合わせて、均一なデータを出力することができるので、シール装置の設置作業やメンテナンス作業の際に作業員の個人的な「コツ」によって装置毎にシール圧やシール時間がばらついてしまうことを防止することができ、専門的な技術者を呼ばなくともセッティング作業等を行うことができる。
【0032】
制御手段47は、選択手段46から入力されたシールパターンのシール圧とシール時間に係るデータに基づいて、当該シールパターンの所定のシール圧に対応するように、出力軸12aを所定の角度まで回動させてヒータバー11,11を閉鎖するように制御すると共に、シール時間の間、所定の角度まで回動させた出力軸12aを維持して、ヒータバー11,11の閉鎖状態を維持するように制御するように形成されている。これにより、ヒータバー11,11は包装袋の袋口近傍を挟持してヒートシールすることができる。
【0033】
シールパターンは、ヒータバー11,11が開放しているときの開放角度、及びヒータバー11,11が閉鎖しているときの閉鎖角度、並びに第3駆動レバー38がストッパー15に当接しているとき、すなわち、第1連結ロッド36を介して、第1駆動レバー35が最下限まで回動されている場合の当該出力軸12aの角度である最大開放角度に係る各パラメータを有している。当該各パラメータのうち、開放角度と閉鎖角度の間を出力軸12aが回動することによって、ヒータバー11,11は所定のシールパターンで開閉動作することができる。
そして、シール圧とシール時間は、所定の閉鎖角度まで出力軸12aを回動させて、ヒータバー11,11が包装袋の袋口近傍を挟持しているとき、略閉鎖角度まで回動した出力軸12aを所定時間維持することによって調整可能である。
なお、所定の開放角度から所定の閉鎖角度に向って回動するときを出力軸12aの逆方向の回動とする。本実施例においては、最大開放角度を10度とし、開放角度を9度、閉鎖角度を0度に設定しているが、これに限定されず任意に設定可能である。
【0034】
ここで、ヒータバー11,11に噛み込み異常が発生したとき、トグルクリップ20の第1クリップ部21と第2クリップ22には、所定のシール圧に係る圧力に対する反発力が生じる。当該反発力によって、制御手段47は、所定のシール圧に対応した所定の角度まで出力軸12aを回動させることが困難になり、見かけ上のシール圧が上昇する。一方、サーボモータ12の一般的な過渡応答特性に基づくと、出力軸を逆方向に回動したとき、過渡状態下でヒータバー11,11に加わる力が定常状態のシール圧よりも瞬間的に大きくなる場合がある。これによって、出力軸12aが回動するときの過渡状態下で瞬間的に上昇する力が、噛み込み異常によるシール圧の上昇として誤認されるおそれがある。
そこで、シール圧に係る閉鎖角度のパラメータに一時的なシール圧の上昇を許容する許容範囲が設けられている。当該許容範囲からシール圧が逸脱したとき、ヒータバー11,11間に噛み込み異常が発生したものとして、サーボモータ12はヒータバー11,11のシール動作をキャンセルするように形成されている。この所定のシール圧に係る許容範囲は、包装袋の種類に合わせてそれぞれ設けられているので、たとえば、極めて薄いシートからなる包装袋の場合には、閉鎖角度の目標値を0度とし、許容範囲を−0.5度〜0度、厚いシートからなる包装袋の場合には、閉鎖角度の目標値を1度とし、許容範囲を0.5度〜1度と設定すれば良い。そして、シールパターンの変更に伴って、シール圧の目標値と当該シール圧の許容範囲が素早く変更される。これにより、包装袋の種類を変更した場合であっても瞬時に対応したシール圧で包装袋をヒートシールすることができる。
【0035】
上記の構成を有するシール装置10は、サーボモータ12の出力軸12aの回動を次に説明するようにヒータバー11,11へ伝えている。当該ヒータバー11,11の開閉動作について添付した図面にしたがって説明する。図9はヒータバー11,11が閉じているときのリンク機構13の状態の概略を示す説明図であり、図10は、ヒータバー11,11が開いているときのリンク機構13の状態の概略を示す説明図である。
【0036】
サーボモータ12は所定の速度で回動する回動軸12cの出力を減速機12bで所定の速度まで減速して出力軸12aから出力するように形成されている。
サーボモータ12の出力軸12aの回動角度は制御手段47によって制御され、制御手段47は、選択手段46から入力されたシールパターンの所定のシール圧に係るデータに基づいて、出力軸12aを所定の開放角度から所定の閉鎖角度まで回動するように制御している。このとき、リンク機構13は以下のように動作する。
【0037】
出力軸12aが所定の開放角度から所定のシール圧に対応した所定の閉鎖角度まで逆方向に回動したとき、リンクユニット21は、スライダ25をスライダガイド26,26の他端部26b側の所定位置から一端部26a側の所定位置に向ってスライドさせる。
詳しくは、出力軸12aに固定された第1駆動レバー35によって上方へ引き上げられた第1連結ロッド36が、第2駆動レバー37と第3駆動レバー38を駆動軸40を中心に回動させて、第3駆動レバー38が、第2連結ロッド39を押し出し、当該第2連結ロッド39がスライダ25をスライダガイド26,26に沿ってスライダガイド26,26の他端部26b側の所定位置から一端部26a側の所定位置までスライドさせている。
【0038】
そして、スライダ25がスライダガイド26,26の一端部26aの所定位置までスライドしたとき、トグルクリップ20の第1クリップ部21と第2クリップ部がクリップ軸24を中心に回動して、トグルクリップ20の先端が閉じ、これにより、ヒータバー11,11が閉鎖される。
詳しくは、スライダ25は、第1スライダ軸孔28b及び第2スライダ軸孔30bを中心として第1クリップロッド28と第2クリップロッド30とを相反する方向へ回動させる。これによって、第1クリップロッド28は、第1シールレバー27の他端部27bを押し上げ、第2クリップロッド30は、第2シールレバー29の中間部29cを押し下げる。そして、第1シールレバー27の一端部27aと第2シールレバー29の一端部29aが接近し、ヒータバー11,11が閉鎖される。
ヒータバー11,11が閉鎖したとき、包装袋の袋口近傍は、所定のシール圧で挟持される。
【0039】
所定のシール時間が経過した後、出力軸12aは、所定のシール圧に対応した所定の閉鎖角度から所定の開放角度まで正方向に回動する。このとき、リンクユニット21は、スライダ25をスライダガイド26,26の一端部26a側の所定位置から他端部26b側の所定位置に向ってスライドさせる。これによって、スライダ25は、クリップ軸24を中心にトグルクリップ20の第1クリップ部22と第2クリップ部23を回動させて、トグルクリップ20の先端を開いて、ヒータバー11,11を開放する。
スライダ25がスライダガイド26,26の他端部26b側の所定位置に到達したとき、第1駆動レバー35は初期位置に戻り、出力軸12aは所定の開放角度まで戻される。
【0040】
なお、出力軸12aを正方向へ回動させるとき、減速機12bにクラッチを設けたり、所定のシール時間が経過した後にサーボモータ12の回動軸12cを初期位置まで瞬時に戻すオートリターン機構等を設けたりして、出力軸12aにかかるトルクを瞬時に抜くようなトルク制限機構を設けても良い。これによって、シール圧を瞬時に抜くことができるので、ヒータバー11,11を素早く開くことができ、包装袋の焦げ付きを防止することができる。
また、このようなトルク制限機構を設けることによって、出力軸12aを所定のシール圧に対応する所定の閉鎖角度まで回動したとき、包装袋の噛み込み異常等によってヒータバー11,11に過剰な負荷がかかった場合に、瞬時に出力軸12aのトルクを抜くことができ、リンク機構13の破損を防止することができる。
さらに、包装機1の他の装置や他の工程で異常が発生したり、停電等によって包装機1が緊急停止したとき、トルク制限機構がヒータバー11,11を素早く開放することによって、焦げ付いた包装袋や、シール不足の包装袋のような不良品の発生を抑制することができる。
【0041】
本実施例に係るシール装置1は、上記のようにサーボモータ12の出力軸12aを正逆方向に回動させることによって、一対のヒータバー11,11を開閉させている。
ここで、トグルクリップ20は、いわゆるトグル機構を構成している。これにより、サーボモータ12の出力軸12aにかかるトルクを小さくすることができるので、小型で低出力なサーボモータ12を使用することによってコストを下げることができる。また、サーボモータ12にかかる負荷を小さくすることができるので、より高速に出力軸12aを正逆方向へ回動させることができる。これにより、包装袋の袋口近傍をヒートシールするとき、素早く挟持すると共にヒートシールが完了したあとは素早く包装袋を離すことができるので、袋口近傍が焦げたり、圧着不良を起こすことを防止することができる。
【0042】
また、ヒータバー11,11を閉じたとき、図9に示すように、第1シールレバーと第2シールレバーには、トグル機構の倍力効果によって、第1クリップロッドと第2クリップロッドに対する反発力が生じ、当該反発力は、第1シールレバーと第2シールレバーの一端部側へ伝達される。したがって、ヒータバーには、出力軸12aの回転動力に加えて、反発力で撓んだ第1シールレバーと第2シールレバーの弾性力が加わることになる。当該弾性力は、第1クリップロッドと第2クリップロッドが第1シールレバーと第2シールレバーの他端部を押し広げる力が強ければ強いほど大きくなる。すなわち弾性力とシール圧に係る圧力、すなわち出力軸12aの所定の角度との間には比例関係が成立する。したがって、所定のシール圧に応じた所定の角度となるように出力軸12aを制御することによって、弾性力もまた制御することができ、当該弾性力を考慮することによって、サーボモータ12の出力を抑えることができる。
したがって、本実施例のシール装置によれば、トグル機構の倍力効果によって、ヒータバーにかかる単純出力を増大させると共に、第1シールレバーと第2シールレバーにかかる弾性力もヒータバーに加えることができるので、定格容量の小さなサーボモータを使用することができる。そのため、サーボモータにかかるコストを抑え、シール装置10を省エネルギーで動作させることができる。
【符号の説明】
【0043】
10…シール装置、11…ヒータバー、12…サーボモータ、12a…出力軸、12b…減速機、12c…回動軸、13…リンク機構、14…制御部、15…ストッパー、
20…トグルクリップ、21…リンクユニット、22…第1クリップ、23…第2クリップ、24…クリップ軸、25…スライダ、26…スライダガイド、
27…第1シールレバー、27c…第1クリップ軸孔、28…第1クリップロッド、28b…第1スライダ軸孔、29…第2シールレバー、29b…第2クリップ軸孔、30…第2クリップロッド、30b…第2スライダ軸孔、
35…第1駆動レバー、36…第1連結ロッド、37…第2駆動レバー、38…第3駆動レバー、39…第2連結ロッド、40…駆動軸、
45…記録手段、45a…記録媒体、46…選択手段、46a…入力装置、47…制御手段。
1…包装機、2…ロータリー、3…グリップ、4…制御盤、5…操作部。
100…従来のシール装置、101…従来のヒータバー、102…片持ち梁、103…スライダ、104…スライダガイド、105…リンクユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11